JP4819963B1 - スピーカ - Google Patents

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【課題】スピーカの振動板の振動により起こるバスケットフレームの不要振動とスピーカシステム全体に対する不要振動の影響をおさえ、振動板のみが入力信号に忠実な振動を行える構造としたスピーカ及びスピーカシステムを提供する。
【解決手段】バスケットフレームを廃した複数個のスピーカの駆動部どうしと振動板外周どうしを、後方の伝達振動方向の総和点で結合させ、多数のスピーカを同相駆動した時の伝達振動方向を相殺して不要振動を排することにより、高品質な再生を可能としたスピーカ及びスピーカシステム。
【選択図】図12

Description

本発明は、入力信号を正確に再生するためのスピーカシステムに関する。

従来、一般のスピーカはバスケットフレーム、駆動部、振動板とそのエッジなどの部品から成り、その構造はバスケットフレームの一端に駆動部が取り付けられ、駆動部に取り付けられた振動板が入力信号により振動することによって発音する。
バスケットフレームのもう一端には、振動板のエッジが取り付けられ、このエッジ取り付け部でスピーカはネジなどの手段によってスピーカボックスやバッフルボードに固定され、スピーカシステムとして運用されていた。
単にバスケットフレームを廃したものもあったが、振動板以外の振動の抑制を積極的に行った物ではなかった。
また、2つの通常のバスケットフレームを持つスピーカを背中合わせに連結し、不要振動を抑えた物もあったが、これはバスケットフレームのエッジ支持部やボックスなどへの取り付け部に振動板から与えられる振動を考慮したものではなかった。

特開2008−178133 特許第4064160 特開2007−60711 特許4081133 特開2005−277561
本発明が解決しようとする課題は、振動板への入力信号に基づいた振動以外の不要な振動の発生、伝達及び共振を排除したスピーカを製作することである。
また、取り付け時において、取り付けるバッフルやスピーカボックスなどの対象の特性にかかわらず、取り付けに関わる部分での不要な振動の発生、伝達及び共振も排除したスピーカシステムを製作することである。
バスケットフレームは、鉢のような形であり、スピーカコーンの後方音を逃すために、空間を取ってあるが、この空間はスピーカコーン後方音の自然な流れを阻害し、反射する。またその形状の複雑さは、鐘やシンバルに見られる複雑な不要振動を発生させ、また高域分割振動領域ではバスケットフレームの形状による支持強度の不均一さから、不要振動を起こすことがあり、音質に大きな影響を与えた。
また、バスケットフレームの形状においては、バスケットフレーム本体の補強や取り付け位置の工夫や材質、形状の改良が主で、こういった改良を行っても、フレームを細くすると強度が下がる、フレーム位置を振動板から離すと形状が複雑になり共振付加音がでるなど、不要振動を少なくすることは難しかった。
信号の入力によって、音響を発生するとき、振動板の重さと空気の負荷の重さに応じた逆振動が駆動回路を振動させ、これはバスケットフレームを伝わりスピーカボックスのバッフルを振動させ、忠実な再生を阻害した。
また、振動板外端部は、バスケットフレームに取り付けられており、ここで振動板外端部のエッジ部から取り付け各部分を通して複雑な振動がスピーカボックスや、バッフルボードに伝えられていた。また、振動板の直近背後のバスケットフレームは不要な共振の発生や振動板の後面の空気負荷をアンバランスを起こし、正確な入力信号の再生を阻害していた。
また、バスケットフレーム外周エッジ取り付け部で重量のあるスピーカを片側で取り付ける構造はバスケットフレームやバッフル板に対して、張力の不均等をもたらしこれは不要な振動発生音の共振点の変化をもたらすものであり、忠実な入力信号の再生を阻害していた。
また、バスケットフレームをスピーカシステムにネジ等で取り付けた場合、バスケットフレームの強度がネジ取り付け部とそうでない部分でかわり不要な発生音を出すことがあった。
本発明の解決しようとする課題は上記のようなバスケットフレームの強度分布の不均一や、取り付けの強度の不均一や、バッフルボードにおける取り付け部の強度の不均一からの悪影響を受けないスピーカを製作することである。
また、本発明の解決しようとする課題は上記機能をそなえたスピーカシステムを簡便に製作できるようにすることである。

上記の課題を解決するため、本発明ではバスケットフレームを廃したスピーカ複数個を、スピーカの振動板以外の部分を互いの振動を、スピーカ駆動部及び振動板保持部から直線上の伝達振動方向の総和点で相殺するように振動伝達部材やスピーカの形状により剛的に結合させて一つのスピーカとし、同相駆動する。
また、上記の様にして出来たスピーカはスピーカボックスなどに取り付ける時に剛的な結合を必要とせず、外部に振動を伝えないように取り付けることが出来るため、取り付ける対象の特性にかかわらず、取り付けに関わる部分での不要な振動の発生、伝達及び共振も排除したスピーカシステムとなる。
本発明のスピーカは複数個のスピーカを用いて、振動板の外周エッジ部や駆動部を各々、使用するスピーカが2個なら背中あわせに直線の部材で結合し一体とし、個以上なら各スピーカが駆動時に前後方に発する伝達振動方向が直線状で総和する部分を持つように配置してそこで結合させ作成する。
このスピーカの振動を相殺する結合を行う部材は、その機械的位置を定めるためにブロック状スペーサ部や支柱で保持される。
上記の支柱やブロック状スペーサ部は、機械的位置を正確に保持するものであり、その位置を必要に応じて配置できるようにするものであって、伝達振動方向の総和点を内包する必要はない。
また、ブロック状スペーサ部と支柱を併用してもよく、ブロック状スペーサ部を用いる場合には多くのスピーカを配置することが容易になる。
上記のように作成されたスピーカは、振動板への入力信号に基づいた振動以外の不要な振動の発生、伝達及び共振を排除し、スピーカ本体の共振を最小限におさえているため、高い音質のスピーカシステムを提供できる。
また、本発明にかかるスピーカは取り付ける対象の特性にかかわらず、取り付けに関わる部分での不要な振動の発生、伝達及び共振も排除したスピーカシステムを提供できる。
また、本発明にかかるスピーカを製造するため設計を行う際にも、単純な形状の部材を使用していることは、要素計算などでの解析が簡単になるという利点ももつ。単純な形状の各部材からなる本発明にかかるスピーカは共振の制御を行いやすく、設計が容易となる。
また、本発明にかかるスピーカはその取り付けにおいてスピーカボックスに取り付けによる不要な応力を加えないようにできる。
また、本発明にかかるスピーカは、スピーカ単体で不要な振動の抑制が可能なため、ボックスに簡単に、特別な剛結合を行わず取り付けられる。
本発明にかかるスピーカを取り付けるスピーカボックスの設計においても、本発明にかかるスピーカからの振動がスピーカボックスに影響を与えることがないため、強度があまり必要とされなくなるなど設計は容易になる。
大きなマグネットを使用して振動板の反力を押さえ込んだりすることによる不要な重量も必要ない。



振動板を持つスピーカを2以上の複数個用いて伝達振動方向の総和点で反作用の相殺を行った本発明にかかるスピーカを製作する、同相駆動時には伝達振動方向どうしで打ち消し合い、振動板以外は振動しない。
そのため、このスピーカはボックスなどに取り付けた時外部に振動を伝えないため、取り付ける対象のバッフルやスピーカボックスの特性にかかわらず、取り付けに関わる部分での不要な振動の発生、伝達及び共振も排除したスピーカシステムとなる。
このスピーカに用いる各部材を個別に作り、製造時に組み合わせることで部品を共用化し、製造の容易にすることができる。
振動板エッジ部には空気漏れを防止するため、化粧リングや適当なガスケットや防震素材のゴムリングを入れることも良い。
また、精度の高い取り付けが可能であってスピーカボックスからの空気漏れ等の心配がなければ、スピーカボックスと本スピーカは剛結合する必要もない。
また、この取り付けでは、精度の高い取り付けを容易にするため、取り付けリングを用い取り付けても良い、これは大抵スピーカボックスの場合は木質材料などで作られ、正確な取り付け精度の確保や誤差を修正に効果を持つ。この機械的保持部材である化粧リングの取り付け例は図3で示す。
また、本発明に用いるスピーカの数量については、振動が相殺するため最低2個必要であるが、より多数のスピーカにあっても振動が相殺できるため、数量を増やすことができる。
また、振動板以外での力の相殺が可能であるならば、振動板の形状は楕円、方形、多角形など現在使用されている振動板形状のどれもが使用できる。
また、これを収納するスピーカボックスも方形以外の多角形状、球状などにすることもできる。
また、外周エッジ部から直線状に各部材を繋ぐ部材は、振動板の空気の流通や背面音に配慮した物であっても良く、適宜な穴を開けた物、網目状、パイプ状、スノコ状、パンチングメタル状などの素材が必要に応じて利用できる。材質も金属や合成樹脂、制震機能材など様々な物が利用できる。
また、必要に応じて外周エッジを直線状に繋ぐ部材は開放される空気の流通路に変化を設けることで背面音の乱れをなくし高音質化できる。
また、振動板の外周エッジ部から各部材を直線状に繋ぐ部材は、反力を直線状に外周エッジ部から背面に伝える物ならば、形状は自由であり、スピーカを内包するパイプ状などであってもよい。
また、上記の密閉されたパイプ状の結合部材に一部空気流通口を設けバスレフ型のスピーカ構造を実現してもよい。図10に示す。
また、これをスピーカボックスに装着するならば、ケルトン型などの複雑な共鳴構造を持ったスピーカシステムを作ることもできる。図11に示す。
また、上記のパイプ状の結合部材の肉厚を部位によって変えトランスミッションラインとすることもできる。これはブロック状スペーサの形を成形しても実現できる。図9に示す。
また、円形振動板以外の振動板を持つ場合は、特に強度の不均一や、部材の不均一な共振に注意する必要がある。
また、スピーカ背面の容積が必要な特性を発生できるならば、筒状部材をパイプ様の閉管とし密閉型スピーカボックスとして使用できる。当然上記のバスレフ型やトランスミッションライン型もできる。図8に示す。
また、各部材は必要充分な強度を持たせ、梁による構造、穴あき構造、内部に吸音材を入れた構造、機械的位置から防振部材で支える構造、部材各部での防振処理など従来からあるスピーカ製造技術を使用して、高音質化を図ることができる。

図1は、2つのスピーカを用いた本発明にかかるスピーカである。振動板1の保持部分である駆動部及び振動板1の外周エッジ部の、振動により反作用を受ける振動伝達部材2が振動板1の発音方向から後方に延長されている。この振動伝達部材2を対向するスピーカと結合させ発生する振動を相殺する。
2個のスピーカを背面あわせで同相駆動する考えは古くからあるが、従来から存在するそれらは本発明のようなバスケットフレームを取り除いた構造ではない。
また、本実施例では2つの振動板1の間に機械的位置を保持するために支柱4を用いている。
図2は、三つのスピーカを用いた本発明の実施例である。本例では三つ又に伸びた三つの振動伝達部材が振動板1やその駆動部と結合し、中心で支柱4によって支えられる形になっている。
また、図12は支柱4にかえてブロック状スペーサ部3を用い、また振動伝達部材2をブロック状スペーサ部3と一体に整形してなる物である。
図4は、大きさの異なる複数のスピーカを組み合わせた例である。
一つの大型のスピーカに対して三つの小型のスピーカをブロック状スペーサ部3に振動伝達部材2を介して結合させている。
これは中心部にブロック状スペーサ部5を配し、振動板1の面積の異なるスピーカを組み合わせて成る物であり、本発明ではこのように使用するスピーカの規模が異なっていても、伝達振動方向の総和点で駆動部及び振動板1の外周エッジ部を結合させれば、各振動板への同相の入力信号に基づいた振動以外の不要な振動の発生、伝達及び共振を十分に減弱させ、スピーカの共振を抑えることができる。
図5は、二つの振動板1が筒状の振動伝達部材2を介して対抗する形の本発明にかかるスピーカを二対、各々振動板1の大きさが違う物を用い、さらにブロック状スペーサ部3を用いて直角でない角度でクロスさせ結合させた例であり、また前後の振動板1間の間隔を非対称とした物でありそれをスピーカボックス5内に配した物の外観図である。
図6は図5を横から見た断面図である。対向するスピーカの大きさが同一で力が相殺する伝達振動方向の総和点を内包する形状にしたブロック状スペーサ部3は、図6のように歪な形であって機能を満たす。
この交差させた2つのスピーカにおける各々一方の振動板1は、スピーカボックス5の一方において近接して設置され、横方向の指向性を広げると共に、使用者に直接音をピンポイントに聞かせる。
この実施例において近接して設置されない方の2つの振動板は音場をより大きな物とするために機能する。
また、この実施例においてはブロック状スペーサ部3自体の共振を防ぐための共振防止部材が設けられている。
また、振動板1のエッジ部とスピーカボックス5との間には振動板1の保護と、前後にスピーカが動かないように、防振充填作用のある素材でスピーカを取り付けてもよい。
図3は、防振充填作用のある素材でスピーカボックス5に振動板1のエッジ部を打ち付けスピーカを取り付けた図である。これによりスピーカボックス5への不要な振動の伝達や取り付けの誤差による音質の劣化、取り付け箇所からの空気漏れを防ぐことが出来る。
図7はスピーカボックス5を通常のボックススピーカのウーハースピーカ部分を本発明にかかるスピーカとした実施例である。
このように本発明にかかるスピーカはスピーカボックス5を既存の形状と変えずに実施することもできる。
図8は、円形の振動板1を用いた本発明の実施例で、振動板1の外周エッジ部を各々結合させる振動伝達部材2を密閉した筒状とし、そのままスピーカシステムとして完成させた物である。
この場合外部の筒が振動伝達部材2であると同時にスピーカボックス5にもなっている。
図9は、図8にかかる実施例において、内部の振動伝達部材2を兼ねるブロック状スペーサ部3の形状を工夫することによりトランスミッションラインを形成して成る本発明のスピーカの断面図である。
本実施例においては内部に吸音部材を設けている。
図10は、図8にかかる実施例において、振動板1の外周エッジ部を各々結合させる筒状のスピーカボックス5でもある振動伝達部材2にバスレフダクトを設け、バスレフ型スピーカとした例の断面図である。
また、図11は上記の図10の本発明にかかるスピーカをさらに箱状のスピーカボックス5に納め、ケルトン型スピーカとし、スピーカシステムとした例である。
図13は、スピーカを六つ用いて六面に振動板1が向くようにし、全方向スピーカとしたものである。
これは箱形や球形のスピーカボックス5に納めたり、そのまま振動伝達部材2をスピーカボックス5として用いる。音場型スピーカとしての用途が想定される。

本発明は、振動板への入力信号に基づいた振動以外の不要な振動の発生、伝達及び共振を排除したスピーカであって、取り付け時において、取り付ける対象の特性にかかわらず、取り付けに関わる部分での不要な振動の発生、伝達及び共振も排除した、2個以上のスピーカから成る対向スピーカや、高音質再生用のスピーカや、全方位輻射形のスピーカなどに使用できるスピーカシステムを提供することを可能とする。
本発明の実施例1にかかる振動板1を二つ用いてそれらが対向する形で結合したスピーカの概念図。 本発明の実施例2にかかる振動板1を三つ用いてそれらが振動の総和点を持つように結合したスピーカの概念図。 本発明の実施例4にかかる本発明のスピーカを化粧リング6を用いてスピーカボックス5に取り付けた部分の断面図。 本発明の実施例3にかかる、大きさの異なる複数の振動板1を用いた本発明のスピーカの断面図。 本発明の実施例4にかかるスピーカボックス5が多角形なスピーカの外観の外観図。 本発明の実施例4にかかる、振動伝達部材2を介して対向して一対となった振動板1の大きさのこと成る物を二対用い、それらをブロック状スペーサ部3を介してクロスさせた図5のスピーカの断面図。 本発明の実施例5にかかる、一般的な箱形のスピーカボックス5に用いるウーハースピーカを本発明のスピーカとした概念図。 本発明の実施例6にかかる筒状の振動伝達部材2がスピーカボックス5を兼ねた本発明のスピーカの外観図。 本発明の実施例7にかかる、内部の振動伝達部材2であってブロック状スペーサ部3である部材がランスミッションラインを形成して成る、図8にかかる本発明のスピーカの断面図。 本発明の実施例8にかかる、筒状のスピーカボックス5でもある振動伝達部材2にバスレフダクトを設けた本発明のスピーカの断面図。 本発明の実施例8にかかる、図10の本発明のスピーカの筒状の振動伝達部材2をスピーカボックス5を兼ねさせずに穴と仕切のある箱状のスピーカボックス5に納めてケルトン型スピーカとした本発明のスピーカの概念図。 本発明の実施例2にかかる、図2のスピーカの各振動板1を振動伝達部材2と一体に整形されたブロック状スペーサ部3で結合した本発明に係るスピーカの断面図。 本発明の実施例9にかかる、六つの振動板1を用いた音場型スピーカである本発明のスピーカの概念図である。
1 振動板
2 振動伝達部材
3 ブロック状スペーサ部
4 支柱
5 スピーカボックス
6 化粧リング

Claims (3)

  1. バスケットフレームを廃した、振動板に外周エッジ部と駆動部を備えて成るスピーカを2以上の複数個用いて、それらスピーカが駆動時に駆動部方向を後方としてスピーカコーンの前後方向に発する伝達振動が各駆動部の後方において直線上で総和する部分をもつように伝達部材を配し、各スピーカの外周エッジ部どうしと、駆動部どうしを剛的に結合させて一つのスピーカとしたことで、振動板以外の部位の伝達振動が相殺するようにしたことを特徴とするスピーカシステム。
  2. 請求項1記載のスピーカシステムにおいて、各スピーカを剛的に結合させる部材としてブロック状スペーサ部を使用してなることを特徴とするスピーカシステム。
  3. 請求項1記載のスピーカシステムにおいて、複数の請求項1記載のスピーカシステムを、ブロック状スペーサ部を用いて結合させ、一つのスピーカシステムとしたことを特徴とするスピーカシステム。
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