JP4819780B2 - 断熱枠材および建具 - Google Patents
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Description
特許文献1に記載された断熱形材は、金属製の一側部材および他側部材の各々の両端部に受け片およびカシメ片を一対で形成しておき、受け片とカシメ片の間に断熱部材を位置させた状態で、カシメローラを用いてカシメ片を受け片に向かって変形させる(カシメる)ことで、これらで断熱部材を挟持して一側部材、他側部材および断熱部材を一体化したものである。
このような構成によれば、カシメ片の先端側における先端面部とカシメ片係合突部との間に凹み部を形成したことで、先端面部と断熱部材の傾斜面部との当接位置と、カシメ片係合突部と第1被係合面部との係合位置とを、凹み部の寸法分だけ離隔させて先端面部を確実に傾斜面部に当接させることができる。従って、前述したような先端面部の圧縮力による係合力の増加作用が確実に発揮でき、カシメ片の基端部に発生する応力をより確実に抑制することができる。
このような構成によれば、断熱部材に形成した第2傾斜面部に受け片の先端部を当接させることで、カシメ片の先端面部を断熱部材の傾斜面部に当接させたのと同様の作用が受け片においても発揮でき、受け片係合突部の係合力を増加させることができる。従って、受け片の基端部に発生する応力を抑制して第1および第2の金属部材の変形を抑制することができる。
このような構成によれば、中空部を有した断熱部材を用いることで、所定の強度や剛性を確保した上で断熱部材の断面積が小さくでき、原材料の使用量が節約できる。さらに、カシメ片の押圧面部が第1中間面部よりも突出した位置に設けられていることで、カシメ装置が第1中間面部(断熱部材)に当接することがなくなり、カシメ片をカシメる際における断熱部材の破損を防止することができる。また、押圧面部の第1中間面部からの突出寸法をできるだけ小さく設定することで、断熱部材の破損を防止しつつ、製造された断熱枠材表面の凹凸を小さくすることができ、外観意匠性を向上させることができる。
以上の本発明によれば、前述の断熱枠材と同様の作用効果を得ることができ、建具の設計自由度が向上できるとともに、製造コストを抑制することができる。
図1は、本発明の実施形態に係る建具である嵌め殺し窓1を示す縦断面図である。
図1において、嵌め殺し窓1は、建物の外壁開口部に設けられる建具であり、外壁開口部に固定される窓枠2と、この窓枠2に支持される障子10とを備えて構成されている。窓枠2は、上枠3、下枠4、および左右の縦枠5を四周枠組みして構成されている。一方、障子10は、上框11、下框12、および左右の縦框13を四周框組みした内部に、ガラスパネル14を設けて構成されている。
以上の上枠3、下枠4(および縦枠5)は、室内部材3A,4Aおよび室外部材3B,4Bをカシメることで断熱部材3C,4Cと連結され、一体の断熱枠材として機能するように構成されている。
ここで、図2は、断熱枠材20としての下框12を拡大して示す断面図である。図3は、断熱枠材20の製造工程を示す断面図である。
(1)すなわち、カシメ片21B,22Bの先端面部214,224が断熱部材23の第1傾斜面部234に当接することで、カシメ片21B,22Bの基端側連結部216,226に発生する応力を抑制することができる。すなわち、先端面部214,224が当接した反力によってカシメ片係合突部211,221が第1被係合面部232に押圧され、係合力が高められるので、カシメディスクDによって押圧面部213,223を過度に押圧する必要がなくなり、カシメ片21B,22Bの基端側連結部216,226や第1および第2の金属部材21,22全体に発生する応力が抑制できる。従って、第1および第2の金属部材21,22を中空(ホロー)形状などの剛性の高い形状としなくてもよくなり、任意の断面形態を有する部材が利用可能になって断熱枠材20の設計自由度を高めることができるとともに、カシメ装置の構造や作業工程が簡単化できて製造コストを抑制することもできる。
図4は、本発明の実施例に係る断熱枠材20の応力および変形の状態を示す図である。
ここで、応力の数値解析としては、有限要素法による応力解析(FEM解析)を用い、解析モデルとしては、前記実施形態の断熱枠材20をモデル化しカシメ片22Bの先端形状の異なる2つのモデル(第1および第2実施例)を採用した。すなわち、第1実施例と第2実施例とでは、カシメ片21B,22Bの先端面部214,224の突出寸法が相違し、第1実施例の先端面部214,224は、第2実施例の場合よりも0.2mmだけ大きな突出寸法とされている。また、各実施例における解析条件としては、第1および第2の金属部材21,22と断熱部材23とが所定の連結強度となる状態まで、カシメ片21B,22Bを変形させ、所定の連結強度状態の断面応力と、各部の変形とを算出した。
第1実施例の断熱枠材20では、第1金属部材21の自由端部21Dの変形量δが0.3mm(図中右向き)となっている。この変形量としては、製品の性能上および外観上、問題のないことが確認できた。また、カシメ片21B,22Bの基端側連結部216,226における応力が小さくなっているとともに、先端面部214,224に反力が発生していることが確認できた。
第2実施例の断熱枠材20では、第1金属部材21の自由端部21Dの変形量δが0.8mm(図中右向き)となっている。この変形量としては、製品の性能上および外観上、、大きな問題となることはないが、第1実施例の場合よりも大きくなることが分かった。また、カシメ片21B,22Bの基端側連結部216,226における応力が第1実施例の場合よりも大きくなっており、先端面部214,224に発生する反力は、第1実施例の場合よりも小さいことが確認できた。
例えば、前記実施形態においては、嵌め殺し窓1の障子10を構成する上框11、下框12、および左右の縦框13に基づいて説明したが、これに限られない。すなわち、本発明の建具としては、嵌め殺し窓1に限らず、任意の開閉形式の窓や出入り口であってもよい。また、本発明の断熱枠材としては、障子の框材に限らず、窓枠の枠材に用いることも可能であり、その他、中桟や縦骨、方立、無目など様々な部位への適用が可能である。
従って、上記に開示した形状、材質などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状、材質などの限定の一部もしくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
Claims (5)
- 第1および第2の金属部材と、これらの金属部材同士を連結する断熱部材とを備えた断熱枠材であって、
前記第1および第2の金属部材の対向面には、それぞれ一方の対向面から他方の対向面に向かって突出した一対のカシメ片および受け片が形成され、これらのカシメ片と受け片との間に前記断熱部材の端部を位置させた状態で、当該カシメ片を当該受け片に向かって変形させることで当該断熱部材の端部が挟持され、
前記カシメ片および受け片には、それぞれ前記断熱部材を挟んで互いに対向する位置にカシメ片係合突部および受け片係合突部が形成され、前記カシメ片における前記カシメ片係合突部の背面側には、変形のために押圧される押圧面部が設けられ、当該カシメ片の先端側には、前記押圧面部に連続して前記カシメ片係合突部の側に向かって延びる先端面部が設けられ、
前記断熱部材の端部側には、前記第1および第2の金属部材の対向面に当接する当接面部と、前記カシメ片係合突部に係合される第1被係合面部と、前記受け片係合突部に係合される第2被係合面部とから形成された係合端部が設けられるとともに、前記第1被係合面部に交差して前記係合端部から離れる方向に延び、かつ前記カシメ片のカシメ方向に対して傾斜した傾斜面部が設けられ、
前記カシメ片を変形させることで、前記カシメ片係合突部および前記受け片係合突部がそれぞれ前記断熱部材の第1被係合面部および第2被係合面部に係合するとともに、前記カシメ片の先端面部が前記傾斜面部に当接して前記第1および第2の金属部材と前記断熱部材とが接合された断熱枠材。 - 前記カシメ片の先端側において、前記先端面部と前記カシメ片係合突部との間には、当該カシメ片の基端側に向かって凹んだ凹み部が形成されている請求項1に記載の断熱枠材。
- 前記断熱部材には、前記第2被係合面部に交差して前記係合端部から離れる方向に延び、かつ前記カシメ方向に対して傾斜した第2傾斜面部が設けられ、この第2傾斜面部と前記受け片の先端部とが当接可能に構成されている請求項1または請求項2に記載の断熱枠材。
- 前記断熱部材は、両端側に形成された前記傾斜面部同士を連結する第1中間面部および前記第2傾斜面部同士を連結する第2中間面部と、これら第1および第2の中間面部の間に設けられる中空部とを有して形成され、
前記カシメ片を変形させた状態において、前記押圧面部が前記第1中間面部よりも突出した位置に設けられている請求項3に記載の断熱枠材。 - 窓枠と、この窓枠に支持される障子とを有した建具であって、
前記窓枠を構成する枠材と、前記障子を構成する框材との少なくとも一方が請求項1から請求項4のいずれかに記載の断熱枠材を有して構成されている建具。
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