JP4818836B2 - 列車制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は列車制御装置に係わり、特に、ATCに好適な列車制御装置に関する。
従来、この種のATCに係る列車制御装置は、地上側に設けられる地上装置と、列車(電車や気動車等の軌道を走行する車両を含んでいる。)側に搭載される車上装置とから構成されている。そして、その地上装置からは、車上(列車)に向けて所定の列車制御信号が送信されるように構成されているとともに、その車上に設けられている車上装置では、地上側から送信されてきた制御信号を受信して速度制御等の所定の列車制御を行うように構成されている。
図5(a)〜(c)は、上記地上装置における列車制御信号(送信信号)の生成過程を示したもので、同図(a)に示される波形は、地上装置に設けられている搬送波発生回路から発生された所定の周波数からなる搬送波(f0)を示している。また、同図(b)は、この搬送波(f0)を振幅変調処理するためのパルス状の変調波(f1,f2)であって、このうち変調波(f1)の周波数は、地上から車上に向けて送信しようとする一つの列車制御信号(送信信号)に対応し、変調波(f2)の周波数は、他の列車制御信号に対応している。なお、ここでは、説明を容易にするために、地上から車上へ送信する列車制御信号(列車制御情報)の数を2個としている。
図5(c)に示される波形は、搬送波(f0)を変調波(f1,f2)で振幅変調した信号であり、その波形は断続信号の形として表れる。この断続信号のうち、変調波(f1)に対応した信号部分が一つの送信信号で、変調波(f1)の1サイクルに相当する箇所が一つの列車制御情報(F1)であり、変調波(f2)に対応した信号部分が他の送信信号で、変調波(f2)の1サイクルに相当する箇所が他の列車制御情報(F2)である。
上述のようにして地上装置で生成された列車制御情報(F1,F2)は、列車の走行するレール又は列車の走行する軌道に布設されたループコイルに供給されるように構成されている。そして、列車に搭載されている車上装置においては、その列車にレール又はループコイルに対向して設けられている受電器を介して地上からの送信信号を受信するように構成されている。そして、その受信した信号中から列車制御情報(F1,F2)が抽出され、その抽出された列車制御情報に基づいて速度制御等の所定の列車制御が行われるように構成されている(非特許文献1参照)。
ところで、列車の乗り心地改善等の要求から、地上側から車上側に対する列車情報の情報量の増加が要求されるようになってきている。しかし、上述した車制御装置は、一つの所定の周波数からなる搬送波(f0)を列車情報に相当する変調波(f1,f2)で変調処理して列車制御情報(F1,F2)を生成するようにしているので、その情報量に限界がある。これを解決するために、互いに周波数の異なる2つの搬送波を用いる列車制御装置が提案されている(特許文献1参照)。
鉄道電気技術者のための信号概論「ATS・ATC」(社)日本鉄道電気技術協会 平成13年7月28日 改定版発行 p.107,108。 特開昭59−167129号公報
しかしながら、上記従来の列車制御装置においては、列車制御情報の情報量増加を図るために、2種類の搬送波を用いることが提案されているが、既設の装置に適用するには大掛りな改良を伴うので簡単に実施することができないという欠点があった。
また、近年、列車制御の高度化・高級化に伴い地上・車上間の情報伝送量の増加が要望されるようになってきている。この要望に応えるためには、地上・車上間の情報伝送をデジタル方式にすることが考えられる。しかし、このデジタル方式の列車制御装置は、全路線を全て新たに建設する新設路線には容易に適用できるが、現在、アナログ方式等の既設方式の列車制御装置で運用されている路線をデジタル方式に改変することは不可能である。なぜならば、現在、既設方式の列車制御装置で運用されている路線をデジタル方式に改変するには、極めて短時間の内に、つまり、終電後から始発までの間に全路線の地上装置及び車上装置を全面的にデジタル方式に改変する必要があり、このようなことは現実的に不可能である。もし、改変ができたとしても、短時間の内に改変する必要があるので、膨大な改変作業と膨大な設備費を要してしまうという問題点を有している。したがって、デジタル方式の列車制御装置は、種種のメリットを有することが分かっていても、既設方式の列車制御装置で運用されている路線を容易にデジタル方式に改変できないという問題点を有していた。
そこで、本発明は、上記欠点を解決するためになされたものであって、その目的は、地上・車上間の情報伝送量を容易に増加させることができるとともに、既設方式の列車制御装置で運用されている路線を情報伝送量の多いデジタル方式等の新たな方式に容易に改変することのできる列車制御装置を提供することにある。
本発明に係る列車制御装置は、上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、所定の周波数からなる搬送波を所定の主情報に対応した変調波を用いて振幅変調処理し、その振幅変調処理された信号を地上装置から車上装置に送信し、その車上装置において受信した信号を復調処理してその所定の主情報を抽出し、その抽出された主情報に基づいて列車を制御する列車制御装置において、前記所定の主情報と異なる所定の副情報に対応した所定の位相で前記搬送波の位相を変調処理する、前記地上装置に設けられた位相変調処理手段と、前記地上装置から受信した信号の位相を検出する、前記車上装置に設けられた位相検出手段と、その位相検出手段で検出された位相に対応した所定の副情報を抽出する副情報抽出手段と、その副情報抽出手段で抽出された副情報に基づいて列車を制御する列車制御手段とを有することを特徴としている。
本発明の請求項2に記載の列車制御装置は、所定の主情報は互いに変調波周波数の異なる複数個からなることを特徴としている。
本発明の請求項3に記載の列車制御装置は、所定の副情報は互いに搬送波位相の異なる複数個からなることを特徴としている。
本発明に係る列車制御装置は、上記目的を達成するために、請求項4に記載の発明は、所定の周波数からなる搬送波を所定の主情報に対応した変調波を用いて振幅変調処理し、その振幅変調処理された信号を車上装置から地上装置に送信し、その地上装置において受信した信号を復調処理してその所定の主情報を抽出し、その抽出された主情報に基づいて列車を制御する列車制御装置において、前記所定の主情報と異なる所定の副情報に対応した所定の位相で前記搬送波の位相を変調処理する、前記車上装置に設けられた位相変調処理手段と、前記車上装置から受信した信号の位相を検出する、前記地上装置に設けられた位相検出手段と、その位相検出手段で検出された位相に対応した所定の副情報を抽出する副情報抽出手段と、その副情報抽出手段で抽出された副情報に基づいて列車を制御する列車制御手段とを有することを特徴としている。
本発明の請求項1に記載の係る列車制御装置は、所定の主情報と異なる所定の副情報に対応した所定の位相で搬送波の位相を変調処理する地上装置に設けられた位相変調処理手段と、前記地上装置から受信した信号の位相を検出する車上装置に設けられた位相検出手段と、その位相検出手段で検出された位相に対応した所定の副情報を抽出する副情報抽出手段と、その副情報抽出手段で抽出された副情報に基づいて列車を制御する列車制御手段とを有しているので、搬送波の位相分も列車制御情報とすることができるから、極めて簡単に地上から車上に対する情報量を増加させることができる。
本発明の請求項2に記載の列車制御装置は、所定の主情報が互いに変調波周波数の異なる複数個からなるので、車上側では、地上側からより多くの情報を容易に得ることができる。
本発明の請求項3に記載の列車制御装置は、所定の副情報が互いに搬送波位相の異なる複数個からなるので、車上側では、地上側からより多くの情報を容易に得ることができる。
本発明の請求項4に記載の列車制御装置は、所定の主情報と異なる所定の副情報に対応した所定の位相で前記搬送波の位相を変調処理する車上装置に設けられた位相変調処理手段と、車上装置から受信した信号の位相を検出する地上装置に設けられた位相検出手段と、その位相検出手段で検出された位相に対応した所定の副情報を抽出する副情報抽出手段と、その副情報抽出手段で抽出された副情報に基づいて列車を制御する列車制御手段とを有しているので、搬送波の位相分も列車制御情報とすることができるから、極めて簡単に車上から地上に対する情報量を増加させることができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて説明する。図1は、一実施の形態に係る列車制御装置の概略構成図であって、図1において、列車イは、軌道回路T上に位置(在線)している。なお、この軌道回路Tは、図示しないがレールにより形成されていて、前後の軌道回路T′,T″を形成するレールとは、交流信号に対してそれぞれ電気的絶縁が図られている。なお、本発明で列車というときは、電車や気動車等の車両を含むとともに、鉄車輪を用いてレール上を走行する車両及び軌上道をゴムタイヤを用いて走行する車両を含んでいる。
この列車制御装置は、地上側に設けられている地上装置aと車上(列車)側に設けられている車上装置bとから構成されている。先ず、地上装置aから説明すると、この地上装置aは、所定の周波数を有する搬送波(f0)を発生させる搬送波発生回路1を有している。
搬送波発生回路1から発生された搬送波(f0)は、後述する移相回路を介して変調回路2に入力されて、ここで地上から車上に送信される列車制御情報に対応した変調波(f1,f2)で振幅変調処理されるように構成されている。すなわち、この変調回路2には、主情報選択回路3から入力された変調波(f1)又は変調波(f2)で振幅変調処理が行われるように構成されている。なお、ここでは、説明を簡単にするために、地上から車上に送信される列車制御情報を2個としている。そして、そのうちの一つの変調波(f1)に対応した主情報を第1主情報(F1)とし、他の変調波(f2)に対応した主情報を第2主情報(F2)として説明する。これら第1主情報(F1)の具体例としては、列車イに対して45km/hの走行を許可するATC信号であり、また、第2主情報(F2)の具体例としては、列車イに対して15km/hの走行を許可するATC信号である。
図中、4は移相回路であって、主情報選択回路3と同期をとりながら上述の第1主情報(F1)及び第2主情報(F2)と異なる副情報に対応した位相で搬送波(f0)の位相を位相変調処理するように構成されている。図示の例では、副情報として搬送波(f0)の位相を+π/2(+90°)進めた第1副情報(+π/2)と、搬送波(f0)の位相を無変形とした第2副情報(0)と、搬送波(f0)の位相を−π/2(−90°)進めた第3副情報(−π/2)の3個の情報が用意され、これらが副情報選択回路5で選択されて移相回路4に入力されるように構成されている。
これら副情報の具体例としては、例えば、図1に示される列車イの複数個先の軌道回路(図1において右側の図外の軌道回路)が進行現示のときに第1副情報(+π/2)が選択され、その軌道回路が注意現示のときに第2副情報(0)が選択され、そしてその軌道回路が停止現示のときに第3副情報(−π/2)が選択される。
図2に示される波形は、上述した図5(c)の波形図に相当し、その波形に第1副情報(+π/2)を付加した例を示している。すなわち、この図2に示される波形は、軌道回路Tにおいて第1主情報(F1)に第1副情報(+π/2)が付加された列車制御情報が供給され、次の軌道回路T′において第2主情報(F2)に第1副情報(+π/2)が付加された列車制御情報が供給されていることを示している。また、第1主情報(F1)又は第2主情報(F2)が第2副情報(0)又は第3副情報(−π/2)で変調された場合は、0又は−π/2で位相変調される。なお、図2の波形中の矢印は、搬送波の位相をベクトル表示したものである。
上述の例では、副情報は(+π/2),(0)及び(−π/2)の3個としたが、これを例えば10°毎の位相差で副情報を生成すると、副情報量を大幅に増加させることができる。また、図2の例では、図面を簡略化するために、第1主情報(F1)及び第2主情報(F2)には、それぞれ第1副情報(+π/2)が付加された列車制御情報が示されているが、これを、例えば第1主情報(F1)の途中までは、第1副情報(+π/2)が付加され、その後、第2副情報(0)が付加され、そらにその後に、第3副情報(−π/2)が付加される場合であってもよい。
図中、6はパワーアンプであって、移相回路4で位相変調処理され、さらに変調回路2で振幅変調処理された出力信号を増幅処理して接続トランス7を介して軌道回路Tを形成するレールに供給できるように構成されている。なお、軌道をゴムタイヤ等で走行する列車の場合、パワーアンプ6の出力信号は、その軌道に布設されているループコイルに供給される。また、このような地上装置aは、隣接する軌道回路T′,T″にもそれぞれ設けられているが、ここでは省略されている。
次に、列車イに搭載されている車上装置bについて説明する。この車上装置bは、レール(又はループコイル)に対向して設けられている受電器10を介して地上側から送信されてきた信号を受信できるように構成されている。そしてその受信された信号は、増幅回路11で増幅処理されるように構成されている。
図中、12は主情報受信部であって、受信した信号中に第1主情報(F1)に相当する信号がフィルタ回路13を介して受信できたときに、第1主情報受信リレー14を動作させ、また、その受信した信号中に第2主情報(F2)に相当する信号がフィルタ回路15を介して受信できたときに、第2主情報受信リレー16を動作させることができるように構成されている。
図中、17は周知のPLL回路からなる位相検出回路であって、受信した信号の位相を検出し、副情報受信部18に出力できるように構成されている。すなわち、この位相検出回路17は、受信した信号の位相変調が+π/2,0又は−π/2のいずれであるかを検出できるように構成されている。副情報受信部18においては、受信した信号の位相が+π/2のときに第1副情報受信リレー19を動作させ、また、受信した信号の位相が0のときに第2副情報受信リレー20を動作させ、そして、受信した信号の位相が−π/2のときに第3副情報受信リレー21を動作させることができるように構成されている。
上述のように構成された列車制御装置においては、従来の列車制御装置と同様の主情報により速度制御等の列車制御ができる他に、搬送波(f0)の位相に基づく副情報を有しているので、その副情報を用いてより高級な列車制御を行うことができる。このように本発明に係る列車制御装置は、搬送波(f0)の位相を利用して地上から車上に対する列車制御情報の情報量を増加させることができる特長を有している。しかも、搬送波(f0)の位相に基づく付加情報の設備は、簡単に付設できるので、低コストに実現できる特長を有する。
また、上述のように構成された列車制御装置においては、路線の全部を一度に位相変調処理手段を備えた地上装置a及び車上装置bに改変することなく実施できる特長を有している。すなわち、路線の所定区間の地上装置のみを位相変調処理手段を備えた新型の地上装置aとし、さらに、一部の車両(例えば、急行列車の車両)の車上装置のみを位相変調処理手段を備えた新型の車上装置bとして実施することができる。新型の地上装置aを設置していない区間では、従来と同様に、主情報(F1,F2)のみにより列車制御が行われる。また、新型の車上装置bを搭載していない車両(列車)は、新型の地上装置aを設置している区間を従来と同様に、主情報のみにより列車制御が行われる。このように、上記構成の列車制御装置は、既設の列車制御装置と新型の列車制御装置とを混在させて実施できるので、既設の列車制御装置を徐々に時間を掛けて新型の列車制御装置に改変できるという極めて優れた特長を有している。
図3は、本発明の他の実施の形態を示していて、車上から地上へ列車制御情報
を伝送する例が示されている。ここでは、軌道Tを走行する列車ロ,ハは、タイヤで走行する車両で、列車ロ,ハとはループコイル30,30…を介して地上・車上間の情報伝送が行えるように構成されている。なお、ここでは、車上から地上への情報伝送はループコイルを介して行っているが、上述した図1と同様に、列車ロ,ハがレールを走行する車両の場合は、そのレールを介して情報伝送を行うようにすることもできる。また、この実施の形態では、説明を簡単にするために、情報伝送は車上から地上へ行われる例を中心に説明する。
上記ループコイル30,30…は、軌道Tの走行区間に沿って所定の長さに区分された閉そく区間毎に布設され、その布設された各ループコイル30,30…毎に地上装置a´,a´…が設けられている。各地上装置a´,a´…は、同一構成なので、図3の右側に示される地上装置a´を用いて説明すると、この地上装置a´は、接続トランス31を介して受信した車上からの信号を増幅処理する増幅回路32を有している。
上記増幅回路32の出力信号は、上述の図1の位相検出回路(PLL)17と同様の位相検出回路33で車上から送信されてきた信号の位相を検出できるように構成されている。そして、この位相検出回路33で検出された位相により切換回路34が切り替えられるように構成されている。図示の例では、位相検出回路33で車上から送信されてきた信号がπ/2(90°)の位相変調処理されていることが検出されると、新型ATC装置35に切り換えられ、その信号が位相変調処理されていないときは、既設ATC装置36、すなわち、これまで運用されているATC装置36に切り換えられる。
上記新型ATC装置35は、既設ATC装置36よりも車上に対して多くの情報量を伝送されるように構成されている。すなわち、この新型ATC装置35は、新型ATC装置35に接続されている図示しない送信手段とループコイル30とを介して車上に対して多くの情報量を伝送できるように構成されている。この新型ATC装置35としては、デジタル方式の地上装置があげられる。
なお、図示の例では、各ループコイル30,30…に対応する全ての地上装置が新型ATC装置35としているが、路線の一部、例えば、都市部分の路線のみに新型ATC装置35を設置するようにしてもよい。この場合、新型ATC装置35の設置されていない区間の地上装置は、位相検出回路33、切換回路34及び新型ATC装置35を有しない既設のATC装置35が設置されている。
軌道Tを走行する列車ロには新型車上装置b´が搭載それ、列車ハには既設の車上装置b´´、すなわち、これまで運用されている車上装置b´´が搭載それている。新型車上装置b´は、既設の車上装置b´´よりも多くの情報を地上側に伝送できるように構成されているとともに、地上側の新型ATC装置35から得た多くの情報に基づいて従来よりも高度で、かつ高級な列車制御を行えるように構成されている。この新型車上装置b´としては、例えば、デジタル方式の車上装置があげられる。
上記新型車上装置b´は、移相回路40及び車上情報生成回路41を含んで構成されている。この車上情報生成回路41は、車上から地上に伝送するための複数の情報を生成することができるが、ここでは、その情報は列車ロの列車位置を地上側に報知する列車検知信号(以下、「TD信号」という。)として説明する。このTD信号は、先ず、移相回路40で所定の周波数からなる搬送波(f)の位相がπ/2(90°)位相変調され、次いで、車上情報生成回路41において、TD信号に対応した情報で振幅変調処理されるように構成されている。
上述のように位相変調処理及び振幅変調処理されたTD信号は、増幅回路等を含んで構成されている送信回路42を介して列車ロの先頭下部に設けられている車上子(アンテナ)43に供給され、その車上子43からループコイル30に印加されるように構成されている。
上記列車ハに搭載それている既設の車上装置b´´は、新型車上装置b´のように移相回路40を有していないために、車上情報生成回路41で生成されたTD信号は、そのまま送信回路42を介して列車ハの先頭下部に設けられている車上子43に供給され、その車上子43からループコイル30に印加されるように構成されている。
上記構成からなる列車制御装置の制御動作を図4のフローチャートを用いて説明する。今、新型車上装置b´を搭載した列車ロが所定のループコイル30(図3の例では、右側のループコイル30)に進入すると、そのループコイル30に接続されている地上装置a´では、TD信号が受信される(ステップ100肯定。以下、ステップを「S」とする。)。したがって、地上装置a´では列車ロが右側のループコイル30に位置していることを検知することができる。そして、検出回路33では、車上から送信されてきたTD信号がπ/2の位相変調処理されていることが検出されるので(S102肯定)、切換回路34を介して新型ATC装置35が選択される(S104)。したがって、この新型ATC装置35では、既設のATC装置36よりも多くの列車制御情報を生成し(S106)、その生成された列車制御情報は列車ロに対して伝送される(S108)。この情報伝送は、列車ロが右側のループコイル30から進出まで継続される(S110否定)。
また、既設の車上装置b´´を搭載した列車ハが所定のループコイル30(図3の例では、左側のループコイル30)に進入したときは、検出回路33でTD信号の位相変調を検出することがないので(S102否定)、切換回路34を介して既設ATC装置36が選択される(S112)。したがって、この既設ATC装置36により、これまでと同様の列車制御情報を生成し(S114)、その生成された列車制御情報は列車ハに対して伝送される(S108)。この情報伝送は、列車ハが左側のループコイル30から進出まで継続される(S110否定)。
なお、上述の例では、本発明の主情報に相当する情報をTD信号の一つのみとしたが、TD信号以外の他の情報としてもよく、あるいは、上述した図1のように、複数の主情報を有する場合であってもよい。この場合は、上述した図1のように、主情報選択回路を用いて一つの主情報が選択される。
また、上述の例では、位相変調は車上装置が新型車上装置b´である車上装置の種別を示すものとしたが、これを列車の種別、例えば、列車が緩行列車(普通列車)、あるいは急行列車等の列車の種別を示すものであってもよい。さらに、上述した図1のように、互いに位相の異なる複数の位相を用意し、副情報(位相)選択回路を用いて位相を選択し、情報の種類を増加させるようにしてもよい。
上述のように構成された列車制御装置においては、従来の列車制御装置と同様の主情報により列車検知等の制御ができる他に、搬送波(f)の位相に基づく副情報を有しているので、その副情報を用いてより高級な列車制御を行うことができる。このように本発明に係る列車制御装置は、搬送波(f)の位相を利用して地上から車上に対する列車制御情報の情報量を増加させることができる特長を有している。しかも、搬送波(f)の位相に基づく付加情報の設備は、簡単に付設できるので、低コストに実現できる特長を有する。
また、上述のように構成された列車制御装置においては、路線の全部を一度に位相変調処理手段を備えた地上装置a´及び車上装置b´に改変することなく実施できる特長を有している。すなわち、路線の所定区間の地上装置のみを位相変調処理手段を備えた新型の地上装置a´とし、さらに、一部の車両(例えば、急行列車の車両)の車上装置のみを位相変調処理手段を備えた新型の車上装置b´として実施することができる。新型の地上装置a´を設置していない区間では、従来と同様に、主情報(上述の実施の形態ではTD信号)のみにより列車制御が行われる。また、新型の車上装置b´を搭載していない車両(列車)は、新型の地上装置a´を設置している区間を従来と同様に、主情報のみにより列車制御が行われる。このように、上記構成の列車制御装置は、既設の列車制御装置と新型の列車制御装置とを混在させて実施できるので、既設の列車制御装置を徐々に時間を掛けて新型の列車制御装置に改変できるという極めて優れた特長を有している。
本発明の一実施の形態に係る列車制御装置の概略構成図である。 搬送波に副情報を付加した波形の例を示す図である。 本発明の他の実施の形態に係る列車制御装置の概略構成図である。 本発明の他の実施の形態に係る列車制御装置の制御動作を示すフローチャートである。 地上装置における列車制御信号(送信信号)の生成過程を示す図である。
符号の説明
イ 列車
a 地上装置
b 車上装置
T,T′,T″ 軌道回路
1 搬送波発生回路
2 主変調回路
3 主情報選択回路
4 副変調回路
5 副情報選択回路
6 パワーアンプ
7 接続トランス
10 受電器
11 増幅回路
12 主情報受信部
13,15 フィルタ回路
14 第1主情報受信リレー
16 第2主情報受信リレー
17 位相検出回路
18 副情報受信部
19 第1副情報受信リレー
20 第2副情報受信リレー
21 第3副情報受信リレー
ハ,ロ 列車
a´ 地上装置
b´ 新型車上装置
b´´ 車上装置(既設車上装置)
30 ループコイル
31 接続トランス
32 増幅回路
33 位相検出回路
34 切換回路
35 新型ATC装置
36 既設ATC装置
40 移相回路
41 車上情報生成回路
42 送信回路
43 車上子(アンテナ)

Claims (4)

  1. 定の周波数からなる搬送波を所定の主情報に対応した変調波を用いて振幅変調処理し、その振幅変調処理された信号を地上装置から車上装置に送信し、その車上装置において受信した信号を復調処理してその所定の主情報を抽出し、その抽出された主情報に基づいて列車を制御する列車制御装置において、
    記所定の主情報と異なる所定の副情報に対応した所定の位相で前記搬送波の位相を変調処理する、前記地上装置に設けられた位相変調処理手段と、
    前記地上装置から受信した信号の位相を検出する、前記車上装置に設けられた位相検出手段と、
    前記位相検出手段で検出された位相に対応した所定の副情報を抽出する副情報抽出手段と、
    前記副情報抽出手段で抽出された副情報に基づいて列車を制御する列車制御手段と、
    を有することを特徴とする列車制御装置。
  2. 請求項1に記載の列車制御装置において、前記所定の主情報は、互いに変調波周波数の異なる複数個からなることを特徴とする列車制御装置。
  3. 請求項1又は2に記載の列車制御装置において、前記所定の副情報は、互いに搬送波位相の異なる複数個からなることを特徴とする列車制御装置。
  4. 定の周波数からなる搬送波を所定の主情報に対応した変調波を用いて振幅変調処理し、その振幅変調処理された信号を車上装置から地上装置に送信し、その地上装置において受信した信号を復調処理してその所定の主情報を抽出し、その抽出された主情報に基づいて列車を制御する列車制御装置において、
    記所定の主情報と異なる所定の副情報に対応した所定の位相で前記搬送波の位相を変調処理する、前記車上装置に設けられた位相変調処理手段と、
    前記車上装置から受信した信号の位相を検出する、前記地上装置に設けられた位相検出手段と、
    前記位相検出手段で検出された位相に対応した所定の副情報を抽出する副情報抽出手段と、
    前記副情報抽出手段で抽出された副情報に基づいて列車を制御する列車制御手段と、
    を有することを特徴とする列車制御装置。
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