JP6110185B2 - 列車制御装置 - Google Patents

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本発明は列車制御装置に係り、特に、サンプリング周波数を低く設定することができるとともに、相関計算のタップ数を少なくして、適正に搬送波の位相差を検出することを可能とした列車制御装置に関する。
従来から、ATCに係る列車制御装置において、地上側に設けられる地上装置と、列車側に搭載される車上装置とから構成され、地上装置から列車に向けて所定の列車制御信号を送信し、送信された列車制御信号を車上装置で受信して速度制御等の所定の列車制御を行うように構成されている。
このような列車制御装置においては、列車制御信号として用いられる振幅変調波の搬送波の位相を変化させることにより、複数の情報を車上側に送信することができるようにした技術が開発されてきている。
このような列車制御装置として、従来、例えば、主情報と異なる副情報に対応した所定の位相で搬送波の位相を変調処理する地上装置に設けられた位相変調処理手段と、地上装置から受信した信号の位相を検出する車上装置に設けられた位相検出手段と、検出された位相に対応した副情報を抽出する副情報抽出手段と、抽出された副情報に基づいて主情報との組合せにより列車を制御する列車制御手段とを備えた技術が開示されている((例えば、特許文献1を参照。)。
特開2008−013043号公報
しかしながら、前記従来の技術においては、位相検出手段により、相関値の極大値間の時間差から位相差を求めるものであるため、相関値の極大値を求める必要があり、極大値を求めるためにはサンプリング周波数を対象となる搬送波周波数よりその位相差を識別する精度に比例して高くする必要があり、それに伴い相関計算のタップ値も大きくする必要があるという問題を有している。また、振幅変調波の搬送波の周波数が高い場合は、サンプリング周波数も高くなるため、改善が要望されてた。
本発明は前記した点に鑑みてなされたものであり、サンプリング周波数を低く設定することができるとともに、相関計算のタップ数を少なくして、適正に搬送波の位相差を検出することのできる列車制御装置を提供することを目的とするものである。
本発明は前記目的を達成するために、請求項1の発明に係る列車制御装置は、上装置から送信された振幅変調信号から位相情報を出力する位相検出手段を備えた車上装置備え、
前記位相検出手段は、あらかじめ設定した位相をずらした複数の搬送波波形データを並列に配置し、前記地上装置から送信された前記振幅変調信号の搬送波について並列に配置された前記複数の搬送波波形データからそれぞれ計算された相関値の差に基づき、前記振幅変調信号の搬送波の位相を検出することを特徴とする。
請求項2に係る発明は、請求項1において、前記位相検出手段は、相をずらした前記複数の搬送波波形データの並列な配置に応じて設けられるとともに対応する搬送波波形データから前記振幅変調信号の搬送波についての相関値をそれぞれ計算する複数のディジタル相関器を有することを特徴とする。
請求項3に係る発明は、請求項2において、前記複数のディジタル相関器は、並列に配置された前記複数の搬送波波形データとして、内部搬送波1周期分の波形データについて位相をずらした係数をそれぞれ格納することを特徴とする。
請求項4に係る発明は、請求項1から請求項3のいずれか一項において、前記位相検出手段は、出力される相関値における極大に関するデータに基づき前記振幅変調信号の搬送波の位相を検出することを特徴とする。
請求項5に係る発明は、請求項4において、前記位相検出手段は、出力される相関値における極大に関するデータとしての2つの相間出力の位相差に基づき前記振幅変調信号の搬送波の位相を検出することを特徴とする。
請求項1に係る発明によれば、位相検出手段により、あらかじめ設定した位相をずらした複数の搬送波波形データを並列に配置し、地上装置から送信された振幅変調信号の搬送波について並列に配置された複数の搬送波波形データからそれぞれ計算された相関値の差に基づき、振幅変調信号の搬送波の位相を検出するようにしているので、並列に配置され、かつ、位相をずらした複数の搬送波波形データに基づいて計算することにより、サンプリング周波数を高くすることなく、しかも、相関計算のタップ値が少ない場合でも、適正に相関値の極大値を検出することができる。
請求項2に係る発明によれば、位相検出手段を、位相をずらした複数の搬送波波形データの並列な配置に応じて設けられるとともに対応する搬送波波形データから振幅変調信号の搬送波についての相関値をそれぞれ計算する複数のディジタル相関器を有するようにしているので、各ディジタル相関器ごとに位相をずらした搬送波形データを設定し、あらかじめ設定した位相をずらした複数の搬送波波形データと、地上装置から送信された振幅変調信号の搬送波とを相関計算することにより、各ディジタル相関器ごとに出力される相関値に基づいて、サンプリング周波数を高くすることなく、しかも、相関計算のタップ値が少ない場合でも、適正に相関値の極大値を検出することができる。
本発明に係る列車制御装置の実施形態を示す概略構成図である。 本発明に係る列車制御装置の実施形態における振幅変調波の波形例を示す説明図である。 本発明に係る列車制御装置の実施形態における位相検出回路を示す構成図である。 本発明に係る列車制御装置の実施形態におけるすディジタル相関器を示す構成図である。
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、本発明に係る列車制御装置の実施形態を示す概略構成図であり、図1において、本実施形態の列車制御装置は、地上側に設けられている地上装置1と、列車2に搭載した車上装置3と、を備えて構成されている。そして、地上装置1から、例えば、列車2の許容速度情報などの列車制御情報に対応させた列車制御信号を、図中右方向に進行している列車2が在線する軌道回路Tのレールの図中右端側から送信し、この列車制御信号を車上装置3が受信すると、列車制御信号から列車制御情報を抽出し、抽出した列車制御情報に基づいて列車2の走行を制御するよう構成されている。軌道回路は、レールにより形成されていて、前後の軌道回路T′,T″を形成するレールとは、交流信号に対してそれぞれ電気的絶縁が図られている。
また、地上装置1は、所定の周波数を有する基本搬送波を振幅変調処理して変調波を生成し、所定の列車制御情報を示す列車制御信号を形成するように構成されている。そして、このように、振幅変調処理された列車制御信号は、増幅処理されて軌道回路Tを形成するレールに供給されるように構成されている。なお、このような地上装置1は、隣接する軌道回路T′,T″にもそれぞれ設けられているが、ここでは省略する。
図2は、地上装置1から送信される列車制御信号の波形例である。図2の波形は、基本搬送波に対して断続する信号部分(マーク)ごとに位相を進めた位相変調信号を変調波で振幅変調した列車制御信号である。なお、図2において、A、B、Cは、列車制御信号(振幅変調信号)の断続する信号部分(マーク)を示す。
次に、車上装置3について説明する。
車上装置3は、列車2の前部においてレールに対向して設けられ地上装置1からレールに送信された列車制御信号を受信する受電器4と、受信した列車制御信号を入力する位相検出手段としての位相検出回路5とを備えている。
図3において、本実施形態の位相検出回路5は、A/D変換器6と、ディジタル相関器7と、位相差検出回路8と、を備えて構成されている。
A/D変換器6は、受信したアナログの列車制御信号(振幅変調信号)を所定間隔でサンプリングしてディジタル信号に変換し、変換したディジタル列車制御信号(振幅変調信号)をサンプリングデータとして出力するように構成されている。
ディジタル相関器7は、A/D変換器6から入力するサンプリングデータに基づいて、図2に示す列車制御信号(振幅変調信号)の断続する各信号部分(マーク)A、B、Cにおける各搬送波と基本搬送波の相関値を算出するものである。そして、本実施形態においては、ディジタル相関器7は、複数設けられており、各ディジタル相関器7は、A/D変換器6にそれぞれ並列に接続されている。
各ディジタル相関器7は、図4に示すように、サンプリングデータが入力されるシフトレジスタ9と、係数格納部10と、乗算器11−1〜11−Nと、加算器12と、を備えている。シフトレジスタ9は、基本搬送波の1周期分の波形データを構成するサンプリングデータを格納できる数のシフト段I(1)〜I(N)を有して順次シフトするように構成されている。ここで、(360゜/シフト段数)が検出可能な最小位相差であり、シフト段数が位相差の検出分解能に影響を与えるものである。
係数格納部10は、内部搬送波1周期分の波形データを、シフトレジスタ9のシフト段数に対応させた数の乗算係数A(1)〜A(N)として格納する。例えば、シフト段数を36とした場合、乗算係数(A1)〜A(N)の数も36であり、この場合、乗算係数A(1)〜A(N)として、内部搬送波の1周期(360°)における10°毎の振幅値を格納するようになる。
また、乗算器11−1〜11−Nは、シフトレジスタ9のシフト段数Nに対応してN個設けられ、シフトレジスタ9の各シフト段I(1)〜I(N)のサンプリングデータに、係数格納部10の対応する乗算係数A(1)〜A(N)をそれぞれ乗算するように構成されている。加算器12は、各乗算器11−1〜11−Nの乗算結果を加算して入力する位相変調された搬送波と内部搬送波(基本搬送波)の相関度合を示す相関値を出力するように構成されている。そして、入力する搬送波の1周期分のサンプリングデータを順次シフトし、入力する搬送波の位相と内部搬送波の位相が一致したとき相関値が極大値となるものであり、これにより、入力する搬送波の1周期毎に相関値極大位置が存在することになる。
また、本実施形態においては、各ディジタル相関器7の係数格納部10には、内部搬送波1周期分の波形データの位相をずらして格納するように構成されている。例えば、ディジタル相関器7をN個設けたとすると、ディジタル相関器(1)7では内部搬送波の波形データの位相は、0°すなわちそのままの形で格納されるように構成されており、ディジタル相関器(2)7では、内部搬送波の波形データの位相は、360°/Nだけずらした形で格納されるように構成されている。ここで、例えば、N=36であるとすると、各ディジタル相関器7の内部搬送波波形データの位相のずれは、10°となり、各ディジタル相関器7の係数格納部10には、10°ずつずれた位相の内部搬送波の波形データが格納されるようになる。
また、位相差検出回路8は、各ディジタル相関器7から出力される相関値に基づいて、相関値の極大位置を検出し、この相関値の極大位置データに基づいて互いに隣合う信号部分間の極大位置の差を算出して隣合う信号部分間の搬送波の相対的位相差を検出するように構成されている。
ここで、本実施形態においては、各ディジタル相関器7から出力される各相関値は、入力された搬送波の波形データと係数格納部10に格納された内部搬送波の波形データとを乗算することにより求められるものであることから、入力された搬送波波形の位相に近い内部搬送波の波形データを係数にもつディジタル相関器7の相関値が極大値に近い値を出力することになる。このように、各ディジタル相関器7に内部搬送波の波形データの位相をずらした係数を格納することにより、サンプリング周波数を高くすることなく、しかも、相関計算のタップ値が少ない場合でも、適正に相関値の極大値を検出することができるものである。
そして、位相差検出回路は、例えば、図4に示すように、列車制御信号の信号部分(マーク)において、各ディジタル相関器7から出力される相関値0〜N−1の中で相関出力iで極大値が出力され、次の信号部分(マーク)では相関出力jで極大値が出力されたとすると、相関出力iと相関出力jとの位相差が求める受信信号の位相差になる。
次に、本実施形態の列車制御装置における位相検出回路5の動作を説明する。
受電器4で受信された振幅変調信号が位相検出回路5に入力すると、A/D変換器6により所定間隔でサンプリングされ、ディジタル信号のサンプリングデータが各ディジタル相関器7に順次入力される。そして、ディジタル相関器7において、入力したサンプリングデータをシフトレジスタ9により順次シフトし、乗算器11−1〜11−Nにより、シフトレジスタ9の各シフト段のサンプリングデータI(1)〜I(N)と係数格納部10に格納された乗算係数A(1)〜A(N)を乗算する。そして、乗算器11−1〜11−Nの乗算結果を加算器12で加算して相関値が演算され、演算された相関値は位相差検出回路8に入力される。
そして、位相差検出回路により、各ディジタル相関器7から出力された相関出力に基づいて、いずれのディジタル相関器7からの相関値が極大値となるかを検出し、各信号部分における極大値の相関出力との位相の差を求めることにより、位相差を検出するようになっている。
なお、本実施形態においては、1つの信号部分(マーク)において、相関出力の極大値がいずれかのディジタル相関器7から周期的に出力されることを、確認することにより、信号検出が正常に行われていることを確認できる。
以上述べたように、本実施形態においては、各ディジタル相関器7の係数格納部10に内部搬送波1周期分の波形データの位相をずらして格納するようにしているので、入力された搬送波波形の位相に近い内部搬送波の波形データを係数にもつディジタル相関器7の相関値が極大値に近い値を出力することになり、サンプリング周波数を高くすることなく、しかも、相関計算のタップ値が少ない場合でも、適正に相関値の極大値を検出することができるという効果を奏する。
なお、前記実施形態においては、複数のディジタル相関器7を設け、これら各ディジタル相関器7の係数格納部10に位相をずらした内部搬送波の波形データをそれぞれ格納するようにしたが、1つのディジタル相関器7において、係数格納部10に内部搬送波の位相をずらした波形データをそれぞれ格納しておき、各位相における波形データと入力された搬送波波形とに基づいて相関計算することにより、相関値の極大値を検出するようにしてもよい。
また、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々の変形が可能である。
1 地上装置
2 列車
3 車上装置
4 受電器
5 位相検出回路
6 A/D変換器
7 ディジタル相関器
8 位相差検出回路
9 シフトレジスタ
10 係数格納部
11 乗算器
12 加算器

Claims (5)

  1. 上装置から送信された振幅変調信号から位相情報を出力する位相検出手段を備えた車上装置備え、
    前記位相検出手段は、あらかじめ設定した位相をずらした複数の搬送波波形データを並列に配置し、前記地上装置から送信された前記振幅変調信号の搬送波について並列に配置された前記複数の搬送波波形データからそれぞれ計算された相関値の差に基づき、前記振幅変調信号の搬送波の位相を検出することを特徴とする列車制御装置。
  2. 前記位相検出手段は、相をずらした前記複数の搬送波波形データの並列な配置に応じて設けられるとともに対応する搬送波波形データから前記振幅変調信号の搬送波についての相関値をそれぞれ計算する複数のディジタル相関器を有することを特徴とする請求項1に記載の列車制御装置。
  3. 前記複数のディジタル相関器は、並列に配置された前記複数の搬送波波形データとして、内部搬送波1周期分の波形データについて位相をずらした係数をそれぞれ格納することを特徴とする請求項2に記載の列車制御装置。
  4. 前記位相検出手段は、出力される相関値における極大に関するデータに基づき前記振幅変調信号の搬送波の位相を検出することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の列車制御装置。
  5. 前記位相検出手段は、出力される相関値における極大に関するデータとしての2つの相間出力の位相差に基づき前記振幅変調信号の搬送波の位相を検出することを特徴とする請求項4に記載の列車制御装置。
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