以下に実施の形態を、ポータブルコンピュータに適用した図面に基づいて説明する。
(第1の実施形態)
図1ないし図7は、第1の実施形態に係る電子機器としてのポータブルコンピュータ1を開示している。図1に示すように、ポータブルコンピュータ1は、本体ユニット2と、表示ユニット3と、ヒンジ部4a,4bとを備えている。
本体ユニット2は、メイン基板を搭載した電子機器本体である。本体ユニット2は、扁平な箱状に形成された筐体5を有する。筐体5は、上壁6、周壁7、および下壁8を有する。下壁8は、ポータブルコンピュータ1を載置面(例えば机上)に置いた時に、その載置面に向かい合う面である。下壁8は、載置面に略平行になるように広がっている。
上壁6は、下壁8との間に空間を空けて、下壁8と略平行に広がっている。上壁6は、キーボード9を支持している。周壁7は、下壁8に対して起立しており、下壁8の周縁部と上壁6の周縁部との間を繋いでいる。
図1に示すように、表示ユニット3は、ディスプレイハウジング10と、このディスプレイハウジング10に収容された表示装置11とを備えている。表示装置11は、表示画面11aを有する。表示画面11aは、ディスプレイハウジング10の前面の開口部10aを通じてディスプレイハウジング10の外部に露出している。
表示ユニット3は、例えば一対のヒンジ部4a,4bを介して、筐体5の後端部に支持されている。表示ユニット3は、筐体5の上壁6を上方から覆うように倒される閉じ位置と、上壁6に対して立て起こされる開き位置との間で回動可能である。
次に、本体ユニット2の筐体5について詳しく説明する。
図1に示すように、筐体5は、筐体ベース13と、筐体カバー14とを有する。筐体ベース13は、周壁7の一部と、下壁8とを含み、上方が開放された箱形に形成されている。筐体カバー14は、周壁7の一部と、上壁6とを含む。筐体カバー14は、例えば上方から筐体ベース13に組み合わされる。筐体カバー14が筐体ベース13に組み合わされることで、上記筐体5が形成されている。
筐体5の周壁7は、前壁部7a、左右の側壁部7b,7c、および後壁部7dを有する。前壁部7aは、筐体5のなかでヒンジ部4a,4bが設けられた端部とは反対側となる端部(前端部)に位置している。前壁部7aは、ポータブルコンピュータ1の使用時に、ユーザーに向かい合う。ここで、本明細書ではユーザーから見て前後左右を定義する。前壁部7aは、筐体5の幅方向(左右方向)に延びている。
後壁部7dは、筐体5のなかでヒンジ部4a,4bが設けられた端部(後端部)に位置している。後壁部7dは、前壁部7aと略平行に延びている。左側壁部7bは、前壁部7aの左端部と、後壁部7dの左端部とを繋ぐように、筐体5の前後方向(奥行き方向)に延びている。右側壁部7cは、前壁部7aの右端部と、後壁部7dの右端部とを繋ぐように、筐体5の前後方向(奥行き方向)に延びている。
図1に示すように、例えば左側壁部7bには、例えば複数の排気孔部21が設けられている。排気孔部21は、左側壁部7bに設けられて、一つの方向(以下、第1の方向D1)に向いて開口している。第1の方向D1は、ポータブルコンピュータ1の左側方を向く方向である。なお排気口部21は、左側壁部7bに代えて、右側壁部7cに設けられていてもよい。
図5に示すように、筐体5には、回路基板22が収容されている。回路基板22は、例えばメイン基板(マザーボード)である。回路基板22は、後述の冷却ファン31よりも大きな外形を有する。回路基板22は、水平に寝かされた姿勢で筐体5内に収められている。
回路基板22には、発熱部品23が実装されている。発熱部品23は、使用時に熱を発する電子部品であり、例えばCPU、グラフィックチップ、ノース・ブリッジ(登録商標)、またはメモリなどが具体例として挙げられる。ただし発熱部品は、上記の例に限らず、放熱が望まれる種々の部品が該当する。発熱部品23には、例えば金属板で形成された受熱部材24が熱接続されている。
図5に示すように、筐体5内には、冷却構造25が設けられている。本実施形態に係る冷却構造25は、例えば上記発熱部品23を冷却するためのものであるが、冷却構造はこれに限定されるものではない。冷却構造は、種々の目的のものに広く適用可能であり、例えば冷却ファン単体で構成され、放熱フィンを有しないものでもよい。
図5に示すように、本実施形態に係る冷却構造25は、冷却ファン31、放熱部材(ヒートシンク)32、および熱輸送部材33を備えている。図2ないし図4に示すように、冷却ファン31は、遠心タイプのファンであり、ファンブレード35(羽根車)と、ファンケース36とを有している。
ファンブレード35は、複数の羽根を有するとともに、図示しないモータにより回転駆動され、当該ファンブレード35の遠心方向に送風する。本実施形態に係るファンケース36は、ケーシング部の一例である。ファンケース36は、箱状に形成され、上記ファンブレード35を収容している。
図2に示すように、ファンケース36は、回転中心Cから見たファンブレード35の遠心方向に開口した排気口部41を有する。図4に示すように、排気口部41は、一つの方向に向いて開口している。図5に示すように、排気口部41は、冷却ファン31から筐体5の排気孔部21に向かう方向(すなわち、第1の方向D1)に向いている。
図2ないし図4に示すように、ファンケース36は、ケーシング本体部42と、ケーシング延伸部43とを有する。ケーシング本体部42およびケーシング延伸部43は、互いに一体に形成されている。ケーシング本体部42は、ファンブレード35よりも一回り大きく形成され、ファンブレード35を収容している。ケーシング本体部42は、ファンブレード35の軸心方向から前記ファンブレード35に対向している(すなわち平面視にて互いに重なっている)。
ケーシング延伸部43は、前記排気口部41の開口方向(第1の方向D1)に対して直交する方向(以下、第2の方向D2)に沿って、ケーシング本体部42から延伸されている。
図2および図4に示すように、排気口部41は、上記第2の方向D2に沿ってファンケース36の水平方向の一端部から他端部に亘って形成され、比較的大きな開口を有する。すなわち排気口部41は、ケーシング本体部42からケーシング延伸部43に亘って開口している。換言すれば、排気口部41の開口を大きく取るために、ケーシング延伸部43がケーシング本体部42から延伸されている。
これにより、図4に示すように、排気口部41は、その開口方向から見たときに(すなわち図4中の矢印Aに沿って見たときに)、ファンブレード35に対向する第1の部分41aと、ファンブレード35に対向しない第2の部分41bとを含む。上記第1の部分41aは、排気口部41のうち、ケーシング本体部42に形成された部分である。上記第2の部分41bは、排気口部41のうち、ケーシング延伸部43に形成された部分である。
図2に示すように、ファンケース36は、上面部45、側面部46、および下面部47を有する。上面部45および下面部47は、ファンブレード35の上方または下方に配置され、ファンブレード35の軸心方向からファンブレード35に対向している。上面部45および下面部47は、それぞれ板状に形成され、水平方向に広がっている。上面部45および下面部47は、それぞれケーシング本体部42からケーシング延伸部43に亘って設けられている。上面部45および下面部47には、それぞれ吸気口部48が開口している。
図2および図3に示すように、側面部46は、上面部45の縁部と下面部47の縁部との間を鉛直方向に延びた起立壁である。図4に示すように、側面部46は、ファンブレード35の周囲のうち、吸気口部48を除く全周囲に設けられ、ファンブレード35をその遠心方向(すなわち、回転中心Cから見た遠心方向)から取り囲んでいる。側面部46は、第1の壁部46a、第2の壁部46b、および第3の壁部46cを有する。第1および第2の壁部46a,46bは、ケーシング本体部42に設けられている。第3の壁部46cは、ケーシング延伸部43に設けられている。
図4に示すように、第1の壁部46aは、ファンケース36のなかで、ファンブレード35に対して排気口部41とは反対側に位置している。第1の壁部46aは、ファンブレード35の回転外周に沿って曲線状に延びている。第2の壁部46bは、ファンケース36のなかで、ファンブレード35に対してケーシング延伸部43とは反対側に位置している。第2の壁部46bは、第1の壁部46aの端部から上記第1の方向D1に沿って排気口部41に向いて延びている。第2の壁部46bは、上記第2の方向D2に沿ってファンブレード35に対向している。
第3の壁部46cは、ファンケース36のなかで、ファンブレード35に対して第2の壁部46bとは反対側に位置している。第3の壁部46cは、第1の壁部46aの端部からケーシング延伸部43の外形に沿って延びている。第3の壁部46cは、例えば上記第1の方向D1に対してファンブレード35を離れる方に傾斜して延びている。そして、この第3の壁部46cの先端部、上記第2の壁部46bの先端部、上面部45の先端部、および下面部47の先端部により、上述した排気口部41が形成されている。
図4に示すように、第3の壁部46cは、ファンブレード35の側方に起立し、排気口部41が開口した方向とは直交する方向からファンブレード35に向かい合っている。第3の壁部46cは、「壁部」の一例である。第3の壁部46cは、上記第1の方向D1に沿って見たときに、排気口部41の第2の部分41bに対向している。
第3の壁部46cは、排気口部41の開口方向とは異なる方向(例えば上記第2の方向D2)に向けてファンブレード35から送られた風を、排気口部41に向けて案内する。第3の壁部46cとケーシング本体部42とは、ファンケース36で一体に形成されている。
図3および図4に示すように、ファンケース36には、回路基板22の一部が差し込み可能な切欠き部51が設けられている。切欠き部51は、第3の壁部46cに形成されている。切欠き部51は、例えば第3の壁部46cの一部を切り欠いたスリット部である。切欠き部51は、ファンブレード35の回転中心Cから見た遠心方向のなかで排気口部41が開口した方向とは異なる方向に開口している。
切欠き部51は、水平方向に延びている。切欠き部51は、ファンケース36のなかで、ファンブレード35に掛からない領域(平面視にて重ならない領域)に設けられている。切欠き部51は、排気口部41の開口方向から見たときに(すなわち図4中の矢印Aに沿って見たときに)、ファンブレード35とは重ならない領域に形成されている。
図4に示すように、回路基板22は、ケーシング本体部42の外形形状に沿った切欠き部22aを有するとともに、ケーシング延伸部43の外形形状に対応する切欠き部は有していない。図5および図6に示すように、回路基板22の一部は、ファンケース36の切欠き部51に差し込まれて、ファンケース36の内部に入り込んでいる。すなわち回路基板22の一部は、切欠き部51を通じてファンケース36の内部まで延びている。図7に示すように、回路基板22の先端部は、例えば排気口部41が形成された冷却ファン31の面と揃っている。
図6および図7に示すように、切欠き部51の厚さは、回路基板22の厚さよりも大きい。すなわち、回路基板22と切欠き部51との間には、隙間Sが形成されている。この隙間Sは、回路基板22および冷却ファン31の部品公差を吸収する。
図5に示すように、放熱部材32は、冷却ファン31と筐体5の排気孔部21との間に配置されている。放熱部材32は、上記第2の方向D2に沿って延びており、冷却ファン31の排気口部41の略全幅に亘り、排気口部41に対向している。すなわち放熱部材32は、排気口部41の第1の部分41aから第2の部分41bに亘って対向している。
熱輸送部材33の一例は、ヒートパイプである。熱輸送部材33は、受熱端部33aと放熱端部33bとを有する。受熱端部33aは、受熱部材24を介して発熱部品23に熱接続されている。放熱端部33bは、放熱部材32に熱接続されている。熱輸送部材33は、受熱端部33aで受熱した熱の一部を放熱端部33bまで移動させる。
次に、ポータブルコンピュータ1の作用について説明する。
ポータブルコンピュータ1を使用すると、発熱部品23が発熱する。この熱は、熱輸送部材33により放熱部材32に伝えられる。
ファンブレード35が回転駆動されると、冷却ファン31は、吸気口部48を通じて筐体5内から空気を吸い込むとともに、その吸い込んだ空気を排気口部41から吐出する。詳しく述べると、ファンブレード35から上記第1の方向D1に向けて送られた空気の多くは、そのまま排気口部41の第1の部分41aから放熱部材32に向けて吐出される。ファンブレード35から上記第2の方向D2に向けて送られた空気の多くは、第3の壁部46cにぶつかって排気口部41に向かう風の向きに変わり、第3の壁部46cに案内されて排気口部41の第2の部分41bから放熱部材32に向けて吐出される。
このような構成のポータブルコンピュータ1によれば、回路基板22の面積(基板面積)を小さくすることなく、冷却構造25の冷却性能を向上させることができる。すなわち、冷却ファン31のファンケース36に切欠き部51を形成し、回路基板22の一部が前記切欠き部51を通じてファンケース36の内部まで入り込む構造を採用することで、比較的大型のファンケース36を有し、大きな排気口部41を確保した冷却ファン31を採用しても、回路基板22の面積を小さくしなくてすむ。これにより、回路基板22の面積を小さくすることなく、冷却構造25の冷却性能を向上させることができる。
換言すれば、ファンケース36に切欠き部51を設けるとともに、この切欠き部51を通じて回路基板22の一部をファンケース36の内部にまで延ばすことで、回路基板22の面積に影響を与えずに冷却ファン31の排気口部41を広げることができる。これにより、同じ羽形状を有した通常の冷却ファンと比較した場合に、本実施形態に係る冷却ファンはファン風量を増加させることができる。
冷却ファン31のファン風量を増やすためには、互いに異なる方向に向いた2つの排気口部を有する、いわゆる2方向排気の冷却ファンを採用することも考えられる。しかしながら、筐体5の後端部には例えばバッテリーなどが搭載されるため、後壁部7dに排気孔部21を設けることは難しい。また、筐体5の前壁部7aは、ユーザーに向かい合う壁部であるため排気孔部21を設けることは好ましくない。そのため、2方向排気の冷却ファンは実装しづらい。
一方、本実施形態のように、ファンケース36の排気口部41が、一つの方向に向いて開口するとともに、ファンブレード35の側方に起立して排気口部41に向けて風を案内する壁部(第3の壁部46c)を有すると、一方向に向く排気口部41を備えた冷却ファン31において排気口部41を広くすることができる。そして、前記壁部に切欠き部51を形成することで、回路基板22の面積を小さくしないですむ。
ケーシング本体部42と前記壁部とがファンケース36で一体に形成されていると、本実施形態の冷却構造25を比較的簡単に組み立てることができる。
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態に係る電子機器としてのポータブルコンピュータ1について、図8を参照して説明する。なお上記第1の実施形態の構成と同一または類似の機能を有する構成は、同一の符号を付してその説明を省略する。また、下記に説明する以外の構成は、上記第1の実施形態と同じである。
図8に示すように、本実施形態に係るファンケース36の第3の壁部46cは、このファンケース36の外側に向いて膨らむように曲線状に延びた部分を有する。これにより、本実施形態に係るファンケース36は、例えば第1の実施形態のファンケース36に比べて、ファンケース36内の面積が大きい。なお、第3の壁部46cの形状は、上記形状に限定されるものではなく、例えば回路基板22に実装された電子部品を避ける形状でもよい。また第3の壁部46cの形状は、例えば第1の実施形態の第3の壁部46cの形状と同じでもよい。
回路基板22には、第1の発熱部品23と、第2の発熱部品61とが実装されている。第1の発熱部品23は、上記第1の実施形態で説明した発熱部品23に相当する。第2の発熱部品61は、第1の発熱部品23に比べて発熱量が小さい部品である。第2の発熱部品61の一例は、電源部品である。
回路基板22は、冷却ファン31と組み合わされたときに、ファンケース36の外部に位置する第1の基板領域62と、ファンケース36の内部に入り込んだ第2の基板領域63とを有する。第1の発熱部品23は、第1の基板領域62に実装されている。第2の発熱部品61は、第2の基板領域63に実装されており、ファンケース36の内部に位置する。
このような構成にポータブルコンピュータ1によれば、上記第1の実施形態と同様に、回路基板22の面積を小さくすることなく、冷却構造25の冷却性能を向上させることができる。さらに回路基板22の第2の基板領域63に第2の発熱部品61が実装されていると、この第2の発熱部品61は、ファンケース36の内部でファンブレード35から直接に風を受けて冷却される。これにより、RHE(Remote Heat Exchanger)タイプの冷却構造を採用するまでの必要はないがある程度の冷却が好ましい発熱部品23を冷却ファン31で冷却することができる。これにより、冷却構造25の冷却性能がさらに向上している。
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態に係る電子機器としてのポータブルコンピュータ1について、図9を参照して説明する。なお上記第1および第2の実施形態の構成と同一または類似の機能を有する構成は、同一の符号を付してその説明を省略する。また、下記に説明する以外の構成は、上記第2の実施形態と同じである。
図9に示すように、回路基板22の第2の基板領域63には、複数の第2の発熱部品61が実装されている。複数の第2の発熱部品61は、互いに同じ種類の部品でもよく、異なる種類の部品でもよい。
複数の第2の発熱部品61の間には、風の向きに沿って延びる仕切り部材65が設置されている。この仕切り部材65によって、ファンケース36の内部空間がいくつかの通気路66a,66b,66cに区切られている。そして各通気路66a,66b,66cに第2の発熱部品61が配置されている。ファンブレード35から送られて各通気路66a,66b,66cを通過した風は、各第2の発熱部品61が配置された位置よりも風の流れの下流側となる位置で互いに合流する。
このような構成のポータブルコンピュータ1によれば、上記第1および第2の実施形態と同様に、回路基板22の面積を小さくすることなく、冷却構造25の冷却性能を向上させることができる。
さらに仕切り部材65が設けられていると、一つの第2の発熱部品61の近くを通過して温められた空気がさらに他の第2の発熱部品61の近くを通過することがなく、各発熱部品23の周りに比較的冷たい空気を供給することができる。これにより、冷却構造25の冷却性能がさらに向上する。
(第4の実施形態)
次に、第4の実施形態に係る電子機器としてのポータブルコンピュータ1について、図10を参照して説明する。なお上記第1および第2の実施形態の構成と同一または類似の機能を有する構成は、同一の符号を付してその説明を省略する。また、下記に説明する以外の構成は、上記第2の実施形態と同じである。
ファンケース36の切欠き部51の少なくとも一部は、回路基板22の厚さと熱輸送部材33の厚さとを合計した厚さよりも大きく開口している。熱輸送部材33は、回路基板22に向かい合いながら延びている。熱輸送部材33の一部は、回路基板22の第2の基板領域63に向かい合うとともに、回路基板22と重なった状態で、切欠き部51からファンケース36の内部に入り込んでいる。この熱輸送部材33の一部は、ファンケース36の内部を延びるとともに、例えばファンケース36の排気口部41を通じてファンケース36の外部へと延びている。
このような構成にポータブルコンピュータ1によれば、上記第1の実施形態と同様に、回路基板22の面積を小さくすることなく、冷却構造25の冷却性能を向上させることができる。さらに熱輸送部材33がファンケース36の内部に入り込んで延びていると、この熱輸送部材33の一部は、ファンケース36の内部でファンブレード35から直接に風を受けて冷却される。これにより、冷却構造25の冷却性能がさらに向上している。
(第5の実施形態)
次に、第5の実施形態に係る電子機器としてのポータブルコンピュータ1について、図11を参照して説明する。なお上記第1の実施形態の構成と同一または類似の機能を有する構成は、同一の符号を付してその説明を省略する。また、下記に説明する以外の構成は、上記第1の実施形態と同じである。
図11に示すように、ファンケース36は、ケーシング本体部42、第1のケーシング延伸部43、および第2のケーシング延伸部71を備えている。第1のケーシング延伸部43は、上記第1の実施形態に係るケーシング延伸部43に相当するものである。本実施形態では、ケーシング本体部42に対して第1のケーシング延伸部とは反対側に延伸した第2のケーシング延伸部71を備えている。
第2の壁部46bは、第1の壁部46aの端部から第2のケーシング延伸部71の外形に沿って延びている。第2の壁部46bは、例えば上記第1の方向D1に対してファンブレード35を離れる方に傾斜して延びている。排気口部41は、第1のケーシング延伸部43から第2のケーシング延伸部71に亘って形成されている。
切欠き部51は、第2の壁部46bおよび第3の壁部46cにそれぞれ設けられている。回路基板22の一部は、第2の壁部46bに形成された切欠き部51、および第3の壁部46cに形成された切欠き部51にそれぞれ差し込まれ、ファンケース36の内部に入り込んでいる。
このような構成にポータブルコンピュータ1によれば、上記第1の実施形態と同様に、回路基板22の面積を小さくすることなく、冷却構造25の冷却性能を向上させることができる。ファンケース36がケーシング本体部42の両側に延伸されていると、排気口部41をより広く確保することができる。これにより、冷却構造25の冷却性能がさらに向上する。
(第6の実施形態)
次に、第6の実施形態に係る電子機器としてのポータブルコンピュータ1について、図12および図13を参照して説明する。なお上記第1の実施形態の構成と同一または類似の機能を有する構成は、同一の符号を付してその説明を省略する。また、下記に説明する以外の構成は、上記第1の実施形態と同じである。
図12に示すように、本実施形態に係る冷却構造25は、回路基板22と切欠き部51との間の隙間Sを塞ぐ隙間封止部材75を備えている。図11に示すように、隙間封止部材75は、切欠き部51の長手方向(水平方向)に沿って、切欠き部51の略全長に亘って設けられている。図13に示すように、隙間封止部材75は、回路基板22とファンケース36との間に介在している。
隙間封止部材75は、例えば弾性を有した材料で形成されており、緩衝部材として機能する。隙間封止部材75は、例えばスポンジ等で形成されている。隙間封止部材75は、ファンケース36や回路基板22の部品公差に追従して変形した状態で、回路基板22とファンケース36との間に収まる。隙間封止部材75は、切欠き部51の開口形状に凹凸がある場合は、その凹凸に追従した形状で回路基板22とファンケース36との間に収まる。
このような構成のポータブルコンピュータ1によれば、上記第1の実施形態と同様に、回路基板22の面積を小さくすることなく、冷却構造25の冷却性能を向上させることができる。
回路基板22と切欠き部51との間の隙間Sを塞ぐ隙間封止部材75を備えると、この隙間Sからの風の漏れが抑制されるので、冷却構造25の冷却性能が向上する。例えば、ファンケース36の内部に入り込む回路基板22の領域に、表面実装部品76等が実装されている場合、ファンケース36の切欠き部51は、上記表面実装部品76の高さを考慮した比較的厚い隙間を有するため、切欠き量が多くなる。このような場合に隙間封止部材75を設けると、特に有用である。
図14は、隙間封止部材75の変形例の一例を示す。隙間封止部材75は、上述したような回路基板22とファンケース36との間に介在されるものに限らず、本変形例のように、ファンケース36の外側から回路基板22と切欠き部51との間の隙間Sに対向し、この隙間Sを塞ぐものでもよい。
(第7の実施形態)
次に、第7の実施形態に係る電子機器としてのポータブルコンピュータ1について、図15ないし図18を参照して説明する。なお上記第1の実施形態の構成と同一または類似の機能を有する構成は、同一の符号を付してその説明を省略する。また、下記に説明する以外の構成は、上記第1の実施形態と同じである。
図16に示すように、本実施形態に係る冷却構造25は、冷却ファン31、放熱部材32、熱輸送部材33、および第1および第2の遮風部材81,82を備えている。なお本実施形態では、冷却ファン31のファンケース36と第1および第2の遮風部材81,82とが協働して、ケーシング部83を形成している。
図15に示すように、本実施形態に係る冷却ファン31は、2方向排気の冷却ファンである。ファンケース36は、ファンブレード35よりも一回り大きく形成され、ファンブレード35を収容している。本実施形態に係るファンケース36は、ケーシング本体部42であり、ファンブレード35の軸心方向からファンブレード35に対向する。
ファンケース36は、第1および第2の吐出口部84,85を有している。第1および第2の吐出口部84,85は、互いに直交する方向に開口している。図16に示すように、第1の吐出口部84は、上記第1の方向D1に向いており、筐体5の排気孔部21に向かい合っている。第2の吐出口部85は、上記第2の方向D2に向いている。
図16に示すように、回路基板22は、ファンケース36の第2の吐出口部85に隣り合っている。回路基板22は、ファンケース36の外形形状に沿った切欠き部22aを有し、平面視にてファンケース36に重なっていない。
図16および図17に示すように、本実施形態に係る冷却構造25は、第1および第2の遮風部材81,82を例えば2つずつ備えている。第1および第2の遮風部材81,82は、それぞれ板状に形成された壁部である。第1および第2の遮風部材81,82は、弾性を有する材料、例えばスポンジ等で形成されている。
第1の遮風部材81は、回路基板22の面に垂直な方向から回路基板22に対向している。2つの第1の遮風部材81は、例えば回路基板22の上下に分かれて配置されている。図16に示すように、第1の遮風部材81は、ファンケース36から離れた位置で、ファンブレード35の回転中心Cから見た遠心方向(例えば第2の方向D2)にてファンケース36の第2の吐出口部85に対向している。
図16に示すように、第1の遮風部材81は、それぞれ長手方向の端部である第1および第2の端部81a,81bを有する。第1の端部81aは、第1および第2の端部81a,81bのうち、筐体5のより内側に位置する端部である。第1の端部81aは、ファンケース36の近傍に位置する。第2の端部81bは、第1の端部81aとは反対側の端部であり、第1の端部81aに比べて筐体5の排気孔部21の近くに位置する。第1の遮風部材81は、第1の端部81aから第2の端部81bに向けて進むに従いファンケース36から離れるように、ファンケース36に対して傾斜して配置されている。
図18に示すように、第1の遮風部材81は、回路基板22と筐体5の内面5aとの間に介在され、その長手方向の全長に亘り回路基板22と筐体5の内面5aとの間の隙間を塞いでいる。詳しく述べると、一方の第1の遮風部材81は、回路基板22と筐体5の上壁6(筐体カバー14)との間に設けられている。他方の第1の遮風部材81は、回路基板22と筐体5の下壁8(筐体ベース)との間に設けられている。
図16ないし図18に示すように、本実施形態では、第1の遮風部材81の第2の端部81bの先端部と、第2の壁部46bの先端部との間に、ケーシング部83の排気口部41が形成されている。排気口部41は、一つの方向(上記第1の方向D1)に向いている。
本実施形態の2つの第1の遮風部材81は、互いに協働して、「壁部」の一例を形成する。第1の遮風部材81は、ファンブレードの側方に起立し、排気口部41が開口した方向とは直交する方向からファンブレード35に向かい合っている。すなわち本実施形態では、ファンケース36とは別部材である第1の遮風部材81によって、「壁部」が形成されている。
第1の遮風部材81は、上記第1の方向に沿って、筐体5の排気孔部21に対向している。第1の遮風部材81は、ファンケース36の第2の吐出口部85から吐出された風の向きを、筐体5の排気孔部21に向くように変える。すなわち、ファンケース36の第2の吐出口部85から吐出された風が、第1の方向D1に向いて開口した排気口部41から吐出されるように案内する。
図18に示すように、2つの第1の遮風部材81の間には、回路基板22を介在させるための隙間Sを有する。換言すれば、2つの第1の遮風部材81は、一つの大きな壁部を形成するとともに、この壁部には回路基板22が差し込み可能な切欠き部51が形成されている。
回路基板22の一部は、この切欠き部51を通じて、ケーシング部83の内部まで延びている。つまり、回路基板22は、ファンケース36に対して第1の遮風部材81よりも離れた位置から、ファンケース36に向いて第1の遮風部材81を超えて延びている。
図16ないし図18に示すように、複数の第2の遮風部材82は、冷却ファン31と筐体5の内面5aとの間に介在されている。詳しく述べると、一方の第2の遮風部材82は、ファンケース36と筐体5の上壁6(筐体カバー14)との間に設けられている。他方の第2の遮風部材82は、ファンケース36と筐体5の下壁8(筐体ベース)との間に設けられている。第1および第2の遮風部材81,82は、互いに協働して、第2の吐出口部85から吐出された空気が冷却ファン31の吸気口部48に向かわないようにするための通気路を形成している。
このような構成のポータブルコンピュータ1によれば、上記第1の実施形態と同様に、回路基板22の面積を小さくすることなく、冷却構造25の冷却性能を向上させることができる。
ファンケース36とは別部材である第1の遮風部材81により、排気口部41の開口方向とは異なる方向に送られた風を排気口部41に向けさせる通気路が形成されると、従来の2方向排気の冷却ファンを利用しつつ、上述の実施形態と同様の構造を実現することができる。
(第8の実施形態)
次に、第8の実施形態に係る電子機器としてのポータブルコンピュータ1について、図19を参照して説明する。なお上記第1および第7の実施形態の構成と同一または類似の機能を有する構成は、同一の符号を付してその説明を省略する。また、下記に説明する以外の構成は、上記第7の実施形態と同じである。
本実施形態に係る筐体5は、第1および第2の突起部91,92を有する。第1の突起部91は、上壁6および下壁8にそれぞれ設けられており、筐体5内に突出している。第1の突起部91は、上記第7の実施形態の第1の遮風部材81と同じ形状および機能を有する。すなわち、第1の突起部91は、排気口部41の開口方向とは直交する方向においてファンブレード35の側方に起立しており、「壁部」の一例を形成している。
第2の突起部92は、上壁6および下壁8にそれぞれ設けられており、筐体5内に突出している。第2の突起部92は、上記第7の実施形態の第2の遮風部材82と同じ形状および機能を有する。
このような構成のポータブルコンピュータ1によれば、上記第1の実施形態と同様に、回路基板22の面積を小さくすることなく、冷却構造25の冷却性能を向上させることができる。
(第9の実施形態)
次に、第9の実施形態に係る電子機器としてのポータブルコンピュータ1について、図20ないし図22を参照して説明する。なお上記第1の実施形態の構成と同一または類似の機能を有する構成は、同一の符号を付してその説明を省略する。また、下記に説明する以外の構成は、上記第1の実施形態と同じである。
放熱部材32は、第1の部分32aと、第2の部分32bとを有する。第2の部分32bは、上記第1の方向D1に沿って、切欠き部51が設けられたファンケース36の壁部46cに対向している。第1の部分32aは、第2の部分32bを除く放熱部材32の残りの部分である。
図22に示すように、第2の部分32bには、回路基板22の一部が差し込み可能な切欠き部101が設けられている。詳しく述べると、放熱部材32の第2の部分32bは、切欠き部101となる領域の上側および下側にフィン102が並べられている。図21に示すように、放熱部材32の切欠き部101は、ファンケース36の切欠き部51に対向した位置に形成されている。一方、放熱部材32の第1の部分32aには、切欠き部は設けられていない。
図20ないし図22に示すように、回路基板22の一部は、放熱部材32の切欠き部101に挿入され、放熱部材32内に延びている。
このような構成のポータブルコンピュータ1によれば、上記第1の実施形態と同様に、回路基板22の面積を小さくすることなく、冷却構造25の冷却性能を向上させることができる。さらに、放熱部材32が切欠き部101を有し、回路基板22の一部が放熱部材32内まで延びていると、回路基板22の面積をより大きく確保することができる。
以上、第1ないし第9の実施形態に係るポータブルコンピュータ1について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。第1ないし第9の実施形態に係る各構成要素は、適宜組み合わせて用いることができる。また、この発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。
例えば、第5ないし第9の実施形態において、第2の実施形態と同様に、ケーシング部内部に挿入される回路基板の領域に発熱部品を実装してもよく、また第3の実施形態と同様に、仕切り部材を設けてもよい。第5ないし第9の実施形態において、第4の実施形態と同様に、熱輸送部材をケーシング部内に延ばしてもよい。第7ないし第9の実施形態において、第5の実施形態と同様に、第2のケーシング延伸部を設けてもよい。第2ないし第9の実施形態において、第6の実施形態と同様に、隙間封止部材を設けてもよい。第7および第8の実施形態において、第9の実施形態と同様に、放熱部材に切欠き部を設けてもよい。
以下に、いくつかの電子機器を付記する。
[1](i)排気孔部が設けられた筐体と、(ii)ファンブレードを収容するとともに、前記排気孔部に向かう第1の方向に開口した排気口部と、前記第1の方向とは直交する第2の方向において前記ファンブレードの隣に位置した壁部と、この壁部に設けられた切欠き部とを有したケーシング部と、(iii)前記切欠き部に差し込まれ、前記ケーシング部の内部から前記第1の方向において前記排気口部の一部に面するとともに、前記ケーシング部の内部で前記第2の方向において前記ファンブレードの隣に位置した部分を有した回路基板とを具備した電子機器。
[2]、[1]の記載において、前記ケーシング部は、前記ファンブレードを収容したケーシング本体部と、前記ケーシング本体部から前記第2の方向に膨らむとともに前記ケーシング本体部と内部が連通したケーシング延伸部とを有し、前記排気口部は、前記ケーシング本体部から前記ケーシング延伸部に亘って開口し、前記切欠き部は、前記ケーシング延伸部に設けられ、前記回路基板は、前記ケーシング延伸部の内部に差し込まれた電子機器。
[3]、[1]の記載において、前記壁部の少なくとも一部は、前記第1の方向に進むに従い前記ファンブレードから遠ざかるように膨らみ、前記切欠き部の一部は、前記壁部の膨らんだ部分に設けられ、前記回路基板は、前記壁部の膨らんだ部分に差し込まれた電子機器。
[4]、[1]の記載において、前記ケーシング部は、前記第2の方向に長手方向を有し、前記排気口部は、前記長手方向において前記ケーシング部の一端部から他端部に亘って開口し、前記ファンブレードは、前記ケーシング部の中心に対して前記長手方向に偏心し、前記回路基板は、前記ファンブレードの偏心方向とは反対側となる前記ケーシング部の端部に差し込まれた電子機器。
[5]、[1]の記載において、前記切欠き部は、前記排気口部に連通した電子機器。
[6]、[2]の記載において、前記ケーシング部は、前記ケーシング本体部と前記壁部とが一体となったファンケースで形成された電子機器。
[7]、[1]の記載において、前記ケーシング部は、前記ファンブレードを収容したファンケースを有し、前記壁部は、前記回路基板と前記筐体の内面との間に介在された遮風部材で形成された電子機器。
[8]、[1]の記載において、前記ケーシング部は、前記ファンブレードを収容したファンケースを有し、前記壁部は、前記回路基板に向いて突出した前記筐体の一部で形成された電子機器。
[9]、(i)ファンブレードと、(ii)前記ファンブレードを収容するとともに、筐体の排気孔部に向かう第1の方向に開口した排気口部と、前記第1の方向とは直交する第2の方向において前記ファンブレードの隣に位置した壁部と、この壁部に設けられた切欠き部とを有し、前記切欠き部に差し込まれた回路基板の一部が前記第1の方向において前記排気口部の一部に面するとともに、前記第2の方向において前記ファンブレードの隣に位置するファンケースとを具備した冷却ファン。
[10]、[9]の記載において、
前記ケーシング部は、前記ファンブレードを収容したケーシング本体部と、前記ケーシング本体部から前記第2の方向に膨らむとともに前記ケーシング本体部と内部が連通したケーシング延伸部とを有し、前記排気口部は、前記ケーシング本体部から前記ケーシング延伸部に亘って開口し、前記切欠き部は、前記ケーシング延伸部に設けられた冷却ファン。