JP4817430B2 - ショックアブソーバ - Google Patents

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Description

本発明は、自動車等の車両のサスペンション装置に取付けられるショックアブソーバに係わり、詳しくは、ピストンロッドの先端側に車体側サポートを取付けるための取付構造の改良に関する。
一般に、ピストンロッドの先端側にこのピストンロッドに対して相対回転可能となる軸受部材を備えた車体側サポートを取付け、この車体側サポートと、シリンダの外周に取付けたスプリングシートとの間にコイルスプリングを介装したショックアブソーバとしては、特許文献1に示すものを例示することができる。
このショックアブソーバは、図4に示すように、ピストンロッド21の先端側にこのピストンロッド21に対して相対回転可能となる軸受部材20を備えた車体側サポートとしてのマウント部材22を挿入し、このマウント部材22より上記先端側となるピストンロッド21にナット23を螺合することで、マウント部材22をピストンロッド21の上方へ移動不能とすると共に、マウント部材22よりシリンダ27側となるピストンロッド21に設けられたスプリング受け部材24と、上記シリンダ27の外周に取付けた下側スプリングシートとしてのフランジ部材25との間に上記コイルスプリング26が圧縮状態で介装されている。
特開2002−323083号公報(図1,図2)
上記のように構成されたショックアブソーバにおいては、その組立てに際し、以下に示す課題の発生が考えられる場合がある。
始めに、このショックアブソーバの組立工程を説明すると、先ず、シリンダ27の外側にコイルスプリング25を配置し、その下端をシリンダ27の外周に設けたフランジ部材25に載置する。
その後、上記スプリング受け部材24及びマウント部材22をピストンロッド21に挿入し、これらの上部からナット23を螺合し、これらの部材24,22をピストンロッド21の上方へ移動不能とすると共に、上記スプリング受け部材24と、フランジ部材15との間にコイルスプリング26を圧縮状態で装着する。
このピストンロッド21にナット23を螺合する工程では、ピストンロッド21を固定しておかないと、ナット23を強固に締め込めないので、ピストンロッド21を直接又はマウント部材22を介して回転不能に固定する作業が必要となる。
このとき、マウント部材22は、上記のようにピストンロッド21に対して相対回転するので、このマウント部材22を固定してもピストンロッド21を固定することはできない。
従って、一端、ピストンロッド21の先端部が露出する程度にナット23を軽く締め込んだ後、この露出した先端部を把持して固定する方法と、マウント部材22よりシリンダ27側となるピストンロッド21を直接把持して固定する方法のいずれかを採用することで、ピストンロッド21にナット23を強固に締め込んでマウント部材を移動不能に固定している。
上記ピストンロッド21の先端部を把持する方法は、ナット23をピストンロッド21に強固に締め込む作業の前に、ピストンロッド21の先端部が露出する程度にナット23を軽く締め込むと言う余分な作業が必要となるので、作業効率が悪いと共に、ピストンロッド21内に減衰力調整用のコントロールロッドが挿入されていてピストンロッド21の肉厚に余裕のない場合には、把持力によってはピストンロッド21に形成されたねじ部が変形してナット23が外れなくなり、ショックアブソーバ自体を分解することが出来なくなる可能性がある。
そこで、コイルスプリング26のコイル部間から把持具を挿入してピストンロッド21を直接把持することで、上記ピストンロッド21を固定する方法が一般に行われる。
ところが、マウント部材22よりシリンダ27側となるピストンロッド21を直接把持する方法では、この把持時にピストンロッド21に傷付きが生じないように把持具に工夫を凝らしたり、ピストンロッド21自体の硬度を上げたりする必要があり、設計及び製造コストが嵩むと言う問題がある。
そこで、本発明の目的は、簡単な方法で強固にナットを締め込むことができてピストンロッドの先端側に車体側サポートを確実に取付けられる取付構造を備えたショックアブソーバを提供することである。
上記の目的を達成するため、本発明の手段は、シリンダから出没するピストンロッドの先端側にこのピストンロッドに対して相対回転可能となる軸受部材を備えた車体側サポートを挿入し、この車体側サポートより上記先端側となるピストンロッドにナットを螺合することで車体側サポートがピストンロッドの上方へ移動するのを防止すると共に、この車体側サポート又はこの車体側サポートに設けた上側スプリングシートと、上記シリンダの外周に取付けた下側スプリングシートとの間にコイルスプリングを介装したショックアブソーバにおいて、ピストンロッドの車体側サポートよりシリンダ側にこのピストンロッドよりも大径の固定部材をピストンロッドに対して相対回転不能に取付けると共に、この固定部材にコイルスプリングの外側から挿入した六角レンチの先端を嵌合する断面六角形状の係合孔を設けたことを特徴とするものである。
この場合、上記固定部材は円盤状に形成され、その外周側の一部に上記係合孔を一箇所設けるのが好ましい。
同じく、上記六角レンチがL字状に成形されており、上記係合孔が上下方向に向けて貫通して成形されていても良い。
同じく、上記ピストンロッドの先端部に縮径状の取付部を設け、この取付部に挿入した車体側サポートが上記ナットを螺合することで上記取付部の基端側段差部との間で上下動不能に固定されているのが好ましい。
さらに、上記ピストンロッドの先端部に縮径状の取付部を設け、この取付部に断面D字状の嵌合部を設けると共に、上記固定部材にこの取付部を挿入可能とする固定部材側取付孔を設けると共に、この取付孔を上記嵌合部と同一の断面D字状とすることで、固定部材をピストンロッドに対して相対回転不能に取付けても良い。




各請求項の発明によれば、ナットの螺合により車体側サポートをピストンロッドに取付ける際、コイルスプリングのコイル部間から固定具として六角レンチを挿入して固定部材に設けた係合孔に嵌合させ、その六角レンチを手又は治具で保持すれば、ピストンロッドが相対回転不能に固定される。
この状態で、ナットを螺合すれば、このナットをピストンロッドに強固に締め込むことができるので、ピストンロッドに対して確実に車体側サポートを取付けることができる。
従って、簡単な方法で強固にナットを締め込むことができてピストンロッドに対して確実に車体側サポートを取付けることができるばかりでなく、ショックアブソーバの組立作業が大変し易くて作業時間も短縮できる。
以下に、本発明を自動車のサスペンション装置に使用する単筒型ショックアブソーバに具体化した一実施の形態を図に基づいて説明する。
本実施の形態のショックアブソーバ1は、図2に示すように、シリンダ2から出没するピストンロッド3の先端側にこのピストンロッド3に対して相対回転可能となる軸受部材を備えた車体側サポート4を挿入し、この車体側サポート4より上記先端側となるピストンロッド3にナット6を螺合することで車体側サポート4をピストンロッド3に対して上下動不能に固定すると共に、この車体側サポート4と、上記シリンダ2の外周に取付けた下側スプリングシート8との間にコイルスプリング9を介装し、ピストンロッド3の車体側サポート4よりシリンダ2側にこのピストンロッド3よりも大径となる本発明の固定部材10をピストンロッド3に対して相対回転不能に取付けると共に、この固定部材10にコイルスプリング9の外側から挿入した固定具たる六角レンチ11の先端が係合する断面六角形状の係合部たる係合孔12を設けている。


以下、詳細に説明すると、ピストンロッド3は、その内部に図示しないコントロールロッドが配置される筒状に形成されており、その先端側には縮径された取付部14が形成されている。
上記取付部14には上記固定部材10、車体側サポート4及びナット6が順に挿入されており、この取付部14の固定部材10が挿入される部分には断面D字状の嵌合部14aが形成されると共に、上記ナット6が螺合する先端部分にはねじ部14bが形成されている。
従って、上記ねじ部14bにナット6が螺合されることで、これら固定部材10及び車体側サポート4が取付部14の基端側端部14cとの間で上下動不能に固定されるようになっている。
車体サポート4は、中央に軸受部材としての自動調芯軸受機能を備えたピロー5が取付けられた円盤状に形成されており、このピロー5の中央部に設けられたピロー側取付孔5aを介して上記ピストンロッド3の取付部14に挿入されている。
又、車体側サポート4の上面外周側にはショックアブソーバ1を車体側へ取付けるための取付ボルト4aが設けられ、同じく下面外周側には上記コイルスプリング9の上端を位置決め載置するための位置決め溝4bが一体的に形成されている。
上記固定部材10は、ピストンロッド3よりも大径で上記位置決め溝4bよりも小径な円盤状に形成されており、その中央部に穿設された固定部材側取付孔10aを介して上記ピストンロッド3の取付部14に挿入されている。
上記固定部材側取付孔10aは、図3に示すように、上記取付部14の嵌合部14aと同一の断面D字状に形成されており、この取付孔10aに嵌合部14aを挿入すると、ピストンロッド3に対して固定部材10が相対回転不能に嵌合されるようになっている。
又、固定部材10は、その外周側の一箇所に固定具としての六角レンチ11が係合される係合部としての係合孔12が上下方向に向かって穿孔されており、図1に示すように、上記コイルスプリング9のコイル部間から挿入した六角レンチ11を係合して保持することで上記ピストンロッド3を相対回転不能に固定できるようになっている。
上記シリンダ2は、その下部外周にシリンダ側ねじ部(図示なし)が形成されており、このねじ部に上記下側スプリングシート8及びロックシート16が上下動可能に螺合されている。
尚、上記固定部材10の下部となるピストンロッド3にはバンプクッション17が嵌合されている。
このように構成されたショックアブソーバ1を組立てるには、先ず、シリンダ2の外側にコイルスプリング9を配置し、その下端をシリンダ2の外周に設けた下側スプリングシート8に載置する。
次いで、予めバンプクッション17が嵌合されたピストンロッド3の取付部14に固定部材10および車体側サポート4を順に挿入し、これらの上部からナット6を螺合する。
このとき、ナット6の螺合により固定部材10及び車体側サポート4を取付部14の基端部14cとの間に確実に固定するには、上記ピストンロッド3を相対回転不能に固定した状態でナット6をねじ部14aに対して強固に締め込む必要がある。
そこで、図1に示すように、上記コイルスプリング9のコイル部間からL字状に折り曲げられた六角レンチ11を挿入し、その先端を上記係合孔12に挿入して係合させ、基端をコイルスプリング9から外側へ突出させる。
その後、この六角レンチ11の突出部分を手又は治具で保持すれば、ピストンロッド3が相対回転不能に固定される。
この状態で、取付部14のねじ部14aに対して上記ナット6を螺合すれば、このナット6をねじ部14aに強固に締め込むことができてピストンロッド3に車体側サポート4及び固定部材10を確実に取付けることができる。
上記締め込み作業が終了した後、上記六角レンチ11を係合孔12から取り外せば、上記ショックアブソーバ1の組立作業が終了する。
このように、本実施の形態では、ナット6の締め込み時、簡単な方法で強固にナット6を締め込むことができてピストンロッド3に対して確実に車体側サポート4及び固定部材10を取付けることができるばかりでなく、ショックアブソーバ1の組立作業が大変し易くて作業時間も短縮できる。
又、固定部材10をピストンロッド3よりも大径とし、しかも、係合孔12を固定部材10の外周側に設けたので、コイルスプリング9のコイル部間を通して六角レンチ11を挿入する作業が大変し易く、作業効率が良い。
特に、六角レンチ11をL字状に折り曲げたので、上記固定部材10の上下方向に設けた係合孔12への挿入作業がし易い。
又、従来のように、ピストンロッド3を直接把持する必要がないので、把持時にピストンロッド3に傷付きが生じたり、傷付き防止のためにピストンロッド3自体の硬度を上げたりする必要もない。
又、ナット6を緩めることで固定部材10をピストンロッド3から容易に外すことができるので、シリンダ2をオーバーホール等で分解する場合の作業性が大変良い。
又、車体側サポート4を取付けるための取付部14を利用して固定部材10を取付けるようにしたので、余分な加工を最小限に留めて安価に実施化できる。
尚、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、例えば、以下のように変更することも可能である。
1)本実施の形態では、上記車体側サポート4に直接コイルスプリング9が当接するようしたが、これに限定されるものではなく、車体側サポート4の下面に上側スプリングシートを設けてこの上側スプリングシートに上記コイルスプリング9が当接するようにしても良い。
この場合、上記固定部材10は車体側サポート4と、上側スプリングシートとの間に設けても、又、上側スプリングシートよりシリンダ2側となるピストンロッド3に設けても良い。
2)本実施の形態では、固定部材10として円盤状のものを使用したが、これに限定されるものではなく、三角、四角等の多角形状のものを使用しても良い。
又、大きさについても、本実施の形態では上記位置決め溝4bよりも小径としたが、これに限定されるものではなく、任意の大きさに設定することができる。
但し、固定部材10があまり小径だと固定具11を係合させ難いので作業性が悪く、又、あまり大径だとサスペンション作動時にコイルスプリング9との干渉が問題となるので、コイルスプリング9に干渉しない範囲で大径とすることが作業性の面からは良い。
又、固定部材10のピストンロッド3への取付構造も本実施例の断面D字状の嵌合部14aを使用する構造に限定されるものでなく、相対回転不能になる構造であれば、どんな構造を採用しても良い。
3)本実施の形態では、固定部材10に設けた係合部としての係合孔12を一箇所のみ設けたが、これに限定されるものではなく、複数個設けるようにしても良い。
こうすると、ショックアブソーバ1のどの方向からも固定部を入れて容易にピストンロッド3を固定することができる。
又、係合孔12を固定部材10の上下方向に対して設けたが、これに限定されるものではなく、固定部材10の外周端面に径方向に向かって設けても良い。
又、係合孔12に係合する係合部の形状も本実施例の六角レンチに限定されるものでなく、例えば、四角形,三角形,星形などのレンチを使用することが可能である。
4)本実施の形態では、単筒型のショックアブソーバに具体化したが、これに限定されるものではなく、複筒型のショックアブソーバに具体化しても良い。
本発明の一実施の形態を示し、単筒型ショックアブソーバの固定部材に固定具係合させた状態を示す一部破断正面図である。 図1の単筒型ショックアブソーバにおいて、固定部材から固定具を外した状態を示す一部破断正面図である。 固定部材を示す平面図である。 従来例を示し、単筒型ショックアブソーバの一部破断正面図である。
符号の説明
1 ショックアブソーバ
2 シリンダ
3 ピストンロッド
4 車体側サポート
5 ピロー(軸受部材)
6 ナット
8 下側スプリングシート
9 コイルスプリング
10 固定部材
10a 固定部材側取付孔
11 六角レンチ(固定具)
12 係合孔(係合部)
14 取付部
14a 嵌合部
14c 基端側段差部

Claims (5)

  1. シリンダから出没するピストンロッドの先端側にこのピストンロッドに対して相対回転可能となる軸受部材を備えた車体側サポートを挿入し、この車体側サポートより上記先端側となるピストンロッドにナットを螺合することで車体側サポートがピストンロッドの上方へ移動するのを防止すると共に、この車体側サポート又はこの車体側サポートに設けた上側スプリングシートと、上記シリンダの外周に取付けた下側スプリングシートとの間にコイルスプリングを介装したショックアブソーバにおいて、ピストンロッドの車体側サポートよりシリンダ側にこのピストンロッドよりも大径の固定部材をピストンロッドに対して相対回転不能に取付けると共に、この固定部材にコイルスプリングの外側から挿入した六角レンチの先端を嵌合する断面六角形状の係合孔を設けたことを特徴とするショックアブソーバ。
  2. 上記固定部材は円盤状に形成され、その外周側の一部に上記係合孔を一箇所設けた請求項1記載のショックアブソーバ。
  3. 上記六角レンチがL字状に成形されており、上記係合孔が上下方向に向けて貫通して成形されている請求項1又は2に記載のショックアブソーバ。
  4. 上記ピストンロッドの先端部に縮径状の取付部を設け、この取付部に挿入した車体側サポートが上記ナットを螺合することで上記取付部の基端側段差部との間で上下動不能に固定されている請求項1、2又は3に記載のショックアブソーバ。
  5. 上記ピストンロッドの先端部に縮径状の取付部を設け、この取付部に断面D字状の嵌合部を設けると共に、上記固定部材にこの取付部を挿入可能とする固定部材側取付孔を設けると共に、この取付孔を上記嵌合部と同一の断面D字状とすることで、固定部材をピストンロッドに対して相対回転不能に取付けた請求項1、2、3、又は4に記載のショックアブソーバ。
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