図1は、本発明を適用した情報処理システムの構成例を表している。この構成例においては、パーソナルコンピュータ1が、入力表示部2と、それに接続されている本体3を有している。入力表示部2には、所定の情報が表示されるとともに、図示せぬペン等をその上で操作することで、所定の情報を入力することができるようになされている。
また、入力表示部2には、ユーザは、必要に応じて、例えば、携帯電話機11を載置することで、携帯電話機11とパーソナルコンピュータ1との間でデータを授受することができるようになされている。
図2は、パーソナルコンピュータ1の構成例を表している。CPU(Central Processing Unit)21は、ROM(Read Only Memory)22、または記憶部26に記憶されているプログラムに従って、各種の処理を実行する。RAM23には、CPU21が実行するプログラムやデータ等が適宜記憶される。CPU21、ROM22、およびROM23は、バス24を介して相互に接続されている。バス24にはまた、入出力インタフェース25が接続されている。入出力インタフェース25には、入力表示部2の他、ハードディスク等で構成される記憶部26、例えば、電話回線を介して携帯電話機11と通信する通信部27が接続されている。
入力表示部2には、ユーザのペンの操作を検知する透明なタブレット31、並びにタブレット31の下側に配置され、文字、図形等の画像を表示するLCD32が設けられている。入力表示部2には、さらに、携帯電話機11が有するRFタグ72(図3)と通信するリーダライタ33が設けられている。
入出力インタフェース25には、さらに、ドライブ28が接続されており、このドライブ28には、磁気ディスク41、光ディスク42、光磁気ディスク43、または半導体メモリ44等が、適宜装着できるようになされている。これらの磁気ディスク41乃至半導体メモリ44より読み出されたプログラムは、ドライブ28から入出力インタフェース25を介して、記憶部26に供給される。
図3は、携帯電話機11の構成例を表している。CPU61乃至入出力インタフェース65は、図2のパーソナルコンピュータ1のCPU21乃至入出力インタフェース25と基本的に同様の機能を有するものであるので、その説明は省略する。
携帯電話機11においては、入出力インタフェース65に各種のボタンやスイッチ等により構成される入力部66が接続されているとともに、所定の情報を表示するためのLCD(Liquid Crystal Display)67が接続されている。入出力インタフェース65には、さらに、半導体メモリ等で構成される記憶部68と、電話回線を介して通信を行う通信部69が接続されている。
マイクロホン70は、ユーザの音声信号を取り込み、スピーカ71は、ユーザに対して音声信号を出力する。RFタグ72は、内部にICを有し、パーソナルコンピュータ1のリーダライタ33と通信し、内部に記憶している携帯電話機11の識別番号をリーダライタ33に送信する。また、RFタグ72は、リーダライタ33から供給されたデータを、内蔵するメモリに記憶する機能を有している。
次に図4と図5のフローチャートを参照して、パーソナルコンピュータ1と携帯電話機11の動作について説明する。ユーザは、携帯電話機11とパーソナルコンピュータ1との間において、データを授受する等の処理を行いたいと思うとき、携帯電話機11を入力表示部2の所定の位置(図1において、点線で示すリーダライタ33が配置されている位置)に載置する。また、ユーザは、携帯電話機11を必ずしも載置する必要はなく、入力表示部2の所定の位置に近接させ(近づけ)、リーダライタ33からの電磁波を携帯電話機11において受信できるようにすればよい。
リーダライタ33は、充分短い周期で定期的に電磁波を送信しており、携帯電話機11が入力表示部2上に(リーダライタ33の上に)載置されると、リーダライタ33と携帯電話機11のRFタグ72の電磁結合により、リーダライタ33が内蔵するアンテナの等価的なインピーダースが変化する。リーダライタ33は、図4のステップS1において、このインピーダースの変化をモニタすることで、携帯電話機11が載置、または近接されたか否かを判定し、載置等されるまで待機する。
携帯電話機11がリーダライタ33上に載置、または近接されたとき、リーダライタ33は、ステップS2において、携帯電話機11に対して、ネットワーク上のアドレスの送信を要求する。いまの場合、ネットワークは、公衆電話回線により構成されるので、リーダライタ33は、携帯電話機11の電話番号の送信を要求する。
この要求に基づいて、後述するように、携帯電話機11からネットワーク上のアドレス(電話番号)が送信されてくるので、ステップS3において、リーダライタ33は、携帯電話機11からネットワーク上のアドレスを受信するまで待機し、受信したとき、ステップS4に進み、受信した携帯電話機11のネットワーク上のアドレス(電話番号)をCPU21に供給する。CPU21は、この電話番号をRAM23に供給し、記憶させる。
次に、ステップS5において、CPU21は、通信部27を制御し、ステップS4で記憶された携帯電話機11のネットワーク上のアドレスにアクセスさせ、ネットワーク上のコネクションを確立させる。具体的には、通信部27からRAM23に記憶された電話番号に対する発呼動作が行われ、パーソナルコンピュータ1と携帯電話機11との間において、電話回線が閉結される。
その後、ステップS6において、パーソナルコンピュータ1は、ネットワークを介して携帯電話機11との間において、所定の処理を実行する。この処理の具体例については後述する。
一方、携帯電話機11のRFタグ72は、図5のステップS11において、パーソナルコンピュータ1のリーダライタ33からの電磁波を受信したか否かを判定する(パーソナルコンピュータ1の入力表示部2の上に載置、または近接されたか否かを判定する)。携帯電話機11が、入力表示部2の上に載置、または近接されたと判定された場合、ステップS12に進み、RFタグ72は、ネットワーク上のアドレスの送信が要求されるまで待機する。上述したように、パーソナルコンピュータ1のリーダライタ33は、ステップS2において、携帯電話機11に対してネットワーク上のアドレスの送信を要求してくるので、この送信の要求を受けたと判定された場合、ステップS13に進み、RFタグ72は、内部のメモリに記憶されている携帯電話機11のネットワーク上のアドレス(いまの場合、電話番号)を読み出し、リーダライタ33に送信する。
なお、ネットワーク上のアドレスは、ROM62や、記憶部68に記憶させておくこともできる。この場合、CPU61によりそれらから読み出されたアドレスが、RFタグ72から送信される。
ステップS14において、携帯電話機11のCPU61は、通信部69を介してパーソナルコンピュータ1からネットワークを介してアクセスを受けるまで待機する(いまの場合、電話回線を介して読み出されるまで待機する)。
通信部69は、ステップS14において、パーソナルコンピュータ1の通信部27から電話回線を介して呼び出しを受けたと判定した場合、ステップS15に進み、これに応答し、パーソナルコンピュータ1との間にネットワークを介してコネクションを確立する(いまの場合、電話回線を閉結する)。
その後、ステップS16に進み、携帯電話機11は、ネットワークを介してパーソナルコンピュータ1との間において、所定の処理を実行する。この処理は、図4のステップS6の処理に対応する。
以上の例においては、識別情報として、携帯電話機11の電話番号を送受するようにしたが、携帯電話機11の電話番号以外の識別番号を携帯電話機11からパーソナルコンピュータ1に送信し、パーソナルコンピュータ1側において、その識別番号に基づいて、ネットワーク上のアドレスとしての携帯電話機11の電話番号を検索するようにしても良い。
図6と図7は、この場合のパーソナルコンピュータ1と携帯電話機11のそれぞれの動作を表している。
図7の携帯電話機11のステップS51乃至ステップS56の処理は、図5のステップS11乃至ステップS16の処理と基本的に同様の処理であり、ステップS52で、パーソナルコンピュータ1から要求され、ステップS53で送信するデータが電話番号ではなく、識別番号そのものである点が、図5における場合と異なっており、それ以外の処理は、図5における場合と同様となされている。
同様に、図6のパーソナルコンピュータ1のステップS31乃至ステップS37の処理は、図4に示すステップS1乃至ステップS6の処理と基本的に同様の処理である。但し、図6の処理においては、携帯電話機11から電話番号が直接送信されてくるのではなく、識別番号が送信されてくるので、ステップS34において、パーソナルコンピュータ1のCPU21は、携帯電話機11の識別番号をRAM23に記憶させた後、ステップS35において、携帯電話機11の識別番号からそのネットワーク上のアドレスとしての電話番号を検索する処理を実行する。この検索のため、記憶部26に、携帯電話機11の識別番号と電話番号の対応表を予め記憶していておいても良いし、通信部27から、例えば、インターネット等を介して所定のサーバにアクセスし、携帯電話機11の識別番号に対応する電話番号をそのサーバを介して検索するようにしても良い。
携帯電話機11の電話番号が検索された後の処理は、図4に示した場合と同様の処理となる。
次に、図4のステップS6(図6のステップS37)と、図5のステップS16(図7のステップS56)で実行される処理の例についてさらに説明する。
図8は、携帯電話機11を入力表示部2に載置、または近接することで、携帯電話機11に登録されているメールの内容を入力表示部2のLCD32上に拡大して、表示させる例を表している。
次に、この場合の携帯電話機11とパーソナルコンピュータ1の処理について、図9と図10のフローチャートを参照して説明する。
携帯電話機11のCPU61は、図9のステップS71において、RAM63に記憶されている、それまで受信されたメールの送信者と主題(サブジェクト)を読み出し、ステップS72において、その読み出されたメールの送信者と主題をパーソナルコンピュータ1に送信させる。すなわち、このとき、CPU61は、通信部69を制御し、電話回線を介してパーソナルコンピュータ1に送信させる。
送信されたメールの送信者と主題は、後述するように、パーソナルコンピュータ1のLCD32上に表示され、ユーザがその表示の中から所定のものを選択すると、その選択が携帯電話機11に送信されてくる。
そこで、ステップS73において、CPU61は、メールが選択されたことが通知されるまで待機し、メールが選択されたことが通知されたとき、ステップS74に進み、選択されたメールの内容をRAM63から読み出し、通信部69からパーソナルコンピュータ1に送信させる。
このような携帯電話機11の処理に対応して、パーソナルコンピュータ1は、図10のフローチャートに示す処理を実行する。
最初に、ステップS81において、CPU21は、携帯電話機11からメールの送信者と主題が送信されてくると、これを受信する。すなわち、通信部27は、携帯電話機11の通信部69から電話回線を介してメールの送信者と主題が送信されてくると、これを受信し、RAM23に供給し、記憶させる。ステップS82において、CPU21は、RAM23に記憶された送信者と主題を読み出し、LCD32に出力し、表示させる。これにより、例えば、図8に示すように、携帯電話機11から送信されてきたメールの送信者と主題がウィンドウ91に表示される。
ユーザは、この表示を見てペンを操作することで、ウィンドウ91内の1つのメールの送信者または主題を指定することで、メールを選択する。そこで、ステップS83において、CPU21は、メールが選択されるまで待機し、メールが選択されたとき、ステップS84に進み、選択されたメールを携帯電話機11に通知する。すなわち、このとき、CPU21は、通信部27を制御し、電話回線を介してユーザにより指定された(選択された)メールがどれであるのかを、携帯電話機11に通知する。
選択されたメールを通知すると、上述したように、携帯電話機11からその選択されたメールの内容が送信されてくるので、ステップS85において、通信部27は、携帯電話機11から送信されてきたメールの内容を受信する。このメールの内容は、RAM23に一旦供給され、記憶される。そして、ステップS86において、CPU21は、RAM23に記憶されたメールの内容を読み出し、LCD32の、携帯電話機11が置かれた位置の右側、またはユーザがペンで指定した位置(これらの位置は、タブレット31の出力から検知される)に、出力し、表示させる。このようにして、例えば、図8に示されるように、ウィンドウ92に選択されたメールの内容が表示される。図8の例においては、ウィンドウ91内の2番目のメール(送信者がBBBであり、主題がbbであるメール)の内容が、「今日は。今日はいい天気ですね。」と表示されている。
RFタグ72とリーダライタ33との間の通信により、メールのデータも授受することが理論的には可能である。しかしながら、この通信の伝送容量は小さいので、本発明では、この通信は、識別情報の伝送にだけ用いられる。
図11は、パーソナルコンピュータ1と電話回線を介して授受されるデータの他の例を表している。この例においては、携帯電話機11に替えて、PDA101が入力表示部2上に載置、または近接され、PDA101に記憶されている画像データが、パーソナルコンピュータ1側に転送される。
PDA101は、例えば、図12に示されるように構成される。
CPU111乃至入出力インタフェース115は、図2のパーソナルコンピュータ1のCPU21乃至入出力インタフェース25と同様の機能を有するものである。
入力部116は、ボタン、スイッチ等により構成され、ユーザが所定の指令を入力するとき操作される。タブレット127は、透明な部材により構成され、図示せぬペン等をユーザが操作することで行われた入力を検知する。LCD118は、タブレット117の下側に配置され、文字、図形等を表示する。
メモリスティック(商標)119は、半導体メモリを内蔵しており、PDA101に対して着脱自在とされている。メモリスティック119には、テキストデータや画像データが適宜記憶される。通信部120は、電話回線を介して他の装置と通信する。
RFタグ121(ROM112、メモリスティック119でもよい)は、内部に、PDA101の電話番号(または識別番号)を記憶している。
次に図13と図14のフローチャートを参照して、図11(A)に示されるように、PDA101をパーソナルコンピュータ1の入力表示部2上に配置して行われる処理の例について説明する。
上述したように、PDA101をパーソナルコンピュータ1の入力表示部2上に載置すると、パーソナルコンピュータ1とPDA101との間の電話回線が閉結される。
PDA101のCPU111は、ユーザから画像の転送が指令されると、図13のステップS101において、メモリスティック119に予め記憶されている1つの画像データを選択する。ステップS102において、CPU111は、選択した画像データを通信部120を制御し、電話回線を介してパーソナルコンピュータ1に送信させる。
ステップS103において、CPU111は、全ての画像データを送信したか否かを判定し、まだ送信していない画像データが残っている場合には、ステップS101に戻り、それ以降の処理を繰り返し実行する。
ステップS103において、全ての画像データが送信されたと判定された場合、処理は終了される。
一方、パーソナルコンピュータ1側においては、図14のフローチャートに示す処理が実行される。CPU21は、電話回線を介してPDA101から画像データが送信されてくると、ステップS111において、通信部27を介してこれを受信し、RAM23に供給し、一旦記憶させる。CPU21は、ステップS112において、RAM23に記憶された画像データを読み出し、LCD32に出力し、表示させる。
このようにして、例えば、図11(A)に示されるように、PDA101に記憶されている5枚の画像P1乃至P5のうち、1枚の画像P1が、図11(B)に示すように、PDA101からパーソナルコンピュータ1に転送され、RAM23に記憶されるとともに、LCD32に表示される。その表示位置は、図11(B)の例の場合、PDA101の左上とされているが、ペンで指定された位置とすることもできる。このとき、PDA101側のLCD118においては、転送された画像の表示は消去される。図11(B)の例においては、図11(A)に示される5枚の画像P1乃至P5のうち、1枚の画像P1が転送されたので、PDA101のLCD118には、4枚の画像P2乃至P5が表示された状態となっている。
次にステップS113において、CPU21は、受信した全ての画像データが表示されたか否かを判定し、まだ表示していない画像データが残っている場合には、ステップS111に戻り、上述した処理を繰り返し実行する。全ての画像データを表示したと判定された場合、処理は終了される。
以上のようにして、図11(C)乃至(F)に示されるように、画像データがP2,P3,P4,P5の順に、順次、PDA101からパーソナルコンピュータ1側に転送され、RAM23に記憶される。LCD32には、この転送に伴って、画像P2乃至P5が順次表示される。この表示に伴って、PDA101側のLCD118の画像は、転送済みのものが順次消去される。
図15は、さらに、他の情報交換の例を表している。この例においては、パーソナルコンピュータが、ノート型のパーソナルコンピュータとされている。図2のパーソナルコンピュータ1のリーダライタ33は、このパーソナルコンピュータ151では、パームレスト部152Aの下方に配置されている。パーソナルコンピュータ151の内部の構成は、図2に示した場合と同様であるので、その新たな図示は省略する。
次に図16と図17のフローチャートを参照して、この場合のパーソナルコンピュータ151と携帯電話機11の処理について説明する。なお、パーソナルコンピュータ151の構成として、図2のパーソナルコンピュータ1の構成をそのまま引用する。この場合においても、携帯電話機11をパーソナルコンピュータ151のパームレスト部152A上に配置すると、携帯電話機11とパーソナルコンピュータ151との間における電話回線が、上述したようにして閉結される。
パーソナルコンピュータ151のCPU21は、図16のステップS131において、携帯電話機11に対応する画像をLCD32に表示させる。図15の表示例においては、画像161が携帯電話機11の画像として表示されている。なお、この画像161は、携帯電話機11がパームレスト部152Aの右側に配置されれば、LCD32の右側に表示され、パームレスト部152Aの左側に配置されれば、LCD32の左側に表示される。
次に、ステップS132において、CPU21は、パーソナルコンピュータ1を表す画像を、LCD32に、例えば、図15の画像162のように表示させる。
ステップS133において、CPU21は、ユーザより情報の受け取りが指令されたか否かを判定し、指令されていないと判定した場合、ステップS134に進み、情報の転送が指示されたか否かを判定する。情報の転送も指示されていないと判定した場合、ステップS133に戻り、それ以降の処理が繰り返し実行される。
ステップS134において、情報の転送がユーザより指示されたと判定された場合、ステップS135に進み、CPU21は、携帯電話機11に情報を転送する処理を実行する。
例えば、図15に示されるLCD32上において、マウスカーソルを、矢印Aの方向(パーソナルコンピュータ151の画像162から携帯電話機11の画像161の方向)にドラッグ&ドロップすることで、情報の転送が指示された場合、CPU21は、RAM23に記憶されている所定のデータを、通信部27から電話回線を介して携帯電話機11に転送させる。
一方、ステップS133において、情報の受け取りが指示されたと判定された場合、ステップS136に進み、CPU21は、携帯電話機11に情報の転送を要求する。
すなわち、図15において、画像161から画像162の方向(矢印Bの方向)にドラッグ&ドロップすることで、ユーザが携帯電話機11からパーソナルコンピュータ151への情報の転送を指示した場合、CPU21は、通信部27を制御し、電話回線を介して携帯電話機11に、情報の転送を要求する。
携帯電話機11に対して情報の転送を要求すると、後述するように、携帯電話機11から情報が転送されてくるので、ステップS137において、CPU21は、情報が転送されてくるまで待機し、情報が転送されてきたとき、ステップS138に進み、通信部27を介して転送された情報を受信し、RAM23に記憶させる。
一方、携帯電話機11は、以上のようなパーソナルコンピュータ151の動作に対応して、図17のフローチャートに示されるような処理を実行する。
ステップS151において、CPU61は、パーソナルコンピュータ151から情報の転送の要求を受けたか否か判定し、その要求を受けていない場合には、ステップS152に進み、パーソナルコンピュータ151から情報が転送されてきたか否かを判定する。情報が転送されてきていない場合には、ステップS151に戻り、それ以降の処理を繰り返し実行する。
ステップS151において、パーソナルコンピュータ151から情報の転送の要求を受けたと判定した場合、CPU61は、ステップS153に進み、RAM63に記憶されている情報を読み出し、通信部69から電話回線を介してパーソナルコンピュータ151に転送する。
また、ステップS152において、パーソナルコンピュータ151から情報が転送されてきたと判定された場合、ステップS154に進み、CPU61は、電話回線を介して通信部69で受信した情報をRAM63に供給し、記憶させる。
図18は、コネクションボードの例を表している。コネクションボード171は、その上に2つの電子機器を載置すると、その2つの電子機器の間で電話回線が閉結され、電話回線を介してデータを授受することができるようにするものである。
図18の例においては、PDA101とデジタルカメラ181が、コネクションボード171上に載置されている。
コネクションボード171は、例えば、図19に示すように構成される。CPU191乃至入出力インタフェース195は、図2のCPU21乃至入出力インタフェース25と基本的に同様のものである。
リーダライタ196とリーダライタ197は、それぞれ2つの電子機器のRFタグとの間の通信を行う。通信部198は、電話回線を介して、2つの電子機器との間の通信を行う。
ドライブ199には、磁気ディスク211、光ディスク212、光磁気ディスク213、または半導体メモリ214が適宜装着され、そこに記憶されているプログラムが適宜読み出され、RAM193に転送され、記憶されるようになされている。
図20は、デジタルカメラ181の内部の構成例を表している。CPU231乃至入出力インタフェース235は、図2におけるCPU21乃至入出力インタフェース25と基本的に同様のものである。
入力部236は、ボタン、スイッチ等により構成され、ユーザにより所定の指示を入力するとき操作される。LCD237は、撮像部239により撮像された画像あるいは、メモリスティック238やRAM233に記憶された画像を表示する。メモリスティック238は、デジタルカメラ181に対して着脱自在とされ、撮像部239により撮像された画像を記憶する。RFタグ241は、内部にデジタルカメラ181の識別番号として、電話番号を記憶している。このRFタグ241は、コネクションボード171のリーダライタ196との通信を行う。通信部240は、電話回線を介して通信する。
最初に、図21のフローチャートを参照して、コネクションボード171上に2つの電子機器(いまの場合、PDA101とデジタルカメラ181)を載置、または近接した場合のコネクションボード171のコネクション確立処理について説明する。
ステップS171において、コネクションボード171のCPU191は、第1のPDAが載置、または近接されたか否か(リーダライタ196、またはリーダライタ197により電子機器のRFタグの電磁結合が検知されたか否か)が判定される。第1のPDAが載置、または近接されたと判定された場合、リーダライタ196,197のうち、対応するものは、そのPDAにネットワーク上のアドレスの送信を要求する。例えば、リーダライタ196は、PDA101が載置されたことを検知した場合、PDA101に対して、電話番号の送信を要求する。PDA101は、図5のフローチャートを参照して、携帯電話機11の処理として説明した場合と同様の処理を実行するので、この要求に対応して、PDA101の電話番号を送信してくる。そこで、ステップS173において、コネクションボード171のCPU191は、電話回線を介してPDA101の電話番号が送信されてくるまで待機し、送信されてきたとき、ステップS174において、通信部198を介して受信したPDA101の電話番号をRAM143に供給し、記憶させる。
以上のステップS171乃至ステップS174の処理と同様の処理が、リーダライタ196と197のうちの他方(いまの場合、リーダライタ197)において、ステップS175乃至ステップS178の処理として実行される。
これにより、いまの場合、デジタルカメラ181のRFタグ241から読み出されたデジタルカメラ181の電話番号が、コネクションボード171のRAM193に供給され、記憶される。
ステップS179において、コネクションボード171のCPU191は、ステップS174とステップS178で記憶したPDA101とデジタルカメラ181の間の電話回線のコネクションを確立する処理を実行する。これにより、PDA101と、デジタルカメラ181は、それぞれ電話回線を介して相互にデータを授受することが可能な状態となる。
次にステップS180において、コネクションボード171のCPU191は、載置、または近接された2つのPDAとしてのPDA101とデジタルカメラ191が載置、または近接されたままの状態となっているか否かを判定し、載置、または近接された状態であるとき、ステップS181に進み、ステップS179で確立したコネクションを維持する処理を実行する。
その後、処理をステップS180に戻り、PDA101とデジタルカメラ181がコネクッションボード171上に載置、または近接されている限り、PDA101とデジタルカメラ181のコネクションが維持される。
ユーザが、PDA101またはデジタルカメラ181のうちの、少なくとも一方をコネクションボード171から取り上げると、ステップS180において、2つの装置のうちのいずれかの一方が載置等されていないと判定され、ステップS182に進み、CPU191は、ステップS179で確立したコネクションを切断する処理を実行する。これにより、以後、PDA101とデジタルカメラ181は、電話回線を介して、通信ができない状態となる。
次に、図22と図23のフローチャートを参照して、PDA101とデジタルカメラ181をコネクションボード171上に載置、または近接した場合における両者の間の処理の例について説明する。
PDA101のCPU111は、図22のステップS201において、ユーザから情報の受け取りが指示されたか否かを判定し、指示されていない場合には、ステップS202に進み、情報の転送が指示されたか否かを判定する。情報の転送も指示されていない場合には、ステップS201に戻り、それ以降の処理が繰り返し実行される。
ステップS202において、ユーザから情報の転送が指示されたと判定された場合、ステップS206に進み、CPU111は、メモリスティック119に記憶されているデータを読み出し、通信部120から電話回線を介してデジタルカメラ181に転送する処理を実行する。
すなわち、CPU111は、例えば、図18に矢印Cで示される方向に、ユーザによりタブレット117に対して入力が行われたとき、PDA101からデジタルカメラ181にデータを転送する指示であると判定し、上記した処理を実行する。
一方、ステップS201において、CPU111は、情報の受け取りが指示されたと判定された場合、ステップS203に進み、デジタルカメラ181に対して情報の転送を要求する。後述するように、デジタルカメラ181は、この要求を受けたとき、情報を転送してくるので、ステップS204において、CPU111は、情報が転送されてくるまで待機し、情報が転送されてきたとき、ステップS205において、電話回線を介して転送されてきた情報を通信部120で受信すると、これをメモリスティック119に供給し、記憶させる。
このような処理は、図18の矢印Dで示すように、デジタルカメラ181からPDA101の方向にタブレット117上において、ユーザがペンを操作した場合に、実行される。
次に、図23のフローチャートを参照して、デジタルカメラ181の処理について説明する。
ステップS221において、デジタルカメラ181のCPU231は、PDA101から情報の転送の要求を受けたか否かを判定し、情報の転送の要求を受けていない場合には、ステップS222に進み、PDA101から情報が転送されてきたか否かを判定し、転送されてきていない場合には、ステップS221に戻り、それ以降の処理を繰り返し実行する。
ステップS221において、PDAから情報の転送の要求を受けたと判定した場合、ステップS223に進み、CPU231は、メモリスティック238に記憶されている画像データを読み出し、通信部240から電話回線を介して、PDA101に対して転送させる。
一方、ステップS222において、PDA101から情報が転送されてきたと判定された場合、ステップS224に進み、CPU231は、電話回線を介して通信部240で受信した情報を、メモリスティック238に供給し、記憶させる。
以上のように、この例においては、コネクションボード171上に載置、または近接されている状態において、2つの電子機器が情報を授受することが可能となる。従って、同一面上に位置する2つの電子機器間でのみ情報の移動を許容するというセキュリティ管理をユーザが行うようにすることで、直感的かつ安全に、各ユーザは、情報を管理することが可能となる。
図24は、さらに他の実施の形態を表している。この実施の形態においては、ユーザの人体を介して識別番号を授受するようになされている。すなわち、この例においては、ユーザがヘッドホン261を、その頭部に装着し、手で携帯電話機11を保持している。そして、ヘッドホン261と携帯電話機11との間における識別番号の授受が、ユーザの人体260を介して行われる。
ヘッドホン261は、例えば、図25に示すように構成される。CPU271乃至入出力インタフェース275は、図2におけるCPU21乃至入出力インタフェース25と基本的に同様のものである。
入力部276は、ヘッドホン261の使用を開始したり、使用を終了させるとき、ユーザにより操作される。スピーカ277は、通信部279を介して受信された音声信号を出力する。通信部278は、人体260を介して、携帯電話機11との通信を行う。通信部279は、電話回線を介しての無線通信を行う。
携帯電話機11の構成は、基本的に図3に示した場合と同様であるが、この例においては、図26に示されるように、図3におけるRFタグ72に代えて、通信部291が設けられている。この通信部291は、ヘッドホン261の通信部278と人体260を介して通信を行う。
携帯電話機11のその他の構成は、図3における場合と同様である。
次に、図27のフローチャートを参照して、図24の例における携帯電話機11の処理について説明する。
ステップS241において、携帯電話機11のCPU61は、通信部291により、人体260を介してヘッドホン261の通信部278と通信することにより、ヘッドホン261が検出されたか否かを判定し、検出されていない場合には、検出されるまで待機する。この検出処理は、例えば、通信部291から定期的に応答を要求する信号を出力し、その要求に対応する応答があるか否かに基づいて判定することができる。
ヘッドホン261が検出された(応答があった)と、ステップS241において判定された場合、ステップS242に進み、CPU61は、ヘッドホン261に、そのネットワーク上のアドレスの送信を要求する。図28のフローチャートを参照して後述するように、ヘッドホン261は、この要求に対応して、ステップS266において、そのネットワーク上のアドレスを送信してくる。
そこで、ステップS243において、携帯電話機11のCPU61は、ヘッドホン261からネットワーク上のアドレスを通信部291を介して受信するまで待機し、受信したときステップS244に進み、受信したヘッドホン261のネットワーク上のアドレスを、記憶部68に供給し記憶させる。
次に、ステップS245に進み、CPU61は、ヘッドホン261からネットワーク上のアドレスの送信を要求されるまで待機し、その要求を受けたとき、ステップS246に進み、記憶部68に予め記憶されている携帯電話機11のネットワーク上のアドレスを、通信部291を介してヘッドホン261に送信する。このネットワーク上のアドレスは、人体260を介して、ヘッドホン261に送信される。
ステップS247において、CPU61は、ヘッドホン261とネットワーク上のコネクションを確立したか否かを判定し、コネクションがまだ確立されていない場合には、ステップS248に進み、ステップS244で記憶したヘッドホン261のネットワーク上のアドレスにアクセスし、ネットワーク上のコネクションを確立する。具体的には、CPU61は、通信部69を制御し、ステップS244の処理で記憶したヘッドホン261のネットワーク上のアドレスとしての電話番号に対して発呼動作を行わせ、電話回線を閉結させる。
ステップS247において、コネクションが既に確立されていると判定された場合、ステップS248の処理はスキップされる。
次に、ステップS249において、携帯電話機11のCPU61は、通信部69により閉結された電話回線を介して、ヘッドホン261と所定の処理を実行する。
このような携帯電話機11の動作に対応して、ヘッドホン261は、図28のフローチャートに示す処理を実行する。そのステップS261乃至ステップS269の処理は、相手側が異なるだけで、基本的に、図27の携帯電話機11のステップS241乃至ステップS249の処理と同様の処理となる。
ステップS267において、ヘッドホン261側でも、携帯電話機11とネットワーク上のコネクションが確立されているか否かが判定される。例えば、上述した携帯電話機11のステップS248の処理により、既に携帯電話機11との電話回線が閉結されている場合には、ステップS268の処理はスキップされる。
換言すれば、携帯電話機11のステップS248の処理は、ヘッドホン261側からの処理により、既に電話回線が閉結されている場合には、スキップされることになる。
この例においては、以上のようにして、携帯電話機11とヘッドホン261のそれぞれが、相手側の識別番号を取得する。そして、その識別番号に基づいて、一方から他方に、電話回線を介してのコネクションが確立される。
従って、例えば、ヘッドホン261を装着した状態で、ユーザが携帯電話機11を利用して、所定の音楽配信サーバにアクセスし、音楽配信を受けた場合において、配信を受けた音楽を、携帯電話機11とヘッドホン261との間に閉結されている電話回線を介して、携帯電話機11からヘッドホン261に送信させるようにすることで、ユーザが携帯電話機11から手を離しても、ヘッドホン261で音楽を聞くことが可能となる。
あるいはまた、ヘッドホン261にマイクロホンを装着させ、携帯電話機11により、所定の相手先に電話をかけたような場合において、相手側が応答したときは、以後、ユーザは、携帯電話機11を手から離した場合においても、ヘッドホン261だけを用いて相手側と通話することが可能となる。
さらに、例えば、上述したパーソナルコンピュータ1の本体側と、それに利用されるマウスのそれぞれに、ユーザの人体260を介して通信可能な通信部を設けることにより、ユーザがマウスと本体とを同時に手で触ることにより、相互の間の識別番号を授受させ、それに基づいて、それらの間に電話回線を閉結させ、以後、ユーザが本体から手を離してマウスを操作して、本体1にマウスの操作に対応する信号を送信することが可能となる。
人体の交流信号の伝達特性が図29に示されている。図29(A)は、1MHz乃至20MHzの範囲で、図29(B)は、1MHz乃至30MHzの範囲で、それぞれスペクトラム・アナライザを用いて測定した人体の伝送特性(両手間)を示した特定図である。いずれも、トラッキング・ジェネレータと入力端子に同軸ケーブルを接続した場合の例である。なお、実験時、同軸ケーブルのグランドGNDは相互に接続し、アンテナとならないようにした。図29(A)および図29(B)に示すように、1MHzから20MHz程度の範囲における伝達特性は、概ね平坦で、30dB乃至40dBの減衰特性となる。
図29(A)および図29(B)に示す測定では、トラッキング・ジェネレータの出力インピーダンス、スペクトル・アナライザの入力インピーダンスともに75Ωである。従って、交流的にも両手間のインピーダンスが仮に1メガ・オームであったとすると、減衰量は−80dBにも達するはずである。ところが、実際には、減衰量は遙かに少なく、人体を介しての信号伝送の可能性を裏付けることが分かる。
データ送信側は、微小ダイポール・アンテナと考えられ、これが発生する電磁界の様子は充分解析されている。かかる解析結果によれば、人体が発生する電磁界は、微小ダイポール・アンテナが発生する電磁界となる。電磁界の強さはアンテナからの距離R、距離Rの2乗、距離Rの3乗に反比例する成分のベクトル和で表され、それぞれ、輻射電磁界、誘導電磁界、静電磁界と呼ばれる。なお、これらの関係式については、特開平7−170215号公報に詳しく記載されている。
図30は電界強度についての図であり、図30(A)は、上述した各項の電界強度とアンテナからの距離との関係を示す特性図である。また、図30(B)は、周波数f=200MHz、送信端子電圧=100dBμV(75Ω)の場合において、λ/2.2のダイポール・アンテナと3.4cmφのループ・アンテナ、および8cmφ,3.4cmφのループ・アンテナの電界強度と距離とを示す図である。図30(A)および(B)に示すように、上記輻射電磁界(1/R項)、誘導電磁界(1/(Rの2乗)項)、静電磁界(1/(Rの3乗)項)の強度は、λ/2πの距離において等しくなり、距離がこれ以下の場合には急激に増加する。f=11MHzならば、この距離は4.3mとなる。従って、静電磁界を主として使用した伝送方式を適用することが好ましい。
また、電界強度は、電波障害すなわちEMI(ElectroMagnetic Interference)に関する法規制による制限なく使用可能な範囲を選択することが好ましく、例えば、周波数332MHz以下、電界強度500μV/M以下とする。
上述のように静電磁界は距離Rの3乗で減衰する。例えば、距離が1mから3mになると、電界強度は1/27(=1/(3×3×3))に減衰する。従って、データ送信手段からの距離の増加に伴って信号強度が極端に減衰するので、複数のユーザが同様の装置を使用している場合であっても他のユーザの信号をノイズとしてとらえる可能性は低くなる。例えば、同様の装置を持ったユーザが多数近接して存在するような作業環境下においても、静電磁界を主として使用した通信は良好な通信が可能になる。
なお、携帯電話機11やヘッドホン261の通信部291,278の一部を構成する人体260と接触する接点は、広い面積を有することが望ましい。例えば、腕時計、ネックレス、指輪、ブレスレット、ベルト、靴等、曲線状に人体の指、腕、首等に巻き付け可能な構成として、人体の皮膚とより多くの面積で接触する構成とすることが好ましい。
以上においては、RFタグとリーダライタにより識別番号を授受するようにしたが、各電子機器にバーコードを印刷し、そのバーコードを読み取ることで、識別番号を授受するようにすることも可能である。
また、電子機器を載置する情報処理装置としては、入力表示部やノート型パーソナルコンピュータのパームレスト部以外に、マウスパットやホワイトボードを利用することも可能である。
さらに、識別番号としては、電話番号を例として説明したが、ネットワーク上でその電子機器にアクセスするために必要なものであれば、電話番号以外でも良い。
また、識別番号の授受にともなって、相手側の認証処理を行うようにしてもよい。
以上においては、ネットワークとして、電話回線を例として説明したが、LAN、無線LAN、WAN、インターネット、或いは、様々なポータブル機器等に適用可能なブルートゥース(Bluetooth)を利用することも可能である。
次に、RFタグとリーダライタにより相互に各種の情報を授受し、取得した情報に基づいてブルートゥースによる通信を確立する通信システムについて説明する。
この通信システムは、例えば、図1に示した情報処理システムと同様に構成され、図1に示すパーソナルコンピュータ1と携帯電話機11は、それぞれ、リーダライタ33とRFタグ72により各種の情報を送受信した後、それに基づいてブルートゥースによる通信を行う。すなわち、パーソナルコンピュータ1と携帯電話機11の双方には、ブルートゥースモジュールが内蔵されている。
図31は、ブルートゥースモジュールを内蔵するパーソナルコンピュータ1の構成例を示すブロック図である。
図31に示すパーソナルコンピュータ1は、図2に示したパーソナルコンピュータ1と基本的に同様の構成であり、ブルートゥースモジュール301がさらに設けられている点、および、後述するように、リーダライタ33が、自らに設定されている識別情報を電磁波により携帯電話機11に通知する点が、図2に示したパーソナルコンピュータ1と相違している。
ブルートゥースモジュール301は、例えば、携帯電話機11に設けられているブルートゥースモジュール311(図32参照)とブルートゥースにより通信する。
ブルートゥースは、Bluetooth SIG(Special Interest Group)により標準化されている無線通信規格であり、2.4GHz帯(IMS(Industrial Science Medical)帯)を使用して、ブルートゥースモジュールが設けられている他のデバイス(適宜、ブルートゥースデバイスと称する)と通信する。
そして、ブルートゥースによって構築されるネットワークは、その形態に応じて、ピコネット(piconet)、または複数のピコネットが相互接続されたスカッタネット(scatternet)と呼ばれ、そこには、マスタとスレーブと呼ばれる役割を有するブルートゥースデバイスが存在する。以下、適宜、マスタの役割を有するブルートゥースデバイスを単にマスタと、スレーブの役割を有するブルートゥースを単にスレーブとそれぞれ称する。
マスタは、スレーブと通信を開始するとき、所定の周期でスレーブを検出するための電波を輻射し、それに対する応答がスレーブからされたとき、スレーブから通知される各種の情報に基づいてスレーブのブルートゥースデバイスを特定し、通信を開始する。スレーブからマスタに通知される情報には、それぞれのブルートゥースデバイス(モジュール)に対して固有のブルートゥースアドレスが含まれており、マスタは、このブルートゥースアドレスに基づいて、通信するスレーブを特定する。
すなわち、図31のブルートゥースモジュール301にも、固有のブルートゥースアドレスが設定されており、この通信システムの例においては、リーダライタ33の識別情報(ID)と同一とされている。すなわち、図1に示すように、リーダライタ33の識別情報は識別情報Aとされ、ブルートゥースモジュール301のアドレスはブルートゥースアドレスAとされている。
図32に示す携帯電話機11は、図3に示した携帯電話機11と基本的に同様の構成を有しており、ブルートゥースデバイス311が設けられている点、およびRFタグ72がリーダライタ33に対して、電話番号を通知するのではなく、自らの識別情報を通知する点が異なっている。
この携帯電話機11においては、RFタグ72の識別情報は識別情報Bとされ、ブルートゥースモジュール311のアドレスはブルートゥースアドレスBとされている。なお、RFタグ72の識別情報とブルートゥースモジュール311のアドレスは、必ずしも同一である必要はなく、識別情報にアドレスが含まれていればよい。
RFタグ72は、リーダライタ33が輻射する電磁波を受信したとき、それに応じて識別情報Bを通知する。そして、パーソナルコンピュータ1のブルートゥースモジュール301においては、リーダライタ33により取得された識別情報Bに基づいて、同一のブルートゥースアドレス(ブルートゥースアドレスB)を有しているブルートゥースデバイスが検索され、携帯電話機11のブルートゥースモジュール311との通信が確立される。
パーソナルコンピュータ1のブルートゥースモジュール301と、携帯電話機11のブルートゥースモジュール311との間で行われる通信の確立処理について、図33のフローチャートを参照して説明する。なお、図33の処理においては、パーソナルコンピュータ1がマスタとされ、携帯電話機11がスレーブとされている。
ステップS311において、リーダライタ33は、携帯電話機11を含む、RFタグが設けられた端末を検出するための電磁波を輻射する。この電磁波は、図4等を参照して説明したように、充分短い周期で定期的に輻射されているものである。
携帯電話機11のRFタグ72は、ステップS321で、この電磁波を受信したとき、ステップS322に進み、予め設定されている識別情報Bをリーダライタ33に通知する。このRFタグ72の識別情報(識別情報B)は、ブルートゥースモジュール311のアドレス(ブルートゥースアドレスB)と同一とされている。
ステップS312において、リーダライタ33は、RFタグ72から通知されてきた識別情報(ブルートゥースアドレス)を受信し、ステップS313に進み、それをブルートゥースモジュール301に入出力インタフェース25を介して通知する。
ブルートゥースモジュール301は、ステップS301において、リーダライタ33からの通知を受けたとき、ステップS302に進み、取得したブルートゥースアドレスに基づいて、そのアドレスを有するブルートゥースデバイスを検索し、そのデバイスに対して接続を要求する(通信を開始することを要求する)。
そして、携帯電話機11のブルートゥースモジュール311は、ステップS331で、ブルートゥースモジュール301からの要求を受けたとき、ステップS332に進み、接続を要求してきたブルートゥースデバイスであるパーソナルコンピュータ1(ブルートゥースモジュール301)と通信を開始する。
具体的には、通信を行うための同期処理、および認証処理等の各種の処理が行われた後に、パーソナルコンピュータ1と携帯電話機11との間で通信が確立され、ステップS303以降の処理、およびステップS332以降の処理において、ブルートゥースにより各種の情報が送受信される。
以上においては、パーソナルコンピュータ1をマスタとし、携帯電話機11をスレーブとした場合について説明したが、当然、双方が逆の役割を有するようにしてもよい。また、リーダライタが携帯電話機11にも設けられている場合、携帯電話機11がパーソナルコンピュータ1の存在を検出し、パーソナルコンピュータ1のRFタグから通知された識別情報に基づいて、ブルートゥースによる通信を確立させるようにしてもよい。
なお、RFタグとリーダライタとの通信によりブルートゥースアドレスを取得し、それに基づいてブルートゥースによる通信を確立する通信システムは、上述したようなパーソナルコンピュータ1と携帯電話機11との間だけでなく、様々な機器間においても適用可能である。
例えば、携帯電話機やPDAなどの携帯端末と、テレビジョン受像機、カーナビゲーション、自動販売機、ATM(automatic teller machine)などの装置間でも、上述したようなブルートゥースによる通信を行うことができる。この場合、携帯電話機やPDAには、ブルートゥースモジュールとRFタグが少なくとも設けられていればよく、テレビジョン受像機、カーナビゲーション、自動販売機、ATMには、それぞれ、ブルートゥースモジュールと、RFタグのリーダライタが少なくとも設けられていればよい。
また、いずれか一方がリーダライタを有していれば、携帯電話機同士の通信、PDA同士の通信、PDAとデジタルカメラとの通信、PDAとデジタルビデオカメラとの通信などにも、本発明は適用することができる。
さらに、以上においては、パーソナルコンピュータ1は、RFタグ72から通知された識別情報に基づいて、通信する機器を特定するとしたが、固有の識別情報であれば、いずれの情報を利用するようにしてもよい。
例えば、128ビットからなるIPv6(Internet Protocol version 6)がそれぞれの機器に割り振られている場合、マスタであるパーソナルコンピュータ1は、RFタグ72から通知されたその識別情報に基づいて、通信する機器を特定することができる。
上述した一連の処理は、ソフトウエアにより実行させることができる。この場合には、そのソフトウエアを構成するプログラムが、専用のハードウエアに組み込まれているコンピュータ、または、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能な、例えば汎用のパーソナルコンピュータなどに、ネットワークや記録媒体からインストールされる。
この記録媒体は、図2および図19に示すように、装置本体とは別に、ユーザにプログラムを提供するために配布される、プログラムが記録されている磁気ディスク41,211(フロッピディスクを含む)、光ディスク42,212(CD-ROM(Compact Disk-Read Only Memory),DVD(Digital Versatile Disk)を含む)、光磁気ディスク43,213(MD(Mini-Disk)を含む)、もしくは半導体メモリ44,214などよりなるパッケージメディアにより構成されるだけでなく、装置本体に予め組み込まれた状態でユーザに提供される、プログラムが記録されているROM22,192や、記憶部26に含まれるハードディスクなどで構成される。
なお、本明細書において、記録媒体に記録されるプログラムを記述するステップは、記載された順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的あるいは個別に実行される処理をも含むものである。
また、本明細書において、システムとは、複数の装置により構成される装置全体を表すものである。
1 パーソナルコンピュータ, 2 入力表示部, 11 携帯電話機, 31 タブレット, 32 LCD, 33 リーダライタ, 72 RFタグ