以下、図面を参照して本発明の空調装置の実施の形態である浴室空調装置について説明する。
<第1の実施の形態の浴室空調装置の構成例>
(1)浴室空調装置の概要
図1は、第1の実施の形態の浴室空調装置1の構成を示す説明図である。図1に示すように、浴室空調装置1は浴室6の天井部及び室外に設置され、浴室6の空気調和を行うものである。ここで浴室6は扉に設けられたガラリ6aにより、脱衣室3と連通した状態となる。
浴室空調装置1は、空気の冷却及び加熱を行うヒートポンプ空調機4と、ヒートポンプ空調機4に入力される空気と、ヒートポンプ空調機4から出力される空気との間で熱交換を行う熱交換素子5とを備え、浴室6内及び室外の空気を吸気し、吸気した空気を調和して浴室6内に給気する空調機能を有する。また、浴室空調装置1は、浴室6内の空気を吸気して室外に排出する換気機能を有する。浴室空調装置1は、空調機能及び換気機能のため、空気の吸気、送風を行うための各ファン、各ダンパ及び各空気経路を備える。
また、浴室空調装置1においては、ヒートポンプ空調機4、熱交換素子5、各ファン、各ダンパ及び各空気経路は、浴室6の天井部に設置される室内機1a、室外に設置される室外機A1b、及び室外機B1cに配置される。更に、浴室空調装置1は、浴室空調装置1の操作を行うための操作部50を、例えば脱衣室3の壁面に備える。
(2)ヒートポンプ空調機の構成例
ヒートポンプ空調機4は、冷媒が流れる配管4aと、外気と冷媒の間で熱交換を行う熱交換器A4bと、浴室6内から吸気された空気と冷媒との間で熱交換を行う熱交換器B4cとを備える。また、ヒートポンプ空調機4は、配管4aを流れる冷媒を圧縮する圧縮機4dと、配管4aを流れる冷媒を減圧する膨張弁4eと、冷媒の流れる方向を切り替える四方弁4fを備える。更にヒートポンプ空調機4は、熱交換器A4bに対して外気を送風するための冷却ファン4gを備える。
ここで図1に示す浴室空調装置1においては、熱交換器B4cは室外機A1b内に備えられ、熱交換器A4b、膨張弁4e、圧縮機4d、四方弁4f及び冷却ファン4gは室外機B1c内に備えられる。室外機B1cは冷却ファン4gにより熱交換器A4bへ送風する外気を吸気するための吸気口1dを備える。吸気口1dには空気中の塵を除去するためのフィルタ1daを備える。
(3)熱交換素子の構成例
図2は熱交換素子5の構成を示す説明図である。図2(a)は熱交換素子5の構成を示す斜視図であり、図2(b)熱交換素子5の構成を示す分解斜視図である。図2に示すように、熱交換素子5は六角柱の形状を有し、セルA5a及びセルB5bが重ね合わされた構成を備える。セルA5aは仕切り5cで仕切られた複数の流路5aaを備え、セルB5bは仕切り5cで仕切られた複数の流路5baを備える。セルA5a及びセルB5bが重ね合わされた状態では、流路5aa及び流路5baは、一部が平行で隔壁5dを介して接した状態となる。
また、図2(a)に示すように、セルA5a及びセルB5bが重ね合わされた状態では、セルA5a及びセルB5bのそれぞれの開口部5eは、異なった面に位置した状態となる。更に、セルA5a及びセルB5bが重ね合わされた状態では、セルA5aの流路5aaは図2(A)に示す流路A5fを構成し、セルB5bの流路5baは流路B5gを構成する。また、隔壁5dは熱伝導性に優れた材質により構成される。このような構成を備えることにより、図2に示すような熱交換素子5では、流路A5fと流路B5gとを流れる空気の間で熱交換が行われる。流路A5fは第1の流路の一例であり、流路5baは第2の流路の一例である。
(4)空気の流路の構成例
図1に戻り、浴室空調装置1の空調機能及び換気機能を構成するための空気の流路について説明する。浴室空調装置1は、浴室6内に連通した吸込口A7から還気RA1として吸気した室内の空気を、室外に連通した排気口8から排気EA1として排出する流路を形成する内気排出経路9を備える。内気排出経路9には、吸込口A7から吸気した空気を排気口8方向へ送風する空気の流れを発生させる内気排出ファン10を備える。また、内気排出経路9には、吸込口A7と内気排出ファン10の間に、内気排出経路9を開閉するダンパD11を備える。
更に内気排出経路9には、内気排出ファン10と排気口8との間に、ダンパB12を介して空調前経路13が接続される。ダンパB12を操作することにより、内気排出経路9の経路9aと経路9bのみが連通した状態(内気排出経路9と空調前経路13が遮断された状態)、内気排出経路9の経路9bと空調前経路13のみが連通した状態(内気排出経路9の経路9aと、内気排出経路9の経路9b及び空調前経路13が遮断された状態)、及び内気排出経路9の経路9a、経路9b及び空調前経路13が全て連通した状態の三つの状態を取ることが可能となる。
空調前経路13は、ダンパB12から熱交換素子5の流路B5gの入口部に接続される。また、空調前経路13にはダンパC14を介して、バイパス経路15が接続されている。ダンパC14を操作することにより、空調前経路13の経路13aと経路13bのみが連通した状態(空調前経路13とバイパス経路15が遮断された状態)、空調前経路13の経路13aとバイパス経路15のみが連通した状態(空調前経路13の経路13bと、空調前経路13の経路13a及びバイパス経路15とが遮断された状態)、及び空調前経路13の経路13a、経路13b及びバイパス経路15を全て連通した状態の三つの状態を取ることが可能となる。バイパス経路は、ダンパC14から、熱交換素子5の流路B5gの出口部に接続される。内気排出経路9の吸込口A7からダンパB12までの経路と、空調前経路13は、空調前経路の一例である。
熱交換素子5の流路B5gの出口部には、ヒートポンプ空調機4の熱交換器B4cに接続されるヒートポンプ経路16が接続される。ヒートポンプ経路16は、ヒートポンプ空調機4の熱交換器B4cを経由して熱交換素子5の流路A5fの入口部に接続される。
熱交換素子5の流路A5fの出口部にはダンパA17で接続される空調後経路18が接続される。ダンパA17には、排気口8へ接続される排気経路19が接続される。また、ダンパA17には、熱交換素子5の流路A5fの出口部から出力された空気を、浴室6の吹出口20から給気SAとして吹出す経路を構成する還気経路21が接続される。還気経路21には、熱交換素子5の流路A5fの出口部から出力された空気を吹出口20方向へ送風する空気の流れを発生させる循環ファン22を備える。
ダンパA17を操作することにより、空調後経路18と還気経路21のみが連通した状態(排気経路19は遮断された状態)と、排気経路19と空調後経路18のみが連通した状態(還気経路21は遮断された状態)の二つの状態を取ることが可能となる。また、排気経路19を介して排気口8から排気EA2が排出される。また、給気SAが吹出される吹出口20には、給気SAを加熱するためのヒータ23が備えられる。空調後経路18と還気経路21は、空調後経路の一例である。内気排出ファン10と循環ファン22は、送風手段の一例である。
更に、浴室空調装置1は、浴室6内に連通した吸込口B24から還気RA2を吸気し、還気経路21内へ接続する循環経路25を備える。循環経路25には、循環経路25を開閉するためのダンパE26を備える。
また、浴室空調装置1においては、吸込口A7、吸込口B24及び排気口8に、空気中の塵を除去するためのフィルタ7a、24a及び8aを備える。
このような空気の流路の構成を備えることにより、浴室空調装置1は、浴室6の空気調和を行うことが可能となる(詳細については後述する)。
(5)給排水の構成例
次に、浴室空調装置1の給排水の構成について説明する。浴室空調装置1は、殺菌剤や脱スケール材等の洗浄液を吐出する洗浄液供給機の一例であるディスペンサ27及び散水装置29を備え、洗浄液を含む洗浄水を熱交換素子5の上部より供給する給水経路28を備える。また、浴室空調装置1は、熱交換素子5及びヒートポンプ空調機4の熱交換器B4cの下方部にドレンパン30を有する排水経路31を備える。
散水装置29により、熱交換素子5の上部より供給された洗浄水は、熱交換素子5の上部の開口部より流路A5f及び流路B5g内に流入し、流路A5f及び流路B5g内を流れる。流路A5f及び流路B5g内を流れた洗浄水は、熱交換素子5の下部の開口部からドレンパン30上に落下し捕集される。ドレンパン30により捕集された洗浄水は、排水経路31を介して装置外部に排水される。また、ヒートポンプ空調機4に動作により熱交換器B4cで発生した結露も、ドレンパン30上に落下して捕集され、排水経路31に介して装置の外部に排水される。
ここで、ディスペンサ27に加えて、洗浄液供給経路に図示しない他のディスペンサを備え、スケール付着抑制剤や銀イオン(Ag+)、銅イオン(Cu2+)等の金属イオンを供給できるようにして、スケール付着やカビの発生等を抑制するようにしてもよい。
(6)第1の実施の浴室空調装置の他の例
図3は、第1の実施の形態の浴室空調装置の他の例である浴室空調装置1’の構成を示す説明図である。浴室空調装置1’は、図1に示す浴室空調装置1において、空調後経路18の途中にダンパG32と、ダンパG32に接続された空調後経路A33とを備えるものである。空調後経路A33はヒートポンプ空調機4の熱交換器A4bを経由してダンパA17の手前で空調後経路18の経路18aに接続される。
ダンパG32は、空調後経路18の経路18aと経路18bのみを接続する状態(空調後経路A33と、空調後経路18の経路18a及び経路18bを遮断した状態)、空調後経路A33と空調後経路18の経路18bのみを接続した状態(空調後経路18の経路18aと、空調後経路A33及び空調後経路18の経路18bを遮断した状態)の二つの状態を取りうる。
<第2の実施の形態の浴室空調装置の構成例>
次に、第2の実施の形態の浴室空調装置2の構成について説明する。図4は、浴室空調装置2の構成を示す説明図である。図1の浴室空調装置1と同様の構成を備えるものは、同一の名称及び符号を付している。図4に示すように、浴室空調装置2は浴室6の天井部及び室外に設置され、浴室6及び脱衣室3の2室の空気調和を行うものである。ここで浴室6は扉に設けられたガラリにより、脱衣室3と連通した状態となる。
浴室空調装置2は、図1を用いて説明した浴室空調装置1と同様に、空気の冷却及び加熱を行うヒートポンプ空調機4と、ヒートポンプ空調機4に入力される空気と、ヒートポンプ空調機4から出力される空気との間で熱交換を行う熱交換素子5とを備える。これにより、浴室6内、脱衣室3内及び室外の空気を吸気し、吸気した空気を調和して浴室6内及び脱衣室3内に給気する空調機能を有するものである。また、浴室空調装置2は、浴室空調装置1と同様に、浴室6内及び脱衣室3内の空気を吸気して室外に排出する換気機能を有する。
浴室空調装置2においては、ヒートポンプ空調機4、熱交換素子5、給・排水の経路及び操作部50は、図1に示した浴室空調装置1と同様である。以下においては、浴室空調装置1と異なる構成となる、浴室空調装置2の空気の流路の構成について、図4を用いて説明する。
浴室空調装置2における内気排出経路A34は浴室空調装置1における内気排出経路9に相当し、浴室空調装置2における還気経路A35は浴室空調装置1における還気経路21に相当する。また、浴室空調装置2における吹出口A36は、浴室空調装置1における吹出口20に相当する。
浴室空調装置2は、脱衣室3に連通して備えられた吸込口C37を介して脱衣室3内から吸気された還気RA3を内気排出経路A34に接続された内気排出ファン10に接続する内気排出経路B38を備える。内気排出経路B38は他室吸気経路の一例である。
また、浴室空調装置2は、還気経路A35の循環ファン22とヒータ23との間に、ダンパF39を有し、ダンパF39を介して、脱衣室3に連通して設けられた吹出口B40に接続される還気経路B41を備える。還気経路B41は、他室給気経路の一例である。ここでダンパF39を操作することにより、還気経路A35の経路35aと経路35bのみが連通した状態(還気経路A35と還気経路B41が遮断した状態)、還気経路A35の経路35aと還気経路B41のみが連通した状態(還気経路A35の経路35bと、還気経路A35の経路35a及び還気経路B41とが遮断した状態)、及び還気経路A35の経路35a、経路35b及び還気経路B41が全て連通した状態の三つの状態を取ることが可能となる。また、浴室空調装置2においては、吸込口C37に、空気中の塵を除去するためのフィルタ37aを備える。
このような空気の流路の構成を備えることにより、浴室空調装置2は、浴室6及び脱衣室3の2室の空気調和を行うことが可能となる(詳細については後述する)。
次に本発明の浴室空調装置の動作例について説明する。
<第1の実施の形態の浴室空調装置の動作例>
まず、第1の実施の形態の浴室空調装置1の動作例について説明する。
(1)浴室空調装置1の制御の概要
浴室空調装置1では、以下の各動作モードが実行される。浴室空調装置1では、浴室6内の空気を吸気して室外へ排気する換気モード、浴室6内の空気を吸気して室外へ排気しつつ、浴室6内の空気を循環させる循環換気モードが実行される。
また、浴室空調装置1では、浴室6内の空気を吸気し、浴室6内より吸気した空気の一部を室外へ排気しつつ、浴室6内より吸気した空気の一部をヒートポンプ空調機4により除湿して浴室6内へ送風する除湿モードが実行される。
更に浴室空調装置1では、浴室6内の空気を吸気し、浴室6内より吸気した空気をヒートポンプ空調機4及びヒータ23により加温して浴室6内へ送風する急速暖房モード、浴室6内の空気を吸気し、浴室6内より吸気した空気をヒータ23のみにより加温して浴室6内へ送風する通常暖房モード、及び、浴室6内の空気を吸気し、浴室6内より吸気した空気をヒートポンプ空調機4にのみ加温して浴室6内へ送風する省エネ暖房モードが実行される。
また、浴室空調装置1では、熱交換素子5の熱交換流路(流路A5f及び流路B5g)を洗浄水により洗浄する洗浄モード、及び洗浄水により洗浄した熱交換素子5の熱交換流路を乾燥させる乾燥モードが実行される。これらの各動作モードは、使用者の操作部50の操作により実行される。以下において、各動作モードの詳細について説明する。
(2)換気モードの動作例
まず、換気モードの動作例について説明する。図5は換気モード実行時の浴室空調装置1の各部の状態を示す説明図である。図5以下の各動作モードの説明図においては、太矢印により空気の流通状態を示す。図5に示すように、換気モードの実行時は、ダンパD11は内気排出経路9を開いた状態となり、ダンパB12は内気排出経路9の経路9aと経路9bとを連通した状態(空調前経路13と、内気排出経路9の経路9a及び経路9bを遮断した状態)となる。また内気排出ファン10は動作した状態となる。
また、換気モードの実行時は、ダンパE26は循環経路25を閉じた状態となり、ヒータ23、循環ファン22,散水装置29及びヒートポンプ空調機4は全て停止した状態となる。ダンパA17及びダンパC14は任意の位置となる。
換気モードにおいては、浴室空調装置1の各部が以上のような状態となることにより、吸込口A7から浴室6内の空気が還気RA1として吸気され、内気排出経路9を経由して排気口8より排気EA1として排気される。これにより、浴室6内の空気の換気が行われる。
(3)循環換気モードの動作例
次に、循環換気モードの動作例について説明する。図6は循環換気モード実行時の浴室空調装置1の各部の状態を示す説明図である。図6に示すように、循環換気モードの実行時は、ダンパD11は内気排出経路9を開いた状態となり、ダンパB12は内気排出経路9の経路9aと経路9bとを連通した状態(空調前経路13と、内気排出経路9の経路9a及び経路9bを遮断した状態)となる。また内気排出ファン10は動作した状態となる。
また、循環換気モードの実行時は、ダンパE26は循環経路25を開いた状態となり、ダンパA17は空調後経路18と排気経路19を連通させた状態(還気経路21と、排気経路19及び空調後経路18との間を遮断した状態)となる。循環ファン22は動作した状態となり、ヒータ23は停止した状態となる。
更に、循環換気モードの実行時は、散水装置29及びヒートポンプ空調機4は停止した状態となる。また、ダンパC14は任意の位置となる。
循環換気モードにおいては、浴室空調装置1の各部が以上のような状態となることにより、吸込口A7から浴室6内の空気が還気RA1として吸気され、内気排出経路9を経由して排気口8より排気EA1として排気される。また、吸込口B24から浴室6内の空気が還気RA2として吸気され、吹出口20より給気SAとして浴室6内に給気される。これにより、浴室6内の空気の換気、及び浴室6内の空気の循環が行われる。
また、上述した例においては、ヒータ23は停止した状態であるとしたが、循環換気モードにおいて、ヒータ23を動作させるとしてもよい。これにより浴室6内へ給気される空気が加熱され、浴室6内の温度を上昇させながら浴室6内の空気の換気、及び浴室6内の空気の循環が行われ、浴室6内に設置される図示しないランドリーパイプ等でつるした洗濯物を乾燥させる衣類乾燥モードとして利用できる。
(4)除湿モードの動作例
次に、除湿モードの動作例について説明する。図7は除湿モード実行時の浴室空調装置1の各部の状態を示す説明図である。図7に示すように、除湿モードの実行時は、ダンパD11は内気排出経路9を開いた状態となり、ダンパB12は、内気排出経路9の経路9a、経路9b及び空調前経路13が全て連通した状態となる。
また、除湿モードの実行時は、ダンパC14は、空調前経路13の経路13aと経路13bのみを連通した状態(空調前経路13とバイパス経路15を遮断した状態)となり、ダンパA17は空調後経路18と還気経路21のみを連通した状態(空調後経路18と還気経路21と、排気経路19を遮断した状態)となる。ダンパE26は循環経路25を閉じた状態となる。また、内気排出ファン10、循環ファン22は動作した状態となる。
ヒートポンプ空調機4は、次のような動作を行う。除湿モードにおいては、熱交換器A4bは凝縮器として動作し、熱交換器B4cは蒸発器として動作する。この時、配管4a内の冷媒は図7中の矢印のように移動する。凝縮器として動作している熱交換器A4bで外気に対して熱を放出した冷媒は、膨張弁4eで膨張され蒸発器として動作している熱交換器B4cに送られる。熱交換器B4cで、ヒートポンプ経路16を流れる空気の熱を奪った冷媒は圧縮機4dにより圧縮された後、再び凝縮器として動作している熱交換器A4bへ送られ、外気に対して熱を放出する。
このような各部及び冷媒の動作により、ヒートポンプ空調機4は、除湿モードにおいてはヒートポンプ経路16を流れる空気の冷却動作を行う。
また、除湿モードの実行時は、ダンパE26は循環経路25を閉じた状態となる。また散水装置29及びヒータ23は停止した状態となる。
除湿モードにおいては、浴室空調装置1の各部が以上のような状態になることにより、浴室6内の空気の除湿が行われる。以下の説明においては、浴室6内の空気を高温高湿であるとする。まず、還気RA1として吸込口A7から吸気された浴室6内の高温高湿な空気は、内気排出経路9を介して一部が排気口8より排気EA1として排出される。また、還気RA1として吸気された浴室6内の空気の一部は、空調前経路13を介して熱交換素子5の流路B5gに送られる。
図8は、除湿モードにおいて、熱交換素子5及びヒートポンプ空調機4の熱交換器B4cを経由する空気の温度及び湿度の変化を示す説明図である。図6に示すように、空調前経路より熱交換素子5の流路B5gに送られる高温高湿の空気(図8に示す例では、温度:35.2℃、相対湿度:64.6%、絶対湿度:23.4g/Kg’)は、蒸発器として動作中の熱交換器B4cにより冷却された低温高湿の空気との間で熱交換され、中温高湿の空気(図8に示す例では、温度:27.1℃、相対湿度:100.0%、絶対湿度:22.8g/Kg’)となって熱交換素子5から出力される。
中温高湿の空気となって熱交換素子5から出力された空気は、ヒートポンプ経路16で熱交換器B4cに送られ、冷却されることにより低温高湿の空気(図8に示す例では、温度:14.4℃、相対湿度:100.0%、絶対湿度:10.3g/Kg’)に変換される。この時、中温高湿の空気が低温高湿に変換されることにより、熱交換器B4cは結露する。
熱交換器B4cにより低温高湿に変換された空気は、熱交換素子5の流路A5fに送られ、浴室6内から吸気された高温高湿の空気との間で熱交換され高温低湿の空気(図8に示す例では、温度:34.2℃、相対湿度:30.7%、絶対湿度:10.3g/Kg’)に変換され、空調後経路18に送られる。
再度、図7に戻り、熱交換素子5により高温低湿に変換された空気は、循環ファン22により空調後経路18及び還気経路21を経由して、吹出口20より浴室6内に給気SAとして給気される。
また、ヒートポンプ空調機4の熱交換器B4cに発生した結露は、ドレンパン30により捕集され排水経路31により装置の外部に排水される。
以上のような動作により、浴室空調装置1の除湿モードでは、例えば高温高湿である浴室6内の空気が吸気され、高温低湿の空気に変換されて浴室6内に給気される。これにより、浴室6内の空気の除湿が行われ、カビの発生を抑制することができる。
浴室空調装置1によれば、浴室6内の空気の除湿を行う際に、浴室6内から吸気された空気は、熱交換素子5により、ヒートポンプ空調機4により冷却された空気との間で熱交換されてヒートポンプ空調機4に入力される。これにより、熱交換素子5を備えない構成の浴室空調装置と比較して、ヒートポンプ空調機4に入力される空気の温度が下がり、ヒートポンプ空調機4に掛かる負荷を小さくし、消費電力を小さくすることが可能となる。
浴室空調装置1によれば、浴室6内の空気の除湿を行う際に、ヒートポンプ空調機4により冷却された空気は、熱交換素子5により、浴室6内から吸気された空気との間で熱交換されて浴室6内へ送風される。これにより、熱交換素子5を備えない構成の浴室空調装置と比較して、浴室6内へ送風される空気の温度が上がり、相対湿度が下がることにより、除湿性能を向上させることが可能となる。
上述した動作例の説明においては、ヒータ23は動作させないとした。しかし、ヒータ23を動作させ、浴室6内へ給気される給気SAの温度を上昇させることにより、相対湿度を下げるようにしてもよい。
また、上述した動作例においては、ダンパB12は内気排出経路9の経路9a、経路9b及び空調前経路13を全て連通させるとした。しかし、ダンパB12を、内気排出経路9の経路9aと経路9bのみを連通させた状態(空調前経路13と、内気排出経路9の経路9aと経路9bを遮断させた状態)と、内気排出経路9の経路9bと空調前経路13のみを連通させた状態(内気排出経路9の経路9aと、経路9b及び空調前経路13を遮断させた状態)の二つの状態を、除湿モード中に切り換えるとしてもよい。これにより、浴室6内及び脱衣室3内の湿度に応じて、浴室空調装置2による除湿動作を調整することが可能となる。
(5)急速暖房モードの動作例
次に、急速暖房モードの動作例について説明する。図9は急速暖房モード実行時の浴室空調装置1の各部の状態を示す説明図である。図9に示すように、急速暖房モードの実行時は、ダンパD11は内気排出経路9を開いた状態となり、ダンパB12は、内気排出経路9の経路9bと空調前経路13を連通させた状態(内気排出経路9の経路9aと、内気排出経路9の経路9b及び空調前経路13を遮断した状態)となる。
また、急速暖房モードの実行時は、ダンパC14は、空調前経路13の経路13aとバイパス経路15を連通した状態(空調前経路13の経路13bと、空調前経路13の経路13aとバイパス経路15を遮断した状態)となり、ダンパA17は空調後経路18と還気経路21のみを連通した状態(空調後経路18と還気経路21と、排気経路19とを遮断した状態)となる。ダンパE26は循環経路25を開いた状態となる。また、内気排出ファン10、循環ファン22及びヒータ23は動作した状態となる。
ヒートポンプ空調機4は、次のような動作を行う。急速暖房モードにおいては、熱交換器A4bは蒸発器として動作し、熱交換器B4cは凝縮器として動作する。この時、配管4a内の冷媒は図9中の矢印のように移動する。蒸発器として動作している熱交換器A4bで外気より熱を取り込んだ冷媒は、圧縮機4dにより圧縮された後、凝縮器として動作している熱交換器B4cに送られる。熱交換器B4cで、ヒートポンプ経路16を流れる空気に熱を与えた冷媒は膨張弁4eにより膨張された後、再び蒸発器として動作している熱交換器A4bへ送られ、外気より熱を取り込む。
このような各部及び冷媒の動作により、ヒートポンプ空調機4は、急速暖房モードにおいてはヒートポンプ経路16を流れる空気の加熱動作を行うと共にヒータ23を通電して空気の加熱動作を行う。また散水装置29は停止した状態となる。
急速暖房モードにおいては、浴室空調装置1の各部が以上のような動作をすることにより、浴室6内の空気の暖房が急速に行われる。まず、還気RA1として吸込口A7から吸気された浴室6内の空気は、内気排出経路9の経路9b、空調前経路13の経路13a、バイパス経路15及びヒートポンプ経路16を介してヒートポンプ空調機4の凝縮器として動作している熱交換器B4cに送られる。
凝縮器として動作している熱交換器B4cにより加熱された空気は、熱交換素子5の流路A5fを経由し、循環ファン22により、更に空調後経路18と還気経路21を経由して、ヒータ23により更に加熱された後、吹出口20より浴室6内に給気SAとして給気される。
ここで、吸込口A7を介して浴室6内から吸気された空気は、熱交換素子5の流路B5g内を流れず、バイパス経路15内を流れる。このため、急速暖房モードにおいては、例えば除湿モードのように、浴室6内から吸気された空気と熱交換器B4cから熱交換素子5の流路A5fに送られた空気の間で熱交換は行われない。このため、凝縮器として動作している熱交換器B4cにより加熱された空気が、浴室6内から吸気された空気との間で熱交換されることにより温度が低下してしまうことを防ぐことが可能となる。
また、吸込口B24から吸気された浴室6内の空気(還気RA2)は、循環ファン22により、循環経路25及び還気経路21を経由して、ヒータ23により加熱された後、給気SAとして浴室6内に給気される。
以上のような動作により、浴室空調装置1の急速暖房モードでは、吸気された浴室6内の空気が、ヒートポンプ空調機4及びヒータ23により加熱され、浴室6内に給気される。これにより、ヒートポンプ空調機4及びヒータ23のいずれか一方により暖房を行う場合と比較して、浴室6内の暖房を急速に行うことが可能となる。
図10は、急速暖房モード時の他の動作例を示す説明図である。図10に示す例においては、ダンパC14は空調前経路13の経路13a、経路13b及びバイパス経路15を全て連通した状態となる。これにより、図9に示す例とは異なり、浴室6内から吸気された空気は、一部がバイパス経路15内を流れ、一部が熱交換素子5の流路B5g内を流れた後、ヒートポンプ経路16を経由して熱交換器B4cに入力される。
よって、図10に示す例においては、浴室6内から吸気された空気の一部が、熱交換素子5により、蒸発器として動作している熱交換器B4cにより加熱された空気と熱交換されることにより加熱された後、熱交換器B4cに入力される。即ち、図7に示す例と比較して、熱交換器B4cに入力される空気の温度が上昇する。また、熱交換器B4cにより加熱された後、熱交換素子5の流路A5fに入力された空気は、浴室6内から吸気された空気の一部と熱交換された後、給気SAとして浴室6内へ給気される。
以上より、図10に示す例においては、ダンパC14の位置を調整して、バイパス経路15及び熱交換素子5の流路B5gを流れる空気の量を調節することにより、ヒートポンプ空調機4の負荷、浴室6内へ給気される給気SAの温度等を調節することが可能となる。
(6)通常暖房モードの動作例
次に、通常暖房モードの動作例について説明する。図11は通常暖房モード実行時の浴室空調装置1の各部の状態を示す説明図である。図11に示すように、通常暖房モードの実行時は、ダンパE26は循環経路25を開いた状態となり、ダンパA17は還気経路21と、排気経路19及び空調後経路18との間を遮断した状態となり、循環ファン22及びヒータ23は動作した状態となる。
また、通常暖房モードの実行時は、ダンパD11は内気排出経路9を閉じた状態となる。ダンパB12及びダンパC14の位置は任意である。また、内気排出ファン10、ヒートポンプ空調機4及び散水装置29は停止した状態である。
通常暖房モードにおいては、浴室空調装置1の各部が以上のような状態となることにより、吸込口B24から浴室6内の空気が還気RA2として吸気され、ヒータ23により加熱された後、吹出口20より給気SAとして浴室6内に給気される。これにより、浴室6内の空気の暖房が行われる。
上述した通常暖房モードにおいては、浴室6内の空気をヒータ23のみにより加熱するため、ヒートポンプ空調機4及びヒータ23の両方を用いて加熱する急速暖房モードと比較して、急速に暖房を行うことができないが、より省電力で浴室6内の暖房を行うことが可能となる。
(7)省エネ暖房モードの動作例
次に、省エネ暖房モードの動作例について説明する。図12は省エネ暖房モード実行時の浴室空調装置1の各部の状態を示す説明図である。図12に示すように、省エネ暖房モードの実行時は、ダンパD11は内気排出経路9を開いた状態となり、ダンパB12は、内気排出経路9の経路9bと空調前経路13を連通させた状態(内気排出経路9の経路9aと、内気排出経路9の経路9b及び空調前経路13を遮断した状態)となる。
また、省エネ暖房モードの実行時は、ダンパC14は、空調前経路13の経路13aとバイパス経路15を連通した状態(空調前経路13の経路13bと、空調前経路13の経路13aとバイパス経路15を遮断した状態)となり、ダンパA17は空調後経路18と還気経路21のみを連通した状態(空調後経路18と還気経路21と、排気経路19とを遮断した状態)となる。ダンパE26は循環経路25を閉じた状態となる。また、内気排出ファン10、循環ファン22は動作した状態となる。
ヒートポンプ空調機4は、急速暖房モード時と同様に、熱交換器A4bは蒸発器として動作し、熱交換器B4cは凝縮器として動作し、ヒートポンプ経路16を流れる空気の加熱動作を行う。
また散水装置29及びヒータ23は停止した状態となる。ダンパE26は循環経路25を閉じた状態となる。
省エネ暖房モードにおいては、浴室空調装置1の各部が以上のような動作をすることにより、浴室6内の空気の暖房が行われる。まず、還気RA1として吸込口A7から吸気された浴室6内の空気は、内気排出経路9の経路9b、空調前経路13の経路13a、バイパス経路15及びヒートポンプ経路16を介してヒートポンプ空調機4の凝縮器として動作している熱交換器B4cに送られる。
凝縮器として動作している熱交換器B4cにより加熱された空気は、熱交換素子5の流路A5fを経由し、循環ファン22により、更に空調後経路18と還気経路21を経由して、吹出口20より浴室6内に給気SAとして給気される。
ここで、吸込口A7を介して浴室6内から吸気された空気は、熱交換素子5の流路B5g内を流れず、バイパス経路15内を流れる。このため、省エネ暖房モードにおいては、例えば除湿モードのように、浴室6内から吸気された空気と熱交換器B4cから熱交換素子5の流路A5fに送られた空気の間で熱交換は行われない。このため、凝縮器として動作している熱交換器B4cにより加熱された空気が、浴室6内から吸気された空気との間で熱交換されることにより温度が低下してしまうことを防ぐことが可能となる。
以上のような動作により、浴室空調装置1の省エネ暖房モードでは、吸気された浴室6内の空気が、ヒートポンプ空調機4により加熱され、浴室6内に給気され、浴室内の暖房が行われる。また、省エネ暖房運転モードにおいては、上述したヒータ23のみにより浴室6内の暖房を行う通常暖房モードと異なり、ヒートポンプ空調機4のみにより浴室6内の暖房を行うため、暖房をより省電力で行うことが可能となる。
また、省エネ暖房モードにおいても、図11に示すように、ダンパC14は空調前経路13の経路13a、経路13b及びバイパス経路15を全て連通した状態とし、バイパス経路15及び熱交換素子5の流路B5gを流れる空気の量を調節することにより、ヒートポンプ空調機4の負荷、浴室6内へ給気される給気SAの温度等を調節することが可能となる。
(8)洗浄・乾燥モードの動作例
次に、浴室空調装置1の洗浄・乾燥モードの動作例について説明する。まず、洗浄モードの動作例について説明する。図13は洗浄モード実行時の浴室空調装置1の各部の状態を示す説明図である。図13に示すように、洗浄モードの実行時は、散水装置29のみが動作した状態となる。内気排出ファン10,循環ファン22、ヒータ23、ヒートポンプ空調機4は停止した状態となる。また、各ダンパは任意の位置となる。
洗浄モードにおいては、浴室空調装置1の各部が上述した状態になることにより、次のように熱交換素子5の流路A5f及び流路B5gの洗浄が行われる。まず給水経路28により散水装置に対して給水される。この時、ディスペンサ27より洗浄液が供給される。ディスペンサ27より供給された洗浄液を含む洗浄水が、散水装置29により、熱交換素子5の上部に散水される。熱交換素子5の上部に散水された洗浄水は、図2に示すような熱交換素子5の上部の開口部より流路A5f及び流路B5gの内部に流れる。この内部に流れた洗浄水により、流路A5f及び流路B5gは洗浄される。
流路A5f及び流路B5gの内部を流れた洗浄水は、熱交換素子5の下部の開口部より、熱交換素子5の下方に位置するドレンパン30上へ落下し捕集される。ドレンパン30により捕集された洗浄水は、排水経路により装置の外部へ排水される。このような動作により、熱交換素子5の流路A5f及び流路B5gの洗浄が行われる。
次に、乾燥モードの動作例について説明する。図14は乾燥モード実行時の浴室空調装置1の各部の状態を示す説明図である。図14に示すように、乾燥モードの実行時は、ダンパD11は内気排出経路9を開いた状態となり、ダンパB12は、内気排出経路9の経路9bと空調前経路13を連通した状態(内気排出経路9の経路9aと、内気排出経路9の経路9b及び空調前経路13を遮断した状態)となる。
また、乾燥モードの実行時は、ダンパC14は、空調前経路13の経路13aと経路13bのみを連通した状態(空調前経路13とバイパス経路15を遮断した状態)となり、ダンパA17は空調後経路18と排気経路19のみを連通した状態(還気経路21と、空調後経路18と排気経路19を遮断した状態)となる。ダンパE26は循環経路25を閉じた状態となる。また、内気排出ファン10は動作した状態となる。
ヒートポンプ空調機4、循環ファン22、ヒータ23及び散水装置29は停止した状態となる。
乾燥モードにおいては、浴室空調装置1の各部が以上のような状態になることにより、浴室6内の空気の除湿が行われる。まず、還気RA1として吸込口A7から吸気された浴室6内の空気は、内気排出経路9の経路9b、空調前経路13の経路13aを介して熱交換素子5の流路B5gに送られる。熱交換素子5の流路B5gを流れた空気はヒートポンプ経路16を経由して、熱交換素子5の流路A5fに送られる。熱交換素子5の流路A5fを流れた空気は、空調後経路18及び排気経路19を経由して排気EA2として排気口8から室外に排出される。
以上のような動作により、洗浄モードで洗浄された後の熱交換素子5の流路A5f及び流路B5gの乾燥が行われる。このように、熱交換素子5の流路A5f及び流路B5gの洗浄及び乾燥を行うことにより、熱交換素子5の流路A5f及び流路B5gを清潔にしてカビの発生等を抑制することできる。
(9)浴室空調装置1’の動作例
次に、第1の実施の浴室空調装置の他の例である図3に示す浴室空調装置1’の動作例について説明する。浴室空調装置1’は、換気モード、循環換気モード、急速暖房モード、通常暖房モード、省エネ暖房モード、洗浄・乾燥モードにおいては、ダンパG32を空調後経路18の経路18bと空調後経路A33のみを連通させた状態(空調後経路18の経路18aと、空調後経路A33及び経路18bを遮断した状態)にすることにより、浴室空調装置1と同様の動作例となる。
浴室空調装置1’は、除湿モードにおいて、浴室空調装置1と異なる動作例となる。図15は浴室空調装置1’の除湿モードの動作例を示す説明図である。図15に示すように、除湿モードにおいては、ダンパG32は空調後経路18の経路18bと空調後経路A33のみを連通させた状態(空調後経路18の経路18aと、空調後経路A33及び空調後経路18の経路18bを遮断した状態)となる。
これにより、熱交換素子5の流路A5fを通過して熱交換された空気は空調後経路A33により熱交換器A4bを経由した後、循環経路25を通って給気SAとして浴室6内に給気される。
ここで、熱交換器A4bは凝縮器として動作しているため、熱交換器A4bを経由した空気は加熱され温度が上昇する。即ち浴室6内に給気される給気SAの温度が高くなることにより相対湿度が低下し、より浴室6内の空気の除湿効果を高めることが可能となる。これは浴室6内に設置された洗濯物の乾燥を行う際により有効となる。
また、浴室空調装置1’においては、このような効果を、熱交換器A4bより外気に排出される熱を再利用することにより得ることができる。
<第2の実施の形態の浴室空調装置の動作例>
次に、第2の実施の形態の浴室空調装置2の動作例について説明する。
(1)浴室空調装置2の制御の概要
浴室空調装置2では、例えば、以下の各動作モードが実行される。浴室空調装置2では、浴室6内及び脱衣室3内の空気を吸気して室外へ排気する換気モード、浴室6内及び脱衣室3内の空気を吸気して室外へ排気しつつ、浴室6内の空気を循環させる循環換気モードが実行される。
また、浴室空調装置2では、浴室6内及び脱衣室3内の空気を吸気し、浴室6内及び脱衣室3内より吸気した空気の一部を室外へ排気しつつ、浴室6内及び脱衣室3内より吸気した空気の一部をヒートポンプ空調機4により除湿して浴室6内及び脱衣室3内へ送風する第1除湿モード、及び脱衣室3内の空気を吸気し、脱衣室3内より吸気した空気の一部を室外へ排気しつつ、脱衣室3内より吸気した空気の一部をヒートポンプ空調機4により除湿して脱衣室3内へ送風する第2除湿モードが実行される。
更に浴室空調装置2では、浴室6内及び脱衣室3内の空気を吸気し、浴室6内及び脱衣室3内より吸気した空気をヒートポンプ空調機4及びヒータ23により加温して浴室6内及び脱衣室3内へ送風する第1暖房モード、浴室6内及び脱衣室3内の空気を吸気し、浴室6より吸気した空気をヒータ23により加熱して浴室6内に送風しつつ、脱衣室3内より吸気した空気をヒートポンプ空調機4及びヒータ23により加温して浴室6内送風する第2暖房モード、浴室6内及び脱衣室3内の空気を吸気し、浴室6内及び脱衣室3内より吸気した空気をヒートポンプ空調機4及びヒータ23により加温して浴室6内へ送風する第3暖房モード、及び脱衣室3内より吸気した空気をヒートポンプ空調機4により加温して脱衣室3内送風する第4暖房モードが実行される。
また、浴室空調装置2では、熱交換素子5の熱交換流路を洗浄水により洗浄する洗浄モード、及び洗浄水により洗浄した熱交換素子5の熱交換流路を乾燥させる乾燥モードが実行される。これらの各動作モードは、使用者の操作部50の操作により実行される。以下において、各動作モードの詳細について説明する。
(2)換気モードの動作例
まず、換気モードの動作例について説明する。図16は換気モード実行時の浴室空調装置2の各部の状態を示す説明図である。図16に示すように、換気モードの実行時は、ダンパD11は内気排出経路A34を開いた状態となり、ダンパB12は内気排出経路A34の経路34aと経路34bとを連通した状態(空調前経路13と、内気排出経路A34の経路34a及び経路34bを遮断した状態)となる。また内気排出ファン10は動作した状態となる。
また、換気モードの実行時は、ダンパE26は循環経路25を閉じた状態となり、ヒータ23、循環ファン22,散水装置29及びヒートポンプ空調機4は全て停止した状態となる。ダンパA17、ダンパC14及びダンパF39は任意の位置となる。
換気モードにおいては、浴室空調装置1の各部が以上のような状態となることにより、吸込口A7から浴室6内の空気が還気RA1として吸気され、吸込口C37から脱衣室3内の空気が還気RA3として吸気される。浴室6内及び脱衣室3内から吸気された空気は、内気排出経路A34及び内気排出経路B38を経由して排気口8より排気EA1として排気される。これにより、浴室6内及び脱衣室3内の空気の換気が行われる。
(3)循環換気モードの動作例
次に、循環換気モードの動作例について説明する。図17は循環換気モード実行時の浴室空調装置2の各部の状態を示す説明図である。図17に示すように、循環換気モードの実行時は、ダンパD11は内気排出経路A34を開いた状態となり、ダンパB12は内気排出経路A34の経路34aと経路34bとを連通した状態(空調前経路13と、内気排出経路A34の経路34a及び経路34bを遮断した状態)となる。また内気排出ファン10は動作した状態となる。
また、循環換気モードの実行時は、ダンパE26は循環経路25を開いた状態となり、ダンパA17は空調後経路18と排気経路19を連通した状態(還気経路A35と、排気経路19及び空調後経路18との間を遮断した状態)となり、ダンパF39は還気経路A35の経路35aと経路35bのみを連通した状態(還気経路B41と、還気経路A35の経路35a及び経路35bを遮断した状態)となる。
更に、循環換気モードの実行時は、循環ファン22は動作した状態となり、ヒータ23は停止した状態となる。散水装置29及びヒートポンプ空調機4は停止した状態となる。また、ダンパC14は任意の位置となる。
循環換気モードにおいては、浴室空調装置2の各部が以上のような状態となることにより、吸込口A7から浴室6内の空気が還気RA1として吸気され、吸込口C37から脱衣室3内の空気が還気RA3として吸気される。吸気された浴室6内及び脱衣室3内の空気は、内気排出経路A34及び内気排出経路B38を経由して排気口8より排気EA1として排気される。また、吸込口B24から浴室6内の空気が還気RA2として吸気され、吹出口20より給気SAとして浴室6内に給気される。これにより、浴室6内及び脱衣室3内の空気の換気、及び浴室6内の空気の循環が行われる。
また、上述した例においては、ヒータ23は停止した状態であるとしたが、循環換気モードにおいて、ヒータ23を動作させるとしてもよい。これにより浴室6内へ給気される空気が加熱され、浴室6内の温度を上昇させながら浴室6内及び脱衣室3内の空気の換気、及び浴室6内の空気の循環が行われる。
(4)第1除湿モードの動作例
次に、第1除湿モードの動作例について説明する。図18は第1除湿モード実行時の浴室空調装置2の各部の状態を示す説明図である。図18に示すように、第1除湿モードの実行時は、ダンパD11は内気排出経路A34を開いた状態となり、ダンパB12は、内気排出経路A34の経路34a、経路34b及び空調前経路13が全て連通した状態となる。
また、第1除湿モードの実行時は、ダンパC14は、空調前経路13の経路13aと経路13bのみを連通した状態(空調前経路13とバイパス経路15を遮断した状態)となり、ダンパA17は空調後経路18と還気経路A35のみを連通した状態(空調後経路18と還気経路A35と、排気経路19を遮断した状態)となる。ダンパE26は循環経路25を閉じた状態となり、ダンパF39は還気経路A35の経路35a、経路35b及び還気経路B41を全て連通した状態となる。また、内気排出ファン10、循環ファン22は動作した状態となる。
ヒートポンプ空調機4は、図7で説明した浴室空調装置1の除湿モードと同様に、熱交換器A4bは凝縮器として動作し、熱交換器B4cは蒸発器として動作し、ヒートポンプ経路16を流れる空気の冷却動作を行う。また、第1除湿モードの実行時は、ダンパE26は循環経路25を閉じた状態となる。また散水装置29及びヒータ23は停止した状態となる。
第1除湿モードにおいては、浴室空調装置2の各部が以上のような状態になることにより、浴室6内及び脱衣室3内の空気の除湿が行われる。以下の説明においては、浴室6内の空気を高温高湿であるとする。まず、還気RA1として吸込口A7から浴室6内の空気が吸気され、還気RA3として吸込口C37から脱衣室3内の空気が吸気される。
浴室6内及び脱衣室3内から吸気された高温高湿な空気は、内気排出経路A34及び内気排出経路B38を介して一部が排気口8より排気EA1として排出される。また、吸気された浴室6内及び脱衣室3内の空気の一部は、空調前経路13を介して熱交換素子5の流路B5gに送られる。
ここで、熱交換素子5の流路B5gに送られた高温高湿の空気は、図8で説明した浴室空調装置1の除湿モード時と同様に、蒸発器として動作中の熱交換器B4cにより冷却された低温高湿の空気との間で熱交換され、中温高湿の空気となって熱交換素子5から出力される。
中温高湿の空気となって熱交換素子5から出力された空気は、ヒートポンプ経路16で熱交換器B4cに送られ、冷却されることにより低温高湿の空気に変換される。この時、中温高湿の空気が低温高湿に変換されることにより、熱交換器B4cは結露する。熱交換器B4cにより低温高湿に変換された空気は、熱交換素子5の流路A5fに送られ、浴室6内から吸気された高温高湿の空気との間で熱交換され高温低湿の空気に変換され、空調後経路18に送られる。
図18に戻り、熱交換素子5により高温低湿に変換された空気は、循環ファン22により空調後経路18、還気経路A35及び還気経路B41を経由して、吹出口A36より浴室6内に給気SA1として給気され、吹出口B40より脱衣室3内に給気SA2として給気される。
また、ヒートポンプ空調機4の熱交換器B4cに発生した結露は、ドレンパン30により捕集され排水経路31により装置の外部に排水される。
以上のような動作により、浴室空調装置2の第1除湿モードでは、例えば高温高湿である浴室6内及び脱衣室3内の空気が吸気され、高温低湿の空気に変換されて浴室6内及び脱衣室3内に給気される。これにより、浴室6内及び脱衣室3内の空気の除湿が行われ、カビの発生等を抑制することができる。
浴室空調装置2によれば、浴室空調装置1と同様に、浴室6内の空気の除湿を行う際に、浴室6内及び脱衣室3内から吸気された空気は、熱交換素子5により、ヒートポンプ空調機4により冷却された空気との間で熱交換されてヒートポンプ空調機4に入力される。これにより、熱交換素子5を備えない構成の浴室空調装置と比較して、ヒートポンプ空調機4に入力される空気の温度が下がり、ヒートポンプ空調機4に掛かる負荷を小さくし、消費電力を小さくすることが可能となる。
また、浴室空調装置2によれば、浴室空調装置1と同様に、浴室6内及び脱衣室3内の空気の除湿を行う際に、ヒートポンプ空調機4により冷却された空気は、熱交換素子5により、浴室6内から吸気された空気との間で熱交換されて浴室6内へ送風される。これにより、熱交換素子5を備えない構成の浴室空調装置と比較して、浴室6内へ送風される空気の温度が上がり、相対湿度が下がることにより、除湿性能を向上させることが可能となる。
上述した動作例の説明においては、ヒータ23は動作させないとした。しかし、ヒータ23を動作させ、浴室6内へ給気される給気SAの温度を上昇させることにより、相対湿度を下げるようにしてもよい。
また、上述した動作例においては、ダンパB12は内気排出経路A34の経路34a、経路34b及び空調前経路13を全て連通させるとした。しかし、ダンパB12を、内気排出経路A34の経路34aと経路34bのみを連通させた状態(空調前経路13と、内気排出経路A34の経路34aと経路34bを遮断させた状態)と、内気排出経路A34の経路34bと空調前経路13のみを連通させた状態(内気排出経路A34の経路34aと、経路34b及び空調前経路13を遮断させた状態)の二つの状態を、第1除湿モード中に切り換えるとしてもよい。これにより、浴室6内及び脱衣室3内の湿度に応じて、浴室空調装置2による除湿動作を調整することが可能となる。
(5)第2の除湿モードの動作例
次に、第2除湿モードの動作例について説明する。図19は第2除湿モード実行時の浴室空調装置2の各部の状態を示す説明図である。図19に示すように、第2除湿モードの実行時は、図18に示す第1除湿モードと比較して、ダンパD11及びダンパF39の状態が異なる。第2除湿モードの実行時は、ダンパD11が内気排出経路A34を閉じた状態となり、ダンパF39が循環経路A35の経路35aと還気経路B41のみを連通させた状態(循環経路A35の経路35bと、循環経路A35の経路35aと還気経路B41とを遮断した状態)となる。
第2除湿モードにおいては、浴室空調装置2の各部が以上のような状態になることにより、脱衣室3内の空気の除湿が行われる。以下の説明においては、脱衣室3内の空気を高温高湿であるとする。まず、還気RA3として吸込口C37から脱衣室3内の空気が吸気される。
脱衣室3内から吸気された高温高湿な空気は、内気排出経路A34及び内気排出経路B38を介して一部が排気口8より排気EA1として排出される。また、吸気された浴室6内及び脱衣室3内の空気の一部は、空調前経路13を介して熱交換素子5の流路B5gに送られる。
ここで、熱交換素子5の流路B5gに送られた高温高湿の空気は、図8で説明した浴室空調装置1の除湿モード時と同様に、蒸発器として動作中の熱交換器B4cにより冷却された低温高湿の空気との間で熱交換され、中温高湿の空気となって熱交換素子5から出力される。
中温高湿の空気となって熱交換素子5から出力された空気は、ヒートポンプ経路16で熱交換器B4cに送られ、冷却されることにより低温高湿の空気に変換される。この時、中温高湿の空気が低温高湿に変換されることにより、熱交換器B4cは結露する。熱交換器B4cにより低温高湿に変換された空気は、熱交換素子5の流路A5fに送られ、浴室6内から吸気された高温高湿の空気との間で熱交換され高温低湿の空気に変換され、空調後経路18に送られる。
図19に戻り、熱交換素子5により高温低湿に変換された空気は、循環ファン22により空調後経路18、還気経路A35及び還気経路B41を経由して、吹出口B40より脱衣室3内に給気SA2として給気される。
また、ヒートポンプ空調機4の熱交換器B4cに発生した結露は、ドレンパン30により捕集され排水経路31により装置の外部に排水される。
以上のような動作により、浴室空調装置2の第2除湿モードでは、例えば高温高湿である脱衣室3内の空気が吸気され、高温低湿の空気に変換されて浴室6内及び脱衣室3内に給気される。これにより、脱衣室3内の空気の除湿が行われ、カビの発生等を抑制することができる。
浴室空調装置2によれば、浴室空調装置1と同様に、浴室6内の空気の除湿を行う際に、浴室6内及び脱衣室3内から吸気された空気は、熱交換素子5により、ヒートポンプ空調機4により冷却された空気との間で熱交換されてヒートポンプ空調機4に入力される。これにより、熱交換素子5を備えない構成の浴室空調装置と比較して、ヒートポンプ空調機4に入力される空気の温度が下がり、ヒートポンプ空調機4に掛かる負荷を小さくし、消費電力を小さくすることが可能となる。
また、上述した動作例においては、ダンパB12は内気排出経路A34の経路34a、経路34b及び空調前経路13を全て連通させるとした。しかし、ダンパB12を、内気排出経路A34の経路34aと経路34bのみを連通させた状態(空調前経路13と、内気排出経路A34の経路34aと経路34bを遮断させた状態)と、内気排出経路A34の経路34bと空調前経路13のみを連通させた状態(内気排出経路A34の経路34aと、経路34b及び空調前経路13を遮断させた状態)の二つの状態を、第2除湿モード中に切り換えるとしてもよい。これにより、脱衣室3内の湿度に応じて、浴室空調装置2による除湿動作を調整することが可能となる。
(6)第1暖房モードの動作例
次に、第1暖房モードの動作例について説明する。図20は第1暖房モード実行時の浴室空調装置2の各部の状態を示す説明図である。図20に示すように、第1暖房モードの実行時は、ダンパD11は内気排出経路A34を開いた状態となり、ダンパB12は、内気排出経路A34の経路34bと空調前経路13を連通させた状態(内気排出経路A34の経路34aと、内気排出経路A34の経路34b及び空調前経路13を遮断した状態)となる。
また、第1暖房モードの実行時は、ダンパC14は、空調前経路13の経路13aとバイパス経路15を連通した状態(空調前経路13の経路13bと、空調前経路13の経路13aとバイパス経路15を遮断した状態)となり、ダンパA17は空調後経路18と還気経路21のみを連通した状態(空調後経路18と還気経路21と、排気経路19を遮断した状態)となる。ダンパE26は循環経路25を開いた状態となり、ダンパF39は還気経路A35の経路35a、経路35b及び還気経路B41を全て連通した状態となる。また、内気排出ファン10、循環ファン22及びヒータ23は動作した状態となる。
ヒートポンプ空調機4は、浴室空調装置1の急速暖房モード時と同様に、熱交換器A4bは蒸発器として動作し、熱交換器B4cは凝縮器として動作し、ヒートポンプ経路16を流れる空気の加熱動作を行う。また散水装置29は停止した状態となる。
第1暖房モードにおいては、浴室空調装置2の各部が以上のような状態になることにより、浴室6内及び脱衣室3内の空気の暖房が行われる。まず、還気RA1として吸込口A7から吸気された浴室6内の空気、及び還気RA3として吸込口C37から吸気された脱衣室3内の空気は、内気排出経路A34、内気排出経路B38、空調前経路13の経路13a、バイパス経路15及びヒートポンプ経路16を介してヒートポンプ空調機4の凝縮器として動作している熱交換器B4cに送られる。
凝縮器として動作している熱交換器B4cにより加熱された空気は、熱交換素子5の流路A5fを経由し、循環ファン22により、更に空調後経路18と還気経路A35を経由して、ヒータ23により更に加熱された後、一部が吹出口A36より浴室6内に給気SA1として給気され、一部が吹出口B40より脱衣室3内に給気SA2として給気される。
ここで、吸込口A7を介して浴室6内から吸気された空気及び吸込口C37を介して脱衣室3内から吸気された空気は、熱交換素子5の流路B5g内を流れず、バイパス経路15内を流れる。このため、第1暖房モードにおいては、例えば除湿モードのように、浴室6内から吸気された空気と熱交換器B4cから熱交換素子5の流路A5fに送られた空気の間で熱交換は行われない。このため、凝縮器として動作している熱交換器B4cにより加熱された空気が、浴室6内及び脱衣室3内から吸気された空気との間で熱交換されることにより温度が低下してしまうことを防ぐことが可能となる。
また、吸込口B24から吸気された浴室6内の空気(還気RA2)は、循環ファン22により、循環経路25及び還気経路A35を経由して、ヒータ23により更に加熱された後、吹出口A36より給気SA1として浴室6内に給気され、一部が吹出口B40より給気SA2として脱衣室内に給気される。
以上のような動作により、浴室空調装置2の第1暖房モードでは、吸気された浴室6内及び脱衣室3内の空気の一部が、ヒートポンプ空調機4及びヒータ23により加熱され、浴室6内に給気される。更に、吸気された浴室6内及び脱衣室3内の空気の一部が、ヒートポンプ空調機4により加熱され、脱衣室3内に給気される。これにより、ヒートポンプ空調機4及びヒータ23のいずれか一方により暖房を行う場合と比較して、浴室6内及び脱衣室3の暖房を行うことが可能となる。
また、上述した浴室空調装置2の第1暖房モードにおいても、図10に示す浴室空調装置1の急速暖房モードの他の動作例のように、ダンパC14は空調前経路13の経路13a、経路13b及びバイパス経路15を全て連通した状態とし、バイパス経路15及び熱交換素子5の流路B5gを流れる空気の量を調節することにより、ヒートポンプ空調機4の負荷、浴室6内へ給気される給気SA1の温度等を調節することが可能となる。
(7)第2暖房モードの動作例
次に、第2暖房モードの動作例について説明する。図21は第2暖房モード実行時の浴室空調装置2の各部の状態を示す説明図である。図21に示すように、第2暖房モードの実行時は、ダンパD11は内気排出経路A34を閉じた状態となり、ダンパB12は、内気排出経路A34の経路34bと空調前経路13を連通させた状態(内気排出経路A34の経路34aと、内気排出経路A34の経路34b及び空調前経路13を遮断した状態)となる。
また、第2暖房モードの実行時は、ダンパC14は、空調前経路13の経路13aとバイパス経路15を連通した状態(空調前経路13の経路13bと、空調前経路13の経路13aとバイパス経路15を遮断した状態)となり、ダンパA17は空調後経路18と還気経路21のみを連通した状態(空調後経路18と還気経路21と、排気経路19を遮断した状態)となる。ダンパE26は循環経路25を開いた状態となり、ダンパF39は還気経路A35の経路35a、経路35b及び還気経路B41を全て連通した状態となる。また、内気排出ファン10、循環ファン22及びヒータ23は動作した状態となる。
ヒートポンプ空調機4は、第1暖房モード時と同様に、熱交換器A4bは蒸発器として動作し、熱交換器B4cは凝縮器として動作し、ヒートポンプ経路16を流れる空気の加熱動作を行う。また散水装置29は停止した状態となる。
第2暖房モードにおいては、浴室空調装置2の各部が以上のような状態になることにより、浴室6内及び脱衣室3内の空気の暖房が行われる。まず、還気RA3として吸込口C37から吸気された脱衣室3内の空気は、内気排出経路A34、内気排出経路B38、空調前経路13の経路13a、バイパス経路15及びヒートポンプ経路16を介してヒートポンプ空調機4の凝縮器として動作している熱交換器B4cに送られる。
凝縮器として動作している熱交換器B4cにより加熱された空気は、熱交換素子5の流路A5fを経由し、循環ファン22により、更に空調後経路18と還気経路A35を経由して、ヒータ23により更に加熱された後、吹出口A36より浴室6内に給気SA1として給気される。
ここで、第1暖房モードと同様に、吸込口C37を介して脱衣室3内から吸気された空気は、熱交換素子5の流路B5g内を流れず、バイパス経路15内を流れる。このため、第2暖房モードにおいては、例えば除湿モードのように、浴室6内から吸気された空気と熱交換器B4cから熱交換素子5の流路A5fに送られた空気の間で熱交換は行われない。このため、凝縮器として動作している熱交換器B4cにより加熱された空気が、浴室6内及び脱衣室3内から吸気された空気との間で熱交換されることにより温度が低下してしまうことを防ぐことが可能となる。
また、吸込口B24から吸気された浴室6内の空気(還気RA2)は、循環ファン22により、循環経路25及び還気経路A35を経由して、ヒータ23により加熱された後、吹出口A36より給気SA1として浴室6内に給気される。
また、脱衣室3内より還気RA3として空気が吸気されることにより、図21の矢印Lに示すように、浴室6内から脱衣室3内へガラリ6aを介して空気が移動する。
以上のような動作により、浴室空調装置2の第2暖房モードでは、吸気された脱衣室3内の空気が、ヒートポンプ空調機4及びヒータ23により加熱され、浴室6内に給気される。更に、吸気された浴室6内の空気がヒータ23により加熱され、浴室6内に給気される。これにより、浴室6内の暖房が行われる。また、図21の矢印Lに示すように、ガラリ6aを介して浴室6内の空気が脱衣室3内に移動することにより、脱衣室3内の暖房が間接的に行われる。
また、第2暖房モードにおいても、図10に示す浴室空調装置1の急速暖房モードの他の動作例のように、ダンパC14は空調前経路13の経路13a、経路13b及びバイパス経路15を全て連通した状態とし、バイパス経路15及び熱交換素子5の流路B5gを流れる空気の量を調節することにより、ヒートポンプ空調機4の負荷、浴室6内へ給気される給気SA1の温度等を調節することが可能となる。
(8)第3暖房モードの動作例
次に、第3暖房モードの動作例について説明する。図22は第3暖房モード実行時の浴室空調装置2の各部の状態を示す説明図である。図22に示すように、第3暖房モードの実行時は、ダンパD11は内気排出経路A34を開いた状態となり、ダンパB12は、内気排出経路A34の経路34bと空調前経路13を連通させた状態(内気排出経路A34の経路34aと、内気排出経路A34の経路34b及び空調前経路13を遮断した状態)となる。
また、第3暖房モードの実行時は、ダンパC14は、空調前経路13の経路13aとバイパス経路15を連通した状態(空調前経路13の経路13bと、空調前経路13の経路13aとバイパス経路15を遮断した状態)となり、ダンパA17は空調後経路18と還気経路21のみを連通した状態(空調後経路18と還気経路21と、排気経路19を遮断した状態)となる。ダンパE26は循環経路25を閉じた状態となり、ダンパF39は還気経路A35の経路35aと経路35bのみを連通した状態(還気経路B41と、還気経路A35の経路35a及び経路35bを遮断した状態)また、内気排出ファン10、循環ファン22及びヒータ23は動作した状態となる。
ヒートポンプ空調機4は、第1、第2暖房モード時と同様に、熱交換器A4bは蒸発器として動作し、熱交換器B4cは凝縮器として動作し、ヒートポンプ経路16を流れる空気の加熱動作を行う。また散水装置29は停止した状態となる。
第3暖房モードにおいては、浴室空調装置2の各部が以上のような状態になることにより、浴室6内及び脱衣室3内の空気の暖房が行われる。まず、還気RA1として吸込口A7から吸気された浴室6内の空気、及び還気RA3として吸込口C37から吸気された脱衣室3内の空気は、内気排出経路A34、内気排出経路B38、空調前経路13の経路13a、バイパス経路15及びヒートポンプ経路16を介してヒートポンプ空調機4の凝縮器として動作している熱交換器B4cに送られる。
凝縮器として動作している熱交換器B4cにより加熱された空気は、熱交換素子5の流路A5fを経由し、循環ファン22により、更に空調後経路18と還気経路A35を経由して、ヒータ23により更に加熱された後、吹出口A36より浴室6内に給気SA1として給気される。
ここで、吸込口A7を介して浴室6内から吸気された空気及び吸込口C37を介して脱衣室3内から吸気された空気は、熱交換素子5の流路B5g内を流れず、バイパス経路15内を流れる。このため、第3暖房モードにおいては、例えば除湿モードのように、浴室6内から吸気された空気と熱交換器B4cから熱交換素子5の流路A5fに送られた空気の間で熱交換は行われない。このため、凝縮器として動作している熱交換器B4cにより加熱された空気が、浴室6内及び脱衣室3内から吸気された空気との間で熱交換されることにより温度が低下してしまうことを防ぐことが可能となる。
また、脱衣室3内より還気RA3として空気が吸気されることにより、図22の矢印Mに示すように、浴室6内から脱衣室3内へガラリ6aを介して空気が移動する。
以上のような動作により、浴室空調装置2の第3暖房モードでは、吸気された浴室6内及び脱衣室3内の空気が、ヒートポンプ空調機4及びヒータ23により加熱され、浴室6内に給気される。これにより、浴室6内の暖房が行われる。また、図22の矢印Mに示すように、ガラリ6aを介して浴室6内の空気が脱衣室3内に移動することにより、脱衣室3内の暖房が間接的に行われる。
また、第3暖房モードにおいても、図10に示す浴室空調装置1の急速暖房モードの他の動作例のように、ダンパC14は空調前経路13の経路13a、経路13b及びバイパス経路15を全て連通した状態とし、バイパス経路15及び熱交換素子5の流路B5gを流れる空気の量を調節することにより、ヒートポンプ空調機4の負荷、浴室6内へ給気される給気SA1の温度等を調節することが可能となる。
(9)第4暖房モードの動作例
次に、第4暖房モードの動作例について説明する。図23は第4暖房モード実行時の浴室空調装置2の各部の状態を示す説明図である。図23に示すように、第4暖房モードの実行時は、図20に示す第1暖房モードと比較して、ダンパD11、ダンパE26及びダンパF39の状態が異なる。第4暖房モードの実行時は、ダンパD11が内気排出経路A34を閉じた状態となり、ダンパE26が循環経路25を閉じた状態となり、ダンパF39が循環経路A35の経路35aと還気経路B41のみを連通させた状態(循環経路A35の経路35bと、循環経路A35の経路35aと還気経路B41とを遮断した状態)となる。
第4暖房モードにおいては、浴室空調装置2の各部が以上のような状態になることにより、脱衣室3内の空気の暖房が行われる。まず、還気RA3として吸込口C37から吸気された脱衣室3内の空気は、内気排出経路B38、内気排出経路A34、空調前経路13の経路13a、バイパス経路15及びヒートポンプ経路16を介してヒートポンプ空調機4の凝縮器として動作している熱交換器B4cに送られる。
凝縮器として動作している熱交換器B4cにより加熱された空気は、熱交換素子5の流路A5fを経由し、循環ファン22により、更に空調後経路18と還気経路A35を経由して、吹出口B40より脱衣室3内に給気SA2として給気される。
ここで、吸込口C37を介して脱衣室3内から吸気された空気は、熱交換素子5の流路B5g内を流れず、バイパス経路15内を流れる。このため、第4暖房モードにおいては、例えば除湿モードのように、脱衣室3内から吸気された空気と熱交換器B4cから熱交換素子5の流路A5fに送られた空気の間で熱交換は行われない。このため、凝縮器として動作している熱交換器B4cにより加熱された空気が、脱衣室3内から吸気された空気との間で熱交換されることにより温度が低下してしまうことを防ぐことが可能となる。
以上のような動作により、浴室空調装置2の第4暖房モードでは、吸気された脱衣室3内の空気の一部が、ヒートポンプ空調機4により加熱され、脱衣室3内に給気される。これにより脱衣室3の暖房を行うことが可能となる。
また、上述した浴室空調装置2の第4暖房モードにおいても、図10に示す浴室空調装置1の急速暖房モードの他の動作例のように、ダンパC14は空調前経路13の経路13a、経路13b及びバイパス経路15を全て連通した状態とし、バイパス経路15及び熱交換素子5の流路B5gを流れる空気の量を調節することにより、ヒートポンプ空調機4の負荷、脱衣室3内へ給気される給気SA2の温度等を調節することが可能となる。
(10)他の動作モードの動作例
浴室空調装置2においても、浴室空調装置1と同様に、熱交換素子5の熱交換流路を洗浄水により洗浄する洗浄モード、及び洗浄水により洗浄した熱交換素子5の熱交換流路を乾燥させる乾燥モードが実行される。浴室空調装置2における洗浄モード及び乾燥モードは、図10及び図11を用いて説明した動作例と同様に実行される。これにより、熱交換素子5の流路A5f及び流路B5gの洗浄及び乾燥を行われ、熱交換素子5の流路A5f及び流路B5gを清潔にしてカビの発生等を抑制することができる。
(11)第2の浴室空調装置の他の構成例及び動作例
また、浴室空調装置2において、図3に示すように空調後経路18の途中にダンパG32と、ダンパG32に接続され熱交換器A4bを経由して空調後経路18に接続される空調後経路A33とを備えるとしてもよい。これにより、除湿モードの実行時に、ダンパG32を空調後経路A33と空調後経路18の経路18bを連結させた状態(空調後経路18の経路18aと、空調後経路A33及び空調後経路18の経路18bを遮断した状態)にすることにより、図15に示す浴室空調装置1’と同様に、浴室6内に給気される給気SA1及び脱衣室3内に給気される給気SA2の温度が高くなることにより相対湿度が低下し、より浴室6内及び脱衣室3内の空気の除湿効果を高めることが可能となる。また、このような効果を、熱交換器A4bより外気に排出される熱を再利用することにより得ることができる。
1、1’、2・・・浴室空調装置、3・・・脱衣室、4・・・ヒートポンプ空調機、5・・・熱交換素子、6・・・浴室、7・・・吸込口A、8・・・排気口、9・・・内気排出経路、10・・・内気排出ファン、13・・・空調前経路、11b・・・軸、12・・・吹出口、13・・・排気口、14・・・循環風路、15・・・バイパス経路、16・・・ヒートポンプ経路、18・・・空調後経路、20・・・吹出口、21・・・還気経路、22・・・循環ファン、23・・・ヒータ、27・・・ディスペンサ、28・・・給水経路、29・・・散水装置