以下、図面を参照して本発明の換気空調システムの実施の形態について説明する。
<第1の実施の形態の換気空調システムの構成例>
図1は、第1の実施の形態の換気空調システムの一例を示す構成図である。第1の実施の形態の換気空調システム1Aは、除湿された空気または加湿された空気等を供給する空調手段としての換気空調装置2Aと、換気空調装置2Aと一体または独立した構成の給気手段としての給気装置3Aを備える。
換気空調システム1Aは、換気空調装置2Aから供給される除湿空気及び加湿空気等と、給気装置3Aから供給される換気空気(外気)が吹き出される第1の吹出口としての第1の吹出口グリル4Aと第2の吹出口としての第2の吹出口グリル4Bを備える。
第1の吹出口グリル4Aは、ダクト40Aによって換気空調装置2Aと接続され、換気空調装置2Aから供給される除湿空気及び加湿空気等が吹き出される。また、第2の吹出口グリル4Bは、ダクト40Bによって給気装置3Aと接続され、給気装置3Aから供給される換気空気が吹き出される。
第1の吹出口グリル4Aと第2の吹出口グリル4Bは、それぞれ給気風量調整手段としての風路開閉ダンパ41A,41Bを備え、吹き出される除加湿空気と換気空気の風量が、運転モードに応じて制御される。
また、換気空調システム1Aで室としての複数の部屋101に除加湿空気及び換気空気を供給する構成では、各部屋101に第1の吹出口グリル4Aと第2の吹出口グリル4Bが備えられ、ダクト40A,40Bに分岐チャンバー等が備えられて各ダクトが分岐されて、換気空調装置2Aと複数の第1の吹出口グリル4Aが接続されると共に、給気装置3Aと複数の第2の吹出口グリル4Bが接続される。
そして、各部屋101に設置された第1の吹出口グリル4Aと第2の吹出口グリル4Bに、それぞれ風路開閉ダンパ41A,41Bが備えられることで、吹き出される除加湿空気と換気空気の風量が、部屋101毎に運転モードに応じて制御される。
図2は、第1の実施の形態の換気空調装置の一例を示す構成図、図3は、第1の実施の形態の換気空調装置の風路構成図、図4は、第1の実施の形態の換気空調装置の風路を構成する部材の分解斜視図である。
第1の実施の形態の換気空調装置2Aは、空気の冷却及び加熱を行う空気調和機としてのヒートポンプ空調機20と、ヒートポンプ空調機20で調和される空気の温度調整及びヒートポンプ空調機20と共に除湿手段を構成して空気の除湿等を行う熱交換素子21を備え、外気を取り入れ、空気調和して室内に給気する空調換気機能を有する。
まず、図3を参照して、ヒートポンプ空調機20の構成について説明する。ヒートポンプ空調機20は、冷媒が流れる配管22aと、室内に給気する空気と冷媒との間で熱交換を行う第1の熱交換器22bと、室外に排出する空気と冷媒との間で熱交換を行う第2の熱交換器22cを備える。
また、ヒートポンプ空調機20は、配管22aを流れる冷媒を圧縮する圧縮機22dと、配管22aを流れる冷媒を減圧する膨張弁22eと、冷媒の流れる方向を切り替える四方弁22fを備える。
次に、熱交換素子21の構成について説明する。熱交換素子21は熱交換手段の一例で、空気が通る第1の熱交換風路23aと、第1の熱交換風路23aと仕切られて空気が通る第2の熱交換風路23bを備え、第1の熱交換風路23aを通る空気と第2の熱交換風路23bを通る空気との間で熱交換が行われる。
次に、換気空調装置2Aにおける風路の構成について説明する。換気空調装置2Aは、外気吸込口24Aから取り入れた外気OAを、熱交換素子21を通して給気吹出口25Aから給気SAとして吹き出させる熱交換給気風路26Aを備える。また、換気空調装置2Aは、外気吸込口24Aから取り入れた外気OAを、熱交換素子21をバイパスさせる非熱交換給気風路26Bを備える。
熱交換給気風路26Aと非熱交換給気風路26Bは、熱交換素子21が収納される収納箱部51a,51bと、収納箱部51a,51bが収納される筐体52a,52bと、ヒートポンプ空調機20の第1の熱交換器22bが収納される筐体53a,53b等により構成される。
外気吸込口24Aは、熱交換素子21が収納される上下一対の収納箱部51a,51bにおいて、上側の収納箱部51aの正面を開口して形成され、第1の吸込口54aと第2の吸込口54bが並列される。
収納箱部51a,51bは、所定の形状で仕切られた断熱材等で構成され、第1の吸込口54aと連通する中央部分に熱交換素子21が収納される。収納箱部51a,51bに収納される熱交換素子21は、図2等に示す第1の熱交換風路23aと第2の熱交換風路23bによって、熱交換給気風路26Aの一部を構成する。そして、収納箱部51a,51bは、熱交換素子21の両側に、第2の吸込口54bと連通する非熱交換給気風路26Bが形成される。
また、収納箱部51a,51bは、熱交換素子21が収納されると、熱交換素子21の第2の熱交換風路23bの吹出側と連通する開口部51cが、収納箱部51aの上面に形成される。更に、熱交換素子21の第1の熱交換風路23aの吹出側と連通する開口部、及び第2の熱交換風路23bの吸込側と連通する開口部と、非熱交換給気風路26Bと連通する開口部が、それぞれ図示しないが収納箱部51bの下面に形成される。
収納箱部51a,51bが収納される筐体52a,52bは、筐体52aの正面の一部が開口して外気吸込口24Aが露出されると共に、下面が開口して収納箱部51bの下面の図示しない各開口部が露出される。また、収納箱部51aの開口部51cと連通する吹出部52cが、筐体52aの上面に取り付けられる筐体52bに形成される。
第1の熱交換器22bが収納される筐体53a,53bは、収納箱部51a,51bに収納されて熱交換素子21が取り付けられた筐体52a,52bが、筐体53aの上部に取り付けられる。
また、筐体53a,53bは、収納箱部51a,51bに収納された熱交換素子21の第1の熱交換風路23aの吹出側及び収納箱部51a,51bにより構成される非熱交換給気風路26Bと連通する開口部53cが、第1の熱交換器22bで仕切られた一方の空間と連通して、筐体53aの上面に形成される。
更に、筐体53a,53bは、収納箱部51a,51bに収納された熱交換素子21の第2の熱交換風路23bの吸込側と連通する開口部53dが、第1の熱交換器22bで仕切られた他方の空間と連通して、筐体53aの上面に形成される。
これにより、熱交換給気風路26Aは、外気吸込口24Aの第1の吸込口54aと熱交換素子21の第1の熱交換風路23aの吸込側を連通させる。また、第1の熱交換風路23aの吹出側を、ヒートポンプ空調機20の第1の熱交換器22bを通して第2の熱交換風路23bの吸込側に連通させる。更に、第2の熱交換風路23bの吹出側を給気吹出口25Aと連通させる。
非熱交換給気風路26Bは、熱交換素子21の第1の熱交換風路23aをバイパスして、外気吸込口24Aの第2の吸込口54bをヒートポンプ空調機20の第1の熱交換器22bより上流の熱交換給気風路26Aと連通させる。
換気空調装置2Aは、熱交換給気風路26A及び非熱交換給気風路26Bで、外気吸込口24Aから外気OAを吸い込んで、給気吹出口25Aから吹き出させる送風手段としての送風ファン部27を備える。
また、換気空調装置2Aは、吸い込んだ外気OAの熱交換給気風路26Aと非熱交換給気風路26Bへの分配比率を調整する風路開閉ダンパ28を備える。
更に、換気空調装置2Aは、給気装置3Aが組み込まれた構成で、給気装置3Aは、外気吸込口24Bから外気OAを吸い込んで、給気吹出口25Bから吹き出させる送風手段としての送風ファン部30を備える。
換気空調装置2Aは、空気が通るガラリ等を有して外気吸込口24Aと外気吸込口24Bを覆う化粧パネル31を備え、吸い込まれる空気を清浄するフィルタが、化粧パネル31に着脱可能に取り付けられている。
風路開閉ダンパ28は風路開閉手段の一例で、本例では、熱交換給気風路26Aと連通した第1の吸込口54aと、非熱交換給気風路26Bと連通した第2の吸込口54bの双方に備えられる。
図5は、風路開閉ダンパの構成例を示す斜視図である。風路開閉ダンパ28は、第1の吸込口54aを開閉する第1のダンパ55aの両側に、第2の吸込口54bを開閉する第2のダンパ55bを有し、第1のダンパ55aと第2のダンパ55bが、90°位相を異ならせて同じ軸部55cに備えられる。
第1のダンパ55aと第2のダンパ55bは、それぞれ複数の板状の部材で構成され、各ダンパの軸部55cに取り付けられた図示しないギアまたはリンク等によって、複数のダンパが連動する。
これにより、軸部55cの回転動作で第1のダンパ55aと第2のダンパ55bが作動して、第1の吸込口54aと第2の吸込口54bの開閉が切り替えられる。
すなわち、第1のダンパ55aで第1の吸込口54aを全開とすると、第2のダンパ55bは位相が90°ずれているので、第2の吸込口54bは全閉となる。一方、第2のダンパ55bで第2の吸込口54bを全開とすると、第1のダンパ55aで第1の吸込口54aは全閉となる。
また、第1の吸込口54aを全開としている状態から、第1のダンパ55aを徐々に閉じていくと、第2のダンパ55bは、第2の吸込口54bを全閉としている状態から徐々に開く。一方、第2の吸込口54bを全開としている状態から、第2のダンパ55bを徐々に閉じていくと、第1のダンパ55aは、第1の吸込口54aを全閉としている状態から徐々に開く。
従って、風路開閉ダンパ28は、第1のダンパ55aの動作で、図3等に示す熱交換給気風路26Aを通る空気の風量を100%から0%に調整できると共に、第2のダンパ55bが第1のダンパ55aと連動することで、非熱交換給気風路26Bを通る空気の風量を0%から100%に調整できる。
よって、風路開閉ダンパ28は、第1のダンパ55aと第2のダンパ55bの開度によって、外気OAの全てを熱交換素子21の第1の熱交換風路23aを通して、第2の熱交換風路23bを通る空気との間で熱交換させる風路構成と、外気OAの全てを非熱交換給気風路26Bを通して、熱交換素子21で熱交換を行わない風路構成とが選択可能となる。また、外気OAの所定量を熱交換素子21の第1の熱交換風路23aを通し、残部を非熱交換給気風路26Bを通して、外気OAの所定量を熱交換させる風路構成が選択可能となる。
そして、1つのモータで、2つの吸込口を開閉して風路を切り替えることができるので、低コストで風路を切り替える構成を実現できる。
次に、各図を参照して換気空調装置2Aにおける除加湿の構成について説明する。換気空調装置2Aは、熱交換素子21及びヒートポンプ空調機20の第1の熱交換器22bの下方に水回収手段としてドレンパン29Aを備える。本例では、熱交換素子21を上側として、熱交換素子21と第1の熱交換器22bが上下に配置されており、第1の熱交換器22bの下方にドレンパン29Aを設けている。これにより、熱交換素子21及び第1の熱交換器22bで発生された結露水が、ドレンパン29Aに滴下されて回収される。
また、換気空調装置2Aは、非熱交換給気風路26Bの合流箇所より下流の熱交換給気風路26Aに加湿手段としての散水装置29Bを備える。非熱交換給気風路26Bは、ヒートポンプ空調機20の第1の熱交換器22bより上流で熱交換給気風路26Aと合流しており、本例では、熱交換素子21の第2の熱交換風路23bの吸込側と、第1の熱交換器22bとの間の風路に、霧状のミストを噴霧するノズルを備える。
<第1の実施の形態の換気空調システムの動作例>
次に、各図を参照して、第1の実施の形態の換気空調システム1Aの動作について説明する。
(1)加湿暖房モードの動作例
換気空調システム1Aは、加湿暖房モードでは、換気空調装置2Aの風路開閉ダンパ28の動作で第2のダンパ55bを開けて、非熱交換給気風路26Bと連通するが外気吸込口24Aの第2の吸込口54bを全開にすると共に、熱交換給気風路26Aと連通する第1の吸込口54aを、第2のダンパ55bと連動する第1のダンパ55aによって全閉にして、外気OAの全量を熱交換素子21の第1の熱交換風路23aをバイパスさせる。なお、以下の説明で外気OAの全量とは、略全量を含む実質的な全量を意味している。
また、ヒートポンプ空調機20は、四方弁22fによりヒートポンプを構成して圧縮機22dを作動させることで、第1の熱交換器22bを凝縮器として機能させ、凝縮器による冷媒の放熱作用で外気OAの加熱を行う。このとき、第2の熱交換器22cは蒸発器として機能し、冷媒を気化させている。
更に、ヒートポンプ空調機20の第1の熱交換器22bより下流の熱交換給気風路26Aに、散水装置29Bによって散水を行う。
以上の状態で、送風ファン部27を作動させると、外気吸込口24Aの第2の吸込口54bから外気OAが吸い込まれ、外気OAの全量が非熱交換給気風路26Bへ供給される。非熱交換給気風路26Bでは、熱交換素子21の第1の熱交換風路23aをバイパスして、外気OAがヒートポンプ空調機20の第1の熱交換器22bへ供給される。
そして、ヒートポンプの凝縮器として機能している第1の熱交換器22bを通ることで加熱された外気OAが、散水装置29Bによる散水で加湿され、熱交換素子21の第2の熱交換風路23bを通り、給気吹出口25Aからダクト40Aを通り、第1の吹出口グリル4Aから給気SAとして室内に供給される。
なお、散水装置29Bによって散水された水の余剰分はドレンパン29Aで回収され、室外へ排水される。
加湿暖房モードでは、外気OAが通る風路を、熱交換素子21の第1の熱交換風路23aをバイパスさせる非熱交換給気風路26Bに切り替えることで、冬季で温度が低い外気OAと、ヒートポンプ空調機20で加熱された空気との間で熱交換が行われない。
これにより、ヒートポンプ空調機20で加熱された外気OAの温度低下を防ぎ、低温低湿の外気OAを、ヒートポンプ空調機20の運転能力と、散水装置29Bの給水量に応じて中温高湿の空気として給気して、室内の加湿暖房を行うことができ、別の加湿装置を設置することなく、室内の過乾燥を防ぐことができる。また、給気による室内の換気を行うことができる。
更に、ヒートポンプ空調機20で加熱された外気OAの温度低下を防ぐことで、給気される空気が飽和状態になることを防ぎ、加湿のために散水した水が結露して排水される無駄を低減することができる。
さて、換気空調装置2Aで加湿された空気を複数の部屋101に供給する場合、暖房していない部屋101では室内温度が低いため、部屋の中で加湿空気が結露してしまう。
以下の表1に、温度と相対湿度及び絶対湿度の関係を示す。
例えば、室温が10℃の部屋に、20℃、60%RH(相対湿度)の空気を供給する場合で考えると、表1に示すように、20℃、60%RHの空気は、8.74g/kgの絶対湿度である。一方、10℃の飽和空気は、7.63g/kgの絶対湿度であり、差の1.11g/kgの水分が結露する。
そこで、換気空調システム1Aは、加湿暖房モードでは、各部屋101の室温等に応じて給気装置3Aの送風ファン部30を作動させると共に、第1の吹出口グリル4Aの風路開閉ダンパ41Aと、第2の吹出口グリル4Bの風路開閉ダンパ41Bの開度が制御され、室温の低い所定の部屋101の第2の吹出口グリル4Bから、換気空気(外気)が供給される。
これにより、換気空調装置2Aの動作で第1の吹出口グリル4Aから吹き出される加湿空気の温度と室温との差により結露が生じないように、温度の低い部屋101では換気空気の供給で絶対湿度が下げられる。
そして、温風の供給によって温度を上昇させてから、風路開閉ダンパ41A,41Bの開度が調整されて、例えば換気空気の供給を停止して、加湿空気による加湿暖房が行われる。
従って、加湿暖房モードでは、各部屋101の温度等の状態に応じて、加湿空気の供給と、加湿空気及び換気空気の双方の供給が切り替えられ、結露を生じさせることなく、加湿暖房を行うことができる。
(2)暖房モードの動作例
換気空調システム1Aは、暖房モードでは、換気空調装置2Aの風路開閉ダンパ28の動作で第2のダンパ55bを開けて、非熱交換給気風路26Bと連通するが外気吸込口24Aの第2の吸込口54bを全開にすると共に、熱交換給気風路26Aと連通する第1の吸込口54aを、第2のダンパ55bと連動する第1のダンパ55aによって全閉にして、外気OAの全量を熱交換素子21の第1の熱交換風路23aをバイパスさせる。
また、ヒートポンプ空調機20は、ヒートポンプを構成して第1の熱交換器22bを凝縮器として機能させ、凝縮器による冷媒の放熱作用で外気OAの加熱を行う。
以上の状態で、送風ファン部27を作動させると、外気吸込口24Aの第2の吸込口54bから外気OAが吸い込まれ、外気OAの全量が非熱交換給気風路26Bへ供給される。非熱交換給気風路26Bでは、熱交換素子21の第1の熱交換風路23aをバイパスして、外気OAがヒートポンプ空調機20の第1の熱交換器22bへ供給される。
そして、ヒートポンプの凝縮器として機能している第1の熱交換器22bを通ることで加熱された外気OAが、熱交換素子21の第2の熱交換風路23bを通り、給気吹出口25Aからダクト40Aを通り、第1の吹出口グリル4Aから給気SAとして室内に供給される。
暖房モードでは、外気OAが通る風路を、熱交換素子21の第1の熱交換風路23aをバイパスさせる非熱交換給気風路26Bに切り替えることで、冬季で温度が低い外気OAと、ヒートポンプ空調機20で加熱された空気との間で熱交換が行われない。
これにより、ヒートポンプ空調機20で加熱された外気OAの温度低下を防ぎ、低温の外気OAを、ヒートポンプ空調機20の運転能力に応じて中温の空気として給気して、室内の暖房を行うことができる。また、給気による室内の換気を行うことができる。
(3)除湿モード及び衣類乾燥モードの動作例
換気空調システム1Aは、除湿モード及び衣類乾燥モードでは、換気空調装置2Aの風路開閉ダンパ28の動作で第1のダンパ55aを開けて、熱交換給気風路26Aと連通する外気吸込口24Aの第1の吸込口54aを全開にすると共に、非熱交換給気風路26Bと連通する第2の吸込口54bを、第1のダンパ55aと連動する第2のダンパ55bによって全閉にして、外気OAの全量を熱交換素子21の第1の熱交換風路23aに供給する。
また、ヒートポンプ空調機20は、四方弁22fにより冷凍サイクルを構成して圧縮機22dを作動させることで、第1の熱交換器22bを蒸発器として機能させ、蒸発器による冷媒の吸熱作用で外気OAの冷却を行う。このとき、第2の熱交換器22cは凝縮器として機能し、冷媒を冷却して液化させている。
以上の状態で、送風ファン部27を作動させると、外気吸込口24Aの第1の吸込口54aから外気OAが吸い込まれ、外気OAの全量が熱交換給気風路26Aへ供給される。
熱交換給気風路26Aでは、熱交換素子21の第1の熱交換風路23aを外気OAが通り、第1の熱交換風路23aを通った外気OAがヒートポンプ空調機20の第1の熱交換器22bを通る。そして、冷凍サイクルの蒸発器として機能している第1の熱交換器22bを通った外気OAが、熱交換素子21に戻り第2の熱交換風路23bを通る。
外気OAは、熱交換素子21を通ることで、ヒートポンプ空調機20で冷却された空気との間で熱交換されて、温度が下げられる。
また、ヒートポンプ空調機20で冷却される空気は、熱交換素子21で熱交換されて温度が下げられた外気OAである。このとき、熱交換素子21の第1の熱交換風路23aを通る外気OAと、第2の熱交換風路23bを通る冷却された外気OAとの温度差に応じて、第1の熱交換風路23aを通る外気OAが温度低下によって飽和状態となり、第1の熱交換風路23aを通る外気OA中の水分が結露して除湿が行われる。
更に、外気OAは、冷凍サイクルの蒸発器として機能している第1の熱交換器22bを通ることで水分が結露して除湿される。このとき、外気OAは第1の熱交換器22bへの導入前に温度が下げられていることから相対湿度が上昇しており、ヒートポンプ空調機20による冷却能力を上げることなく、すなわち、消費電力を増加させることなく除湿量を増加させて、夏季では高温中湿の外気OAを、必要以上の温度低下を抑えた中温低湿の空気とする。
そして、熱交換素子21及びヒートポンプ空調機20を通って中温低湿となった外気OAは、給気吹出口25Aからダクト40Aを通り、第1の吹出口グリル4Aから給気SAとして室内に供給される。
なお、熱交換素子21及び第1の熱交換器22bで発生した結露水はドレンパン29Aで回収され、室外へ排水される。
除湿モード及び衣類乾燥モードでは、外気OAが通る風路を、熱交換素子21の第1の熱交換風路23aを通る風路に切り替えることで、給気による室内の換気を行いながら、室内を冷やし過ぎることなく、室内の除湿が可能となり、室内の相対湿度を低下させて、夏季等に涼しさを得られるようにすることができる。また、室内の湿度を下げることで、衣類の乾燥を促進させることができる。
また、熱交換素子21とヒートポンプ空調機20の作用で除湿を行って、ドレンパン29Aで結露水を回収することで、第1の吹出口グリル4Aでの結露の発生を防ぐことができる。そして、除湿量を増やしても空気の再加熱の必要がないので、ヒータ等が不要であり、装置構成の複雑化を防ぐことができる。
(4)冷房モードの動作例
換気空調システム1Aは、冷房モードでは、換気空調装置2Aの風路開閉ダンパ28の動作で第2のダンパ55bを開けて、非熱交換給気風路26Bと連通するが外気吸込口24Aの第2の吸込口54bを全開にすると共に、熱交換給気風路26Aと連通する第1の吸込口54aを、第2のダンパ55bと連動する第1のダンパ55aによって全閉にして、外気OAの全量を熱交換素子21の第1の熱交換風路23aをバイパスさせる。
また、ヒートポンプ空調機20は、冷凍サイクルを構成して第1の熱交換器22bを蒸発器として機能させ、蒸発器による冷媒の吸熱作用で外気OAの冷却を行う。
以上の状態で、送風ファン部27を作動させると、外気吸込口24Aの第2の吸込口54bから外気OAが吸い込まれ、外気OAの全量が非熱交換給気風路26Bへ供給される。非熱交換給気風路26Bでは、熱交換素子21の第1の熱交換風路23aをバイパスして、外気OAがヒートポンプ空調機20の第1の熱交換器22bへ供給される。
そして、冷凍サイクルの蒸発器として機能している第1の熱交換器22bを通ることで冷却された外気OAが、熱交換素子21の第2の熱交換風路23bを通り、給気吹出口25Aからダクト40Aを通り、第1の吹出口グリル4Aから給気SAとして室内に供給される。
なお、第1の熱交換器22bで発生した結露水はドレンパン29Aで回収され、室外へ排水される。
冷房モードでは、外気OAが通る風路を、熱交換素子21の第1の熱交換風路23aをバイパスさせる非熱交換給気風路26Bに切り替えることで、夏季で温度が高い外気OAと、ヒートポンプ空調機20で冷却された空気との間で熱交換が行われない。
これにより、ヒートポンプ空調機20で冷却された外気OAの温度上昇を防ぎ、高温の外気OAを、ヒートポンプ空調機20の運転能力に応じて中温あるいは低温の空気として給気し、室内の冷房を行うことができる。また、給気による室内の換気を行うことができる。
<第1の実施の形態の換気空調システムの変形例>
本実施の形態では、給気装置3Aを換気空調装置2Aに組み込む構成として、2本のダクトで除加湿空気と換気空気を供給したが、2重管を使用しても良い。また、給気装置3Aは換気空調装置2Aとは別体で、建物の壁に取り付けられるパイプ型換気装置等と称される給気装置を利用しても良く、パイプ型換気装置で除加湿空気を換気空気と混合させて、室内に供給できるようにしても良い。
更に、換気空気として冷暖房された空気を利用する構成としても良い。
<第2の実施の形態の換気空調システムの構成例>
さて、除湿モードや加湿暖房モードを備えて、除湿された空気や加湿された空気の供給が可能な換気空調装置を備えたシステムで、1つの吹出口から除湿された空気及び加湿された空気を吹き出す構成では、夏季に除湿空気を室内に供給すると、除湿空気は部屋の下方に降下する。一方、冬季に加湿空気を室内に供給すると、加湿空気は部屋の上方に上昇する。これにより、室内で湿度の異なる空気の分布が見られる。
以下の表2に、温湿度と密度の関係を示す。
表2に示すように、水と空気の分子量は水の方が軽く、乾燥空気の方が重いため、水分を含んだ空気の重量差によって分布が発生することになる。
このように、室内の上下で湿度に差があることで、人が立ったり座ったりしたときの快適性に差が生じる。
また、例えば除湿空気も加湿空気も同じ20℃で給気しても、夏季は室内の温度が高く除湿空気は下降し、冬季は室内の温度が低く加湿空気は上昇するために、室内で湿度の異なる空気の分布が発生することになる。このように、密度差だけでなく温度状況によっても分布が生じる。
図6は、第2の実施の形態の換気空調システムの一例を示す構成図である。第2の実施の形態の換気空調システム1Bは、換気空調装置2Aと、換気空調装置2Aから供給される除湿空気及び加湿空気が吹き出される第1の吹出口グリル4A及び第2の吹出口グリル4Bと、換気空調装置2Aと各吹出口グリルを接続するダクト42を備える。
第1の吹出口グリル4Aは、部屋101の天井近くの壁または天井に設置され、第2の吹出口グリル4Bは、部屋101の床近くの壁または床に設置される。
また、換気空調システム1Bは、運転モードに応じて空気を吹き出す吹出口グリルを切り替えて、除湿空気は第1の吹出口グリル4Aから吹き出させ、加湿空気は第2の吹出口グリル4Bから吹き出させる風路切替手段としての風路切替ダンパ43を備える。
すなわち、換気空調システム1Bは、除湿モードでは、風路切替ダンパ43によって第1の吹出口グリル4Aに風路が切り替えられ、換気空調装置2Aから吹き出された除湿空気は、部屋101の上方で第1の吹出口グリル4Aから供給される。除湿空気は重いため、部屋101内を降下して行き、室内が略均一の湿度になる。
また、換気空調システム1Bは、加湿暖房モードでは、風路切替ダンパ43によって第2の吹出口グリル4Bに風路を切り替えられ、換気空調装置2Aから吹き出された加湿空気は、部屋101の下方で第2の吹出口グリル4Bから供給される。加湿空気は軽いため、部屋101内を上昇して行き、室内が略均一の湿度になる。
なお、室内の空気は、図示しない排気ファン等により各部屋101毎、またはドアのガラリやアンダーカット部等の開口部を通って所定の箇所に集められて排出される。
ここで、部屋101の天井側に排気口を備えると、床側から供給される加湿空気は室内を上昇するので、天井側から排気することで室内を略均一の湿度にできるが、天井側から供給される除湿空気は、室内を下降することなく天井側から排気されてしまい、室内の上下で湿度に差が生じる可能性がある。
同様に、部屋101の床側に排気口を備えると、天井側から供給される除湿空気は室内を下降するので、床側から排気することで室内を略均一の湿度にできるが、床側から供給される加湿空気は、室内を上昇することなく床側から排気されてしまい、室内の上下で湿度に差が生じる可能性がある。
そこで、図6(b)では、排気口として第1の吸込口グリル6Aを、部屋101の床近くの壁または床に備えると共に、第2の吸込口グリル6Bを、部屋101の天井近くの壁または天井に備える。
また、運転モードに応じて空気を吸い込む吸込口グリルを切り替えて、除湿空気は第1の吸込口グリル6Aから吸い込み、加湿空気は第2の吸込口グリル6Bから吸い込む風路切替手段としての風路切替ダンパ61を備える。
更に、図示しない排気ファンを備えた排気装置62と、排気装置62と各吸込口グリルを接続するダクト63を備える。
除湿モードでは、風路切替ダンパ43によって第1の吹出口グリル4Aに風路が切り替えられると共に、風路切替ダンパ61によって第1の吸込口グリル6Aに風路が切り替えられ、換気空調装置2Aから吹き出された除湿空気は、部屋101の上方で第1の吹出口グリル4Aから供給される。除湿空気は重いため、部屋101内を降下して行き、排気装置62によって、部屋101の下方で第1の吸込口グリル6Aから吸い込まれる、これにより、除湿モードでは、室内の上方から対角の下方に向けての空気の流れを生じさせることができるので、室内が一層均一の湿度になる。
加湿モードでは、風路切替ダンパ43によって第2の吹出口グリル4Bに風路が切り替えられると共に、風路切替ダンパ61によって第2の吸込口グリル6Bに風路が切り替えられ、換気空調装置2Aから吹き出された加湿空気は、部屋101の下方で第2の吹出口グリル4Bから供給される。加湿空気は軽いため、部屋101内を上昇して行き、排気装置62によって、部屋101の上方で第2の吸込口グリル6Bから吸い込まれる、これにより、加湿モードでは、室内の下方から対角の上方に向けての空気の流れを生じさせることができるので、室内が一層均一の湿度になる。
このように、空気の吸込口も部屋の上方と下方に備えて、除湿モードと加湿モードで切り替えることで、室内の空気の淀みを解消可能となる。
なお、図6(b)では、各吸込口グリルに排気ファンとダンパを備え、室内の空気を吸い込む吸込口では排気ファンを駆動すると共にダンパを開け、空気を吸い込まない吸込口では排気ファンを停止させると共にダンパを閉じて、空気を吸い込む吸込口を切り替えられるようにしても良い。
図7は、第2の実施の形態の換気空調システムの他の例を示す構成図である。第2の実施の形態の他の例の換気空調システム1Cは、換気空調装置2Aから供給される除湿空気及び加湿空気等と、換気空気(外気)が吹き出される第1の吹出口グリル4A及び第2の吹出口グリル4Bと、換気空調装置2Aと第1の吹出口グリル4Aを接続するダクト44Aと、換気空調装置2Aと第2の吹出口ダクト4Bを接続するダクト44Bを備える。
換気空調装置2Aは、運転モードに応じて空気を吹き出す吹出口グリルを切り替えて、除湿モードでは、除湿空気をダクト44Aに吹き出すと共に換気空気をダクト44Bに吹き出し、加湿暖房モードでは、加湿空気をダクト44Bに吹き出すと共に換気空気をダクト44Aに吹き出す風路切替手段を備えている。
第1の吹出口グリル4Aは、部屋101の天井近くの壁または天井に設置され、第2の吹出口グリル4Bは、部屋101の床近くの壁または床に設置される。
また、第1の吹出口グリル4Aと第2の吹出口グリル4Bは、それぞれ風路開閉ダンパ41A,41Bを備え、吹き出される除加湿空気と換気空気の風量が、運転モードに応じて制御される。
更に、換気空調システム1Cで複数の部屋101に除加湿空気及び換気空気を供給する構成では、各部屋101に第1の吹出口グリル4Aと第2の吹出口グリル4Bが備えられ、ダクト44A,44Bに分岐チャンバー等が備えられて各ダクトが分岐されて、換気空調装置2Aと複数の第1の吹出口グリル4A及び複数の第2の吹出口グリル4Bが接続される。
そして、各部屋101に設置された第1の吹出口グリル4Aと第2の吹出口グリル4Bに、それぞれ風路開閉ダンパ41A,41Bが備えられることで、吹き出される除加湿空気と換気空気の風量が、部屋101毎に運転モードに応じて制御される。
<第2の実施の形態の換気空調システムの動作例>
次に、各図を参照して、第2の実施の形態の換気空調システム1Cの動作について説明する。
換気空調システム1Cは、除湿モードでは、図7(a)に示すように、除湿空気はダクト44Aに吹き出されると共に、換気空気はダクト44Bに吹き出されて、換気空調装置2Aから吹き出された除湿空気は、部屋101の上方で第1の吹出口グリル4Aから供給され、換気空気は部屋101の下方で第2の吹出口グリル4Bから供給される。除湿空気は重いため、部屋101内を降下して行き、室内が略均一の湿度になる。
また、除湿空気と換気空気の風量が、各部屋101の第1の吹出口グリル4Aの風路開閉ダンパ41Aと、第2の吹出口グリル4Bの風路開閉ダンパ41Bで制御されて、部屋101毎に温湿度の制御が行われる。
換気空調システム1Cは、加湿暖房モードでは、図7(b)に示すように、加湿空気はダクト44Bに吹き出されると共に、換気空気はダクト44Aに吹き出されて、換気空調装置2Aから吹き出された加湿空気は、部屋101の下方で第2の吹出口グリル4Bから供給され、換気空気は部屋101の上方で第1の吹出口グリル4Aから供給される。加湿空気は軽いため、部屋101内を上昇して行き、室内が略均一の湿度になる。
また、各部屋101の室温等に応じて、第1の吹出口グリル4Aの風路開閉ダンパ41Aと、第2の吹出口グリル4Bの風路開閉ダンパ41Bの開度が制御され、室温の低い所定の部屋101の第1の吹出口グリル4Aから、換気空気(外気)が供給される。
これにより、換気空調装置2Aの動作で第2の吹出口グリル4Bから吹き出される加湿空気の温度と室温との差により結露が生じないように、温度の低い部屋101では換気空気の供給で絶対湿度が下げられる。
そして、温風の供給によって温度を上昇させてから、風路開閉ダンパ41A,41Bの開度が調整されて、例えば換気空気の供給を停止して、加湿空気による加湿暖房が行われる。
従って、加湿暖房モードでは、各部屋101の温度等の状態に応じて、加湿空気の供給と、加湿空気及び換気空気の双方の供給が切り替えられ、結露を生じさせることなく、加湿暖房を行うことができる。
なお、除湿モード及び加湿暖房モードでは、室内の空気は、図示しない排気ファン等により各部屋101毎、またはドアのガラリやアンダーカット部等の開口部を通って所定の箇所に集められて排出される。
ここで、図7で説明した換気空調装置1Cでも、図6(b)に示すように、部屋101の天井側と床側に排気口としての吸込口グリルを備え、除湿モードと加湿暖房モードで空気を吸い込む吸込口の切り替え及び各吸込口での空気の吸込量を調整しても良い。
1A,1B,1C・・・換気空調システム、2A・・・換気空調装置、20・・・ヒートポンプ空調機、21・・・熱交換素子、24A,24B・・・外気吸込口、25A,25B・・・外気吹出口、26A・・・熱交換給気風路、26B・・・非熱交換給気風路、27・・・送風ファン部、29A・・・ドレンパン、29B・・・散水装置、3A・・・給気装置、30・・・送風ファン部、4A・・・第1の吹出口グリル、4B・・・第2の吹出口グリル、41A,41B・・・風路開閉ダンパ