JP4815957B2 - 乗客コンベア用移動手摺及びその接続方法 - Google Patents
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Description
移動手摺3自体は図6に示す如く、全体としてC字型の横断面を有し、全体としてT字型の内側スロットを構成し、T字型スロットの周りに延びる芯体層31と、この芯体層31の外部の周りに延び、移動手摺3の外側輪郭を定める表面層32と、芯体層31の内側面に結合されたスライダー層33と、芯体層31内に延びる伸び防止手段(抗張体)34とを備えている。芯体層31、表面層32は熱可塑性エラストマーが使用されている。
上記構成により、乗客コンベアの移動手摺3を接続する場合は、図7に示すように、移動手摺3を、上型200、中型400及び下型300で挟み込み、締め付けボルト60で上型200と下型300に加圧力を付与するようにすればよい。
上型200と下型300に加圧力を付与した状態で、電熱ユニットR1〜R4を発熱させれば、移動手摺3を熱融着によって接続することができる。
次に、接続が完了して、金型100を冷却する方法について述べる。
まず電熱ユニットR1〜R4の発熱を停止させ、次に、上型200内に設けられた冷却用流体が通る冷却穴70、70aと、下型300内に設けられた冷却用流体が通る冷却穴80、80aに、冷却用流体を注入して金型100を冷却するものである。
図12において、33bは当て布33aの繊維の一部、33cはスライダー33の繊維の一部をそれぞれ拡大して示し、36は硬化後の接着剤の断面を示したものである。
当て布33aとスライダー33の接着力が強固であるためには、図12(a)のように、接着剤36が適当な厚みを持ち、かつ繊維33b、33cの隙間を埋め尽くして、いわゆるアンカー効果が発揮されていなければならない。
これに反して、図12(b)では、接着剤36が一方のスライダーの繊維33cの隙間のみに染み込んでいて、かつ当て布33aとスライダー33の繊維間には極めて少量しか付着していないことになる。また同じく図12(c)では、当て布33aとスライダー33の繊維の接触面のみに接着剤36が付着しているだけになる。このような場合には、いわゆる分子間効果はあるが、繊維の隙間を埋め尽くす、いわゆるアンカー効果が発揮されるところまでに至らず、接着力としては極めて不足することになる。
我々の実験では、エポキシ系の接着剤では、図12の(b)、(c)の状況になりがちで、このことが接着力を弱めているということが判った。
この発明の実施の形態1は、エポキシ系接着剤の厚みを増すことによって、当て布33aとスライダー33間の接着剤が微小変位に耐えるようにしたものである。
接着剤の厚みを増すためには、先ず接着剤を一度塗って、ある程度乾燥させてから、その上に二度目の接着剤を塗って乾燥させ、さらにその上に三度目の接着剤を塗って乾燥させ、というように数度接着剤を塗って、厚みを増すことにしたものである。この場合の厚みは金型に入れて加熱接続時のウレタンの移動に耐える厚みであって、一例としては0.5mm程度が望ましい。
この実施の形態2は、当て布33aとスライダー33に接着剤を塗布し、当て布33aに塗布した接着剤が布の繊維の目の中に染み込んでしまうのを防止してアンカー効果が出るように、当て布33aとスライダー33間に薄いウレタンシート36aを挿入して金型に装着し、加圧・加熱するようにしたものである。即ち、図1に示すように、接着剤の染み込みを防止するために、薄いウレタンシートからなる染み込み防止層36aを設けている。
図1において、36aは薄いウレタン層であって、たとえばウレタンシートで良い。ウレタンシートは加熱時溶融して接着剤と一体化する。
図1では、ウレタンシートを挿入したが、ウレタンシートの代わりに接着剤塗布後に液状ウレタンを刷毛塗りしても良い。
この発明の実施の形態3は、接着剤として従来のエポキシ系接着剤からゴム系接着剤またはウレタン系接着剤に変更することによって、その目的を達成する。
接着剤は、被着性(帆布、ウレタンとの相性)、エンドレス加工や、走行時に構造体が受ける変形と頻度に対する耐久力、に優れていなければならない。
一般に、積層体に接着剤を適用する場合、他の積層材に比べて接着剤の剛性が高いと、接着剤層に応力集中が発生する。また、繰り返しの変形が生じることを勘案すると、応力集中が起こりにくく、繰り返し変形に強い、低弾性・高靭性の接着剤が望ましい。
従来使用されていたエポキシ系接着剤は逆に弾性率が高く、靭性は低いという特徴があり、これが前述の接着力低下を招いていたと考えられる。
この実施の形態では、当て布33aとスライダー33の間に、ゴム系接着剤を厚く塗るようにしたものである。この場合の厚くとは、金型に入れて加熱接続時のウレタンの移動に耐える厚みであって、一例としては0.5mm程度が望ましい。
しかし、前記のごとく接着剤を厚く塗るためには、接着剤を数度上塗りする必要があり、手間がかかる。接着剤の数度塗りをせずに、ウレタンの移動に充分耐えるようにするためには、図2に示す実施の形態4が望ましい。
図2はこの発明に用いられた乗客コンベア用移動手摺の接着部の構造であり、当て布33aとスライダー33との間に、タイガムと呼ばれる粘着性中間ゴム36bを挿入してゴム系の接着剤36で接着してある。
なお、タイガム36bは当て布33aとスライダー33の合わさる全面に挿入する必要は必ずしもない。
ゴム系の接着剤36を当て布33aの全面に塗布して、スライダー33と接着する場合、図8の充填部3a(ハッチング部)にはゴム系接着剤が無い方が当て布33aが移動手摺3によく融着する。その理由は、移動手摺3のウレタンは加熱によって当て布の繊維33bの目に染み込み、強力な接着力を発揮するからである。
そこで、この発明の実施の形態5では、ゴム系の接着剤36は当て布33aとスライダー33との接触面のみに塗るようにしたものである。
なお、当て布33aとスライダー33との接触面のみにゴム系の接着剤36を塗るために、充填部3aと同じ幅のマスキングテープで当て布33aをマスクしてからゴム系の接着剤36を当て布33aに塗布すると効率がよい。
充填部3aにはスライダー層33が無くウレタン層が露出しているので、当て布33aを当てて金型で接続する時、この部分に段差が出来ることがある。ここに段差が出来ると、エスカレータの稼動中、駆動ローラ4が乗り上げて、当て布33aに局部集中荷重が発生する。その結果当て布33aに局部剥がれが発生し、やがて当て布33aの剥がれが拡大することがある。
そこで、この充填部3aに予めスライダー33とほぼ同じ厚みで充填部3aと同じ幅の補助布を嵌合するように挿入して(挟んで)から当て布33aを当て、金型で加熱すると、一層良い接続ができる。
2 欄干
3 移動手摺
3a 充填部
4 駆動ローラ
5 加圧ローラ
10 手摺ガイドレール
10a 手摺ガイドクリップ
31 芯体層
32 表面層
33 スライダー層(帆布)
33a 当て布
33b 当て布の繊維
33c スライダーの繊維
34 抗張体
36 接着剤
36a 染み込み防止層(薄いウレタンシート)
36b 粘着性中間ゴム(タイガム)
60 締め付けボルト
70、70a、80、80a、90 冷却穴
100、101 金型
200、201 上型
300、301 下型
300a 凹部
400、401 中型
R1〜R5 電熱ユニット
Claims (10)
- 最内側にスライダー層を備えた熱可塑性エラストマー移動手摺の接続部に、所定長の当て布を当て、前記スライダーと当て布間に接着剤を塗布し、上型、下型及び移動手摺の内側に挿入される中型とから構成された金型で加圧しつつ加熱することによって熱可塑性エラストマー移動手摺を接続する乗客コンベア用移動手摺において、
前記スライダーと当て布間に塗布される接着剤として、前記金型で加圧・加熱時の当て布とスライダーの相対運動による微小変位に耐える0.5mm程度の厚みを持つ低弾性・高靭性のゴム系接着剤を使用したことを特徴とする乗客コンベア用移動手摺。 - 接着剤として低弾性・高靭性のゴム系接着剤に代えて、金型で加圧・加熱時の当て布とスライダーの相対運動による微小変位に耐える0.5mm程度の厚みを持ち、かつ前記スライダーの繊維と当て布の繊維の隙間を埋め尽くしてアンカー効果を発揮するエポキシ系接着剤を使用したことを特徴とする請求項1記載の乗客コンベア用移動手摺。
- 最内側にスライダー層を備えた熱可塑性エラストマー移動手摺の接続部において、所定長の当て布を当て、前記スライダーと当て布間に薄いウレタン層を挿入したことを特徴とする請求項2記載の乗客コンベア用移動手摺。
- 当て布がスライダー層と接触する部分にのみ、接着剤を塗布することを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の乗客コンベア用移動手摺。
- 移動手摺接続部のスライダー層の無い充填部に嵌合する補助布を挿入して、当て布を当てることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の乗客コンベア用移動手摺。
- 最内側にスライダー層を備えた熱可塑性エラストマー移動手摺の接続部に、所定長の当て布を当て、前記スライダーと当て布間に接着剤を塗布し、上型、下型及び移動手摺の内側に挿入される中型とから構成された金型で加圧しつつ加熱することによって熱可塑性エラストマー移動手摺を接続する乗客コンベア用移動手摺接続方法において、
前記スライダーと当て布間に低弾性・高靭性のゴム系接着剤を数度塗って厚みを増すことにより、前記金型で加圧・加熱時の当て布とスライダーの相対運動による微小変位に耐える0.5mm程度の厚みを持たせることを特徴とする乗客コンベア用移動手摺接続方法。 - 最内側にスライダー層を備えた熱可塑性エラストマー移動手摺の接続部に、所定長の当て布を当て、前記スライダーと当て布間に接着剤を塗布し、上型、下型及び移動手摺の内側に挿入される中型とから構成された金型で加圧しつつ加熱することによって熱可塑性エラストマー移動手摺を接続する乗客コンベア用移動手摺接続方法において、
前記スライダーと当て布間にエポキシ系接着剤を数度塗って厚みを増すことにより、前記金型で加圧・加熱時の当て布とスライダーの相対運動による微小変位に耐える0.5mm程度の厚みを持たせ、かつ前記スライダーの繊維と当て布の繊維の隙間を埋め尽くしてアンカー効果を発揮させるようにしたことを特徴とする乗客コンベア用移動手摺接続方法。 - 最内側にスライダー層を備えた熱可塑性エラストマー移動手摺の接続部において、所定長の当て布を当て、前記スライダーと当て布間に薄いウレタン層を挿入したことを特徴とする請求項6記載の乗客コンベア用移動手摺接続方法。
- 当て布がスライダー層と接触する部分にのみ、接着剤を塗布することを特徴とする請求項6〜請求項8のいずれかに記載の乗客コンベア用移動手摺接続方法。
- 移動手摺接続部のスライダー層の無い充填部に嵌合する補助布を挿入して、当て布を当てることを特徴とする請求項6〜請求項9のいずれかに記載の乗客コンベア用移動手摺接続方法。
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