JP4815078B2 - 打抜機用抜型並びにその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、シート材を所定の形状に打ち抜くための切断刃及び罫を固定した打抜機用抜型並びにその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、合成樹脂製フィルム、薄紙または厚紙等のシート材から、展開した箱等の所定形状打抜片を打ち抜くために、打抜機が用いられている。従来の打抜機は、抜型と、これに相対向する面板とからなり、シート材が載置された面板に抜型を圧接することにより当該シート材を打ち抜くものである。
【0003】
図6には従来の抜型機における抜型および面板部分の要部概略断面図を、また、図7には抜型機により打ち抜かれた箱用の打抜片を示す。
【0004】
図6に示すように、打抜機は、上部定盤100および下部スライダ200を有し、上部定盤100に取り付けられるチェース300と、下部スライダ200に取り付けられるデッドプレート400を具備する。ここで、チェース300は、打抜機の上部定盤100に精度良く位置決め固定される汎用治具の一つであり、デッドプレート400は、下部スライダ200に精度良く位置決め固定される汎用治具の一つである。
【0005】
上部定盤100に固定されている抜型500は、ダイボード501に切断刃502および罫503が固定されたものである。ダイボード501は、通常ベニヤ板、樹脂板あるいは金属板からなり、ダイボード501には、一般にはレーザ加工により固定溝504が形成されている。一方、切断刃502および罫503は帯状の板材を所定の長さに切断後、屈曲したものであり、ダイボード501に形成された固定溝504に挿入固定されている。
【0006】
一方、デッドプレート400上に固定されて面板となるカウンタプレート600は、約1〜1.5mm厚の金属板材からなり、罫503に対応する部分には、凹溝601が形成されており、他の部分は平面状の受け面602となっている。
【0007】
このような打抜機では、カウンタプレート600上に、合成樹脂フィルム、薄紙、厚紙等のシート材700を載置し、下方から下部スライダ200を上昇してカウンタプレート600の受け面602に切断刃502を圧接することにより、シート材700を所望の形状に打ち抜くことができる。
【0008】
このように形成される打抜片の一例が図7に示されるものである。この打抜片701は、所望の形状を有すると同時に、所望の位置に切れ線702および折り目となる罫線(折れ線)703を有する。ここで、切れ線702は、切断刃502の先端がカウンタプレート600の受け面602に当接することで形成され、また、罫線703は、罫503の先端が凹溝601内に挿入されることで形成される。
【0009】
ところで、このような抜型500では、打ち抜かれた打抜片701が抜型500の切断刃502の間に嵌まり込むのを防止するために抜型用イジェクションラバーが用いられる。すなわち、図8に示すように、全ての切断刃502に沿って、イジェクションラバー800が配置される。イジェクションラバー800は、通常、適当な弾性を有するゴムまたは発泡ゴムからなり、その先端が切断刃502の先端より突出するように設けられる。そして、イジェクションラバー800は、操業中には圧縮された状態になって打抜片701を押さえ込み、切断作業終了後に打抜片701を切断刃502の間から排出するようにする。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
上述した抜型500に用いられるイジェクションラバー800は、通常、板状ラバーまたは棒状ラバーを所定の寸法に切断後、手作業で接着剤または両面接着テープ等でダイボード501に貼り付けなければならないので、その作業に多大な時間がかかるという問題がある。また、切断刃502に沿ってその両側に所定間隔で配置しなければならないが、切断刃502は非常に鋭利であるため、作業に危険が伴うという問題もある。
【0011】
本発明は、このような事情に鑑み、イジェクジョンラバーを簡単にかつ安全に抜型に取り付けることができ、コストダウンを図ることができる打抜機用抜型並びにその製造方法を提供することを課題とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1の態様は、基板に形成された固定溝に固定された切断刃及び罫と、これら切断刃及び罫の両側に設けられたイジェクションラバーとを具備する打抜機用抜型において、前記基板の少なくとも一方の表面にラバーシートを接合したダイボードを加工して、前記切断刃及び罫を挿入する挿入溝を前記ラバーシートに形成すると共に前記切断刃及び罫を固定する固定溝を前記基板に形成し、前記固定溝に前記切断刃及び罫を固定して、前記ラバーシートを前記イジェクションラバーとしたものであることを特徴とする打抜機用抜型にある。
【0015】
本発明の第2の態様は、第1の態様において、前記イジェクションラバーは、前記切断刃及び罫の両側面に略密着して設けられていることを特徴とする打抜機用抜型にある。
【0016】
本発明の第3の態様は、第1又は2の態様において、前記イジェクションラバーは、前記切断刃及び罫の先端側がこれら切断刃及び罫から所定間隔だけ離れて設けられていることを特徴とする打抜機用抜型にある。
【0017】
本発明の第4の態様は、第1〜3の何れかの態様において、前記イジェクションラバーは、前記切断刃及び罫の両側の所定幅以外は高さが低くなっていることを特徴とする打抜機用抜型にある。
【0018】
本発明の第5の態様は、第1〜4の何れかの態様において、前記イジェクションラバーは、前記切断刃及び罫の両側の所定幅以外の部分が部分的に除去されていることを特徴とする打抜機用抜型にある。
【0019】
本発明の第6の態様は、第1〜5の何れかの態様において、前記基板は、複数層が積層された積層板であることを特徴とする打抜機用抜型にある。
【0020】
本発明の第7の態様は、基板に形成された固定溝に固定された切断刃及び罫と、これら切断刃及び罫の両側に設けられたイジェクションラバーとを具備する打抜機用抜型の製造方法において、基板とこの基板の少なくとも一方の表面に接合されたラバーシートとを具備するダイボードに、前記ラバーシートに前記切断刃及び罫を挿入する挿入溝を形成すると共に前記基板に固定溝を形成する工程と、前記固定溝に前記切断刃及び罫を固定する工程とを具備することを特徴とする打抜機用抜型の製造方法にある。
【0021】
本発明の第8の態様は、第7の態様において、前記ラバーシート及び前記基板の加工を高速エンドミルにより行うことを特徴とする打抜機用抜型の製造方法にある。
本発明の第9の態様は、第7の態様において、前記ラバーシート及び前記基板の加工を高速エンドミル及びレーザ加工により行うことを特徴とする打抜機用抜型の製造方法にある。
【0022】
本発明の第10の態様は、第7〜9の何れかの態様において、前記加工工程では、前記挿入溝及び固定溝を略同一幅で形成することを特徴とする打抜機用抜型の製造方法にある。
【0023】
本発明の第11の態様は、第7〜10の何れかの態様において、前記加工工程では、前記挿入溝の少なくとも前記切断刃及び罫の先端側を所定の幅に形成し、その後、前記固定溝を形成することを特徴とする打抜機用抜型の製造方法にある。
【0024】
本発明の第12の態様は、第7〜10の何れかの態様において、前記加工工程の後、別途固定溝を形成した他の基板を接合する接合工程を具備することを特徴とする打抜機用抜型の製造方法にある。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を一実施の形態と共に説明する。
【0026】
図1には、一実施形態に係る打抜機用抜型に用いるダイボードを示す。同図に示すように、ダイボード10は、金属、樹脂あるいは木材からなる基板11と、基板11の一面に接合されたラバーシート12とを具備する。ラバーシート12の材質は、イジェクションラバーとして使用できるゴム部材又はエラストマーであれば特に限定されない。なお、基板11とラバーシート12とは接着剤を介して接合してもよいが、基板11上にラバーシート12を直接成形することにより接合するようにしてもよい。
【0027】
かかるダイボード10は、前記切断刃及び罫を固定するための固定溝を基板11に形成すると共に、ラバーシート12を加工してイジェクションラバーとし、切断刃及び罫を固定すれば、打抜機用抜型として使用できる。
【0028】
このような打抜機用抜型の一例を図2に示す。図2(a)に示すように、打抜機用抜型20は、ダイボード10の基板11に固定溝21と、ラバーシート12に固定溝21に連通する挿入溝22を形成し、切断刃23及び罫24を固定したものである。切断刃23及び罫24は、従来技術で説明したような打抜片の打抜形状及び折り曲げ形状に合わせて設けられ、従って、固定溝21及び挿入溝22は、これら切断刃23及び罫24の形状に合わせて形成される。なお、挿入溝22は、固定溝21の幅、すなわち、切断刃23及び罫24の幅と略同一の幅の幅狭部22aと、これより幅広の幅広部22bとを具備する。幅広部22bは、切断刃23及び罫24との両側に1mm程度の隙間ができるような幅である。従来のイジェクションラバーのように切断刃23や罫24の両側に所定の幅のイジェクションラバーを後張りする場合には、良好な打抜をするために、1mm程度隙間を空けるのが好ましいとされているが、本発明ではイジェクションラバーを後張りするものではなく、従来より著しい高精度でイジェクションラバーを形成することができるので、図2(b)のように全て幅狭部22aの幅とした打抜機用抜型20Aとしてもよい。勿論、全て幅広部22bの幅で形成してもよい。
【0029】
従来、汎用的な抜型は、ベニヤ合板からなるダイボードに、炭酸ガスレーザで固定溝を加工していたが、本発明の打抜機用抜型20の固定溝21及び挿入溝22は、高速エンドミル加工により行う。高速エンドミルは、毎分数万回転という高速回転で加工するものであり、高速空気静圧主軸の高速エンドミルなどを用いるのが好ましい。このような高速エンドミル加工により、上述したラバーシート12を基板11と共に加工することができ、イジェクションラバーの貼り付け作業を行うことなく、打抜機用抜型20を容易に製造することができる。
【0030】
図3には、図2(a)の打抜機用抜型20の製造方法について説明する。まず、図3(a)及び(b)に示すように、ダイボード10に挿入溝22の幅広部22bを高速エンドミルで形成する。このとき、従来、レーザ加工を行うときに使用していたものと同様なCADデータなどの加工データを用いて、切断刃及び罫の形状に合わせて自動的に加工することができる。次に、高速エンドミルの工具を交換して、図3(c)に示すように、幅狭部22a及び固定溝21を加工する。このとき、同じ加工データを用いるので、高精度で位置合わせを行うことができる。ここで、固定溝21自体の幅精度はレーザ加工とは比較できないほど高精度であるので、レーザ加工のように仕上げ加工を行う必要はない。最後に、図3(d)に示すように、固定溝21に切断刃23及び罫24を固定して打抜機用抜型20とする。
【0031】
また、本発明の打抜機用抜型は上述した構成には限定されず、基板を複数層積層したものでもよい。ダイボードの状態で積層してあってもよいし、打抜機用抜型を組み立てる段階で積層してもよい。
【0032】
このような打抜機用抜型の一例を図4に示す。図4(a)に示すように、上述したダイボード10を図3に示すように加工すると同時に、例えば、ベニヤ合板などの第2のダイボード30に固定溝31を別途加工したものを用意する。次に、図4(b)に示すように、両者を接合した後、図4(c)に示すように、長尺の切断刃23A及び罫24Aを固定することにより、打抜機用抜型20Bとすることができる。ここで、固定溝31は、例えば、高速エンドミル加工により行ってもよいが、従来と同様に、レーザ加工により行ってもよい。比較的厚いベニヤ合板を用いて従来と同様な長尺の切断刃等を用いる場合には、レーザ加工の方が高速に加工できるという利点がある。なお、固定溝31は同様な加工データにより加工すれば位置合わせの精度の点では問題ない。また、固定溝31により高精度に切断刃等を固定できるので、幅精度の点でも問題はない。
【0033】
このように、上述した本発明の打抜機用抜型20〜20Bでは、従来、非常に危険で長時間を要したイジェクションラバーの粘着作業を排除し、且つ従来より著しく高精度でイジェクションラバーを設けることができるという効果を奏する。
【0034】
なお、上述した打抜機用抜型20〜20Bでは、イジェクションラバーが全面に亘って設けられているので、打抜の際の必要な圧力が大きくなる可能性があるが、勿論、不必要な部分のラバーシートの全て又は表面部分の一部を除去したりするのは自由である。
【0035】
このような打抜機用抜型の例を図5に示す。図5(a)に示す打抜機用抜型20Cは、切断刃23及び罫24の両側以外の領域に部分的に除去部25を設けたものであり、必要に応じて帯状に又はブロック状に形成すればよい。また、図5(b)に示す打抜機用抜型20Dは、切断刃23及び罫24の両側に所定の幅をあけて凹部26を設けたものである。凹部26は切断刃23及び罫24に沿って帯状に設けてもよいし、切断刃23及び罫24の両側に所定の幅の領域を残して全面に設けてもよい。
【0036】
なお、本発明の実施の態様では代表的な例を示したが、勿論これに限定されるものではないことは言うまでもない。
【0037】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の打抜機用抜型並びにその製造方法によれば、イジェクジョンラバーを簡単にかつ安全に抜型に取り付けることができ、コストダウンを図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施の形態の打抜機用抜型で用いるダイボードの概略断面図である。
【図2】本発明の一実施の形態の打抜機用抜型の概略断面図である。
【図3】本発明の一実施の形態の打抜機用抜型の製造工程を示す概略断面図である。
【図4】本発明の他の実施の形態の打抜機用抜型の概略断面図である。
【図5】本発明の他の実施の形態の打抜機用抜型の概略断面図である。
【図6】従来技術に係る打抜機の概略断面図である。
【図7】打抜機で打ち抜かれた打抜片の一例を示す平面図である。
【図8】従来技術に係る打抜機用抜型の概略断面図である。
【符号の説明】
10 ダイボード
11 基板
12 ラバーシート
20,20A,20B,20C,20D 打抜機用抜型
21 固定溝
22 挿入溝
23,23A 切断刃
24,24A 罫
Claims (12)
- 基板に形成された固定溝に固定された切断刃及び罫と、これら切断刃及び罫の両側に設けられたイジェクションラバーとを具備する打抜機用抜型において、前記基板の少なくとも一方の表面にラバーシートを接合したダイボードを加工して、前記切断刃及び罫を挿入する挿入溝を前記ラバーシートに形成すると共に前記切断刃及び罫を固定する固定溝を前記基板に形成し、前記固定溝に前記切断刃及び罫を固定して、前記ラバーシートを前記イジェクションラバーとしたものであることを特徴とする打抜機用抜型。
- 請求項1において、前記イジェクションラバーは、前記切断刃及び罫の両側面に略密着して設けられていることを特徴とする打抜機用抜型。
- 請求項1又は2において、前記イジェクションラバーは、前記切断刃及び罫の先端側がこれら切断刃及び罫から所定間隔だけ離れて設けられていることを特徴とする打抜機用抜型。
- 請求項1〜3の何れかにおいて、前記イジェクションラバーは、前記切断刃及び罫の両側の所定幅以外は高さが低くなっていることを特徴とする打抜機用抜型。
- 請求項1〜4の何れかにおいて、前記イジェクションラバーは、前記切断刃及び罫の両側の所定幅以外の部分が部分的に除去されていることを特徴とする打抜機用抜型。
- 請求項1〜5の何れかにおいて、前記基板は、複数層が積層された積層板であることを特徴とする打抜機用抜型。
- 基板に形成された固定溝に固定された切断刃及び罫と、これら切断刃及び罫の両側に設けられたイジェクションラバーとを具備する打抜機用抜型の製造方法において、基板とこの基板の少なくとも一方の表面に接合されたラバーシートとを具備するダイボードに、前記ラバーシートに前記切断刃及び罫を挿入する挿入溝を形成すると共に前記基板に固定溝を形成する工程と、前記固定溝に前記切断刃及び罫を固定する工程とを具備することを特徴とする打抜機用抜型の製造方法。
- 請求項7において、前記ラバーシート及び前記基板の加工を高速エンドミルにより行うことを特徴とする打抜機用抜型の製造方法。
- 請求項7において、前記ラバーシート及び前記基板の加工を高速エンドミル及びレーザ加工により行うことを特徴とする打抜機用抜型の製造方法。
- 請求項7〜9の何れかにおいて、前記加工工程では、前記挿入溝及び固定溝を略同一幅で形成することを特徴とする打抜機用抜型の製造方法。
- 請求項7〜10の何れかにおいて、前記加工工程では、前記挿入溝の少なくとも前記切断刃及び罫の先端側を所定の幅に形成し、その後、前記固定溝を形成することを特徴とする打抜機用抜型の製造方法。
- 請求項7〜10の何れかにおいて、前記加工工程の後、別途固定溝を形成した他の基板を接合する接合工程を具備することを特徴とする打抜機用抜型の製造方法。
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