JP4814437B2 - 変性ポリエチレン系樹脂の製造方法、変性ポリエチレン系樹脂及びそのフィルム - Google Patents

変性ポリエチレン系樹脂の製造方法、変性ポリエチレン系樹脂及びそのフィルム Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、変性ポリエチレン系樹脂の製造方法、変性ポリエチレン系樹脂及びフィルムに関する。さらに詳しくは、本発明は、耐衝撃性及び低偏肉性などの物性バランスに優れたインフレーションフィルムを与える変性ポリエチレン系樹脂を効率よく製造する方法、この方法で得られた上記特性を有する変性ポリエチレン系樹脂及びこの変性ポリエチレン系樹脂を基材とする上記物性バランスに優れるインフレーションフィルムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ポリエチレン樹脂は、汎用樹脂として様々な分野において広範囲に用いられており、その代表的な用途の一つとしてフィルムがある。その中で特に高密度ポリエチレンは、膜厚の薄いインフレーションフィルムが成形でき、かつそのフィルムは機械的強度に優れていることから包装用途に適している。このインフレーション成形法は、高密度ポリエチレンを溶融状態で環状ダイスから環状に押出し、内圧で膨張させながら、空冷固化して連続的に巻き取る方法である。このようなインフレーション成形においては、高い生産性を確保するために更なる高速化が求められている。しかしながら、高速成形を行うとフィルムが延伸により切断し、またダイス内部での溶融樹脂のスパイラル流動がそのままダイスリップ出口部分からの流動に現れる、いわゆるスパイラルマークが発生し、フィルム厚みの均一性が維持できない。その結果、フィルムにしわやたるみが発生し、フィルムの二次加工工程における印刷性やスリット性の低下、不良化の問題、あるいはフィルム製袋工程でのフィルムの蛇行が発生し、また製袋速度の低下やヒートシール不良などの問題が生じる。一方、フィルム厚みの均一性を確保するためにはフィルムの生産性を低下せざるを得なかった。
【0003】
このような問題を解決するために、従来、ロータリーダイスの使用、内部冷却方式によるバブル冷却の高効率化、ダイスリップの狭小化など、成形加工面からの種々の対策がとられてきたが、いずれも充分に満足するフィルム物性は得られないのが実状である。また、フィルム成形材料を得るための混練時に、ラジカル発生剤や架橋剤を添加する方法が提案されている(特開昭60−161131号公報など)。しかしながら、この方法は、偏肉は低減されるものの、フィルムインパクト強度が低下したり、インフレーションフィルム成形中にゲルが発生してフィルム外観が悪化するなど、好ましくない事態が発生する。一方、特開平7−276495号公報においては、歪み硬化パラメータと偏肉の関係について検討した例が示されている。しかしながら、本発明者らの検討では、偏肉は小さいが高速成形性が満足できるものではなかった。更にクロム系触媒で製造されたポリエチレン樹脂を変性する方法が提案されている(特開平8−90633号公報)。しかしながら、この変性方法では、架橋反応により高分子量のポリエチレンが生成し、その結果、ポリエチレンの粘度増加によるインフレ成形時の吐出量の低下、モータ負荷の増加という問題だけでなく、高分子量成分の生成によりフィルム上にフィッシュアイが発生し、フィルムの品質を著しく悪化させるといった欠点があった。
一方、低偏肉性を目的として、特定の酸素濃度条件下でポリエチレンを造粒する技術が提案されている(特開平11−71427号公報)。しかしながら、この技術においては、フィルムにゲルの発生がみられ、充分に満足し得るものではない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような状況下で、インフレーション成形時におけるバブル安定性が良好であると共に、耐衝撃性及び低偏肉性などの物性バランスに優れ、かつフィッシュアイの少ないインフレーションフィルムを与えるポリエチレン系樹脂及びこれを基材とする上記物性バランスに優れるインフレーションフィルムを提供することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、チーグラー型触媒を用いて得られた特定の性状を有するポリエチレン系樹脂を、重合後実質的に空気に接触させることなく、押出機内に導入し、この系内で酸素含有ガスと接触させ、次いで溶融混練することにより得られた変性ポリエチレン系樹脂が、その目的に適合し得ることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
【0006】
すなわち、本発明は、チーグラー型触媒を用いて得られた密度が940〜970kg/m3 、メルトフローレート(温度190℃、荷重49N)が0.01〜50g/10分及び温度190℃、角周波数1.5×10-2rad/秒でのtanδが1.0〜3.0であるポリエチレン系樹脂を、重合後実質的に空気に接触させることなく押出機内に導入し、この系内で酸素含有ガスと接触させ、次いで溶融混練することにより、樹脂のtanδを増加させることを特徴とする変性ポリエチレン系樹脂の製造方法を提供するものである。
また、本発明は、前記方法で得られた変性ポリエチレン系樹脂及びこの変性ポリエチレン系樹脂を基材とするインフレーションフィルムをも提供するものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明の変性ポリエチレン系樹脂の製造方法においては、変性に使用するポリエチレン系樹脂は、チーグラー型触媒を用いて得られたものである。すなわち、チタンなどの遷移金属成分と有機アルミニウム化合物などを含むチーグラー型触媒の存在下に、エチレン又はエチレンとα−オレフィンを重合させたものが用いられる。具体的には、マグネシウム、チタン、ハロゲンを含有する固体触媒成分と、有機アルミニウム化合物を主成分とする、いわゆる担持型チーグラー型触媒を用いることが好ましい。重合形式としては、例えば溶液重合法、スラリー重合法、気相重合法などを用いることができる。溶液重合、スラリー重合においては、不活性炭化水素を溶媒としてもよいし、オレフィン自体を溶媒とすることもできる。不活性炭化水素溶媒として具体的には、ブタン、イソブタン、ペンタン、ヘキサン、オクタン、デカン、ドデカン、ヘキサデカン、オクタデカンなどの脂肪族系炭化水素;シクロペンタン、メチルシクロペンタン、シクロヘキサン、シクロオクタンなどの脂環族系炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族系炭化水素;ガソリン、灯油、軽油などの石油留分などが挙げられる。これら不活性炭化水素溶媒のうち脂肪族系炭化水素、脂環族系炭化水素、石油留分などが好ましい。
【0008】
本発明においては、このポリエチレン系樹脂として、以下に示す性状を有するものが用いられる。
まず、密度は940〜970kg/m3 の範囲である。この密度が940kg/m3 未満では剛性が不充分であり、970kg/m3 を超えると衝撃強度が低下する。剛性及び耐衝撃性などを考慮すると、好ましい密度は945〜965kg/m3 の範囲であり、特に945〜960kg/m3 の範囲が好ましい。また、温度190℃、荷重49Nで測定したメルトフローレート(MFR)は0.01〜50g/10分の範囲である。このMFRが0.01g/10分未満では流動性に劣り、成形性が著しく悪く、50g/10分を超えると衝撃強度が低下する。成形性及び耐衝撃性などを考慮すると、好ましいMFRは0.05〜10g/10分の範囲であり、特に0.10〜1g/10分の範囲が好ましい。さらに、温度190℃、角周波数1.5×10-2rad/秒でのtanδは1.0〜3.0の範囲である。このtanδが上記範囲を逸脱すると本発明の目的が達せられない。好ましいtanδは1.1〜2.5の範囲であり、特に1.2〜2.0の範囲が好ましい。なお、これらの物性の測定方法は後で説明する。
【0009】
本発明において用いられるポリエチレン系樹脂は単独重合で得られる重合体でもよいが、少なくとも2種類のポリエチレン(A)及び(B)とから構成されるポリエチレン系樹脂がより好ましい。この場合、ポリエチレン(A)と(B)を均一に混合する必要がある。したがって、あらかじめ製造されたポリエチレン(A)と(B)とのパウダーをドライブレンドし、その後十分に溶融混練する方法でポリエチレン系樹脂を製造することが好ましい。ポリエチレン(A)と(B)をペレットとしてドライブレンドした場合には、十分均一に混合されず、フィルム成形時でのバブル安定性が確保されないだけでなく、フィルムに大量のフィッシュアイが発生するおそれがあるからである。十分均一に混合する他の方法として、2段階以上の連続多段重合により製造する方法も好ましく用いることができる。この場合、前段でポリエチレン(A)を製造し、後段にてポリエチレン(B)を製造するのがよい。
【0010】
また、前記ポリエチレン(A)は、温度190℃、荷重21.18Nで測定したMFRが、通常40〜2000g/10分、より好ましくは50〜1500g/10分、さらに好ましくは100〜1100g/10分である。このMFRが40g/10分末端になると流動性が低下するおそれがあり、一方、2000g/10分を超えると成形機のダイ近辺に目やにが発生するだけでなく、フィルム強度が低下し、フィルムにフィッシュアイが発生する場合がある。また、ポリエチレン(A)の密度は、通常930〜985kg/m3 が好ましく、より好ましくは、950〜985kg/m3 、更に好ましくは960〜985kg/m3 である。この密度が930kg/m3 未満であるとフィルムの剛性が低下するおそれがある。また、このポリエチレン(A)はエチレンの単独重合体であることが好ましい。
【0011】
一方、ポリエチレン(B)としては、エチレンの単独重合体や共重合体を挙げることができるが、好ましくはエチレンとα−オレフィンとの共重合体である。このα−オレフィンは、炭素数3〜20のものが好ましく、特に4〜10のものが好ましい。このようなα−オレフィンとしては、例えばプロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン等を挙げることができ、より好ましくは1−ブテンを挙げることができる。またポリエチレン(A)とポリエチレン(B)との割合は、重合比で、好ましくは30:70〜70:30、より好ましくは40:60〜60:40、さらに好ましくは50:50〜60:40である。ポリエチレン(A)とポリエチレン(B)との合計量に基づき、ポリエチレン(A)が30重量%未満では流動性に劣り、70重量%を超えるとフィルムにフィッシュアイが発生する場合がある。
【0012】
本発明の方法においては、チーグラー型触媒を用いて製造された前述のポリエチレン系樹脂を系内にて乾燥処理したのち、実質的に空気に接触させることなく、押出機内に導入し、押出機内で酸素含有ガスを接触させる。チーグラー型触媒を用いて製造されたポリエチレン系樹脂は、パウダー状であるため表面積が大きく、空気に接触することにより、変質しやすいからである。
本発明においては、ポリエチレン系樹脂を押出機内で酸素含有ガスと接触させたのち、溶融混練して、前記tanδを増加させる。この際、該tanδは、好ましくは1〜150%、より好ましくは1〜100%、さらに好ましくは5〜80%増加させるのが有利である。このtanδの増加率が1%未満では改良効果(変性効果)が充分に発現されないおそれがあり、150%を超えると得られる変性ポリエチレン系樹脂が黄変し、耐衝撃性が低下する場合がある。また、押出樹脂温度としては、200〜330℃の範囲が好ましい。
【0013】
押出機としては、同方向回転二軸押出機、異方向回転二軸押出機など、二軸スクリューを持つものが好ましい。同方向回転二軸押出機の例としては、日本製鋼所製TEX,CMP−X,CMP−XII、東芝機械製TEM、神戸製鋼所製KTX,KRUPP WERNER&PFLEIDERER製ZSKなどが挙げられ、異方向回転二軸押出機の例としては、日本製鋼所CIM,CIM−P,CIM−PII、神戸製鋼所FCM,LCM−G,LCM−Hなどが挙げられる。また、これら押出機の複数の組み合わせ(二段目が単軸押出機も含む)であるタンデム押出機も用いることができる。
【0014】
酸素含有ガスとの接触については、押出機のホッパー、ホッパーシュート、固体輸送部、可塑化部のいずれの領域でもその効果が発現する。更に、押出機へのフィーダーなどにおける接触でも、酸素含有ガスが押出機まで同伴される場合は、同様な効果が発現する。この領域では樹脂がパウダー状であるため、より均一に酸素含有ガスが樹脂に接触すると考えられるからである。従って、より好ましくは押出機のホッパー、ホッパーシュート、固体輸送部である。固体輸送部で効率よくポリエチレン樹脂のパウダーの輸送を行い、ポリエチレン系樹脂がより一層均一に混合するためには、このパウダーの嵩密度が0.2〜0.6g/cm3 であるのが好ましく、より好ましくは、0.3〜0.4g/cm3 である。混練時の比エネルギーは0.05〜0.5kW・h/kgが好ましく、より好ましくは、0.07〜0.4kW・h/kgである。
【0015】
酸素含有ガス中の酸素濃度は、通常0.5〜50体積%、好ましくは1〜21体積%、より好ましくは1〜5体積%である。この酸素濃度が0.5体積%未満ではバブル安定化の効果が充分に発揮されないおそれがあり、50体積%を超えると得られる変性ポリエチレン系樹脂が黄変する上、製造時における安全性が確保できない場合がある。酸素濃度は、電気伝導度を利用した装置または気相クロマトグラフを用いた測定器で測定しながら調整することができる。例えば、酸素を含む混合ガスをホッパーにてポリエチレン系樹脂と接触させる場合には、測定器のセンサーは、ホッパーの内側、若しくは押出成形機の固体輸送部の入口付近の下部に設置させることが好ましい。
また、ポリエチレン系樹脂が溶融する前に、所望により、4000ppm以下、好ましくは3000ppm以下、より好ましくは2000ppm以下の酸化防止剤を適宜、添加する場合がある。樹脂によっては本発明の変性方法を用いてもポリエチレン系樹脂のtanδが増加せず、本発明の目的が、充分に達せられず、ポリエチレン系樹脂が黄変する場合があるからである。
【0016】
この酸化防止剤としては、例えばフェノール系安定剤,有機ホスファイト系安定剤,チオエーテル系安定剤,ヒンダードアミン系安定剤などを用いることができる。
フェノール系安定剤としては、例えば、2,6‐ジ‐t‐ブチル‐4‐メチルフェノール、2,6‐ジ‐t‐ブチル‐4‐エチルフェノール、2,6‐ジシクロヘキシル‐4‐メチルフェノール、2,6‐ジイソプロピル‐4‐エチルフェノール、2,6‐ジ‐t‐アミル‐4‐メチルフェノール、2,6‐ジ‐t‐オクチル‐4‐n‐プロピルフェノール、2,6‐ジシクロヘキシル‐4‐n‐オクチルフェノール、2‐イソプロピル‐4‐メチル‐6‐t‐ブチルフェノール、2‐t‐ブチル‐2‐エチル‐6‐t‐オクチルフェノール、2‐イソブチル‐4‐エチル‐5‐t‐ヘキシルフェノール、2‐シクロヘキシル‐4‐n‐ブチル‐6‐イソプロピルフェノール、スチレン化混合クレゾール、dl‐α‐トコフェロール、t‐ブチルヒドロキノン、2,2′‐メチレンビス(4‐メチル‐6‐t‐ブチルフェノール)、4,4′‐ブチリデンビス(3‐メチル‐6‐t‐ブチルフェノール)、4,4′‐チオビス(3‐メチル‐6‐t‐ブチルフェノール)、2,2′‐チオビス(4‐メチル‐6‐t‐ブチルフェノール)、4,4′‐メチレンビス(2,6‐ジ‐t‐ブチルフェノール)、2,2′‐メチレンビス[6‐(1‐メチルシクロヘキシル)‐p‐クレゾール]、2,2′‐エチリデンビス(4,6‐ジ‐t‐ブチルフェノール)、2,2′‐ブチリデンビス(2‐t‐ブチル‐4‐メチルフェノール)、1,1,3‐トリス(2‐メチル‐4‐ヒドロキシ‐5‐t‐ブチルフェニル)ブタン、トリエチレングリコール‐ビス[3‐(3‐t‐ブチル‐5‐メチル‐4‐ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6‐ヘキサンジオール‐ビス[3‐(3,5‐ジ‐t‐ブチル‐4‐ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,2′‐チオジエチレンビス[3‐(3,5‐ジ‐t‐ブチル‐4‐ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、N,N′‐ヘキサメチレンビス(3,5‐ジ‐t‐ブチル‐4‐ヒドロキシ‐ヒドロシンナミド)、3,5‐ジ‐t‐ブチル‐4‐ヒドロキシベンジルホスホネート‐ジエチルエステル、1,3,5‐トリス(2,6‐ジメチル‐3‐ヒドロキシ‐4‐t‐ブチルベンジル)イソシアヌレート、1,3,5‐トリス[(3,5‐ジ‐t‐ブチル‐4‐ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシエチル]イソシアヌレート、トリス(4‐t‐ブチル‐2,6‐ジメチル‐3‐ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、2,4‐ビス(n‐オクチルチオ)‐6‐(4‐ヒドロキシ‐3,5‐ジ‐t‐ブチルアニリノ)‐1,3,5‐トリアジン、テトラキス[メチレン‐3‐(3,5‐ジ‐t‐ブチル‐4‐ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、ビス(3,5‐ジ‐t‐ブチル‐4‐ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル)カルシウム、ビス(3,5‐ジ‐t‐ブチル‐4‐ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル)ニッケル、ビス[3,3‐ビス(3‐t‐ブチル‐4‐ヒドロキシフェニル)ブチリックアシド]グリコールエステル、N,N′‐ビス[3‐(3,5‐ジ‐t‐ブチル‐4‐ヒドロキシフェニル)プロピオニル]ヒドラジン、2,2′‐オキザミドビス[エチル‐3‐(3,5‐ジ‐t‐ブチル‐4‐ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ビス[2‐t‐ブチル‐4‐メチル‐6‐(3‐t‐ブチル‐5‐メチル‐2‐ヒドロキシベンジル)フェニル]テレフタレート、1,3,5‐トリメチル‐2,4,6‐トリス(3,5‐ジ‐t‐ブチル‐4‐ヒドロキシベンジル)ベンゼン、3,9‐ビス〔1,1‐ジメチル‐2‐[β‐(3‐t‐ブチル‐4‐ヒドロキシ‐5‐メチルフェニル)プロピオニルオキシ]エチル〕‐2,4,8,10‐テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、2,2‐ビス〔4‐[2‐(3,5‐ジ‐t‐ブチル‐4‐ヒドロキシヒドロシンナモイルオキシ)]エトキシフェニル〕プロパン及びステアリル‐β‐(4‐ヒドロキシ‐3,5‐ジ‐t‐ブチルフェノール)プロピオネートなどのβ‐(3,5‐ジ‐t‐ブチル‐4‐ヒドロキシフェニル)プロピオン酸アルキルエステルなどが挙げられる。これらの中では、2,6‐ジ‐t‐ブチル‐4‐メチルフェノール、ステアリル‐β‐(4‐ヒドロキシ‐3,5‐ジ‐t‐ブチルフェノール)プロピオネート、2,2′‐エチリデンビス(4,6‐ジ‐t‐ブチルフェノール)及びテトラキス[メチレン‐3‐(3,5‐ジ‐t‐ブチル‐4‐ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタンが好適である。
【0017】
有機ホスファイト系安定剤としては、例えば、トリオクチルホスファイト、トリラウリルホスファイト、トリストリデシルホスファイト、トリスイソデシルホスファイト、フェニルジイソオクチルホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、フェニルジ(トリデシル)ホスファイト、ジフェニルイソオクチルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、ジフェニルトリデシルホスファイト、トリフェニルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4‐ジ‐t‐ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(ブトキシエチル)ホスファイト、テトラトリデシル‐4,4′‐ブチリデンビス(3‐メチル‐6‐t‐ブチルフェノール)‐ジホスファイト、4,4′‐イソプロピリデン‐ジフェノールアルキルホスファイト(ただし、アルキルは炭素数12〜15程度)、4,4′‐イソプロピリデンビス(2‐t‐ブチルフェノール)・ジ(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(ビフェニル)ホスファイト、テトラ(トリデシル)‐1,1,3‐トリス(2‐メチル‐5‐t‐ブチル‐4‐ヒドロキシフェニル)ブタンジホスファイト、トリス(3,5‐ジ‐t‐ブチル‐4‐ヒドロキシフェニル)ホスファイト、水素化‐4,4′‐イソプロピリデンジフェノールポリホスファイト、ビス(オクチルフェニル)・ビス[4,4′‐ブチリデンビス(3‐メチル‐6‐t‐ブチルフェノール)]・1,6‐ヘキサンジオールジホスファイト、ヘキサトリデシル‐1,1,3‐トリス(2‐メチル‐4‐ヒドロキシ‐5‐t‐ブチルフェノール)ジホスファイト、トリス[4,4′‐イソプロピリデンビス(2‐t‐ブチルフェノール)]ホスファイト、トリス(1,3‐ジステアロイルオキシイソプロピル)ホスファイト、9,10‐ジヒドロ‐9‐ホスファフェナンスレン‐10‐オキシド、テトラキス(2,4‐ジ‐t‐ブチルフェニル)‐4,4′‐ビフェニレンジホスホナイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ジ(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、フェニル・4,4′‐イソプロピリデンジフェノール・ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4‐ジ‐t‐ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6‐ジ‐t‐ブチル‐4‐メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト及びフェニルビスフェノール‐A‐ペンタエリスリトールジホスファイトなどが挙げられる。これらの中では、トリス(2,4‐ジ‐t‐ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト及びテトラキス(2,4‐ジ‐t‐ブチルフェニル)‐4,4′‐ビフェニレンジホスファイトが好ましく、特にトリス(2,4‐ジ‐t‐ブチルフェニル)ホスファイトが好適である。
【0018】
有機チオエーテル系安定剤としては、ジアルキルチオジプロピオネート及びアルキルチオプロピオン酸の多価アルコールエステルを用いることが好ましい。ここで使用されるジアルキルチオジプロピオネートとしては、炭素数6〜20のアルキル基を有するジアルキルチオジプロピオネートが好ましく、またアルキルチオプロピオン酸の多価アルコールエステルとしては、炭素数4〜20のアルキル基を有するアルキルチオプロピオン酸の多価アルコールエステルが好ましい。この場合に多価アルコールエステルを構成する多価アルコールの例としては、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール及びトリスヒドロキシエチルイソシアヌレートなどを挙げることができる。このようなジアルキルチオジプロピオネートとしては、例えば、ジラウリルチオジプロピオネート、ジミリスチルチオジプロピオネート及びジステアリルチオジプロピオネートなどを挙げることができる。一方、アルキルチオプロピオン酸の多価アルコールエステルとしては、例えば、グリセリントリブチルチオプロピオネート、グリセリントリオクチルチオプロピオネート、グリセリントリラウリルチオプロピオネート、グリセリントリステアリルチオプロピオネート、トリメチロールエタントリブチルチオプロピオネート、トリメチロールエタントリオクチルチオプロピオネート、トリメチロールエタントリラウリルチオプロピオネート、トリメチロールエタントリステアリルチオプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラブチルチオプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラオクチルチオプロピオネート、ペンタエリスリトールテトララウリルチオプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラステアリルチオプロピオネートなどを挙げることができる。これらの中では、ジラウリルチオジプロピオネート、ジステアリルチオジプロピオネート、ペンタエリスリトールテトララウリルチオプロピオネートが好適である。
【0019】
ヒンダードアミン系安定剤としては、例えば、ビス(2,2,6,6‐テトラメチル‐4‐ピペリジル)セバケート、コハク酸ジメチル‐1‐(2‐ヒドロキシエチル)‐4‐ヒドロキシ‐2,2,6,6‐テトラメチルピペリジン重縮合物、ポリ[6‐(1,1,3,3‐テトラメチルブチル)イミノ‐1,3,5‐トリアジン‐2,4‐ジイル][(2,2,6,6‐テトラメチル‐4‐ピペリジル)イミノ]ヘキサメチレン[2,2,6,6‐テトラメチル‐4‐ピペリジル)イミノ]、テトラキス(2,2,6,6‐テトラメチル‐4‐ピペリジル)‐1,2,3,4‐ブタンテトラカルボキシレート、2,2,6,6‐テトラメチル‐4‐ピペリジルベンゾエート、ビス‐(1,2,6,6‐ペンタメチル‐4‐ピペリジル)‐2‐(3,5‐ジ‐t‐ブチル‐4‐ヒドロキシベンジル)‐2‐n‐ブチルマロネート、ビス‐(N‐メチル‐2,2,6,6‐テトラメチル‐4‐ピペリジル)セバケート、1,1′‐(1,2‐エタンジイル)ビス(3,3,5,5‐テトラメチルピペラジノン)、(ミックスト2,2,6,6‐テトラメチル‐4‐ピペリジル/トリデシル)‐1,2,3,4‐ブタンテトラカルボキシレート、(ミックスト1,2,2,6,6‐ペンタメチル‐4‐ピペリジル/トリデシル)‐1,2,3,4‐ブタンテトラカルボキシレート、ミックスト〔2,2,6,6‐テトラメチル‐4‐ピペリジル/β,β,β′,β′‐テトラメチル‐3,9‐[2,4,8,10‐テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン]ジエチル〕‐1,2,3,4‐ブタンテトラカルボキシレート、ミックスト〔1,2,2,6,6‐ペンタメチル‐4‐ピペリジル/β,β,β′,β′‐テトラメチル‐3,9‐[2,4,8,10‐テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン]ジエチル〕‐1,2,3,4‐ブタンテトラカルボキシレート、N,N′‐ビス(3‐アミノプロピル)エチレンジアミン‐2,4‐ビス[N‐ブチル‐N‐(1,2,2,6,6‐ペンタメチル‐4‐ピペリジル)アミノ]‐6‐クロロ‐1,3,5‐トリアジン縮合物、ポリ[6‐N‐モルホリル‐1,3,5‐トリアジン‐2,4‐ジイル][(2,2,6,6‐テトラメチル‐4‐ピペリジル)イミノ]ヘキサメチレン[(2,2,6,6‐テトラメチル‐4‐ピペリジル)イミド]、N,N′‐ビス(2,2,6,6‐テトラメチル‐4‐ピペリジル)ヘキサメチレンジアミンと1,2‐ジブロモエタンとの縮合物、[N‐(2,2,6,6‐テトラメチル‐4‐ピペリジル)‐2‐メチル‐2‐(2,2,6,6‐テトラメチル‐4‐ピペリジル)イミノ]プロピオンアミドなどを挙げることができる。
【0020】
これらのヒンダードアミン系安定剤の中では、特に、コハク酸ジメチル‐1‐(2‐ヒドロキシエチル)‐4‐ヒドロキシ‐2,2,6,6‐テトラメチルピペリジン重縮合物、ポリ[6‐(1,1,3,3‐テトラメチルブチル)イミノ‐1,3,5‐トリアジン‐2,4‐ジイル][(2,2,6,6‐テトラメチル‐4‐ピペリジル)イミノ]ヘキサメチレン[(2,2,6,6‐テトラメチル‐4‐ピペリジル)イミノ]、テトラキス(2,2,6,6‐テトラメチル‐4‐ピペリジル)‐1,2,3,4‐ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,6,6‐ペンタメチル‐4‐ピペリジル)‐2‐(3,5‐ジ‐t‐ブチル‐4‐ヒドロキシベンジル)‐2‐n‐ブチルマロネート、1,1′‐(1,2‐エタンジイル)ビス(3,3,5,5‐テトラメチルピペラジノン)、(ミックスト2,2,6,6‐テトラメチル‐4‐ピペリジル/トリデシル)‐1,2,3,4‐ブタンテトラカルボキシレート、(ミックスト1,2,2,6,6‐ペンタメチル‐4‐ピペリジル/トリデシル)‐1,2,3,4‐ブタンテトラカルボキシレート、ミックスト〔2,2,6,6‐テトラメチル‐4‐ピペリジル/β,β,β′,β′‐テトラメチル‐3,9‐[2,4,8,10‐テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン]ジエチル〕‐1,2,3,4‐ブタンテトラカルボキシレート、ミックスト〔1,2,2,6,6‐ペンタメチル‐4‐ピペリジル/β,β,β′,β′‐テトラメチル‐3,9‐[2,4,8,10‐テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン]ジエチル〕‐1,2,3,4‐ブタンテトラカルボキシレート、N,N′‐ビス(3‐アミノプロピル)エチレンジアミン‐2,4‐ビス[N‐ブチル‐N‐(1,2,6,6‐ペンタメチル‐4‐ピペリジル)アミノ]‐6‐クロロ‐1,3,5‐トリアジン縮合物、ポリ[6‐N‐モルホリル‐1,3,5‐トリアジン‐2,4‐ジイル][(2,2,6,6‐テトラメチル‐4‐ピペリジル)イミノ]ヘキサメチレン[(2,2,6,6‐テトラメチル‐4‐ピペリジルイミド]、N,N′‐ビス(2,2,6,6‐テトラメチル‐4‐ピペリジル)ヘキサメチレンジアミンと1,2‐ジブロモエタンとの縮合物、[N‐(2,2,6,6‐テトラメチル‐4‐ピペリジル)‐2‐メチル‐2‐(2,2,6,6‐テトラメチル‐4‐ピペリジル)イミノ]プロピオンアミドが好適である。
【0021】
このようにして得られた本発明の変性ポリエチレン系樹脂には、本発明の目的が損なわれない範囲で、所望により、例えば中和剤(金属セッケン、ハイドロタルサイト系)、耐候性安定剤、耐熱安定剤、帯電防止剤、スリップ防止剤、アンチブロッキング剤、防曇剤、滑剤、顔料、染料、核剤、可塑剤、老化防止剤等の添加剤を配合することができる。
本発明のインフレーションフィルムは、前記変性ポリエチレン系樹脂を基材とするものであって、インフレーション成形方法としては特に制限はなく、従来公知の方法を用いることができるが、成形条件としては、温度160〜340℃、ブローアップ比1.1〜6.0の範囲が好ましい。この温度が160℃未満ではポリエチレン系樹脂が充分に溶融しないおそれがあり、また、340℃を超えると樹脂が劣化し、フィルムの品質が低下する場合がある。一方、ブローアップ比が1.1未満であったり、6.0を超えると、縦横のバランスのよい高品質フィルムが得られにくい。このようにして得られたインフレーションフィルムの厚さは、通常5〜100μm、好ましくは10〜60μmの範囲である。
【0022】
【実施例】
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
なお、樹脂の物性及び酸素濃度は、下記の方法に従って測定した。
(1)樹脂の物性
(イ)密度
JIS K7112に準拠して測定した。
(ロ)MFR
JIS K7210に準拠し、190℃にて21.18Nあるいは49N荷重下の条件にて測定した。
(ハ)tanδ
tanδの測定に用いた試料は以下のように調製した。変性前のポリエチレン系樹脂のtanδを測定する場合、変性前のパウダーを190℃、3分程度にて溶融プレスし、厚み1mmの円板を作成し、測定用の試料とした。また変性後のポリエチレン系樹脂のtanδを測定する場合には、変性後のペレットを190℃、3分程度にて溶融プレスし、厚み1mmの円板を作成し、測定用の試料とした。
プレス成形で得た円板を円錐−平板に挟み、温度190℃、歪み15%にて動的歪みを与え、角周波数1.5×10-2rad/secでの貯蔵弾性率G′と損失弾性率G″を測定し、以下の式にて損失正接tanδを求めた。測定にはレオメトリック社製ARESを用いた。
tanδ=G″/G′
(ニ)YI(イエローインデックス)
ペレット状である変性ポリエチレン系樹脂を用いてJIS K7103に準拠してYIを測定した。
【0023】
(2)酸素濃度
酸素濃度検出器にて酸素濃度を測定した。
また、フィルムの物性は、下記の方法に従って測定した。
(3)フィルムの物性
(イ)衝撃強度
インフレーション成形後、JISの標準温度状態2級(23±2℃)及び標準湿度状態2級(50±5%RH)にて、状態調節時間24時間以上置いてからフィルムインパクトテスター(東洋精機製作所製)を用いて、インフレーションフィルムの衝撃強度を測定した。ハンマー容量を294N・cmと設定した。
(ロ)フィッシュアイ(以下、FE)
FEとは、フィルム面に現れる球状の塊及びスジ状態のものをいう。インフレーションフィルムを蛍光灯に透かして、目視でフィルム1000cm2 中のFEの個数をカウントした。
(ハ)フィルムの成形安定性
下記のインフレーション成形条件でもフィルムが切れなければバブル安定性を○とし、切れた場合を×とした。
押出機:プラコーNLM(50mmφ)
ダイス型式:プラコーSG−11−100F6特
リップ部 外径:100mmφ、ギャップ:1.2mm、ランド長:20mm
スパイラル部 外径:110mmφ、条数:6
吐出量:68kg/hr、引き取り速度:51m/min、フィルム折り径:500mm
フィルム厚み:25μm、設定温度:200℃、ブローアップ比:3.4
(ニ)フィルムの厚み偏差
フィルムの厚みを円周方向に連続的に測定し、そのデータ群の標準偏差を求め、偏肉の尺度として用いた。
【0024】
実施例1
連続式スラリー2段重合装置を用いて、前段でチタン系触媒を用いてエチレンの単独重合を行い、190℃、21.18N荷重のMFR2 =950g/10分、密度=982kg/m3 の重合体を得た。次に二段目の重合装置に移送しその重合ヘキサン溶液存在下で、同様にチタン系触媒を用いてエチレンと1−ブテンとの共重合を行った。得られたエチレン系共重合体のヘキサン懸濁液を60℃下、遠心分離器にて固液分離を行い、分離されたウェットなパウダーケーキを100℃のパウダー乾燥機にて滞留時間1時間の条件下で連続的に乾燥した。乾燥後のポリエチレン系樹脂パウダーIを装置から抜き出して測定した結果、その密度は949kg/m3 であり、190℃、49N荷重下のMFR5 は0.20g/10分、tanδ=1.27であった。1段目と2段目の重合量比は重量比で53:47に設定した。これらの結果を第1表−1に示す。
【0025】
得られたポリエチレン系樹脂のパウダーIに一度も空気を触れないようにして、イルガホス168 1000ppm、イルガノックス1010 500ppm、ステアリン酸カルシウム3000ppmを系内でブレンドし、連続的にタンデム型二軸混練押出機の供給ホッパー中に導入した。図1に示すようにこの押出機の一段目は二軸混練機CIM−50(日本製鋼所製)で、二段目が単軸押出機P65−13SW(日本製鋼所製)であり、一段目の供給ホッパーにて酸素含有ガスを導入した。この混練機を用いて溶融混練を行い、ストランドカット後、ペレット状の変性ポリエチレン系樹脂を得た。混練条件を第1表−2に示す。なお、図1は本実施例で使用した押出機の概要図である。
得られた変性ポリエチレン樹脂を用いて以下の条件にてインフレーション成形を行った。
【0026】
インフレーション成形条件
押出機:プラコーNLM(50mmφ)
ダイス型式:プラコーSG−11−100F6特
リップ部 外径:100mmφ、ギャップ:1.2mm、ランド長:20mm
スパイラル部 外径:110mmφ、条数:6
吐出量:56kg/hr、引き取り速度:42m/min、フィルム折り径:500mm
フィルム厚み:20μm、設定温度:200℃、ブローアップ比:3.4
変性ポリエチレン系樹脂の物性及びフィルム物性の評価結果などを第1表−3に示す。
【0027】
実施例2
第1表−1に示したポリエチレン系樹脂II及びIII を用い、第1表−2に示す条件1にて、実施例1と同様にしてペレット状の変性ポリエチレン系樹脂を得た。結果を第2表に示す。
【0028】
【表1】
Figure 0004814437
【0029】
【表2】
Figure 0004814437
【0030】
【表3】
Figure 0004814437
【0031】
【表4】
Figure 0004814437
【0032】
実施例3
実施例1と同様に重合したパウダーIに一度も空気を触れないようにして、イルガホス168 900ppm、イルガノックス1010 600ppm、ステアリン酸カルシウム2800ppmを系内にてブレンドした後、窒素置換された200リットルSUS製容器に、採取した。採取パウダーの入ったSUS製容器は、押出機フィーダーと接合し、フィーダー内を完全に窒素で置換後、ゲートを開き加圧窒素を供給しながら、フィーダー内へパウダーを供給した(図2(a)参照)。
使用した二軸押出機は、同方向回転二軸押出機TEX30HSS−32.5PW−2V(日本製鋼所製)である。第3表−1に示すように、酸素の添加位置、添加濃度を変化させ、溶融混練を行い、ストランドカット後、ペレット状の変性ポリエチレン樹脂を得た。なお、ここでは、酸素含有ガスをホッパーシュート(図2(a)参照)あるいは第二シリンダー(図2(b)参照)から導入した。結果を第3表−2に示す。
なお、図2(a)は、本実施例で使用した押出機の概要図であり、図2(b)は、図2(a)で示す押出機部の拡大図である。図中、符号1はSUS製容器、2はフィーダー、3はシュートである。
【0033】
【表5】
Figure 0004814437
【0034】
【表6】
Figure 0004814437
【0035】
【発明の効果】
本発明によれば、インフレーション成形時におけるバブル安定性が良好であると共に、耐衝撃性及び低偏肉性などの物性バランスに優れ、かつフィッシュアイの少ないインフレーションフィルムを与えるポリエチレン系樹脂を効率よく製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1及び実施例2で使用した押出機の概要図である。
【図2】実施例3で使用した押出機の概要図(a)及びその押出機部の拡大図(b)である。
【符号の説明】
1 SUS製容器
2 フィーダー
3 シュート

Claims (16)

  1. チーグラー型触媒を用いて得られた密度が940〜970kg/m3 、メルトフローレート(温度190℃、荷重49N)が0.01〜50g/10分及び温度190℃、角周波数1.5×10-2rad/秒でのtanδが1.0〜3.0であるポリエチレン系樹脂を、重合後実質的に空気に接触させることなく押出機内に導入し、この系内で酸素含有ガスと接触させ、次いで溶融混練することにより、樹脂のtanδを増加させることを特徴とする変性ポリエチレン系樹脂の製造方法。
  2. 溶融混練により、tanδを1〜150%増加させる請求項1記載の変性ポリエチレン系樹脂の製造方法。
  3. 押出機内でポリエチレン系樹脂と接触させる酸素含有ガスが、酸素濃度0.5〜50体積%である請求項1又は2記載の変性ポリエチレン系樹脂の製造方法。
  4. 酸素含有ガスが、酸素濃度0.5〜5体積%である請求項3に記載の変性ポリエチレン系樹脂の製造方法。
  5. ポリエチレン系樹脂が溶融する前に、酸化防止剤を4000ppm以下の割合で添加する請求項1ないし4のいずれかに記載の変性ポリエチレン系樹脂の製造方法。
  6. 酸化防止剤としてフェノール系安定剤及び有機ホスファイト系安定剤を添加する請求項5に記載の変性ポリエチレン系樹脂の製造方法。
  7. 押出機が二軸スクリュー押出機である請求項1ないしのいずれかに記載の変性ポリエチレン系樹脂の製造方法。
  8. 酸素含有ガスと接触させる前のポリエチレン系樹脂に含まれるα−オレフィン単位が、炭素数3〜20で、かつその含有量が2モル%以下である請求項1ないしのいずれかに記載の変性ポリエチレン系樹脂の製造方法。
  9. ポリエチレン系樹脂が、2段階以上の連続多段重合により製造されたものであり、かつ前段でメルトフローレート(温度190℃、荷重21.18N)が40〜2000g/10分で、密度が930〜985kg/m3 のポリエチレン(A)を製造し、次いで後段で該ポリエチレン(A)の存在下でポリエチレン(B)を製造し、ポリエチレン(A)とポリエチレン(B)との割合が、重量比で30:70〜70:30の範囲になるように調整してなるものである請求項1ないしのいずれかに記載の変性ポリエチレン系樹脂の製造方法。
  10. ポリエチレン(A)が、エチレン単独重合体である請求項9に記載の変性ポリエチレン系樹脂の製造方法。
  11. ポリエチレン(B)が、エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとの共重合体である請求項9又は10に記載の変性ポリエチレン系樹脂の製造方法。
  12. ポリエチレン(B)が、エチレンと炭素数4のα−オレフィンとの共重合体である請求項11に記載の変性ポリエチレン系樹脂の製造方法。
  13. チーグラー型触媒を用いて得られたポリエチレン系樹脂がパウダー状である請求項1ないし12のいずれかに記載の変性ポリエチレン系樹脂の製造方法。
  14. チーグラー型触媒が、マグネシウム、チタン、ハロゲンを含有する固体触媒成分と有機アルミニウムを主成分とする担持型チーグラー型触媒である請求項1ないし13のいずれかに記載の変性ポリエチレン系樹脂の製造方法
  15. 請求項1ないし14のいずれかに記載の方法で得られたことを特徴とする変性ポリエチレン系樹脂。
  16. 請求項15に記載の変性ポリエチレン系樹脂を基材とするインフレーションフィルム。
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