JP4814105B2 - 脱水要素用材料 - Google Patents
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Description
本発明は、製紙機械のウェットエンドにおける脱水要素用材料、該材料で製造される脱水要素、該材料の脱水要素製造への使用、及び該材料の製造方法に関する。
製紙機械のウェットエンドにおいて、フォーミングスクリーン又はワイヤーは、薬品や顔料と共に水中に存在するセルロース繊維スラリーを支持し、スラリーから水の排水を促進するいくつかの脱水要素上を滑る。該脱水要素は、地合い構成板、フォイルブレード、真空ブレード、サクションボックスカバー等を含んでいる。フォーミングスクリーンを通してスラリーから除去された排出水は、典型的には約0.5から1%の固形物質を含んでいる。この固形物質は、典型的には約95%の顔料(例えば、炭酸カルシウム)、及び約5%のセルロース繊維を含有している。
従って、これら脱水要素上を滑るフォーミングスクリーンは、それ自身が滑ること、及び排出水にこれら顔料やセルロース繊維が存在する結果、広範囲な磨耗を受けている。従って、一般的にポリエステル織物であるフォーミングスクリーンは、例えば30−35日ごとに、高いコストで交換する必要がある。フォーミングスクリーンの磨耗は、該スクリーンが平坦なサクションボックスのカバー上を滑るときに特に言われており、この点で排出水の量がすでに顕著に減少している。平坦なサクションボックスのカバーは、通常、非常に硬いセラミック材料から製造されており、例えば酸化アルミニウム、酸化クロム、酸化ジルコニウム、炭化珪素又は窒化珪素から製造されている。該材料の性質は、表面粗さ、多孔度及び孔径等を含んでおり、これら性質はフォーミングスクリーンの磨耗において重要な役割を果たしており、その程度は排水中に含まれる顔料の種類及び特性と同様である(例えば、M.Laufmann,H.−U.Rapp,Wochenblatt fur Papierfabrikation,144/16,615−622(1986)参照)。
このため、先行技術には、スクリーンを脱水要素上に滑らせることによる、製紙機械のウェットエンドにおけるフォーミングスクリーンの磨耗、及びそれに連動したスクリーン交換による高いコストに関する問題がある。さらには、先行技術によるセラミック材料には、傷つきやすいという問題がある。
本発明の目的は、製紙機械におけるフォーミングスクリーンと脱水要素間の磨耗及び摩擦、及び先行技術のセラミック材料の傷つきやすさに関する、前述の問題を緩和することである。
この目的は,添付の特許請求の範囲で規定された脱水要素用の材料により、この材料を含む脱水要素により、及びこの材料の脱水要素の製造への使用により、達成することができる。
今般、該材料の該充填剤含有量が、脱水要素とフォーミングスクリーンとの間の摩擦に関して重要な役割を果たすことが見出された。脱水要素用の、より柔らかい材料が、一般的にフォーミングスクリーン上における磨耗を低くすることもまた見出された。本発明者らによって見出された驚くべき効果は、低硬度の充填剤をさらに含む、硬度の低いエラストマーマトリックス(例えば低硬度のポリウレタン)が、フォーミングスクリーン上における低い磨耗に関しても、脱水要素とフォーミングスクリーンとの間での低い摩擦に関しても、優れた性能を発揮するということであった。
従って、本発明は、脱水要素用の柔らかく無孔の材料を提供し、該材料はフォーミングスクリーンの磨耗を最小限にするためにデザインされており、また該材料は先行技術のセラミックカバー材料の傷つきやすさだけでなく、製造上の欠点を示すこともない。
本発明に従った材料は、一以上の、空隙の無い連続する要素として製造することができ、このため、ベース基体に接着された多数の小さい要素に対する、先行技術の要求は完全に排除される。
本発明によれば、脱水要素のための材料が提供され、該材料はエラストマーポリマーマトリックスと、前述のマトリックスに対して50質量%にいたるまでのかなりの量、例えば10から50質量%の充填剤を含み、該材料はショアAで60から85の硬度を有する。
該充填剤は、好ましくは10から40質量%、より好ましくは15から30質量%の量で添加される。
該エラストマーポリマーマトリックスは、好ましくはポリウレタン(PUR)を含有する。ポリマーマトリックスとして適切なその他の材料としては、ポリウレア、スチレン−ブタジエンゴム、エチレンプロピレンジエンモノマー(EPDM)、ニトリルゴム、天然又は合成ゴム、ポリクロロプレン、ポリアクリレート、フッ素含有エラストマー、熱可塑性エラストマー及びポリシロキサンが含まれる。選択したエラストマーポリマーマトリックスは、充填剤を添加しないときに、名目上60から80ショアAの硬度を有しているべきである。
該充填剤は、好ましくは、低硬度及び/又は固形の潤滑充填剤であり、例えばポリ(テトラフルオロエチレン)(PTFE)又はタルクである。充填剤として適切なその他の材料は、超高分子量ポリエチレン(UMWPE)の粉末、クレイ(カオリン)、炭酸カルシウム、窒化ホウ素、硫酸モリブデン、フッ化カルシウム、二酸化チタン、炭化チタン、球状ガラス又はセラミックビーズを含む。
本技術分野で当業者に周知である常用の分散又はコンパウンド技術を使用して、充填剤をエラストマーマトリックスに添加することができる。簡潔にするために、該材料の調製は、本明細書に詳細には述べない。
以下に、いくつかの例によって、この発明をさらに詳細に説明する。例は,図と組み合わせることにより、よりよく理解される。
全図面を通じて同様の参照番号が使用されている。
以下で、本発明に従った材料の幾つかの例が与えられる。例は、説明目的のみのために与えられており、本発明の範囲は特許請求の範囲に定義されていることに注意しなければならない。
最初に図1を参照すると、例で使用したテスト要素10が示されている。該テスト要素は、ステンレススチール製の円筒状の支持要素12を含み、その支持要素は本発明に従うエラストマーカバー材料11を備えている。いずれのテスト要素も、長さL=72mm及び直径D=5mmを有する。本発明に従った材料のテストをするために、図2にて示すように、いくつかの同じ要素10をテスト基体19に組み立てた。
例は、典型的にはポリエステル織物である、フォーミングスクリーンの磨耗を最小限とするように設計された、脱水要素用の材料を示している。磨耗特性のテストのためには、専用の磨耗試験機AT2000(Einlehner,Kissing、Germany)を使用した。この試験機は、基準顔料スラリー存在下における、フォーミングスクリーンの磨耗をシミュレートする。
前述の試験構成は、以下のすべての例で使用され、また、当該試験構成を、標準的なAT2000の試験手順と言う。
この例は、PTFE(ポリ(テトラフルオロエチレン))を充填剤として添加した、キャストポリウレタン(PUR)マトリックスを含むテスト基体を調整し、テストすることに関する。
材料を調製するために、ポリオール(“Hyperplast 2851024”,ハイパープラスト社製)300gに、PTFE粉末(“Zonyl MP 1200”,デュポン社製)128.6gを室温で分散させた。この分散物63.93gを脱気して、これと、脱気済みのプレポリマー(“Hyperplast100”)43.61g及び鎖伸長剤である1,4−ブタンジオール(メルク社製)2.35gとを、2分間かけて混合し、その後シリコーン型を用いて、その混合物を16個の要素10(そのうちの一つは、図1に示してある)に成形し、80℃で24時間硬化させた。得られた硬化したエラストマーは、81のショアA硬度、及び17.5%の充填剤含有量を有していた。成形された16個の要素10は、図2にて示すように、テスト基体19に組み立てられ、研磨して直径を31.8mmとした。組み立てられ、研磨されたテスト基体を、AT2000の標準的な試験手順に従って、ポリエステルスクリーンに対して試験した。ポリエステルスクリーン15の磨耗量を、磨耗領域内と磨耗領域外の円形に打ち抜いた二つの直径23mmのサンプルの質量差によって決定した。
この例では、上記例1のテスト基体と比較してより大きいショアA硬度を有し、PTFEを充填剤として添加したキャストポリウレタン(PUR)基体の調製及び試験に関する。
材料を調製するために、例1のように同じ最初のポリオール/PTFE分散物44.09gを脱気し、これと、脱気したプレポリマー(Hyperplast100)35.11g及び鎖伸長剤である1,4−ブタンジオール(メルク社製)2.49gとを、2分間かけて混合し、シリコーン型を用いて16個の要素(そのうちの一つは図1に詳細に示してある)に成形し、次いで80℃で24時間硬化させた。得られた硬化したエラストマーは、86のショアA硬度、及び16.2wt%の充填剤含有量を有していた。成形された16個の要素は、図2に示すように、テスト基体に組み立てられ、研磨して直径を31.8mmとした。組み立てられ、研磨されたテスト基体を、AT2000の標準的な試験手順に従って、ポリエステルスクリーンに対して試験した。ポリエステルスクリーンの磨耗量を、磨耗領域内と磨耗領域外の円形に打ち抜いた二つの直径23mmのサンプルの質量差によって決定した。
この例は、例1のテスト基体と比較して、より低いショアA硬度を有し、PTFEを充填剤として添加したキャストポリウレタン(PUR)基体を調製し、試験することに関する。
材料を調製するために、例1のように同じ最初のポリオール/PTFE分散物48.32gを脱気し、これと脱気したプレポリマー(Hyperplast100)29.13g及び鎖伸長材である1,4−ブタンジオール(メルク社製)1.14gとを2分間かけて混合し、シリコーン型を用いて16個の要素(そのうちの一つは図1に詳細に示してある)に成形し、次いで80℃で24時間硬化させた。得られた硬化したエラストマーは、78のショアA硬度、及び18.5wt%の充填剤含有量を有していた。成形された16個の要素は、図2にて示すように、テスト基体に組み立てられ、研磨して直径を31.8mmとした。組み立てられ、研磨されたテスト基体は、AT2000の標準的な試験手順に従って、ポリエステルスクリーンに対して試験した。ポリエステルスクリーンの磨耗量を、磨耗領域内と磨耗領域外の円形に打ち抜いた二つの直径23mmのサンプルの質量差によって決定した。
この例は、タルクを充填剤として添加したキャストポリウレタン(PUR)マトリックスを含む基体の調製及びその試験に関する。
材料を調製するために、化粧品グレードのタルク粉末129.05gを、ポリオール(“Hyperplast 2851024”、ハイパープラスト社製)300g、Byk W968(湿潤分散剤)0.58g、及びByk A 555(脱泡剤)0.58gと共に、室温で分散した。この分散物67.28gを脱気し、これに脱気したプレポリマー(Hyperplast100)45.73g、及び鎖伸長剤である1,4−ブタンジオール(メルク社製)2.47gを2分間かけて混合し、シリコーン型を用いて16個の要素(そのうちの一つが図1に詳細に示してある)に成形し、80℃で24時間硬化させた。得られた硬化したエラストマーは、80のショアA硬度、及び17.5wt%の充填剤含有量を有していた。成形した16個の要素は、図2にて示すように、テスト基体に組み立てられ、研磨して直径を31.8mmとした。組み立てられ、研磨したテスト基体に、AT2000の標準的な試験手順に従って、ポリエステルスクリーンに対して試験を行った。ポリエステルスクリーンの磨耗量を、磨耗領域内と磨耗領域外の円形に打ち抜いた二つの直径23mmのサンプルの質量差によって決定した。
この例は、炭酸カルシウムを充填剤として添加したキャストポリウレタン(PUR)マトリックスを含む基体の調製及びその試験に関する。
材料を調製するために、炭酸カルシウム粉末(“HC 50−BG”、OMYA社製)250gを、ポリオール(“Hyperplast 2851024”、ハイパープラスト社製)300gに、Byk W 968(湿潤分散剤)0.3g、Byk A 555(脱泡剤)0.3g及びByk 088(消泡剤)0.3gと共に、室温で分散した。この分散物87.77gを脱気し、これに脱気したプレポリマー(Hyperplast 100)41.77g及び鎖伸長剤である1,4−ブタンジオール(メルク社製)1.61gを2分間かけて混合し、シリコーン型を用いて16個の要素(そのうちの一つが図1に詳細に示されている)に成形し、80℃で24時間硬化させた。得られた硬化したエラストマーは、82のショアA硬度、及び30.5wt%の充填剤含有量を有していた。成形された16個の要素は、図2に示すように、テスト基体に組み立てられ、研磨して直径を31.8mmとした。組み立てられ、研磨したテスト基体に、AT2000の標準的な試験手順に従って、ポリエステルスクリーンに対して試験を行った。ポリエステルスクリーンの磨耗量を、磨耗領域内と磨耗領域外の円形に打ち抜いた二つの直径23mmのサンプルの質量差によって決定した。
この例は、六方晶系窒化ホウ素(BN)を充填剤として添加したキャストポリウレタン(PUR)マトリックスを含む基体の調製及びその試験に関する。
材料を調製するために、BN粉末(“AC6004”、アドバンストセラミックス社製)129gを、ポリオール(“Hyperplast 2851024”、ハイパープラスト社製)300gに、Byk W 968(湿潤分散剤)0.5g及びByk A 555(脱泡剤)0.5gと共に、室温で分散した。この分散物70.71gを脱気し、これに脱気したプレポリマー(Hyperplast 100)48.08g及び鎖伸長材である1,4−ブタンジオール(メルク社製)2.60gを2分間かけて混合し、シリコーン型を用いて16個の要素(そのうちの一つが図1に示されている)に成形し、80℃で24時間硬化させた。得られた硬化したエラストマーは、84のショアA硬度、17.5wt%の充填剤含有量を有していた。成形された16個の要素は、図2にて示すように、テスト基体に組み立てられ、研磨して直径を31.8mmとした。組み立てられ、研磨したテスト基体に、AT2000の標準的な試験手順に従って、ポリエステルスクリーンに対する試験を行った。ポリエステルスクリーンの磨耗量を、磨耗領域内と磨耗領域外の円形に打ち抜いた二つの直径23mmのサンプルの質量差によって決定した。
好ましくは、その充填剤は低い硬度の及び/又は固形の潤滑充填剤である。充填剤のアスペクト比の高低による影響は、示されてきている。アスペクト比は、充填剤の形状を特色付けるために使用されているものであり、厚さに対する長さの割合に対応する。球状又は球形近似の粒子は、アスペクト比を有しない、又は非常に低いアスペクト比を有するのに対し、小板、薄片若しくは繊維は、高いアスペクト比を有する。アスペクト比は、強化等のような複合体のある種の性質に対して、重要な影響を有する。前述の充填剤の中で、炭酸カルシウム及びPTFEは低いアスペクト比を有するのに対し、窒化ホウ素及びタルクは、より高いアスペクト比を有する。固形潤滑剤は、摩擦を減少させるために使用される固形の粒子であり、それは負荷移動能力を増大させ、磨耗を減少させる等のために使用される。典型的な固形潤滑剤は、グラファイト、二硫化モリブデン、PTFE及び窒化ホウ素である。
Claims (10)
- フォーミングスクリーンと接触した、滑る面を有する製紙機械のウェットエンドにおける脱水要素であって、該脱水要素の滑る面が、エラストマーポリマーマトリックス、及び該マトリックスに10から50質量%の量で添加される充填剤を含み、かつ該材料が60から85ショアA硬度を有する材料から製造される脱水要素。
- 請求項1の脱水要素であって、該エラストマーポリマーマトリックスが、ポリウレタン、ポリウレア、スチレン−ブタジエンゴム、エチレンプロピレンジエンモノマー(EPDM)、ニトリルゴム、天然又は合成ゴム、ポリクロロプレン、ポリアクリレート、フッ素含有エラストマー、熱可塑性エラストマー及びポリシロキサンから選択される材料を含む脱水要素。
- 請求項2の脱水要素であって、該ポリマーマトリックスがポリウレタンを含む脱水要素。
- 請求項1の脱水要素であって、該充填剤が、モーススケールで1〜5の硬度を有する充填剤である脱水要素。
- 請求項1の脱水要素であって、該充填剤が固形潤滑剤である脱水要素。
- 請求項1の脱水要素であって、該充填剤が、ポリ(テトラフルオロエチレン)、タルク、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)粉末、クレイ(カオリン)、炭酸カルシウム、窒化ホウ素、硫化モリブデン、フッ化カルシウム、二酸化チタン、炭化チタン、ガラスビーズ及びセラミックビーズから選択される材料を含む脱水要素。
- 請求項4の脱水要素であって、該充填剤がポリ(テトラフルオロエチレン)及びタルクから選択される充填剤である脱水要素。
- 請求項1から7のいずれか1項の脱水要素であって、該充填剤が10から40質量%の量で添加された脱水要素。
- 請求項8の脱水要素であって、該充填剤が15から30質量%の量で添加された脱水要素。
- 請求項1から9のいずれか1項の脱水要素であって、滑る面のための該材料が、ショアA硬度で70から80の間の硬度を有する脱水要素。
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