JP4812442B2 - ボックスプリーツエレメントおよびその製造方法 - Google Patents
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Description
1)膜面積
2)通気抵抗
3)耐久性
4)製造コスト
を上げることができる。このうち、通気抵抗は気体の供給圧に余裕のある大型装置では大きな問題とならないが、小型高流量処理を旨としながら使用環境に制限の多い小型装置では特に問題となりやすい。
また、液体処理装置では上記に加えて、4)気体透過性に優れた高分子材料からなる平膜を特定のピッチで山折り谷折りを繰り返すことでカーテンやスカートに見られるようなプリーツ加工を施したあと、両端のプリーツ面同士を接着して全体を円筒状に整え、最後に円筒の両端を封止して筒状ハウジングに挿入した、いわゆる「円筒プリーツモジュール」が用いられているが、気体分離装置への応用は殆どない(特許文献3)。
に好適であることを見出し(特許文献4、特許文献5)、その後、特定のボックスプリーツモジュールが非透過気体を利用する系(例えば窒素富化空気供給装置)に対してより好適であることを見出した(特許文献6)。しかしながら、このボックスプリーツモジュールであっても現在は、更なる改良が要求されている。そこで、窒素富化空気供給装置についてその改良要求を装置の説明をした上で、以下に具体的に示す。
内燃機関は自動車エンジンに広く用いられているが、燃焼温度が高くなるとよく知られているように窒素と酸素が反応して、窒素酸化物(NOx)を生成・排出する特徴がある。窒素酸化物(NOx)除去システムとしては、ガソリンエンジンでは排気ガス中の炭化水素(HC)、一酸化炭素(CO)、窒素酸化物(NOx)を酸化・還元反応によって同時除去する三元触媒が有効であるが、ディーゼルエンジンでは排気ガス中の酸素濃度の違いから三元触媒が有効に機能しないことが問題とされてきた。
1)酸素共存下でも有効な還元触媒(尿素SCRシステム、LNT触媒システム)
2)機関内部の酸素濃度低減(EGR排気ガス再循環システム)
などが既に知られている。このうち、尿素SCRシステムは既に一部実用化されているが、高価な触媒や尿素水噴射装置、凍結防止装置等が必要であることに加え、発生する窒素酸化物(NOx)の全てを除去するには燃料タンク並に大きな尿素水タンクを設置する必要がある。LNT触媒システムは尿素水のような還元剤の添加なしに窒素酸化物を除去できるが、運転可能範囲が狭い、触媒劣化が大きい等の問題がある。上記の中ではEGRが最も広く用いられているが、中間冷却装置が必要、高負荷では過給圧が排気圧より高くなるため再循環が困難、等の問題がある。すなわち、現在の窒素酸化物除去システムにはいずれも欠点があり、省エネルギーや二酸化炭素(CO2)排出削減の観点からディーゼルエンジンが注目を集める中、より有効な窒素酸化物除去システムの開発が大きな課題となっている。
すなわち本発明は、以下のとおりである。
1.分離係数αが1.5以上1000000以下であり、繰り返し折りたたみ構造を有する気体分離膜(1)と、通気性補強材(2)と、からなる圧縮度100kPa以上のプリーツ成形体(11)の、該プリーツ成形体(11)の外周部の少なくとも一部に補強フレーム(12)が配置されて成る事を特徴とする内燃機関用窒素富化空気供給装置用ボックスプリーツエレメント。
2.該通気性補強材(2)がネットであり、少なくとも気体分離膜の2次側に配置されており、当該ネットの線径に対する加圧時厚みの比率Nが0.8以上1.5以下であることを特徴とする上記1に記載の内燃機関用窒素富化空気供給装置用ボックスプリーツエレメント。
3.該プリーツ成形体(11)が、矩形のプリーツ面を有するプリーツ成形体であって、該プリーツ成形体(11)の外周部が、プリーツ方向(6)に直交する互いに対向するA端面(3)と、プリーツ方向(6)に平行する互いに対向するB端面(4)の、2組の互いに対向する端面を有することを特徴とする上記1又は2に記載の内燃機関用窒素富化空気供給装置用ボックスプリーツエレメント。
4.気体分離膜(1)が、分離係数αが2.0以上1000000以下であり、酸素の透過速度が100GPU以上1000000GPU以下であることを特徴とする上記1〜3のいずれか一つに記載の内燃機関用窒素富化空気供給装置用ボックスプリーツエレメント。
1)分離係数αが2.0以上1000000以下であり、酸素の透過速度が100GPU以上1000000GPU以下であり、繰り返し折りたたみ構造を有する気体分離膜(1)と、通気性補強材(2)と、からなるプリーツ成形体(11)を100kPa以上の圧縮度で圧縮する工程
2)圧縮したプリーツ成形体(11)を固定手段で固定する工程
3)固定手段で固定されたプリーツ成形体(11)の外周部に補強フレーム(12)を設ける工程
からなる内燃機関用窒素富化空気供給装置用ボックスプリーツエレメントの製造方法。
6.プリーツ成形体(11)の2つのB端面(4)、(4)が補強されていることを特徴とする上記5に記載の内燃機関用窒素富化空気供給装置用ボックスプリーツエレメントの製造方法。
7.固定手段が糸もしくはベルトであることを特徴とする上記5又は6に記載の内燃機関用窒素富化空気供給装置用ボックスプリーツエレメントの製造方法。
8.3)工程において、固定手段で固定されたプリーツ成形体(11)と補強フレーム(12)の間にスペーサーを設置し、スペーサーを介してプリーツ成形体(11)の膨張力を補強フレーム(12)で保持しながら固定手段の一部もしくは全部を除去した後、プリーツ成形体(11)の外周部と補強フレーム(12)を接着することを特徴とする上記5〜7のいずれかに記載の内燃機関用窒素富化空気供給装置用ボックスプリーツエレメントの製造方法。
9.3)工程において、すくなくともプリーツ成形体(11)の外周部に設けられた固定手段で固定されたプリーツ成形体(11)の外周部に、内面に接着手段を備えるテープを巻回して補強フレーム(12)を形成する事を特徴とする上記5〜8のいずれかに記載の内燃機関用窒素富化空気供給装置用ボックスプリーツエレメントの製造方法。
一般的に、気体分離モジュールは気体分離膜、1次側気体流路、2次側気体流路、ハウジングから構成される。1次側は分離対象となる混合気体の流路であり、2次側は膜を透過した混合気体の流路である。1次側は、膜を選択的に透過する気体成分に着目したとき分圧が高い方と定義されるが、多くの場合は1次側の方が全圧も高い。1次側気体流路には吸気口が設けられ、必要に応じて排気口が設けられる。2次側気体流路には排気口が設けられ、必要に応じて吸気口が設けられる。1次側気体流路の吸気口に分離対象となる混合気体が供給されると混合気体は1次側の膜面に広がり、気体分離膜の選択透過性に従って組成の変化した混合気体が2次側の膜面に透過する。組成の変化した混合気体は2次側の排気口から取り出してそのまま用いることもできるし、2次側に吸気口を設けて外部より供給した別の気体で連続希釈しながら用いることもできる。また、1次側に排気口を設けて透過しなかった混合気体を取り出して用いることもできる。1次側の吸気口、排気口、2次側の吸気口、排気口のことを、それぞれ「供給口、フィード、feed」、「非透過口、リテンテート、retentate」、「掃気口、パージ、purge」、「透過口、パーミエート、permeate」と呼ぶことがある。
[気体分離膜](図1)
本発明において、気体分離膜1は混合気体から特定の気体を優先的に透過させる性質を持った一種の選択透過膜をいい、特定気体の特定分圧下でのみ選択透過性を示す膜もこれに含まれる。本発明は、こうした気体分離膜1の形態としてプリーツ加工可能な「平膜」を用いることを特徴とする。
/cm2seccmHgという単位が広く使用されている。透過速度が膜物性であるのに対して透過係数は素材物性であり、いくら透過係数に優れる素材であっても、必要十分な薄膜化適性を兼ね備えない場合は気体分離に適さないため注意を要する。また、分離係数αは任意の気体の透過係数の比である。透過速度と分離係数は目的とする用途に応じて適切に選択されるが、たとえば内燃機関用窒素富化空気供給装置に用いる場合は以下の値であることが好ましい。すなわち、
酸素と窒素の分離係数α(=RO2/RN2)は、1.1以上1000000以下が好ましく、1.5以上がより好ましく、1.8以上が更に好ましく、2.0以上がより更に好ましく、2.2以上が特に好ましく、2.4以上が極めて好ましく、2.6以上が最も好ましい。αが1.1より小さい場合は、酸素に随伴して多量の窒素が1次側から透過側へ移動して失われるため好ましくない。αが高いほど酸素に随伴する窒素の量を抑えることが出来るため好ましいが、一般的に分離係数と透過係数はトレードオフの関係にある。
気体分離膜1の支持層の平均孔径は、0.1nm以上10μm以下が好ましい。平均孔径の下限は1nm以上がより好ましく、10nm以上が更に好ましく、20nm以上がより更に好ましく、50nm以上が特に好ましく、80nm以上が最も好ましい。平均孔径の上限は1μm以下がより好ましく、500nm以下が更に好ましく、200nm以下がより更に好ましく、100nm以下が特に好ましい。平均孔径が0.1nm未満の場合は気孔率や表面開口率が低い場合が多いため好ましくない。平均孔径が10μmを超える場合は分離層の好ましい厚さに対して大きくなりすぎるため好ましくない。
本発明において、通気性補強材2はプリーツ内部で隣接する気体分離膜の密着を妨げることによってプリーツ内部への気体流通を確保し、良好な膜利用効率を達成するための手段に資するものであり、更にプリーツ成形体11に必要な自立性を付与するための補助的な機能を担う。
通気性補強材2は、気体分離膜の両面もしくは片面に設けることが出来るが、気体分離膜両面での圧力差が顕著な場合は少なくとも低圧側(2次側)に設けることが好ましい。
通気性補強材2は、織布、不織布、樹脂製ネット、例えば、ポリプロピレン、ポリエステル、ナイロン等、金属製ネット等を使用することが出来るが、このうち、樹脂製ネット、金属製ネットが好ましい。
通気性補強材2の空気流に対する体積抵抗率(Pasec/m2)は、106以下が好ましく、105以下がより好ましく、50000以下が更に好ましく、20000以下がより更に好ましく、10000以下が特に好ましく、5000以下が極めて好ましく、2000以下が最も好ましい。
体積抵抗率=8×粘度/円管相当半径2
圧力損失=体積抵抗率×(長さ/断面積)×流量
例えば、通気性補強材2を単独で積層した試料の平行方向の円管相当半径が0.1mm、気体粘度が1.84×10−5Pasecのとき、体積抵抗率は14700と求められる。実際のプリーツエレメントでは、通気性補強材と気体分離膜が交互に積層されるため通気性補強材を単独で積層した場合に比べて円管相当半径はやや小さく体積抵抗率はやや
大きい。流量と圧力損失の測定から通気性補強材の体積抵抗率を求める場合は、当該通気性補強材からなるプリーツエレメントを気体分離モジュールに用いる際に、その基材部流路を流通させる混合気体の流量に応じた気体速度(線速)で測定することが好ましい。
通気性補強材2にネットを使用する際のメッシュは、2以上1000以下が好ましい。メッシュ数の下限は10以上がより好ましく、12以上が更に好ましく、14以上がより更に好ましく、16以上が特に好ましい。メッシュ数の上限は100以下がより好ましく、50以下が更に好ましく、30以下がより更に好ましく、20以下が特に好ましい。
通気性補強材2にネットを使用する際の線径は、10μm以上1000μm以下が好ましく、線径の下限は50μm以上がより好ましく、100μm以上が更に好ましく、150μm以上がより更に好ましい。線径の上限は500μm以下がより好ましく、400μm以下が更に好ましく、300μm以下が最も好ましい。線径が10μmより小さい場合は、圧力を受けた膜がネットの網目から押し出され、隣接する膜と膜が接触することによって2次側流路の一部もしくは全部を閉鎖する可能性があるため好ましくない場合がある。線径が1000μmより大きい場合は膜密度が低下するため好ましくない場合がある。
本発明において、プリーツ成形体11は平膜状の気体分離膜基材をプリーツ加工することによって得られた構造体をいう。
本発明において、「気体分離膜基材」は気体分離膜1と通気性補強材2からなるプリーツエレメントの基本構成材であり、必要に応じて気体分離膜1と通気性補強材2の積層体とすることが出来る。
本発明において、「プリーツ加工」は平膜に特定のピッチで山折り谷折りを繰り返すことでV字状、U字状、Ω字状等の断面形状を付与する加工をいい、このような加工を行わない平膜に比べ、同じ投影面積、同じ容積の中により大きな面積を収納することができる。通常は気体分離膜1と通気性補強材2を積層したのちプリーツ加工を施すが、気体分離膜1単独でプリーツ加工を施したあとプリーツ間に通気性補強材2を挿入することも可能である。
プリーツ加工の方法としては、公知の方法が使用可能であり、例えばレシプロ(アコーディオン)プリーツマシンやロータリープリーツマシンを用いることが出来る。
プリーツ加工後のプリーツ成形体11は解放状態では気体分離膜基材の弾性変形によって形が崩れやすいため、ハンドリングや輸送の際には適当な治具を用いて形状保持することが好ましい。
本発明における固定手段は、プリーツ成形体11を高い圧縮度、即ち20kPa以上に維持したまま固定できるものであれば既知の様々な材料を使用することができるが、糸もしくはベルトを使用することが好ましい。
糸を使用する際は、目的とする圧縮度とプリーツ成形体11のB端面4の面積との積より糸が負担すべき応力を計算し、単糸の破断強度との関係から糸の本数を決めることができる。この際、クリープが小さい糸が好ましい。好ましい糸としては、超高分子量ポリエチレンのゲル紡糸で作られる高強度糸ダイニーマ(東洋紡株式会社商標)や、各種エンジニアリングプラスチック製の糸、および木綿などのセルロース系の糸を好ましく用いることができる。糸の渡し方としては、A端面3とB端面4からなる外周部を巻回する方法と、プリーツ面5とB端面4を巻回する方法の2つがある。前者の場合、糸は巻回したまま補強フレームを形成することができる。後者の場合、必要に応じて補強フレーム形成後にプリーツ面5に残った糸を切断除去する事が出来る。
易的に固定できるものを好適に使用する事が出来る。ベルトの渡し方も糸と同様に、上記外周部を巻回する方法と、プリーツ面5とB端面4を巻回する方法の2つがある。
固定手段を適用する前に、強度のある薄板等を2つのB端面4に貼り付けて補強しておくことが好ましい。
固定手段を除去する方法としては、例えば後述する補強フレームIのように金属板等を加工した補強フレーム12を用いる場合、補強フレーム12とプリーツ成形体11のすきまに小さな金属製の小片をスペーサーとして設置し、プリーツ成形体の膨張力をこのスペーサーでおさえながら固定手段を除去することが出来る。プリーツ成形体11と補強フレーム12の間に接着剤を流し込むことによって、後述のようなプリーツエレメントが構成される。
本発明において、補強フレーム12はプリーツ成形体11の外周部と気密的に接着することによってプリーツエレメントを構成するための構造材をいう。すなわち、プリーツ成形体11の外周部と一体化することによって、プリーツエレメントの第1プリーツ面5(上面)と第2プリーツ面5(下面)を気密的に分離する機能を持つ。
補強フレーム12は、樹脂、金属、FRP(fiber−reinforced plastic)等、目的に応じて各種材料を用いることが可能であり、I:樹脂等を硬化させたものでも、II:金属板等を加工したものでも、III:内面に接着手段を備えるテープ状のものでも、IV:いずれか2つ以上の補強フレームを複合したものでも良い。
補強フレーム12の材料として、インジェクション用やホットメルト用など本発明の目的を損なわない範囲で様々な樹脂等を用いることが可能であり、例えばシリコーン系やブタジエン系のシール材・弾性接着剤等に代表されるようなゴム状弾性体を好ましく用いることができる。
第1の例として、プリーツ成形体11の長さより短い櫛歯状の第1、第2の治具を準備し、第1の治具の表面とプリーツの裏側を密着させ、更に、第2の治具の表面とプリーツの表側を密着するように挟んだあと、2つの治具の隙間からプリーツ成形体の両端が出たところにインジェクション樹脂が通過するようにインジェクション成型を行うことによって形成することができる。インジェクション成型時の樹脂温度は、気体分離膜基材の構成材で最も低い融点を基準として、+150℃以下が好ましく、+100℃以下がより好ましく、+80℃以下が更に好ましく、+50℃以下がより更に好ましく、±0℃以下が特に好ましく、−10℃以下が最も好ましい。
補強フレーム12の材料として、樹脂板や金属板等を用いることができる。その形状は平面であってもコの字形やIの字型等の折り曲げ部やツバを設けてもかまわない。折り曲げ部やツバを設けると、補強フレーム12の強度およびプリーツ成形体11との接着面積が増えるとともに、折り曲げ部を介してハウジングと気密的に接続できるため好ましい。
プリーツ成形体11の外周部と補強フレーム12の内周部を接着する方法としては、例えば、コの字断面の補強フレーム12内周部に接着剤を流し込んだあと、プリーツ成形体11を挿入して硬化させてもかまわないし、熱融着により接合してもかまわない。
補強フレームの12高さは、通常はプリーツの高さ8にあわせて設定されるが、補強フレーム12の高さをプリーツの高さ8より長くすることによって、後述するような「空間部流路」を設けることが出来る。
補強フレーム12の材料として、内面に接着手段を備えるテープ状のものを用いることができる。例えば、内面にホットメルト樹脂層を備えた不織布をテープ状にしたあと、適当な加熱手段で軟化させてからプリーツ成形体の外周部にあてがい、冷却固化することによって補強フレーム12を形成することができる。
[IVの補強フレーム]
IIやIIIの補強フレームで機械強度や耐圧性に欠ける場合等は、IIやIIIの補強フレームの外周部にさらにIの補強フレームを設けることができる。
本発明において、「プリーツエレメント」はプリーツモジュールを構成する中心部材であり、プリーツ成形体11と補強フレーム12からなる集合体をいう。すなわち、適切な吸気口、排気口、流路を備える前のプリーツモジュール(気体分離モジュール)と言うことができる。プリーツエレメントは、プリーツ成形体11の両方のB端面4を接着して全体を円筒状に整え残る2つの端面を補強フレームと接続した「円筒型」と、両方のB端面4を接着せずに全体を平面状に整え4つの端面を封止した「平面型」に大別できるが、本発明においては平面型を用いることを特徴とする。平面型エレメントのことを「ボックスプリーツエレメント」と呼ぶことがある。
尚、本発明のボックスプリーツエレメントは、使用の態様により、外周部の形状が円型、多角形型等の平面型エレメントとすることも可能である。
プリーツの高さ8は、5mm以上200mm以下が好ましい。高さ8の下限は10mm以上がより好ましく、15mm以上が更に好ましい。高さHの上限は150mm以下がより好ましく、100mm以下が更に好ましく、80mm以下がより更に好ましく、50mm以下が特に好ましい。ここでいう高さとは、プリーツ成形体の内寸をいう。
プリーツの幅9は、10mm以上1000mm以下が好ましく、800mm以下がより好ましく、500mm以下が更に好ましく、400mm以下がより更に好ましく、300mm以下が特に好ましい。ここでいう幅とは、プリーツ成形体の内寸をいう。
プリーツのピッチ10は、0.1mm以上10mm以下が好ましい。ピッチの下限は0.4mm以上がより好ましく、0.6mm以上が更に好ましく、0.8mm以上がより更に好ましく、1.0mm以上が特に好ましい。ピッチの上限は8mm以下がより好ましく、6mm以下が更に好ましく、4mm以下がより更に好ましい。ピッチは、補強フレーム
の内幅と収納したいプリーツの山数で調整することが出来る。
本発明において、「ハウジング」はプリーツエレメントに適切な吸気口、排気口、流路を提供して下記のプリーツモジュール(気体分離モジュール)を構成するとともに、気体分離機能以外の機能(機械的破壊からの保護機能、外部配管との接続機能、等)を提供するための手段をいう。
また、本発明において、「圧力プレート」はボックスプリーツエレメントの補強フレームの一部と気密的に接触することによって気体分離モジュールを構成するための構造材であり、ハウジングの一部を構成する。ハウジングとしては、例えば特許文献6に記載された様々なハウジングを用いる事が出来る。
本発明において、「プリーツモジュール」はプリーツエレメントとハウジング13からなる集合体をいい、その内部に1次側流路と2次側流路を構成する。こうしたプリーツモジュールの構成として、例えば、2個のボックスプリーツエレメントと2枚の圧力プレートからなり、2個のボックスプリーツエレメントの第1プリーツ面が、吸気口および排気口を備える気体流路を介して互いに向かい合うように配置され、2個のボックスプリーツエレメントの第2プリーツ面が、吸気口および排気口を備える気体流路を介して圧力プレートと向かい合うように配置されるようなプリーツモジュールを好適に用いることができる。また、「気体分離モジュール」は特に気体分離のためのプリーツモジュールをいう。
図5〜6は、本発明の基材部流路51・空間部流路52を説明する概念図である。13はハウジング、51は空間部流路、52は基材部流路を示す。
本発明において、流路制御手段30は空間部流路52に設けられて空間部流路52を2つ以上の流路に分割する手段をいう。プリーツモジュールが空間部流路52を持つ場合、例えば、空間部流路52に樹脂製ネット、金属製ネット、スポンジ等を設置することで空間部流路52を分割することができる。特に補強フレーム12の高さがプリーツ成形体11よりも高い場合は空間部流路52および流路制御手段24を設けることによって、混合気体を効果的に基材部流路52へ導くことが出来るため好ましい。
図7は、本発明の吸気口・排気口を説明する別の概念図である。図7では、27が吸気口・排気口の長さ、25が吸気口・排気口の間隔、26が吸気口・排気口の幅、を示している。吸気口・排気口の間隔25は、中心間距離ではなく開口部間の最短距離で定義される。本発明において、この距離を接触距離Lと呼ぶ。さらに、プリーツの高さ8に対する接触距離Lの比率を比率R(R=L/H)と呼ぶ。
本発明における「気体分離装置」は、気体分離モジュールと外部回路との接続配管、センサー、制御装置等の補機から構成される。以下、一例として、本発明の気体分離モジュールを内燃機関用窒素富化空気供給装置(窒素富化モジュール)として用いた場合の性能について説明する。
窒素富化モジュールは、1次側加圧・2次側大気圧、1次側大気圧・2次側減圧、など、様々な組み合わせで運転することが出来るが、近年の内燃機関、特に車載用ディーゼルエンジンの多くはターボチャージャーを搭載するため、1次側加圧・2次側大気圧の組み合わせで好適に運転することが出来る。
1次側の圧力は、大気圧以上10000kPaG以下がより好ましく、100kPaG以上が更に好ましく、150kPaG以上がより更に好ましく、200kPaG以上が特に好ましく、300kPaG以上が極めて好ましく、400kPaG以上が最も好ましい。
気体分離装置の性能を考慮する場合、気体分離膜の透過速度(GPU)と膜面積(m2)の積で定義される装置透過速度(GPUm2)を用いると便利である。例えば、酸素濃度19.0%の窒素富化空気を流量4Nm3/分で取り出そうとする場合、1次側の平均酸素濃度19.0%、平均圧力100kPaG、2次側 (掃気用空気あり)の平均酸素
濃度20.9%、平均圧力0kPaG、分離係数2.0と仮定すると、必要な装置透過速度は酸素に対して25992GPUm2と求められる。気体分離膜の酸素に対する透過速度が1000GPUの場合、必要な膜面積は26.0m2であり、プリーツのピッチ2mm(平均膜間距離1mmに相当)の場合、プリーツエレメントの内容積はルンゲクッタ積分を用いたクロスフローモデル計算より26.0Lと求められる。
以上のような窒素富化は典型的な気体分離の一例であり、他の気体分離(例えば混合気体からの水素回収や水蒸気回収など)も同様に行うことができる。
2 通気性補強材
3 A端面
4 B端面
5 プリーツ面
6 プリーツ方向
7 プリーツの長さ
8 プリーツの高さ
9 プリーツの幅
10 プリーツのピッチ
11 プリーツ成形体
12 補強フレーム
13 ハウジング
24 流路制御手段
25 吸気口・排気口の間隔
26 吸気口・排気口の幅
27 吸気口・排気口の長さ
28 窒素富化モジュール
29 1次側入口
30 流路制御手段
31 気体分離膜
32 1次側出口
33 開口部
34 掃気用気体
35 エンジン入口
36 エンジン
37 エンジン出口
38 ターボチャージャー
51 空間部流路
52 基材部流路
71 ビード加工部
C 吸気口
D 排気口
Claims (9)
- 分離係数αが1.5以上1000000以下であり、繰り返し折りたたみ構造を有する気体分離膜(1)と、通気性補強材(2)と、からなる圧縮度100kPa以上のプリーツ成形体(11)の、該プリーツ成形体(11)の外周部の少なくとも一部に補強フレーム(12)が配置されて成る事を特徴とする内燃機関用窒素富化空気供給装置用ボックスプリーツエレメント。
- 該通気性補強材(2)がネットであり、少なくとも気体分離膜の2次側に配置されており、当該ネットの線径に対する加圧時厚みの比率Nが0.8以上1.5以下であることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関用窒素富化空気供給装置用ボックスプリーツエレメント。
- 該プリーツ成形体(11)が、矩形のプリーツ面を有するプリーツ成形体であって、該プリーツ成形体(11)の外周部が、プリーツ方向(6)に直交する互いに対向するA端面(3)と、プリーツ方向(6)に平行する互いに対向するB端面(4)の、2組の互いに対向する端面を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の内燃機関用窒素富化空気供給装置用ボックスプリーツエレメント。
- 気体分離膜(1)が、分離係数αが2.0以上1000000以下であり、酸素の透過速度が100GPU以上1000000GPU以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の内燃機関用窒素富化空気供給装置用ボックスプリーツエレメント。
- 1)分離係数αが2.0以上1000000以下であり、酸素の透過速度が100GPU以上1000000GPU以下であり、繰り返し折りたたみ構造を有する気体分離膜(1)と、通気性補強材(2)と、からなるプリーツ成形体(11)を100kPa以上の圧縮度で圧縮する工程
2)圧縮したプリーツ成形体(11)を固定手段で固定する工程
3)固定手段で固定されたプリーツ成形体(11)の外周部に補強フレーム(12)を設ける工程
からなる内燃機関用窒素富化空気供給装置用ボックスプリーツエレメントの製造方法。 - プリーツ成形体(11)の2つのB端面(4)、(4)が補強されていることを特徴とする請求項5に記載の内燃機関用窒素富化空気供給装置用ボックスプリーツエレメントの
製造方法。 - 固定手段が糸もしくはベルトであることを特徴とする請求項5又は6に記載の内燃機関用窒素富化空気供給装置用ボックスプリーツエレメントの製造方法。
- 3)工程において、固定手段で固定されたプリーツ成形体(11)と補強フレーム(12)の間にスペーサーを設置し、スペーサーを介してプリーツ成形体(11)の膨張力を補強フレーム(12)で保持しながら固定手段の一部もしくは全部を除去した後、プリーツ成形体(11)の外周部と補強フレーム(12)を接着することを特徴とする請求項5〜7のいずれかに記載の内燃機関用窒素富化空気供給装置用ボックスプリーツエレメントの製造方法。
- 3)工程において、すくなくともプリーツ成形体(11)の外周部に設けられた固定手段で固定されたプリーツ成形体(11)の外周部に、内面に接着手段を備えるテープを巻回して補強フレーム(12)を形成する事を特徴とする請求項5〜8のいずれかに記載の内燃機関用窒素富化空気供給装置用ボックスプリーツエレメントの製造方法。
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