JP5101553B2 - プリーツ成形体の製造方法及びプリーツ成形体 - Google Patents
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Description
第三は、膜または濾材を透過した後の流体が出口まで流れるときの膜の直後から出口までの抵抗である(以下、「二次側抵抗」と表現する)。通気・通液抵抗は、気体及び液体の少なくとも一方を含む流体の供給圧に余裕のある大型装置では大きな問題とならないが、使用環境に制限の多い小型装置で高処理能力を目的とした装置では特に問題となりやすく、低い方が有利である。4)の耐久性は高いことが有利であり、5)の製造コストは低いことが有利である。
中空糸エレメントは、一般的には、円筒の長さ方向Lが円の直径Dよりも大きい構造であるため中空糸が長くなり、中空糸の内側にある流体の圧力損失が大になる。中空糸の内側に被処理流体を供給する場合は、中空糸の内側が一次側抵抗発生場所となり、中空糸の外側に被処理流体を供給する場合は、中空糸の外側が一時抵抗発生場所となる。低圧力損失とするために短い中空糸を束ねる方法も考えられるが、長い中空糸膜を小数束ねるのに対して短い中空糸膜を多数並べるのは困難なため、L/Dが小になればなるほど中空糸エレメントの組み立てが困難になる。また、中空糸の外側は、流体を均一に流すことが難しい。中空糸モジュールは中空糸の本数を増やすことで膜面積を増やすことが容易であるため、モジュールの設置スペースに制約が少なく、広い膜面積が必要な大型の装置に適していると言えるが、高処理量・高流量でしかも低圧損構造を実現することに難点がある。
[プリーツ成形体の構造]
(用語に付いて)
本実施形態において「プリーツ」とは、平面状材料を蛇腹状に連続して折りたたんだ構造体を意味し、平面状材料に対して特定のピッチで山折り谷折りを繰り返すプリーツ加工によって形成される。
[プリーツ成形体の製造方法]
(第1の工程)
本実施の形態では、第一の工程として、単層または多層の平面状材料用をプリーツ加工してプリーツ積層体を得る。単層または多層の平面材料は、平膜と、必要であれば補助部材を組み合わせることにより得られる。
(第二の工程)
本実施の形態の第二工程では、プリーツ積層体端面に対して、内側から外側に向けてほぼ垂直方向に遠心力が働くようにプリーツ積層体を遠心機に設置し、プリーツ積層体を回転させ、遠心力を利用して、プリーツ面の一方の側縁部のみに接着剤(以下、「シール材」とも言う)を供給してプリーツ積層体端面の内側周辺を接着固定する。
図7に示されるように、円筒型プリーツ積層体としては、単に円筒の周囲にプリーツを巻きつけた形状(「単純円筒型プリーツ成形体」と言う)1Aと(図7(a)参照)、円筒形の周囲にプリーツをまきつけた後にプリーツをスパイラル状に重ねてさらに巻きつける形状(「スパイラル型プリーツ成形体」と言う)1Bがある(図7(b)参照)。スパイラル型プリーツ積層体1Bは、ひだ部の間隔が一定になるため、プリーツエレメント内の流体の流れが均一になやすく、封止剤(接着剤)の使用量も少なく、単純円筒型プリーツ積層体1Aよりもエレメントの小型化が図れるなどの点で好ましい。
(プリーツ成形体の使用方法)
本実施の形態におけるプリーツ成形体1,1A,1Bは、これをエレメントとして直接ハウジングに収めるか、プリーツ成形体1,1A,1Bの周囲を樹脂や金属製の補強フレーム14で補強してエレメントとしてハウジングに収めることで使用される。プリーツ成形体1,1A,1Bへの被処理流体の典型的な流し方について、図6を参照して説明する。図6は、プリーツ成形体によって分離処理される流体の流れを示す説明図である。
(1)微多孔膜の作製
高密度ポリエチレン(粘度平均分子量28万)20質量部、超高分子量ポリエチレン(粘度平均分子量200万)10質量部及び酸化防止剤(アデカスタブ(登録商標)AO−30)0.3質量部を混合した。この混合物を二軸押出機にフィーダーを介して投入した。さらに流動パラフィン(37.78℃における動粘度75.9cSt)100質量部を、サイドフィードで二軸押出機に注入して240℃で溶融混練した。得られた高分子ゲルを、二軸押出機先端に設置したTダイから押出した後、ただちに25℃に冷却したキャストロールで冷却固化させ、厚さ1.0mmのシートを成膜した。このシートを125℃で同時二軸延伸機で7×7倍に延伸した後、この延伸フィルムをメチルエチルケトンに浸漬し、流動パラフィンを抽出することにより除去後、乾燥させて多孔性支持体を得た。得られた多孔性支持体は目付け10g/m2、厚さ16μm、気孔率39%、透気度400秒、100℃における突き刺し強度4.0N、100℃における熱収縮率が縦5.0%・横5.0%、水銀ポロシメーターによるモード径は89.8nmであった。これを微多孔膜とした。
(2)スペーサー
直径約126μmの複数の糸からなる撚糸で作成した平織物であって、糸の交点が熱融着により固定された、厚さ:183μm、オープニング(糸間距離):1mm、幅300mmのスペーサーを使用した。
(3)プリーツ積層体の作製
上記スペーサーを二枚用意しその間に上記気体分離膜を挟み、プリーツ機を用いてプリーツ高さ40mmの条件でプリーツ加工を行った後、幅120mmに裁断してひだ部の枚数120枚(長さ約100mm)のプリーツ積層体を得た。
(4)シール(封止)
図8に示されるように、プリーツ積層体端面4に深さ15mmの樹脂性の蓋15を配し、重力の方向に沿った回転軸18を有する回転半径約2mの遠心機に設置した。このとき、プリーツ積層体端面4は遠心力と重力の合力の方向に垂直となるように設置した。次に、蓋15と接着剤容器16とを、内径4mmのチューブ17で連結し、接着剤容器16に、粘度約10,000mPa・sのエポキシ系接着剤の主剤と、粘度約3,000mPa・sのエポキシ系接着剤の硬化剤を100対45で混合したものを約50g入れ、温度35℃の条件下、プリーツ積層体端面4に30Gの遠心力がかかるように遠心機を回転させ、接着剤を、プリーツ積層体端面4から、プリーツ積層体端面4の内側近傍に供給し、ひだ部2a間に充填させた。樹脂性の蓋15に入りきらない接着剤はオーバーフローさせた。そのまま回転を続け、4時間後にプリーツ積層体端面4周辺の複数のひだ部2aの一方の側面が約5mm高さでシール(封止)されたプリーツ積層体2を取り出した。もう片方のプリーツ積層体端面5も同様な操作でシールを行った。シールされたプリーツ積層体2を50℃のオーブンで48時間加熱キュアを行って、両方のプリーツ積層体端面4,5にシール剤のせり上がりが無く精度よくシールされたプリーツ成形体1を得た。以下に実施例中の各条件を示した。
(A)粘度平均分子量
デカヒドロナフタリンに多孔性支持体の成分である樹脂を溶解させて試料溶液を作製した。これを135℃に調整された動粘度測定用恒温槽(トーマス科学機器(株)製)内でキャノンフェンスケ粘度計(SO100)を用いて極限粘度[η]を測定した。得られた[η]を用いて次のChiangの式により粘度平均分子量Mvを算出した。
[η]=6.77×10―4Mv0.67
(B)多孔性支持体の厚さ及び気体分離膜の平均膜厚
ダイヤルゲージ(尾崎製作所:「PEACOCK No.25」(登録商標))にて測定した。
(C)多孔性支持体の気孔率
多孔性支持体から10cm角のサンプルをとり、その体積と質量から次式を用いて計算した。なお、樹脂密度(g/cm3)はASTM−D1505に準拠し、密度勾配法により測定した。
気孔率(%)=[体積(cm3)−質量(g)/樹脂密度]/体積(cm3)×100
ここで、樹脂密度とは、多孔性支持体の成分である樹脂の密度を意味する。
(D)多孔性支持体の透気度
JIS P−8117準拠のガーレー式透気度計にて測定した。
(E)多孔性支持体及び気体分離膜の突き刺し強度(100℃)
多孔性支持体又は気体分離膜を、内径13mm、外径25mmのステンレス製ワッシャ2枚で挟み込み、周囲4点をクリップで止めた後、100℃のシリコンオイル(信越化学工業:KF−96−10CS)に浸漬し、1分後にカトーテック株式会社製「KES−G5ハンディー圧縮試験器」(登録商標)を用いて、針先端の曲率半径0.5mm、突き刺し速度2mm/secの条件で突き刺し試験を行い、100℃における突き刺し強度を測定した。
(F)多孔性支持体及び気体分離膜の熱収縮率(%)
多孔性支持体又は気体分離膜から縦(機械方向)及び横(幅方向)ともに10cm角で試料を切り取り、該試料の四方を拘束しない状態で所定の温度(100℃、120℃、135℃)に加熱された熱風循環式オーブンに入れ、2時間加熱後取り出し30分間静置した。その後試料の縦(機械方向)および横(幅方向)の寸法を計測し算出した。
(G)水銀ポロシメーターによるモード径及び孔径分布指数(水銀圧入法)
測定装置として島津オートポア9220(島津製作所)を用い、多孔性支持体約0.15gを約25mm幅に裁断し、これを折りたたんで標準セルに採り、初期圧20kPa(約3psia、細孔直径60μm相当)の条件で測定した。測定ポイントを130ポイントとし、log等間隔に設定した。データは、横軸を細孔直径の対数とし、縦軸をlog微分細孔容積で整理した。計算式は以下のとおりである。
V(n)[mL/g]:積分細孔容積
D(n)[μm]:細孔直径
ΔV[mL/g]=V(n)−V(n+1):差分容積
dV/dlogD[mL/g]=ΔV/[logD(n)−logD(n+1)]:
log微分細孔容積
Dm[μm]:モード径(log微分細孔容積曲線の最大値に対応する細孔直径)
DIHg:細孔径分布指数(モード径に対応するlog微分細孔容積値の半分の値を与える細孔径Da、Db(Db>Da)をモード径ピークから読み取りDIHg=Db/Daとする。)
(H)気体分離性樹脂溶液の調整
沸点93℃のフッ素系溶媒(3M社製、NOVEC7300)に1.25質量%の濃度で、パーフルオロアモルファスポリマー(デュポン社製、テフロン(登録商標)AF1600、密度1.78g/cm3)を溶解した。
(I)気体分離膜の作製
マイクログラビア塗工機(康井精機製)を用い、幅50cmの多孔性支持体上に、前記(H)で調整した気体分離性樹脂溶液を塗工した。塗工条件は以下の通りである。
マイクログラビアロール #180 (直径30mm 溝本数180本/inch)
マイクログラビアロール回転数 40rpm(基材進行方向に対して逆回転)
乾燥温度:24℃
コーターヘッドと巻き取りロール間の距離:約10m
(J)気体分離膜の気体透過性
気体分離膜を直径47mmの円形に切り取り、ステンレス製ホルダー(アドバンテック社製、KS−47Fホルダー)に固定した。ホルダーの一次側から99.9%以上の酸素、もしくは99.9%以上の窒素を所定の圧力で加圧した。2次側の雰囲気が酸素99%以上、もしくは窒素99%以上に置換されていることを酸素濃度計で確認した後、透過した気体の量を石鹸膜流量計で測定した。透過した気体量、気温、大気圧から標準状態における気体透過速度(GPU:Gas permeation unit=10−6cm3(STP)/cm2・sec・cmHg)を計算し、酸素と窒素の気体透過速度の比から分離係数αを計算した。
(比較例)
比較例では、実施例1と同様に上記(1)〜(3)の工程を行った。これらに引き続く工程を以下の通り行った。
(4)シール(封止)
深さ15mmの樹脂性の蓋に、粘度約10,000mPa・sのエポキシ系接着剤の主剤と、粘度約3,000mPa・sのエポキシ系接着剤の硬化剤を100対45で混合したものを約50g入れた。35℃のホットプレート上で、エポキシ樹脂の入った樹脂製の蓋にプリーツ積層体端面を差込み、そのまま4時間静置させた。樹脂製の蓋に入りきらない接着剤はオーバーフローさせた。もう片方のプリーツ端面も同様な操作でシールを行った。シールされたプリーツ積層体を50℃のオーブンで48時間加熱キュアを行って、両方のプリーツ積層体端面がシールされたプリーツ成形体を得た。シール用のエポキシ樹脂が平膜間に数cmせり上がり、平膜を汚損した。またシール剤がせり上がった結果、プリーツの端面のシール強度が弱く、簡単にシール部が剥がれた。
Claims (5)
- 流体分離用のプリーツ成形体の製造方法において、
単層又は多層の平面状材料をプリーツ加工する工程と、
前記プリーツ加工によって複数のひだ部を有するプリーツ積層体を形成し、複数の前記ひだ部の端縁を含む仮想のプリーツ積層体端面を遠心力と重力との合力の方向に垂直になるように設置し、前記プリーツ積層体端面に対して、内側から外側に向けた方向に遠心力をかけながら、前記プリーツ積層体端面の内側に接着剤を供給する工程と、を含むことを特徴とするプリーツ成形体の製造方法。 - 前記遠心力が10G以上であることを特徴とする請求項1記載のプリーツ成形体の製造方法。
- 請求項1または2記載のプリーツ成形体の製造方法によって製造されたプリーツ成形体であって、
多層の平面状材料をプリーツ加工することによって形成されたプリーツ積層体の隣り合う前記平面状材料同士の平均間隔が、0.01mm以上5mm以下であることを特徴とするプリーツ成形体。 - 前記平面状材料が、流体分離用の平膜と、流体が通過可能な補助部材とを含む多層構造からなることを特徴とする請求項3記載のプリーツ成形体。
- 流体分離用の前記平膜が、微多孔膜上に気体分離性樹脂層を有する平膜であることを特徴とする請求項4記載のプリーツ成形体。
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