JP4812228B2 - 抗体含有溶液の凝集物生成または白濁抑制方法 - Google Patents
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Description
本発明は、抗体含有溶液を圧力ストレス(shear stress)に対して安定化させる方法に関し、さらに詳しくは抗体含有溶液の限外濾過に際し、抗体含有溶液中の凝集物の生成又は白濁を抑制する方法に関する。本発明はさらに、上記の手段により、圧力ストレスに対して安定化された抗体含有組成物に関する。本発明は、医薬の製造において特に有用である。
背景技術
抗体は疾患の予防又は治療剤の成分として、あるいは診断薬等の成分として重要であり、広く使用されている。抗体の原体の製造及び製剤化に当っては、抗体含有溶液の濃縮等種々の目的で抗体含有液を限外濾過する必要がある場合がある。これらの限外濾過に際して、抗体含有溶液中に凝集物や白濁が生成する場合があり、これは、限外濾過により抗体含有溶液に負荷されるストレスにより溶液中の抗体蛋白質自体又は随伴する他の夾雑物が不溶化、凝集することにより生ずるものと予想される。抗体蛋白質を治療薬あるいは診断薬として使用するには凝集物または白濁が生じることは、特に注射剤としては許容されない。
従って、抗体含有液の限外濾過処理においては、凝集物の生成や白濁化を抑制することが重要であるが、従来この凝集物の生成や白濁化を効果的に防止するための方法は知られていなかった。
発明の開示
従って本発明は、抗体含有溶液の限外濾過に当って、凝集物の生成又は白濁化を効果的に抑制するための新規な方法、及びこの方法によりストレスに対して安定化された抗体含有組成物を提供しようとするものである。
本発明者らは、上記の課題を解決すべく種々検討した結果、抗体含有溶液にある種の界面活性剤を添加することにより、限外濾過によるストレスを緩和し、凝集物の生成や白濁化を抑制することができることを見出した。
従って、本発明は、抗体含有溶液に界面活性剤を添加することを特徴とする、限外濾過における抗体溶液中の凝集物の生成又は白濁化の抑制方法を提供する。前記抗体は好ましくはモノクローナル抗体であり、また好ましくは抗IL−6レセプター抗体である。
本発明はまた、物理的ストレスに対して安定化された抗体含有組成物において、界面活性剤を0.00025〜0.5重量%含有する組成物を提供する。この組成物は、好ましくは塩類を実質的に含有しない。前記抗体は好ましくはモノクローナル抗体であり、また好ましくは抗IL−6レセプター抗体である。
上記の方法及び組成物において使用する界面活性剤としてはポリソルベート、プルロニックが好ましく、特にポリソルベート20及びポリソルベート80が好ましい。また、界面活性剤の、抗体含有溶液に対する濃度は0.00025〜0.5重量%が好ましい。
発明の実施の形態
本発明はポリクローナル抗体に対しても適用可能であるが、単一分子種から成る抗体に対して適用するのが特に好ましい。単一分子種から成る抗体とは、例えばモノクローナル抗体、ヒト抗体、キメラ抗体、ヒト型化抗体、1本鎖抗体等、あるいはこれらの種々の形態の抗体の断片を包含する。特に、キメラ抗体、ヒト型化抗体、1本鎖抗体は、天然の抗体に比べ、不安定であり、本発明の方法を使用することが好ましい。
モノクローナル抗体は、例えば、マウス、ラット、ウシ、ヒツジ等の動物を抗原により免疫して得られる抗体産生細胞と、骨髄腫細胞等の永久化された培養細胞との細胞融合により得られるハイブリドーマにより産生される抗体であり、特定の抗原に対するモノクローナル抗体は周知の方法により製造することができる。
ヒト抗体は、トランスジェニック動物を使用して周知の技術でより製造することができる。
また、キメラ抗体は、ある生物由来のハイブリドーマにより生産されるモノクローナル抗体の定常領域(C−領域)と他の生物由来のハイブリドーマにより生産されるモノクローナル抗体の可変領域(V−領域)とを連結することにより人工的に構成された抗体である。キメラ抗体としては、任意の抗原に対するモノクローナル抗体が入手可能である点で有利な、ヒト以外の動物、例えばマウス等のモノクローナル抗体のV−領域をヒトのモノクローナル抗体のC−領域により置換したものが重要である。任意のキメラ抗体を周知技術により製造することができる。
ヒト型化抗体は、所望の免疫原に対して生成されたヒト以外の動物由来のモノクローナル抗体のV−領域中の相補性決定領域(CDR)により、ヒトの抗体のCDRを置換したものであって、ヒト抗体のC−領域、及びV−領域中のフレームワーク領域(FR)と、ヒト以外の動物由来の抗体のCDRとから成り、抗体分子中のヒト以外の動物由来の領域が非常に少いので、ヒトに対する免疫原性が非常に低いという特徴を有する。任意のヒト型化抗体が周知技術により製造され得る。
1本鎖の抗体は、軽鎖(L−鎖)のV−領域と重鎖(H−鎖)のV−領域とを適当なリンカーにより連結して1本鎖にしたものであり、L鎖V領域及びH鎖V領域は、同一の抗体に由来してもよく、また異る抗体に由来してもよい。1本鎖抗体も周知技術により製造することができる。
本発明はまた、上記種々の形態の抗体の断片、例えばFab、F(ab)2等にも適用可能である。
キメラ抗体、ヒト型化抗体、1本鎖抗体等は、遺伝子組換えにより宿主細胞を用いて産生される。宿主細胞としては微生物あるいは動物の培養細胞が挙げられ、例えば大腸菌、酵母、枯草菌、CHO細胞、COS細胞、BHK細胞、ヒト由来の細胞等が使用でき、特にCHO細胞が好ましい。
本発明においては、本発明を適用する抗体の具体例としてIL−6レセプターに対する抗体であるヒト型化PM−1抗体を用いるが、本発明を適用できる抗体がこれに限定されるものではないことは言うまでもない。なおヒト型化PM−1抗体は、PM−1抗体をヒト型化したものであり、PM−1抗体は抗原IL−6レセプターに対するモノクローナル抗体である。
本発明において使用する界面活性剤としても、抗体含有溶液をストレスに対して安定化し、特に限外濾過における凝集物の発生又は白濁化を防止できるものであればよく、ポリソルベート、プルロニック等が挙げられるが、ポリソルベートが好ましく、ポリソルベート20及びポリソルベート80が特に好ましい。その添加濃度は、溶液に対して0.00025〜0.5重量%が好ましい。
ポリソルベートは、無水ソルビトールの水酸基の一部を脂肪酸でエステル化したもののポリオキシエチレンエーテルである。ポリソルベート20はその脂肪酸がラウリン酸であり、ポリソルベート80は脂肪酸がオレイン酸である。
本発明の抗体含有溶液は、リン酸緩衝剤、酢酸緩衝剤、クエン酸緩衝剤等の公知の緩衝剤を含んでいてもよく、このときのpHは特に限定すれば、5〜7.5が好ましい。
抗体含有溶液中の凝集物の生成又は白濁化は、これらを測定するための任意の方法により測定することができるが、本発明においては具体例として、ろ過前後の測定対象サンプルを340nmにおける吸光度によりそれぞれ測定し、その差を濁度とする。本発明における、ストレスに対する安定化効果、又は凝集物生成もしくは白濁化抑制効果は、例えば下に説明する「濁度の傾き」を指標として表わすことができる。
すなわち、例えば、図1に示すような限外濾過濃縮装置を用いる。まず、図中1で示す容器1に、被験界面活性剤を添加してあるか又は添加してない(対照)抗体含有溶液を入れ、この溶液をポンプ2により限外濾過器3に輸送する。限外濾過器3においては、抗体含有溶液を構成していた溶媒が限外濾過膜を限外濾過して排出路4から排出され、濃縮された抗体含有溶液は管5を通って容器1に返送される。この循環を反復すれば容器中又は管5中の溶液の抗体濃度が上昇する。
今、限外濾過処理によるストレスが抗体含有溶液に全くかからない場合、すなわち限外濾過処理によっても凝集物の生成又は白濁が全く生じない場合には、容器1又は管5中の溶液の抗体濃度は経時的に上昇するが、濁度すなわち340nmにおける吸光度は上昇しない。従って、容器1から経時的にサンプルを採取し、その抗体濃度と濁度を測定し、抗体濃度を横軸に、濁度を縦軸に取ってプロットすれば、そのプロットから得られる回帰線は横軸に平行となり、「濁度の傾き」は0となる。
他方、限外濾過により抗体含有溶液にストレスがかかり、凝集物又は白濁が生ずる場合には、経時的に抗体濃度が上昇すると共に、濁度も上昇する。従って、上記のグラフにおいて、得られた回帰線は一定の「傾き」(濁度の傾き)を示す。そして、限外濾過処理により抗体含有溶液中に凝集や白濁が生じやすい程、「濁度の傾き」は大きくなる。従って、被験界面活性剤を添加した抗体含有溶液、及び界面活性剤を添加しない抗体含有溶液について「濁度の傾き」を測定し、比較することにより、被験界面活性剤の抗ストレス効果、すなわち凝集物生成又は白濁化に対する抑制効果を測定することができる。
また、抗体含有溶液に種々の濃度の塩化ナトリウムを添加し、上記の試験において「濁度の傾き」を測定したところ、塩濃度が高くなるに従って濁度の傾きが上昇し、限外濾過におけるストレスに対抗するためには、塩濃度が低い方がよいことが明らかになった。
本発明の方法の実施に当っては、限外濾過に先立って、抗体含有溶液に所定の界面活性剤の所定量を添加すればよい。
本発明はまた、界面活性剤を含有することによって、限外濾過によるストレスに対して安定化された、抗体含有組成物に関する。この組成物は、本発明の方法を実施した結果として得られる。本発明の安定化された組成物はまた、凍結乾燥、真空乾燥等の常用の乾燥手段により固体化された組成物であってもよい。固体化された安定化組成物において、上記の抗体含有量は、固体化する前の液体状態での濃度を意味する。本発明のストレスに対して安定化された抗体含有組成物はまた、所定量の界面活性剤が添加された未限外濾過の抗体含有溶液又はその乾燥生成物であってもよい。これらの組成物は、その後の限外濾過に際して、安定化効果を発揮する。
実施例
次に、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。
実施例1
図1に模式的に示す装置を具体化したものとして、Millipore社のLabscale TFF Systemを使用し、限外濾過膜としてMillipore社のPellicon Biomax 5を使用した。抗体としてヒト型化PM−1抗体を使用し、抗体溶液の濃度は340nmにおいて分光光度計により測定した。またヒト型化PM−1抗体の濃度はゲルろ過クロマトグラフ法により測定した。
抗体溶液として、ヒト型化PM−1抗体約1mg/mL、リン酸ナトリウム(緩衝液)15mM(pH6.5)及びNaCl 120mM、並びに実験目的により所定量のポリソルベート80を含有する溶液を調製し、ヒト型化PM−1抗体濃度が約3〜4mg/mLに濃縮されるまで限外濾過処理を続けた。
限外濾過によるストレスは、レオロジー理論から限外濾過速度の関数であると予想される。また、限外濾過速度は限外濾過膜の前後における圧力比の関数であることが確認された。そこで、ポリソルベート80を0.005%添加した抗体溶液及びポリソルベート無添加の抗体溶液について、種々の圧力比における「濁度の傾き」を測定した。
なお、「濁度の傾き」は、経時的に採取したサンプル中の濁度とヒト型化PM−1抗体の濃度を測定し、340nmにおいて測定した吸光度の数値を濁度とし、ヒト型化PM−1抗体の濃度として「mg/mL」の数値を用い、横軸にヒト型化PM−1抗体濃度〔mg/mL〕及び縦軸に吸光度を取って、測定値をブロットし、それにより得られた回帰直線の傾斜を算出した数値である。
実験の結果を図2に示す。この図から明らかな通り、限外濾過によるストレス、すなわち凝集物の生成又は白濁化は、圧力比の上昇(すなわち限外濾過速度の上昇)と共に大きくなり、これはポリソルベートの添加により抑制される。
実施例2.ポリソルベート80の濃度の効果
実施例1に記載した装置及び方法を用い、但し圧力比として3及び1.5を用い、ポリソルベート80を0%、0.001%及び0.005%濃度で添加して、「濁度の傾き」を求めた。結果を図3に示す。
実施例1の場合と同様に、圧力比の大きさに従って、ストレスが上昇した。また、いずれの圧力比においても、ポリソルベート80を0.001%以上添加した場合に「濁度の傾き」が低下し、凝集物の生成が抑制された。
実施例3.ポリソルベートの濃度の効果
実施例1に記載したのと同じ装置、及び同様の方法を用いたが、圧力比は3に固定し、ポリソルベート80の濃度を0%、0.00025%、0.0005%、0.0010%、0.002%、及び0.004%として、「濁度の傾きを」測定した。結果を図4に示す。ポリソルベート80の濃度が0.00025%において十分な抗ストレス効果、すなわち凝集物生成抑制効果が得られることが明らかになった。
実施例4.塩化ナトリウムの効果
実施例1に記載したのと同一の装置及び同様の方法を用いたが、圧力比を約1.5に固定し、ポリソルベートを添加せず、NaCl濃度を無添加、120mM及び1000mMとした。ヒト型化PM−1抗体濃度約1mg/mLの初期濃度から約40mg/mLに濃縮されるまで限外濾過を行った。結果を図5に示す。NaCl無添加において「濁度の傾き」が最低であり、NaClは抗体溶液中の凝集物の生成を促進することが明らかになった。
参考例1.ヒトIL−6レセプター抗体PM−1の調製
Hirataらの方法(J.Immunol.,14 3:2900−2906,1989)により作成した抗IL−6R抗体MT18をCNBrにより活性化させたセファロース4B(Pharmacia Fine Chemicals製、Piscataway,NJ)と添付の処方にしたがって結合させ、IL−6R(Yamasakiら、Science241:825−828,1988)を精製した。
すなわち、ヒトミエローマ細胞株U266を1%ジギトニン(Wako Chemicals製)、10mMトリエタノールアミン(pH7.8)および0.15M NaClを含む1mM p−パラアミノフェニルメタンスルフォニルフルオライドハイドロクロリド(Wako Chemicals製)(ジギトニン緩衝液)で可溶化し、セファロース4Bビーズと結合させたMT18抗体と混合した。その後、ビーズをジギトニン緩衝液で6回洗浄し、免疫に用いる部分精製IL−6Rとした。
BALB/cマウスを3×109個のU266細胞から得た上記部分精製IL−6Rで10日おきに4回免疫し、その後常法によりハイブリドーマを作成した。成長陽性ウェルからのハイブリドーマ培養上清を下記の方法にてIL−6Rへの結合活性を調べた。5×107個のU266細胞を35S−メチオニン(2.5mCi)で標識し、上記ジギトニン緩衝液で可溶化した。
可溶化したU266細胞を0.04ml容量のセファロース4Bビーズと結合させたMT18抗体と混合し、その後、ジギトニン緩衝液で6回洗浄し、0.25mlのジギトニン緩衝液(pH3.4)により35S−メチオニン標識IL−6Rを流出させ、0.025mlの1M Tris(pH7.4)で中和した。0.05mlのハイブリドーマ培養上清を0.01mlのProteinGセファロース(Phramacia製)と混合した。
洗浄した後、セファロースを上記で調製した0.005mlの35S標識IL−6R溶液とともにインキュベートした。免疫沈降物質をSDS−PAGEで分析し、IL−6Rと反応するハイブリドーマ培養上清を調べた。その結果、反応陽性ハイブリドーマクローンPM−1を樹立した。ハイブリドーマPM−1から産生されるIL−6R抗体PM−1は、IgG1κ型のサブタイプを有する。
ハイブリドーマPM−1が産生する抗体のヒトIL−6Rに対するIL−6Rの結合阻害活性をヒトミエローマ細胞株U266を用いて調べた。ヒト組換型IL−6Rを大腸菌より調製し(Hiranoら、Immunol.Lett.,17:41,1988)、ボルトン−ハンター試薬(New England Nuclear,Boston,MA)により125I標識した(Tagaら、J.Exp.Med.166:967,1987)。
4×105個のU266細胞を、100倍量の過剰な非標識IL−6Rの存在下で室温にて、1時間、70%(v/v)のハイブリドーマPM−1の培養上清及び14000CPMの125I標識IL−6Rとともに培養した。70μlのサンプルを400μlのマイクロフュージポリエチレンチューブに入れた 300μlのFCS上に重層し、遠心の後、細胞上の放射活性を測定した。その結果、ハイブリドーマPM−1が産生する抗体は、IL−6RのIL−6Rに対する結合を阻害することが明らかとなった。
参考例2.ヒト型化PM−1抗体の作成
ヒト型化PM−1抗体を国際特許出願公開番号WO92−19759に記載の方法により得た。参考例1で作成されたハイブリドーマPM−1から常法で全RNAを調製し、これより一本鎖cDNAの合成を行った。ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)法によりマウスPM−1のV領域のDNAを増幅した。PCR法に使用するプライマーは、S.T.Jonesら、Bio/Technology,9,88,1991に記載されたものを用いた。
PCR法により増幅したDNA断片を精製し、マウスカッパ型L鎖V領域をコードする遺伝子を含むDNA断片、及びマウスガンマ型H鎖可変領域をコードする遺伝子を含むDNA断片を得た。これらのDNA断片をプラスミドpUC19に連結し、大腸菌DH5αのコンピテント細胞に導入して大腸菌形質転換体を得た。この形質転換体から上記プラスミドを得、プラスミド中のcDNAコード領域の塩基配列を、常法にしたがい決定し、さらに各V領域の相補性決定領域(CDR)を決定した。
キメラPM−1抗体を発現するベクターを作製するため、それぞれマウスPM−1κL鎖及びH鎖のV領域をコードするcDNAをHCMV発現ベクターに挿入した。ヒト型化PM−1抗体を作製するために、CDR移植法によりマウスPM−1のV領域CDRをヒト抗体へ移植した。ヒト型化抗体のCDRが適切な抗原結合部位を形成するように抗体の可変領域のフレームワーク(FR)領域のアミノ酸を置換した。
このようにして作成したヒト型化PM−1抗体のL鎖およびH鎖の遺伝子を哺乳類細胞中で発現させるために、ヒトエロンゲーションファクターIα(HEF−1α)プロモーターを含有するベクターに各々導入し、ヒト型化PM−1抗体L鎖およびH鎖を発現するベクターを作成した。これら二つの発現ベクターをCHO細胞に同時に挿入することにより、ヒト型化PM−1抗体を産生する細胞株を樹立した。得られたヒト型化抗体のヒトIL−6Rへの結合能はELISAにて確認した。さらに、hPM−1はマウス抗体およびキメラ抗体と同様に、ヒトIL−6のヒトIL−6Rへの結合を阻害した。
【図面の簡単な説明】
図1は、本発明の実験に用いた装置の模式図である。
図2は、図1の装置を用いて実験を行った場合の圧力比の効果およびポリソルベート80の添加効果を示すグラフである。
図3は、抗体含有溶液中の凝集物の生成の抑制に対するポリソルベート80の濃度の効果を示すグラフである。
図4は、抗体含有溶液中の凝集物の生成の抑制に対するポリソルベート80の濃度の効果を示すグラフである。
図5は、抗体含有溶液中での凝集物の生成に対するNaClの影響を示すグラフである。
Claims (8)
- 塩類を実質的に含有しない抗体(ヒト型化モノクローナル抗体の断片を除く)含有溶液に0.00025〜0.004重量%の界面活性剤を添加することを特徴とする、限外濾過における抗体含有溶液中の凝集物の生成又は白濁化の抑制方法。
- 前記界面活性剤がポリソルベートである、請求項1に記載の方法。
- 前記界面活性剤がポリソルベート20又はポリソルベート80である、請求項2に記載の方法。
- 前記抗体含有溶液に添加する界面活性剤の濃度が前記溶液に対して 0.00025〜0.002 重量%である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
- 前記抗体がモノクローナル抗体である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
- 前記抗体がCHO 細胞において産生された抗体である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
- 前記抗体がキメラ抗体又はヒト型化抗体である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
- 前記抗体が、抗IL−6レセプター抗体である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
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