JP4812197B2 - カメラ用絞り機構 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、駆動リングによって複数枚の羽根を同時に回転させることにより、絞り口径を調整するカメラ用絞り機構に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から知られているカメラ用絞り機構の一つに、光軸を中心にして所定の角度範囲で往復回転する駆動リングが、3枚以上の羽根を同時に同方向へ回転させ、常に、光軸を中心にした円形に近い絞り口径を得られるようにしたものがある。そこで、最近におけるこの種の絞り機構の一例を、図4〜図6を用いて説明する。尚、図4は被写体側から見た全開(最大口径)時の平面図であり、図5はその一部の断面図であり、図6は図4と同じようにして見た最小口径時の平面図である。
【0003】
地板1と補助地板2は適宜な手段によって相互に取り付けられており、それらの間に羽根室を構成している。地板1は光軸を中心にした円形の開口部1aを有しているが、この開口部1aが絞り口径の最大口径を規制する。また、地板1には、光軸を中心にした円周上に等間隔に五つの孔1bが形成されているが、図4及び図6は地板1の一部を破断して示しているので、それらのうちの三つだけが示されている。更に、地板1の羽根室側の面には円弧状の段部1cが形成されており、その長さ方向の一端位置には突部1dが形成されている。
【0004】
羽根室内には、駆動リング3が回転可能に配置されていて、張出部3aが上記の段部1cに対向して作動するようになっている。また、この駆動リング3には、光軸を囲むようにして配列された五つの細長いカム溝3bが形成されており、外周の一部には歯部3cを有している。更に、羽根室内には、地板1と駆動リング3との間に5枚の絞り羽根4が配置されていて、各々の絞り羽根4は、一方のピン4aを地板1の孔1bに回転可能に嵌合させ、他方のピン4bを駆動リング3のカム溝3bに挿入している。
【0005】
地板1には羽根室外にモータ5が取り付けられていて、羽根室内に延在している出力軸には歯車6が取り付けられている。また、羽根室内には親子歯車7が取り付けられていて、その親歯車が上記の歯車6に噛合し、子歯車が駆動リング3の歯部3cに噛合している。従って、図4において、モータ5の回転子を反時計方向へ回転させると、駆動リング3も反時計方向へ回転し、軸4aを支点にして各絞り羽根4を反時計方向へ回転させる。そして、図6に示した最小口径状態になる前にモータ5を停止させれば、夫々の停止位置で夫々の絞り口径を得ることができる。また、撮影後、モータ5の回転子を時計方向へ回転させ、張出部3aが突部1dに当接するまで駆動リング3を時計方向へ回転させれば、図4の全開状態(絞りの最大口径)に復帰する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記のような従来の絞り機構を組み立てる場合は、通常、予めモータ5と歯車6を取り付けておいた地板1を、羽根室側の面を上側にして冶具に載せておき、その上から絞り羽根4,駆動リング3,親子歯車7,補助地板2の順に取り付けていく。また、電動式の絞り機構の中には羽根室内に歯車を配置しないものがあるが、そのような構成のものであっても、電動式でないものであっても、絞り羽根4,駆動リング3,補助地板2の取り付け順序は同じである。そして、このようにして取り付けていく場合、絞り羽根4を地板1に取り付けるときは、1枚ごとにピン4aを夫々の孔1bに嵌め込むだけであるから、一つのピン4aと一つの孔1bとの関係位置だけを考えて行えばよい。しかしながら、駆動リング3を取り付けるときには、五つのピン4bの位置を同一円周上に等間隔に配置しておき、それらのピン4bに対して五つのカム溝3bを同時に嵌め込まなくてはならないから、取付作業が極めて面倒であった。
【0007】
また、絞り機構の被写体側には、通常、レンズが配置されている。また、シャッタ機構を配置する場合もある。そして、カメラのコンパクト化を図るためには、そのレンズなどを出来るだけ絞り羽根4に接近させて配置したい場合がある。そのためには、地板1の開口部1aを大きくすることが考えられるが、上記のような構成の従来の絞り機構においては、地板1と駆動リング3との間に、5枚の絞り羽根4を配置しているから、特に図6に示されているような最小口径制御状態になるにしたがい、薄い絞り羽根4は、地板1と作動リング3に挟持されない領域が大きくなり、被写体側に対する姿勢が不安定になってまう。そのため、絞り羽根4は、被写体側へ傾斜したり撓んだりして、レンズなどに接触してしまうという不都合があった。
【0008】
本発明は、このような問題点を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、組立作業を好適に行えるようにしたカメラ用絞り機構を提供することである。また、カメラのコンパクト化を図るために、被写体側に配置されている地板の開口部を大きくしても絞り羽根の作動や口径制御状態が安定して得られるようにしたカメラ用絞り機構を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明のカメラ用絞り機構は、光軸を中心にして形成された開口部と光軸を中心にした円周上に配列された複数の孔とを有している地板と、最大絞り口径を規制するために光軸を中心にして前記開口部よりも小さくて円形に形成された開口部を有しており前記地板に取り付けられて前記地板との間に羽根室を構成し前記地板の方を被写体側にしてカメラ内に配置される補助地板と、前記羽根室内において光軸を中心にして回転可能に且つ前記地板に接するようにして配置されており前記地板の孔よりも光軸側において光軸を囲むようにして配列された複数の細長いカム溝を有している駆動リングと、各々が同一面に二つのピンを有していて前記羽根室内において前記駆動リングと前記補助地板との間に配置されており前記駆動リングを前記羽根室内に配置したあと一方のピンを前記孔に回転可能に嵌合させ他方のピンを前記カム溝に挿入している複数枚の絞り羽根と、を備えているようにする。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を、図1〜図3に示した実施例によって説明する。尚、図1は実施例を被写体側から見た最大口径時の平面図であり、図2は各部材の重なり関係を分かり易くするために示した図1の一部断面図であり、図3は図1と同じようにして見た最小口径時の平面図である。
【0012】
本実施例の場合にも、地板11と補助地板12は適宜な手段によって相互に取り付けられ、それらの間に羽根室を構成している。また、地板11と補助地板12は光軸を中心にした円形の開口部11a,12aを有しているが、地板11の開口部11aは絞り口径の最大口径を規制するものではなく、その最大口径よりもかなり大きく形成されており、補助地板12の開口部12aが絞り口径の最大口径を規制している。開口部11aを最大口径よりも大きく形成した理由は、地板11の被写体側に配置されるレンズを、少しでも後述の絞り羽根14に接近させて配置することにより、カメラのコンパクト化を図るためであるが、その形状は必ずしも円形である必要はない。また、そのような要求がない場合は、開口部11aの大きさを最大口径と同じにしても差し支えない。
【0013】
地板11には、光軸を中心にした円周上に等間隔に五つの孔11bが形成されているが、図1及び図3においては地板11の一部を破断して示しているので、それらのうちの三つだけが示されている。羽根室内には、駆動リング13が回転可能に配置されていて、その張出部13aが地板11に設けられた突部11dに当接し得るようになっている。また、この駆動リング13には、光軸を囲むようにして配列された五つの細長いカム溝13bが形成されており、外周の一部には歯部13cを有している。更に、羽根室内において、補助地板12と駆動リング13との間には、5枚の絞り羽根14が配置されていて、各々の絞り羽根14は、一方のピン14aを、地板11の段部11cに形成された上記の孔11bに対して回転可能に嵌合させ、他方のピン14bを駆動リング13のカム溝13bに挿入している。
【0014】
また、上記の従来例と同様に、地板11には羽根室外にモータ15が取り付けられていて、羽根室内に延在している出力軸には歯車16が取り付けられている。また、羽根室内には親子歯車17が取り付けられていて、その親歯車が上記の歯車16に噛合し、子歯車が駆動リング13の歯部13cに噛合している。従って、図1において、モータ15の回転子を反時計方向へ回転させると、駆動リング13も反時計方向へ回転して、各絞り羽根14を反時計方向へ回転させ、絞り口径を小さくしていく。そして、最小口径状態が図3に示されているが、このような最小口径状態になる前にモータ15を停止させれば、夫々の停止位置で夫々の絞り口径を得ることができる。また、撮影後、モータ15の回転子を時計方向へ回転させ、張出部13aが突部11dに当接するまで駆動リング13を時計方向へ回転させれば、図1の全開状態(絞りの最大口径)に復帰する。
【0015】
このような本実施例の絞り機構を組み立てる場合は、予めモータ15と歯車16とを取り付けた地板11を、羽根室側の面を上側にして冶具に載せておき、その上から駆動リング13,親子歯車17,絞り羽根14,補助地板12の順に取り付けていく。そして、その場合、絞り羽根14を地板11と駆動リング13に取り付けるときは、1枚ずつ、二つのピン14a,14bを孔11bとカム溝13bに落とし込む。従って、従来例のように、同時に5枚の絞り羽根と駆動リングとの位置合わせをする必要がないから、その取付作業が極めて簡単である。しかも、場合によっては、ピン14aを先に孔11bに嵌合させてからそこを軽く押えておき、絞り羽根14を若干上方へ撓ませるようにしてピン14bをカム溝13bに挿入させるようにすることも可能である。
【0016】
また、本実施例においては、絞り羽根14が補助地板12と駆動リング13との間に挟まれて作動するように構成されているので、地板11の開口部11aを絞りの最大口径より大きくしても、絞り羽根14の作動の安定性を維持する機能と、所定の口径位置でその規制状態を安定的に得られる機能には何ら問題が生じない。しかも、開口部11aを光軸を中心にした円形形状にすることには必ずしも拘束されない。従って、絞り機構の被写体側に配置されるレンズなどの構成に合わせて形成することができるので、カメラのコンパクト化にとって極めて有利である。
【0017】
また、本実施例においては、地板11と補助地板12の外形は円形であるが、カメラ内に絞り機構が配置される周囲の構成によっては、それらの形状が円形にならないことがある。そのため、孔11bを等間隔に配列できない場合もあるが、その場合には、カム溝や羽根等の形状を適宜変えることによって、絞り口径を常に略円形に変化させるようにすることが可能である。
【0018】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、絞り羽根の同一面に二つのピンを設け、組立時には、1枚の絞り羽根ごとに、それらのピンを地板に設けられた孔と駆動リングに設けられたカム溝とに取り付けるようにしたので、組立作業が極めて容易になるという利点がある。また、本発明によれば、絞り羽根が駆動リングと補助地板の間に配置されているので、補助地板に形成された開口部で絞りの最大口径を規制するようにした場合には、地板の開口部を大きくしても絞り羽根の作動や口径制御状態に影響を及ぼさないので、被写体側に配置されているレンズなどの構成部材を絞り羽根に接近して配置させることが可能となり、カメラのコンパクト化にとって有利になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例を被写体側から見た最大口径時の平面図である。
【図2】各部材の重なり関係を分かり易くするために示した図1の一部断面図である。
【図3】図1と同じようにして見た最小口径時の平面図である。
【図4】図1と同じ状態を同じようにして見た従来例の平面図である。
【図5】図4の一部断面図である。
【図6】図4と同じようにして見た最小口径時における従来例の平面図である。
【符号の説明】
1,11 地板
1a,11a,12a 開口部
1b,11b 孔
1c,11c 段部
1d,11d 突部
2,12 補助地板
3,13 駆動リング
3a,13a 張出部
3b,13b カム溝
3c,13c 歯部
4,14 絞り羽根
4a,4b,14a,14b ピン
5,15 モータ
6,16 歯車
7,17 親子歯車

Claims (1)

  1. 光軸を中心にして形成された開口部と光軸を中心にした円周上に配列された複数の孔とを有している地板と、最大絞り口径を規制するために光軸を中心にして前記開口部よりも小さくて円形に形成された開口部を有しており前記地板に取り付けられて前記地板との間に羽根室を構成し前記地板の方を被写体側にしてカメラ内に配置される補助地板と、前記羽根室内において光軸を中心にして回転可能に且つ前記地板に接するようにして配置されており前記地板の孔よりも光軸側において光軸を囲むようにして配列された複数の細長いカム溝を有している駆動リングと、各々が同一面に二つのピンを有していて前記羽根室内において前記駆動リングと前記補助地板との間に配置されており前記駆動リングを前記羽根室内に配置したあと一方のピンを前記孔に回転可能に嵌合させ他方のピンを前記カム溝に挿入している複数枚の絞り羽根と、を備えていることを特徴とするカメラ用絞り機構。
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