JP4812086B2 - インクジェット記録ヘッド、該記録ヘッドの製造方法、及びインクジェット記録ヘッド用組成物 - Google Patents

インクジェット記録ヘッド、該記録ヘッドの製造方法、及びインクジェット記録ヘッド用組成物 Download PDF

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Description

本発明は、流路形成部材に特定の光重合性組成物の硬化物を用いたインクジェット記録ヘッド、その製造方法、及びインクジェット記録ヘッド用組成物に関する。
従来、液体を吐出口から小滴として吐出させ、紙に代表される被記録媒体に付着させ画像記録を行うインクジェット記録方式においては、様々な性能向上に対する技術開発が続けられている。中でも、画質向上のための小液滴化に対する要求は強く、インクの流路やノズルとなる微小な構造物を高精度で作製する技術が求められている。そのような技術としては、精度、工程の簡便さの両面でフォトリソグラフィーが優れており、特開平6−286149号公報では、インクジェット記録ヘッドをエポキシ樹脂のカチオン重合を利用したフォトリソグラフィーで作製する方法が開示されている。
カチオン重合により硬化した材料は、一般にラジカル重合で硬化したものに比べて耐インク性に優れており、インクジェット記録ヘッドの材料として好適である。
一方、記録速度の向上のためには、記録ヘッド自体の大型化、印字幅の伸長が非常に有効であり、各方式のヘッドにて検討が進められている。しかし、一般的には製造工程中に加熱処理を施されることが多く、樹脂材料でノズル部材を作製した場合には、硬化収縮、熱履歴などの要因により、基板等の隣接する無機材料との間に残留応力が発生することが知られている。さらに、ノズル部材の厚さや面積が大きくなった場合にはノズルパターンに作用する応力が大きくなり、基板からの層剥離やクラックの生成などの問題が発生する場合も多く、応力低減が大きな課題となってくる。
樹脂塗膜の応力低減手法の代表的なものとしては、フィラーのような無機材料を添加して樹脂の熱膨張を低減する方法や、柔軟性の高い材料を添加して樹脂自体の弾性率を低減する方法などが挙げられる。実際、特開平9−234874号公報では、ノズル部材としてフィラーを含有する樹脂を用い、エキシマレーザーによるアブレーションを利用して成型する方法が開示されている。また、欧州特許出願公開第0431809号明細書では、エポキシ樹脂に有機シラン化合物を添加して柔軟性を付与し、樹脂自体の脆弱さを改善する塗膜形成材料が開示されている。塗膜が柔軟になれば、内部応力自体は低下していると推測される。一方、米国特許第6312085号明細書には、光ラジカル重合によってパターニングを行い、加熱処理によってシロキサン結合の生成/硬化を行うことによってインクジェットヘッドを作製する方法が開示されている。
印字幅の伸長に対応し得る記録ヘッドのノズル部材の形成については、特開平9−234874号公報に、ノズル部材としてフィラーを含有する樹脂を用い、エキシマレーザーによるアブレーションを利用して成型する方法が開示されている。しかし、このような材料では、パターン露光、現像という通常のフォトリソグラフィー工程と比較して、生産性、コストなどの面で問題が生じる場合があった。また、欧州特許出願公開第0431809号明細書に開示される材料は、インクジェット記録ヘッドのような微細構造物を目的としたものではなく、パターニング工程に適用しようとすると、塗膜の膜減りや溶出、パターンの変形、不十分な解像性などの問題を内包している。一方、米国特許第6312085号明細書に開示の方法ではラジカル重合(メタクリロキシ基)で架橋構造を形成するため、耐アルカリ性が十分とは言えず、インクの種類によっては耐インク性が不十分な場合があった。
特開平6−286149号公報 特開平9−234874号公報 欧州特許出願公開第0431809号明細書 米国特許第6312085号明細書
本発明は、上記諸点に鑑みなされたものであって、内部応力の低減と良好なパターニング特性を有する材料を用いることにより、高い耐久性、耐インク性を持ち、高品位な画像記録を可能とするインクジェット記録ヘッドを提供するものである。更には、かかるインクジェット記録ヘッドを高精度で作製する製造方法、かかるインクジェット記録ヘッドに用いられるインクジェット記録ヘッド用組成物を提供することにある。
本発明のインクジェット記録ヘッドの一態様は、インクを吐出するためのエネルギーを発生するためのエネルギー発生素子が設けられた基板と、前記エネルギー発生素子に対応して設けられた吐出口と、前記吐出口にインクを供給するためのインク流路と、前記基板上に設けられ、前記基板とともに前記インク流路を形成しているインク流路形成部材と、を備えたインクジェット記録ヘッドにおいて、
前記インク流路形成部材は、
(a)カチオン重合性樹脂、
(b)光カチオン重合開始剤、及び
(c−1)芳香環を有する2官能の加水分解性有機シラン化合物と、芳香環を持たない3官能以上の加水分解性有機シラン化合物とを含む組成物の縮合物、
を含有する光硬化性樹脂組成物の硬化物を含むことを特徴とするインクジェット記録ヘッドである。
本発明のインクジェット記録ヘッドの他の態様は、インクを吐出するためのエネルギーを発生するためのエネルギー発生素子が設けられた基板と、前記エネルギー発生素子に対応して設けられた吐出口と、前記吐出口にインクを供給するためのインク流路と、前記基板上に設けられ、前記基板とともに前記インク流路を形成しているインク流路形成部材と、を備えたインクジェット記録ヘッドにおいて、
前記流路形成部材は、
(a)カチオン重合性樹脂、
(b)光カチオン重合開始剤、及び
(c−2)芳香環を有する3官能の加水分解性有機シラン化合物を含む組成物の縮合物、を含有する光硬化性樹脂組成物の硬化物を含むことを特徴とするインクジェット記録ヘッドである。
本発明のインクジェット記録ヘッドの製造方法の一態様は、インクを吐出するためのエネルギーを発生するためのエネルギー発生素子が設けられた基板と、前記エネルギー発生素子に対応して設けられた吐出口と、前記吐出口にインクを供給するためのインク流路と、前記基板上に設けられ、前記基板とともに前記インク流路を形成しているインク流路形成部材と、を備えたインクジェット記録ヘッドの製造方法において、
光硬化性樹脂組成物の層を前記基板上に形成する工程と、
前記基板上に光硬化性樹脂組成物の層にパターン露光を行う工程と、
前記パターン露光された光硬化性樹脂組成物の層を現像処理して、該光硬化性樹脂組成
物の硬化物からなるインク流路形成部材を得る工程と、
前記インク流路形成部材が形成された基板上に、前記吐出口を有する部材を積層する工程と、
を有し、
前記光重合性樹脂組成物が、
(a)カチオン重合性樹脂、
(b)光カチオン重合開始剤、及び
(c−1)芳香環を有する2官能の加水分解性有機シラン化合物と、芳香環を持たない3官能以上の加水分解性有機シラン化合物とを含む組成物の縮合物、
を含有することを特徴とするインクジェット記録ヘッドの製造方法である。
本発明のインクジェット記録ヘッドの製造方法の他の一態様は、インクを吐出するためのエネルギーを発生するためのエネルギー発生素子が設けられた基板と、前記エネルギー発生素子に対応して設けられた吐出口と、前記吐出口にインクを供給するためのインク流路と、前記基板上に設けられ、前記基板とともに前記インク流路を形成しているインク流路形成部材と、を備えたインクジェット記録ヘッドの製造方法において、
光硬化性樹脂組成物の層を前記基板に上に形成する工程と、
前記基板上に光硬化性樹脂組成物の層にパターン露光を行う工程と、
前記パターン露光された光硬化性樹脂組成物の層を現像処理して、該光硬化性樹脂組成物の硬化物からなるインク流路形成部材を得る工程と、
前記インク流路形成部材が形成された基板上に、前記吐出口を有する部材を積層する工程と、
を有し、
前記光硬化性樹脂組成物が、
(a)カチオン重合性樹脂、
(b)光カチオン重合開始剤、及び
(c−2)芳香環を有する3官能の加水分解性有機シラン化合物を含む組成物の縮合物、を含有することを特徴とするインクジェット記録ヘッドの製造方法である。
本発明のインクジェット記録ヘッドの製造方法の他の一態様は、インクを吐出するためのエネルギーを発生するためのエネルギー発生素子が設けられた基板と、前記エネルギー発生素子に対応して設けられた吐出口と、前記吐出口にインクを供給するためのインク流路と、前記基板上に設けられ、前記基板とともに前記インク流路を形成しているインク流路形成部材と、を備えたインクジェット記録ヘッドの製造方法において、
インクを吐出するためのエネルギーを発生するためのエネルギー発生素子が設けられた基板上に、インク流路形成用型材を形成する工程と、
前記基板上に光硬化性樹脂組成物の層を形成して、該基板上のインク流路形成用型材を覆う工程と、
前記インク流路形成用型材を覆う光硬化性樹脂組成物の層にパターン露光した後、現像処理して、吐出口を有するインク流路形成部材を得る工程と、
前記インク流路形成部材に覆われた前記インク流路形成用型材を基板上から除去することで、インク流路を形成する工程と、
を有し、
前記光重合性樹脂組成物が、
(a)カチオン重合性樹脂、
(b)光カチオン重合開始剤、及び
(c−1)芳香環を有する2官能の加水分解性有機シラン化合物と、芳香環を持たない3官能以上の加水分解性有機シラン化合物とを含む組成物の縮合物、
を含有することを特徴とするインクジェット記録ヘッドの製造方法である。
本発明のインクジェット記録ヘッドの製造方法の他の一態様は、インクを吐出するためのエネルギーを発生するためのエネルギー発生素子が設けられた基板と、前記エネルギー発生素子に対応して設けられた吐出口と、前記吐出口にインクを供給するためのインク流路と、前記基板上に設けられ、前記基板とともに前記インク流路を形成しているインク流路形成部材と、を備えたインクジェット記録ヘッドの製造方法において、
インクを吐出するためのエネルギーを発生するためのエネルギー発生素子が設けられた基板上に、インク流路形成用型材を形成する工程と、
前記基板上に光硬化性樹脂組成物の層を形成して、該基板上のインク流路形成用型材を覆う工程と、
前記インク流路形成用型材を覆う光硬化性樹脂組成物の層にパターン露光した後、現像処理して、吐出口を有するインク流路形成部材を得る工程と、
前記インク流路形成部材に覆われた前記インク流路形成用型材を基板上から除去することで、インク流路を形成する工程と、
を有し、
前記光硬化性樹脂組成物が、
(a)カチオン重合性樹脂、
(b)光カチオン重合開始剤、及び
(c−2)芳香環を有する3官能の加水分解性有機シラン化合物を含む組成物の縮合物、を含有することを特徴とするインクジェット記録ヘッドの製造方法である。
本発明のインクジェット記録ヘッドの製造方法の他の一態様は、インクを吐出するためのエネルギーを発生するためのエネルギー発生素子が設けられた基板と、前記エネルギー発生素子に対応して設けられた吐出口と、前記吐出口にインクを供給するためのインク流路と、前記基板上に設けられ、前記基板とともに前記インク流路を形成しているインク流路形成部材と、を備えたインクジェット記録ヘッドの製造方法において、
光硬化性樹脂組成物(1)の層を前記基板上に形成する工程と、
前記基板上に光硬化性樹脂組成物(1)の層にパターン露光を行う工程と、
前記パターン露光された光硬化性樹脂組成物(1)の層を現像処理して、該光硬化性樹脂組成物の硬化物からなるインク流路形成部材を得る工程と、
前記インク流路形成部材上に、光硬化性樹脂組成物(2)の層を積層する工程と、光硬化性樹脂組成物(2)の層にパターン露光、現像処理により吐出口を形成する工程、
とを有し、前記光重合性樹脂組成物(1)及び前記光重合性樹脂組成物(2)の少なくとも一方が、
(a)カチオン重合性樹脂、
(b)光カチオン重合開始剤、及び
(c−1)芳香環を有する2官能の加水分解性有機シラン化合物と、芳香環を持たない3官能以上の加水分解性有機シラン化合物とを含む組成物の縮合物、
を含有することを特徴とするインクジェット記録ヘッドの製造方法である。
本発明のインクジェット記録ヘッドの製造方法の他の一態様は、インクを吐出するためのエネルギーを発生するためのエネルギー発生素子が設けられた基板と、前記エネルギー発生素子に対応して設けられた吐出口と、前記吐出口にインクを供給するためのインク流路と、前記基板上に設けられ、前記基板とともに前記インク流路を形成しているインク流路形成部材と、を備えたインクジェット記録ヘッドの製造方法において、
光硬化性樹脂組成物(1)の層を前記基板上に形成する工程と、
前記基板上に光硬化性樹脂組成物(1)の層にパターン露光を行う工程と、
前記パターン露光された光硬化性樹脂組成物(1)の層を現像処理して、該光硬化性樹脂組成物の硬化物からなるインク流路形成部材を得る工程と、
前記インク流路形成部材上に、光硬化性樹脂組成物(2)の層を積層する工程と、光硬化性樹脂組成物(2)の層にパターン露光、現像処理により吐出口を形成する工程、
とを有し、
前記光重合性樹脂組成物(1)及び前記光重合性樹脂組成物(2)の少なくとも一方が、
(a)カチオン重合性樹脂、
(b)光カチオン重合開始剤、及び
(c−2)芳香環を有する3官能の加水分解性有機シラン化合物を含む組成物の縮合物、を含有することを特徴とするインクジェット記録ヘッドの製造方法である。
本発明のインクジェット記録ヘッドの製造方法の他の一態様は、インクを吐出するためのエネルギーを発生するためのエネルギー発生素子が設けられた基板と、前記エネルギー発生素子に対応して設けられた吐出口と、前記吐出口にインクを供給するためのインク流路と、前記基板上に設けられ、前記基板とともに前記インク流路を形成しているインク流路形成部材と、を備えたインクジェット記録ヘッドの製造方法において、
光硬化性樹脂組成物(1)の層を前記基板上に形成する工程と、
前記基板上に光硬化性樹脂組成物(1)の層にパターン露光を行い潜像を形成する工程と、
前記パターン露光された光硬化性樹脂組成物(1)の層の上に光硬化性樹脂組成物(2)の層を積層する工程と、光硬化性樹脂組成物(2)の層にパターン露光を行い潜像を形成する工程と、
現像処理により該光硬化性樹脂組成物(1)、(2)の硬化物からなるインク流路形成部材および吐出口を形成する工程、
とを有し、
前記光重合性組成物(1)及び前記光重合性組成物(2)の少なくとも一方が
(a)カチオン重合性樹脂、
(b)光カチオン重合開始剤、及び
(c−1)芳香環を有する2官能の加水分解性有機シラン化合物と、芳香環を持たない3官能以上の加水分解性有機シラン化合物とを含む組成物の縮合物、
を含有することを特徴とするインクジェット記録ヘッドの製造方法である。
本発明のインクジェット記録ヘッドの製造方法の他の一態様は、インクを吐出するためのエネルギーを発生するためのエネルギー発生素子が設けられた基板と、前記エネルギー発生素子に対応して設けられた吐出口と、前記吐出口にインクを供給するためのインク流路と、前記基板上に設けられ、前記基板とともに前記インク流路を形成しているインク流路形成部材と、を備えたインクジェット記録ヘッドの製造方法において、
光硬化性樹脂組成物(1)の層を前記基板上に形成する工程と、
前記基板上に光硬化性樹脂組成物(1)の層にパターン露光を行い潜像を形成する工程と、
前記パターン露光された光硬化性樹脂組成物(1)の層の上に光硬化性樹脂組成物(2)の層を積層する工程と、光硬化性樹脂組成物(2)の層にパターン露光を行い潜像を形成する工程と、現像処理により該光硬化性樹脂組成物(1)、(2)の硬化物からなるインク流路形成部材および吐出口を形成する工程、
とを有し、
前記光重合性組成物(1)及び前記光重合性組成物(2)の少なくとも一方が
(a)カチオン重合性樹脂、
(b)光カチオン重合開始剤、及び
(c−2)芳香環を有する3官能の加水分解性有機シラン化合物を含む組成物の縮合物、を含有することを特徴とするインクジェット記録ヘッドの製造方法である。
本発明のインクジェット記録ヘッド用組成物は、
(a)カチオン重合性樹脂、
(b)光カチオン重合開始剤、及び
(c−1)芳香環を有する2官能の加水分解性有機シラン化合物と、芳香環を持たない3官能以上の加水分解性有機シラン化合物とを含む組成物の縮合物、
を含有する光硬化性樹脂を含むことを特徴とするインクジェット記録ヘッド用組成物である。
本発明によれば、加水分解性有機シラン化合物の縮合物を含む光カチオン重合性樹脂組成物を流路形成部材を形成するための材料として用いることで、流路形成部材での内部応力の低減と高精度のパターニングが可能となる。そのため、高い耐久性、耐インク性を持ち、長期に渡って高品位な印字が可能なインクジェット記録ヘッド及びその製造方法を提供することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明者らは鋭意検討の結果、以下の組成を有する光重合性組成物を流路形成部材の製造用材料(ノズル材料ともいう)として用いることで、内部応力の低減と良好なパターニング特性との両立を実現することを見出した。そして、本発明者らは、高い耐インク性、耐久性を有するインクジェット記録ヘッドを高精度で作製することが可能となることを見出した。
光重合性組成物A:
(a)カチオン重合性樹脂、
(b)光カチオン重合開始剤、及び
(c−1)芳香環を有する2官能(但し、2官能とは同一Si原子上における縮合可能な基の数が2であることを意味する)の加水分解性有機シラン化合物と、芳香環を持たない3官能以上の加水分解性有機シラン化合物とを含む縮合物
光重合性組成物B:
(a)カチオン重合性樹脂、
(b)光カチオン重合開始剤、及び
(c−2)芳香環を有する3官能の加水分解性有機シラン化合物を含む縮合物
(但し、ここでの官能基数は、同一Si原子上における縮合可能な基の数を意味する。)
上記光重合性組成物の硬化物は、加水分解性有機シラン化合物の縮合物の有するシロキサン骨格(無機骨格)と、カチオン重合可能な基を利用した硬化により形成される有機骨格を併せ持ついわゆる有機−無機のハイブリット硬化物となる。これにより、低熱膨張、低応力といった物性の改善が期待される。なお、カチオン重合可能な基として代表的なエポキシ基を用いた場合はエーテル結合となる。実際に、本発明の有機−無機のハイブリット硬化物は、従来のエポキシ樹脂と比較して大きく異なる物性を示しており、塗膜の残留応力が低下し、基板の変形防止、基材面への密着性向上の効果が得られることがわかった。
本発明においては、芳香環を有する加水分解性有機シラン化合物が2官能以上であり、かつ、3官能以上の加水分解性有機シラン化合物があること(すなわち、(c−1)または(c−2)を含むこと)が重要である。これにより、カチオン重合性樹脂とシロキサン骨格との相溶性や、塗布時の成膜性が向上し、良好なパターニング特性を得ることが可能となる。さらに、パターニング工程、光又は熱によるキュア工程を通じて、以下のような反応が起こると考えられる。すなわち、(a)成分であるカチオン重合性樹脂により形成される有機骨格と(c−1)成分または(c−2)成分の加水分解性有機シラン化合物を含む縮合物により形成される無機骨格との間にも結合が生成していると考えられる。これは未反応のカチオン重合性部位と、未反応の加水分解・縮合可能部位とが、(b)光カチオン重合開始剤により生じた酸を触媒として反応し得るためである。
一般的には、カチオン重合による有機骨格がアルカリ耐性に優れているのに対して、シロキサン骨格は耐アルカリ性に劣る場合が多い。しかしながら、本発明のようにカチオン重合による有機骨格とシロキサンによる無機骨格とが共存する形態の硬化物では、驚くべきことにシロキサン骨格の再加水分解が抑制され、耐アルカリ性、耐インク性が向上することが見出された。
次いで本発明に用いられる各々の構成材料について具体的に説明する。
(a)成分としてのカチオン重合性樹脂とは、カチオン重合性の基である、ビニル基、環状エーテル基などを有する化合物を含む樹脂を意味する。なかでもエポキシ基、オキセタン基を有する化合物が好適に用いられる。エポキシ樹脂の具体例としては、ビスフェノール−A−ジグリシジルエーテル、ビスフェノール−F−ジグリシジルエーテル等、ビスフェノール骨格を有するモノマーまたはオリゴマーからなるビスフェノール型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、トリスフェノールメタン型エポキシ樹脂、3,4-エポキシシクロヘキセニルメチル-3',4'-エポキシシクロヘキセンカルボキシレート等の脂環式エポキシ構造を有する樹脂が挙げられる。
さらに、以下の構造のように脂環型の骨格の側鎖にエポキシ基を有する樹脂も好適に用いられる。
Figure 0004812086
また、以下の構造のように、ビスフェノールA骨格を有するノボラック樹脂も好適に用いられる。式中のnは1から3の整数であるものが好適であり、特にn=2のものが好ましい。
Figure 0004812086
また、オキセタン化合物を含有する樹脂としては、フェノールノボラック型オキセタン化合物、クレゾールノボラック型オキセタン化合物、トリスフェノールメタン型オキセタン化合物、ビスフェノール型オキセタン化合物、ビフェノール型オキセタン化合物等からなる樹脂が挙げられる。エポキシ樹脂にこれらオキセタン化合物からなる樹脂を併用する場合、硬化反応が促進され好適な場合もある。
良好なパターニング特性を得るためには、これらカチオン重合性樹脂は重合前の段階で、室温で固体状、あるいは融点が40℃以上であるものが好ましい。また、エポキシ当量(又はオキセタン当量)が2000以下、さらに好ましくは、1000以下の化合物が好適に用いられる。エポキシ当量が2000を超えると、硬化反応の際の架橋密度が低下し、硬化物のTgもしくは熱変形温度が低下したり、基板に対する密着性、耐インク性に問題が生じたりする場合がある。
(b)成分としての光カチオン重合開始剤としては、オニウム塩、ボレート塩、イミド構造を有する化合物、トリアジン構造を有する化合物、アゾ化合物、過酸化物から選択される構造を有するものが挙げられる。感度、安定性、反応性の面からは、芳香族スルホニウム塩、芳香族ヨードニウム塩が好ましい。また、感度向上や感光波長の調整のために各種光増感剤を使用することも有用である。
(c−1)成分としての縮合物は、芳香環を有する2官能の加水分解性有機シラン化合物と、芳香環を持たない3官能以上の加水分解性有機シラン化合物を出発原料として合成された縮合物である。
この縮合物の形成に際しては、芳香環を有する2官能の加水分解性有機シラン化合物の少なくとも1種と、芳香環を持たない3官能以上の加水分解性有機シラン化合物の少なくとも1種とを用いて出発原料とすることができる。
芳香環を有する加水分解性有機シラン化合物と、芳香環を持たない加水分解性有機シラン化合物の配合割合(モル基準)は、(芳香環有り:芳香環無し=)1:0.1〜1:4とすることが好ましい。特に、(芳香環有り:芳香環無し=)1:0.3〜1:2であることが好ましい。
芳香環を有する加水分解性有機シラン化合物としては以下の一般式(1)で表される化合物が挙げられる。
(R3)p-Si-(OR2)q(R1) r・・・(1)
ここで、p+q+r=4(pは1、2または3であり、qは1、2または3であり、rは0、1または2である)であり、R1及びR2はそれぞれ独立して、飽和または不飽和の炭化水素残基であり、R3は芳香環を有する非加水分解性の置換基である。
さらに具体的には、R3としては置換あるいは未置換のフェニル基、ナフチル基、ベンジル基などが挙げられる。このフェニル基、ナフチル基、ベンジル基の置換基としては、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルケニル基、炭素数1〜20のアルコキシ基;更には、水酸基、エポキシ基、グリシジル基などを挙げることができる。
また、R2としては炭素数が20以下のアルキル基などが好適に用いられるが、その反応性などの問題から特にメチル基、エチル基、プロピル基などが好ましい。また、これらのほかに、R2としては、水素原子を含むものがあっても良い。すなわち、-(OR2)基が2以上ある場合(qが2以上の場合)に、2以上の-(OR2)基中の少なくと1つの−(OR2)基のR2が水素以外であり、残りの基が-OHであるシラン化合物が利用できる。
1としては、置換あるいは未置換の炭素数1〜30のアルキル基が好ましく用いられる。また、このアルキル基の置換基としては、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルケニル基、炭素数1〜20のアルコキシ基;更には、水酸基、エポキシ基、グリシジル基などを挙げることができる。
このような芳香環を有する加水分解性有機シラン化合物を用いることにより、パターニング特性が著しく向上することがわかった。芳香環の立体的、電子的な作用によって、縮合反応及び/またはカチオン重合反応の反応性が影響を受け、生成した樹脂骨格の構造が制御されるものと考えられる。
芳香環を持たない加水分解性有機シラン化合物としては、次の一般式(2)で表されるような化合物が挙げられる。
(R2O)q-Si-(R1) r・・・(2)
ここで、
q+r=4(qは1、2、3または4であり、rは0、1、2または3である)
であり、R1及びR2それぞれ独立して、一般式(1)と同様の飽和または不飽和の炭化水素残基である。
2としては炭素数が20以下のアルキル基などが好適に用いられるが、その反応性などの問題から特にメチル基、エチル基、プロピル基などが好ましい。また、これらのほかに、R2としては、水素原子を含むものがあっても良い。すなわち、-(OR2)基が2以上ある場合(qが2以上の場合)に、2以上の-(OR2)基中の少なくと1つの−(OR2)基におけるR2が水素以外であり、残りの基が-OHであるシラン化合物が利用できる。
1としては、置換あるいは未置換の炭素数1〜30のアルキル基が好ましく用いられる。また、このアルキル基の置換基としては、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルケニル基、炭素数1〜20のアルコキシ基;更には、水酸基、エポキシ基、グリシジル基などを挙げることができる。
これら一般式(1)及び一般式(2)において、R2及びR1はそれぞれ独立して、それぞれ目的特性に応じて適宜置換基を有することも可能であり、溶解性コントロールのための長鎖アルキル基導入、吸湿性低減のためのフッ素原子の導入なども有効である。例えば、長鎖アルキル基を導入した場合、混合する樹脂との相溶性が向上することに加えて、さらなる応力低減が実現される。長鎖アルキル基のような柔軟な骨格が側鎖として存在する場合、分子鎖の運動性が向上し、冷却過程における応力緩和が促進されるものと推測される。ただし、あまりに炭素数が多くなると、その疎水性のために均一な加水分解・縮合反応が困難となる。R1として導入されるアルキル基としては、炭素数1〜30のアルキル基が好ましく、さらに応力低減という点では炭素数は3以上が好ましく、過剰な疎水性発現を防ぐという点では20以下、さらには12以下が好ましい。
また、一般式(1)及び(2)において、非加水分解性基R1にエポキシ基などのカチオン重合性基を導入することも非常に有用である。縮合物自体にカチオン重合性基を導入することにより、(a)のカチオン重合性樹脂との相溶性が向上するだけではなく架橋密度の上昇や樹脂−縮合物間の結合部位の増加が可能となる。即ち、そのカチオン重合反応により、有機シラン化合物から得られる無機骨格と、エポキシ樹脂により形成される有機骨格と間にさらに架橋構造が形成されることになり、良好な有機−無機ハイブリッド材料となる。それにより、感度やパターン形状などのパターニング特性を最適化したり、機械的強度、耐久性、耐インク性を向上させたりすることができるため非常に有用である。具体的には、R1としてカチオン重合性基、即ちビニル基または環状エーテル基を有する基が好適に利用できる。例えば、一般式(2)の化合物で、R1にカチオン重合性基を導入した化合物として以下のものが挙げられるが、無論本発明は下記化合物に限定されるものではない。
グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、グリシドキシプロピルジメチルメトキシシラン、グリシドキシプロピルジメチルエトキシシラン、及び2−(エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン。
なお、一般式(1)の加水分解性有機シラン化合物及び一般式(2)の加水分解性有機シラン化合物は、その加水分解、脱水縮合反応によりシロキサン結合が形成可能である基を同一Si原子上に1ないしは4つ有している。本発明では、この同一Si原子上のシロキサン結合形成可能な基の数を該有機シラン化合物の官能基数と定義する。
本発明の構成では、その縮合反応により形成されたシロキサン結合による無機骨格が非常に重要である。1官能シラン化合物ではシロキサン骨格の末端にしか成り得ず、樹脂骨格を形成することができない。そのため、本発明では、1官能シラン化合物は原料シラン中の30mol%以下であることが好ましい。一方、2官能シラン化合物では線状骨格を形成するだけで、3次元架橋した骨格は形成できないために、3次元架橋したものよりも柔軟性に富み、応力低減という点では効果的である。しかしながら、更にパターニング特性、硬化物の流路形成部材としての強度、耐久性も考慮した場合、原料シラン中の2官能シランは70mol%以下であることが好ましい。また、4官能シラン化合物については、シロキサン骨格のコントロールやパターニング特性の点から原料シラン中の40mol%以下、好ましくは20mol%以下であることが好適である。以上のような理由から、塗布膜(層)の物性とパターニング特性とを制御して最適な組成を得るには、芳香環を有する加水分解性有機シラン化合物が2官能上であり、かつ3官能以上の加水分解性有機シラン化合物があることが重要である。芳香環を有する加水分解性有機シラン化合物が2官能の場合、芳香環を持たない加水分解性有機シラン化合物は3官能シラン化合物を用いることが重要である。その場合における芳香環を有する加水分解性有機シラン化合物(X)と芳香環を持たない3官能シラン化合物(Y)の合計モル数を基準としたYのmol%(Yのモル数/(Xのモル数+Yのモル数)は20〜80mol%の範囲にあることが好ましい。また、芳香環を有する2官能の加水分解性有機シラン化合物は原料シラン中に20mol%以上であることが好ましい。従って、これらの本発明の目的を達成できる特性を有する有機シラン化合物を選択してもちいればよい。
次に(c−2)成分としての芳香環を有する3官能の加水分解性有機シラン化合物を含む縮合物について説明する。前述のような理由から、本形態も、芳香環を有する加水分解性有機シラン化合物が2官能以上であり、かつ、3官能以上の加水分解性有機シラン化合物があるという条件を満たしているといえる。(c−2)成分としての縮合物は、芳香環を有する3官能の加水分解性有機シラン化合物の少なくとも1種を縮合させて得ることができる。(c−2)成分においても、1官能シラン化合物は原料シラン中の30mol%以下であることが好ましい。一方、2官能シラン化合物は、原料シラン中の70mol%以下であることが好ましい。また、4官能シラン化合物は、原料シラン中の40mol%以下、好ましくは20mol%以下であることが好適である。なお、3官能以上の加水分解性有機シラン化合物は、原料シラン中の20mol%以上あることが望ましい。また、芳香環を持つ3官能の加水分解性有機シラン化合物も原料シラン中に20mol%以上用いることが好ましい。
本発明において、加水分解性有機シラン化合物の縮合反応は、水の存在下で加熱することにより、加水分解と縮合反応を進行させることによって行われる。加水分解/縮合反応を温度、時間、PHなどで適宜制御することで、所望の縮合度を得ることが可能である。
ここで、縮合反応の進行度合(縮合度)は、縮合可能な官能基数に対する縮合した官能基数の割合で定義することができる。実際にはSi−NMR測定によって見積もることができ、例えば3官能の有機シラン化合物の場合、
T0体:他のシラン分子とは結合していないSi原子
T1体:1つのシラン分子と酸素を介して結合しているSi原子
T2体:2つのシラン分子と酸素を介して結合しているSi原子
T3体:3つのシラン分子と酸素を介して結合しているSi原子
の比率から、次式1に従って計算される。
Figure 0004812086
また、2官能シランの場合には、
D0体:他のシラン分子とは結合していないSi原子
D1体:1つのシラン分子と酸素を介して結合しているSi原子
D2体:2つのシラン分子と酸素を介して結合しているSi原子
の比率から、次式2に従って計算される。
Figure 0004812086
縮合度は、有機シラン化合物の種類、合成条件によって異なるが、低すぎる場合には樹脂との相溶性、塗布性に劣る場合がある。そのため、縮合度は20%以上であることが好ましい。さらには、30%以上であることがより好ましい。
ここで、縮合度の制御により解像性を向上させることができる。3官能の加水分解性有機シラン化合物を含む縮合物は、T0体およびT1体の存在比率の合計は50%以下にすることが好ましい。さらに好ましくは30%以下にすることが好ましい。さらに、T3体の存在比率は15%以上にすることが好ましい。さらに好ましくは20%以上にすることが好ましい。
ただし、ここでT0,T1,T3体の存在比率とは、次式3に従って計算される。
Figure 0004812086
また、加水分解反応に際して、金属アルコキシドを加水分解の触媒として利用し縮合度を制御することも可能である。金属アルコキシドとしては、アルミニウムアルコキシド、チタニウムアルコキシド、ジルコニウムアルコキシドおよびそれらの錯体(アセチルアセトン錯体など)が挙げられる。
上述の、(a)成分であるカチオン重合性樹脂と(c−1)又は(c−2)の加水分解性有機シラン化合物からなる縮合物との混合重量比率は、好ましくは(a)/(c)=0.1〜10、さらに好ましくは0.3〜3である。混合重量比率がこれらの範囲であれば、より良好な応力低減の効果が得られ、機械的特性、パターニング特性も更に良好とすることができる。
上述のノズル材料には、架橋密度の増加、感度向上、塗布性の改良、インクによる膨潤の防止、可撓性付与、基体との密着力向上などを目的に種々の添加剤を併用することも可能である。例えば、上述の光カチオン重合開始剤に、還元剤を併用し加熱することによって架橋密度を増加させることができる。このような還元剤としては、トリフルオロメタンスルホン酸銅(II)、アスコルビン酸などが好適である。また、インクによるノズル部の膨潤、寸法変形を防ぐために、特開平8-290572号公報に記載の低分子のフッ素化合物を添加することも有用である。基体とのさらなる密着性向上、塗布性改良のために、シランカップリング剤や含硫化合物等の添加も可能である。次に、上述のノズル材料を用いた吐出口及びインク流路の製造工程について説明する。本発明は、パターン露光、現像処理を施すことで少なくともインク流路を形成するインクジェット記録ヘッドの製造方法に好適である。例えば、特開平6−286149号公報に記載されている、ノズル部分に感光性材料を用い、フォトリソグラフィー技術により精密なノズル構造を形成する方法に本発明は適用可能である。
本発明にかかるインクジェット記録ヘッドの製造方法によれば、例えば、
インク吐出エネルギー発生素子を有する基板上に、
1)本発明によるインク流路形成材料を基体の上に塗布する工程と、
2)前記インク流路形成材料にパターン露光を行う工程と、
3)現像処理によりインク流路を形成する工程とを有する方法により流路形成部材をインク吐出エネルギー発生素子を有する基板上に形成し、その上に、インク吐出口を設けた基体を積層することにより、インクジェット記録ヘッドを作製することが可能である。
以下に、上記の製造方法について模式的概念図を用いて説明する。図1(1)は、インク吐出エネルギー発生素子2が形成された基板1の上に、本発明の光重合性組成物を用いてインク流路形成部材3aを設けたものと、インク吐出口4を有する部材を示している。これらを、積層したものが図1(2)である。積層する際に、必要に応じて接着層を用いることもできる。最後に必要に応じて、加熱処理を施し、ノズル材料および感光性撥液材料を完全に硬化させ、インクジェット記録ヘッドを完成させる。
また、本発明にかかるインクジェット記録ヘッドの他の態様としては、インク吐出エネルギー発生素子が形成された基体上に、
1)溶解可能な樹脂にて型材としてのインク流路パターンを形成する工程と、
2)インク流路壁となる被覆樹脂層を先に説明した光重合性組成物を用いて前記溶解可能な樹脂層を覆う位置に形成する工程と、
3)インク吐出エネルギー発生素子上方の被覆樹脂層にインク吐出口を形成する工程と、
4)前記溶解可能な樹脂層を溶出する工程とを、
有するインクジェット記録ヘッドの製造方法が挙げられる。
以下に、上記の型材を用いる製造方法について模式的概念図を用いて説明する。図2(1)は、インク吐出エネルギー発生素子2が形成された基板1の斜視図である。図2(2)は、図2(1)のB-B'断面図である。図2(3)は、基板1に対して、溶解可能な樹脂にて型材としてのインク流路パターン3bを形成した図であり、インク流路パターン3bは好適にはポジ型レジスト、特に後工程でノズル材料を積層時に型崩れがおきないように、分子量が比較的高い光分解型のポジレジストが好適に用いられる。次いで、図2(4)は、インク流路パターン3b上に光硬化性樹脂層5を配置した図である。光硬化性樹脂層5は、光もしくは熱エネルギーの付与で重合が開始されるもので、先に説明した光重合性組成物がこの層の形成に利用される。光硬化性樹脂層5は、必要に応じて溶媒を追加した光重合性組成物を用いた適宜スピンコーティング、ダイレクトコーティング等で形成可能である。次いで、図2(5)に示すように、マスクを介してパターン露光6を行い、現像処理を施して図2(6)に示すように吐出口4を光硬化性樹脂層5の所定位置に形成する。次いで、基板1に対してインク供給口7を適宜形成し(図2(7))、インク流路パターン3bを溶出させる(図2(8))。 最後に必要に応じて、加熱処理を施し、光硬化性樹脂層を完全に硬化させ、インクジェット記録ヘッドを完成させる。
尚、本発明によるノズル形成材料を光硬化性樹脂層として用いる場合、所望の塗布膜厚を得るために、複数回塗布を行うことも可能である。また本発明によるノズル形成材料は、感光性基及び加水分解性基という反応性基を内包している。パターニング露光、現像後においてもそれらの反応性基は残存しており、更に熱又は光によってその硬化反応を促進することができる。その場合、基体に対する密着性、インク、ワイピング動作などに対する耐久性などがさらに向上し好適である。
また、本発明にかかるインクジェット記録ヘッドの他の態様として、図3、図4の模式的概念図に示す製造方法がある。図3(1)は、インク吐出エネルギー発生素子2が形成された基板1の上に、本発明の光重合性樹脂層(1)を設ける工程を示している。これらにパターン露光、現像処理を施し、インク流路パターンを形成したものが図3(2)である。その上に、光重合性樹脂層2をラミネートしたものが、図3(3)である。またラミネートの際には、必要に応じて接着層を設けたり、樹脂層に支持体フィルム(支持体から剥離させて用いるドライフィルム)を用いたりすることもできる。図3(4)は、光重合性樹脂層2に吐出口パターン露光、現像処理を施し、インク吐出口を形成したものである。最後に必要に応じて、加熱処理を施し、ノズル材料および感光性撥液材料を完全に硬化させ、インクジェット記録ヘッドを完成させる。
図4(1)は、インク吐出エネルギー発生素子2が形成された基板1の上に、本発明の光重合性樹脂層(1)を設ける工程を示している。これらにパターン露光を施し、インク流路パターンの潜像を形成したものが図4(2)である。その上に、光重合性樹脂層2をラミネートしたものが、図4(3)である。またラミネートの際には、必要に応じて接着層を設けたり、樹脂層に支持体フィルム(支持体から剥離させて用いるドライフィルム)を用いたりすることもできる。図4(4)は、光重合性樹脂層2に吐出口パターン露光を施し、インク吐出口の潜像を形成したものである。現像処理により、インク吐出口、インク流路パターンを形成したものが図4(5)である。最後に必要に応じて、加熱処理を施し、ノズル材料および感光性撥液材料を完全に硬化させ、インクジェット記録ヘッドを完成させる。
図3及び4で説明した方法における光重合性樹脂層1及び2の少なくとも1一方の形成に、先に述べた本発明にかかる光重合性組成物を用いることができる。
本発明のインクジェット記録ヘッド用組成物は、上述のような製造方法にも公的に利用することができ、上述の製造方法を用いることで、高い耐久性,耐インク性をもち、高品位な画像記録を可能とするインクジェット記録ヘッドを製造することができる。
以下、本発明の実施例を説明する。
<合成例1>
以下の手順に従って、加水分解性縮合物を合成した。塩酸を触媒として用いて、グリシドキシプロピルトリエトキシシラン55.6g(0.2mol)、フェニルトリエトキシシラン48.1g(0.2mol)、水21.6gを室温で攪拌した後24時間加熱還流を行い、加水分解性縮合物溶液を得た。29Si−NMRにより、シランの縮合度を測定したところ、約69%であった。
<実施例1>
合成例1の化合物を用いて、表1に示した組成物を調整し、コーティング溶液を得た。
Figure 0004812086
上記組成のコーティング溶液を用い、スピンコートにてシリコン基板上にコート層を形成し、90℃にて4分プリベークを行った。塗布膜厚は20μmであった。次いで、キヤノン製マスクアライナー「MPA600 super」を用いて露光を行い、90℃で4分間加熱した後、メチルイソブチルケトンで現像、イソプロピルアルコールでリンスを行い、評価パターンを形成した。その後、200℃にて1時間加熱を行い、硬化物を得た。
<実施例2−11及び比較例1−5>
合成例1と同様に、表2に示す加水分解性縮合物を合成した。実施例1と同様に表1に示した組成物を調整し、塗布、露光、加熱を行うことで硬化物を得た。
Figure 0004812086
ここで、
GPTES:グリシドキシプロピルトリエトキシシラン
PhTES:フェニルトリエトキシシラン
DMDEOS:ジメチルジエトキシシラン
HexylTES:ヘキシルトリエトキシシラン
ECETES:エポキシシクロヘキシルエチルトリエトキシシラン
DPhDES:ジフェニルジエトキシシラン
を意味する。
<比較例6>
表1に記載の組成物から加水分解性縮合物を除いたものを用いて、同様に塗布膜を作製し、硬化物を得た。
<応力測定>
実施例1−11及び比較例1−6の塗布膜の応力を、薄膜物性測定装置FLX−2320を用いて測定したところ、表3に示す結果が得られ、本発明の組成物によれば、硬化後の塗布膜の応力が軽減することが確認された。
<解像性評価>
評価パターンとして、2μmから20μmのライン&スペースのマスクを用いて、それぞれの組成物の解像性を評価した。また、Si−NMR測定により、T0体、T1体、T3体の存在比率を測定した。表3に示す結果が得られ、本発明の組成物によれば、良好な解像性が得られることが確認された。
Figure 0004812086
<実施例12>
本実施例では、実施例1の組成物を用いて、前述の図2(1)〜図2(8)に示す手順にしたがって、インクジェット記録ヘッドを作製した。まず、インク吐出エネルギー発生素子としての電気熱変換素子を形成したシリコン基板上に溶解可能な樹脂層としてポリメチルイソプロペニルケトン(東京応化工業(株)社製ODUR−1010)をスピンコートで塗布、成膜した。次いで、120℃にて6分間プリベークした後、ウシオ電機製マスクアライナーUX3000にてインク流路のパターン露光を行った。露光は3分間、現像はメチルイソブチルケトン/キシレン=2/1、リンスはキシレンを用いた。前記ポリメチルイソプロペニルケトンは、UV照射により、分解し有機溶剤に対して可溶となる、所謂ポジ型レジストである。該溶解可能な樹脂で形成されたパターンは、パターン露光の際に露光されていない部分に形成され、インクを供給するインク流路を確保するためのものである(図2(3))。なお、現像後の該溶解可能な樹脂の膜厚は20μmであった。
次いで、実施例1の組成物の光硬化性樹脂層をスピンコートにて前記溶解可能な樹脂層で形成されたインク流路パターン上に形成し、90℃にて4分プリベークを行った。塗布およびプリベークは3回行い、最終的に光硬化性樹脂層を、インク流路パターン上における膜厚55μmに形成した (図2(4))。次いで、キヤノン製マスクアライナー「MPA600 super」を用いて、インク吐出口のパターン露光を行った(図2(5))。次に、90℃で4分間加熱し、メチルイソブチルケトン(MIBK)で現像、イソプロピルアルコールでリンスを行い、吐出口パターンを形成した。このようにして、シャープなパターンエッジ形状を持つ吐出口パターンが得られた(図2(6))。次いで、基板裏面にインク供給口を形成するためのマスクを適宜配置し、シリコン基板の異方性エッチングにてインク供給口を形成した(図2(7))。シリコンの異方性エッチング中は、ノズル形成した基板表面は、ゴム系の保護膜で保護される。
異方性エッチングが終了後、ゴム系保護膜を除去し、更に、前記UX3000にて再び全面にUV照射を行い、インク流路パターンを形成している溶解可能な樹脂層を分解させた。次いで、前記基板に超音波を付与しつつ、乳酸メチル中に1時間浸漬し、インク流路パターンを溶出させた後、光硬化性樹脂層を完全に硬化させるため、200℃にて1時間過熱処理を施した(図2(8))。最後に、インク供給口にインク供給部材を接着してインクジェット記録ヘッドが完成した。
<印字品位評価>
こうして得られたインクジェット記録ヘッドに、前記キヤノン製黒色インクBCI-3Bkを充填し、印字を行ったところ、得られた画像は高品位なものであった。
<保存性評価>
さらに、このインクジェット記録ヘッドに前記インクを充填した状態で、60℃ 2か月保存した後に、再び印字を行ったところ、保存試験前と同様な印字物を得ることができた。
(1)及び(2)は本発明によるインクジェット記録ヘッドの製造方法の一例における各工程を示す図である。 (1)〜(8)は本発明によるインクジェット記録ヘッドの製造方法の一例における各工程を示す図である。 (1)〜(4)は本発明によるインクジェット記録ヘッドの製造方法の他の一例における各工程を示す図である。 (1)〜(5)は本発明によるインクジェット記録ヘッドの製造方法の他の一例における各工程を示す図である。

Claims (29)

  1. インクを吐出するためのエネルギーを発生するためのエネルギー発生素子が設けられた基板と、前記エネルギー発生素子に対応して設けられた吐出口と、前記吐出口にインクを供給するためのインク流路と、前記基板上に設けられ、前記基板とともに前記インク流路を形成しているインク流路形成部材と、を備えたインクジェット記録ヘッドにおいて、
    前記インク流路形成部材は、
    (a)カチオン重合性樹脂、
    (b)光カチオン重合開始剤、及び
    (c−1)芳香環を有する2官能の加水分解性有機シラン化合物と、芳香環を持たない3官能以上の加水分解性有機シラン化合物とを含む組成物の縮合物、
    を含有する光硬化性樹脂組成物の硬化物を含むことを特徴とするインクジェット記録ヘッド。
  2. 前記芳香環を持たない3官能以上の加水分解性有機シラン化合物が、カチオン重合可能な基を有することを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録ヘッド。
  3. インクを吐出するためのエネルギーを発生するためのエネルギー発生素子が設けられた基板と、前記エネルギー発生素子に対応して設けられた吐出口と、前記吐出口にインクを供給するためのインク流路と、前記基板上に設けられ、前記基板とともに前記インク流路を形成しているインク流路形成部材と、を備えたインクジェット記録ヘッドにおいて、
    前記流路形成部材は、
    (a)カチオン重合性樹脂、
    (b)光カチオン重合開始剤、及び
    (c−2)芳香環を有する3官能の加水分解性有機シラン化合物を含む組成物の縮合物、を含有する光硬化性樹脂組成物の硬化物を含むことを特徴とするインクジェット記録ヘッド。
  4. 前記組成物が、芳香環を有しない加水分解性有機シラン化合物をさらに含むことを特徴とする請求項3に記載のインクジェット記録ヘッド。
  5. 前記芳香環を有しない加水分解性有機シラン化合物が、2官能の加水分解性有機シラン化合物を含むことを特徴とする請求項4に記載のインクジェット記録ヘッド。
  6. 前記芳香環を有しない加水分解性有機シラン化合物が、ジメチル基を有する加水分解性有機シラン化合物を含むことを特徴とする請求項4または5に記載のインクジェット記録ヘッド。
  7. 前記芳香環を有しない加水分解性有機シラン化合物が、カチオン重合可能な基を有することを特徴とする請求項4ないし6のいずれか1項に記載のインクジェット記録ヘッド。
  8. 前記芳香環を有する3官能加水分解性有機シラン化合物および前記芳香環を有しない加水分解性有機シラン化合物のいずれか一方または両方が、炭素数が3以上のアルキル基を有する請求項3ないし7のいずれか1項に記載のインクジェット記録ヘッド。
  9. 前記芳香環を有する2官能加水分解性有機シラン化合物および前記芳香環を有しない3官能加水分解性有機シラン化合物のいずれか一方または両方が、炭素数が3以上のアルキル基を有することを特徴とする請求項1または2に記載のインクジェット記録ヘッド。
  10. 前記芳香環を有する3官能加水分解性有機シラン化合物は、フェニル基を有する請求項3ないし8のいずれか1項に記載のインクジェット記録ヘッド。
  11. 前記芳香環を有する2官能加水分解性有機シラン化合物はフェニル基を有することを特徴とする請求項1または2に記載のインクジェット記録ヘッド。
  12. 前記縮合物が、T0体およびT1体の存在比率の合計が50%以下かつT3体の存在比率が15%以上であることを特徴とする請求項3ないし8及び10のいずれか1項に記載のインクジェット記録ヘッド。
    ただし、
    T0:他のシラン分子とは結合していないSi原子
    T1:1つのシラン分子と酸素を介して結合しているSi原子
    T2:2つのシラン分子と酸素を介して結合しているSi原子
    T3:3つのシラン分子と酸素を介して結合しているSi原子
    であり、
    TX体(X=0、1、2、3)の存在比率=TX/(T0+T1+T2+T3)×100%
    である。
  13. 前記縮合物が、T0体およびT1体の存在比率の合計が50%以下かつT3体の存在比率が15%以上であることを特徴とする請求項1、2及び11のいずれか1項に記載のインクジェット記録ヘッド。
    ただし、
    T0:他のシラン分子とは結合していないSi原子
    T1:1つのシラン分子と酸素を介して結合しているSi原子
    T2:2つのシラン分子と酸素を介して結合しているSi原子
    T3:3つのシラン分子と酸素を介して結合しているSi原子
    であり、
    TX体(X=0、1、2、3)の存在比率=TX/(T0+T1+T2+T3)×100%
    である。
  14. 前記縮合物の前記カチオン重合樹脂100重量部に対する配合比が、10〜1000重量部の範囲にあることを特徴とする請求項1ないし13のいずれか1項に記載のインクジェット記録ヘッド。
  15. インクを吐出するためのエネルギーを発生するためのエネルギー発生素子が設けられた基板と、前記エネルギー発生素子に対応して設けられた吐出口と、前記吐出口にインクを供給するためのインク流路と、前記基板上に設けられ、前記基板とともに前記インク流路を形成しているインク流路形成部材と、を備えたインクジェット記録ヘッドの製造方法において、
    光硬化性樹脂組成物の層を前記基板上に形成する工程と、
    前記基板上に光硬化性樹脂組成物の層にパターン露光を行う工程と、
    前記パターン露光された光硬化性樹脂組成物の層を現像処理して、該光硬化性樹脂組成
    物の硬化物からなるインク流路形成部材を得る工程と、
    前記インク流路形成部材が形成された基板上に、前記吐出口を有する部材を積層する工程と、
    を有し、
    前記光重合性樹脂組成物が、
    (a)カチオン重合性樹脂、
    (b)光カチオン重合開始剤、及び
    (c−1)芳香環を有する2官能の加水分解性有機シラン化合物と、芳香環を持たない3官能以上の加水分解性有機シラン化合物とを含む組成物の縮合物、
    を含有することを特徴とするインクジェット記録ヘッドの製造方法。
  16. インクを吐出するためのエネルギーを発生するためのエネルギー発生素子が設けられた基板と、前記エネルギー発生素子に対応して設けられた吐出口と、前記吐出口にインクを供給するためのインク流路と、前記基板上に設けられ、前記基板とともに前記インク流路を形成しているインク流路形成部材と、を備えたインクジェット記録ヘッドの製造方法において、
    光硬化性樹脂組成物の層を前記基板に上に形成する工程と、
    前記基板上に光硬化性樹脂組成物の層にパターン露光を行う工程と、
    前記パターン露光された光硬化性樹脂組成物の層を現像処理して、該光硬化性樹脂組成物の硬化物からなるインク流路形成部材を得る工程と、
    前記インク流路形成部材が形成された基板上に、前記吐出口を有する部材を積層する工程と、
    を有し、
    前記光硬化性樹脂組成物が、
    (a)カチオン重合性樹脂、
    (b)光カチオン重合開始剤、及び
    (c−2)芳香環を有する3官能の加水分解性有機シラン化合物を含む組成物の縮合物、を含有することを特徴とするインクジェット記録ヘッドの製造方法。
  17. インクを吐出するためのエネルギーを発生するためのエネルギー発生素子が設けられた基板と、前記エネルギー発生素子に対応して設けられた吐出口と、前記吐出口にインクを供給するためのインク流路と、前記基板上に設けられ、前記基板とともに前記インク流路を形成しているインク流路形成部材と、を備えたインクジェット記録ヘッドの製造方法において、
    インクを吐出するためのエネルギーを発生するためのエネルギー発生素子が設けられた基板上に、インク流路形成用型材を形成する工程と、
    前記基板上に光硬化性樹脂組成物の層を形成して、該基板上のインク流路形成用型材を覆う工程と、
    前記インク流路形成用型材を覆う光硬化性樹脂組成物の層にパターン露光した後、現像処理して、吐出口を有するインク流路形成部材を得る工程と、
    前記インク流路形成部材に覆われた前記インク流路形成用型材を基板上から除去することで、インク流路を形成する工程と、
    を有し、
    前記光重合性樹脂組成物が、
    (a)カチオン重合性樹脂、
    (b)光カチオン重合開始剤、及び
    (c−1)芳香環を有する2官能の加水分解性有機シラン化合物と、芳香環を持たない3官能以上の加水分解性有機シラン化合物とを含む組成物の縮合物、
    を含有することを特徴とするインクジェット記録ヘッドの製造方法。
  18. インクを吐出するためのエネルギーを発生するためのエネルギー発生素子が設けられた基板と、前記エネルギー発生素子に対応して設けられた吐出口と、前記吐出口にインクを供給するためのインク流路と、前記基板上に設けられ、前記基板とともに前記インク流路を形成しているインク流路形成部材と、を備えたインクジェット記録ヘッドの製造方法において、
    インクを吐出するためのエネルギーを発生するためのエネルギー発生素子が設けられた基板上に、インク流路形成用型材を形成する工程と、
    前記基板上に光硬化性樹脂組成物の層を形成して、該基板上のインク流路形成用型材を覆う工程と、
    前記インク流路形成用型材を覆う光硬化性樹脂組成物の層にパターン露光した後、現像処理して、吐出口を有するインク流路形成部材を得る工程と、
    前記インク流路形成部材に覆われた前記インク流路形成用型材を基板上から除去することで、インク流路を形成する工程と、
    を有し、
    前記光硬化性樹脂組成物が、
    (a)カチオン重合性樹脂、
    (b)光カチオン重合開始剤、及び
    (c−2)芳香環を有する3官能の加水分解性有機シラン化合物を含む組成物の縮合物、を含有することを特徴とするインクジェット記録ヘッドの製造方法。
  19. インクを吐出するためのエネルギーを発生するためのエネルギー発生素子が設けられた基板と、前記エネルギー発生素子に対応して設けられた吐出口と、前記吐出口にインクを供給するためのインク流路と、前記基板上に設けられ、前記基板とともに前記インク流路を形成しているインク流路形成部材と、を備えたインクジェット記録ヘッドの製造方法において、
    光硬化性樹脂組成物(1)の層を前記基板上に形成する工程と、
    前記基板上に光硬化性樹脂組成物(1)の層にパターン露光を行う工程と、
    前記パターン露光された光硬化性樹脂組成物(1)の層を現像処理して、該光硬化性樹脂組成物の硬化物からなるインク流路形成部材を得る工程と、
    前記インク流路形成部材上に、光硬化性樹脂組成物(2)の層を積層する工程と、光硬化性樹脂組成物(2)の層にパターン露光、現像処理により吐出口を形成する工程、
    とを有し、前記光重合性樹脂組成物(1)及び前記光重合性樹脂組成物(2)の少なくとも一方が、
    (a)カチオン重合性樹脂、
    (b)光カチオン重合開始剤、及び
    (c−1)芳香環を有する2官能の加水分解性有機シラン化合物と、芳香環を持たない3官能以上の加水分解性有機シラン化合物とを含む組成物の縮合物、
    を含有することを特徴とするインクジェット記録ヘッドの製造方法。
  20. インクを吐出するためのエネルギーを発生するためのエネルギー発生素子が設けられた基板と、前記エネルギー発生素子に対応して設けられた吐出口と、前記吐出口にインクを供給するためのインク流路と、前記基板上に設けられ、前記基板とともに前記インク流路を形成しているインク流路形成部材と、を備えたインクジェット記録ヘッドの製造方法において、
    光硬化性樹脂組成物(1)の層を前記基板上に形成する工程と、
    前記基板上に光硬化性樹脂組成物(1)の層にパターン露光を行う工程と、
    前記パターン露光された光硬化性樹脂組成物(1)の層を現像処理して、該光硬化性樹脂組成物の硬化物からなるインク流路形成部材を得る工程と、
    前記インク流路形成部材上に、光硬化性樹脂組成物(2)の層を積層する工程と、光硬化性樹脂組成物(2)の層にパターン露光、現像処理により吐出口を形成する工程、
    とを有し、
    前記光重合性樹脂組成物(1)及び前記光重合性樹脂組成物(2)の少なくとも一方が、
    (a)カチオン重合性樹脂、
    (b)光カチオン重合開始剤、及び
    (c−2)芳香環を有する3官能の加水分解性有機シラン化合物を含む組成物の縮合物、を含有することを特徴とするインクジェット記録ヘッドの製造方法。
  21. インクを吐出するためのエネルギーを発生するためのエネルギー発生素子が設けられた基板と、前記エネルギー発生素子に対応して設けられた吐出口と、前記吐出口にインクを供給するためのインク流路と、前記基板上に設けられ、前記基板とともに前記インク流路を形成しているインク流路形成部材と、を備えたインクジェット記録ヘッドの製造方法において、
    光硬化性樹脂組成物(1)の層を前記基板上に形成する工程と、
    前記基板上に光硬化性樹脂組成物(1)の層にパターン露光を行い潜像を形成する工程と、
    前記パターン露光された光硬化性樹脂組成物(1)の層の上に光硬化性樹脂組成物(2)の層を積層する工程と、光硬化性樹脂組成物(2)の層にパターン露光を行い潜像を形成する工程と、
    現像処理により該光硬化性樹脂組成物(1)、(2)の硬化物からなるインク流路形成部材および吐出口を形成する工程、
    とを有し、
    前記光重合性組成物(1)及び前記光重合性組成物(2)の少なくとも一方が
    (a)カチオン重合性樹脂、
    (b)光カチオン重合開始剤、及び
    (c−1)芳香環を有する2官能の加水分解性有機シラン化合物と、芳香環を持たない3官能以上の加水分解性有機シラン化合物とを含む組成物の縮合物、
    を含有することを特徴とするインクジェット記録ヘッドの製造方法。
  22. インクを吐出するためのエネルギーを発生するためのエネルギー発生素子が設けられた基板と、前記エネルギー発生素子に対応して設けられた吐出口と、前記吐出口にインクを供給するためのインク流路と、前記基板上に設けられ、前記基板とともに前記インク流路を形成しているインク流路形成部材と、を備えたインクジェット記録ヘッドの製造方法において、
    光硬化性樹脂組成物(1)の層を前記基板上に形成する工程と、
    前記基板上に光硬化性樹脂組成物(1)の層にパターン露光を行い潜像を形成する工程と、
    前記パターン露光された光硬化性樹脂組成物(1)の層の上に光硬化性樹脂組成物(2)の層を積層する工程と、光硬化性樹脂組成物(2)の層にパターン露光を行い潜像を形成する工程と、現像処理により該光硬化性樹脂組成物(1)、(2)の硬化物からなるインク流路形成部材および吐出口を形成する工程、
    とを有し、
    前記光重合性組成物(1)及び前記光重合性組成物(2)の少なくとも一方が
    (a)カチオン重合性樹脂、
    (b)光カチオン重合開始剤、及び
    (c−2)芳香環を有する3官能の加水分解性有機シラン化合物を含む組成物の縮合物、を含有することを特徴とするインクジェット記録ヘッドの製造方法。
  23. 前記芳香環を有する2官能加水分解性有機シラン化合物および前記芳香環を持たない3官能以上の加水分解性有機シラン化合物のいずれか一方または両方が、炭素数が3以上のアルキル基を有する請求項15、17、19及び21のいずれか1項に記載のインクジェット記録ヘッドの製造方法。
  24. 前記芳香環を有する3官能の加水分解性有機シラン化合物が炭素数が3以上のアルキル基を有する請求項16、18、20、および22のいずれか1項に記載のインクジェット記録ヘッドの製造方法。
  25. 前記芳香環を持たない3官能以上の加水分解性有機シラン化合物が、カチオン重合可能な基を有する請求項15、17、19、21及び23のいずれか1項に記載のインクジェット記録ヘッドの製造方法。
  26. 前記芳香環を有する2官能加水分解性有機シラン化合物は、フェニル基を有する請求項15、17、19、21及び23のいずれか1項に記載のインクジェット記録ヘッドの製造方法。
  27. 前記芳香環を有する3官能の加水分解性有機シラン化合物はフェニル基を有する請求項16、18、20および22のいずれか1項に記載のインクジェット記録ヘッドの製造方法。
  28. 前記縮合物の前記カチオン重合樹脂100重量部に対する配合比が、10〜1000重量部の範囲にあることを特徴とする請求項15ないし27のいずれか1項に記載のインクジェット記録ヘッドの製造方法。
  29. (a)カチオン重合性樹脂、
    (b)光カチオン重合開始剤、及び
    (c−1)芳香環を有する2官能の加水分解性有機シラン化合物と、芳香環を持たない3官能以上の加水分解性有機シラン化合物とを含む組成物の縮合物、
    を含有する光硬化性樹脂を含むことを特徴とするインクジェット記録ヘッド用組成物。
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