JP4811814B2 - 有機薄膜トランジスタ及びその製造方法 - Google Patents

有機薄膜トランジスタ及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、有機半導体層を有する有機薄膜トランジスタ及びその製造方法に関する。
情報端末の普及に伴い、コンピュータ用のディスプレイとしてFPD(Flat Panel Detector)に対するニーズが高まっている。また、従来、紙媒体で提供されていた情報が電子化されて提供される機会が増え、薄くて軽い、手軽に持ち運びが可能なモバイル用表示媒体として、電子ペーパー、或いはデジタルペーパーへのニーズも高まりつつある。
一般に、平板型のディスプレイ装置においては液晶、有機EL、電気泳動等を利用した素子を用いて表示媒体を形成している。また、こうした表示媒体では画面輝度の均一性や画面書き換え速度等を確保するために、画像駆動素子として薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transistors)により構成されたアクティブ駆動素子を用いる技術が主流となっている。
TFT素子は、一般にガラス基板上に、主にa−Si(アモルファスシリコン)、p−Si(ポリシリコン)等の半導体薄膜や、ソース、ドレイン、ゲートの各電極等の金属薄膜を基板上に順次形成していくことで製造することができる。このTFT素子を用いるFPDの製造には、通常CVD(Chemical Vapor Deposition)、スパッタリング等の真空系の設備を要したり、高温処理工程や精度の高いフォトリソグラフ工程等が必要となる。そのため、設備コスト、ランニングコストの負荷が非常に大きい。さらに、近年の大画面化のニーズに伴い、それらのコストは非常に膨大なものとなっている。
一方で、従来のTFT素子のデメリットを補う技術として、有機半導体材料を用いた有機TFT素子の研究開発が盛んに進められている(例えば、特許文献1、非特許文献1参照)。この有機TFT素子は、低温プロセスで製造可能であるため、軽く、割れにくい樹脂基板を用いることができ、例えば樹脂フィルムを支持体として用いることにより柔軟性のあるディスプレイを実現できると言われている。また、有機半導体材料を用いると、常圧下で印刷や塗布等のウェットプロセスにより有機半導体層を形成することが可能であり、生産性に優れ、非常に低コストのディスプレイが実現できる。
特開平10−190001号公報 Christos D.Dimitrakopoulos等,Advanced Material,2002,January ,No2,p99-117
しかしながら、有機物をSi材料に代えてこうした回路に組み込んだ有機半導体は、キャリア移動度が充分でなく、また導電性に異方性を示すものが多いため、基板上に有機分子を配向させる必要があった。材料の配向連続性が確保されないと、不連続な部分においれキャリア輸送に大きな障壁が生じるため、キャリア移動度が低下することとなる。このような問題に対して、配向や材料の均一性を保つために特殊な配向技術を施したり、真空系の製造工程を繰り返す等しており、製造工程上のコスト高の問題は依然として解消されていない。
また、上記特許文献1では、有機半導体材料としてポリ(3−アルキルチオフェン)を用いており、この溶液のキャスト膜によりウェットプロセスで有機TFTを作製することによって生産性の向上を図っているが、キャリア移動度が充分でなかった。
本発明の課題は、特殊な技術を用いずに、簡単な製造方法によりキャリア移動度が高い有機薄膜トランジスタを提供することである。
請求項1に記載の発明は、
下記一般式(1)で示すポルフィリン化合物Aをソース電極及びドレイン電極表面に結合させ、当該ポルフィリン化合物Aと下記一般式(2)で示すポルフィリン誘導体Bの重合体を結合させて当該ソース電極及びドレイン電極間を連結させた有機半導体層を有することを特徴とする有機薄膜トランジスタ。
Figure 0004811814
{一般式(1)、(2)中、Rは、アルキル基、無置換のアリール基、アルキル置換アリール基及びアルキルオキシ置換アリール基からなる群から選択される基を表す。Rは、一つのポルフィリン環上に2基存在するが、これらは上記置換基の群から選択される同一の基であってもよいし、異なる基であってもよい。Mは亜鉛、ガリウム、ルテニウム、鉄及びコバルトから選択される金属原子を表し、Xはアリーレン基またはアルキレン基の少なくとも一方を含む二価の連結基を表し、Rは、水素原子またはアセチル基を表し、Imは、以下のIm、Im
Figure 0004811814
(Im及びImにおいて、Rは水素原子又はアルキル基を表す。)で表されるイミダゾリル基を表す。}
請求項2に記載の発明は、有機薄膜トランジスタの製造方法において、
下記一般式(1)で示すポルフィリン化合物Aをソース電極及びドレイン電極に結合する工程と、
前記ポルフィリン化合物Aが結合されたソース電極及びドレイン電極に、下記一般式(2)で示すポルフィリン誘導体Bを供給して当該ポルフィリン誘導体Bを重合させ、ソース電極及びドレイン電極間をその重合体により結合させる工程と、
を含むことを特徴とする。
Figure 0004811814
{一般式(1)、(2)中、Rは、アルキル基、無置換のアリール基、アルキル置換アリール基及びアルキルオキシ置換アリール基からなる群から選択される基を表す。Rは、一つのポルフィリン環上に2基存在するが、これらは上記置換基の群から選択される同一の基であってもよいし、異なる基であってもよい。Mは亜鉛、ガリウム、ルテニウム、鉄及びコバルトから選択される金属原子を表し、Xはアリーレン基またはアルキレン基の少なくとも一方を含む二価の連結基を表し、Rは、水素原子またはアセチル基を表し、Imは、以下のIm、Im
Figure 0004811814
(Im及びImにおいて、Rは水素原子又はアルキル基を表す。)で表されるイミダゾリル基を表す。}
請求項1に記載の発明によれば、塗布等の容易な方法でポルフィリン化合物Aの金属Mとポルフィリン誘導体Bのイミダゾリル基を配位結合させることができる。この配位結合によりポルフィリンのメソ二量体が規則的に重合させることができ、高い配向性を得ることができる。よって、簡単な製造方法でキャリア移動度の高い有機薄膜トランジスタを得ることができる。
請求項2に記載の発明によれば、ポルフィリン化合物Aとポルフィリン誘導体Bを配位結合させてソース電極及びドレイン電極間を連結することができ、特殊な技術を用いることなく、塗布等の容易な方法により有機半導体層を形成することができる。さらに、常温、常圧下の緩やかな条件下で簡単に配位結合を行わせることができ、有機薄膜トランジスタの生産性を向上させることができるとともに、低コスト化を実現することができる。
図1に、本実施形態における有機薄膜トランジスタの構成例を示す。
図1に示すように、有機薄膜トランジスタTは、有機半導体層1、ソース電極2、ドレイン電極3、ゲート電極4、ゲート絶縁層5、支持体6等から構成されている。
図1(a)、(b)は、トップゲート型の構成例を示し、支持体6上にソース電極2及びドレイン電極3がそれぞれパターン形成され、各電極2、3間に有機半導体層1が形成された構成を示している。この構成では、各電極2、3及び有機半導体層1の上部を覆うようにゲート絶縁層5が形成され、ゲート電極4はこのゲート絶縁層5上に設けられている。
また、図1(c)、(d)は、ボトムゲート型の構成例を示し、まずゲート電極4が支持体6上に配され、その上部にゲート絶縁層5を介して有機半導体1層により連結されたソース電極2、ドレイン電極3が配されている。
図1(a)、(c)に示す構成では、有機半導体層1が各電極2、3間にのみ形成されており、図1(b)、(d)に示す構成では、ソース電極2及びドレイン電極3上を覆うように均一に有機半導体層1が形成されている点で異なる。図1(b)、(d)に示す構成の場合、有機半導体層1をパターンニングする必要がない。
以下、各構成について説明する。
支持体6は、ガラスや、例えばプラスチックフィルム等の柔軟性のある樹脂製シート等により構成されている。プラスチックフィルムとしては、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリレート、ポリイミド、ポリカーボネート(PC)、セルローストリアセテート(TAC)、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)等からなるフィルム等が挙げられる。このようなプラスチックフィルムを用いた場合、ガラス基板を用いる場合に比べて軽量化を図ることができ、可搬性を向上させることができる。また、可撓性を備えて、衝撃に対する耐性を向上させることが可能となる。
さらに、これらのプラスチックフィルムには、トリオクチルホスフェートやジブチルフタレート等の可塑剤を添加してもよく、ベンゾトリアゾール系やベンゾフェノン系等の高知の紫外線吸収剤を添加してもよい。また、テトラエトキシシラン等の無機高分子の原料を添加し、化学触媒や熱、光等のエネルギーを付与することにより高分子量化する、いわゆる有機−無機ポリマーハイブリッド法を適用して作製した樹脂を原料として用いることもできる。
ゲート絶縁層5としては種々の絶縁膜を用いることができるが、特に比誘電率の高い無機酸化物皮膜が好ましい。無機酸化物としては、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化タンタル、酸化チタン、酸化スズ、酸化バナジウム、チタン酸バリウムストロンチウム、ジルコニウム酸チタン酸バリウム、ジルコニウム酸チタン酸鉛、チタン酸鉛ランタン、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム、フッ化バリウムマグネシウム、チタン酸ビスマス、チタン酸ストロンチウムビスマス、タンタル酸ストロンチウムビスマス、タンタル酸ニオブ酸ビスマス、トリオキサイドイットリウムなどが挙げられる。それらのうち好ましいのは酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化タンタル、酸化チタンである。窒化ケイ素、窒化アルミニウム等の無機窒化物も好適に用いることができる。
上記皮膜の形成方法としては、真空蒸着法、分子線エピタキシャル成長法、イオンクラスタービーム法、低エネルギーイオンビーム法、イオンプレーティング法、CVD法、スパッタリング法、大気圧プラズマ法などのドライプロセスや、スプレーコート法、スピンコート法、ブレードコート法、デイップコート法、キャスト法、ロールコート法、バーコート法、ダイコート法などの塗布による方法、印刷やインクジェットなどのパターニングによる方法などのウェットプロセスが挙げられ、材料に応じて使用できる。
ウェットプロセスは、無機酸化物の微粒子を、任意の有機溶剤あるいは水に必要に応じて界面活性剤などの分散補助剤を用いて分散した液を塗布、乾燥する方法や、酸化物前駆体、例えば、アルコキシド体の溶液を塗布して乾燥させる、いわゆるゾルゲル法が用いられる。
また、大気プラズマ法も適用可能である。大気プラズマ法は、大気圧下でのプラズマ製膜処理により絶縁膜を形成する方法である。これは、大気圧または大気圧近傍の圧力下で放電させ、反応性ガスをプラズマ励起させ、基材上に薄膜を形成する処理で、その方法については特開平11−61406号公報、特開平11−133205号公報、特開2000−121804号公報、同2000−147209号公報、同2000−185362号公報等に記載されている。これによって高機能性の薄膜を、生産性高く形成することができる。
また有機化合物皮膜としては、ポリイミド、ポリアミド、ポリエステル、ポリアクリレート、光ラジカル重合系、光カチオン重合系の光硬化性樹脂、あるいはアクリロニトリル成分を含有する共重合体、ポリビニルフェノール、ポリビニルアルコール、ノボラック樹脂、およびシアノエチルプルラン等を用いることもできる。有機化合物皮膜の形成法としては、前記ウェットプロセスが好ましい。無機酸化物皮膜と有機酸化物皮膜は積層して併用することができる。またこれら絶縁膜の膜厚としては、一般に50nm〜3μm、好ましくは100nm〜1μmである。
ゲート絶縁層と有機半導体層の間に、任意の配向処理を施してもよい。シランカップリング剤、たとえばオクタデシルトリクロロシラン、トリクロロメチルシラザンや、アルカン燐酸、アルカンスルホン酸、アルカンカルボン酸などの自己組織化配向膜が好適に用いられる。
ゲート絶縁層としては、水に対する接触角(ぬれ角)が60度好ましくは80度以上であるような、疎水性の膜が好ましい。ボトムゲート型の有機薄膜トランジスタの場合、通常の塗布プロセスによる有機半導体層の形成においては、はじき等により、乾燥後に欠陥を生ずることがあり、注意を要するが、本発明に係わる有機半導体材料の溶液からの乾燥により半導体薄膜(層)の形成するにあたって、薄膜とはいえ、基板上への溶液からの再結晶現象による沈積であるため、塗布・乾燥による製造プロセスにおけるような、乾燥後期における基板のはじき等が回避され、均一な有機半導体薄膜が形成される。
ゲート電極4、ソース電極3、ドレイン電極2の電極材料としては、導電性材料であれば特に限定されず、白金、金、銀、ニッケル、クロム、銅、鉄、錫、アンチモン鉛、タンタル、インジウム、パラジウム、テルル、レニウム、イリジウム、アルミニウム、ルテニウム、ゲルマニウム、モリブデン、タングステン、酸化スズ・アンチモン、酸化インジウム・スズ(ITO)、フッ素ドープ酸化亜鉛、亜鉛、炭素、グラファイト、グラッシーカーボン、銀ペーストおよびカーボンペースト、リチウム、ベリリウム、ナトリウム、マグネシウム、カリウム、カルシウム、スカンジウム、チタン、マンガン、ジルコニウム、ガリウム、ニオブ、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム混合物、リチウム/アルミニウム混合物等が適用可能である。特に、白金、金、銀、銅、アルミニウム、インジウム、ITOおよび炭素等が好ましい。
各電極2〜4の形成方法としては、上記を原料として真空蒸着やスパッタリング等の方法を用いて形成した導電性薄膜を、公知のフォトリソグラフ法やリフトオフ法を用いて電極形成する方法、アルミニウムや銅などの金属箔上に熱転写、インクジェット等によるレジストを用いてエッチングする方法等がある。
その他、導電性微粒子分散液、導電性ポリマーの溶液又は分散液を、直接インクジェットによりパターニングする方法、塗工膜からリソグラフやレーザーアブレーションなどにより形成する方法も適用可能である。さらに、導電性ポリマーや導電性微粒子を含むインク、導電性ペーストなどを凸版、凹版、平版、スクリーン印刷などの印刷法でパターニングする方法も用いることができる。
或いは、ドーピング等で導電率を向上させた公知の導電性ポリマー、例えば導電性ポリアニリン、導電性ポリピロール、導電性ポリチオフェン、ポリエチレンジオキシチオフェンとポリスチレンスルホン酸の錯体なども好適に用いられる。中でも半導体層との接触面において電気抵抗が少ないものが好ましい。
例えば、金属等からなる導電性微粒子を、好ましくは有機材料からなる分散安定剤を用いて、水や有機溶剤又はその混合物である分散媒中に分散させ、ペースト或いはインク等の導電性微粒子分散液とし、これを塗設、パターニングすることで、電極を形成することができる。
導電性微粒子の金属材料(金属微粒子)としては、白金、金、銀、コバルト、ニッケル、クロム、銅、鉄、錫、アンチモン、鉛、タンタル、インジウム、パラジウム、テルル、レニウム、イリジウム、アルミニウム、ルテニウム、ゲルマニウム、モリブデン、タングステン、亜鉛等を用いることができるが、特に仕事関数が4.5eV以上の白金、金、銀、銅、コバルト、クロム、イリジウム、ニッケル、パラジウム、モリブデン、タングステンが好ましい。
このような金属微粒子分散物の製造方法として、ガス中蒸発法、スパッタリング法、金属蒸気合成法などの物理的生成法や、コロイド法、共沈法などの、液相で金属イオンを還元して金属微粒子を生成する化学的生成法が挙げられるが、好ましくは、特開平11−76800号、同11−80647号、同11−319538号、特開2000−239853等に示されたコロイド法、特開2001−254185、同2001−53028、同2001−35255、同2000−124157、同2000−123634などに記載されたガス中蒸発法により製造された金属微粒子分散物である。
分散される金属微粒子の平均粒径としては、20nm以下であることが本発明の効果の点で好ましい。
また、金属微粒子分散物に導電性ポリマーを含有させることが好ましく、これをパターニングして押圧、加熱等によりソース電極、ドレイン電極を形成すれば、導電性ポリマーにより有機半導体層とのオーミック接触を可能とできる。即ち金属微粒子の表面に、導電性ポリマーを介在させて、半導体への接触抵抗を低減させ、かつ、金属微粒子を加熱融着させることで、さらに本発明の効果を高めることができる。
導電性ポリマーとしては、ドーピング等で導電率を向上させた公知の導電性ポリマーを用いることが好ましく、例えば導電性ポリアニリン、導電性ポリピロール、導電性ポリチオフェン、ポリエチレンジオキシチオフェンとポリスチレンスルホン酸の錯体などが好適である。
金属微粒子の含有量は導電性ポリマーに対する質量比で0.00001〜0.1が好ましい。この量を超えると金属微粒子の融着が阻害されることがある。
これらの金属微粒子分散物で、電極を形成した後、加熱により前記の金属微粒子を熱融着させてソース電極、ドレイン電極を形成する。また電極形成時に、概ね、1〜50000Pa、さらに1000〜10000Pa程度の押圧をかけ、融着を促進することも好ましい。
上記金属微粒子分散物を用いて電極様にパターニングする方法としては、例えば金属微粒子分散物をインクとして用いて印刷法によりパターニング方法がある。また、インクジェット法によりパターニングする方法がある。金属微粒子分散物をインクジェットヘッドより吐出し、金属微粒子の分散物をパターニングする方法であり、インクジェットヘッドからの吐出方式としては、ピエゾ方式、バブルジェット(登録商標)方式等のオンデマンド型や静電吸引方式などの連続噴射型のインクジェット法等公知の方法によりパターニングすることができる。
加熱また加圧する方法としては、加熱ラミネータなどに用いられる方法をはじめ、公知の方法を用いることができる。
有機半導体層1は、一般式(1)で示されるポルフィリン化合物A及び一般式(2)で示されるポルフィリン誘導体Bの有機半導体材料を含有し、ソース電極2及びドレイン電極3に結合されたポルフィリン化合物Aに、ポルフィリン誘導体Bが重合して結合することにより、各電極2、3間を連結している。ポルフィリン化合物Aはポルフィリンが化学修飾されて得られるものであり、ポルフィリン誘導体Bはポルフィリンの二量体である。
Figure 0004811814
なお、一般式(1)、(2)中、Rは、アルキル基、無置換のアリール基、アルキル置換アリール基及びアルキルオキシ置換アリール基からなる群から選択される基を表す。Rは、一つのポルフィリン環上に2基存在するが、これらは上記置換基の群から選択される同一の基であってもよいし、異なる基であってもよい。Rにより表されるアルキル基には、直鎖、分岐鎖、環状のアルキル基が含まれる。アルキル基の炭素数は、好ましくは3〜20、より好ましくは7〜18である。アルキル基の具体例としては、n−ヘプチル、n−ノニル、n−ウンデシル、n―トリデシルが挙げられる。Rにより表されるアルキル基は、置換基を有していてもよい。
により表されるアリール基としては、好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは6〜12のものが含まれ、具体的にはフェニル、ナフチル、ビフェニルが挙げられる。
により表されるアルキル置換アリール基において、アリール部分としては好ましくは炭素数1〜18、より好ましくは1〜12である。置換するアルキル基の数及びそれらの置換位置は、アリール基に置換し得る位置及び数であり、ポルフィリン化合物Aにポルフィリン誘導体Bを重合する際に障害がない限り制限は無いが、製造の容易性、溶解度等を考慮すると、1〜3個のアルキル基がo−、m−、p−位に置換することができる。これらのうち、o−位にアルキル基が置換したものは、所望しない副反応を抑える点で好ましい。
により表されるアルキルオキシ置換アリール基の具体例としては、4−メチルフェニル、4−オクチルフェニル、2,4,6−トリメチルフェニルが挙げられる。
により表されるアルキル置換アリール基において、アリール部分としては、上記アルキル置換アリール基と同様である。また、アルキルオキシ基には、直鎖、分岐鎖、環状のアルキルオキシ基が含まれる。このアルキルオキシ基の炭素数は、好ましくは1〜20であり、より好ましくは1〜18である。置換する数及びその置換位置については、上記アルキル置換アリール基と同様である。具体例としては、4−メトキシフェニル、4−オクチルオキシフェニル、4−ドデシルオキシフェニルが挙げられる。
一般式(1)において、Mは、Zn(II)、Ga(III)、Ru(II)、Fe(II)及びCo(II)からなる群から選択される金属を表す。製造容易性の観点から、MはZn(II)が好ましい。なお、ポルフィリンの中心金属となりうる金属であればこれら以外の金属であってもよい。
また、一般式(1)において、Xはアリーレン基及びアルキレン基の少なくとも一方を含む二価の連結基を表す。具体的には、−(アルキレン)−、−(アリーレン)−、−(アルキレン)−(アリーレン)−、−(アリーレン)−(アルキレン)−からなる群から選択される基をいう。アルキレン基には、(CH)n−(n:1〜17の整数、好ましくは1〜13の整数を示す)が含まれる。また、アリーレン基は、好ましくはRで示されるアリール基から水素原子を1つ取り去った二価の基を表し、より好ましくはフェニレン基を表す。
一般式(1)において、Imは、以下のIm、Imによる表されるイミダゾリル基を表す。Im及びImにおいて、Rは水素原子又はアルキル基を表す。アルキル基の炭素数は、重合に支障が無い限り特に制限しないが、好ましくは1〜4である。製造の容易性の観点からすると、メチル基が好ましい。
Figure 0004811814
次に、一般式(1)で示されるポルフィリン化合物Aの生成方法について説明する。
ポルフィリン化合物Aは、下記の反応式により示される工程1、2を経て生成する。
Figure 0004811814
〈工程1〉化合物dの生成
化合物a、化合物b及び化合物cを、クロロホルム又は塩化メチレンのような溶媒に溶解し、窒素雰囲気下で置換した後、これにトリフルオロ酢酸(TFA)を添加し、反応させて化合物dを生成する。化合物dは、ポルフィリンから金属Mを除去したものと同一構成である。なお、化合物a〜dの一般式中、R、R、Im(Rを含む)及びXは、一般式(1)で規定した通りである。
化合物a、b、cの添加量は、通常、1:1:2に設定することができる。また、溶媒は化合物bの重量に対し、500〜1000倍量を用いることができる。反応温度は、通常、20〜30℃に設定することができ、反応時間は1〜3時間に設定することができる。
反応後、必要に応じて精製等の工程を経て、得られた精製物質dを次の工程2に供する。精製工程では、例えば上記反応に用いた溶媒を除去した後、クロロホルム、ジクロロメタンのような溶媒に溶解し、溶液に重炭酸ナトリウム水溶液を加え、分液後、有機層を関そう濃縮した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー等を行う。
〈工程2〉化合物e(ポルフィリン化合物A)の生成
上記工程1で得られた化合物dを金属錯体eに変換してポルフィリン化合物Aを得る。具体的には、化合物dをクロロホルム、ジクロロメタンのような溶媒に溶解し、金属の塩(例えば亜鉛の場合、酢酸亜鉛(II)、塩化亜鉛(II)等)を添加して反応させることにより金属錯体eを得ることができる。
添加する金属の塩の量は、通常、化合物重量の5〜20倍量に設定することができる。反応温度は、通常、室温(約25〜30℃)に設定することができ、反応時間は、1〜3時間に設定することができる。
さらに、反応後、蒸留水により、反応溶液を洗浄し、有機層を減圧圧縮することにより一般式(2)のポルフィリン誘導体A(この場合、R=アセチル基)を得ることが可能である。
一般式(2)において、Rが水素原子であるものは、上記の生成方法により得られた化合物eを加水分解することにより合成することができる。加水分解の条件の一例としては、クロロホルム、ジクロロメタンのような溶媒に溶解し、1N塩酸を加えることが挙げられる。反応温度は通常、室温(25〜30℃)で、反応時間は10〜20分に設定することができる。添加する酸の量は、化合物重量に対し、20〜50倍量用いることができる。
また、一般式(2)により示されるポルフィリン誘導体Bは、以下の工程1〜3を経ても生成することができる。なお、式中、M、R、R、Imは、一般式(1)と同義である。
Figure 0004811814
〈工程1〉
ポルフィリン単量体fに、金属Mをポルフィリンの中心金属として挿入し、ポルフィリン単量体fが相補的に配位結合した相補配位型二量体gを得る。この工程1の出発原料となるポルフィリン単量体fは、1−メチルイミダゾール−2−カルボキシアルデヒド、ホルムアルデヒド及びmeso−(n−ヘプチル)ジピロロメタンを非極性溶媒中に溶解して攪拌後、トリフルオロ酢酸を添加し、ジクロロジシアノ−p−ベンゾキノンを添加することにより得ることができる。
上記反応に用いる1−メチルイミダゾール−2−カルボキシアルデヒド、ホルムアルデヒドは市販品を用いることができる。meso−(n−ヘプチル)ジピロロメタンは、文献等に記載の公知の方法により、オクタナール及びピロールから製造することができる。1−メチルイミダゾール−2−カルボキシアルデヒド:ホルムアルデヒド:meso−(n−ヘプチル)ジピロロメタンの使用モル比は、通常1:4:2〜1:3:2に設定することができる。
非極性溶媒としては、クロロホルム等を用いることができ、通常、化合物重量に対し50〜1000倍量を用いる。また、反応溶液に添加するトリフルオロ酢酸の量は、1−メチルイミダゾール−2−カルボキシアルデヒドに対して通常、1〜3倍モル使用することができる。これらの化合物の反応は、窒素のような不活性気体雰囲気下、室温付近の温度下において、20〜40分間攪拌することにより行う。攪拌後の反応溶液に添加するジクロロジシアノ−p−ベンゾキノンの量は、1−メチルイミダゾール−2−カルボキシアルデヒドに対して、通常2〜4倍モル使用することができる。この反応は、30分〜1時間攪拌することにより行う。
次いで、得られた反応溶液を重炭酸ナトリウム等の水性溶媒で洗浄した後、有機層を蒸発させることにより、ポルフィリン単量体fの粗生成物が得られる。この粗生成物は、必要に応じてカラムクロマトグラフィー等を用いて精製し、工程1の出発物質として用いることができる。
得られたポルフィリン単量体fを非極性溶媒に溶解し、金属Mの塩を有機溶媒に溶解した溶液を添加することにより、相補配位型二量体gが得られる。
ポルフィリン単量体fを溶解する非極性溶媒としては、クロロホルム、ジクロロメタン等を用いることができ、その量は化合物重量に対し100〜200倍量に設定することができる。また、金属Mの塩を溶解する有機溶媒としては、メタノール、エタノールを用いることができる。添加する金属Mの塩の量は、金属に換算するとポルフィリン単量体に対して5〜20倍モル用いることができる。
そして、反応混合物を通常室温付近で1〜3時間攪拌し、得られた反応溶液を水等の水性溶媒で洗浄した後、有機層を蒸発させることにより、相補配位型二量体gの粗生成物が得られる。
〈工程2〉
工程1で得られた二量体gからメソ型二量体hを得る。上記例では、工程1で得られた相補配位型二量体gとヨウ素を非極性溶媒に溶解し、有機溶媒に溶解したヘキサフルオロリン酸銀(I)を添加、攪拌した後、ヨウ素及びヘキサフルオロリン酸銀(I)をさらに添加し、攪拌することにより中心金属Mを一旦除去する。その後、反応溶液を水性溶媒で洗浄し、溶媒を除去した残渣を酸性有機溶媒に溶解し、攪拌する。そこへ、水性溶媒を添加後、有機溶媒で抽出することにより、メソ型二量体hの組生成物が得られる。
相補配位型二量体gを溶解する非極性溶媒としては、クロロホルム等を化合物重量に対し、500〜1000倍量用いることができる。添加するヨウ素及びヘキサフルオロリン酸銀(I)は、相補配位型二量体gに対して、それぞれ0.4〜0.6倍モル及び0.4〜0.6倍モル用いることができる。ヘキサフルオロリン酸銀(I)を溶解する有機溶媒としては、アセトアニリル、アセトン等をヘキサフルオロリン酸銀(I)の重量に対し、100〜200倍量用いることができる。また、攪拌は、通常室温で1〜3時間行う。
反応溶液を洗浄する水性溶媒としては、重炭酸ナトリウム水溶液及び水等を用いることができる。また、洗浄後の残渣を溶解させる酸性有機溶媒としては、反応混合物のpH値を1以下にすることができるものであり、例えばメタノール/濃塩酸(10:1)混合物等を、化合物重量に対し200〜500倍量用いることができる。反応溶液は、室温で20〜40分攪拌する。得られた反応溶液に添加する水性溶媒としては、水等を用いることができ、抽出有機溶媒としてはクロロホルム等を用いることができる。
このようにして得られたメソ型二量体hの粗生成物は、必要に応じて重炭酸ナトリウム水溶液及び水のような水性溶媒で洗浄後、クロマトグラフィ等により精製し、次の工程3に供することができる。
〈工程3〉
工程2で得られたメソ型二量体hに中心金属Mを挿入し、この中心金属MとIm基を配位させることにより二量体のポルフィリン誘導体Bを得る。具体的には、メソ型二量体hを非極性溶媒に溶解し、有機溶媒に溶解した金属Mの塩を添加、攪拌することにより、二量体のポルフィリン誘導体Bを生成する。
非極性溶媒としては、クロロホルム、ジクロロメタン等を、化合物重量に対し100〜200倍量用いることができる。この反応混合物に添加する金属Mの塩を溶解させる有機溶媒としては、メタノール、エタノールを用いることができる。添加する金属Mの塩の量は、金属に換算するとメソ型二量体gに対して5〜20倍モル用いることができる。
このように得られたポルフィリン誘導体Bは、イミダゾリル基1つが置換したポルフィリン単量体2つのが、各々の単量体の4つのピロール核により形成されるp−軌道平面が互いに直交するように直接結合した構成となっている。このポルフィリン誘導体Bが重合すると、ポルフィリン誘導体Bのメソ型二量体の立体構造はそのまま維持され、これらのメソ型二量体が上下互い違いになるように鎖状に配置されることとなる。
次に、上記ポルフィリン化合物A、ポルフィリン誘導体Bを用いて有機半導体層1を形成する工程1、2について説明する。なお、以下の説明では、ソース電極2、ドレイン電極3上の全面に有機半導体層1を形成する例を説明する。
〈工程1〉
下記反応式に示すように、ソース電極及びドレイン電極表面にポルフィリン化合物Aを結合させる。まず、クロロホルム等の非配位性溶媒にポルフィリン化合物Aを溶解した溶液を作製し、当該溶液をソース電極及びドレイン電極間に塗布する。これにより、R基が解裂し電極の金属原子とポルフィリン化合物AがS原子を介して強い結合を形成する。例えば、電極材料として金(Au)を適用した場合、強いAu−S結合が形成され、電極表面にポルフィリン化合物Aが結合することとなる。この反応を、それぞれソース電極、ドレイン電極について行う。
Figure 0004811814
なお、塗布方法としては、スプレーコート法、スピンコート法、ブレードコート法、ディップコート法、キャスト法、ロールコート法、バーコード法、ダイコート法等、種々の方法を適用可能である。また、ポルフィリン化合物Aを非配位性溶媒に溶解した溶液をインクジェット方式により飛翔させて形成することもできる。この方式によれば、ソース電極2及びドレイン電極3間が狭い場合でも効率良く形成することができる。
〈工程2〉
次に、下記反応式に示すように、ポルフィリン化合物Aが結合されたソース電極及びドレイン電極間にポルフィリン誘導体Bを添加し、ポルフィリン誘導体Bを重合させることによって、ソース電極及びドレイン電極間を結合する。具体的には、ポルフィリン誘導体Bをメタノールのような配位性溶媒の存在下に混合した後、この配位性溶媒の少なくとも一部をクロロホルムのような非配位性溶媒で置換した溶液を、上記ポルフィリン化合物Aが塗布された上からさらに塗布する。
Figure 0004811814
上記反応において、配位性溶媒の使用量及び配位性溶媒を置換すべき非配位性溶媒の割合は、ポルフィリン誘導体Bの重合度nの値等に応じて適宜設定することができる。反応速度は20〜30℃に、反応時間は5〜10分に設定することができる。また、塗布方法については、上記工程1の場合と同様である。
ポルフィリン化合物Aの溶液塗布により、下記式に示すように、各ポルフィリン誘導体Bの中心金属Mと、イミダゾリル基のN原子とが配位結合し、n個のポルフィリン誘導体Bの重合体を得ることができる。また、各電極2、3に結合されたポルフィリン化合物Aの中心金属Mと、ポルフィリン誘導体Bの重合体の両端におけるポルフィリン環のイミダゾリル基のN原子が配位結合し、各電極2、3間を連結することができる。
Figure 0004811814
以上のように、本実施形態によれば、ポルフィリン化合物A、ポルフィリン誘導体Bを配位結合させることによりソース電極及びドレイン電極間を連結するので、特殊な技術を用いることなく、塗布等の容易な方法により有機半導体層を形成することができる。また、常温、常圧下で、クロロホルム等の溶媒を使用するような緩やかな条件下で簡単に配位結合を行わせることができるので、有機薄膜トランジスタの生産性が向上するとともに、低コスト化を実現することができる。
また、スルフィド結合によりポルフィリン化合物Aをソース電極及びドレイン電極表面に結合させた後にポルフィリン誘導体Bの重合を行うので、スルフィド結合により電極と有機半導体層の結合強度を向上させることができるとともに、ポルフィリン誘導体Bを重合させやすい状況をつくることができる。また、ポルフィリン誘導体Bの重合体は、前述したように、メソ二量体の立体構造を維持したまま上下互い違いに鎖状に結合するため、結晶の配向性が向上する。
以下、実施例を示すが、本発明はそれらの実施例に限られるものではない。
〈有機薄膜トランジスタT1の作製〉
(1)トランジスタ用基板の作製
比抵抗0.02Ω・cmのSiウェハーに厚さ200nmの熱酸化膜を形成した後、スパッタ法によりTi、Auを厚さがそれぞれ1nm、30nmとなるように順次成膜した。次に、通常のフォトソリグラフ、エッチングの工程を経て前記のAu/Ti膜からなるソース電極及びドレイン電極を形成した。さらに、酸素プラズマ法により、各電極の表面及び電極以外の熱酸化膜表面を洗浄してトランジスタ用基板を作製した。このとき、チャネル長Lに相当するソース電極とドレイン電極のギャップは、5μmであり、チャネル幅Wに相当する電極の長さは100μmであった。
(2)有機薄膜材料の作製
(2−1)ポルフィリン化合物A
ポルフィリン化合物Aとして、下記式(3)に示す5−(1−メチル−2−イミダゾリル)−15−(4−(S−アセチルチオ)フェニル))−10,20−ビス(n−ヘプチル)ポルフィリン亜鉛錯体を作製した。これは、一般式(1)において、M=Zn、R=n−C15、Im=Im(n=CH)、X=フェニル基としたものである。
Figure 0004811814
まず、1−メチルイミダゾール−2−カルボアルデヒドと、4−(S−アセチルチオ)ベンズアルデヒド、ジピロロメタンをクロロホルムに溶かし、窒素置換後、TFAを加えた。室温で二時間攪拌した後、ジクロロジシアノベンゾキノンを加え、1時間攪拌を続けた。重曹水で洗浄し、クロロホルムを留去後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製した(展開溶媒:クロロホルム:アセトン=10:1)。この精製物をクロロホルムに溶解し、飽和酢酸亜鉛メタノール液を加えて室温で2時間攪拌し、その反応溶液を水で洗浄して溶媒を留去して上記式(3)により示す化合物を得た。
(2−2)ポルフィリン誘導体B
ポルフィリン誘導体Bとして、下記式(4)に示すメソ型二量体を作製した。これは、一般式(2)において、M=Zn、R=n−C15、Im=Im(n=CH)、X=フェニル基としたものである。
Figure 0004811814
ポルフィリン単量体をクロロホルムに溶解し、そこへメタノール溶液に溶解した酢酸亜鉛を加えて室温で2時間攪拌した。得られた反応溶液を水で洗浄した後、有機層を蒸発させた。その粗生成物とヨウ素をクロロホルムに溶解し、アセトニトリルに溶解したヘキサフルオロリン酸銀を添加して室温で2時間攪拌し、得られた反応溶液を重炭酸ナトリウム水溶液で洗浄して溶媒を除去する。そして、残渣をメタノール/濃塩酸(10:1)混合物により溶解し、室温で30分攪拌後、水を添加してクロロホルムにより抽出する。この抽出物をクロロホルムに溶解して、そこへメタノール溶液に溶解した酢酸亜鉛を加えて室温で2時間攪拌して、式(4)に示すメソ型二量体のポルフィリン誘導体Bを得た。
(3)有機半導体層の形成
次に、前記作製したトランジスタ用基板を、上記式(3)に示すポルフィリン化合物Aの0.1質量%メタノール溶液に10分浸した後、メタノール及びクロロホルムでよく洗浄した。さらに上記式(4)に示すポルフィリン誘導体Bの0.2質量%クロロホルム溶液に浸漬し、引き上げて乾燥させ、ソース電極及びドレイン電極に接合する厚さ約30nmの有機半導体層を形成し、図1(d)に示す構成の薄膜トランジスタT1を作製した。
〈有機薄膜トランジスタT2の作製〉
チャネル長Lに相当するソース電極とドレイン電極のギャップを1.0μmとした以外は、上記有機薄膜トランジスタT1と同様に作製した。
〈有機薄膜トランジスタT3の作製〉
チャネル長Lに相当するソース電極とドレイン電極のギャップを0.2μmとした以外は、上記有機薄膜トランジスタT1と同様に作製した。
〈有機薄膜トランジスタT4の作製〉
EDTAを用いたキレート法により、よく精製したポリ(3−ヘキシルチオフェン)のregioregular体(アルドリッチ社製)の0.1質量%クロロホルム溶液を調整し、アプリケータを用いて前記トランジスタ用基板の上に塗布した。これにより、ソース電極及びドレイン電極に接合する厚さ約30nmの半導体層を形成し、図1(d)に示す構成の有機薄膜トランジスタT4を作製した。
作製した有機薄膜トランジスタT1〜T4について飽和領域におけるキャリア移動度を測定した。その結果を下記の表に示す。
Figure 0004811814
本発明を適用した有機薄膜トランジスタT1〜T3は、pチャネルのエンハンスメント型FET(Field-Effect Transistor)の良好な動作特性を示し、従来の有機薄膜トランジスタT4に比較してキャリア移動度の向上も見られた。また、チャネル長が短いほど、キャリア移動度が良好だった。
本発明に係る有機薄膜トランジスタの構成を示す概略図である。
符号の説明
T 有機薄膜トランジスタ
1 有機半導体層
2 ソース電極
3 ドレイン電極
4 ゲート電極
5 ゲート絶縁層
6 支持体

Claims (2)

  1. 下記一般式(1)で示すポルフィリン化合物Aをソース電極及びドレイン電極表面に結合させ、当該ポルフィリン化合物Aと下記一般式(2)で示すポルフィリン誘導体Bの重合体を結合させて当該ソース電極及びドレイン電極間を連結させた有機半導体層を有することを特徴とする有機薄膜トランジスタ。
    Figure 0004811814
    {一般式(1)、(2)中、Rは、アルキル基、無置換のアリール基、アルキル置換アリール基及びアルキルオキシ置換アリール基からなる群から選択される基を表す。Rは、一つのポルフィリン環上に2基存在するが、これらは上記置換基の群から選択される同一の基であってもよいし、異なる基であってもよい。Mは亜鉛、ガリウム、ルテニウム、鉄及びコバルトから選択される金属原子を表し、Xはアリーレン基またはアルキレン基の少なくとも一方を含む二価の連結基を表し、Rは、水素原子またはアセチル基を表し、Imは、以下のIm、Im
    Figure 0004811814
    (Im及びImにおいて、Rは水素原子又はアルキル基を表す。)で表されるイミダゾリル基を表す。}
  2. 下記一般式(1)で示すポルフィリン化合物Aをソース電極及びドレイン電極に結合する工程と、
    前記ポルフィリン化合物Aが結合されたソース電極及びドレイン電極に、下記一般式(2)で示すポルフィリン誘導体Bを供給して当該ポルフィリン誘導体Bを重合させ、ソース電極及びドレイン電極間をその重合体により結合させる工程と、
    を含むことを特徴とする有機薄膜トランジスタの製造方法。
    Figure 0004811814
    {一般式(1)、(2)中、Rは、アルキル基、無置換のアリール基、アルキル置換アリール基及びアルキルオキシ置換アリール基からなる群から選択される基を表す。Rは、一つのポルフィリン環上に2基存在するが、これらは上記置換基の群から選択される同一の基であってもよいし、異なる基であってもよい。Mは亜鉛、ガリウム、ルテニウム、鉄及びコバルトから選択される金属原子を表し、Xはアリーレン基またはアルキレン基の少なくとも一方を含む二価の連結基を表し、Rは、水素原子またはアセチル基を表し、Imは、以下のIm、Im
    Figure 0004811814
    (Im及びImにおいて、Rは水素原子又はアルキル基を表す。)で表されるイミダゾリル基を表す。}
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