JP4809757B2 - 耐炎化熱処理装置および耐炎化繊維束の製造方法 - Google Patents

耐炎化熱処理装置および耐炎化繊維束の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP4809757B2
JP4809757B2 JP2006330636A JP2006330636A JP4809757B2 JP 4809757 B2 JP4809757 B2 JP 4809757B2 JP 2006330636 A JP2006330636 A JP 2006330636A JP 2006330636 A JP2006330636 A JP 2006330636A JP 4809757 B2 JP4809757 B2 JP 4809757B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
fiber bundle
gas
flame
resistant
heat treatment
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2006330636A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2008144293A (ja
Inventor
斉 友部
靖人 所
伸之 山本
篤志 川村
良久 原田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Chemical Corp
Mitsubishi Rayon Co Ltd
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
Mitsubishi Rayon Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Chemical Corp, Mitsubishi Rayon Co Ltd filed Critical Mitsubishi Chemical Corp
Priority to JP2006330636A priority Critical patent/JP4809757B2/ja
Publication of JP2008144293A publication Critical patent/JP2008144293A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4809757B2 publication Critical patent/JP4809757B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Inorganic Fibers (AREA)

Description

本発明は、ポリアクリロニトリル系の炭素繊維束の製造に用いる耐炎化繊維束を製造する耐炎化熱処理装置に関し、より詳しくはシリコーン系油剤を付着したポリアクリロニトリル系繊維束から耐炎化繊維束を製造する耐炎化熱処理装置に関する。
炭素繊維は、優れた物性、機能性を有するため、強化材として、樹脂、セラミックスおよび金属と複合化され利用されている。特にポリアクリロニトリル系繊維を原料とする炭素繊維は、強度や弾性率といった機械的特性が優れ、各種用途の構造材料用の強化材として広く用いられている。
一般にポリアクリロニトリル系繊維を原料とする炭素繊維は、ポリアクリロニトリル系重合体の単繊維を数千から数万本束ねた繊維束を、耐炎化工程にて空気などの酸化性気体中、200〜300℃の温度で焼成して耐炎化繊維束を得、次いで、炭素化工程(焼成工程)にて、不活性雰囲気中、300〜3000℃の温度で耐炎化繊維束を炭素化して、工業的に製造されている。
また、中間品である耐炎化繊維は、燃え難い性能より、難燃性織布向けにも広く用いられる。さらに、耐炎化繊維をシート状あるいはフェルト等に加工して、これらを不活性雰囲気中、300〜3000℃の温度で炭素化して、シート状あるいはフェルト状物を製造し、電池用の電極板材料としても使われている。
単繊維を数千から数万本束ねたポリアクリロニトリル系繊維束の耐炎化処理法は、主に200〜300℃に加熱された酸化性気体が循環する耐炎化炉内に多数のローラーにより多数回往復させながら処理するものである。さらに、ポリアクリロニトリル系繊維束を酸化性雰囲気より高温の加熱ロールに断続的に繰返し接触させる方法(特許文献1)、ポリアクリロニトリル系繊維束を酸化性雰囲気中加熱体に接触させて熱処理した後酸化性雰囲気で熱処理する方法(特許文献2)または繊維束との接触面に多孔板構造あるいは多孔質構造のローラーを用いる方法(特許文献3、特許文献4)等も提案されている。
ポリアクリロニトリル系繊維束の耐炎化処理は、酸化発熱反応であり、多量の発熱を伴う。したがって、このような耐炎化工程においては、処理時の温度や酸化反応に伴う多量の発熱のために繊維間に融着現象が発生し易く、発生した場合、得られる耐炎化繊維束の品質が著しく悪化し、その後の炭素化工程での毛羽発生や工程切れの原因となる。その結果、炭素化工程が不安定化し、得られる炭素繊維束の品質・性能等の著しい低下が生じる。
そのため一般に耐炎化炉内の循環風量や風速を上げて繊維束の蓄熱を除去したり、繊維束を耐炎化処理前に十分開繊してから処理するという方法等もとられている。しかしながらこのような方法をとると繊維束にかなり強い風が直接当たることになる上、単繊維状態によって多数回ローラーで擦られるために繊維の切断いわゆる単糸切れが起こりやすく、その後の炭素化工程での毛羽発生や工程切れの原因となり、十分な解決方法になっていない。
このような状況において、ポリアクリロニトリル系繊維束をシリコーン系油剤で処理することにより、耐炎化工程での単繊維間の融着を防止し、さらに工程中の繊維束の収束性を十分なレベルに維持させて、繊維の単糸切れを抑えることが可能であることが見出され、各種シリコーン系油剤が検討されている。
しかしながら、このようなシリコーン系油剤で処理されたポリアクリロニトリル系繊維束の耐炎化において、耐炎化炉の加熱ヒータ−表面に白色の微粉体が付着することや、耐炎化炉内に微粉体物の浮遊が確認され、さらに得られる炭素繊維束の強度の経時的な低下現象も発生していた。
また、このような微粉体は、耐炎化炉内の酸化性気体の流束を制御するため設けられた多孔板などの孔詰まりの原因となり、耐炎化処理の長期稼動安定性を低下させ、さらに停止後の炉内清掃などを頻繁に実施する必要があり、生産現場に多大な労力を費やさせることになっていた。なお、一般的な多孔板としては、特許文献5に記載されているように、孔径3〜8mmの多孔板が多用されている。
一方、特許文献6には、孔径10〜14mmの多孔板の開孔率を区分ごとに変化させて設置することで、風速分布の均一性を向上させ均質な耐炎化処理を行う耐炎化炉が提案されているが、この方法によると炉内風速が変動する場合には風速分布のバランスがくずれ、均一処理が達成できない。
また、微粉体の発生を抑制するために酸化性気体の加熱面の温度を400度以下にする方法(特許文献7)なども提案されているが、この方法によると確かに微粉体の発生量は低減するが、加熱面から酸化性気体への伝熱効率の低下が発生しそれを補うために伝熱面の増大が必要となり、結果的に装置コストの増大をもたらす。
特公昭53−21396号公報 特開昭61−174423号公報 特開平2−6625号公報 特開平4−300328号公報 特開昭59−112063号公報 特開2006−193863号公報 特開2003−73931号公報
本発明の目的は、上記欠点を克服するためのシリコーン系油剤で処理されたポリアクリロニトリル系繊維束を耐炎化する耐炎化熱処理装置、およびシリコーン系油剤による上記欠点のない耐炎化繊維束を製造することのできる耐炎化繊維束の製造方法を提供することである。具体的には、耐炎化炉の長期稼動安定性と稼動後の炉内掃除を簡略化し、耐炎化繊維束の生産性を高めることが可能な耐炎化熱処理装置と耐炎化繊維束の製造方法を提供することにある。
本発明は、シリコーン系油剤が付着したポリアクリロニトリル系繊維束を酸化性雰囲気ガスで加熱するガス循環型の耐炎化熱処理装置であって、
前記ポリアクリロニトリル系繊維束の進行方向に対して概略直して酸化性雰囲気ガスを吹き込むガス導入部と、前記ガス導入部に対向して設けられている、前記酸化性雰囲気ガスを排出するガス排出部とを有し、
前記ガス導入部に、直径10mmの円を内包できる開口部を有する多孔板がガスの流れ方向に2枚以上設けられており、該2枚以上の多孔板のうちのガス最上流側の多孔板の開口率よりも他の多孔板の開口率が大きい、耐炎化熱処理装置である。
また、本発明は、前記の耐炎化熱処理装置を用いて、シリコーン系油剤が付着したポリアクリロニトリル系繊維束を酸化性雰囲気ガスで加熱する耐炎化繊維束の製造方法である。
本発明によれば、シリコーン系油剤で処理されたポリアクリロニトリル系繊維束を耐炎化するにあたり、耐炎化炉の長期稼動安定性と稼動後の炉内掃除を簡略化し、耐炎化繊維束の生産性を高めることが可能となる。すなわち、本発明の耐炎化熱処理装置を用いれば、整流用多孔板のメンテナンスが不要となり長期の連続運転が可能となるため、工業上有用である。
本発明では、シリコーン系油剤が付着したポリアクリロニトリル系繊維束を酸化性雰囲気ガスで加熱する(耐炎化工程)ことで耐炎化繊維束を製造する。
シリコーン系油剤とは、シリコン原子を含む有機化合物(シリコーン系化合物)を主成分とする油剤で、シリコーン系化合物以外の有機化合物との混合物としても良い。さらに、界面活性剤や平滑剤、帯電防止剤、耐酸化防止剤などを添加して構成された混合物とすることもできる。シリコーン系油剤の代表例としては、従来から知られているアミノ変性シリコーン系油剤を挙げることができるが、これ以外のものも使用可能である。
ポリアクリロニトリル系繊維束は、アクリルニトリル系重合体を、有機溶剤あるいは無機溶剤に溶解し、通常用いられる湿式あるいは乾式にて紡糸されるもので、紡糸方法、条件には特に制限はない。ここで、アクリロニトリル系重合体としては特に制限はないが、好ましくはアクリロニトリル単位を85質量%以上、より好ましくは90質量%以上を含有する重合体を使用する。このアクリロニトリル系重合体としては、アクリロニトリルの単独重合体または共重合体あるいはこれらの重合体の混合重合体を使用し得る。アクリロニトリル共重合体は、アクリロニトリルと共重合しうる単量体と、アクリロニトリルとの共重合生成物である。アクリロニトリルと共重合しうる単量体としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル類;塩化ビニル、臭化ビニル、塩化ビニリデン等のハロゲン化ビニル類;(メタ)アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸等の酸類およびそれらの塩類;マレイン酸イミド、フェニルマレイミド、(メタ)アクリルアミド、スチレン、α−メチルスチレン、酢酸ビニル;さらにはスチレンスルホン酸ソーダ、アリルスルホン酸ソーダ、β−スチレンスルホン酸ソーダ、メタアリルスルホン酸ソーダ等のスルホン基を含む重合性不飽和単量体;2−ビニルピリジン、2−メチル−5−ビニルピリジン等のピリジン基を含む重合性不飽和単量体;等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
ポリアクリロニトリル系繊維束に対するシリコーン系油剤の付着方法には、特に制限はなく、一般に用いられているように水分散液中にポリアクリロニトリル系繊維束を浸漬して付着させることができる。
酸化性雰囲気ガスは、酸素を含む気体であれば特に制限はなく、空気もしくは空気に酸素、窒素、もしくは燃焼排ガス等を加えて使用することができるが、工業生産の面で、空気が経済面、安全面で特に優れている。また、酸化能力を調整する目的で、酸化性雰囲気ガス中の酸素濃度を変更することもできる。
シリコーン系油剤が付着したポリアクリロニトリル系繊維束の加熱温度は、急激な酸化反応を抑えるとの観点から、好ましくは200〜300℃である。
本発明では、上記の耐炎化工程を、ガス循環型の耐炎化熱処理装置を使用して行う。ガス循環型の耐炎化熱処理装置は、耐炎化工程の工業生産において一般に用いられているが、これはポリアクリロニトリル系繊維束を耐炎化繊維束に変換する際に、ポリアクリロニトリル繊維束に酸素と熱を適量に供給しなければならない事象に合致しているからである。すなわち、熱風循環方式で加熱した酸化性雰囲気ガスを繊維束に吹き付けることにより、数千本のフィラメント内に酸素と熱を均一に供給し、さらに酸化反応で生じた熱を効率良く取り除くことが可能であり、安定した耐炎化反応を進行させることができる。
酸化性雰囲気ガスは、ポリアクリロニトリル系繊維束の進行方向に対して概略直して、ガス導入部から吹き込まれ、それに対向して設けられているガス排出部から排出される。その風速は、0.3m/sec〜1.5m/secの範囲内にすることが好ましい。風速が0.3m/sec未満の場合には、耐炎化炉内の熱風による被熱処理繊維束の蓄熱の除熱作用が得られにくくなり、除熱不良によるスモークを生じ易くなる。また、風速が1.5m/secを超えた場合には、耐炎化炉内の熱風による繊維束のバタツキが大きくなり、耐炎化炉の底面に対して平行する面で隣接する繊維束同士の接触による単糸切れを生じ、毛羽の多い耐炎化繊維が得られ易くなる。
酸化性雰囲気ガスの加熱は、繊維束を耐炎化処理する耐炎化処理室内で行っても良いが、加熱体を備える加熱器を別に設け、加熱体による酸化性雰囲気ガスの加熱と、酸化性雰囲気ガスによるポリアクリロニトリル系繊維束の加熱とを別の場所で行っても良い。このとき、熱効率の観点から、炉と加熱器の間を酸化性雰囲気ガスが循環するようにする。
ここでいう加熱体には特に制限はなく、通常の電気ヒータ、オイル等を熱媒体とするヒータなどを挙げることができる。
また、耐炎化処理室内には、繊維束に均一に酸化性雰囲気ガスが接触するよう多孔板を設置する。多孔板が有する孔の形状は、図3に示されるような円孔でもよく、図4に示すような長孔でもよい。また、図5に示されるような開口部形状であってもよい。
ここで、本発明では、ガス導入部に、直径10mmの円を内包できる開口部を有する多孔板を設置する。一般的には、多孔板としては孔径3〜8mmの多孔板が多用されている(特許文献5)が、我々の検討によると孔径8mmの多孔板を使用すると多孔板の閉塞が著しいことが分かった。さらに、特許文献6のように、孔径10〜14mmの多孔板の開孔率を区分ごとに変化させて設置すると、多孔板の開孔率の高い部分から選択的に付着物が堆積しやすいため、運転中に風速分布が変動しやすく、長時間の均質処理は期待できない。そこで開口部を直径10mmの円を内包できる大きさにした多孔板をガス供給部に2枚以上使用することで、急激に多孔板の閉塞が激減し長期ランニングが可能となることを見出した。
多孔板の開口部は、酸化性雰囲気ガスの流束を制御する機能を効果的に発揮させるために、直径20mmの円を内包できない大きさにすることが好ましい。
上記の条件を満たす多孔板は、2枚を超える枚数設置してもよいが、枚数が増加すると多孔板の洗浄作業が困難となるため、通常3枚以下の多孔板が使用される。ガス導入部は繊維束の上流に当るため通常ガス排出部よりも更なる整流効果が必要となることが多い。ガスの最上流側には開孔率5〜40%の多孔板を配置するのが好ましく、2枚目以降は開孔率10〜50%のものを設置するのがより効果的である。なお、ガス排出部はガス供給部ほど整流効果を必要としないため、直径10mmの円を内包できる大きさにした多孔板を1枚使用すれば十分である。
図1は、上記の構成を有する耐炎化熱処理装置の正面図の概略を示す図であり、図2はその上面図である。この耐炎化熱処理装置2では、中央の耐炎化処理室7の周囲に酸化性雰囲気ガスの循環経路が設けられている。この循環経路内に吸気口(不図示)から導入された酸化性雰囲気ガスは、ヒータ3により所定の温度まで加熱された状態で熱風循環ファン4により循環され、耐炎化処理室7の上方のガス導入部8から耐炎化処理室7内に導入される。耐炎化処理室7では、ガス導入部8から導入された酸化性雰囲気ガスが繊維束6に概略垂直に吹き込まれ、繊維束6がその酸化性雰囲気ガスの熱により耐炎化熱処理される。その後、ガス導入部8に対向して設けられているガス排出部9から酸化性雰囲気ガスが耐炎化処理室7外に排出され、一部は再度循環するとともに、一部は排気口5から耐炎化熱処理装置2外に排気される。
なお、この耐炎化熱処理装置では、ガス導入部8には多孔板1aおよび多孔板1bの2枚が設置され、ガス排出部9には多孔板1cが設置されている。
ポリアクリロニトリル系繊維束の耐炎化熱処理では、処理の進行に伴い繊維束密度の上昇が起こる。開始時の密度は、通常1.17〜1.19g/cm3である。その繊維束をたとえば炭素繊維束を製造する場合には、繊維内に酸素原子による分子内架橋を形成するため、密度1.30g/cm3以上、より好ましくは1.32g/cm3以上となるまで耐炎化処理を行う。また、耐炎化工程で過度に酸素原子を導入すると、耐炎化工程に続く炭素化工程では酸素原子の引抜による欠陥の原因となり強度の低下が発生するため、密度が1.42g/cm3以下、より好ましくは1.40g/cm3以下であることが好ましい。
また、シリコーン系油剤が付着したポリアクリロニトリル系繊維束の耐炎化においては、繊維束に付着したシリコーン系油剤の雰囲気ガス中へ飛散し0.1〜10μm程度の白色微粉体の浮遊が確認される。その白色微粉体は、耐炎化反応初期に急速に発生し、その後発生量が徐々に低下していくことから、特に繊維束の密度が低いところ、具体的には、密度1.17〜1.25g/cm3で発生量が多く、さらに密度1.17〜1.22g/cm3で著しく発生量が多い。その濃度は、ポリアクリロニトリル系繊維束へのシリコーン油剤の付着量、耐炎化炉内の酸化性雰囲気ガスの更新速度等に左右される。この白色微粉体の浮遊量が10mg/m3以上となると、一般には耐炎化炉の流路内に設置された整流用の多孔板への白色微粉体の付着が顕著となり、時には多孔板全体を閉塞至らしめるに至り運転を停止せざる終えなくなり著しく生産性を低下させることがあった。本発明によれば、酸化性雰囲気ガス中の微粉体濃度が10mg/m3以上であっても、多孔板の閉塞を防止することができる。特に、この微粉体濃度が20〜500mg/m3である場合に効果的である。
なお、シリコーン系油剤が付着したポリアクリロニトリル系繊維束を一旦耐炎化処理し、得られた耐炎化繊維束を再度耐炎化処理する場合もある。この2回目の耐炎化処理に本発明の耐炎化熱処理装置および耐炎化繊維の製造方法を適用することもできる。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。なお、本実施例において、ガス流速、粒子濃度および繊維束の密度は、次の方法により評価した。
[ガス流速]
ガス流速は、熱式風速計(日本カノマックス株式会社製、商品名:アネモマスター風速計MODEL6162)を用いて測定した。
[粒子濃度]
粒子濃度は、炉内ガスを測定レンジに入るよう正常空気で希釈し、煤塵計(日本カノマックス株式会社製、商品名:ダストトラックMODEL3451)を使用して測定を行った。
[繊維束の密度測定]
繊維束の密度は、JIS R7601に準拠して測定した。
[実施例1]
アクリロニトリル成分97質量%とアクリルアミド成分3質量%からなるポリマーをジメチルアセトアミドに溶解して紡糸原液とし、これを70質量%ジメチルアセトアミド水溶液に押し出し湿式紡糸した。このようにして得られた繊維束を空中にて1.5倍延伸を施し、沸騰水中にて3倍に延伸した後洗浄し、アミノ変性シリコーン油剤エマルジョンが入った油剤処理槽に凝固糸を浸漬させ繊維束に対して1質量%油剤を付与した。この油剤エマルジョンは、アミノ変性シリコーンとポリオキシエチレンノフェニルエーテル(乳化剤)とを90:10の割合(質量比)で予備混合した後、ホモジナイザーを用いて乳化して得られたものである。その後150〜170℃のロールで乾熱延伸し、単糸デニール1.1d、1トウあたりのフィラメント数12000本、密度1.18g/cm3のポリアクリロニトリル系繊維束を得た。
このポリアクリロニトリル系繊維束を図1、図2に示す構成を有する耐炎化熱処理装置(耐炎化炉)に投入し、20分間耐炎化処理を行った。
ここで耐炎化炉処理室上部のガス導入部には、整流用に、孔径10mmで開孔率7%の円孔を有する多孔板1aと、孔径16mmで開孔率34%の円孔を有する多孔板1bを設置し、耐炎化処理室下部のガス排出部には、幅16mm長さ47mmで開孔率10%の長孔を有する多孔板1cを設置した。酸化性雰囲気ガスである空気は繊維束に対し垂直に流れる。ここで多孔板1bと繊維束6との最小距離Xは約300mmとした。
上記の耐炎化炉を用いて処理室内の平均風速が0.5m/sec、温度が230℃となるよう調整し、連続的に耐炎化熱処理を実施した。1ヶ月後に多孔板1aに閉塞が見られたが、多孔板1a閉塞までの1ヶ月の間連続運転が可能であった。また多孔板1b、1cに閉塞は見られなかった。このときの炉内の粒子濃度を測定したところ100mg/m3であった。
[比較例1]
多孔板1aとして孔径8mmで開孔率7%の円孔を有する多孔板を、多孔板1bとして孔径8mmで開孔率34%の円孔を有する多孔板を、多孔板1cとして孔径8mmで開孔率10%の円孔を有する多孔板を設置したこと以外は、実施例1と同様に実施した。8日後には多孔板1aに白色粉体による閉塞が発生し、運転を停止し多孔板の洗浄作業が必要となった。
[実施例2]
多孔板1aとして孔径12mmで開孔率7%の円孔を有する多孔板を設置したこと以外は、実施例1と同様に実施した。1.5ヶ月後に多孔板1aに閉塞が見られたが、多孔板1a閉塞までの1.5ヶ月の間連続運転が可能であった。また多孔板1b、1cに閉塞は見られなかった。
[実施例3]
実施例1と同様にして密度1.18g/cm3のポリアクリロニトリル系繊維束を耐炎化処理し、密度が1.28g/cm3となったポリアクリロニトリル系耐炎化繊維束に対して、再度同様の耐炎化処理を温度を240℃に変えて実施した。2ヶ月後多孔板に白色粉体の付着はみられずその間の2ヶ月間連続運転が可能であった。またこのとき炉内の粒子濃度は20mg/m3であった。
本発明の一実施形態の耐炎化熱処理装置の正面図の概略を示す図である。 図1の耐炎化熱処理装置の上面図の概略を示す図である。 本発明に使用可能な、円孔を有する多孔板の一例を示す図である。 本発明に使用可能な、長孔を有する多孔板の一例を示す図である。 本発明に使用可能な多孔板の開口部を説明するための図である。
符号の説明
1a〜1c 多孔板
2 耐炎化熱処理装置
3 ヒータ
4 熱風循環ファン
5 排気口
6 繊維束
7 耐炎化処理室
8 ガス導入部
9 ガス排出部

Claims (4)

  1. シリコーン系油剤が付着したポリアクリロニトリル系繊維束を酸化性雰囲気ガスで加熱するガス循環型の耐炎化熱処理装置であって、
    前記ポリアクリロニトリル系繊維束の進行方向に対して概略直して酸化性雰囲気ガスを吹き込むガス導入部と、前記ガス導入部に対向して設けられている、前記酸化性雰囲気ガスを排出するガス排出部とを有し、
    前記ガス導入部に、直径10mmの円を内包できる開口部を有する多孔板がガスの流れ方向に2枚以上設けられており、該2枚以上の多孔板のうちのガス最上流側の多孔板の開口率よりも他の多孔板の開口率が大きい、耐炎化熱処理装置。
  2. 請求項1記載の耐炎化熱処理装置を用いて、シリコーン系油剤が付着したポリアクリロニトリル系繊維束を酸化性雰囲気ガスで加熱する耐炎化繊維束の製造方法。
  3. 前記酸化性雰囲気ガス中の微粉体濃度が10mg/m3以上である請求項2記載の耐炎化繊維束の製造方法。
  4. 前記ポリアクリロニトリル系繊維束の耐炎化熱処理開始時の密度が1.25g/cm3以下である請求項2または3に記載の耐炎化繊維束の製造方法。
JP2006330636A 2006-12-07 2006-12-07 耐炎化熱処理装置および耐炎化繊維束の製造方法 Active JP4809757B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006330636A JP4809757B2 (ja) 2006-12-07 2006-12-07 耐炎化熱処理装置および耐炎化繊維束の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006330636A JP4809757B2 (ja) 2006-12-07 2006-12-07 耐炎化熱処理装置および耐炎化繊維束の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2008144293A JP2008144293A (ja) 2008-06-26
JP4809757B2 true JP4809757B2 (ja) 2011-11-09

Family

ID=39604770

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006330636A Active JP4809757B2 (ja) 2006-12-07 2006-12-07 耐炎化熱処理装置および耐炎化繊維束の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4809757B2 (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR101574802B1 (ko) * 2009-12-31 2015-12-04 주식회사 효성 열풍분배수단을 구비한 탄소섬유용 산화 열처리장치
KR101604932B1 (ko) * 2011-07-28 2016-03-18 미쯔비시 레이온 가부시끼가이샤 내염화 열처리로
JP6064409B2 (ja) * 2012-07-27 2017-01-25 東レ株式会社 耐炎化繊維束の製造方法および炭素繊維束の製造方法
KR102280274B1 (ko) * 2019-01-28 2021-07-21 주식회사 에스엔티 탄소섬유 전구체 안정화장치

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002194627A (ja) * 2000-12-22 2002-07-10 Toray Ind Inc 熱処理炉およびそれを用いた炭素繊維の製造方法
JP2006193863A (ja) * 2005-01-14 2006-07-27 Toho Tenax Co Ltd 耐炎化処理炉
JP5205767B2 (ja) * 2006-02-17 2013-06-05 東レ株式会社 熱処理炉および炭素繊維の製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2008144293A (ja) 2008-06-26

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6028840B2 (ja) 炭素繊維の製造方法
JP5682714B2 (ja) 炭素繊維束の製造方法
JP4809757B2 (ja) 耐炎化熱処理装置および耐炎化繊維束の製造方法
JP2010133059A (ja) 耐炎化炉及びこれを用いた炭素繊維の製造方法
JP5022073B2 (ja) 耐炎化炉及び炭素繊維の製造方法
JP2011127264A (ja) 耐炎化繊維の製造方法
JP4838595B2 (ja) 炭素繊維束の製造方法
WO2018147107A1 (ja) 耐炎化炉の洗浄方法および耐炎化繊維、炭素繊維、黒鉛化繊維の製造方法
JP2012201997A (ja) 耐炎化炉装置
JP2000160435A (ja) アクリル系繊維束の連続熱処理方法
JP2016166435A (ja) 炭素繊維前駆体アクリル繊維及び炭素繊維
JP6354926B1 (ja) 耐炎化炉の洗浄方法および耐炎化繊維、炭素繊維、黒鉛化繊維の製造方法
JP2013060680A (ja) 炭素繊維の製造方法
JP2008115481A (ja) 耐炎化炉
JP2006200078A (ja) 耐炎化繊維束およびその製造方法並びに炭素繊維束の製造方法
JPH026629A (ja) 炭素繊維の製造法
JP2003073931A (ja) 耐炎化繊維の製造方法および耐炎化方法
JP2007332498A (ja) 炭素繊維束の製造方法
JP2009150033A (ja) 耐炎化繊維の製造方法およびその装置
JP2505495B2 (ja) 耐炎化繊維の製造方法
JPS621010B2 (ja)
JPH01207421A (ja) 耐炎化装置及び耐炎化方法
JP2002105766A (ja) 耐炎化方法
JP4745855B2 (ja) 耐炎化繊維、その製造方法、及び炭素繊維の製造方法
JP2011226015A (ja) 熱処理装置及びそれを用いた炭素繊維の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20091027

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20100906

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20110520

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20110525

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20110721

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20110810

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20110819

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140826

Year of fee payment: 3

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 4809757

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140826

Year of fee payment: 3

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140826

Year of fee payment: 3

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140826

Year of fee payment: 3

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140826

Year of fee payment: 3

R371 Transfer withdrawn

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R371

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250