JP4809369B2 - 翼状針の保持具 - Google Patents
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Description
そして、前記翼状針6も普通に用いられる注射針と同じくキャップ66を嵌めた状態で流通することにより使用時まで滅菌状態が保持されている。従って、使用時にキャップ66を外してそのまま、患者の身体に差し込めばよい。
ところが、輸液や輸血或いは採血などを行うには管状針の針先を確実に血管などの身体の限られた部位に差し込む必要があり、差し込みに熟練を要したり、患者によっては差し込み部位が確認しにくい場合があり、差し込み操作を複数回にわたって繰り返すことで所定の位置に針を差し込んでいるのが一般的である。
このとき、医師や看護士は一旦患者の身体から翼状針を抜き取った後に、次に差し込む迄の間に抜き取った患部の止血や再滅菌、消毒等の処置をする必要があるが、抜き取った翼状針を片手に持ったままだとこれらの処置を行うことが困難であり、両手で作業するためには抜き取った翼状針を離すことになるが、一旦身体に差し込んだ翼状針の針先には患者の血液や体液等が付着しており、感染症のおそれがあることからそのまま手を離して放置することができない。
そこで、再度、キャップを被冠させてから手を離し、両手で止血や清浄の処置が終わった後で、再びキャップを外して差し込み操作を繰り返すことが行われているが、全ての作業が終わるまでキャップを清潔な状態で保管しておく必要があるとともに、差し込み作業中に尖った針先を口の狭いキャップに差し込むことはきわめて困難で患者の血液や体液等が付着した針先で指先を刺すことにもなり、きわめて危険である。また、床などに放置した翼状針が汚染されたり踏まれたりして破損するなどの心配もあり、床面から拾い上げる手間も掛かる。
また、翼状針についてキャップを被せる際などに誤って指などに刺してしまう事故を防止するものが特開平1−76873号公報、特開平8−89573号公報、特開2000−14781号公報などに提示されているが、これらはいずれも使用後の処理を念頭にしたものであり、翼状針を再使用する場合に採用することはできない。
上記目的を達成するため本発明は、点滴台の支柱へ止着するための止着部に翼状針の保持部が横方向に突設されており、前記保持部が前記翼状針の羽根を起てた状態で一方の羽根における両側面を挟持する一対の弾性挟持片とその下側に配置された前記翼状針の羽根の外周縁を支持するための支持部片とを有していることを特徴とする。
止着部を点滴台の支柱における所望の高さ位置に止着し、キャップを外した状態の翼状針の羽根を起てた状態で針先を上に向けて保持部に差し込むだけで、翼状針は羽根の両側面が一対の弾性挟持片により挟持されるとともに羽根の外周縁の下端が前記弾性挟持片の下側に配置された支持部片に支持され、また、羽根を掴んでそのまま引き抜くことで離脱する。
また、本発明において、前記止着部と保持部とが適宜の弾性と剛性を有する硬質合成樹脂により一体的に形成されている場合には、例えば、射出成形などにより簡単且つ安価に製造することが可能であり、前記保持部を形成する一対の弾性挟持片における互いの対向面の先端側と頂面側の端縁が傾斜面にそれぞれ形成されている場合には、翼状針の羽根部を差し込むときに差し込み部が拡開しているので差し込み易く、前記止着部と保持部との間に所定の空間が形成されている場合には、凹が形成されないので塵埃や各種の汚染物などが溜まる箇所がなく清潔に保てるとともに洗浄なども簡単である。
更に、本発明において、前記止着部と保持部の長さが少なくとも前記翼状針の一方の羽根の長さよりも長く形成されている場合には確実に保持することができ、特に、針先を支柱側に傾けた状態で保持させることにより保持中の針が刺さる事故を防止することができ、前記止着部が、内側を前記点滴台の支柱への圧着面とした平面においてC形を呈する場合には、止着部を開口部を介して横方向に向けて支柱に差し込むだけの簡単な作業で支柱に止着させることが可能である。
以上、本発明によれば、輸液や輸血或いは採血などを行う際に、翼状針の先端に設けられている針先のキャップを外したまま状態で片手の操作で翼状針を簡単に且つ取り外しも容易に所望の高さ位置に確実にもう一方の手で止血等の処置をしながらでも保持させることができ、その後は再度翼状針を掴んで抜き取るまでの間は安心して両手を用いて患者の身体の清浄や止血作業を行うことができる。また、キャップを再度嵌め直したり翼状針の部分を床に放置することも要しないので翼状針の差し込み操作が安全に行われ特に、安価に多量に製造して供給することができ耐久性にも優れているので経済的にも優れている。
第1図乃至第5図は本発明の好ましい実施の形態を示すものであり、本発明である翼状針の保持具1は、例えば硬質のポリプロピレン樹脂のような適宜の弾性と剛性とを有する材料により射出成形などにより点滴台7の支柱71へ止着するための止着部2とこの止着部2から横方向に突設している前記第7図に示した翼状針6の保持部3とが一体的に形成されている。従って、製造が容易で安価に多量に生産することができる。
更に詳しく説明すると、前記止着部2は所定の内径(例えば使用する支柱の外径程度)を有していて一側に少なくとも内径よりも幅狭の開放部21を有する平面がC形で適宜の厚さを有する半筒形を呈しているとともに開放部21を形成する両開放端には円柱状の膨出部22,22が形成されている。
また、前記止着部2における外周面23の前記開放部21と対向する箇所には前記第6図に示した翼状針6の保持部3が横方向に突設されており、この保持部3は翼状針6を挟持するための一対の弾性挟持片31,31とその下側に配置された前記翼状針6の羽根65の外周縁67を支持するための支持部片4とから構成される。
特に本実施の形態では、弾性挟持片31,31は基端が一体化して前記止着部2における外周面23に連設されており、先端側が互いに遊離していて対向面32,32が前記翼状針6の一方の羽根65を起てた状態で両側面を挟持するものであり、特に、前記対向面32,32は平面において長さ方向の中央部に互いに接近するように(少なくとも使用する前記第7図に示した翼状針6の羽根65の厚さよりも接近指せた状態)弓形に形成されて先端に向けて拡開しているとともに互いの対向面32,32の先端側と頂面側の端縁が傾斜面33,33,34,34にそれぞれ形成されて上方に向けて拡開している。
また、前記支持部片4は、前記弾性挟持片31,31の下方に前記弾性挟持片31,31との間に空間41を形成して前記弾性挟持片31,31とほぼ同等の長さで前記弾性挟持片31,31とほぼ平行に突設される。
以上の構成を有する本実施の形態である保持具1は、第5図に示すように、前記止着部2の開放部21を介して点滴台7に立設される支柱71の所望の高さ位置に止着する。
このとき、止着部2が使用する支柱71の外径よりも小径の場合には止着部2を開放部21を介して横方向から挿入すると、止着部2自身が有する弾性により、更には開放部21を形成する両開放端に設けた円柱状の膨出部22,22により支柱71を押圧するのでそのまま所定の位置に止着させることができ、また、この押圧力に抗して止着部2を開放部21を介して横方向に引き抜くことにより簡単に支柱71から取り外すことができる。尚、止着部2の内径が支柱71に対して大きくて差し込んだだけでは止着が困難な場合には、例えば、布や紙、或いはゴムや合成樹脂材など比較的摩擦係数が大きく柔軟で変形し易い材料で形成された隙間部材を止着部2と支柱71との間に介在させればよい。
また、保持具1は医師や看護士など使用者の身長などに合わせて所望の高さ位置に止着することにより使い勝手がよく使用することができ、特に本実施の形態では前述の如く着脱操作が容易なので使用者各人に適した高さに止着させることができる。尚、通常は支柱71の止着位置よりも上方に薬液や血液を収納したバックなどの容器が吊り下げられており(図示せず)、それらの容器からチューブ63が垂下しているのでこのチューブ63に干渉しない方向に保持部3が位置するように止着するとよい。
そして、第6図に示すように、前記チューブ63の先端に接続された翼状針6を保持させるのであるが、保持は、点滴容器や輸血容器を点滴台7の支柱71にセットしたとき、次いで、キャップ66を外したとき、翼状針6を差し直すとき、更には点滴や輸血が終了したときなど手にした翼状針6を一旦どこかに起きたい場合のいずれのときにも保持させることができる。
本実施の形態では翼状針6の保持具1への保持は、第5図および第6図に示すよう翼状針6を管状針61が上方に向くような状態で羽根65,65を起てた状態で一方の羽根65を掴んでもう一方の羽根65を、そのまま弾性挟持片31,31の対向面32,32に上方から横方までの任意の差し込み角度で差し込むだけで簡単且つ確実に保持される。
このとき、特に本実施の形態では、前記対向面32,32は平面において長さ方向の中央部に互いに接近するように弓形に形成されて先端に向けて拡開しているとともに互いの対向面32,32の先端側と頂面側の端縁が傾斜面33,33,34,34にそれぞれ形成されて上方および前方である差し込み側に向けて拡開しているので、拡開した箇所に羽根65を容易に差し込し込むことができるばかりか、弾性挟持片31,31は基端が閉成して止着部2に連続しているとともに下方に支持部片4が延設されているので差し込み位置を加減することなく羽根65の外周縁67が止着部2と支持部片4に当接して進行が停止するまで差し込めばよく、所定の保持位置に容易に保持させることが可能で、安定した保持状態を維持させることができ、抜き取る場合には、保持具1から突出している羽根65を掴んでそのまま上方から横方向にわたる方向に引き抜けばよく、着脱がきわめて簡単である。
また、本実施の形態では、特に、翼状針6を保持させるときに、第6図に示すように、翼状針6を管状針61を支柱71側に傾斜させておくことにより、保持されている翼状針6を掴むときに誤って管状針61に触れたり、管状針61が刺ったりする心配がない。
更に、本実施の形態は、弾性挟持片31,31と支持部片4との間に空間41が形成されているので全体として凹部がなく、汚染物や塵埃などが溜まる心配がなく洗浄も容易でいつでも清潔に保つことができる。
更にまた、本実施の形態は、止着部2が顔で弾性挟持片31,31を長耳とした兎の顔を連想させることから外観的にも美麗であるとともに親しみやすいという意匠的な効果も併有している。
Claims (5)
- 点滴台の支柱へ止着するための止着部に翼状針の保持部が横方向に突設されており、前記保持部が前記翼状針の羽根部分を起てた状態で一方の羽根部分における両側面を挟持する一対の弾性挟持片とその下側に配置された前記翼状針の羽根の外周縁を支持するための支持部片とを有し、前記翼状針の羽根を起てた状態で針先を上に向けて前記保持部に差し込むだけで、前記翼状針の羽根の両側面が前記一対の弾性挟持片により挟持されるとともに前記翼状針の羽根の前記外周縁の下端が前記一対の弾性挟持片の下側に配置された前記支持部片に支持されており、前記翼状針の羽根を掴んでそのまま引き抜くことにより離脱することを特徴とする翼状針の保持具。
- 前記止着部と保持部とが適宜の弾性と剛性を有する硬質合成樹脂により一体的に形成されている請求項1に記載の翼状針の保持具。
- 前記保持部を形成する一対の弾性挟持片における互いの対向面の先端側と頂面側の端縁が傾斜面にそれぞれ形成されている請求項1または2に記載の翼状針の保持具。
- 前記止着部と保持部との間に所定の空間が形成されている請求項1,2または3に記載の翼状針の保持具。
- 前記止着部が、内側を前記点滴台の支柱への圧着面とした平面においてC形を呈する請求項1,2,3または4に記載の翼状針の保持具。
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