以下、本発明に係る第1乃至第6実施形態の密閉式留置針(留置針組立体)1,1A〜1Eについて図面を参照して説明する。なお、以下の説明で用いる方向の概念は、説明する上で便宜上使用するものであって、発明の構成の向き等をその方向に限定するものではない。また、以下に説明する密閉式留置針1,1A〜1Eは、本発明の一実施形態に過ぎない。従って、本発明は実施形態に限定されず、発明の趣旨を逸脱しない範囲で追加、削除、変更が可能である。
[第1実施形態]
図1に示すように、第1実施形態の密閉式留置針1は、血管等に針を穿刺して留置し、その針によって薬液を血管内に投与したり、血管から血液を採取したりする際に用いられる。密閉式留置針1は、留置針本体2と、チューブ3と、コネクタ4とを備えている。なお、以下の説明では、密閉式留置針1によって患者への針の穿刺作業を行う施術者に対して遠位側の部位を先端部とし、施術者の近位側の部位を基端部と称している。
図2に示すように、留置針本体2は、外針ハブ11と、外針12と、内針13と、内針ハブ14とを有しており、図3に示すように外針ハブ11から内針ハブ14を引き離すことができるように構成されている。外針ハブ11は、図1に示すように合成樹脂から成るY型形状の部材であり、本体部分21及びチューブ取付部分22を有している。本体部分21は、大略円筒状に形成されており、先端部の外周面が先端に向かうにつれて先細りのテーパ状に形成されている。本体部分21内には、その軸線(軸線L1に略一致)に沿って内孔21aが延在している。
図4に示すように内孔21aは、本体部分21の基端側において内針挿入口21bを介して近位側に開口し、本体部分21の先端側において外針挿通口21cを介して遠位側に開口している。内孔21aは、軸線方向中間部分にゴム収容空間21dが形成されており、ゴム収容空間21dには、止血ゴム5が嵌合されて収容されている。封止部材である止血ゴム5は、ポリイソプレン等の合成ゴム又は熱可塑性エラストマから成る中実の大略円柱部材である。止血ゴム5は、内孔21aを先端側空間21eと基端側空間21fとに分断し、これら2つの空間21e,21fの間を封止している。先端側空間21eは、チューブ3と繋がるようになっており、本体部分21の外周面(図1において左側面)には、チューブ3を結合するためのチューブ取付部分22が一体的に設けられている。
チューブ取付部分22は、本体部分21の外周面(側面)から半径方向外側に離れるように本体部分21の基端側へと斜めに延在している。チューブ取付部分22は、大略円筒状に形成されており、その内孔である連通路22aを有している。連通路22aは、チューブ取付部分22の軸線に沿って延在しており、その一端が連通口22bを介して内孔21aの先端側空間21eに繋がっている。連通路22aは、他端に輸送口22cを有しており、輸送口22cから挿入されたチューブ3がチューブ取付部分22に固定されている(図1参照)。
チューブ3は、可撓性を有しており、図1に示すようにその一端部がチューブ取付部分22に固定されている。チューブ3の他端部には、コネクタ4が設けられている。コネクタ4は、Y型に形成されており、各々の端部に開口が夫々形成されている。各開口は、コネクタ4内に形成されている通路で繋がっており、先端側の開口にチューブ3が取り付けられている。また、残りの開口のうちの1つの開口には、雄ねじを有する接続部が形成されており、接続部は、図示しない輸液セット及び採血セット等を接続できるようになっている。このように輸液セット等が接続される開口は、キャップ部材25によって塞がれている。残りの1つの開口には弾性ゴムで開口を閉鎖するインジェクションプラグ26が設けられている。インジェクションプラグ26には、図示しない針付きシリンジが接続されるようになっている。このようにして各開口に取付けられる輸液セット、採血セット及び針付きシリンジ等は、コネクタ4及びチューブ3を介して本体部分21の先端側空間21eに繋がるようになっている。また、本体部分21の先端側空間21eは、外針挿通口21cから挿入される外針12の挿通孔12aと繋がっている。
外針12は、可撓性を有する軟質の合成樹脂、例えばエチレン−テトラフルオロエチレン共重合、ポリウレタン、ポリエーテルナイロン、又はポリプロピレン等から成る大略円筒状の細管である。外針12の基端部は、外針挿通口21cから本体部分21内へと挿入され、外針ハブ11の先端部に固定されている。外針12は、内孔である挿通孔12aを有しており、挿通孔12aには、内針13が挿通されている。
内針13は、例えば金属材料又は硬質の合成樹脂から成る大略円筒状の中空針であり、軸線L1に沿って真直ぐに延在している。内針13の先端部は、外針12の先端から突出しており、血管に穿刺可能に形成された鋭利な針先13aを有している。また、内針13は、外針ハブ11の外針挿通口21cから入って止血ゴム5を貫通しており、内針13の基端側部分は、内針挿入口21bから外針ハブ11の外側に突出している。内針13の基端部には、内針ハブ14が設けられている。
内針ハブ14は、軸線L1を含む仮想平面に対して左右対称に形成され且つ長尺の大略角柱形状に形成されている。内針ハブ14内には、内針13の外径と略同じ孔径を有する取付孔14aが軸線L1に沿って形成されている。取付孔14aの先端側には、内針13の基端部が挿通されて固定されており、内針13は、内針ハブ14の先端14bから遠位側に軸線L1に沿って延在している。取付孔14aの基端側は、針の内部を通過してきた血液が溜まる貯留室になっており、貯留室に血液が溜まることで、外部からフラッシュバックが確認できるようになっている。このように構成されている内針ハブ14は、本体部分21の基端21gに隣接するように配置されている、即ち内針ハブ14の先端14bを本体部分21の基端21g(即ち、外針ハブ11の基端)に対向させて配置されている。
以下では、内針ハブ14の外形形状について具体的に説明する。内針ハブ14は、前述の通り大略角柱形状に形成されており、図5に示すように、先端側から見て内針ハブ14の先端14bが大略矩形状に形成されている。他方、内針ハブ14の基端14cは、先端側から見て大略長円形状に形成されている。内針ハブ14の中間部14dは、その外形寸法が先端側から基端側にかけて徐々に大きくなっており、各面が先端側から基端側にかけて滑らかな曲面を描くように形成されている。
更に詳細に説明すると、内針ハブ14の横断面は、角丸長方形状に形成されており、その横断面において左右方向の寸法(即ち、幅)より上下方向の寸法(即ち、高さ)の方が全体的に小さくなっている。また、内針ハブ14の左右両側の各側面部には、複数の凸条部31が形成されている。複数の凸条部31は、上下方向に夫々延在しており、各側面部において先端から基端にかけて略等間隔に並べて配置されている。このように複数の凸条部31が配置される2つの側面部は、医師や看護師等の施術者が親指と中指とで把持するための把持部32として構成され、複数の凸条部31が滑り止めの役割を果たしている。
また、把持部32は、施術者が把持しやすいように滑らかな曲面で形成されており、内針ハブ14を施術者が把持するようになっている。また、内針ハブ14の上部及び下部は、先端14bから中間部14dまでが徐々に外形寸法が大きくなるように(徐々に高くなるように)滑らかな曲面で形成されており、この先端14bから中間部14dまで部分が指載置部33を構成しており、指先を遠位側(即ち、本体部分21の基端21g)に向けるようにして人差し指を指載置部33の上に載せることができる。また、内針ハブ14の上部及び下部において指載置部33より基端側は、指載置部33に載置された人差し指に当たらないように大きな突起がなく略平坦に形成されている。
また、内針ハブ14では、図1に示すように、各把持部32の先端部分が内針ハブ14の先端14bより遠位側に突出しており、各把持部32の先端部分が係合片32aを形成している。係合片32aは、左右方向の薄板形状になっており、2つの係合片32aは、内側の面を互いに対向させて平行に配置されている。各係合片32aの内側の面は、遠位側に進むにつれてその厚みが徐々薄くなるように傾斜しており、その間には外針ハブ11の本体部分21の基端部分で構成されている被係合部21hが挟持されている。
被係合部21hは、図5の2点鎖線で示すように、基端側から見て左右方向の両側が切り欠かれたような断面長円形状に形成されている。被係合部21hの左右方向の両側にある各側面は、係合片32aの内側の面の形状に対応させて形成されている。即ち、各側面は、近位側に進むにつれて被係合部21hの幅が狭まるように形成されている。そのため、本体部分21を2つの係合片32aの間に押し込むと2つの係合片32aによって本体部分21を挟持させて嵌合させることができる。これにより、本体部分21に対して内針ハブ14が相対回転不能になっている。
また、被係合部21hの上下方向の両外周部は、図5の2点鎖線で示すに示すように大略円弧形状に形成されており、内針ハブ14の先端(即ち、指載置部33の先端)より大径に形成されている。即ち、指載置部33の先端の外周縁が被係合部21hの外周縁より低くなっている。そのため、内針ハブ14の先端14bと本体部分21の基端21gとの間に段差35が形成されている。そして、指載置部33に載置された人差し指の指先で段差35を遠位側に押すことができるようになっており、本体部分21の基端21gの指先を載置する部分が指先載置部28になっている。指先載置部28は、内針ハブ先端より外方に突出している。このため、指載置部33に人差し指を載せた際に人差し指の指先が指先載置部28にフィットするようになっている。この指先載置部28はチューブ取付部分22を挟むように上下両面に(内針ハブ14の外周面に180度間隔で)形成されている。それ故、施術者は、チューブ3の延在方向を左右反転させて使用しても同じ感覚で密閉式留置針1を使用することができる。また、内針ハブ14における指載置部33の表面が略平坦に形成されている。それ故、内針ハブ14を患者の皮膚に載置した際に、指載置部33によって密閉式留置針1が安定するようになっている。つまり、密閉式留置針1を安定した姿勢で扱うことができる。
以下では、密閉式留置針1を穿刺して内針13を外針12から抜く際の作業について図6(a)及び(b)を参照しながら説明する。密閉式留置針1は、図1及び2に示すように、本体部分21の被係合部21hを内針ハブ14の2つの係合片32aの間に押し込んだ状態で内針ハブ14が外針ハブ11に取付けられている。これにより、内針13の針先13aが外針12の先端から突出している。施術者は、この針先13aをその斜めになっている刃面を上に向ける。更に、施術者は、穿刺後のチューブ3の位置及び方向を考慮しながら、チューブ3を垂らしたい方向(即ち、延在方向)へと外針ハブ11を内針ハブ14に対して相対回転させる。そして、施術者は、内針13を穿刺するために内針ハブ14を把持する。把持する際、施術者は、例えば把持部32の各々に親指(図示せず)と中指Mとを当てて内針ハブ14を把持する。また、施術者は、指先を段差35に向けるようにして人差し指Fを指載置部33に載せ、指載置部33上を滑らすように人差し指Fを段差35の方に移動させて指先を段差35に当てる。これにより、外針ハブ11が内針ハブ14に対して相対回転不能になり、この状態で内針13が患者の血管に穿刺される(図6(a)参照)。
穿刺後、施術者は、フラッシュバックによって血管に外針12が到達したことを確認する。確認した後に、施術者は、内針13を外針12から抜くために内針ハブ14を把持する。内針13を引き抜く際、施術者は、段差35に人差し指Fの指先を当て、外針ハブ11を患者の患部に押し当てて固定する。施術者は、この状態から段差35に人差し指Fの指先を押し当てたまま親指と中指Mを近位側に移動させ、内針ハブ14を外針ハブ11から引き離す(図6(b)参照)。なお、引き抜く際に指載置部33上で人差し指Fが引っ掛からないように、指載置部33の表面に大きな突起が形成されていないことが好ましい。内針ハブ14を外針ハブ11から引き離すことで、やがて内針13が外針12から引き抜かれる。親指と中指Mを近位側に更に移動させると、内針13の針先13aが止血ゴム5を抜けて本体部分21の内針挿入口21bに至り、針先13aが内針挿入口21bから抜き出される。
このように、施術者は、密閉式留置針1を把持して穿刺する際、人差し指Fの指先を外針ハブ11の指先載置部28に載置するとともに人差し指Fの腹を内針ハブの指載置部33に載置することができる。これにより、内針ハブ14に対して外針ハブ11が相対回転不能になり、この状態で穿刺作業を行うことができる。また、外針ハブ11を上下反転させても外針ハブ11の基端21gの上側に段差35が形成され、指先載置部28に人差し指Fの指先を載せることができる。これにより、チューブ3の延在方向を適切な方向に修正すべく内針ハブ14に対して外針ハブ11を180度相対回転させても、相対回転前と同様に、人差し指で内針ハブ14に対して外針ハブ11を相対回転不能にし、その状態で穿刺作業を行うことができる。
また、密閉式留置針1では、針先13aを患者の患部に穿刺した後、親指、中指M、及び人差し指Fの3つの指で内針13を外針12及び外針ハブ11から引抜くことができる。即ち、密閉式留置針1は、片手で内針13を外針12及び外針ハブ11から引抜くことができる。それ故、施術者は、もう片方の手で作業を行うことができ、密閉式留置針1の利便性を向上させることができる。
また、密閉式留置針1では、指載置部33において人差し指Fを載せる載置面が略平坦に形成されている。それ故、指載置部33に人差し指Fを載せた後、人差し指Fを段差35に向かって指載置部33に沿って滑らせることができる。滑らせることで、人差し指Fの指先を本体部分21の基端21g(具体的には、指先載置部28)に当てることができ、指先載置部28を確認しにくい場合であっても、指先載置部28に人差し指Fの指先を当てることが容易である。更に、指載置部33が段差35に向かって傾斜しているので、人差し指Fの指先が指載置部33によって指先載置部28に案内される。それ故、指先載置部28に人差し指Fの指先を当てることが更に容易である。
更に、密閉式留置針1では、内針ハブ14の横断面が角丸長方形状に形成されているので、親指と中指Mとで把持しやすく、また人差し指Fが載置しやすくなっている。また、内針ハブ14が長尺に形成されているので、各把持部32の基端側部分を親指と中指Mとで把持することで、人差し指Fの指先から親指と中指Mを離して配置することができる。これにより、人差し指Fを立てることなく寝かせて指載置部33に載せることができ、人差し指Fの指先を段差35に当てて外針ハブ11を患部に固定することが容易である。更に、内針ハブ14の先端14b側の外形寸法より基端14c側の外形寸法の方が大きくなっているので、内針13を外針12及び外針ハブ11から抜く際に施術者が内針ハブ14を把持しやすく、また動かしやすい。
また、密閉式留置針1では、チューブ3が邪魔にならないように内針ハブ14を把持するために、内針ハブ14を把持する手の反対側(例えば、右手で把持する場合左側)にチューブ取付部分22を位置させることが好ましい。ところが、従来の密閉式留置針では、右手で内針ハブ14を把持することが前提となっているので、左手で内針ハブ14を把持する場合、施術者は密閉式留置針を上下反転させなければならず、そうすると針先13aの刃面が下に向いてしまう。
このような問題を解決すべく、密閉式留置針1では、被係合部21hを2つの係合片32aの間から一度引抜いた状態で、内針13を中心に内針ハブ14を外針ハブ11に対して相対的に回動させることができるようになっている。また、内針ハブ14は、左右対称に形成されているので、被係合部21hは、外針ハブ11に対して内針ハブ14を180度回した状態で内針ハブ14の2つの係合片32aの間に挿入して挟持させることができるようになっている。それ故、チューブ取付部分22の位置を左右どちらに変えても、内針ハブ14を相対回転させることで針先13aを上に向けることができ、その状態で内針ハブ14を外針ハブ11に挿入することで内針ハブ14を外針ハブ11に固定させることができる。それ故、施術者は、左右のどちらの手でも密閉式留置針1を患部に穿刺することができる。また、内針ハブ14が左右対称に形成されているので、左右どちらの手でも同じように穿刺することができる。
また、密閉式留置針1では、内針ハブ14を外針ハブ11に取付けた際、内針ハブ14の係合片32aによって内針ハブ14が外針ハブ11に対して相対回転しないようになっている。これにより、穿刺後に外針12を患者の皮膚に載置する際、内針ハブ14を把持するだけで外針ハブ11を指等で押えなくても、外針ハブ11が内針ハブ14に対して相対回転することを防ぐことができる。それ故、穿刺後に外針12を患者の皮膚に載置する際に外針ハブ11から手を離しても、把持する内針ハブ14に対して外針ハブ11が回転することがない。これにより、外針ハブ11が回転することによって外針ハブ11がぶれて外針12等が血管から抜けることを防ぐことができる。
[第2実施形態]
第2実施形態の密閉式留置針1Aは、第1実施形態の密閉式留置針1と構成が類似している。以下では、第2実施形態の密閉式留置針1Aの構成について第1実施形態の密閉式留置針1と異なる点について主に説明し、同一の構成については同一の符号を付して図示及び説明を省略する。第3実施形態の密閉式留置針1Bについても同様である。
図7及び8に示すように、第2実施形態の密閉式留置針1Aは、留置針本体2Aと、チューブ3と、コネクタ4とを備えている。また、留置針本体2Aは、外針ハブ11Aと、外針12と、内針13と、内針ハブ14Aとを有しており、図9に示すように外針ハブ11Aから内針ハブ14Aを引き離すことができるように構成されている。外針ハブ11Aは、合成樹脂から成るY型形状の部材であり、本体部分21の外周面の一側面(本実施形態において図7の左側面)にチューブ取付部分22が一体的に設けられている。また、外針ハブ11Aは、図10に示すような滑り止め27を有しており、内針ハブ14Aの上下両面に形成される指載置部33が略平坦に形成されている。内針ハブ14Aの先端に指(例えば、人差し指)を置くことで指先が外針ハブ11Aの基端21g側に設けられた滑り止め27に当たるように構成されている。
指先載置部でもある滑り止め27は、患者の皮膚に対する滑り及び施術者の指先の滑りを防ぐためのものであり、複数の凹凸によって形成されている。本実施形態では、滑り止め27が3つの凸条部27a〜27cによって構成されており、凸条部27a〜27cは、本体部分21の中間部分の外周面に等間隔で配置されている。凸条部27a〜27cは、リブ部分41と、上側円弧部分42と、下側円弧部分43とを夫々有している。
リブ部分41は、本体部分21の外周面の右側の半面に沿うようにして設けられており、大略半円環状になっている。リブ部分41の両端には、上側円弧部分42、下側円弧部分43が夫々一体的に設けられており、上側円弧部分42は、他の凸条部27a〜27cの上側円弧部分42と共に遠位側に中心を有する大略同心円弧状に形成されている。同様に、下側円弧部分43もまた、他の凸条部27a〜27cの下側円弧部分43と共に遠位側に中心を有する大略同心円弧状に形成されている。
このような形状を有する上側円弧部分42及び下側円弧部分43は、リブ部分41に各端部からチューブ取付部分22の外周面まで延在しており、本体部分21とチューブ取付部分22との間で架け渡すように外針ハブ11Aに設けられている。つまり、滑り止め27は、チューブ取付部分22の上側から本体部分21の外周面の右半面に沿わせ、更にチューブ取付部分22の下側まで延在している。
このような形状を有する滑り止め27は、本体部分21の上下両側に形成されている部分が指先載置部28A,28Aを構成している。つまり、密閉式留置針1Aでは、本体部分21の外周部の左側面にチューブ取付部分22が形成され、チューブ取付部分22を挟むようにして本体部分21の上下両側に指先載置部28A,28Aが夫々形成されている。上側の指先載置部28Aには、施術者の指先、例えば人差し指の指先が載せられ、下側の指先載置部28Aは、患者の皮膚に載せられる。このように、上側の指先載置部28Aに指先が載置されて、下面に形成された下側の指先載置部28Aが患者の皮膚に当たることで、載置後の外針ハブ11Aのがたつきを抑えることができ、また施術者の指及び患者の皮膚に対する滑りを防ぐことができる。
また、3つの凸条部27a〜27cの頂部は、平坦に形成されており、それらが患者の皮膚及び施術者の指に接したときに痛みを伴わない又は軽減できるようになっている。更に、各凸条部27a〜27cの高さは、同程度に形成されており、3つの凸条部27a〜27cの下側円弧部分43の頂部は、略同一平面上に位置している。そのため、前記平面は、本体部分21の外周面からチューブ取付部分22の外周面に向かって斜め上方に傾斜するようになっている。また、上側円弧部分42は、後述するように外針ハブ11Aを上下反転させたときに、下側円弧部分43と同様の効果を奏することができる。また、下側円弧部分43についても同様である。
留置針本体2Aは、図11に示すようなプロテクタ50を有している。筒状体であるプロテクタ50は、内針13を外針12及び外針ハブ11Aから引抜く際に針先13aを覆って保護するように構成されている。図12に示すように、プロテクタ50は、プロテクタ本体51と、ホルダ52とを有している。プロテクタ本体51は、ステンレス鋼、アルミニウム、アルミニウム合金、チタン、チタン合金、銅、銅系合金等の各種の金属材料から成り、軸線方向に延在する大略長方形状の箱型の部材である。プロテクタ本体51は、内針13が挿通するための孔が形成されている。また、プロテクタ本体51は、左右に対向する側板として可撓側板53,54を有している。2つの可撓側板53,54を内側に押し込むと、針先13aが先端側から覆われて保護されるようになっている。
また、内針13の先端側には、半径方向外方に膨らんだ係合部(図示せず)が形成されており、係合部は、プロテクタ本体51に対して内針13を引き抜いた際にプロテクタ本体51に係合するようになっている。ホルダ52は、プロテクタ本体51をその中に収めると共に、プロテクタ本体51の一対の可撓側板53,54を閉じる機能を有している。即ち、プロテクタ本体51は、内針13の係合部に係合した状態で内針13を後方に引くと、ホルダ52に対して後方に相対変位する。プロテクタ本体51が後方に相対変位すると、一対の可撓側板53,54がホルダ52により内側に押し込められる。これにより、内針13の針先が一対の鉤状部53a,54aによって覆われて保護される。
このように構成されているプロテクタ50は、本体部分21の内孔21aにおいて止血ゴム5より基端側に位置している。即ち、プロテクタ50のホルダ52の先端側部分は、本体部分21の基端側空間21fに挿入され、また本体部分21の被嵌合部21iに嵌合されて外針ハブ11A内に収まっている。ホルダ52の基端側部分及びプロテクタ本体51の基端側部分は、外針ハブ11Aから突出しており、それらの部分が内針ハブ14Aの内孔14eの先端側に収まっている。
更に詳細に説明すると、内針ハブ14Aの先端側部分14fは、断面円形状になっており、内針ハブ14Aの先端側部分14f以外の部分は、断面矩形状になっている。また、先端側部分14fの上側には、内針ハブ14Aの先端から近位側に延在する切り欠き29が形成されており、切り欠き29は、それを上側配置すると針先13aの刃面が上を向くように配置されている。つまり、切り欠き29は、針先13aの刃面の向いている方向と同じ側に位置するように内針ハブ14Aに形成されている。このように形成されている内針ハブ14Aの先端側部分14fを本体部分21の基端部分21jに外装して外針ハブ11Aに取付けられている。
本体部分21の基端部分21jは、先端側部分14fが嵌るように断面円形状に形成されており、その外周部側面には、半径方向外方に突出する複数のキー21k(本実施形態では2つのキー21k)が形成されており、各キー21kは、互いに等間隔を開けて配置されている。また、内針ハブ14Aの先端側部分14fの内面には、本体部分21のキー21kの各々に対応する位置にキー溝14gが形成されている。内針ハブ14Aは、各キー溝14gにキー21kが嵌まり込むように外針ハブ11Aに取付けられ、取り付けることで外針ハブ11Aに対して相対回転不能になっている。また、内針ハブ14Aが外針ハブ11Aに取り付けられた際、本体部21の基端部分21jの上面が切欠き29から上方に覗いている。基端部分21jの上面の頂付近が先端側部分14fの上面と略同一平面上に形成されており、基端部分21jの上面の頂付近と先端側部分14fの上面とによって指載置部33が形成されている。
特許文献1に示すような従来技術の留置針組立体は、外針ハブ(カテーテルハブ)の側方にチューブが取り付けられているので、チューブの自重によって外針ハブが内針ハブ(針ハブ)に対して相対回転しやすくなっている。これに対して、密閉式留置針1Aは、外針ハブ11Aと内針ハブ14Aとの相対回転が不能になっている。それ故、密閉式留置針1Aを患者の皮膚に穿刺する際、内針ハブ14Aを把持しているだけで密閉式留置針1Aの姿勢(より詳細には、外針ハブ11Aの姿勢)を安定させることができる。つまり、施術者は、内針ハブ14を把持しておけば、内針13を穿刺してから外針ハブ11Aを患者に載置するまでの間、外針ハブ11Aの姿勢が不安定になることを抑制することができる。
また、内針ハブ14Aに対して外針ハブ11Aを180度反転させても、キー21k及びキー溝14gによって外針ハブ11Aと内針ハブ14Aとを固定することができ、外針ハブ11Aが軸線L1を含む水平な仮想平面に対して上下対称に形成されている。それ故、内針ハブ14Aに対して外針ハブ11Aを180度反転させてチューブ3の位置を左右逆に変えても、施術者は、チューブ3の位置に関わらず密閉式留置針1Aによって安定して穿刺操作を行うことができる。また、本実施形態における密閉式留置針1Aでは、凸条のキー21kの各々が軸線L1に平行な針軸方向に延びるように形成されているとともにキー溝14gの各々が針軸方向に延びている。それ故、キー21kがキー溝14gによってガイドされ、内針ハブ14Aを把持して内針13を引き抜く際の初動作(即ち、内針ハブ14Aを外針ハブ11Aから外すまでの動作)において内針ハブ14Aが外針ハブ11Aに対して相対回転することがなく、血管内にある内針13を外針12内に安定して引き抜くことができる。
また、外針ハブ11Aに指先載置部28Aが形成されており、施術者は、内針ハブ14Aを把持している手の指先(例えば、人差し指の指先)を穿刺前に上側の指先載置部28Aに置けるようになっている。このように、把持している手の指先を指先載置部28Aに置くことで、密閉式留置針1Aを患者に穿刺する際に外針ハブ11Aが軸線L1回りに回転しないようにすることができる。つまり、密閉式留置針1Aを安定した姿勢で扱うことができる。
更に、指先載置部28Aは、チューブ取付部分22を挟むように外針ハブ11Aの上下両面に形成されている。それ故、チューブ3を延びる方向を左右のいずれかの方向に変えるために外針ハブ11Aを内針ハブ14Aに対して180度反転させても、外針ハブ11Aに安定して指先を載置することができる。また、外針ハブを180度回転させることで上側の指先載置部28Aが外針ハブ11Aの下側に配置されることになる。そうなると、その指先載置部28Aが患者の皮膚に接触することになり、指先載置部28Aの凹凸によって外針ハブ11Aのブレを抑制することができる。これにより、密閉式留置針1Aの姿勢安定性を向上させることができる。
以下では、密閉式留置針1Aを血管に穿刺し、その後内針13を外針12から引抜く際の手順について説明する。まず、施術者は、チューブ3を垂らしたい方向を決め、垂らしたい方向へと内針ハブ14に対して外針ハブ11Aを相対回転させる。なお、密閉式留置針1Aでは、キー21kが形成されているので、チューブ3を垂らす方向を決めた後に外針ハブ11を相対回転させる場合、施術者はまず内針ハブ14Aを近位側に後退させてキー21kをキー溝14gから離脱させなければならない。離脱させると外針ハブ11Aが内針ハブ14Aに対して相対回転できるようになる。そうすると、チューブ3の位置が左右反転し、且つキー21kがキー溝14gに収まる位置まで外針ハブ11Aを相対回転させ、その状態で内針ハブ14Aを外針ハブ11Aに取付ける。これによって、外針ハブ11Aと内針ハブ14Aとがキー21kを介して固定される。このようにしてキー21kによって外針ハブ11Aと内針ハブ14Aとが相対回転不能に取り付けられているので、内針ハブ14Aの把持部32だけを把持して又は把持部32を把持しつつ外針ハブ11Aの指先載置部28Aを押さえながら施術者は密閉式留置針1Aを患者の皮膚に穿刺することができる。つまり、密閉式留置針1Aを安定した姿勢で扱うことができる。
相対回転させて固定した後、施術者は、密閉式留置針1Aの指先載置部28A,28Aの各々が上下に位置するように内針ハブ14Aの把持部32を指(例えば、親指及び中指)で把持する。更に、施術者は、上側の指先載置部28Aに人差し指を載せる。この状態で、施術者は、内針13の針先13aを患者の血管に穿刺し、穿刺後に下側の指先載置部28Aを患者の皮膚に載置する。これにより、下側の指先載置部28Aによって患者の皮膚に対するブレを抑制することができる。
載置後、施術者は、上側の指先載置部28Aに人差し指を載せたまま、内針ハブ14の把持部32を把持している指を近位側に引き下げる。これにより、人差し指で外針ハブ11をしっかりと押さえ付けて固定することができる。このように、外針ハブ11Aのブレを抑制し、外針ハブ11Aをしっかりと固定することができるので、密閉式留置針1Aの姿勢安定性を向上させることができる。また、外針ハブ11Aを患者の皮膚に固定した状態で内針ハブ14を引き下げる際、施術者は、内針ハブ14Aの把持部32を親指と中指とで把持し、外針ハブ11Aの指先載置部28Aに載置された人差し指の指先で外針ハブ11Aを遠位側に押すようにして外針ハブ11Aから内針ハブ14Aを引き離すことができる。即ち、密閉式留置針1Aでは、内針13を外針12から引抜く際の動作を片手で行うことができる。
また、施術者は、穿刺時にチューブ3が邪魔にならないようにするために、チューブ取付部分22が密閉式留置針1を把持する手の反対側(例えば、右手で把持する場合は左側)に配置し、そして密閉式留置針1Aを把持する。それ故、施術者は、チューブ3の位置を変えるために外針ハブ11Aを上下反転させることがある。本体部分21の外周面の上下両側の面に指先載置部28Aが形成されているので、上下反転させても上下両側の面に指先載置部28Aが配置される。それ故、施術者の利き手に関わらず、密閉式留置針1Aを利用することができる。
また、密閉式留置針1Aでは、外針ハブ11Aに内針ハブ14Aを取付けた際に針先13aの刃面が上を向くように、取付位置が2箇所設定されている。即ち、利き手に応じて外針ハブ11Aの上下を反転させても、針先13aの刃面を上に向けることができる。また、内針ハブ14Aは、内針13の軸線、即ち軸線L1を含む水平な仮想平面に対して上下対称に形成されている。これにより、針先13aの刃面を上に向けた場合と前記刃面を下に向けた場合とで、内針ハブ14Aの把持部分の形状が変わることを防ぐことができる。これにより、右手及び左手のどちらで使用する場合も同じように使用することができる。それ故、施術者の利き手に関わらず、密閉式留置針1Aを利用することができる。なお、密閉式留置針1Aでは、内針ハブ14Aの上下両面が略平坦に形成されており、内針ハブを皮膚に載置した場合における密閉式留置針1Aの姿勢安定性が向上されている。
その他、第2実施形態の密閉式留置針1Aは、第1実施形態の密閉式留置針1と同様の作用効果を奏する。
[第3実施形態]
図13に示すように第3実施形態の密閉式留置針1Bは、留置針本体2Bにおいて外針ハブ11Bと内針ハブ14との間に、外針ハブ11B及び内針ハブ14とは別部材で構成された筒状体60が配置されている。筒状体60の外周面上には、凸条部27a〜27cと共に指先載置部28Bを構成する突起59が一体的に設けられている。突起59は、筒状体60の外周面の上下両側に夫々形成されており、内針ハブ14の指載置部33に指を載せるとその指の指先が当たるようになっている。なお、本実施形態の密閉式留置針1Bにおいて、筒状体60は、プロテクタ50Bによって構成されている。以下では、プロテクタ50Bの構成について、説明する。
プロテクタ50Bは、プロテクタ本体51と、ホルダ52Bとを有している。ホルダ52Bは、基本的に第2実施形態のホルダ52と略同様の構成を有している。ホルダ52Bは、プロテクタ本体51を収容する収容部52bを有している。収容部52bは、大略筒状に形成されており、その外周面に突起59、59が一体的に設けられている。突起59,59の各々は、ホルダ52の収容部52bの上下両面の各々に立設されている。即ち、突起59,59は、各面から上方又は下方に突出している。また、外針ハブ11Bの基端21gには、上下両側において突起59,59に対応する位置に切り欠き21mが夫々形成されており、突起59,59は、プロテクタ50Bが外針ハブ11B内に嵌挿されている状態でこの切り欠き21mに嵌って外方に突出するようになっている。そして、ホルダ52Bは、突起59,59が切り欠き21m内に位置することで外針ハブ11Bに対して相対回転できないようになっている。また、突起59,59は、プロテクタ50Bが内針ハブ14内に嵌挿されている状態で内針ハブ14の切り欠き29内に位置し、内針ハブ14より外側に突出している。このように突出する突起59,59は、外針ハブ11Bの本体部分21の外周面より外側に突出しており、突起59の頂部59aは、最も基端側に位置する凸条部27cの頂部と略同じ高さになっている。即ち、突起59,59は、チューブ取付部分22を挟んで上下両側に突出している。それ故、凸条部27a〜27cと同様に人差し指又は患者の皮膚に対して滑り止めの効果を有している。
その他、第3実施形態の密閉式留置針1Bは、第1実施形態の密閉式留置針1と同様の作用効果を奏する。
[第4実施形態]
図14に示す第4実施形態の密閉式留置針1Cの留置針本体2Cは、外針ハブ11C、外針12、内針13、及び内針ハブ14Cと共に、筒状体60Cを有している。筒状体60Cは、大略円筒筒状の筒状本体60aを有しており、筒状本体60aが外針ハブ11Cの内針挿入口21bから基端側領域21fに嵌挿されている。また、プロテクタ50は、筒状本体60aの基端部60bから筒状本体60a内に挿入されて嵌合し、プロテクタ50の先端部分が外針ハブ11C内に収容されている。筒状本体60aの基端部60bは、外針ハブ11Cの基端21gから近位側に突出しており、基端部60bの外周部には、複数の鉤状係合部60cが等間隔で形成されている。なお、本実施形態では、2つの鉤状係合部60cが180度の間隔をあけて上下両側に夫々配置されている。
鉤状係合部60cは、基端部60bから半径方向外方に延在しており、周方向に垂直な断面が鉤状に形成されている。鉤状係合部60cの先端は、筒状本体60aから半径方向外方に離れて位置しており、鉤状係合部60cの先端部分60dと筒状本体60aとの間に外針ハブ11Cの基端部分21jが挿通されるようになっている。なお、鉤状係合部60cの先端部分60dは、鉤状係合部60cにおいて半径方向内方に向かって折り返している部分である。
また、外針ハブ11Cの外周面には、基端21g側に周方向全周にわたってフランジ21nが形成されており、フランジ21nは、半径方向外方に突出している。フランジ21nは、鉤状係合部60cの先端部分60d及び基端部分60eとの間に位置しており、これによって鉤状係合部60cに係合されている。なお、鉤状係合部60cの基端部分60eは、基端部60bから半径方向外方に延在している部分である。このように鉤状係合部60cによって外針ハブ11Cに係合されている筒状体60Cは、外針ハブ11Cの本体部分21に対して軸線L1回りに相対回転可能に構成されている。また、筒状体60Cは、突起59Cを有している。
突起59Cは、2つの鉤状係合部60cのうちのいずれか一方に一体的に形成されている。本実施形態では、突起59Cが上側の鉤状係合部60cに一体的に形成されている。突起59Cは、鉤状係合部60cから上方に突出しており、突起59Cの上面に指載置部33に載置された指(例えば、人差し指)の指先を載せることができるようになっている。つまり、突起59Cは、第1実施形態の密閉式留置針1の段差35と同様の機能を有しており、指先載置部28Cを構成している。
また、密閉式留置針1Cでは、本体部分21に対して筒状体60を相対回転させることで、施術者は突起59Cの軸線L1周りの位置を変えることができる。これにより、利き手に応じてチューブ3の延在方向を左右反転させるべく外針ハブ11Cを上下反転させる際、筒状体60を外針ハブ11Cに対して相対回転させることで突起59Cを上側に配置することができる。これにより、施術者は、利き手に関わらず密閉式留置針1Cによって安定して穿刺操作を行うことができる。
その他、第4実施形態の密閉式留置針1Cは、第1実施形態の密閉式留置針1と同様の作用効果を奏する。
[第5実施形態]
図15に示す第5実施形態の密閉式留置針1Dの留置針本体2Dは、外針ハブ11D、外針12、内針13、及び内針ハブ14Aと共に、プロテクタ50Dを有している。なお、外針ハブ11Dは、外針ハブ11Aの構成と類似しており、本体部分21の基端側部分21jの外形形状が基端側から見て左右方向の両側が切り欠かれたような断面長円形状に形成されている点が異なっている。筒状体であるプロテクタ50Dは、プロテクタ本体51と、ホルダ52Dとを有しており、ホルダ52Dは、大略筒状に形成されている。ホルダ52Dの先端側の開口52cは、外針ハブ11Dの本体部分21の基端部分21jの形状に合せて形成されており、基端部分21jを入れて嵌められるようになっておいる。つまり、ホルダ52Dの先端側の開口52cは、基端側から見て左右方向の両側が切り欠かれたような断面長円形状に形成されている。それ故、開口52cに基端部分21jを嵌めることで、ホルダ52Dが本体部分21に相対回転不能に取付けられるようになっている。また、ホルダ52Dの基端側部分52dの外形は、内針ハブ14Aの2つの係合片32aの間に嵌るように先端側から見て左右方向の両側が切り欠かれたような断面長円形状に形成されている。それ故、ホルダ52Dは、基端側部分52dを2つの係合片32aの間に嵌めることで内針ハブ14Aに相対回転不能に取り付けられるようになっている。このようにして、ホルダ52Dは、外針ハブ11D及び内針ハブ14Aに相対回転不能に取り付けられている。それ故、穿刺時に外針ハブ11Dに対して内針ハブ14Aが相対回転することがない。つまり、密閉式留置針1Dを安定した姿勢で扱うことができる。
また、ホルダ52Dの外周面上に凸条部27a〜27cと共に指先載置部28Dを構成する突起59Dが一体的に設けられている。突起59Dは、ホルダ52Dの外周面の上下両側に夫々形成されており、最も基端側に位置する凸条部27cの頂部と略同じ高さになっている。それ故、突起59Dに人差し指の指先が載せられるようになっており、凸条部27a〜27cと同様に人差し指又は患者の皮膚に対して滑り止めの効果を有している。なお、凸条部27a〜27cは、必ずしも外針ハブ11Dに形成されている必要はなく、突起59Dだけで指先載置部28Dを構成してもよく、複数の突起59Dがホルダ52Dに形成されていてもよい。
その他、第4実施形態の密閉式留置針1Dは、第1実施形態の密閉式留置針1と同様の作用効果を奏する。
[第6実施形態]
図16に示す第6実施形態の密閉式留置針1Eの留置針本体2Eは、外針ハブ11、外針12、内針13、及び内針ハブ14Aと共に、プロテクタ50Eを有している。筒状体であるプロテクタ50Eは、プロテクタ本体51と、ホルダ52Eとを有しており、ホルダ52Eは、大略筒状に形成されており、外針ハブ11と内針ハブ14Aとの間に配置されている。ホルダ52Eは、基端から先端に向かって先細りになっており、ホルダ52Eの中間部分が指載置部55を構成している。指載置部55の上には、指先を遠位側に向けるようにして人差し指を指載置部33の上に載せることができるようになっている。
また、ホルダ52Eは、先端側部分52eを本体部分21の基端21gに突合せるように配置されており、この先端側部分52eが本体部分21の基端21gより小径に形成されている、即ちホルダ52Eの先端側部分52eの外周縁が基端21gの外周縁より低くなっている。そのため、ホルダ52Eの先端側部分52eと基端21gとの間に段差35Eが形成されている。そして、指載置部33に載置された人差し指の指先で段差35Eを遠位側に押すことができるようになっており、本体部分21の基端21gの指先を載置する部分が指先載置部28Eになっている。
また、ホルダ52Eは、外針ハブ11に対して相対回転可能に設けられており、相対回転させることでホルダ52Eに対して外針ハブ11を180度反転させることができる。ホルダ52Eの先端側部分52eの外周縁が基端部分21jの外周縁より低くなっているので、180度反転させた際にもホルダ52Eの先端側部分52eと基端部分21jとの間に段差35Eが形成されることになり、施術者の利き手に関わらず、密閉式留置針1Eを利用することができる。
また、ホルダ52Eの基端側部分52dの外形は、内針ハブ14Aの2つの係合片32aの間に嵌るように先端側から見て左右方向の両側が切り欠かれたような断面長円形状に形成されている。それ故、ホルダ52Eは、基端側部分52dを2つの係合片32aの間に嵌めることで内針ハブ14Aに相対回転不能に取り付けられるようになっている。これにより、内針ハブ14Aの把持部32を把持しつつ、人差し指をホルダ52Eの指載置部55に載せて指先載置部28Bに人差し指の指先を引っかけることで、片手で内針ハブ14Aに対する外針ハブ11の相対回転を防ぎながら内針13を患者に穿刺することができる。つまり、密閉式留置針1Eを安定した姿勢で扱うことができる。
その他、第5実施形態の密閉式留置針1Eは、第1実施形態の密閉式留置針1と同様の作用効果を奏する。
[その他の実施形態]
第1実施形態の密閉式留置針1では、内針ハブ14の上部及び下部に指載置部33が形成されているが、必ずしも両面に形成する必要はない。内針13の針先の刃面が向いている方向と同じ側の面(例えば、刃面が上を向いている場合、上部)に形成されていればよい。また、密閉式留置針1では、指載置部33に凹凸がなく滑らかに形成されているが、必ずしもこのように構成する必要はない。例えば、指載置部33の目印となるような凹凸を形成してもよい。また、第1実施形態の密閉式留置針1では、指先載置部28が外針ハブ11の基端21gに位置しているが、外針ハブ11の本体部分21とは別の部材であって且つ指先載置部28を構成する部材を外針ハブ11に一体的に設けてもよい。この場合、前記別部材を本体部分21の基端21gに分離不可能に且つ相対回転不可能に装着し、当該別の部材の外面に指先載置部28を形成してもよい。
また、指載置部33は、内針ハブ14の先端14bから基端14cに向かって高くなるように傾斜しているが、必ずしもそのような形状でなくてもよい。例えば、指載置部33は、平坦であってもよく、内針ハブ14の基端14cから先端14bに向かって高くなるように傾斜していてもよい。
第2実施形態の密閉式留置針1Aでは、プロテクタ50を備えているが、必ずしも必要ではない。逆に、第1実施形態の密閉式留置針1では、プロテクタ50を備えていないが、プロテクタ50を備えるように構成されていてもよい。第2実施形態の密閉式留置針1Aにおいて、指載置部33は、略平面部で形成されているが、緩やかな凹みとなる曲面部であってもよく、また指を置くことを施術者に示す摩擦係数増大部として形成されていてもよい。なお、摩擦係数増大部は、シリコン又はゴムで構成して皮膚に吸い付くように(例えば、吸盤のように)したり、梨地加工を行って形成したりしてもよい。
第3実施形態の外針ハブ11Aには滑り止め27が形成されているが、必ずしも滑り止め27が形成されている必要はなく、指及び皮膚に対する滑り止めが突起59,59だけであってもよい。また、第3実施形態の密閉式留置針1Aでは、筒状体60であるホルダ52Bに設けられた指先載置部28Bを突起59で構成しているが、略平面部として指載置部33の一部を構成するようにしてもよい。例えば、ホルダ52Bの断面形状を矩形とし、外針ハブ11Bの基端21gと内針ハブ14の先端14bとの間にホルダ52Bの外周面(指載置部33)が表出するようにし、外針ハブ11の基端21gを指先載置部28Aとしてもよい。
また、第1実施形態の密閉式留置針1において、外針ハブ11及び内針ハブ14に従来技術に示されるような翼部が設けられていないが、内針ハブ14に対して外針ハブ11を180度相対回転させることができるような構成であれば、外針ハブ11又は内針ハブ14に翼部が設けられていてもよい。第2乃至第6実施形態の密閉式留置針1A〜1Eについても同様である。
また、第1乃至第4実施形態の密閉式留置針1,1A〜1Eにおいて、チューブ3は、近位側に向かって斜め後ろに延びているが、外針ハブ11,11A〜11Dの側面のチューブ取付部分22から近位側に向かって真後ろにチューブ3が延びているような態様であってもよい。また、第1乃至第4実施形態の密閉式留置針1,1A〜1Cは、いずれも内針ハブ14,14A〜14Cと外針ハブ11,11A〜11Cとが互いに相対回転不能に取り付けられているが、指先載置部28Aが外針ハブ11,11A〜11Cの上下両面に夫々形成されていれば、内針ハブ14,14A〜14Cと外針ハブ11,11A〜11Cとが互いに相対回転するように構成されていてもよい。
また、内針ハブ14,14A〜14Cと外針ハブ11,11A〜11Cとが相対回転不能とする構成に関する形状は問わない。例えば、第1実施形態の密閉式留置針1ように内針ハブ14の先端14bと外針ハブ11の基端21gのいずれか一方又は両方を断面非円形状として相対回転不能にしてもよく、第2実施形態の密閉式留置針1Aのようにキー21k及びキー溝14gによる係合によって相対回転不能にしてもよい。このようにキー21k及びキー溝14gを利用して相対回転不能とする場合、内針ハブ14Aの先端14bと外針ハブ11Aの基端21gを断面非円形状にしなくても相対回転を不能とすることができる。なお、キーが内針ハブ14Aに設けられ、キー溝が外針ハブ11Aに設けられているようでもよい。更に、第2実施形態の密閉式留置針1Aにおけるキー21k及びキー溝14gはいずれも軸方向に延びているが、キー21k及びキー溝14gが軸方向に延びていなくともよく、通常使用において内針ハブ14Aに対して外針ハブ11Aが回転できないように構成されていればよい。
第1乃至第6実施形態の密閉式留置針1,1A〜1Eにおいて、指先載置部28,28A〜28Eは、凸条部27a〜27c又は突起59により形成されているが、残余の部分より摩擦が大きな摩擦増大性を有する部材(粗面部材)を設けたり、摩擦が増すような加工(粗面加工等)を外針ハブ11,11A〜11Cに施したりすることによって形成されていてもよい。また、図17に示す密閉式留置針1Fのように、外針ハブ11における本体部分21の中央部分の上下両側に凹部27Fを夫々形成してもよい。凹部27Fは、上下方向に凹ませて形成されており、この凹部27Fを指先載置部28Fとしてもよい。
また、第2実施形態の密閉式留置針1Aにおいて、指先載置部28Aは、断面半円形状の複数の凸条部27a〜27cによって形成されているが、凸条部27a〜27cの断面は、四角形状、又は三角形状であってもよく、その形状は問わない。更に、指先載置部28Aは、反転させて患者の皮膚に載せた際に過度の痛みを生じないようであれば複数の凸条部27a〜27cで構成する必要ない。即ち、指先載置部28Aは、一つの凸条部27aによって構成されてもよい。この場合、凸条部27aは、幅広(即ち、前後方向の長さが広い)に設定されて患者の皮膚に対して面接触するような構成であることが好ましい。なお、凸条部27aの高さ寸法が2mm以下であれば、必ずしも面接触する必要はなく患者の皮膚と点又は線接触するような構成であってもよい。つまり、凸条部27aは、平面視で点形状又は線形状であってもよく、凸条部27aの高さは、外針ハブの厚さ寸法に対して80%程度の高さ寸法となることが好ましく、0.5mmから1.5mmの間の高さ寸法で形成されるのが最も適した寸法である。なお、点接触させる場合は、複数の凸条部27a〜27cを外針ハブ11の本体部分21に形成させることが好ましい。
更に、第1乃至第6実施形態の密閉式留置針1,1A〜1Eは、止血ゴム5を備えているが、透析用の留置針のように外針ハブ11,11A〜11Dの基端にチューブが取り付けられる場合は、必ずしも止血ゴム5は必要ではない。
第1乃至第6実施形態の密閉式留置針1,1A〜1Eでは、チューブ取付部22が外針ハブ11の本体部分21の側面から基端側に向かって斜め後ろ方向に延びている。しかし、チューブ取付部22は、必ずしもこのような形態で本体部分21に設けられている必要はなく、チューブ取付部22が軸線L1からずれて本体部分21に設けられていればよい。例えば、チューブ取付部分22は、本体部分21の側面からL字状に曲がって基端側に向かって軸線L1に平行に後方に延在していてもよい。また、チューブ取付部分22は、本体部分21の側面に形成される取付孔であってもよく、この場合、取付孔にチューブ3が直接取付けられる。