JP4808825B2 - 1,4−ベンゾチアゼピン−1−オキシド誘導体、及びそれを用いた医薬組成物 - Google Patents
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Description
【0001】
本発明は、本発明の一般式[I]で表される1,4−ベンゾチアゼピン−1−オキシド誘導体又はその薬学的に許容しうる塩、及びそれを用いた医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
心臓は、心筋の収縮、弛緩を周期的に繰り返し、全身の組織、臓器に血液を送り、また全身の組織、臓器から心臓に血液を戻すポンプとして働いている。心臓の収縮、弛緩は一定の周期で行われており、心筋は左右の冠動脈による冠循環で必要な酸素と栄養の供給を受け、その酸素と栄養を消費して、収縮、弛緩が行われている。正常の心筋では酸素供給と酸素消費は平衡状態にある。
心臓が正常な収縮、弛緩ができず、結果としてポンプ作用が損なわれると全身の臓器、組織にうっ血がおこり、心不全が発生する。心不全時にはノルエピネフリンなどの交感神経系が活性化され、血中の濃度が上昇し、心拍数が増加する。
現在、心拍数を減らし、心筋収縮力を低下させる薬剤、すなわち、β遮断薬は心筋酸素消費量を低下させる結果、心不全の治療薬として使われている。しかし、β遮断薬は過量となると心不全を悪化させる危険があり、その使用は注意深く、慎重に行う必要がある。
【0003】
心臓の収縮、弛緩は規則的に周期性を持って行われている。この心周期は収縮期、拡張期の2つに大きく分けられる。収縮期とは僧帽弁の閉鎖から大動脈弁閉鎖までであり、拡張期とは大動脈弁の閉鎖から、僧帽弁の閉鎖までである。更に、拡張期は、等容弛緩期、急速流入期、緩徐流入期、心房収縮期の4期からなる。拡張期の4期のうちの後の3期、すなわち急速流入期、緩徐流入期、心房収縮期は、心室筋がさらに拡張する時相で、心房から心室に血液が流入してくる。この心室における拡張機能は心機能の上できわめて重要な意味を持つ。心筋の拡張が障害されると、血液が心室に流入することが障害され、心不全、特に拡張不全による心不全を起こす。さらに、冠動脈は他の臓器とは異なり、拡張期に心筋組織内に血液が流入する。拡張期の心筋組織内への冠灌流は右冠動脈より左冠動脈でより顕著である。そのため、左心室の拡張障害は左心室心筋組織内への冠灌流が障害され、心筋虚血となり、結果として拡張不全による心不全を更に悪化させることになる。
【0004】
また、高齢者や高血圧患者、左心室心筋肥大の患者などでは、まだ心不全を起こしていなくても、左室拡張障害が見られる。左室拡張障害は心臓超音波ドプラー法で容易に診断ができる。左室拡張障害があると、易疲労感、息切れ、胸部不快感、胸痛などの症状を訴えることも少なくない。左室拡張障害が長期にわたると心筋細胞の障害や線維化が起こり、将来、心不全を起こしやすくなる。
【0005】
心臓が正常に機能するためには、心筋への適切な酸素と栄養の供給が必要であり、これらは左右の冠動脈による冠灌流によって供給される。心筋はこれら酸素と栄養を消費することにより収縮、弛緩を行っている。
冠動脈を拡張させる薬剤は心筋酸素供給量を増加させ心筋虚血を軽減させる。また、心筋酸素消費量は心拍数、心収縮力で規定されるので、心拍数の低下や心筋収縮力の低下は心筋の酸素量を減らし、心筋虚血を軽減する。冠動脈を拡張させ、心拍数を低下させ、心収縮力を低下させる作用を併せ持つ薬剤は、虚血性心疾患、すなわち狭心症や心筋梗塞の治療薬又は予防薬となる。
【0006】
心不全には、収縮不全と拡張不全があるが、収縮不全による心不全においても、左室拡張期最小圧と左室拡張末期圧の増加をみとめるので、左室拡張機能の増強作用を有する薬剤は、収縮不全を改善する薬剤となる。
また、冠動脈を拡張させる薬剤は心筋への酸素供給を増強させるため、狭心症、心筋梗塞の治療薬となる。心筋の酸素消費量は心拍数、心筋収縮力に関連する。これらを低下させる作用は心筋酸素消費量を低下させ、虚血を改善させ、虚血性心疾患、すなわち狭心症、心筋梗塞の治療薬、予防薬となる。β遮断薬は狭心症、心筋梗塞、心不全の治療薬となるが、冠動脈拡張作用や左室拡張機能を増強させる作用はない。
左室心筋の拡張機能を増強させ、心拍数を低下させ、更に心筋収縮力を緩徐に低下させ、冠動脈を拡張させる作用を併せ持つ薬剤は、心不全、拡張不全による心不全、左室拡張障害、狭心症、心筋梗塞の治療薬又は予防薬になる。
さらに、心臓における弛緩機能は、収縮機能や拡張機能と同様に重要である。弛緩は主として拡張期4相の中の最初の第1相、等容弛緩期の機能を示し、左室圧の1次微分、最大陰性dP/dtの計測で測定できる。また、心臓における弛緩機能の異常は、心臓超音波ドプラー法で、左室心筋壁モーションを測定することで計測できる。
【0007】
また、心不全においては、心筋収縮障害、心筋弛緩障害、心筋拡張障害の各々が複合的に組み合わさって惹起されることが少なくない。心筋弛緩障害と心筋拡張障害が組み合わさって拡張不全を形成することも少なくない。虚血性心疾患、心房細動、心室性不整脈においても弛緩障害がみられ、弛緩障害が高度になると、心筋収縮力も低下する。心筋弛緩障害の改善は、虚血性心疾患、心不全、心房細動、心室性不整脈において治療上重要な要件である。心筋弛緩障害が高度になると、心筋は弛緩できず、強直(Rigor)を起こす。また、心筋弛緩障害により心不全が悪化する。
心筋弛緩障害は、虚血性心疾患、高血圧性心疾患、心不全、心房細動、心室性不整脈において認められる。心筋を専ら弛緩させる薬剤は現在のところない。エピネフリンやノルエピネフリンなどのカテコールアミンは心筋小胞体でのカルシウム取り込みを促進させ、心筋弛緩を促進させる。しかし、これらの物質は、心拍数や血圧を上昇させる作用を合わせもち、心筋酸素消費量を高める結果、上記の疾患の治療薬としては使用しにくい。心拍を変化させずに、心筋弛緩を促進させる薬剤は心筋弛緩薬として理想的な薬剤となりえる。心拍を変化させずに心筋弛緩を促進させることができれば虚血性心疾患、高血圧性心疾患、心不全、心房細動、心室性不整脈に合併した弛緩障害を改善させ、結果として心機能を改善させる薬剤となる。
血圧は心拍出量、末梢血管抵抗、循環血液量、血液粘調度などで規定される。ノルエピネフリンは末梢血管抵抗を増強させ、血圧を高くする。ノルエピネフリン負荷による高血圧に対し、血圧を低下させる薬剤は高血圧の治療薬又は予防薬となる。
【0008】
一方、4−[3−(4−ベンジルピペリジン−1−イル)プロピオニル]−7−メトキシ−2,3,4,5−テトラヒドロ−1,4−ベンゾチアゼピン及びその誘導体は、心抑制作用を伴うことなく心筋のKD(Kinetic cell death)抑制作用を有する心筋壊死や急性心筋梗塞に有効な物質として報告されている(特許文献1及び2参照)。この物質に関しては多くの報告がなされてきており、例えば、心房細動の治療薬として有用であること(特許文献3参照)、制ガン剤に対する効果増強作用を有すること(特許文献4参照)、リアノジン受容体機能の改善及び/又は安定化により、筋小胞体からのCa2+リークを抑制する作用を有すること(特許文献5参照)、筋弛緩促進薬、左室拡張障害の治療薬、狭心症の治療薬、急性肺気腫の治療薬、微小循環系の血流改善薬、高血圧の治療薬、心室性頻拍の治療薬、トルサドポアンの治療薬などとして有用であること(特許文献6参照)などが報告されてきている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】
特開平4−230681号公報
【特許文献2】
WO 92/12148号公報
【特許文献3】
特開2000−247889号公報
【特許文献4】
特開2001−31571号公報
【特許文献5】
特開2003−95977号公報
【特許文献6】
WO 2005/105793号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、心筋弛緩能を高め、心筋弛緩障害を改善させる薬剤として提供するものであるが、また血管平滑筋を弛緩し、血圧を低下させ、高血圧の治療薬となる。さらに、骨格筋、子宮平滑筋の筋弛緩を促進し、筋緊張症や流産の治療薬又は予防薬を提供するものである。
また、本発明は、心拍数を変えずに心筋弛緩機能を促進するという有用な薬理作用などを有する新規な化合物、並びにそれを用いた医薬組成物を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者は、4−[3−(4−ベンジルピペリジン−1−イル)プロピオニル]−7−メトキシ−2,3,4,5−テトラヒドロ−1,4−ベンゾチアゼピン及びその誘導体について各種の薬理作用について検討してきた。これらの化合物が極めて有用な薬理作用を有していることを前記してきた文献に報告されてきている。本発明者はさらに検討を進めてきたところ、そのS−オキシド誘導体が同様な薬理作用と共に、母体の遊離体には無い極めて特異な薬理作用を有していることを見出した。
【0012】
即ち、本発明は、次の一般式[I]
【0013】
【化1】
【0014】
(式中、Rは水素原子又は水酸基を表わす。)
で示される1,4−ベンゾチアゼピン−1−オキシド誘導体又はその薬学的に許容しうる塩に関する。
また、本発明は、前記式[I]で表される1,4−ベンゾチアゼピン−1−オキシド誘導体又はその薬学的に許容しうる塩、及び製薬学的の許容される担体を含有してなる医薬組成物に関する。
【0015】
本発明をより詳細に説明すれば、以下のとおりとなる。
(1)次の一般式[I]
【0016】
【化2】
【0017】
(式中、Rは水素原子又は水酸基を表わす。)
で示される1,4−ベンゾチアゼピン−1−オキシド誘導体又はその薬学的に許容される塩。
(2)1,4−ベンゾチアゼピン−1−オキシド誘導体の薬学的に許容される塩が、蓚酸塩である前記(1)に記載の1,4−ベンゾチアゼピン−1−オキシド誘導体又はその薬学的に許容される塩。
(3)前記(1)又は(2)に記載の1,4−ベンゾチアゼピン−1−オキシド誘導体又はその薬学的に許容される塩、及び製薬学的に許容される担体を含有してなる医薬組成物。
(4)医薬組成物が、心疾患又は高血圧症の治療薬又は予防薬である前記(3)に記載の医薬組成物。
(5)心疾患が、心不全、狭心症、又は心筋梗塞である前記(4)に記載の医薬組成物。
(6)心不全が、左室拡張障害又は心筋弛緩障害によるものである前記(5)に記載の医薬組成物。
(7)高血圧症が、高血圧時における血圧低下作用によるものである前記(4)に記載の医薬組成物。
(8)医薬組成物が、心拍を変化させずに心筋弛緩機能を促進させて、虚血性心疾患、高血圧性心疾患、心不全、心房細動、心室性不整脈に合併した心筋弛緩障害を改善させるための治療剤又は予防薬である、前記(3)に記載の医薬組成物。
(9)1,4−ベンゾチアゼピン−1−オキシド誘導体の薬学的に許容される塩が、その母体化合物である次の一般式[II]
【0018】
【化3】
【0019】
(式中、Rは水素原子又は水酸基を表わす。)
で示される1,4−ベンゾチアゼピン誘導体又はその薬学的に許容される塩を投与することにより生体内で生成されるものである前記(3)〜(8)のいずれかに記載の医薬組成物。
(10)次の一般式[II]
【0020】
【化4】
【0021】
(式中、Rは水素原子又は水酸基を表わす。)
で示される1,4−ベンゾチアゼピン誘導体を酸化して、次の一般式[I]
【0022】
【化5】
【0023】
(式中、Rは水素原子又は水酸基を表わす。)
で示される1,4−ベンゾチアゼピン−1−オキシド誘導体又はその薬学的に許容される塩を製造する方法。
(11)酸化が過酸によるものである前記(10)に記載の方法。
(12)心疾患又は高血圧症の治療薬又は予防薬を製造するための前記一般式[I]で示される1,4−ベンゾチアゼピン−1−オキシド誘導体又はその薬学的に許容される塩の使用。
(13)心筋弛緩障害による心不全の治療薬又は予防薬を製造するための前記一般式[I]で示される1,4−ベンゾチアゼピン−1−オキシド誘導体又はその薬学的に許容される塩の使用。
(14)前記一般式[I]で示される1,4−ベンゾチアゼピン−1−オキシド誘導体又はその薬学的に許容される塩が、その母体化合物である前記一般式[II]で示される1,4−ベンゾチアゼピン誘導体又はその薬学的に許容される塩を投与することにより生体内で生成されるものである前記(12)又は(13)に記載の使用。
(15)心疾患又は高血圧症の治療薬又は予防薬としての、前記一般式[I]で示される1,4−ベンゾチアゼピン−1−オキシド誘導体又はその薬学的に許容される塩。
(16)心筋弛緩障害による心不全の治療薬又は予防薬としての、前記一般式[I]で示される1,4−ベンゾチアゼピン−1−オキシド誘導体又はその薬学的に許容される塩。
(17)心疾患又は高血圧症の患者に、有効量の前記一般式[I]で示される1,4−ベンゾチアゼピン−1−オキシド誘導体又はその薬学的に許容される塩を含有してなる医薬組成物を投与することからなる心疾患又は高血圧症を治療する方法。
(18)心筋弛緩障害による心不全の患者に、有効量の前記一般式[I]で示される1,4−ベンゾチアゼピン−1−オキシド誘導体又はその薬学的に許容される塩を含有してなる医薬組成物を投与することからなる心筋弛緩障害による心不全を治療する方法。
【0024】
前記した一般式[I]で表される本発明の化合物又はその塩は、その母体化合物である一般式[II]で表される化合物又はその塩の生体内での代謝産物と考えられるものであるが、本発明者らが一般式[I]で表される化合物又はその塩を製造し、その性質を詳細に検討したところ、当該一般式[I]で表される化合物又はその塩は、単なる代謝産物ではなく、それ自体が有用な薬理作用を有していることを初めて見出した。
さらに、本発明の一般式[I]で表される化合物又はその塩は、その母体化合物である一般式[II]で表される化合物又はその塩とは異なり、心拍数を増加させることなく、心筋弛緩機能を調整させる作用を有していることから、その母体化合物である一般式[II]で表される化合物又はその塩とは異なる薬理作用を有する物質であると考えられる。
【0025】
心筋収縮力を減少させ、且つ心拍数を減少させる薬剤であるβ遮断薬の使用は、循環器専門医でも投与量の加減が難しく、一般には低用量から使用することが勧められており、高用量の投与は危険とされている。また、冠動脈を拡張させるCa2+拮抗薬は血管拡張作用のため急激に血圧が低下し、一般には低用量から使用することが勧められており、高用量の投与は危険とされている。冠血管を拡張させ、心収縮抑制作用、心拍低下作用を有する薬剤は、その作用が穏やかな薬剤が安全面から求められている。
本発明者らは、本発明の一般式[I]で表される化合物又はその塩が、左室拡張機能を増強する作用があり、血管を拡張させ、心筋収縮力を減少させ、且つ心拍数を減少させる作用が穏やかな、心不全、拡張不全による心不全、左室拡張障害、狭心症又は心筋梗塞の薬剤として極めて有用であることを見出した。さらに、本発明の化合物が、心拍数を変化させずに心筋弛緩機能を促進させ、虚血性心疾患、高血圧性心疾患、心不全、心房細動、心室性不整脈に合併した心筋弛緩障害を改善させる薬剤として有用であることを見出した。
【0026】
また、本発明の一般式[I]で表される化合物又はその塩は、心筋拡張機能を増強させる作用に、冠動脈を拡張させる作用、心拍数を減少させ、心筋収縮力を低下させる作用が、何れも穏やかであることを見出した。
本発明者らは、本発明の化合物が、左室の拡張機能を増強させる有効な作用を有し、且つノルエピネフリン誘発性の左室拡張障害に対する抑制作用を有することを発見した。
本発明は、本発明の化合物を、左室拡張機能を改善し、また、心不全及び拡張不全の際に認められる左室拡張期最小圧と左室拡張末期圧の増加を抑制し、心不全及び拡張不全を改善する有用な薬剤として提供するものである。
また、本発明は、本発明の化合物を、高齢者や高血圧、心肥大に認められる左室拡張障害の患者に投与し左室拡張障害を改善させる治療又は予防する有用な薬剤として提供するものであり、さらに、本発明は、本発明の化合物を、冠動脈に有意の狭窄がある、狭心症や心筋梗塞患者に対して安全な望ましい治療薬又は予防薬として提供するものである。さらに、本発明は、心拍数を変化させずに心筋弛緩機能を促進させ、虚血性心疾患、高血圧性心疾患、心不全、心房細動、心室性不整脈に合併した心筋弛緩障害を改善させる有用な治療薬又は予防薬として提供するものである。
【0027】
したがって、本発明は、このような有用な作用を有する新規な化合物、及びこれらの本発明の化合物を含有してなる医薬組成物を提供するものである。
また、本発明の一般式[I]で表される化合物又はその塩は、その母体化合物である一般式[II]で表される化合物又はその塩の生体内での代謝産物と考えられることから、本発明の医薬組成物は、本発明の一般式[I]で表される化合物又はその塩に代えて、その母体化合物である一般式[II]で表される化合物又はその塩を、そのプロドラッグとして用いることができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明の化合物は、それ自体が、心筋拡張機能を増強させる作用、緩やかに冠動脈を拡張させる作用、及び緩やかに心拍数を低下させる性質を有し、また、心筋への酸素供給量を増加させると共に心筋の酸素消費量を減らす性質を併せ持っている。したがって、本発明は、従来、治療や予防が難しいとされていた、高齢者や高血圧、左室心肥大の左室拡張障害を有する患者や、心不全及び拡張不全による心不全の患者、また、狭心症又は心筋梗塞の患者に対して、安全で望ましい治療薬又は予防薬となる新たな医薬組成物を提供するものである。
さらに加えて、本発明の化合物は、心拍数を変化させずに心筋弛緩を増強させる作用を有し、心筋弛緩障害に有効である。また、本発明の化合物は高血圧に有効な作用を有し、高血圧症の治療薬又は予防薬として有用である。さらに、本発明の化合物は、心拍数を変化させずに、虚血性心疾患、高血圧性心疾患、心不全、心房細動、心室性不整脈に合併した心筋弛緩障害を改善する治療薬又は予防薬として有用である。
本発明の医薬組成物は、経口、舌下、貼付、静脈内投与ができるが、冠動脈内に注入し、診断的に冠動脈攣縮を誘発した後の攣縮の解除、検査中の冠攣縮の予防及び治療に用いられる。
さらにまた、狭心症、特に、狭心症における心筋虚血を治療又は予防するために、又は、心不全、特に拡張不全による心不全に対して、安全で望ましい治療又は予防をするために、本発明の化合物をβ遮断薬やCa2+拮抗薬と併用することにより、β遮断薬やCa2+拮抗薬の使用量を減じることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】図1は、本発明の化合物[III]と、その母体化合物である一般式[II](R=H)で表される化合物における心拍数の変化を比較したものである。
【図2】図2は、本発明の化合物[III]と、その母体化合物である一般式[II](R=H)で表される化合物における左心室の圧の変化を比較したものである。
【図3】図3は、本発明の化合物[III]と、その母体化合物である一般式[II](R=H)で表される化合物における心筋弛緩機能の変化を比較したものである。
【図4】図4は、ノルエピネフリンによる高血圧に対する本発明の化合物[III]における血圧の変化を示したものである。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明は、本発明の化合物、即ち、次の一般式[I]
【0031】
【化6】
【0032】
(式中、Rは水素原子又は水酸基を表わす。)
で示される本発明の化合物の1,4−ベンゾチアゼピン−1−オキシド誘導体又はその薬学的に許容される塩に関する。本発明の好ましい化合物の例としては、次の式[III]
【0033】
【化7】
【0034】
で表される4−[3−(4−ベンジルピペリジン−1−イル)プロピオニル]−7−メトキシ−2,3,4,5−テトラヒドロ−1,4−ベンゾチアゼピン−1−オキシド若しくはその薬学的に許容される塩、及び次の式[IV]
【0035】
【化8】
【0036】
で表される4−{3−[4−(4−ヒドロキシベンジル)ピペリジン−1−イル]プロピオニル}−7−メトキシ−2,3,4,5−テトラヒドロ−1,4−ベンゾチアゼピン−1−オキシド又はその薬学的に許容しうる塩が挙げられる。
【0037】
本発明の化合物は、塩基性の窒素原子を有しているので、この位置において、酸付加塩を形成させることができる。この酸付加塩を形成させるための酸としては、薬学的に許容されるものであれば特に制限はない。本発明の好ましい酸付加塩としては、例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、リン酸塩又は硝酸塩等の無機酸付加塩;シュウ酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩、コハク酸塩、グリコール酸塩、乳酸塩、リンゴ酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、メタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩又はアスコルビン酸塩等の有機酸付加塩;アスパラギン酸塩又はグルタミン酸塩等のアミノ酸付加塩などが挙げられる。また、本発明の化合物又はその酸付加塩は、水和物のような溶媒和物であってもよい。
【0038】
本発明の化合物において、へテロ環の硫黄(S)と酸素(O)の結合(SO)は、強い電気陰性を示す極性原子団を形成し、配位結合であるから、硫黄と酸素の結合については、配位結合であることを示すために、へテロ環S→Oの矢印で示すことができ、また、この配位接合は、へテロ環S+−O−で示すことができる。
本発明の一般式[I]で表される化合物は、一般式[II]で表される化合物を適当な酸化剤で酸化することにより製造することができる。酸化剤としては、過酸、例えば、過酢酸、過安息香酸、メタクロロ過安息香酸(mCPBA)などを使用することができる。溶媒としては、塩化メチレン、クロロホルムなどのハロゲン化炭化水素などを適宜使用することができる。反応温度はスルホンまでの酸化を防止するために低温、例えば、0℃から5℃程度が好ましい。反応混合物から、抽出操作やクロマトグラフィーや蒸留などの公知の分離精製手段により、目的物を分離精製することができる。
例えば、本発明の式[III]で表される化合物である4−[3−(4−ベンジルピペリジン−1−イル)プロピオニル]−7−メトキシ−2,3,4,5−テトラヒドロ−1,4−ベンゾチアゼピン−1−オキシドは、次の反応経路で、
【0039】
【化9】
【0040】
化合物[V]の4−[3−(4−ベンジルピペリジン−1−イル)プロピオニル]−7−メトキシ−2,3,4,5−テトラヒドロ−1,4−ベンゾチアゼピンのヘテロ環の硫黄を、クロロホルム(CHCl3)溶媒中で、酸化剤のメタクロロ過安息香酸(mCPBA)により、酸化することにより製造することができる。
上記の反応経路により、式[V]で示される塩酸塩をクロロホルム溶媒中で、酸化剤のメタクロロ過安息香酸(mCPBA)により酸化することにより製造された本発明の化合物[III]の4−[3−(4−ベンジルピペリジン−1−イル)プロピオニル]−7−メトキシ−2,3,4,5−テトラヒドロ−1,4−ベンゾチアゼピン−1−オキシドは、移動相としてクロロホルム−メタノール混合液を使用して、シリカゲルクロマトグラフィーにより分離し、次いで、分離されたクロロホルム−メタノール共沸溶媒から溶媒を留出し、さらにアルゴン中で残留溶媒を駆出して最終製品とする。このようにして得られた本発明の前記式[III]で示される化合物は、90%以上の純度を有しており、440.61の分子量を有し、アモルファスであり、室温で酸素及び湿度並びに酸及びアルカリに安定であり、エタノール及びジメチルスルホキシド(DMSO)に易溶であり、皮膚刺激性を有している。また、本発明の化合物[III]のシュウ酸塩は、530.65の分子量を有し、純度90%以上で、167〜168℃の融点を有する結晶であり、水、エタノール及びジメチルスルホキシドに可溶である。1H−NMRの室温における測定で、アミド部分における立体異性体が約2:3の割合で存在することが確認されている。
【0041】
また、本発明の式[IV]で表される化合物である4−{3−[4−(4−ヒドロキシベンジル)ピペリジン−1−イル]プロピオニル}−7−メトキシ−2,3,4,5−テトラヒドロ−1,4−ベンゾチアゼピン−1−オキシド又はその薬学的に許容される塩は、前記と同様な酸化反応により、必要により水酸基を保護して製造することができる。また、ラット又はイヌに、その母体化合物である1,4−ベンゾチアゼピン誘導体を投与し、得られた尿及び糞に、水を加えてホモジネートし、その上清を、オクタデシル基を化学結合させたシリカゲル(ODS)を用いる逆相カラムを使用して、移動相は、A液として、0.1%トリフルオロ酢酸(TFA)含有の水を用い、B液として、0.1%TFA含有のアセトニトリルを用いて、グラジエント溶離を用いる高速液体クロマトグラフィーにより、保持時間19〜22分で成分分離した。分離された成分は、マススペクトロメトリーにより、質量荷電比(m/Z)は457であった。なお、本発明の化合物[III]も、本発明の化合物[IV]と同様の手法で、グラジエント溶離を用いる高速液体クロマトグラフィーにより、保持時間27〜30分で成分分離して得ることができる。
【0042】
本発明の一般式[I]で表される化合物又はその塩は、心不全、狭心症、又は心筋梗塞などの心疾患の治療薬又は予防薬、及び高血圧症の治療薬又は予防薬として有用であり、特に、左室拡張障害又は心筋弛緩障害による心不全の治療薬又は予防薬として、さらには、心拍を変化させずに心筋弛緩機能を促進させて、虚血性心疾患、高血圧性心疾患、心不全、心房細動、心室性不整脈に合併した心筋弛緩障害を改善させる治療薬又は予防薬として有用である。
したがって、本発明の一般式[I]で表される化合物又はその塩は、医薬組成物の有効成分として使用することができる。本発明の医薬組成物は、経口、舌下、貼付、静脈内投与ができるが、冠動脈内に注入し、診断的に冠動脈攣縮を誘発した後の攣縮の解除並びに検査中の冠攣縮の予防及び治療に用いられる。さらにまた、このような治療や予防に、β遮断薬やCa2+拮抗薬と併用することにより、β遮断薬やCa2+拮抗薬の使用量を減じることができる。
【0043】
本発明の医薬組成物における有効成分としては、後記する実施例に記載の実験結果からも明らかなように、本発明の一般式[I]で表せる化合物又はその塩に代えて、プロドラッグとしてその母体化合物である一般式[II]で表される化合物又はその塩を使用することもできる。本発明の一般式[I]で表される化合物は、生体内において、その母体化合物である一般式[II]で表される化合物の代謝産物として得られることから、一般式[II]で表される化合物又はその塩を本発明の化合物又はその塩のプロドラッグとして使用することができる。
【0044】
本発明の医薬組成物を経口投与のための固体組成物にする場合には、錠剤、丸剤、散剤、顆粒剤等の剤形が可能である。このような固体組成物においては、一つ又はそれ以上の活性物質が、少なくとも一つの不活性な希釈剤、分散剤又は吸着剤等、例えば乳糖、マンニトール、ブドウ糖、ヒドロキシプロピルセルロース、微晶性セルロース、澱粉、ポリビニルピロリドン、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム又は無水ケイ酸末等と混合され、常法にしたがって製造することができる。
錠剤又は丸剤に調製する場合は、必要により白糖、ゼラチン、ヒドロキシプロピルセルロース又はヒドロキシメチルセルロースフタレート等の胃溶性あるいは腸溶性物質のフィルムで皮膜してもよいし、二以上の層で皮膜してもよい。さらに、ゼラチン又はエチルセルロースのような物質のカプセルにしてもよい。
【0045】
経口投与のための液体組成物にする場合は、薬剤的に許容される乳濁剤、溶解剤、懸濁剤、シロップ剤又はエリキシル剤等の剤形が可能である。用いる希釈剤としては、例えば精製水、エタノール、植物油又は乳化剤等がある。又、この組成物は希釈剤以外に浸潤剤、懸濁剤、甘味剤、風味剤、芳香剤又は防腐剤等のような補助剤を混合させてもよい。
【0046】
非経口のための注射剤に調製する場合は、無菌の水性若しくは非水性の溶液剤、可溶化剤、懸濁剤または乳化剤を用いる。水性の溶液剤、可溶化剤、懸濁剤としては、例えば注射用水、注射用蒸留水、生理食塩水、シクロデキストリン及びその誘導体、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン、トリエチルアミン等の有機アミン類あるいは無機アルカリ溶液等がある。
水溶性の溶液剤にする場合、例えばプロピレングリコール、ポリエチレングリコールあるいはオリーブ油のような植物油、エタノールのようなアルコール類等を用いてもよい。又、可溶化剤として、例えばポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、蔗糖脂肪酸エステル等の界面活性剤(混合ミセル形成)、又はレシチンあるいは水添レシチン(リポソーム形成)等も用いられる。又、植物油等の非水溶性の溶解剤と、レシチン、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油又はポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール等からなるエマルジョン製剤にすることもできる。
【0047】
本発明の一般式[I]で表される化合物若しくはその塩、又はそのプロドラッグである一般式[II]で表される化合物若しくはその塩は、遊離の化合物として、年齢、体重、症状、治療効果、投与方法、処理時間等により異なるが、通常成人一人当たり0.1mg乃至1g、好ましくは1mg乃至1g又は0.1mg乃至0.5gの範囲で、一日一回から数回に分けて経口あるいは非経口投与することができる。
【0048】
以下に、本発明の一実施例をあげて、本発明について更に具体的に説明するが、ここでの例示及び説明により、何ら限定されるものではない。
【実施例1】
【0049】
本発明の式[III]で示される化合物の4−[3−(4−ベンジルピペリジン−1−イル)プロピオニル]−7−メトキシ−2,3,4,5−テトラヒドロ−1,4−ベンゾチアゼピン−1−オキシドの製造
反応容器に、30.0gの前記式[V]で示される化合物の4−[3−(4−ベンジルピペリジン−1−イル)プロピオニル]−7−メトキシ−2,3,4,5−テトラヒドロ−1,4−ベンゾチアゼピン塩酸塩を入れ、これに溶媒のクロロホルム(CHCl3)800mlを加えて、室温下に攪拌して溶解させる。次いで、反応容器を氷水浴に浸して、容器内温度が0〜1℃になるまで冷却した。これに、14.0gのメタクロロ過安息香酸(mCPBA)のクロロホルム(CHCl3)600mlの溶液を、反応温度が上昇しないように留意しながら110分の滴下時間で徐々に滴下した。滴下終了後、0〜1℃で約20分間攪拌した。
次いで、4.14gのNa2SO3の200mlH2O溶液を0〜5℃で1分間かけて滴下し、滴下終了後、0〜5℃で10分間攪拌した。次いで、0〜5℃に保冷しながら、1モル/リットルのNaOH水溶液を1分間かけて滴下した。滴下後、0〜5℃で15〜20分間攪拌した。有機層を分液後、水層を600mlのCHCl3で抽出した。有機層を合わせて、200mlのH2Oで1回、200mlの飽和食塩水で1回洗浄した。有機層を無水Na2SO4で乾燥した後、減圧で濃縮した。
濃縮残渣をシリカゲルクロマトグラフィにより、エタノールで流出させて精製した。目的の化合物は、アモルファス乃至粘性オイル状で13gが得られた。
IR(cm−1) :3452, 2919, 1643, 1594, 1022
1H−NMR(CDCl3 300MHz): δ
1.1-2.95(17H, m), 3.78(3H, s), 3.86-4.16(2H, m),
4.65(2H,s), 6.8-7.65(8H,m)
MS(FD−MS):441(M+)
【実施例2】
【0050】
本発明の化合物[IV]の製造
スプレーグ・ドーリーラット雄3匹に、化合物[IV]の母体化合物を0.3mg/kgの投与量で静脈内投与し、投与後24時間までの尿及び糞を採取し、糞については、水を加えホモジネートを調製した。その後、尿及び糞ホモジネートは3匹のプール試料を調製した。
糞プール試料2gにアセトニトリル溶液4mlを加えて撹拌した後、遠心分離を行い、上清を採取した。得られた上清を窒素気流下、40℃で濃縮乾涸し、この乾涸したものに、アセトニトリル及び水を加えて、再溶解した。この再溶解液を、LC/MSに注入して、保持時間21乃至22分に溶出するものを採取した。m/Zは、457であった。
なお、尿プール試料は、遠心分離した後、上清をLC/MSに注入して、保持時間21乃至22分に溶出するものを採取した。m/Zは、457であった。
【実施例3】
【0051】
試験例1 本化合物[III]の正常ラットの左心室拡張機能に及ぼす影響について
(1)ウィスター(Wistar)系雄性ラットを1週間飼育後、3%イソフルランで吸入麻酔し、気管内挿管後、人工呼吸器を装着した。1.7%イソフルランの吸入麻酔下で、呼吸管理を行った。右総頚動脈から圧測定チップ付カテーテル(2Fミラー社)を左室内に挿入し、また、右大腿静脈から本発明の化合物又は生理食塩水注入用ポリエチレンチューブ(SP10)を挿入した。10分間の血行動態の安定化を図った後に、連続的に1分毎に、左室拡張期最小圧、左室拡張末期圧を測定し、本化合物[III]を0.1mg/kg/分で10分間投与した。対照例では生理食塩水を投与し、各溶液の注入速度は1分間あたり、16.6μlとした。
投与前及び投与後における左室拡張期最小圧及び左室拡張末期圧を20心拍測定した。測定された左室拡張期最小圧及び左室拡張末期圧は、投与前値を100%とし、投与後の値を投与前値に対する値(%表示)で表した。測定値は平均値と標準偏差値で求めた。結果を次の表1及び表2に示す。
【0052】
〈表1〉
生理食塩水の投与前及び投与後の左室拡張期最小圧及び左室拡張末期圧の測定結果
生理食塩水投与前 生理食塩水投与後
左室拡張期最小圧 100% 101.6±4.5%
左室拡張末期圧 100% 102.0±5.2%
生理食塩水の投与では、左室拡張期最小圧、左室拡張末期圧の減少を認めない。
次に、本発明の化合物[III]の投与前及び投与後において測定された左室拡張期最小圧と左室拡張末期圧の結果を次の表2に示す。
【0053】
〈表2〉
本発明の化合物[III]の投与前及び投与後の測定結果
本発明の化合物投与前 本発明の化合物投与後
左室拡張期最小圧 100% 76.0±5.2%
左室拡張末期圧 100% 78.4±6.6%
正常ラットにおいて本発明の化合物[III]の投与により、左室拡張期最小圧と左室拡張末期圧の明らかな低下を認めた。この結果、本発明の化合物が左室拡張能を改善させる作用を有していることがわかった。
【実施例4】
【0054】
試験例2 本発明の化合物[III]の陳旧性梗塞ラットの左心室拡張障害に及ぼす影響について
Wistar系雄性ラットを3%イソフルランで吸入麻酔し、気管内挿管後、人工呼吸器を装着した。1.7%イソフルランの吸入麻酔下で、呼吸管理を行った。左第3肋間で開胸し、心嚢膜を切開後、梗塞群は左冠動脈前下行枝を絹糸(6.0;Ethicon)で完全結紮し、直ちに閉胸した。気管内チューブを抜管し覚醒後、飼育室に戻した。
2ヶ月間飼育後、上記と同様に、麻酔後気管内挿管し、右総頚動脈から圧測定チップ付カテーテル(2Fミラー社)を左室内に挿入し、また、右大腿静脈から生理食塩水あるいは本化合物注入用ポリエチレンチューブ(SP10)を挿入した。10分間の血行動態の安定化を図った後、慢性梗塞ラット群にノルエピネフリン(20μg/kg/分)を30分間投与した。その結果を次の表3に示す。ノルエピネフリン投与20分後に本発明の化合物[III]を0.1mg/kg/分で10分間投与した。1分毎に、左室拡張期最小圧、左室拡張末期圧を20心拍測定した。対照例では生理食塩水を投与し、各溶液の注入速度は1分間あたり、16.6μlとした。心筋梗塞の大きさは本発明の化合物及び対照の生理食塩水を投与したラットの心筋梗塞の大きさはSandmannらの方法(文献)に準じて求めた。即ち、心筋梗塞サイズ(%)は、次の式により求めた。
心筋梗塞サイズ(%)=
{(梗塞外周囲径+梗塞内周囲径)÷2}÷
{(左室外周囲径+左室内周囲径)÷2}×100
本発明の化合物の投与群、及び生理食塩水の投与群のそれぞれの梗塞サイズは各々、24%と26%で大きな差は無かった。
投与前の値を100%とし、投与後の値を投与前値に対する値(%表示)で表した。測定値は、平均値と標準偏差値で求めた。その結果を次の表4(対照)及び表5(本発明の化合物)にそれぞれ示す。
【0055】
〈表3〉
陳旧性心筋梗塞ラットに対するノルエピネフリン誘発性拡張障害の作成
ノルエピネフリン投与前 ノルエピネフリン投与後
左室拡張期最小圧 4.5±0.8mmHg 18.5±1.2mmHg
左室拡張末期圧 6.5±0.7mmHg 25.8±1.1mmHg
陳旧性心筋梗塞ラットにノルエピネフリンを投与すると、左室拡張期最小圧及び左室拡張末期圧の明らかな上昇が認められ、拡張障害が発生したことを示した。
【0056】
〈表4〉
生理食塩水の投与前及び投与後の測定結果
生理食塩水投与前 生理食塩水投与後
左室拡張期最小圧 100% 104.6±4.8%
左室拡張末期圧 100% 105.0±5.1%
陳旧性心筋梗塞ラットにノルエピネフリンを投与後、左室拡張障害を作成し、その後、生理食塩水の投与では、左室拡張期最小圧、左室拡張末期圧の減少を認めず、むしろ投与前に比べてこれらの圧は少し上昇した。
【0057】
〈表5〉
本発明の化合物[III]の投与前及び投与後の測定結果
本発明の化合物[III]投与前 本発明の化合物[III]投与後
左室拡張期最小圧 100% 76.0±5.2%
左室拡張末期圧 100% 78.4±6.6%
陳旧性心筋梗塞ラットにノルエピネフリンを投与後、左室拡張障害を作成し、その後、本発明の化合物[III]を投与することにより、左室拡張期最小圧と左室拡張末期圧は明瞭に低下した。このことから、本発明の化合物[III]が陳旧性心筋梗塞性ラットのノルエピネフリン誘発性拡張障害を改善することが明らかになった。
【0058】
以上の実施例3の試験例1及び実施例4の試験例2の結果は、本発明の化合物[III]が拡張障害を改善し、心不全、特に拡張不全による心不全を改善し、本化合物が拡張機能を増強する薬剤であることを示した。
【実施例5】
【0059】
試験例3
本発明の式[III]又は[IV]で示される化合物の冠動脈拡張作用についての試験
ブタ心臓を購入し、雌雄の区別無く使用した。予め、95%の酸素(O2)及び2、5%の二酸化炭素(CO2)を飽和させて氷冷したクレブ・ヘンゼライト(Krebs-Henseleit)液に摘出された心臓を浸けて運搬し、外径2.5−3mmの冠動脈前下行枝を摘出した。同じ栄養液で1晩冷蔵庫に保存し、翌日、幅3mmの内皮除去短冊(オープンリング)標本を作製し、37℃の温度で、95%の酸素(O2)及び2、5%の二酸化炭素(CO2)を飽和させて氷冷したクレブ・ヘンゼライト(Krebs-Henseleit)液で満たした臓器浴(organ bath)10ml中に懸垂した。一方を固定し他方を、アイソメトリック トランスデューサ(Isometric transducer)(T7-8-240,T7-30-240 オリエンテック)に接続し、張力用アンプで張力の変化を記録した。1.5g負荷下で120分間安定させた後、KCl(40mM)を投与し、収縮が最大に達したら洗い出し(wash out)を行い、この洗い出しを15分間隔で4回行った。安定したKClの収縮が得られた後に、生理食塩水(saline)に溶解したKCl(30mM)を添加し、持続的な収縮を得た後、ジメチルスルホキシド(DSMO)で溶解した本発明の前記式[III]又は[IV]で示される化合物を、0.01〜100μMまで累積的に投与した。被験物質を含まない、クレブ・ヘンゼライト(Krebs-Henseleit)溶液を対照とした。
試験の結果:対照では冠動脈の弛緩作用は0%であった。しかし、本発明の前記式[III]又は[IV]で示される化合物は、濃度依存的に、ブタ摘出冠動脈を弛緩させる作用を示した。前値を100%とし、冠動脈の最大収縮を50%弛緩させるための本発明の前記式[III]又は[IV]で示される化合物の濃度(EC50%)は、それぞれ42μM、100μMであった。
【実施例6】
【0060】
試験例4
本発明の前記式[III]又は[IV]で示される化合物の収縮能力低下作用についての試験
SLCHartley系、雄性モルモット(900−1200g)を使用した。頭部打撲後、頚動脈を切断し、放血致死させた後、開胸し、心臓を摘出した。右心房を心室より切離し、右心房標本を作製した。これを、31℃で、95%の酸素(O2)及び2.5%の二酸化炭素(CO2)含有する気体の通気下のクレブ・ヘンゼライト(Krebs−Henseleit)液で満たした臓器浴(Organ bath)20ml中に懸垂し、一方を固定し、アイソメトリック トランスデューサ(isometric transducer)(TB−651−T:日本光電工業)に接続した。右心房標本は自発収縮を指標として薬物の作用を評価した。張力は張力用アンプ(EF601G)を介してレコーダー(RECTIGRAPH−8K日本電気三栄)に記録した。0.5〜1.0gの負荷下で60−90分間安定させた後、ジメチルスルホキシド(DSMO)に溶解した本発明の式[III]又は[IV]で示される化合物の 0.01−100μMを累積的に投与した。被験物質を含まない、クレブ・ヘンゼライト(Krebs−Henseleit)溶液を対照とした。投与前値を100%として、最大収縮を50%抑制させる濃度(IC50値)を求めた。
試験結果:対照群では、自発収縮の抑制は9%であった。本発明の式[III]又は[IV]で示される化合物は、濃度依存的に、モルモット右心房の自発収縮の大きさを抑制する作用を示した。前値の収縮振幅の最大値を100%とし、これを50%抑制する[III]又は[IV]の濃度(IC50)は各々36μM、110μMであった。
実施例7
[0061]
試験例5
本発明の式[III]又は[IV]で示される化合物の心拍数低下作用についての試験
雄性モルモット(900−1200g)を使用した。頭部打撲後、頚動脈を切断し、放血致死させた後、開胸し、心臓を摘出した。右心房を心室より切離し、右心房標本を作製した。これを、31℃、95%の酸素(O2)及び2、5%の二酸化炭素(CO2)を含有する気体の通気下のクレブス・ヘンゼライト(Krebs−Henseleit)液で満たした臓器浴(Organ bath)の20ml中に懸垂し、一方を固定し、他方をアイソメトリック トランスデューサ(isometric transducer)(TB-651-T:日本光電工業)に接続した。右心房標本については、自発性収縮による拍動数をレコーダー(RECTIGRAPH−8K日本電気三栄)に記録した。ジメチルスルホキシド(DSMO)に溶解した本発明の式[III]又は[IV]で示される化合物の0.01−100μMを累積的に調べた。
検出結果:対照群では、右心房の心拍数の抑制はできなかった。本発明の式[III]又は[IV]で示される化合物は、濃度依存的に、モルモット右心房の1分間あたりの心拍数を抑制する作用を示した。前値を100%とし、最大収縮を50%抑制する[III]又は[IV]の濃度は35μM、110μMであった。
【0062】
以上の3実施例から本発明の式[III]又は[IV]で示される化合物は、冠血管を拡張する作用、心収縮を減らす作用及び心拍数を抑制する作用があることが明らかとなった。
【実施例8】
【0063】
試験例6
化合物[III]の心拍数、左室圧、心筋弛緩機能に対する作用と化合物[II](R=H)の比較
実験方法
体重280−300gのWistar系雄性ラットを1週間飼育後、3%イソフルランで吸入麻酔し、気管内挿管後、人工呼吸器を装着した。1.7%イソフルランの吸入麻酔下で、呼吸管理を行った。右総頚動脈から圧測定チップ付カテーテル(2Fミラー社)を左室内に挿入し、また、右大腿静脈から本発明の化合物[III]又は化合物[II](R=H)の注入用ポリエチレンチューブ(SP10)を挿入した。10分間の血行動態の安定化を図った後に、連続的に1分毎に、心拍数、左室圧、最大陰性dP/dtを測定した。本発明の化合物[III]及び化合物[II]を0.3mg/kg/分で5分間投与した。各群4匹のラットで検討した。溶媒は0.05%クエン酸と5%ソルビトール溶液を使用した。投与前及び投与5分後における各パラメーターについて、20心拍を測定した。その結果を図1、図2及び図3に示す。
【0064】
1)本発明の化合物[III]と化合物[II](R=H)の心拍への影響
心拍数(拍/分)は、本発明の化合物[III]投与前は361.7±26.5であり、投与後は360.9±29.1で有意差を認めなかった。一方、化合物[II](R=H)の投与では、投与前370.1±18.9であり、投与後は320.2±24.2で、有意に低下した(図1参照)。以上より、本発明の化合物[III]は心拍数を変化させず、化合物[II](R=H)は心拍数を有意に低下させ、両者が異なる薬理作用を有することが判った。
2)本発明の化合物[III]と化合物[II](R=H)の左室圧への影響
本発明の化合物[III]の投与で左室圧は(mmHg)は、投与前は106.0±5.8であり、投与後は106.3±5.5で有意差はなかった。また、化合物[II](R=H)の投与では、投与前103.7±4.2であり、投与後は 100.8±6.0で、若干の減少があったが有意差は認めなかった(図2参照)。
3)本発明の化合物[III]と化合物[II](R=H)の心筋弛緩機能の比較
本発明の化合物[III]の投与で、心筋弛緩機能(mmHg/秒)は、投与前は−5631.4±395.9で、投与後は−5982.6±520.1で有意に改善した。一方、化合物[II](R=H)の投与では、心筋弛緩機能(mmHg/秒)は、投与前−5973.4±1121.3で、投与後は−5311.0±961.4で、有意に低下した(図3参照)。
以上より、本発明の化合物は心筋弛緩機能を有意に改善させるのに対し、その母体化合物である化合物[II]は心筋弛緩機能を有意に減弱させ、両者が異なる薬理作用を示すことが明らかになった。
【0065】
以上より、本発明において、本発明の一般式[I]で表されるS−オキシド化合物は心拍数を変化させず、心筋弛緩機能を改善するのに対して、その母体化合物である一般式[II]で表される化合物は心拍数を減らし、心筋機能を減弱させることから、本発明の化合物とその母体化合物である一般式[II]で表される化合物とは薬理作用が異なり、異なる性質を有する物質であることが明らかとなった。
【実施例9】
【0066】
試験例7 本発明の化合物[III]の高血圧に対する作用について
実験方法
体重260gのウィスター(Wistar)系雄性ラットを3%イソフルランで吸入麻酔し、気管内挿管後、人工呼吸器を装着した。1.7%イソフルランの吸入麻酔下で、呼吸管理を行った。右総頚動脈から圧測定チップ付カテーテル(2Fミラー社)を左室内に挿入し、また、右大腿静脈から本化合物注入用ポリエチレンチューブ(SP10)を挿入した。10分間の血行動態の安定化を図った後、ノルエピネフリン(20μg/kg/分)を投与し、投与開始10分後に本発明の化合物[III]を0.1mg/kg/分で10分間投与した。10分間隔で本発明の化合物[III]の投与を3回繰り返した。本発明の化合物[III]投与前後の左室圧を20心拍測定した。各溶液の注入速度は1分間あたり、16.6μlとした。その結果を図4に示す。その結果、本発明の化合物[III]の投与前の左室圧(mmHg)は、189.2±14.0であり、投与後は 180.3±14.9で、本発明の化合物[III]投与により左室圧は有意に低下した(図4参照)。
Claims (11)
- 1,4−ベンゾチアゼピン−1−オキシド誘導体の薬学的に許容される塩が、蓚酸塩である請求項1に記載の1,4−ベンゾチアゼピン−1−オキシドの薬学的に許容される塩。
- 請求項1又は2に記載の1,4−ベンゾチアゼピン−1−オキシド誘導体又はその薬学的に許容される塩、及び製薬学的に許容される担体を含有してなる医薬組成物。
- 医薬組成物が、心疾患又は高血圧症の治療薬又は予防薬である請求項3に記載の医薬組成物。
- 心疾患が、心不全、狭心症、又は心筋梗塞である請求項4に記載の医薬組成物。
- 心不全が、左室拡張障害又は心筋弛緩障害によるものである請求項5に記載の医薬組成物。
- 高血圧症が、高血圧時における血圧低下作用によるものである請求項4に記載の医薬組成物。
- 医薬組成物が、心拍を変化させずに心筋弛緩機能を促進させて、虚血性心疾患、高血圧性心疾患、心不全、心房細動、心室性不整脈に合併した心筋弛緩障害を改善させる治療薬又は予防薬である請求項3に記載の医薬組成物。
- 酸化が過酸によるものである請求項10に記載の方法。
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