JP4808668B2 - 鋼板張力制御方法及び連続圧延システムの制御方法 - Google Patents
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また、下記特許文献4や特許文献5では、ペイオフリール部に装着した鋼板コイルから鋼帯を送り出すとき、腰折れ欠陥発生が懸念される場合に、押さえロールとラフレベラーとを開放するか、又は押込み量を緩和させて通板する方法が開示されており効果を発揮している。
なお、本願明細書においては各装置の製造ラインの上流側を当該装置の前、下流側を当該装置の後とも記す。
ε=(Ld ― Le) / Le × 100 [%] ・・・ (1)
ここで、εは鋼板の伸び率、Leは圧延機前の測長ロールにて測定した鋼板の送り長さ測定値、LdはLeを計測した際に圧延機出側の測長ロールにて測長した圧延機出側での鋼板の送り長さ測定値である。
(a) 予め前記複数鋼種の鋼板のうちで腰折れ欠陥が発生しやすい鋼種の鋼板を腰折れ欠陥発生懸念材とし、その他の鋼板と区別し、圧延スケジュールデータとして圧延機の制御系に入力して記憶させ、
(b)該圧延機の制御系は、前記圧延スケジュールデータを基に、腰折れ欠陥発生懸念材の先端部と尾端部の各溶接点をトラッキングし、腰折れ欠陥発生懸念材の先端部の溶接点が前記テンションメータロール及びテンションメータデフレクターロールを通過する直前に先端部接近信号を出力するとともに、腰折れ欠陥発生懸念材の尾端部の溶接点が前記テンションメータロール及びテンションメータデフレクターロールを通過した直後に尾端部通過信号を出力し、
(c)前記先端部接近信号の入力により、前記テンションメータロール及びテンションメータデフレクターロールは鋼板の圧下を開放するとともに、前記ブライドルロールの駆動負荷の測定値から求められたトルク値τと、該ブライドルロールの上流に設置された張力検出により測定された張力測定値Tfから算出される圧延機前の鋼板張力の推定値Testに基づいて鋼板張力を制御し、
(d)前記尾端部通過信号の入力により、前記テンションメータロール及びテンションメータデフレクターロールは鋼板の圧下を復帰し、圧下抗力から測定された圧延機前の鋼板張力の測定値Tactに基づいて鋼板張力を制御することを特徴とする。
図1は、本発明の圧延機前テンションメータロールの制御方法及び圧延機の制御方法を適用する、鋼板の製造ライン内の圧延機およびその周辺付帯設備からなる圧延システムの機械設備構成の一例の概略図である。
一方、圧延機3における伸び率FBK(フィードバック)制御は、圧延機の前及び後のロールに設置された測長用パルス発信器9,8から出力されるパルス数から、各々のロールでの鋼板の送り長さLe、Ldを測定して、(1)式によって鋼板に付与されている伸び率εを導出し、その結果に基づいて圧延機の圧下を操作することで実行される。
なお、上記の測長用パルス発信器9,8以外にも、鋼板の製造ラインには鋼板の移動を検知するための、鋼板面にローラを密着・回転させて、設定されたローラの回転角度ごとにパルス信号を出力するロータリーエンコーダ等のパルス発振器(以下ではPLG16と記す)を備えている。又、溶接点に形成される貫通孔を検出した時に位置信号を出力する溶接点検出器(図示せず)を設置しても良い。
まず、通板スケジュールを統括する制御装置(例えば当該圧延機が設置されている製造工程を統括するプロセス=コンピュータ)からのスケジュール信号を圧延スケジュールデータとして記憶部である内蔵メモリ(図示せず)に記憶する。圧延機前のテンションメータロール4及びデフレクターロール5を通板する時に腰折れ欠陥の発生が懸念される鋼板の先頭部が接近してくることを、圧延スケジュールデータ、並びに、PLG16や溶接点検出器(図示せず)の測定信号に基づいて、鋼板トラッキング部17でプロセス対象である複数の鋼板を連結した鋼板の各先頭の溶接点をトラッキングすることで検出して先端部接近信号を出力する。(接近検知工程とする)
この先端部接近信号に基づいて、図2に示すように、Tロール開閉用アクチュエータ駆動部13はテンションメータロール4を、又、Dロール開閉用アクチュエータ駆動部14はテンションメータデフレクターロール5を開放する。(開放工程とする)
その際、テンションメータロール4を開放することにより、テンションメータ6による圧延機前張力の実際値が直接測定できなくなる。その対策として、圧延機前ブライドルロール7の駆動負荷から測定するトルク実績値τ、及び当該圧延機前ブライドルロール7の前方に設置された張力計15から得られる前方張力実績値Tfを基にして、下記の(2)式を用いて圧延機前張力の推定値Testを導出する。なお、ブライドルロール7のトルク実績値τは、通常ブライドル駆動用電動機の駆動装置にて、電流、電圧実績値より演算によって求める。
Test=Tf + τ×α + Tadj ・・・ (2)
ここで、Tfは、圧延機前ブライドルロール7の前方張力実績値、τは圧延機前ブライドルロール7のトルク実績値、αは予め校正されたトルクから張力への換算係数、Tadjはテンションメータロール4およびテンションメータデフロール5を開放する前後で、張力実績値が急変しないようにするための補正値であり、ある時刻にテンションメータロール4の開放動作直前のテンションメータ6で測定する張力実績値Tres_bと、同時刻におけるトルク実績からの張力推定値との差として、(3)式によって予め求めておく。
Tadj=Tres_b - (Tf_b+τ_b×α) ・・・ (3)
ここで、Tres_bはテンションメータロール4を開放させる直前のテンションメータ6での張力実績測定値、Tf_bは圧延機前ブライドルロール7の前方の張力実績Tfの同時刻における値、τ_bは同じく同時刻における圧延機前ブライドルロール7のトルク実績値である。
当該尾端部通過信号に基づいて、Tロール開閉用アクチュエータ駆動部13及びDロール開閉用アクチュエータ駆動部14それぞれでテンションメータロール4及びテンションメータデフレクターロール5を再度圧下し、腰折れ欠陥発生懸念材ではない鋼板を圧延する通常の操業状態に戻すとともに、圧延機3とブライドルロール7間で実施される張力制御において使用する張力実績値として、式(2)にて推定していた圧延機前張力推定値から、直接テンションメータ6より測定される張力実績値に切替える。(圧下工程とする)
上記のように腰折れ欠陥発生懸念材が圧延機及びその周辺を通過するのに際して、圧延機前テンションメータロール4とテンションメータデフレクターロール5とが開閉動作している最中は、圧延機前で鋼板1が通板するパス長が変化するため、圧延機3の前後の測長パルス発信器8,9からのパルス数によって演算される見かけ上の伸び率測定値εが±1%以上の振幅で大きく変動する。そのために、その際に当該伸び率測定値εを用いて伸び率FBK制御を実施すると、誤った測定値に基づいて圧延機の圧下シリンダを過度に締込み、又は、開放させてしまい、安定的な通板が出来なくなる。その対策として、図4にブロック図で示す圧延制御装置で、圧延機前のテンションメータロール4とテンションメータデフレクターロール5の開閉動作中は、テンションメータロール開閉用アクチュエータ11若しくはテンションメータデフロール開閉用アクチュエータ12、又はテンションメータロール等に取り付けた位置センサ(図示せず)から出力される、テンションメータロール/テンションメータデフレクターロールの開閉動作の状態監視信号に基づいて、制御系切替器31にて制御方式切替えスイッチング指令信号を生成する。
まず、S101にて腰折れ欠陥発生が懸念される材料が圧延機部に接近してきたことをPLG16等で検知して、溶接点接近信号を出力する。
S102にて、当該先端部接近信号に基づいて、Tロール開閉用アクチュエータ駆動部13でテンションメータロール、及びDロール開閉用アクチュエータ駆動部14でテンションメータデフロールの開放動作を開始する。
同時に、圧延機入側張力推定器41においてS103にて(3)式にて求められるTadjを演算する。
S104にて張力制御に用いる張力実績値を、それまでのテンションメータによる検出値から、(2)式にて求められる張力推定値に切替え、張力制御器42にて張力制御の実施を継続させる。
圧延機の圧下制御系に関しては、S105にて圧延荷重実績値をロックオン処理(圧延力ロックオン器40にて実施)する。
S106にてそれまで実施してきた伸び率FBK制御を一旦OFFし、当該ロックオン荷重一定制御を開始する。当該切り替え処置は、制御切替え器31にて切替え判定をし、切替え部35にて実際の制御方式切替え処理を実施する。
さらに圧下制御系については、S107にてテンションメータロール及びデフロールの開放動作完了をTロール開閉用アクチュエータ駆動部13及びDロール開閉用アクチュエータ駆動部14にて検出したら、再びS108にて制御切替え器31及び切替え部35にて伸び率FBK制御に復帰させる。
それと同時に、圧延機前張力制御系については、S111にて張力制御器42での張力制御に用いる張力実績値を張力推定器41にて推定される張力推定値から、テンションメータ6による検出値に復帰させる。
また、圧延機の圧下制御系に関しては、S112にて圧延荷重実績値をロックオン処理(圧延力ロックオン器40にて実施)する。
S113にてそれまで実施してきた伸び率FBK制御を一旦OFFし、当該ロックオン荷重一定制御を開始する。当該切り替え処置は、制御切替え器31にて切替え判定をし、切替え部35にて実際の制御方式切替え処理を実施する。
さらに圧下制御系については、S114にてテンションメータロール及びデフロールの圧下動作完了をTロール開閉用アクチュエータ駆動部13及びDロール開閉用アクチュエータ駆動部14によって検出したら、再びS115にて制御切替え器31及び切替え部35によって伸び率FBK制御に切替え、通常の圧延操業状態に復帰させる。
<その他の実施の態様>
前記の図4に示した各制御及び演算器等からなる圧延機の制御装置は、パルス発信器8,9、ロール開閉用アクチュエータ駆動部13,14、張力測定用センサー15、及びPLG16等の圧延機に付帯する各センサーや駆動部とのI/O部、製造工程を統括するプロセス=コンピュータ等の外部コンピュータとデータの送受信をするネットワーク接続部、キーボードやマウス等のI/O部、内部メモリ、HDDやDVD−RAM等の外部記録装置、及び操作画面や制御状態を作業者に提示するためのコンピュータ=ディスプレー等を具備するコンピュータで構成することができる。
図6の上段のチャートは縦軸に伸び率測定値、圧延荷重指令値、張力実績値を示しており、横軸は圧延中の経過時間を表しており、下段は上記チャートの各期間において、張力制御及び圧下制御の制御切替え状況の実績値を表している。操業中における腰折れ欠陥懸念材通板に伴い、自動的に圧延機前テンションメータロール及びテンションメータデフロールを開放させ、腰折れ発生を防止すると同時に、圧延機前張力制御に使用する張力実績値を、テンションメータにおける検出値から、前記(2)式にて求められる推定値に切替え、且つ当該ロール開放中における伸び率測定値の大幅変動の影響を受けないように、通常の伸び率FBK制御から荷重ロックオン制御に切替え、ロール開放動作完了後、通常の伸び率FBK制御に復帰させることで、安定操業の継続を実現している。また、腰折れ欠陥懸念材通過後は自動的に圧延機前テンションメータロール及びテンションメータデフロールを圧下状態に戻し、通常操業状態に復帰させると同時に、張力実績値として使用していた張力推定値からテンションメータにて検出される張力検出値に復帰させ、且つ当該ロール圧下動作中における伸び率測定値の大幅変動の影響を受けないように、通常の伸び率FBK制御から荷重ロックオン制御に切替え、圧下動作完了後に再び伸び率FBK制御に復帰させることで、安定操業の継続を実現させている。
2:異なる鋼板同士を接続しているの溶接点
3:圧延ロール部
4:圧延機前のテンションメータロール
5:圧延機前のテンションメータデフロール
6:圧延機前張力測定用のテンションメータ
7:圧延機前ブライドルロール
8:圧延機出側鋼板測長用のパルス発信器
9:圧延機入側鋼板測長用のパルス発信器
10:ワークロール
11:テンションメータロール開閉用アクチュエータ
12:テンションメータデフロール開閉用アクチュエータ
13:Tロール開閉用アクチュエータ駆動部
14:Dロール開閉用アクチュエータ駆動部
15:ブライドルロール前方張力測定用センサー
16:PLG
17:鋼板トラッキング部
18:第2鋼板トラッキング部
31:制御切替え器
32:伸び率FBK制御器
33:圧延力一定制御器
34:伸び率測定値
35:切替え部
37:圧延荷重実績検出器
38:ロックオン荷重値
39:伸び率演算器
40:圧延力ロックオン器
41:圧延機入側張力推定器
42:張力制御器
Claims (2)
- 複数鋼種の鋼板の先端部と尾端部がそれぞれ溶接点で連結されて連続的に圧延される連続圧延における圧延機の上流側に設置されたテンションメータロール及びテンションメータデフレクターロールの圧下抗力から測定された圧延機前の鋼板張力の測定値Tactに基づいて、圧延機と該圧延機の上流側に設置されたブライドルロールにより鋼板張力を制御する鋼板張力制御方法において、
(a) 予め前記複数鋼種の鋼板のうちで腰折れ欠陥が発生しやすい鋼種の鋼板を腰折れ欠陥発生懸念材とし、その他の鋼板と区別し、圧延スケジュールデータとして圧延機の制御系に入力して記憶させ、
(b)該圧延機の制御系は、前記圧延スケジュールデータを基に、腰折れ欠陥発生懸念材の先端部と尾端部の各溶接点をトラッキングし、腰折れ欠陥発生懸念材の先端部の溶接点が前記テンションメータロール及びテンションメータデフレクターロールを通過する直前に先端部接近信号を出力するとともに、腰折れ欠陥発生懸念材の尾端部の溶接点が前記テンションメータロール及びテンションメータデフレクターロールを通過した直後に尾端部通過信号を出力し、
(c)前記先端部接近信号の入力により、前記テンションメータロール及びテンションメータデフレクターロールは鋼板の圧下を開放するとともに、前記ブライドルロールの駆動負荷の測定値から求められたトルク値τと、該ブライドルロールの上流に設置された張力検出により測定された張力測定値Tfから算出される圧延機前の鋼板張力の推定値Testに基づいて鋼板張力を制御し、
(d)前記尾端部通過信号の入力により、前記テンションメータロール及びテンションメータデフレクターロールは鋼板の圧下を復帰し、圧下抗力から測定された圧延機前の鋼板張力の測定値Tactに基づいて鋼板張力を制御することを特徴とする鋼板張力制御方法。 - 請求項1に記載の鋼板張力制御方法を用いる連続圧延システムの制御方法であって、
前記テンションメータロール及びテンションメータデフレクターロールの開放又は圧下動作の際に、前記先端部接近信号又は尾端部通過信号によって、前記開放又は圧下動作の開始時における圧延機の圧延力実績値をロックオン処理してロックオン荷重を導出し、
通常時における圧延機の圧延力の制御である伸び率FBK制御を一旦OFFし、
前記ロックオン荷重での圧延力一定制御に切替えて圧延力を制御し、
前記テンションメータロール及びテンションメータデフレクターロールの開放又は圧下動作の完了後に伸び率FBK制御を再開させることを特徴とする連続圧延システムの制御方法。
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