JP4146383B2 - 型締装置の金型保護方法 - Google Patents

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本発明は、金型を閉鎖する型閉区間に設定した金型保護区間における負荷トルクの変動に基づき異物等の異常を検出して金型を保護する型締装置の金型保護方法に関する。
一般に、射出成形機に備える金型を型締するトグル式型締装置は、特公平6−61806号公報等で知られている。トグル式型締装置は、同公報で開示されるように、可動型を支持する可動盤と駆動部により進退変位するクロスヘッド間をトグルリンク機構により連結し、クロスヘッドの加圧力を増圧して可動盤に伝達する機能を有しており、トグルリンク機構がほぼ伸長しきった状態におけるタイバーの伸びに基づいて所定の型締力が発生する。また、型締動作では、通常、図9に示すように、型開位置Xaから高速型閉が行われ、予め設定された低速低圧切換位置Xbに達したなら低速低圧型閉に移行する。この低速低圧型閉は、金型保護区間となり、正常に排出されない成形品(異物)が金型に挟まった際に、金型の損傷等を回避する異常処理が行われる。そして、予め設定された高圧切換位置Xcに達したなら高圧型締に移行して高圧型締が行われる。なお、Xdは型締終了位置を示し、型締動作における負荷トルクTの変化は同図のようになる。
従来、上述した金型保護区間における金型保護方法としては、特許2772587号公報で開示される電動射出成形機の金型保護制御方法が知られている。この方法は、金型間に異物がない状態で型閉じを行い、少なくとも金型保護区間において複数設定された可動金型位置に対して、可動金型に加わる負荷を記憶しておき、型閉じが開始される毎、可動金型の位置及び負荷を検出し、設定された位置に対応する検出負荷と記憶された負荷とを比較し、検出負荷が記憶された負荷よりも所定値以上のときに金型保護異常検出手段を作動させ、運転を停止させるようにしたものである。
特公平6−61806号 特許2772587号
しかし、上述した金型保護制御方法をはじめ、型締装置における従来の金型保護方法は、次のような問題点があった。
第一に、金型保護区間の長さ(終了位置)の設定については重要視されていないため、特に、極薄のシート状成形品の場合には、異物として金型に挟まれた状態にあるのか否かを判別しにくく、誤検出或いは検出不能を招きやすい。
第二に、異物の検出は、絶対値となる負荷の大きさを比較する手法を用いるが、負荷の大きさは、温度ドリフト等の外乱により直接影響を受けやすいため、異物を検出する閾値(所定値)は余裕のある大きめの値に設定せざるを得ない。この結果、異物の検出時には、異物及び金型の双方に大きな力(負荷)が付与されることになり、金型を保護する観点からは不十分となる。
第三に、金型保護区間の設定は、通常、オペレータの数値設定に基づいて行われるが、上述した極薄のシート状成形品のような場合、極めて短い区間における微妙な位置設定が要求されるため、金型保護区間の終了位置を的確(正確)かつ容易に設定することができない。
本発明は、このような背景技術に存在する課題を解決した型締装置の金型保護方法の提供を目的とするものである。
本発明に係る型締装置の金型保護方法は、上述した課題を解決するため、金型1を閉鎖する区間に所定の金型保護区間を設定し、この金型保護区間における異物等の異常を検出して金型1を保護するに際し、予め、金型閉鎖位置Csを検出し、この金型閉鎖位置Cs及び成形される成形品の厚さに基づいて、少なくとも成形品が金型1に挟まれたことを検出する金型閉鎖モニタの終了位置Xfを、金型閉鎖位置Csの手前に設定するとともに、生産稼働時に、金型1の閉鎖に伴う、可動盤2又はトグル式型締装置Mcにおけるクロスヘッド3の一定移動量ΔXに対する負荷トルクTの変動率(変動量を含む)ΔTを検出し、終了位置Xfまでに変動率ΔTが予め設定した設定値に達したなら、金型1を保護する異常処理を行うことを特徴とする。
この場合、発明の好適な態様により、金型閉鎖モニタの終了位置Xfは、予め、金型1を閉鎖する区間に第一の金型保護区間Zd1を設定するとともに、金型閉鎖位置Csを検出した後、第一の金型保護区間Zd1の終了位置Xeと金型閉鎖位置Csの間に、第二の金型保護区間Zd2の終了位置として設定することができる。一方、成形機コントローラ4に付属するディスプレイ5の表示画面5vに、横軸にクロスヘッド3の位置を目盛り、かつ縦軸に負荷トルクTを目盛ることにより、クロスヘッド3の位置に対する負荷トルクTの変動曲線Wをグラフィック表示するグラフィック表示部6を設け、このグラフィック表示部6に、金型閉鎖モニタの終了位置Xfをカーソル7cにより表示することができるとともに、このグラフィック表示部6には、さらに、金型閉鎖位置Cs(Ds,Dd)をカーソル8c,9cにより表示することができる。また、表示画面5vに、数値表示部7を設け、この数値表示部7に、金型閉鎖モニタの終了位置Xfをクロスヘッド3の位置により数値表示することができる。
このような手法による本発明に係る型締装置の金型保護方法によれば、次のような顕著な効果を奏する。
(1) 予め検出した金型閉鎖位置Cs及び成形品の厚さに基づいて、金型閉鎖位置Csの手前に金型閉鎖モニタの終了位置Xfを設定するため、特に、極薄のシート状成形品に対しても異物として金型1に挟まれた状態にあるのか否かを確実に判別することができる。この結果、誤検出或いは検出不能を招く不具合を回避し、金型保護に対する安定性及び信頼性を高めることができる。
(2) 金型1の閉鎖に伴う可動盤2又はトグル式型締装置Mcにおけるクロスヘッド3の一定移動量ΔXに対する負荷トルクTの変動率(変動量を含む)ΔTを用いたため、負荷トルクT自体(絶対値)を用いる場合に比べ、閾値を小さく(低く)設定できるため、より迅速に検出を行うことができる。この結果、異物及び金型の双方に大きな力(負荷)が付与される前に検出することができ、金型保護が不十分となる不具合を回避することができる。
(3) 好適な態様により、金型閉鎖モニタの終了位置Xfを設定するに際し、予め、第一の金型保護区間Zd1を設定するとともに、金型閉鎖位置Csを検出した後、第一の金型保護区間Zd1の終了位置Xeと金型閉鎖位置Csの間に、第二の金型保護区間Zd2として設定すれば、第二の金型保護区間Zd2により成形品を異物として検出し、第一の金型保護区間Zd1により成形品以外の異物或いは他の原因による異常を検出できるため、より確実で的確な金型保護を図ることができる。
(4) 好適な態様により、表示画面5vに、横軸にクロスヘッド3の位置を目盛り、かつ縦軸に負荷トルクTを目盛ることにより、クロスヘッド3の位置に対する負荷トルクTの変動曲線Wをグラフィック表示するとともに、金型閉鎖モニタの終了位置Xfをカーソル7cにより表示し、さらに、金型閉鎖位置Cs(Ds,Dd)をカーソル8c,9cにより表示すれば、終了位置Xfの設定に対する最適なツールとして利用でき、極薄のシート状成形品に対する終了位置Xfの設定のように、極めて短い区間において微妙な位置設定が要求される場合であっても、的確(正確)かつ容易に設定することができる。
(5) 好適な態様により、表示画面5vに設けた数値表示部7に、金型閉鎖モニタの終了位置Xfをクロスヘッド3の位置により数値表示すれば、グラフィック表示部6によるグラフィック表示と併せ、極薄のシート状成形品に対する終了位置Xfであっても、より的確(正確)かつ容易に設定することができる。
次に、本発明に係る最良の実施形態を挙げ、図面に基づき詳細に説明する。
まず、本実施形態に係る金型保護方法を実施できるトグル式型締装置Mcの構成について、図1〜図4(図8)を参照して説明する。
図2は、射出成形機Mを示し、この射出成形機Mは、トグル式型締装置Mcと射出装置Miを備える。トグル式型締装置Mcは、離間して配した固定盤11と圧受盤12を備え、固定盤11は不図示の機台上に固定されるとともに、圧受盤12は当該機台上に進退変位可能に支持される。また、固定盤11と圧受盤12間には、四本のタイバー13…を架設する。この場合、各タイバー13…の前端は、固定盤11に固定するとともに、各タイバー13…の後端は、圧受盤12に対して挿通させ、かつ後端側に形成したねじ部14…に、圧受盤12に対するストッパを兼ねる調整ナット15…をそれぞれ螺合する。
各調整ナット15…は、圧受盤12の位置を調整する型厚調整機構16を構成する。この型厚調整機構16は、さらに、各調整ナット15…に対して同軸上に一体に設けた小歯車17…と、各小歯車17…に噛合する大歯車18と、この大歯車18に噛合する駆動歯車19と、この駆動歯車19を回転シャフトに設けた型厚調整モータ20と、この型厚調整モータ20の回転数を検出するロータリエンコーダ21を備えている。
この場合、各小歯車17…は、正方形の四隅位置にそれぞれ配され、かつ大歯車18は各小歯車17…に囲まれる位置に配するため、各小歯車17…は、大歯車18に同時に噛合する。これにより、型厚調整モータ20を作動させれば、駆動歯車19の回転が大歯車18に伝達され、各小歯車17…は同時に回転するとともに、一体に回転する各調整ナット15…は、各タイバー13…のねじ部14…に沿って進退移動するため、圧受盤12も進退移動し、その前後方向位置を調整することができる。
一方、タイバー13…には、可動盤2をスライド自在に装填する。この可動盤2は可動型1mを支持するとともに、固定盤11は固定型1cを支持し、可動型1mと固定型1cは金型1を構成する。また、圧受盤12と可動盤2間にはトグルリンク機構Lを配設する。トグルリンク機構Lは、圧受盤12に軸支した一対の第一リンクLa,Laと、可動盤2に軸支した一対の出力リンクLc,Lcと、第一リンクLa,Laと出力リンクLc,Lcの支軸に結合した一対の第二リンクLb,Lbを有し、この第二リンクLb,Lbはクロスヘッド3に軸支する。
さらに、圧受盤12とクロスヘッド3間には型締用駆動部22を配設する。型締用駆動部22は、圧受盤12に回動自在に支持されたボールねじ部23sと、このボールねじ部23sに螺合し、かつクロスヘッド3に一体に設けたボールナット部23nを有するボールねじ機構23を備えるとともに、ボールねじ部23sを回転駆動する回転駆動機構部26を備える。回転駆動機構部26は、型締用サーボモータ25と、このサーボモータ25に付設して当該サーボモータ25の回転数を検出するロータリエンコーダ26と、サーボモータ25のシャフトに取付けた駆動ギア27と、ボールねじ部23sに取付けた被動ギア28と、この駆動ギア27と被動ギア28間に架け渡したタイミングベルト29を備えている。
これにより、サーボモータ25を作動させれば、駆動ギア27が回転し、駆動ギア27の回転は、タイミングベルト29を介して被動ギア28に伝達され、ボールねじ部23sが回転することによりボールナット部23nが進退移動する。この結果、ボールナット部23nと一体のクロスヘッド3が進退移動し、トグルリンク機構Lが短縮又は拡長し、可動盤2が型開方向(後退方向)又は型閉方向(前進方向)へ進退移動する。また、4は成形機コントローラであり、型締用サーボモータ25,ロータリエンコーダ26,型厚調整モータ20及びロータリエンコーダ21を接続する。
他方、図3は、成形機コントローラ4の一部であるサーボ回路31を示す。サーボ回路31は、偏差演算部32,33、加算器34,35、位置ループゲイン設定部36、フィードフォワードゲイン設定部37、速度リミッタ38,速度変換器(微分器)39,速度ループゲイン設定部40,トルクリミッタ41,ドライバ42,外乱監視部43,加速度変換器(微分器)44を備え、同図に示す系統によりサーボ制御系(サーボ回路31)を構成する。そして、ドライバ42の出力側には、前述した型締用サーボモータ25を接続するとともに、このサーボモータ25に付設したロータリエンコーダ26は、速度変換器39と偏差演算部32の反転入力部にそれぞれ接続する。また、偏差演算部32の非反転入力部は、不図示のシーケンスコントローラに接続する。
さらに、同図中、Ptは金型1の閉鎖に伴う負荷トルクTの検出に用いる信号取込端子、Pvは金型1の閉鎖に伴う可動盤2の速度Vの検出に用いる信号取込端子、Paは金型1の閉鎖に伴う可動盤2の加速度Aの検出に用いる信号取込端子、Peは金型1の閉鎖に伴う外乱により発生する推定トルクEの検出に用いる信号取込端子、Pxは金型1の閉鎖に伴う可動盤2の位置偏差Xrの検出に用いる信号取込端子をそれぞれ示す。なお、各部の動作(機能)は後述するトグル式型締装置Mcの全体動作により説明する。
また、図4は、射出成形機Mに備える側面パネル等に付設されたディスプレイ5の表示画面5vを示す。表示画面5vは、タッチパネルが付設され、このタッチパネルを用いて各種設定等を行うことができる。図4に示す表示画面5vは、型開閉用設定画面であり、負荷トルクTの変動曲線Wをグラフィック表示するグラフィック表示部6を有するとともに、金型閉鎖モニタの終了位置に係わる数値表示部7,金型閉鎖位置基準に係わる数値表示部8,金型閉鎖位置に係わる数値表示部9及び金型保護終了位置に係わる数値表示部10等を備えている。
この場合、グラフィック表示部6は、横軸(X軸)がクロスヘッド3の位置〔mm〕,縦軸(Y軸)が負荷トルクT〔%〕となる。なお、負荷トルクT〔%〕は、最大トルクを100〔%〕として表示する。これにより、グラフィック表示部6には、クロスヘッド3の位置〔mm〕に対応した負荷トルクTの大きさが変動曲線Wとしてグラフィック表示される。さらに、グラフィック表示部6には、第二の金型保護区間Zd2となる金型閉鎖モニタの終了位置Xfを示すカーソル7c(グリーン),金型閉鎖位置Csの基準値Dsを示すカーソル8c(ブルー),金型閉鎖位置Csの検出値Ddを示すカーソル9c(レッド)及び金型保護区間Zd1の終了位置Xeを示すカーソル10c(ピンク)をそれぞれ色分けした縦ラインにより表示する。このような各項目に対応して色分けしたカーソル7c,8c,9c及び10cを表示させることにより、オペレータは、各項目に対応する位置を容易かつ的確(確実)に知ることができる。
一方、数値表示部7は、第二の金型保護区間Zd2となる金型閉鎖モニタの終了位置Xfをクロスヘッド3の位置により数値表示する表示部7hと、この終了位置Xfを設定するためのONキー7sを有するとともに、数値表示部8は、金型閉鎖位置Csの基準値Dsをクロスヘッド3の位置により数値表示する第一表示部8hと、このクロスヘッド3の位置を可動盤2の位置に換算して数値表示する第二表示部8xを有する。また、数値表示部9は、金型閉鎖位置Csの検出値Ddをクロスヘッド3の位置により数値表示する第一表示部9hと、このクロスヘッド3の位置を可動盤2の位置に換算して数値表示する第二表示部9xを有するとともに、数値表示部10は、金型保護区間Zd1の終了位置Xe(図1参照)をクロスヘッド3の位置により数値表示する第一表示部10hと、このクロスヘッド3の位置を可動盤2の位置に換算して数値表示する第二表示部10xを有する。さらに、各数値表示部7,8,9及び10の上段位置には、それぞれ「金型閉鎖モニタ」,「金型閉鎖位置基準」,「金型閉鎖位置」及び「金型保護終了位置」の項目を表示するとともに、各項目の周りには、色分けした色枠部7k(グリーン),8k(ブルー),9k(レッド)及び10k(ピンク)を表示する。この色枠部7k(グリーン),8k(ブルー),9k(レッド)及び10k(ピンク)の色は、前述したカーソル7c(グリーン),8c(ブルー),9c(レッド)及び10c(ピンク)の色に対応している。これにより、オペレータは、各カーソル7c,8c,9c及び10cがどの項目に対応しているかを容易に知ることができる。なお、クロスヘッド3の位置は、公知の変換式を用いることにより容易に可動盤2の位置に変換可能である。また、図1に示すグラフィック表示部6は、横軸(X軸)及び縦軸(Y軸)の目盛のレンジを変更した場合の表示態様である。
次に、本実施形態に係る金型保護方法を含むトグル式型締装置Mcの動作(機能)について、図1〜図8を参照して説明する。
まず、成形機コントローラ4は、金型閉鎖位置Csを検出する閉鎖位置検出モードを備える。なお、金型閉鎖位置Csとは、可動型1mと固定型1cがタッチする位置である。閉鎖位置検出モードは、金型1の閉鎖に伴うクロスヘッド3の移動量(変位量)及び金型1の閉鎖に伴う負荷トルクTの変動量を順次検出するとともに、クロスヘッド3の一定移動量ΔXに対する負荷トルクTの変動率ΔTを順次求めることにより、この変動率ΔTが予め設定した設定率Tsに達したときの位置を金型閉鎖位置Csとして検出する機能を有している。
この場合、変動率ΔTは変動量であってもよい。即ち、変動率ΔTは、一定移動量ΔXに対応する変動量ΔTとして求めてもよいし、ΔT/ΔXから求めた変動率であってもよい。また、負荷トルクTに係わる信号は、上述した信号取込端子Ptから得られ、信号取込端子Ptから得られる信号は、成形機コントローラ4に付与される。さらに、クロスヘッド3の移動量は、サーボモータ25の回転数を検出するロータリエンコーダ26のエンコーダパルスを用いて検出する。
一方、成形機コントローラ4には、設定率Tsを設定する。この設定率Tsは、図1に示すように、金型1の閉鎖に伴うクロスヘッド3の一定移動量ΔXに対する負荷トルクTの変動率(上昇率)ΔTが、当該設定率Tsに達したときの位置を金型閉鎖位置Csとして検出するために用いる。したがって、設定率Tsの大きさは、実験及び調整等を経て適宜設定することができる。例えば、負荷トルクTは、最大トルクを100〔%〕としてパーセント表示されるため、クロスヘッド3の一定移動量ΔXを数ミリメートルに設定し、この際における負荷トルクTの上昇率(上昇量)ΔTを求めた際には、この上昇率ΔTに対する設定率Tsを、1〔%〕前後に設定できる。
次に、具体的な処理手順について説明する。まず、閉鎖位置検出モードにより金型閉鎖位置Csの検出を行う。この閉鎖位置検出モードの処理手順について、図5に示すフローチャートに従って説明する。
今、金型1が型開位置(全開位置)にあるものとする。したがって、トグルリンク機構Lにおけるクロスヘッド3は、図8に示す型開位置Xaにある。型締動作の開始により、型締用サーボモータ25が作動し、クロスヘッド3が前進移動するとともに、可動盤2は型開位置から型閉方向へ前進移動する。この際、最初に可動盤2が高速で前進移動する高速型閉が行われる。
この場合、サーボ回路31では、可動盤2(クロスヘッド3)に対する速度制御及び位置制御が行われる。即ち、シーケンスコントローラからサーボ回路31の偏差演算部32に対して位置指令値が付与され、ロータリエンコーダ26のエンコーダパルスに基づいて得られる位置検出値と比較される。これにより、偏差演算部32からは位置偏差Xrが得られるため、この位置偏差Xrに基づいて位置のフィードバック制御が行われる。
また、位置偏差Xrは、位置ループゲイン設定部36により補償されて加算器34の入力部に付与されるとともに、位置指令値は、フィードフォワードゲイン設定部37により補償されて加算器34の入力部に付与される。そして、加算器34の出力は、速度リミッタ38を介して偏差演算部33の非反転入力部に付与される。一方、位置検出値は、速度変換部39により微分されて速度(速度検出値)Vに変換されるとともに、この速度Vは、偏差演算部33の反転入力部に付与される。これにより、偏差演算部33からは、速度偏差が得られるため、この速度偏差に基づいて速度のフィードバック制御が行われる。この場合、速度Vは速度リミッタ38により制限される。
さらに、速度偏差は、速度ループゲイン設定部40により補償され、加算器35の入力部に付与される。他方、速度Vは、加速度変換部44により微分されて加速度(加速度検出値)Aに変換されるとともに、この加速度Aは、外乱監視部43の入力部に付与される。外乱監視部43は、加速度Aを監視し、例えば、何らかの原因(外乱)によって加速度Aが異常に変化したなら、復帰を速める推定トルク(トルク値)Eを出力する。そして、この推定トルクEは、加算器35の入力部に補正値として付与される。この結果、加算器35からはトルク指令(指令値)が得られ、このトルク指令は、トルクリミッタ41を介してドライバ42に付与される。これにより、サーボモータ25が駆動制御され、可動盤2(クロスヘッド3)に対する位置制御及び速度制御が行われる。なお、トルクリミッタ41から出力するトルク指令は、外乱監視部43の入力部にフィードバックされる。
一方、可動盤2が型閉方向へ前進移動し、クロスヘッド3が、予め設定した低速低圧切換点Xbに達すれば、低速低圧型閉に移行する(ステップS1)。この低速低圧型閉では、図8に示すように、前段に設定した金型保護区間Zd1により異物検出等の金型保護処理が行われる。即ち、この金型保護区間Zd1では、負荷トルクTの大きさが監視され、予め設定した閾値を越えたなら、異物が存在すると判断して型開制御等の異常処理が行われる。
この金型保護区間Zd1の終了位置Xeは、図1(図4)に示すように、設定機能を兼ねる数値表示部10により予め設定する。この終了位置Xeは、正規の金型閉鎖位置Cs(基準値Ds)を検出する前に、いわば予備的に設定するため、想定される金型閉鎖位置の手前に、ある程度余裕を持たせて設定することができる。また、設定に際しては、第一表示部10hに、クロスヘッド3の位置により数値設定する。この場合、例えば、第一表示部10hをタッチし、テンキーウィンドウを表示させることにより数値入力する公知の設定方法を利用できる。この終了位置Xeが設定されることにより、グラフィック表示部6には、設定された終了位置Xeに対応するカーソル10cが表示される。このカーソル10cの色(ピンク)は、前述したように、数値表示部10に表示される色枠部10kの色(ピンク)に一致するため、オペレータは、このカーソル10cにより、終了位置Xeの程度を容易かつ的確に知ることができるとともに、金型保護区間Zd1に対応した終了位置Xeであることも容易かつ確実に知ることができる。
そして、金型保護区間Zd1が終了したなら、金型1に対する金型閉鎖位置Csの検出処理が行われる。即ち、金型閉鎖位置Csを検出するための上昇率ΔTの大きさを監視する上昇率監視処理が行われる(ステップSP)。なお、図1及び図8において、Zd2は、金型閉鎖モニタを行う第二の金型保護区間を示しているが、この時点では、未だ設定されていない。上昇率監視処理においては、まず、成形機コントローラ4は、クロスヘッド3の位置を検出する(ステップS2)。クロスヘッド3の位置は、型締用サーボモータ25の回転数を検出するロータリエンコーダ26のエンコーダパルスを用いて検出する。この場合、ロータリエンコーダ26は、インクリメンタルエンコーダであり、基準位置に対するエンコーダパルスの発生数により絶対位置の検出を行う。このようなロータリエンコーダ26を利用することにより、クロスヘッド3の位置を検出する別途の位置検出手段は不要になる。このように、可動盤2の移動量に対して相対的に移動量の大きいクロスヘッド3の変位量(移動量)を利用することにより、金型閉鎖位置Csに対する精度の高い検出を行うことができる。この結果、後述する型締力Fmの変動量を正確に検出でき、もって、型締力Fmに対する正確な補正を行うことができる。
また、成形機コントローラ4は、負荷トルクTを、例えば、500〔μsec〕毎のサンプリング周期により順次取り込むとともに、平均化処理によりN回の移動平均を求める(ステップS3,S4)。これにより、求めた負荷トルクTは、検出されたクロスヘッド3の位置に対応して、図4(図1)に示すように、グラフィック表示部6に変動曲線Wとしてグラフィック表示される。
さらに、クロスヘッド3の変位量(移動量)と負荷トルクTの変動量が得られることにより、クロスヘッド3の一定移動量ΔXに対する負荷トルクTの上昇量(上昇率)ΔTを求める(ステップS5)。この場合、例えば、クロスヘッド3の一定移動量ΔXを数ミリメートルに設定した場合、対応する負荷トルクTの上昇量(上昇率)ΔT〔%〕を求める。そして、この上昇率ΔTが、予め設定した設定率Tsに達したか否かを監視し、上昇率ΔTが設定率Tsに達したなら、そのときのクロスヘッド3の位置を金型閉鎖位置Csとして取り込む(ステップS6,S7)。また、取り込んだ金型閉鎖位置Csは、基準値Dsとして設定する(ステップS8)。
一方、基準値Dsは、表示画面5vにおけるグラフィック表示部6に、カーソル8cにより表示される。このカーソル8cの色(ブルー)は、前述したように、数値表示部8に表示される色枠部8kの色(ブルー)に一致するため、オペレータは、このカーソル8cにより、基準値Dsの程度を容易かつ的確に知ることができるとともに、金型閉鎖位置Csの基準値Dsであることも容易かつ確実に知ることができる。また、基準値Dsは、第一表示部8hに数値表示されるとともに、可動盤2の位置に変換して第二表示部8xに表示される。以上の説明は、閉鎖位置検出モードの基本態様となり、実際の基準値Ds(及び検出値Dd)は、後述するように、閉鎖位置検出モードを複数回にわたって実行し、得られる複数の閉鎖位置の平均から求めることができる。
さらに、基準値Dsが設定されることにより、この基準値Dsを参考にして、オペレータは、第二の金型保護区間Zd2となる金型閉鎖モニタの終了位置Xfを、設定機能を兼ねる数値表示部7を用いてマニュアル設定する(ステップS9)。即ち、オペレータは、グラフィック表示部6に表示される基準値Dsに係るカーソル8c及び第一表示部8hの数値表示等を参考にして、第二の金型保護区間Zd2の終了位置Xfを、表示部7hに数値設定する。この場合、終了位置Xfは、クロスヘッド3の位置により設定する。また、この終了位置Xfは、特に、成形品の厚さを考慮して設定する。例えば、成形品の厚さが0.1〔mm〕の場合、終了位置Xfは、金型閉鎖位置Csから手前0.1〔mm〕の間に設定することができる。本実施形態では、終了位置Xfを、可動盤2の移動量に対して相対的に変位量の大きいクロスヘッド3の位置により設定するため、厚さが0.1〔mm〕程度の薄いシート状の成形品であっても終了位置Xfを容易かつ高精度に設定できる。
そして、終了位置Xfを表示部7hに設定したなら、ONキー7sをタッチすることより、グラフィック表示部6に、第二の金型保護区間Zd2となる金型閉鎖モニタの終了位置Xfがカーソル7cにより表示される。このカーソル7cの色(グリーン)は、前述したように、金型閉鎖モニタ設定部7に表示される色枠部7kの色(グリーン)に一致するため、オペレータは、このカーソル7cにより、終了位置Xfの程度を容易かつ的確に知ることができるとともに、第二の金型保護区間Zd2となる金型閉鎖モニタの終了位置Xfであることも容易かつ確実に知ることができる。
次に、生産稼働時の動作について、図6(図7)に示すフローチャートに従って説明する。
今、生産稼働が自動成形により行われている場合を想定する(ステップS11)。この場合、上述した基準値Dsが予め設定されている。生産稼働中においては、予め設定した閉鎖位置検出時間或いは閉鎖位置検出ショット数に達すると、自動的に閉鎖位置検出モードが実行される(ステップS12,S13)。閉鎖位置検出モードの実行間隔は、ショットの度に毎回行ってもよいし一定ショット(又は一定時間)毎に行ってもよく、実機における型締力Fmの変動度合等を考慮して設定することができる。
生産稼働時における閉鎖位置検出モードの処理手順を、図7に示すフローチャートに従って説明する。今、金型1が型開位置(全開位置)にあるものとする。したがって、トグルリンク機構Lにおけるクロスヘッド3は、図8に示す型開位置Xaにある。型締動作の開始により、型締用サーボモータ25が作動し、可動盤2は型開位置から型閉方向へ前進移動する。この際、可動盤2は、最初に高速で前進移動する高速型閉が行われる(ステップS21)。そして、可動盤2が型閉方向へ前進移動し、クロスヘッド3が、予め設定した低速低圧切換点Xbに達すれば、低速低圧型閉に移行する(ステップS22)。この低速低圧型閉では、図8に示すように、まず、第一の金型保護区間Zd1により異物等の異常に対する検出処理が行われる。この金型保護区間Zd1における検出処理は、前述したように、負荷トルクTの大きさが監視され、予め設定した閾値を越えたなら、異物が存在すると判断して型開制御等の異常処理が行われる。よって、第一の金型保護区間Zd1では、成形品以外の異物或いは他の原因による異常を検出できる。
さらに、この金型保護区間Zd1が終了したなら、第二の金型保護区間Zd2となる金型閉鎖モニタにより、特に、成形品が異物として金型1に挟まれたか否かの監視処理を行う(ステップS23,S24,S25)。この場合の監視処理は、クロスヘッド3の一定移動量ΔXに対する負荷トルクTの上昇率(変動率)ΔTを監視することにより、前述した金型閉鎖位置Csを検出する場合と同一条件により監視する。したがって、具体的な処理においては、第一の金型保護区間Zd1が終了したなら、金型閉鎖位置Csの検出処理となる図5に示すフローチャートのステップSPと同一の処理を実行する。そして、第二の金型保護区間Zd2の終了位置Xfまでに、上昇率ΔTが設定率Tsに達した場合は、成形品が金型1に異物として挟まれた状態にあるものと判断して異常処理を行うとともに、金型保護区間Zd2を通過した後に、上昇率ΔTが設定率Tsに達した場合は、後述する金型閉鎖位置Csとして判断する。また、異常処理としては、直ちに型開制御やアラーム報知などの金型1を保護する処理を実行する。
このような第二の金型保護区間Zd2(金型閉鎖モニタ)では、前述したように、例えば、成形品の厚さが0.1〔mm〕の場合、金型閉鎖位置Csから手前0.1〔mm〕の間に、終了位置Xfを設定するため、型開時に排出されることなく金型1内に残留した薄いシート状の成形品も検出可能となり、実際には、厚さ0.09〔mm〕程度のシート状の成形品であっても確実に検出できる。特に、第一の金型保護区間Zd1と併用したため、第一の金型保護区間Zd1により成形品以外の異物或いは他の原因による異常を検出できるとともに、第二の金型保護区間Zd2により成形品を異物として検出でき、より確実で的確な金型保護を図ることができる。また、クロスヘッド3の一定移動量ΔXに対する負荷トルクTの変動率(変動量を含む)ΔTを用いて監視するため、負荷トルクT自体(絶対値)を用いる場合に比べ、閾値(設定率Ts)を低く設定できるため、より迅速に検出を行うことができる。この結果、異物及び金型1の双方に大きな力(負荷)が付与される前に検出することができ、金型保護が不十分となる不具合を回避できる。
一方、金型閉鎖モニタ(金型保護区間Zd2)が終了したなら、閉鎖位置検出区間Zcにより金型1に対する金型閉鎖位置Csの検出処理が行われる(ステップS25,SP)。この検出処理は、上述したように、第二の金型保護区間Zd2と同一の検出処理がそのまま継続する。そして、金型保護区間Zd2の終了位置Xfを通過した以降に検出される上昇率ΔTが予め設定した設定率Tsに達したなら、金型閉鎖位置Csと判断し、高圧型締に移行して高圧型締を行う(ステップS26)。同時に、上昇率Tsが設定率Tsに達したときのクロスヘッド3の位置を検出し、この位置を金型閉鎖位置Csの検出値Ddとして取込む(ステップS27,S28)。このように、金型保護区間Zd1,Zd2及び閉鎖位置検出区間Zcを設定することにより、金型保護区間Zd1及びZd2を終了した以降に、金型閉鎖位置Csの検出処理が行われるため、金型1に対する保護処理と金型閉鎖位置Csの検出処理の双方を干渉させること無く、安定かつ確実に行うことができる。
そして、検出された検出値Ddは、表示画面5vにおける数値表示部9の第一表示部9h及び第二表示部9xに数値表示されるとともに、グラフィック表示部6に、カーソル9cにより表示される。このカーソル9cの色(レッド)は、前述したように、数値表示部9に表示される色枠部9kの色(レッド)に一致するため、オペレータは、このカーソル9cにより、検出値Ddの程度を容易かつ的確に知ることができるとともに、金型閉鎖位置Csの検出値Ddであることも容易かつ確実に知ることができる。
さらに、閉鎖位置検出モードは、予め設定した複数回にわたって実行し、得られる複数の金型閉鎖位置Cs…の平均から検出値Ddを求める(ステップS13,S14,S15)。これにより、ノイズ成分の除去された信頼性の高い検出値Ddが得られる。そして、検出値Ddが得られたなら、予め設定された基準値Dsとの偏差Ke、即ち、Ke=Ds−Ddを求める(ステップS16)。偏差Keが得られたなら、この偏差Keに基づいて、設定されている金型保護区間Zd1の終了位置Xe及び第二の金型保護区間Zd2となる金型閉鎖モニタの終了位置Xfに対する補正を行う。終了位置Xe及びXfに対する補正は、次のように行う。図8に仮想線で示す負荷トルクTfとTrは、それぞれ型締力Fmが変動した場合を示している。負荷トルクTrは、金型1が加熱されて熱膨張した場合の変動曲線であり、正規の金型閉鎖位置Csよりも手前で金型閉鎖位置Crとして検出される。この場合、型締力Fmは増加することになる。したがって、型開位置を距離の起点(0)とすれば、終了位置Xf(Xe)に対して偏差Ke分だけ減少させる補正を行う。即ち、図8中、Zcは終了位置Xf(Xe)と金型閉鎖位置Cs間における前述した閉鎖位置検出区間を示しているが、金型閉鎖位置Csがズレた場合、この閉鎖位置検出区間Zcの距離が常に一定となるように終了位置Xf(Xe)に対する補正が行われる。
特に、図8に示す負荷トルクTrは、金型1がより加熱された場合の変動曲線であり、終了位置Xf(Xe)よりも手前で可動型1mが固定型1cに接触し始めている状態を示している。この場合、終了位置Xf(Xe)に対する補正を行わなければ、負荷トルクTrの変動が正常な動作に基づく可動型1mと固定型1cの接触によるものなのか異物等の検出によるものか判別が困難となり、誤検出を生じることになる。しかし、終了位置Xf(Xe)に対する補正を行うことにより、異物等の検出処理と本実施形態に係る金型閉鎖位置Csの検出処理の双方を干渉させること無く、安定かつ確実に行うことができる。
同様に、負荷トルクTfは、タイバー13…が加熱されて熱膨張した場合の変動曲線であり、正規の金型閉鎖位置Csを過ぎ位置で金型閉鎖位置Cfとして検出される。この場合、型締力Fmは低下することになる。したがって、終了位置Xf(Xe)に対して偏差Ke分だけ増加させる補正を行う。図8中、Xdは型締終了位置を示す。なお、このような型締力Fmの変動に係わる金型閉鎖位置Cs,Cf,Crであっても、上述した閉鎖位置検出モードにより正確に検出することができる。
他方、成形機コントローラ4には、偏差Keに対する許容範囲Reが予め設定されているため、この許容範囲Reと得られた偏差Keを比較し、偏差Keが許容範囲Reを越えているか否かを判定する。これにより、偏差Keが許容範囲Re内にあるときは、型締力Fmに対する補正は行わない。したがって、そのまま生産稼働を継続する(ステップS17,S11)。
これに対して、偏差Keが許容範囲Reを越えたときは、再度、検出値Ddの検出を行う(ステップS17,S18,S11)。即ち、例示は、検出値Ddを複数回にわたって連続して検出し、求めた偏差Keが連続して許容範囲Reを越えたなら型締力Fmに対する補正を行う(ステップS19,S20)。例えば、検出値Ddを2回連続して検出し、求めた偏差Ke…が2回連続して許容範囲Reを越えた場合に、型締力Fmに対する補正を行う。したがって、1回のみ許容範囲Reを越えた場合には、外乱等による一時的な要因によるものと判断し、補正は行わない。これにより、補正を行う際の安定性及び信頼性を高めることができる。
一方、型締力Fmに対する補正の処理手順は、次のようになる。例示は、偏差Keが複数回連続して許容範囲Reを越えた場合に補正を行う例を示したため、偏差Keは複数得られる。したがって、この例では、複数の偏差Ke…を平均して平均値を求める。なお、複数の偏差Ke…の場合、平均値を利用してもよいし、直近の偏差Keを利用してもよい。そして、偏差Keは、クロスヘッド3の位置に対する偏差であるため、この偏差Keを公知の変換式により可動盤2の位置に対する偏差に変換する。これにより、可動盤2に対する補正量Ksが得られるため、この補正量Ksだけ圧受盤12を変位させる補正を行う。これにより、偏差Keが相殺される。
この場合、補正処理は、成形サイクルを中断することなしに、予め設定した特定のタイミングで行う。成形サイクルを中断しない特定のタイミングとしては、高圧型締期間以外の期間、具体的には、型開期間,突出し期間,中間時間等を利用することができる。したがって、例えば、突出し期間が補正処理を行う期間として設定されていれば、突出し期間の開始タイミングにより補正指令が出力し、この補正指令に基づいて補正処理が実行される。
補正処理は、まず、補正量Ksに基づいて型厚調整モータ20を駆動制御し、圧受盤12を、偏差Keが解消する方向に変位させる。この際、圧受盤12は、正規の速度よりも低速で移動させる。また、圧受盤12の位置検出は、型厚調整モータ20に付設したロータリエンコーダ21のエンコーダパルスを用いて検出し、位置に対するフィードバック制御を行う。ロータリエンコーダ21は、インクリメンタルエンコーダであり、基準位置に対するエンコーダパルスの発生数により絶対位置の検出を行う。そして、補正量Ks(偏差Ke)に対応する目標位置まで圧受盤12を移動させたなら型厚調整モータ20を停止制御する。このような自動による補正処理により、タイムリーかつ迅速な補正が可能となる。一方、補正処理は、トグル式型締装置Mcにおける既設の自動型締力設定機能(自動型厚調整機能)をそのまま利用して行うこともできる。自動型締力設定機能は、金型交換時などにおいて、初期段階で型締力の目標値をセットすることにより自動で型締力が設定される機能である。このような既設の自動型締力設定機能を利用すれば、より正確な補正を行うことができるとともに、コスト的にも有利となる利点がある。
なお、このような自動補正に対して、オペレータによる手動補正も可能である。手動補正は、予め、偏差Keに対する許容範囲Reを設定し、偏差Keが許容範囲Reを越えたなら、その旨を警報等により報知すればよく、これに基づいて、オペレータは手動により補正を行うことができる。これにより、オペレータの経験やノウハウ等を加味した補正を行うことができるとともに、必要により成形品の種類によっては補正の必要なしと判断して生産を優先させることもできる。したがって、オペレータが補正のための操作を行うまで、生産稼働(自動成形)はそのまま継続する。このような手動補正と自動補正は、それぞれ単独で用いてもよいし併用してもよい。このような補正処理の方法は、ディスプレイ5の表示画面5vにおける選択キー51により予め選択することができる。
このように、本実施形態に係る型締装置の金型保護方法によれば、予め検出した金型閉鎖位置Cs及び成形品の厚さに基づいて、金型閉鎖位置Csの手前に金型閉鎖モニタの終了位置Xfを設定するため、極薄のシート状成形品に対しても異物として金型1に挟まれた状態にあるのか否かを確実に判別することができる。この結果、誤検出或いは検出不能を招く不具合を回避し、金型保護に対する安定性及び信頼性を高めることができる。特に、第二の金型保護区間Zd2となる金型閉鎖モニタの終了位置Xfの設定に際しては、表示画面5vに、横軸にクロスヘッド3の位置を目盛り、かつ縦軸に負荷トルクTを目盛ることにより、クロスヘッド3の位置に対する負荷トルクTの変動曲線Wをグラフィック表示するとともに、金型閉鎖モニタの終了位置Xfをカーソル7cにより表示し、さらに、金型閉鎖位置Cs(Ds,Dd)をカーソル8c,9cにより表示したため、終了位置Xfの設定に対する最適なツールとして利用でき、極薄のシート状成形品に対する終了位置Xfの設定のように、極めて短い区間において微妙な位置設定が要求される場合であっても、的確(正確)かつ容易に設定することができる。しかも、表示画面5vに設けた数値表示部7に、金型閉鎖モニタの終了位置Xfをクロスヘッド3の位置により数値表示すれば、グラフィック表示部6によるグラフィック表示と併せ、極薄のシート状成形品に対する終了位置Xfであっても、より的確(正確)かつ容易に設定することができる。
以上、最良の実施形態について詳細に説明したが、本発明は、このような実施形態に限定されるものではなく、細部の手法,構成,数値等において、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、任意に変更,追加,削除することができる。
例えば、異物等の異常とは、成形品が金型1に挟まれる場合のみならず、金型1等の故障や部分破損等の各種異常を含む概念である。また、負荷トルクTは、ドライバ42の出力(トルクモニタ)を利用したが、トルクリミッタ41の入力となるトルク指令を用いてもよい。一方、本発明は、金型1の閉鎖に伴う負荷トルクTを用いて金型閉鎖位置Csを検出したが、金型1の閉鎖に伴うクロスヘッド3の速度V,金型1の閉鎖に伴うクロスヘッド3の加速度A,金型1の閉鎖に伴う外乱により発生する推定トルクE,金型1の閉鎖に伴うクロスヘッド3の位置偏差Xr等も利用可能である。負荷トルクTを含むこれらの物理量は、それぞれ単独で利用してもよいし、組合わせて利用してもよい。組合わせることにより、より信頼性を高めることができる。さらに、移動量として、クロスヘッド3の移動量(変位量)を利用したが、必要により可動盤2の移動量を直接利用することも可能である。また、必要により第一の金型保護区間Zd1を用いることなく第二の金型保護区間Zd2のみを用いることも可能である。
本発明の最良の実施形態に係る金型保護方法を説明するためのディスプレイの一部を抽出した表示画面図、 同金型保護方法の実施に用いて好適なトグル式型締装置の構成図、 同トグル式型締装置に備える成形機コントローラの一部を示すブロック回路図、 同金型保護方法の実施に用いるディスプレイの表示画面図、 同金型保護方法に関連する初期設定時における閉鎖位置検出モードの処理手順を示すフローチャート、 同金型保護方法に関連する型締力補正方法の処理手順を示すフローチャート、 同金型保護方法に関連する生産稼働時における閉鎖位置検出モードの処理手順を示すフローチャート、 同金型保護方法を説明するためのクロスヘッドの位置に対する負荷トルクの変動曲線図、 背景技術を説明するためのクロスヘッドの位置に対する負荷トルクの変動曲線図、
符号の説明
1 金型
2 可動盤
3 クロスヘッド
4 成形機コントローラ
5 ディスプレイ
5v 表示画面
6 グラフィック表示部
7 数値表示部
7c… カーソル
Mc トグル式型締装置
Cs 金型閉鎖位置
Xf 金型閉鎖モニタ(第二の金型保護区間)の終了位置
Xe 第一の金型保護区間の終了位置
Zd1 第一の金型保護区間
Zd2 第二の金型保護区間(金型閉鎖モニタ)
W 変動曲線
T 負荷トルク
ΔT 物理量の変動率(変動量)
ΔX 一定移動量

Claims (5)

  1. 金型を閉鎖する区間に所定の金型保護区間を設定し、この金型保護区間における異物等の異常を検出して金型を保護する型締装置の金型保護方法において、予め、金型閉鎖位置を検出し、この金型閉鎖位置及び成形される成形品の厚さに基づいて、少なくとも前記成形品が金型に挟まれたことを検出する金型閉鎖モニタの終了位置を、前記金型閉鎖位置の手前に設定するとともに、生産稼働時に、金型の閉鎖に伴う、可動盤又はトグル式型締装置におけるクロスヘッドの一定移動量に対する負荷トルクの変動率(変動量を含む)を検出し、前記終了位置までに前記変動率が予め設定した設定値に達したなら、金型を保護する異常処理を行うことを特徴とする型締装置の金型保護方法。
  2. 前記金型閉鎖モニタの終了位置は、予め、金型を閉鎖する区間に第一の金型保護区間を設定するとともに、前記金型閉鎖位置を検出した後、前記第一の金型保護区間の終了位置と前記金型閉鎖位置の間に、第二の金型保護区間の終了位置として設定することを特徴とする請求項1記載の型締装置の金型保護方法。
  3. 成形機コントローラに付属するディスプレイの表示画面に、横軸にクロスヘッドの位置を目盛り、かつ縦軸に前記負荷トルクを目盛ることにより、前記クロスヘッドの位置に対する前記負荷トルクの変動曲線をグラフィック表示するグラフィック表示部を設け、このグラフィック表示部に、前記金型閉鎖モニタの終了位置をカーソルにより表示することを特徴とする請求項1記載の型締装置の金型保護方法。
  4. 前記グラフィック表示部に、前記金型閉鎖位置をカーソルにより表示することを特徴とする請求項3記載の型締装置の金型保護方法。
  5. 前記表示画面に、数値表示部を設け、この数値表示部に、前記金型閉鎖モニタの終了位置を、前記クロスヘッドの位置により数値表示することを特徴とする請求項3記載の型締装置の金型保護方法。
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