JP4808404B2 - 消化性潰瘍および胃食道逆流疾患を処置するためのボツリヌス毒素の経口製剤およびその使用 - Google Patents

消化性潰瘍および胃食道逆流疾患を処置するためのボツリヌス毒素の経口製剤およびその使用 Download PDF

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Description

本発明は潰瘍を処置する方法および/または胃食道逆流疾患を処置する方法に関する。特に本発明は、ボツリヌス毒素を使って消化性潰瘍を処置する方法およびボツリヌス毒素を使って胃食道逆流疾患を処置する方法に関する。
潰瘍
正常な消化活動では食物が口から食道を通って胃に降りていく。胃は食物を消化するために塩酸および酵素ペプシンを産生する。食物は、胃から小腸の上部である十二指腸に運ばれ、そこで消化と栄養素の吸収が続けられる。
潰瘍は、酸およびペプシンが存在する胃または十二指腸の内壁に生じる糜爛または病変である。胃の潰瘍は胃潰瘍と呼ばれる。十二指腸の潰瘍は十二指腸潰瘍と呼ばれる。胃および十二指腸の潰瘍は消化性潰瘍と総称される。まれに、食道または十二指腸の最初の部分、すなわち十二指腸球部にも、潰瘍が発生する。
約2000万人の米国人が、その生涯に、少なくとも1つの潰瘍を発生させる。また、約400万人が潰瘍を患い、潰瘍から生じる持続的な症状または問題のために毎年40,000人を超える人々が手術を受け、残念ながら毎年約6,000人が潰瘍または潰瘍関連合併症で死亡している。
潰瘍はどの年齢でも発生しうるが、十代の若者では稀であり、小児ではさらに珍しい。十二指腸潰瘍は通常は30歳から50歳で初めて発生する。胃潰瘍は60歳を超えた人々で発生する傾向が強い。十二指腸潰瘍は女性より男性に発生することが多く、胃潰瘍は男性より女性に発生することが多い。
潰瘍の発生には3つの因子、すなわち生活様式、酸およびペプシンと、細菌ヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori)が、役割を果たしていると考えられる。したがってストレスおよび食事などの生活様式因子は潰瘍形成の一因となりうる。また、消化液(塩酸およびペプシン)と、これらの強力な物質に対して自らを防護する胃の能力との不均衡も、潰瘍をもたらしうる。最後に、潰瘍はH.pyloriによる感染の結果として発生しうる。
強力な消化液、すなわち酸およびペプシンに対して、胃が自らを防護できないことは、潰瘍形成の一因になる。したがって消化液、すなわち酸および/またはペプシンが胃に過剰に存在するか、またはこれらの物質が損なわれた胃に通常どおりの量で存在することは、潰瘍形成の原因因子になりうる。胃はいくつかの方法でこれらの液から自らを防護している。一つの方法は、胃組織を遮蔽する潤滑剤様の被覆物である粘液を産生することによる方法である。もう一つの方法は、胃組織にとって害の少ない物質に消化液を中和・分解するバイカーボネートを産生することによる方法である。最後に、胃内壁への血液循環、細胞再生および細胞修復も、胃の保護に役立つ。
H.pyloriは、胃に見いだされるらせん状細菌である。この細菌は、(酸分泌物と共に)胃および十二指腸組織を損傷し、炎症および潰瘍を引き起こしうることが、明らかにされている。
H.pyloriは、酵素ウレアーゼを産生するので、胃内で生き抜くことができる。ウレアーゼは、胃酸を中和することにより、細菌が生き延びることを可能にする物質を生成させる。H.pyloriはその形状とその移動方法ゆえに、胃の保護粘液内壁に貫入することができる。そこでは、この細菌は、胃の保護粘液を弱めて、酸およびペプシンの損傷作用に対する胃細胞の感受性を高める物質を、産生することができる。
この細菌は胃細胞に付着して、胃の防護機構をさらに弱体化し、局所炎症をもたらすこともできる。理由はまだ完全にはわかっていないが、H.pyloriは、より多くの酸を産生するように胃を刺激することもできる。
過剰な胃酸および他の刺激因子は、十二指腸の上端、すなわち十二指腸球部の炎症を引き起こしうる。一部の人々では、この炎症が、長期間を経て、十二指腸胃粘膜化生と呼ばれる胃様細胞の産生をもたらす。その場合、H.pyloriはこれらの細胞を攻撃して、さらなる組織損傷および炎症を引き起こし、それが潰瘍をもたらす場合もある。
H.pyloriに感染すると、ほとんどの人は、数週間以内に胃炎、すなわち胃内壁の炎症を発症する。しかしほとんどの人々は、感染に関連する症状または問題を何も持たないだろう。H.pyloriに関係する症状または潰瘍を発症する人々では何が異なっているのかは、わかっていない。遺伝因子または環境因子が一部の個体で問題を発生させるのかもしれない。あるいは、症状および潰瘍は、より強い毒性を持つ細菌株による感染がもたらすのかもしれない。
最も一般的な潰瘍症状は、胸骨とへその間の腹部で起こるさしこみ痛または灼熱痛である。この痛みは食間と早朝に起こることが多い。この痛みは数分から数時間にわたって持続しうる。また、この痛みは、摂食によって、または制酸薬の服用によって軽減させることができる。
それほど一般的ではない潰瘍症状には、悪心、嘔吐、食欲不振および体重減少などがある。胃および十二指腸では潰瘍からの出血が起こりうる。失血はゆっくり起こり、血液が糞便中にはっきりとは見えないことがあるので、患者は、自分が出血性潰瘍を持っていることに気付かない場合もある。そのような患者は疲労感を覚え、体がだるく感じる場合がある。出血がひどい場合は、嘔吐物または糞便中に血液が見えるようになるだろう。血液を含有する糞便はタール様に見えるか、黒く見える。
潰瘍は、内視鏡検査およびX線検査を行うことによって、またH.pyloriに関する検査を行うことによって、診断することができる。潰瘍の診断には上部消化管造影を利用することができる。上部消化管造影では、潰瘍の位置を特定するために、食道、胃および十二指腸をX線撮影する。潰瘍がX線像で見えるようにするために、患者はバリウムと呼ばれる白亜質の液体を飲み込む。
これに代わる診断検査は内視鏡検査である。内視鏡検査では、患者を軽く鎮静させ、医師は、末端にカメラを備えた小さい可撓性機器を口から食道、胃および十二指腸へと挿入する。この手法により、上部消化管全体を見ることができる。潰瘍または他の状態を診断し、写真撮影することができ、必要であれば、組織を生検用に採取することもできる。
胃潰瘍および十二指腸潰瘍は、H2遮断薬、酸(プロトン)ポンプ阻害剤、および粘膜保護剤で処置することができる。H.pyloriを処置する場合は、これらの薬物を抗生物質と組み合わせて使用する。
H2遮断薬は、酸分泌の強力な刺激物質であるヒスタミンを遮断することにより、胃が産生する酸の量を減少させる。しかしながらH2遮断薬は、潰瘍痛を有意に減少させるのに数週間を要する。さらにまた、H2遮断薬による処置は6から8週間続けられる。ニザチジン(Axid(登録商標))は十二指腸の処置には承認されているが、胃潰瘍の処置にはまだ承認されていない。胃潰瘍の処置にも十二指腸潰瘍の処置にも承認されているH2遮断薬には、シメチジン(Tagamet(登録商標))、ラニチジン(Zantac(登録商標))およびファモチジン(Pepcid(登録商標))がある。
H2遮断薬と同様に、酸(プロトン)ポンプ阻害剤も胃による酸の産生を変化させる。ただし酸ポンプ阻害剤は、酸分泌の最終段階である胃の酸ポンプを停止させることによって、胃酸産生をより完全に遮断する。FDAは潰瘍性疾患の短期処置にオメプラゾールの使用を承認している。
粘膜保護薬は胃の粘液内壁を酸から保護する。H2遮断薬や酸ポンプ阻害剤とは異なり、保護剤は酸の放出を阻害しない。これらの薬物は胃の粘液内壁を酸による損傷から遮蔽する。以下の2剤がよく処方される保護剤である。
スクラルファート(Carafate(登録商標)):この薬物は潰瘍に接着して、潰瘍を治癒させると共に胃酸によるさらなる損傷を阻止する保護障壁を提供する。スクラルファートは十二指腸潰瘍の短期処置用および維持処置用として承認されている。
ミソプロストール(Cytotec(登録商標)):この合成プロスタグランジン(身体が自然に産生する物質)は、粘液産生量およびバイカーボネート産生量を増加させることと、胃への血流を強化することによって、胃内壁を保護する。これはNSAID誘発潰瘍の予防用としてのみ承認されている。
次の2剤は一般的な一般用保護薬である。制酸薬:制酸薬は、胃酸を中和することにより、潰瘍痛を一時的に軽減することができる。これらは粘膜を保護する役割も持ちうる。多くの銘柄の制酸薬を処方箋なしで入手することができる。次サリチル酸ビスマス:次サリチル酸ビスマスは、保護作用とH.pyloriに対する抗細菌作用のどちらも持っている。
潰瘍とH.pyloriとの関連の発見は新しい処置選択肢をもたらした。現在、医師は、胃酸の産生量を減らすことを目的とする処置の他に、H.pyloriを持つ患者には抗生物質を処方することもできる。この処置は劇的な医学的進歩である。なぜなら、H.pyloriの排除は、潰瘍がこれで治癒しうること、そしておそらくは再発しないであろうことを意味するからである。
2から8週間にわたって継続されるさまざまな処置方法を用いることができる。例えば2週間3剤併用療法の使用が知られている。この方法はH.pylori菌の大部分を根絶し、十二指腸潰瘍の再発リスクを低下させることができる。NSAIDとは無関係な胃潰瘍を持つ患者も、細菌根絶による利益を得ることができる。3剤療法は有効であるが、患者は2週間にわたって毎日4回、3種類の薬物を服用しなければならないので、遵守が困難な場合もある。
また、この処置は、膣カンジダ症、胃不快、悪心、嘔吐、嫌な味、ゆるい便通または黒い便通、および眩暈などの副作用を、よく引き起こす。この2週間3剤併用療法では、2つの抗生物質、テトラサイクリン(例えばAchromycin(登録商標)またはSumycin(登録商標))およびメトロニダゾール(例えばFlagyl(登録商標))を、次サリチル酸ビスマス(Pepto−Bismol(登録商標))と併用する。潰瘍痛を軽減し、潰瘍治癒を促進するために、制酸薬を加える医師もいる。場合によっては、医師が、テトラサイクリンの代わりにアモキシリン(例えばAmoxil(登録商標)またはTrimox(登録商標))を使用するか、メトロニダゾールに対する細菌の耐性が予想される場合には、クラリスロマイシン(Biaxin(登録商標))などの他の抗生物質を使用することもありうる。
3剤併用療法の代替法として、2週間2剤併用療法も知られている。2剤併用療法の方が、患者にとっては遵守が容易であり、生じる副作用も少ない。2剤併用療法には、アモキシシリンまたはクラリスロマイシンなどの抗生物質と、酸の産生を停止させる薬物であるオメプラゾールとが含まれうる。残念なことに、現在の治療法で消化性潰瘍を効果的に処置するには、4から8週間(すなわちビスマス、メトロニダゾール、テトラサイクリンを使用した場合)か、さらに長期間(すなわちH2阻害剤またはプロトンポンプ阻害剤を使用した場合)を要しうる。
ほとんどの場合、抗潰瘍医薬は潰瘍を迅速かつ効果的に治癒させる。H.pyloriの根絶により、ほとんどの潰瘍は、その再発が防止される。しかし、投薬に応答しない患者または合併症を発症する患者には、手術が必要な場合もある。通常は手術によってうまく潰瘍が治癒し、その再発および将来の合併症も防止されるが、時には問題も生じうる。
現在は、潰瘍を処置するために標準的な開腹手術が行われている。将来的には外科医は腹腔鏡法を使用するようになるだろう。腹腔鏡は、外科医がビデオモニタを見ながら小さい切開を通して手術することを可能にするカメラを備えた長い管状の機器である。一般的な型の潰瘍手術は、迷走神経切断術、幽門形成術、および幽門洞切除術である。
迷走神経切断術では、脳から胃への情報を伝達する神経である迷走神経を切断する。迷走神経によって送られる情報を妨げると、酸分泌が減少する。しかしこの手術は胃内容排出も妨害しうる。この手術の最新の変法では、迷走神経のうち、胃の酸分泌細胞を制御する部分だけを切断することにより、胃内容排出に影響する部分を回避する。
幽門洞切除術では、胃を刺激して消化液を分泌させるホルモンを産生する胃の下部(幽門洞)を切除する。時には、ペプシンおよび酸を分泌する胃の隣接部分も、外科医によって切除されうる。通常は、幽門洞切除術と一緒に、迷走神経切断術が行われる。
幽門形成術は、迷走神経切断術と一緒に行いうるもう一つの外科措置である。幽門形成術では、十二指腸および小腸への開口部(幽門)を拡大して、より自由に胃から内容物が通過できるようにする。
潰瘍の合併症としては、出血、臓器壁の穿孔、ならびに消化管路の狭窄および閉塞などが挙げられる。潰瘍が胃壁または十二指腸壁の筋内に食い込むにつれて、血管も損傷を受け、それが出血を引き起こしうる。冒された血管が小さい場合、血液は消化管内にゆっくりと滲出しうる。長い期間を経て、患者は貧血性になり、だるさ、めまいまたは疲れを感じるようになりうる。損傷を受けた血管が大きい場合、出血は危険であり、即座の治療が必要である。症状には、静止時のだるさおよびめまい、吐血、または失神が含まれる。糞便は血液によってタール状の黒色になりうる。大半の出血性潰瘍は内視鏡によって処置することができる。潰瘍の位置を特定し、血管を加熱装置で焼灼するか、出血を停止するための物質を注入する。内視鏡処置がうまくいかない場合は、手術が必要になりうる。
潰瘍は、時には、胃または十二指腸の壁に穴を開ける。細菌および部分消化された食物が、その開口部を通って、無菌状態の腹腔(腹膜)中に漏出する場合がある。これは、腹腔および腹壁の炎症である腹膜炎を引き起こす。突然の鋭い激痛を引き起こしうる穿孔性潰瘍は、通常、即時の入院および手術を必要とする。
十二指腸に続く胃末端に位置する潰瘍は、腫脹および瘢痕化を引き起こし、それが腸開口部を狭窄または閉鎖する場合がある。この閉塞は食物が胃から小腸に移行するのを妨げうる。その結果、患者は胃の内容物を吐くことになりうる。バルーンを使って狭窄路をこじ開ける措置である内視鏡バルーン拡張術を行うことができる。この拡張術が問題を軽減しない場合は、手術が必要になりうる。
胃食道逆流疾患
胃食道逆流疾患(GERD)(消化性食道炎および逆流性食道炎とも呼ばれる)は、食道への胃内容物の逆流によって起こる食道の炎症である。一部の胃食道逆流は、食後にしばしば無症状で起こる正常な状態である。しかしこの逆流が、胃から食道への流れをせき止める筋繊維束である下部食道括約筋が機能不全である(弱っている)ために起こる場合は、もっと深刻なことになる場合もある。これが起こると、酸性またはアルカリ性の胃内容物が胃から下部食道括約筋を通って食道に戻り、GERDの症状を引き起こしうる。食道括約筋不全を起こし、その結果としてGERDを引き起こしうる状態には、妊娠、裂孔ヘルニア、肥満、反復性または持続性嘔吐および経鼻胃管などがある。GERDは食道手術および食道狭窄の危険因子でもある。
GERDの症状には、胸やけ、おくび、食物の吐き戻し、悪心、嘔吐、嗄声、咽頭痛、嚥下困難および咳が含まれる。GERDの診断に用いられるのは、グアヤック試験における糞便の陽性、逆流を示す持続的な食道pH監視、食道炎または潰瘍形成を示す内視鏡検査、異常な括約筋圧を示す食道マノメトリ、逆流を示す食道造影、および胃酸逆流に関するバーンスタイン試験での陽性である。
GERDの処置には、減量、食後の横臥を避けること、睡眠時にベッドの頭部を上げること、多量の水と共に薬を服用すること、食事脂肪、チョコレート、カフェイン、ペパーミント(これらは食道圧の低下を招きうる)を避けること、アルコールとタバコを避けることがある。GERDの症状を軽減することができる薬物には、食後および就寝時の制酸薬、ヒスタミンH2受容体遮断薬、消化管運動促進剤、プロトンポンプ阻害剤がある。さらに、薬理学的に難治性のGERDを持つ患者には、逆流防止手術(ニッセン胃底皺襞形成術)が必要な場合もある。処置されていないGERDは、食道炎、食道潰瘍、気管支痙攣、慢性肺疾患およびバレット食道をもたらしうる。バレット食道は、癌の危険を増加させうる食道内壁の変化である。
このように、現在の消化性潰瘍治療法および胃食道逆流疾患治療法は、いずれも多くの短所および欠点を伴っている。
ボツリヌス毒素
クロストリジウム属には127を越える種があり、形態学および機能に従って分類されている。嫌気性グラム陽性細菌であるボツリヌス菌(Clostridium botulinum)は、ボツリヌス中毒と呼ばれる神経麻痺性障害をヒトおよび動物において引き起こす強力なポリペプチド神経毒であるボツリヌス毒素を産生する。ボツリヌス菌の胞子は土壌中に見出され、滅菌と密閉が不適切な零細缶詰工場の食品容器内で増殖する可能性があり、これが多くのボツリヌス中毒症例の原因である。ボツリヌス中毒の影響は、通例、ボツリヌス菌の培養物または胞子で汚染された食品を飲食した18〜36時間後に現れる。ボツリヌス毒素は、消化管内を弱毒化されないで通過することができ、そして末梢運動ニューロンを攻撃することができるようである。ボツリヌス毒素中毒の症状は、歩行困難、嚥下困難および会話困難から、呼吸筋の麻痺および死にまで進行し得る。
A型ボツリヌス毒素は、人類に知られている最も致死性の天然の生物学的物質である。市販A型ボツリヌス毒素(精製された神経毒複合体;100単位バイアルとして、BOTOX(登録商標)の商標でAllergan,Inc.(カリフォルニア州アービン)から入手可能である)の約50ピコグラムがマウスにおけるLD50(すなわち1単位)である。1単位のBOTOX(登録商標)は、約50ピコグラム(約56アトモル)のA型ボツリヌス毒素複合体を含む。興味深いことに、モル基準でA型ボツリヌス毒素の致死力はジフテリアの18億倍、シアン化ナトリウムの6億倍、コブロトキシンの3000万倍、コレラの1200万倍である。Natuaral Toxins II[B. R. Singhら編、Plenum Press、ニューヨーク(1996)]のSingh、Critical Aspects of Bacterial Protein Toxins、第63〜84頁(第4章)(ここで、記載されるA型ボツリヌス毒素LD50 0.3ng=1Uとは、BOTOX(登録商標)約0.05ng=1Uという事実に補正される)。1単位(U)のボツリヌス毒素は、それぞれが18〜20グラムの体重を有するメスのSwiss Websterマウスに腹腔内注射されたときのLD50として定義される。
7種類の血清学的に異なるボツリヌス神経毒が特徴付けられており、これらは、型特異的抗体による中和によってそのそれぞれが識別されるボツリヌス神経毒血清型A、B、C1、D、E、FおよびGである。ボツリヌス毒素のこれらの異なる血清型は、それらが冒す動物種、ならびにそれらが惹起する麻痺の重篤度および継続時間が異なる。例えば、A型ボツリヌス毒素は、ラットにおいて生じる麻痺率により評価された場合、B型ボツリヌス毒素よりも500倍強力であることが確認されている。また、B型ボツリヌス毒素は、霊長類では480U/kgの投与量で非毒性であることが確認されている。この投与量は、A型ボツリヌス毒素の霊長類LD50の約12倍である。Jankovic, J.ら編、"Therapy With Botulinum Toxin"(1994)(Mercel Dekker, Inc.)の第71-85頁、第6章の、Moyer Eら、Botulinum Toxin Type B: Experimental and Clinical Experience。ボツリヌス毒素は、コリン作動性の運動ニューロンに大きな親和性で結合して、ニューロンに移動し、アセチルコリン放出を阻止するようである。
血清型に関係なく、毒素中毒の分子メカニズムは類似し、少なくとも3つの過程または段階を含むようである。第1段階において、毒素は、重鎖(H鎖)と細胞表面受容体との特異的相互作用によって、標的ニューロンのシナプス前膜に結合する。受容体は、ボツリヌス毒素の各血清型および破傷風毒素で異なると考えられる。H鎖のカルボキシル末端セグメント(HC)は、毒素を細胞表面に指向させるのに重要であるようである。
第2段階において、毒素は、冒した細胞の形質膜を横切る。毒素は、初めに、受容体媒介エンドサイトーシスにより細胞に包み込まれ、毒素を含有するエンドソームが形成される。次に、毒素は、エンドソームから該細胞の細胞質中に逃れ出る。この段階は、約5.5またはそれ以下のpHに反応して毒素のコンフォメーション変化を誘発するH鎖のアミノ末端セグメント(HN)によって媒介されると考えられる。エンドソームは、エンドソーム内pHを低下させるプロトンポンプを有することが既知である。コンフォメーションのシフトは毒素中の疎水性残基を露出させ、これが、毒素をエンドソーム膜内に埋込むことを可能にする。次に、毒素(または少なくともその軽鎖)が、エンドソーム膜を通って細胞質に移動する。
ボツリヌス毒素活性のメカニズムの最終段階は、重鎖(H鎖)および軽鎖(L鎖)を結合するジスルフィド結合の減少を伴うようである。ボツリヌス毒素および破傷風毒素の全毒素活性は、ホロトキシンのL鎖に含まれる。L鎖は亜鉛(Zn++)エンドペプチダーゼであり、これは、神経伝達物質を含有する小胞の認識および形質膜の細胞質表面とのドッキングならびに小胞と形質膜との融合に必須であるタンパク質を選択的に開裂する。破傷風神経毒、ボツリヌス毒素B、D、FおよびG型は、シナプトソーム膜タンパク質であるシナプトブレビン[小胞関連膜タンパク質(VAMP)とも称される]の分解を引き起こす。シナプス小胞の細胞質表面に存在する大部分のVAMPは、これらの開裂現象のいずれかの結果として除去される。A型およびE型ボツリヌス毒素はSNAP-25を開裂する。C1型ボツリヌス毒素ははじめはシンタキシンを開裂すると考えられたが、シンタキシンおよびSNAP-25を開裂することがわかった。各毒素は異なる結合を特異的に開裂する。ただし、B型ボツリヌス毒素(および破傷風毒素)は同じ結合を開裂する。
すべてのボツリヌス毒素血清型が神経筋接合部における神経伝達物質アセチルコリンの放出を阻害するようであるが、そのような阻害は、種々の神経分泌タンパク質に作用し、かつ/またはこれらのタンパク質を異なる部位で切断することによって行われる。例えば、A型およびE型ボツリヌス毒素はいずれも、25キロダルトン(kD)のシナプトソーム関連タンパク質(SNAP-25)を切断するが、それぞれ異なるタンパク質内アミノ酸配列を標的とする。B型、D型、F型およびG型のボツリヌス毒素は小胞関連タンパク質(VAMP、これはまたシナプトブレビンとも呼ばれる)に作用し、それぞれの血清型によってこのタンパク質は異なる部位で切断される。最後に、C1型ボツリヌス毒素は、シンタキシンおよびSNAP-25の両者を切断することが明らかにされている。作用機序におけるこれらの相違が、様々なボツリヌス毒素血清型の相対的な効力および/または作用の継続時間に影響していると考えられる。明らかに、ボツリヌス毒素の基質は、多様な細胞種に見られる。例えばGonelle-Gispert, C.ら、SNAP-25a and -25b isoforms are both expressed in insulin-secreting cells and can function in insulin secretion, Biochem J. 1; 339 (pt 1): 159-65: 1999、並びにBoyd R.S.ら、The effect of botulinum neurotoxin-B on insulin release from a ∋-cell line、およびBoyd R.S.ら、The insulin secreting ∋-cell line, HIT-15, contains SNAP-25 which is a target for botulinum neurotoxin-A、いずれもMov Disord, 10(3):376:1995(膵島B細胞は少なくともSNAP-25およびシナプトブレビンを含有する)参照。
ボツリヌス毒素タンパク質分子の分子量は、既知のボツリヌス毒素血清型の7つのすべてについて約150kDである。興味深いことに、これらのボツリヌス毒素は、会合する非毒素タンパク質とともに150kDのボツリヌス毒素タンパク質分子を含む複合体としてクロストリジウム属細菌によって放出される。例えば、A型ボツリヌス毒素複合体は、900kD、500kDおよび300kDの形態としてクロストリジウム属細菌によって産生され得る。B型およびC1型のボツリヌス毒素は700kDまたは500kDの複合体としてのみ産生されるようである。D型ボツリヌス毒素は300kDおよび500kDの両方の複合体として産生される。最後に、E型およびF型のボツリヌス毒素は約300kDの複合体としてのみ産生される。これらの複合体(すなわち、約150kDよりも大きな分子量)は、非毒素のヘマグルチニンタンパク質と、非毒素かつ非毒性の非ヘマグルチニンタンパク質とを含むと考えられる。これらの2つの非毒素タンパク質(これらは、ボツリヌス毒素分子とともに、関連する神経毒複合体を構成し得る)は、変性に対する安定性をボツリヌス毒素分子に与え、そして毒素が摂取されたときに消化酸からの保護を与えるように作用すると考えられる。また、より大きい(分子量が約150kDよりも大きい)ボツリヌス毒素複合体は、ボツリヌス毒素複合体の筋肉内注射部位からのボツリヌス毒素の拡散速度を低下させ得ると考えられる。
すべてのボツリヌス毒素血清型は、神経活性となるためにはプロテアーゼによって切断またはニッキングされなければならない不活性な単鎖タンパク質としてボツリヌス菌によって合成される。A型およびG型のボツリヌス毒素血清型を産生する細菌株は内因性プロテアーゼを有するので、A型およびG型の血清型は細菌培養物から主にその活性型で回収することができる。これに対して、C1型、D型およびE型のボツリヌス毒素血清型は非タンパク質分解性菌株によって合成されるので、培養から回収されたときには、典型的には不活性型である。B型およびF型の血清型はタンパク質分解性菌株および非タンパク質分解性菌株の両方によって産生されるので、活性型または不活性型のいずれでも回収することができる。しかし、例えば、B型ボツリヌス毒素を産生するタンパク質分解性菌株でさえも、産生された毒素の一部を切断するだけである。
切断型分子と非切断型分子との正確な比率は培養時間の長さおよび培養温度に依存する。したがって、例えばB型ボツリヌス毒素の製剤はいずれも一定割合が不活性であると考えられ、このことが、A型ボツリヌス毒素と比較したB型ボツリヌス毒素の低い効力の原因であると考えられる。臨床製剤中に存在する不活性なボツリヌス毒素分子は、その製剤の総タンパク質量の一部を占めることになるが、このことはその臨床的効力に寄与せず、抗原性の増大に関連づけられている。
ボツリヌス毒素および毒素複合体は例えば、List Biological Laboratories, Inc.(キャンベル、カリフォルニア);the Centre for Applied Microbiology and Research(ポートン・ダウン、イギリス);Wako(日本、大阪);およびSigma Chemicals(セントルイス、ミズーリ)から入手し得る。市販のボツリヌス毒素含有医薬組成物には、次のものが包含される:BOTOX(登録商標)(A型ボツリヌス毒素神経毒複合体とヒト血清アルブミンおよび塩化ナトリウムを含む。使用前に0.9%塩化ナトリウムで再構成する凍結乾燥粉末として、100単位バイアルで、カリフォルニア、アーヴィンのAllergan, Inc.から入手可能。)、Dysport(登録商標)(A型ボツリヌス毒素ヘマグルチニン複合体とヒト血清アルブミンおよびラクトースを製剤中に含む。使用前に0.9%塩化ナトリウムで再構成する粉末として、イギリス、バークシャーのIpsen Limitedから入手可能。)、およびMyoBloc(登録商標)(B型ボツリヌス毒素、ヒト血清アルブミン、コハク酸ナトリウムおよび塩化ナトリウムを含むpH約5.6の注射可能な溶液。アイルランド、ダブリンのElan Corporationから入手可能。)。
種々の臨床症状の治療におけるボツリヌス毒素A型の成功は、他のボツリヌス毒素血清型への関心を高めている。更に、純粋なボツリヌス毒素がヒトの処置に用いられている。例えば、Kohl A. ら、Comparison of the effect of botulinum toxin (Botox(R)) with the highly-purified neurotoxin(NT201) in the extensor digitorum brevis muscle test, Mov Disord 2000;15(補遺3):165参照。すなわち、純粋なボツリヌス毒素を使用して医薬組成物を調製することができる。
A型ボツリヌス毒素はpH4〜6.8で希水溶液に可溶であることが知られている。約7を越えるpHでは、安定化非毒性タンパク質が神経毒から解離し、その結果、特にpHおよび温度が上がるほど、毒性が徐々に失われる。Jankovic, J.ら、Therapy with Botulinum Toxin, Marcel Dekker, Inc (1994)の第3章のSchantz E.J.ら、Preparation and characterization of botulinum toxin type A for human treatment(特に第44-45頁)。
ボツリヌス毒素分子(約150kDa)およびボツリヌス毒素複合体(約300〜900kDa)、例えばA型毒素複合体はまた、表面変性、熱およびアルカリ性条件による変性に対して非常に感受性である。不活性化された毒素は、免疫原性であり得るトキソイドタンパク質を形成する。生じた抗体は、患者を毒素注射に対して非応答性にし得る。
インビトロでの研究により、ボツリヌス毒素が、脳幹組織の初代細胞培養物からのアセチルコリンおよびノルエピネフリンの両方の、カリウムカチオンにより誘導される放出を阻害することが示されている。また、ボツリヌス毒素は、脊髄ニューロンの初代培養物におけるグリシンおよびグルタメートの両方の誘発された放出を阻害すること、そして脳のシナプトソーム調製物において、ボツリヌス毒素が神経伝達物質のアセチルコリン、ドーパミン、ノルエピネフリン(Habermann E.ら、Tetanus Toxin and Botulinum A and C Neurotoxins Inhibit Noradrenaline Release From Cultured Mouse Brain, J Neurochem 51(2); 522-527: 1988)、CGRP、サブスタンスPおよびグルタメート(Sanchez-Prieto, J.ら、Botulinum Toxin A Blocks Glutamate Exocytosis From Guinea Pig Cerebral Cortical Synaptosomes, Eur J. Biochem 165; 675-681: 1897)のそれぞれの放出を阻害することが報告されている。すなわち、充分な濃度を用いれば、大部分の神経伝達物質の刺激により誘発される放出はボツリヌス毒素によってブロックされる。
例えば、Pearce, L.B., Pharmacologic Characterization of Botulinum Toxin For Basic Science and Medicine, Toxicon 35(9); 1373-1412の1393; Bigalke H.ら, Botulinum A Neurotoxin Inhibits Non-Cholinergic Synaptic Transmission in Mouse Spinal Cord Neurons in Culture, Brain Research 360; 318-324; 1985; Habermann E., Inhibition by Tetanus and Botulinum A Toxin of the release of [3H]Noradrenaline and [3H]GABA From Rat Brain Homogenate, Experientia 44; 224-226: 1988, Bigalke H.ら, Tetanus Toxin and Botulinum A Toxin Inhibit Release and Uptake of Various Transmitters, as Studied with Particulate Preparations From Rat Brain and Spinal Cord, Naunyn-Schmiedeberg's Arch Pharmacol 316; 244-251: 1981, および;Jankovic J.ら, Therapy With Botulinum Toxin, Marcel Dekker, Inc. (1994), 第5頁参照。
A型ボツリヌス毒素は、既知の手順に従って、培養槽におけるボツリヌス菌の培養を確立して、生育させ、その後、発酵混合物を集め、精製することによって得ることができる。すべてのボツリヌス毒素血清型は、神経活性となるためにはプロテアーゼによって切断またはニッキングされなければならない不活性な単鎖タンパク質として最初に合成される。A型およびG型のボツリヌス毒素血清型を産生する細菌株は内因性プロテアーゼを有するので、A型およびG型の血清型は細菌培養物から主にその活性型で回収することができる。これに対して、C1型、D型およびE型のボツリヌス毒素血清型は非タンパク質分解性菌株によって合成されるので、培養から回収されたときには、典型的には不活性型である。B型およびF型の血清型はタンパク質分解性菌株および非タンパク質分解性菌株の両方によって産生されるので、活性型または不活性型のいずれでも回収することができる。しかし、例えば、B型ボツリヌス毒素を産生するタンパク質分解性菌株でさえも、産生された毒素の一部を切断するだけである。
切断型分子と非切断型分子との正確な比率は培養時間の長さおよび培養温度に依存する。したがって、例えばB型ボツリヌス毒素の製剤はいずれも一定割合が不活性であると考えられ、このことが、A型ボツリヌス毒素と比較したB型ボツリヌス毒素の知られている著しく低い効力の原因であると考えられる。臨床製剤中に存在する不活性なボツリヌス毒素分子は、その製剤の総タンパク質量の一部を占めることになるが、このことはその臨床的効力に寄与せず、抗原性の増大に関連づけられている。また、B型ボツリヌス毒素は、筋肉内注射された場合、同じ用量レベルのA型ボツリヌス毒素よりも、活性の継続期間が短く、そしてまた効力が低いことも知られている。
ボツリヌス菌のHall A株から、≧3×10U/mg、A260/A2780.60未満、およびゲル電気泳動における明確なバンドパターンという特性を示す高品質結晶A型ボツリヌス毒素を生成し得る。Shantz,E.J.ら、Properties and use of Botulinum toxin and Other Microbial Neurotoxins in Medicine、Microbiol Rev.56:80−99(1992)に記載されているように既知のShanz法を用いて結晶A型ボツリヌス毒素を得ることができる。通例、A型ボツリヌス毒素複合体を、適当な培地中でA型ボツリヌス菌を培養した嫌気培養物から分離および精製し得る。この既知の方法を用い、非毒素タンパク質を分離除去して、例えば次のような純ボツリヌス毒素を得ることもできる:比効力1〜2×10LD50U/mgまたはそれ以上の分子量約150kDの精製A型ボツリヌス毒素;比効力1〜2×10LD50U/mgまたはそれ以上の分子量約156kDの精製B型ボツリヌス毒素;および比効力1〜2×10LD50U/mgまたはそれ以上の分子量約155kDの精製F型ボツリヌス毒素。
純粋なボツリヌス毒素は(すなわち、150kDのボツリヌス毒素分子)または毒素複合体を医薬組成物の調製に用いることができる。分子および複合体はいずれも、表面変性、熱およびアルカリ性条件による変性に対して感受性である。不活性化毒素はトキソイドタンパク質を形成し、これは免疫原性であり得る。その結果生じる抗体の故に、患者が毒素注射に対して応答しなくなり得る。
酵素一般について言えるように、ボツリヌス毒素(細胞内ペプチダーゼ)の生物学的活性は、少なくとも部分的にはその三次元形状に依存する。すなわち、A型ボツリヌス毒素は、熱、種々の化学薬品、表面の伸長および表面の乾燥によって無毒化される。しかも、既知の培養、発酵および精製によって得られた毒素複合体を、医薬組成物に使用する非常に低い毒素濃度まで希釈すると、適当な安定剤が存在しなければ毒素の無毒化が急速に起こることが知られている。毒素をmg量からng/ml溶液へ希釈するのは、そのような大幅な希釈によって毒素の比毒性が急速に低下する故に、非常に難しい。毒素含有医薬組成物を製造後、何箇月も、または何年も経過してから毒素を使用することもあるので、毒素をアルブミンおよびゼラチンのような安定剤で安定化することができる。
市販のボツリヌス毒素含有医薬組成物は、BOTOX(登録商標)(カリフォルニア、アーヴィンのAllergan,Inc.から入手可能)の名称で市販されている。BOTOX(登録商標)は、精製A型ボツリヌス毒素複合体、アルブミンおよび塩化ナトリウムから成り、無菌の減圧乾燥形態で包装されている。このA型ボツリヌス毒素は、N−Zアミンおよび酵母エキスを含有する培地中で増殖させたボツリヌス菌のHall株の培養物から調製する。そのA型ボツリヌス毒素複合体を培養液から一連の酸沈殿によって精製して、活性な高分子量毒素タンパク質および結合ヘマグルチニンタンパク質から成る結晶複合体を得る。結晶複合体を、塩およびアルブミンを含有する溶液に再溶解し、滅菌濾過(0.2μ)した後、減圧乾燥する。減圧乾燥生成物は、−5℃またはそれ以下の冷凍庫内で保存する。BOTOX(登録商標)は、筋肉内注射前に、防腐していない無菌塩類液で再構成し得る。BOTOX(登録商標)の各バイアルは、A型ボツリヌス毒素精製神経毒複合体約100単位(U)、ヒト血清アルブミン0.5mgおよび塩化ナトリウム0.9mgを、防腐剤不含有の無菌減圧乾燥形態で含有する。
減圧乾燥BOTOX(登録商標)を再構成するには、防腐剤不含有の無菌生理食塩水;0.9%Sodium Chloride Injectionを使用し、適量のその希釈剤を適当な大きさの注射器で吸い上げる。BOTOX(登録商標)は、泡立てまたは同様の激しい撹拌によって変性しうるので、そのバイアルに希釈剤を穏やかに注入する。滅菌性の理由から、BOTOX(登録商標)は、バイアルを冷凍庫から取り出して再構成した後4時間以内に投与することが好ましい。その4時間の間、再構成BOTOX(登録商標)は冷蔵庫(約2〜8℃)内で保管しうる。再構成し冷蔵したBOTOX(登録商標)は、その効力を少なくとも約2週間維持することが報告されている。Neurology, 48:249-53:1997。
ボツリヌス毒素は、活動過多な骨格筋によって特徴付けられる神経筋障害を処置するために臨床的状況において使用されている。A型ボツリヌス毒素(BOTOX(登録商標))は、本態性眼瞼痙攣、斜視および片側顔面痙攣を12歳を越える患者において処置するために米国食品医薬品局によって1989年に承認された。A型ボツリヌス毒素市販製剤(BOTOX(登録商標))およびB型ボツリヌス毒素市販製剤(MyoBloc(商標))が、頸部ジストニアの処置のためにFDAに2000年に承認された。A型ボツリヌス毒素(BOTOX(登録商標))が、ある種の過運動性(眉間)顔面しわの美容的処置のためにFDAに2002年に承認された。末梢筋肉内A型ボツリヌス毒素の臨床的効果は、通常、注射後1日またはしばしば数時間以内に認められる。A型ボツリヌス毒素の単回筋肉内注射による症候緩和(すなわち弛緩性筋肉麻痺)の典型的な継続時間は約3ヶ月であり得るが、ボツリヌス毒素が誘導する腺(例えば唾液腺)の神経支配除去効果は、数年間持続することが報告されている場合もある。例えばボツリヌス毒素A型は、最大12ヶ月の有効性を有し(Naumann M.ら、Botulinum toxin type A in the treatment of focal, axillary and palmar hyperhidrosis and other hyperhidrotic conditions, European J. Neurology 6(Supp 4), S111-S1150; 1999)、ある場合には27ヶ月間にもわたる有効性を有しうることが既知である(Ragona, R.M.ら、Management of parotid sialocele with botulinum toxin, The Laryngoscope 109; 1344-1346; 1999)。しかし、BOTOX(登録商標)筋肉注射の通常の持続期間は一般に約3〜4ヶ月間である。
A型ボツリヌス毒素は、例えば下記のように臨床的に様々に使用されていることが報告されている:
(1)頸部ジストニーを処置するための筋肉内注射(多数の筋肉)あたり約75単位〜125単位のBOTOX(登録商標);
(2)眉間のしわを処置するための筋肉内注射あたり約5単位〜10単位のBOTOX(登録商標)(5単位が鼻根筋に筋肉内注射され、10単位がそれぞれの皺眉筋に筋肉内注射される);
(3)恥骨直腸筋の括約筋内注射による便秘を処置するための約30単位〜80単位のBOTOX(登録商標);
(4)上瞼の外側瞼板前部眼輪筋および下瞼の外側瞼板前部眼輪筋に注射することによって眼瞼痙攣を処置するために筋肉あたり約1単位〜5単位の筋肉内注射されるBOTOX(登録商標);
(5)斜視を処置するために、外眼筋に、約1単位〜5単位のBOTOX(登録商標)が筋肉内注射されている。この場合、注射量は、注射される筋肉のサイズと所望する筋肉麻痺の程度(すなわち、所望するジオプター矯正量)との両方に基づいて変化する。
(6)卒中後の上肢痙性を処置するために、下記のように5つの異なる上肢屈筋にBOTOX(登録商標)が筋肉内注射される:
(a)深指屈筋:7.5U〜30U
(b)浅指屈筋:7.5U〜30U
(c)尺側手根屈筋:10U〜40U
(d)橈側手根屈筋:15U〜60U
(e)上腕二頭筋:50U〜200U。5つの示された筋肉のそれぞれには同じ処置時に注射されるので、患者には、それぞれの処置毎に筋肉内注射によって90U〜360Uの上肢屈筋BOTOX(登録商標)が投与される。
(7)偏頭痛を治療するために、25UのBOTOX(登録商標)を頭蓋周囲に注射する(眉間、前頭および側頭筋に対称的に注射する):該注射は、偏頭痛頻度、最大重症度、付随嘔吐および急性薬剤使用の減少(25U注射後の3ヶ月間にわたる)によって評価した場合に、ビヒクルと比較して、偏頭痛の予防療法として有意な利益を与える。
さらに、筋肉内ボツリヌス毒素は、パーキンソン病の患者の振せんの治療にも使用されているが、結果は顕著でないことが報告されている。Marjama-Lyons,J.ら、"Tremor-Predominant Parkinson's Disease",Drugs & Aging 16(4), 273-278, 2000。
ある種の胃腸疾患および平滑筋疾患をボツリヌス毒素で処置することが知られている。例えば米国特許第5427291号および第5674205号(Pasricha)参照。更に、ボツリヌス毒素を膀胱括約筋に経尿道注射して排尿障害を処置することが知られている(例えば、Dykstra D.D.ら、Treatment of detrusor-sphincter dyssynergia with botulinum A toxin: A double-blind study, Arch Phys Med Rehabil 1990年1月;71:24-6参照)。また、ボツリヌス毒素を前立腺に注射して前立腺肥大を処置することが知られている。例えば米国特許第6365164号(Schmidt)参照。
米国特許第5766605号(Sanders)には、種々の自律神経障害、例えば過流涎および鼻炎をボツリヌス毒素で処置することが提案されている。更に、鼻の過分泌は鼻腺(主としてコリン作動性支配下にある)の過活動によって主に起こることが知られており、哺乳動物の上顎洞鼻介の鼻粘膜組織にA型ボツリヌス毒素を適用することにより、鼻腺に一過性アポトーシスを誘発しうることが示されている。Rohrbach S.ら、Botulinum toxin type A induces apoptosis in nasal glands of guinea pigs, Ann Otol Rhinol Laryngol 2001 Nov; 110(11):1045-50。更に、内因性鼻炎の女性患者にA型ボツリヌス毒素を局所適用することによって、鼻の過分泌が5日以内に明らかに減少した。Rohrbach S.ら、Minimally invasive application of botulinum toxin type A in nasal hypersecretion, J Oto-Rhino-Laryngol 2001 Nov-Dec; 63(6):382-4。
ボツリヌス毒素で処置し得る種々の疾患、例えば多汗症および頭痛が、WO95/17904(PCT/US94/14717)(Aoki)に論じられている。EP第0605501B1号(Graham)には、ボツリヌス毒素による脳性麻痺の処置が論じられ、米国特許第6063768号(First)にはボツリヌス毒素による神経性炎症の処置が論じられている。
末梢部位における薬理作用を有する他に、ボツリヌス毒素は、中枢神経系における阻害作用も有しうる。Weigandら[125I-labelled botulinum A neurotoxin: pharmacokinetics in cats after intramuscular injection, Nauny-Schmiedeberg's Arch.Pharmacol. 1976, 292,161-165]、およびHabermann[125I-labelled Nerotoxin from clostridium botulinum A: preparation, binding to synaptosomes and ascent to the spinal cord, Nauny-Schmiedeberg's Arch.Pharmacol. 1974, 281,47-56]の研究は、ボツリヌス毒素が逆行性輸送によって脊髄領域へ上行しうることを示している。従って、末梢部位(例えば筋肉内)に注射されたボツリヌス毒素は、脊髄に逆行輸送されうる。
インビトロでの研究により、ボツリヌス毒素が、脳幹組織の初代細胞培養物からのアセチルコリンおよびノルエピネフリンの両方の、カリウムカチオンにより誘導される放出を阻害することが示されている。また、ボツリヌス毒素は、脊髄ニューロンの初代培養物におけるグリシンおよびグルタメートの両方の誘発された放出を阻害すること、そして脳のシナプトソーム調製物において、ボツリヌス毒素が神経伝達物質のアセチルコリン、ドーパミン、ノルエピネフリン、CGRP、およびグルタメートのそれぞれの放出を阻害することが報告されている。
米国特許第5989545号は、特定の標的化成分に化学的に結合させるかまたは組換え的に融合させた改質クロストリジウム属神経毒またはそのフラグメント、好ましくはボツリヌス毒素を使用して、脊髄に薬剤を投与することによって痛みを治療できることを開示している。
ボツリヌス毒素は、次のような状態の処置にも提案されている:多汗(米国特許第5766605号)、頭痛(米国特許第6458365号)、片頭痛(米国特許第5714468号)、術後痛および内臓痛(米国特許第6464986号)、脊髄内投与による痛みの処置(米国特許第6133915号)、頭蓋内投与によるパーキンソン病の処置(米国特許第6306403号)、毛髪の成長および維持(米国特許第6299893号)、乾癬および皮膚炎(米国特許第5670484号)、筋肉障害(米国特許第6423319号)、種々の癌(米国特許第6139845号)、膵臓疾患(米国特許第6143306号)、平滑筋疾患(米国特許第5437291号、上部および下部食道、幽門および肛門括約筋へのボツリヌス毒素注射を包含する)、前立腺疾患(米国特許第6365164号)、炎症、関節炎および痛風(米国特許第6063768号)、若年性脳性麻痺(米国特許第6395277号)、内耳疾患(米国特許第6265379号)、甲状腺疾患(米国特許第6358513号)、副甲状腺疾患(米国特許第6328977号)。更に、制御放出毒素インプラントが知られている(米国特許第6306423号および第6312708号)。
ボツリヌス毒素の静脈内注射により、ラットにおいて、ペンタガストリン刺激による酸およびペプシン分泌が低下することが報告されているKondo T.ら、Modification of the action of pentagastrin on acid secretion by botulinum toxin, Experientia 1977;33:750-1。更に、胃腸分泌、例えば胃分泌を低下するためにボツリヌス毒素を使用しうると考えられている。WO95/17904の第16-17頁参照。更に、腸神経系疾患における胃腸筋肉障害をボツリヌス毒素で処置することが提案されており(米国特許第5437291号)、また、種々の自律神経疾患をボツリヌス毒素で処置することが提案されている(米国特許第5766605号)。ボツリヌス毒素がイヌの胃底に注射されている。Wang Z.ら、Effects of botulinum toxin on gastric myoelectrical and vagal activities in dogs, Gastroenterology 2001 Apr; 120(5 Suppl 1): A-718。更に、肥満の処置として、胃洞にボツリヌス毒素を筋肉内注射することが提案されている。Gui D.ら、Effects of botulinum toxin on gastric emptying and digestive secretions. A possible tool for correction of obesity?, Naunyn Schmiedebergs Arch Pharmacol 2002 Jun; 365 (Suppl 2): R22; Albanase A.ら、The use of botulinum toxin on smooth muscles, Eur J Neurol 1995 Nov; 2(Supp 3): 29-33、およびGui D.ら、Botulinum toxin injected in the gastric wall reduces body weight and food intake in rats, Aliment Pharmacol Ther 2000 Jun; 14(6): 829-834参照。更にまた、胃における分泌制御のために、A型ボツリヌス毒素を処置適用することが提案されている。Rossi S.ら、Immunohistochemical localiation of SNAP-25 protein in the stomach of rat, Naunyn Schmiedebergs Arch Pharmacol 2002; 365(Suppl 2): R37。
重要なことに、食道無弛緩症の処置のために下部食道括約筋にボツリヌス毒素を注射すると、食道に潰瘍が形成されることが報告されている。Eaker, E.Y.ら、Untoward effects of esophageal botulinum toxin injection in the treatment of achalasia, Dig Dis Sci 1997 Apr; 42(4): 724-7。幽門前潰瘍の患者の痙攣幽門括約筋にボツリヌス毒素を注射して、幽門筋を開けることが知られている。Wiesel P.H.ら、Botulinum toxin for refractory postoperative pyloric spasm, Endoscopy 1997; 29(2): 132。
破傷風毒素ならびにその誘導体(すなわち非天然ターゲティング部分を持つもの)、断片、ハイブリッドおよびキメラも、治療有効性を持ちうる。破傷風毒素はボツリヌス毒素との類似点を数多く持っている。例えば、破傷風毒素とボツリヌス毒素はどちらも、クロストリジウム属の近縁種(それぞれ破傷風菌(Clostridium tenani)およびボツリヌス菌(Clostridium botulinum))によって産生されるポリペプチドである。また、破傷風毒素とボツリヌス毒素はどちらも、1つのジスルフィド結合によって重鎖(分子量約100kD)に共有結合している軽鎖(分子量約50kD)から構成される二本鎖タンパク質である。したがって、破傷風毒素の分子量と、7つの各ボツリヌス毒素(非複合体型)の分子量は、約150kDである。さらに、破傷風毒素でもボツリヌス毒素でも、軽鎖は細胞内生物活性(プロテアーゼ活性)を示すドメインを持ち、重鎖は受容体結合(免疫原)ドメインと細胞膜移行ドメインとを持っている。
さらに、破傷風毒素とボツリヌス毒素はどちらも、シナプス前コリン作動性ニューロンの表面にあるガングリオシド受容体に対して高い特異的親和性を示す。末梢コリン作動性ニューロンによる破傷風毒素の受容体仲介エンドサイトーシスは、逆行性軸索輸送、中枢シナプスからの抑制性神経伝達物質の放出の阻害および痙性麻痺をもたらす。これに対して、末梢コリン作動性ニューロンによるボツリヌス毒素の受容体仲介エンドサイトーシスは、逆行性輸送、中毒した末梢運動ニューロンからのアセチルコリンエキソサイトーシスの阻害、および弛緩性麻痺をもたらすことがなく、たとえあったとしても、ごくわずかである。
最後に、破傷風毒素とボツリヌス毒素は、その生合成および分子構造が互いに似ている。例えば、破傷風毒素とA型ボツリヌス毒素のタンパク質配列には全体で34%の一致度があり、いくつかの機能ドメインについては62%もの配列一致度がある。Binz T. ら、The Complete Sequence of Botulinum Neurotoxin Type A and Comparison with Other Clostridial Neurotoxins, J Biological Chemistry 265(16);9153-9158:1990。
アセチルコリン
典型的には、単一タイプの小分子の神経伝達物質のみが、哺乳動物の神経系において各タイプのニューロンによって放出される。神経伝達物質アセチルコリンが脳の多くの領域においてニューロンによって分泌されているが、具体的には運動皮質の大錐体細胞によって、基底核におけるいくつかの異なるニューロンによって、骨格筋を神経支配する運動ニューロンによって、自律神経系(交感神経系および副交感神経系の両方)の節前ニューロンによって、副交感神経系の節後ニューロンによって、そして交感神経系の一部の節後ニューロンによって分泌されている。本質的には、汗腺、立毛筋および少数の血管に至る節後交感神経線維のみがコリン作動性であり、交感神経系の節後ニューロンの大部分は神経伝達物質のノルエピネフリンを分泌する。ほとんどの場合、アセチルコリンは興奮作用を有する。しかし、アセチルコリンは、迷走神経による心拍の抑制のように、抑制作用を一部の末梢副交感神経終末において有することが知られている。
自律神経系の遠心性シグナルは交感神経系または副交感神経系のいずれかを介して身体に伝えられる。交感神経系の節前ニューロンは、脊髄の中間外側角に存在する節前交感神経ニューロン細胞体から伸びている。細胞体から伸びる節前交感神経線維は、脊椎傍交感神経節または脊椎前神経節のいずれかに存在する節後ニューロンとシナプスを形成する。交感神経系および副交感神経系の両方の節前ニューロンはコリン作動性であるので、神経節にアセチルコリンを適用することにより、交感神経および副交感神経の両方の節後ニューロンが興奮し得る。
アセチルコリンは、ムスカリン性受容体およびニコチン性受容体の2種類の受容体を活性化する。ムスカリン性受容体は、副交感神経系の節後ニューロンによって刺激されるすべてのエフェクター細胞において、また、交感神経系の節後コリン作動性ニューロンに刺激されるエフェクター細胞において見られる。ニコチン性受容体は、副腎髄質、ならびに自律神経節内、すなわち交感神経系および副交感神経系の両方の節前ニューロンと節後ニューロンとの間のシナプスにおける節後ニューロンの細胞表面に見られる。ニコチン性受容体はまた、多くの非自律神経終末、例えば神経筋接合部における骨格筋繊維の膜にも存在する。
アセチルコリンは、小さい透明な細胞内小胞がシナプス前のニューロン細胞膜と融合したときにコリン作動性ニューロンから放出される。非常に様々な非ニューロン分泌細胞、例えば副腎髄質(PC12細胞株と同様に)および膵臓の島細胞が、それぞれカテコールアミン類および上皮小体ホルモンを大きな高密度コア小胞から放出する。PC12細胞株は、交感神経副腎発達の研究のために組織培養モデルとして広範囲に使用されているラットのクロム親和性細胞腫細胞のクローンである。ボツリヌス毒素は、(エレクトロポレーションによるように)透過性にされた場合、または脱神経支配細胞に毒素を直接注射することによって、両タイプの細胞からの両タイプの化合物の放出をインビトロで阻害する。ボツリヌス毒素はまた、皮質シナプトソーム細胞培養物からの神経伝達物質グルタメートの放出を阻止することが知られている。
神経筋接合部は、筋肉細胞への軸索の近接によって、骨格筋において形成される。神経系を介して伝達される信号は、イオンチャンネルを活性化して末端軸索における活動電位を生じ、例えば神経筋接合部の運動終板において、ニューロン内シナプス小胞からの神経伝達物質アセチルコリンの放出を生じる。アセチルコリンは、細胞外空間を通って、筋肉終板の表面のアセチルコリン受容体タンパク質と結合する。一旦、充分な結合が生じると、筋肉細胞の活動電位は、特異性膜イオンチャンネル変化を生じ、筋肉細胞収縮を生じる。次に、アセチルコリンが筋肉細胞から放出され、細胞外空間においてコリンエステラーゼによって代謝される。代謝産物は、さらなるアセチルコリンに再処理するために末端軸索に再循環される。
したがって、必要とされているのは、ボツリヌス毒素を使って消化性潰瘍を処置する方法、およびボツリヌス毒素を使って胃食道逆流疾患を処置する方法である。
図面
図1は、胃潰瘍および十二指腸潰瘍の典型的な位置を図解した図である。
概要
本発明はこの必要を満たし、ボツリヌス毒素を使って消化性潰瘍を処置する方法およびボツリヌス毒素を使って胃食道逆流疾患を処置する方法を提供する。潰瘍の処置または胃食道逆流疾患の処置を目的とするボツリヌス毒素の筋肉内注射または皮下注射は、本発明からは除外される。なぜなら、そのような方法は侵襲的(すなわち内視鏡法)であり、患者にとって不便だからである。
本発明では、消化性潰瘍を持つ患者の胃または十二指腸内で毒素活性成分を放出させるための経口製剤として、ボツリヌス毒素を調合する。ボツリヌス毒素の経口製剤の製造は、ボツリヌス毒素の凍結乾燥粉末を、穀粉、糖またはゼラチンなどの担体と混合した後、その混合物を圧縮して摂取可能な錠剤にすることによって、容易に達成することができる。担体および圧縮量は、結果として生成する錠剤(または別法として、担体と混合された処置量の毒素または担体を伴わない処置量の毒素を含有するカプセル剤もしくはジェルキャップ剤を製造することもできる)が嚥下用となるように選択され、担体および担体の特徴は、担体が胃内で迅速に溶解してボツリヌス毒素活性成分を放出するようなものである。
上記ボツリヌス毒素はA型、B型、C1型、D型、E型、F型およびG型ボツリヌス毒素の1つであり、好ましくはA型ボツリヌス毒素である。ボツリヌス毒素は、約1単位から約10,000単位のボツリヌス毒素量で、担体と組み合わせることができる。担体と組み合わされるボツリヌス毒素の量は、好ましくは、約5単位から約500単位のA型ボツリヌス毒素である。ボツリヌス毒素がB型ボツリヌス毒素である場合、担体と組み合わされるボツリヌス毒素の量は、好ましくは、約250単位から約25,000単位のB型ボツリヌス毒素であることができる。
本発明の具体的一実施態様は、迅速生分解性ポリマーまたは天然物質(すなわち穀粉、糖またはゼラチン)と、約5単位から約25,000単位のボツリヌス毒素とを含み、毒素が担体で封入されることにより制御放出系を形成しており、処置量のボツリヌス毒素を消化性潰瘍を持つヒト患者の胃腸系において担体から放出しうる経口製剤を含むことができる。
本発明の範囲に包含される摂取可能なボツリヌス毒素の錠剤またはカプセル剤を製造する方法は、ボツリヌス毒素を適切な担体と混合するか、適切な担体に分散させて、担体−ボツリヌス毒素混合物を形成させるステップと、その担体−ボツリヌス毒素混合物を錠剤に圧縮するか、または前記混合物をカプセルに充填するステップを持ちうる。
本発明のもう一つの実施態様は、迅速生分解性ポリラクチドおよびポリグリコリドからなるポリマー群より選択されるポリマーを含む担体と、安定化されたボツリヌス毒素であって、毒素が担体と組み合わされることによりボツリヌス毒素送達系を形成しており、経口摂取後に患者の胃腸系で処置量のボツリヌス毒素を担体から放出しうる。担体はボツリヌス毒素を組み込んだ多数のミクロスフェアを含むことができる。
本発明の経口製剤を製造するために使用されるボツリヌス毒素は、生理的条件下でニューロンの細胞表面受容体に特異的に結合することができる結合要素を含む第1要素と、ニューロンの細胞膜を横切るポリペプチドの輸送を促進することができるトランスロケーション要素を含む第2要素と、ニューロンの細胞質中に存在する時に、そのニューロンからのアセチルコリンのエキソサイトーシスを阻害することができる処置要素を含む第3要素とを含むことができる。上記処置要素はSNAREタンパク質を切断し、その結果として、ニューロンからのアセチルコリンのエキソサイトーシスを阻害することができ、前記SNAREタンパク質はシンタキシン、SNAP−25およびVAMPからなる群より選択されうる。一般に、ボツリヌス毒素による影響を受けるニューロンは、例えば胃腸管筋(平滑胃腸筋、横紋胃腸筋または混合平滑および横紋胃腸筋)または胃腸管分泌腺組織などを神経支配するシナプス前コリン作動性ニューロンである。コリン作動性ニューロンはボツリヌス毒素に対して高い親和性を(すなわち毒素に対する受容体によって)示しうるが、筋細胞および腺細胞は低親和性機構(すなわち飲作用)によって毒素を直接取り込むことができる。したがって、ニューロンと非ニューロン細胞はどちらも、ボツリヌス毒素の標的になりうる。
本発明の範囲に包含される経口製剤によって所定の期間中に投与されるボツリヌス毒素の量は、A型ボツリヌス毒素の場合は約10-3U/kgから約35U/kg、他のボツリヌス毒素、例えばB型ボツリヌス毒素などの場合は約2000U/kgまでであることができる。35U/kgまたは2000U/kgが上限であるのは、それが一定の神経毒、例えばそれぞれA型ボツリヌス毒素またはB型ボツリヌス毒素の致死量に近いからである。例えば、約2000単位/kgの市販B型ボツリヌス毒素調製物は、B型ボツリヌス毒素の霊長類致死量に近いことが報告されている。Meyer K.E. ら「A Comparative Systemic Toxicity Study of Neurobloc in Adult Juvenile Cynomolgus Monkeys(成体幼若カニクイザルにおけるNeuroblocの比較全身毒性試験)」Mov. Disord 15(Suppl 2);54;2000。
経口製剤によって投与されるA型ボツリヌス毒素の量は、好ましくは、約10-2U/kgから約25U/kgである。経口製剤によって所定の期間中に投与されるB型ボツリヌス毒素の量は、好ましくは、約10-2U/kgから約1000U/kgである。というのも、約1000U/kg未満のB型ボツリヌス毒素は霊長類に筋肉内投与しても全身作用を生じないと報告されているからである(前掲書)。より好ましくは、A型ボツリヌス毒素を、約10-1U/kgから約15U/kgの量で投与する。最も好ましくは、A型ボツリヌス毒素を約1U/kgから約10U/kgの量で投与する。多くの場合、約1単位から約500単位のA型ボツリヌス毒素の投与により、効果的で長時間持続する処置的軽減が得られる。より好ましくは、約5単位から約300単位のボツリヌス毒素、例えばA型ボツリヌス毒素を使用することができ、最も好ましくは約10単位から約200単位の神経毒、例えばA型ボツリヌス毒素を、標的組織内に局所投与して、有効な結果を得ることができる。特に好ましい本発明の実施態様では、約1単位から約100単位のボツリヌス毒素、例えばA型ボツリヌス毒素を標的組織に局所投与して、有効な処置結果を得ることができる。
ボツリヌス毒素はボツリヌス菌(Clostridium botulinum)によって産生されうる。また、ボツリヌス毒素は修飾ボツリヌス毒素、すなわち、天然ボツリヌス毒素または野生型ボツリヌス毒素と比較して、そのアミノ酸の少なくとも1つが欠失しているか、修飾されているか、または置換されているボツリヌス毒素であることもできる。さらに、ボツリヌス毒素は組換え生産されたボツリヌス毒素またはその誘導体もしくは断片であることもできる。
有意義なことに、ボツリヌス毒素経口製剤の採用により、消化性潰瘍を持つ患者が経口摂取すること(すなわち錠剤またはカプセル剤を嚥下すること)によって、ボツリヌス毒素を投与することができる。ボツリヌス毒素がA型ボツリヌス毒素である場合、経口投与されるボツリヌス毒素の量は、約1単位から約500単位、好ましくは約10から300単位、最も好ましくは約50から200単位のA型ボツリヌス毒素であることができる。
注目すべきことに、ボツリヌス毒素によって処置された腺組織は、毒素の注射後27ヶ月もの間、低下した分泌活動を示すことができると報告されている。Laryngoscope 1999;109:1344-1346、Laryngoscope 1998;108:381-384。
定義
本明細書では以下の定義が適用される。
「約」とは、そのように修飾された値の±10%を意味する。
「生体適合性」とは、経口製剤の使用による炎症応答がごくわずかであることを意味する。
「生物学的に活性な化合物」とは、それを投与された対象に有益な変化をもたらすことができる化合物を意味する。例えば「生物学的に活性な化合物」には神経毒が含まれる。
生物学的に活性な化合物に適用される「有効量」という用語は、所望する変化を対象にもたらすのに一般に十分である化合物の量を意味する。例えば、所望する効果が消化性潰瘍の治癒である場合、化合物の有効量は、その潰瘍の少なくとも実質的な治癒を引き起こし、しかも著しい全身毒性反応をもたらさない量である。
経口製剤の非活性成分構成要素(例えばボツリヌス毒素と混合するために使用される担体)に適用される「有効量」という用語は、胃腸管内で所望の期間、所望の速度で起こる生物学的に活性な薬剤の放出に対して良い影響を及ぼすのに十分な非活性成分構成要素の量を指す。この「有効量」は、本明細書で教示する内容と、当技術分野の一般知識とに基づいて、決定することができる。
「神経毒」とは、神経筋接合部または神経腺接合部を渡る神経インパルス伝達を遮るか、ニューロンによる神経伝達物質のエキソサイトーシスを遮断するまたは減少させるか、ニューロンのナトリウムチャネル電圧ゲートにおける活動電位を変化させることができる薬剤を意味する。神経毒の例には、ボツリヌス毒素、破傷風毒素、サキシトキシンおよびテトロドトキシンがある。
「処置」は哺乳動物における疾患の任意の処置を意味し、(i)その疾患が発生するのを防止すること、または(ii)その疾患を阻害すること、すなわちその進行を停止させること、(iii)その疾患を軽減すること、すなわちその疾患の症状の発生率を低下させるか、その疾患の退縮を引き起こすこと、を包含する。
本発明の範囲に包含される経口製剤を使用する方法は、患者が経口ボツリヌス毒素製剤を摂取することにより、処置的に有効な胃腸管内レベルの生物学的に活性な神経毒を、患者にもたらすことを含みうる。
一般に、本発明は、ボツリヌス毒素を投与することで胃潰瘍を処置することにより、消化性潰瘍を処置する方法を包含する。前記ボツリヌス毒素は、A型、B型、C型、D型、E型、F型およびG型ボツリヌス毒素からなる群より選択することができ、前記消化性潰瘍は胃潰瘍または十二指腸潰瘍であることができる。
毒素の投与は、消化性潰瘍を持つ患者に対して、ボツリヌス毒素の経口摂取によって行われ、ボツリヌス毒素は処置有効量で投与される。本発明の具体的一態様は、消化性潰瘍を持つ患者が処置有効量のA型ボツリヌス毒素を経口摂取することによって消化性潰瘍を処置する方法を包含することができる。本発明は、胃酸逆流障害を持つ患者がボツリヌス毒素を経口摂取することによって胃食道逆流疾患を処置する方法も包含する。
本発明の範囲に包含されるボツリヌス毒素経口製剤は、あるボツリヌス毒素と、そのボツリヌス毒素と組み合わされることによってボツリヌス毒素経口製剤を形成する担体とを含むことができ、前記担体は、胃潰瘍を持つ患者の胃腸管において、顕著な免疫系応答を伴わずに、処置量のボツリヌス毒素を放出するように製剤化される。この場合、好ましくは、ボツリヌス毒素を担体と組み合わせる前に、実質的な量のボツリヌス毒素がボツリヌストキソイドに変換されていない。したがって、担体と組み合わされたボツリヌス毒素のうち、かなりの量が、ボツリヌス毒素を担体と組み合わせる前のボツリヌス毒素の毒性と比較して実質的に変化していない毒性を持っている。
また、そのような経口製剤において、担体は、穀粉、糖およびゼラチンからなる群より選択される生体適合性生分解性物質を含むことができる。担体と組み合わされるボツリヌス毒素は、約1単位から約10,000単位のボツリヌス毒素であることができる。
本発明の範囲に包含される具体的な経口製剤は、生理的条件下でニューロンの細胞表面受容体に特異的に結合することができる結合要素を含む第1要素と、ニューロンの細胞膜を横切るポリペプチドの輸送を促進することができるトランスロケーション要素を含む第2要素と、ニューロンの細胞質中に存在する時に、そのニューロンからのアセチルコリンのエキソサイトーシスを阻害することができる処置要素を含む第3要素とを持つボツリヌス毒素を含むことができる。
本発明の範囲に包含されるもう一つの実施態様は、あるA型ボツリヌス毒素と、そのA型ボツリヌス毒素と組み合わされることによってボツリヌス毒素経口製剤を形成する担体とを含むことができ、前記担体は、胃潰瘍を持つ患者の胃腸管において、顕著な免疫系応答を伴わずに、処置量のA型ボツリヌス毒素を放出するように製剤化され、前記担体は、穀粉、糖およびゼラチンからなる群より選択される生体適合性生分解性物質を含む。
説明
本発明は、ボツリヌス毒素の経口製剤を使って消化性潰瘍をうまく処置することができるという発見に基づいている。本発明は、ボツリヌス毒素の経口製剤を使って胃食道逆流疾患を処置することができるという発見にも基づいている。すなわち、胃または腸上部で溶解する適切な担体と混合されたA型ボツリヌス毒素などのボツリヌス毒素の摂取によって、処置量の生物活性ボツリヌス毒素を消化性潰瘍およびその近傍に送達できることを、本発明者は発見した。これにより、消化性潰瘍とその近傍からの過剰なまたは有害な胃分泌物を減少させることが可能になる。典型的には、その後、数日以内に、潰瘍は紛れもない治癒の徴候を示し(潰瘍寛解)、経口ボツリヌス毒素製剤の投与後、数週間以内に、潰瘍を完全に治すことができる。また、経口投与したボツリヌス毒素が胃分泌物を減少させるので、経口毒素投与後、数日以内に、GERDの症状が治まることも、本発明者は発見した。副作用としては、胃腸筋の運動性の低下および一過性の体重減少を挙げることができる。
経口投与されるボツリヌス毒素を使って消化性潰瘍および/またはGERDを処置することができるという本発明者の発見は驚くべきことである。なぜなら、食道無弛緩症を処置するために下部食道括約筋にボツリヌス毒素を注射すると、実際には、食道で潰瘍の形成が起こりうると報告されているからである(Eaker, E.Y. ら「Untoward effects of esophageal botulinum toxin injection in the treatment of achalasia(食道無弛緩症の処置における食道ボツリヌス毒素注射の有害作用)」Dig Dis Sci 1997 April;42(4):724-7)。
経口投与されるボツリヌス毒素の処置量は、腸内壁を通して循環系へ吸収されるボツリヌス毒素による全身的作用が取るに足りないか、ごくわずかであるような量である。例えば200単位のボツリヌス毒素を、糖尿病性胃不全麻痺を持つ患者の幽門(胃下部)括約筋に注射しても、それに続いて全身毒性が生じることはない。Crowell, M. D. ら「Botulinum toxin reduces pyloric dysfunction in patients with diabetic gastroparesis(ボツリヌス毒素は糖尿病性胃不全麻痺を持つ患者における幽門機能不全を軽減する)」Gastroenterology 2002 April;122(4 Supp 1):A451-A452。ボツリヌス毒素による催奇形作用を示す証拠はないが、ここに開示する本発明の範囲に包含される方法は、妊娠中の患者、授乳中の患者、または処置期間中に妊娠する意思のある患者への適用またはそのような患者による適用を意図していない。
理論に束縛されることは望まないが、本発明の効力に関して、生理学的機構を提唱することができる。例えば、ボツリヌス毒素がコリン作動性神経(胃腸筋の運動性を担う胃腸管のコリン作動性神経を含む)に作用することは、よく知られている。Pasricha, P.J.「Botulinum toxin for spastic gastrointestinal disorders(痙攣性胃腸障害のためのボツリヌス毒素)」Bailliere's Clin Gastroenterol 1999;13(1):131-143。また、胃壁細胞によるガストリン分泌およびHCL産生は、胃腸管の神経腺接合部に作用する迷走神経線維および腸筋神経線維のコリン作動性活性に強く依存する。Rossi S. ら「Immunohistochemical localization of SNAP-25 protein in the stomach of rat(ラットの胃におけるSNAP−25タンパク質の免疫組織化学的局在)」Naunyn Schmiedebergs Arch Pharmacol 2002;365(Suppl 2):R37。さらに、胃壁細胞にはA型ボツリヌス毒素BTX−Aの細胞内基質(SNAP−25)が存在する。Gui D. ら「Effects of botulinum toxin on gastric emptying and digestive secretions. A possible tool for correction of obesity?(胃内容排出および消化分泌液に対するボツリヌス毒素の作用。肥満矯正ツール候補?)」Naunyn Schmiedebergs Arch Pharmacol 2002 Jun;365(Suppl 2):R22。最後に、潰瘍形成が胃壁細胞による過剰なガストリン分泌に起因すること、およびボツリヌス毒素は、よく知られている。したがって、過剰な胃酸分泌を下方制御することによって消化性潰瘍を処置し、その結果として潰瘍を治癒させるために、ボツリヌス毒素の経口製剤を使用することができる。
経口投与されるボツリヌス毒素が胃腸管の厳しい環境でも生物活性を保ちうることは、明らかなようである。すなわち、ボツリヌス毒素は、いくつかの非毒素タンパク質分子によって囲まれた約150kDaの単鎖タンパク質毒素分子を含む複合体として、クロストリジウム細菌によって分泌される。重要なことに、これらの非毒素タンパク質は、複合体が胃腸管を通過する際に、毒素を酸加水分解および酵素的分解から保護するように作用するため、毒素複合体は極端なpHおよびタンパク質分解酵素という厳しい条件に耐えて、依然として著しく強力な神経毒として機能することができる。ボツリヌス毒素分子と複合体を形成する非毒素タンパク質が、胃腸管内で150kDa毒素分子を消化酸から保護するように作用することは、証明されている。Brin M. F. ら編「Scientific and therapeutic aspects of botulinum Toxin」(Lippincott, Williams & Wilkins(2002))の第2章、11から27頁、Hanson, M.A. ら「Structural view of botulinum neurotoxin in numerous functional states(さまざまな機能的状態にあるボツリヌス神経毒の構造)」。
本発明の範囲に包含されるボツリヌス毒素送達系は、図1に示すように、消化性潰瘍を持つ患者の胃腸管に処置量のボツリヌス毒素を放出する能力を持つ。放出されるボツリヌス毒素の量は(A型ボツリヌス毒素の場合で)少なければ約10単位(すなわち乳児の小さい潰瘍を処置する場合)、多ければ500単位(すなわち大きい成人の複数の消化性潰瘍を処置する場合)まで含むことができる。処置効力を得るのに必要なボツリヌス毒素の量は、異なるボツリヌス毒素血清型の既知の臨床力価に応じて、さまざまでありうる。例えば、B型ボツリヌス毒素の場合は、A型ボツリヌス毒素を使用することによって達成される生理学的効果に匹敵する生理学的効果を達成するのに、典型的には数桁多い単位数が必要である。
本発明の範囲に包含される経口製剤によって処置有効量で放出されるボツリヌス毒素は、好ましくは、実質上生物学的に活性なボツリヌス毒素である。言い換えると、本明細書に記載の経口製剤によって患者の胃腸管に放出されるボツリヌス毒素は、コリン作動性ニューロンに高い親和性で結合する能力、少なくとも一部がそのニューロンの膜を横切って移行される能力、そしてニューロンの細胞質ゾルにおけるその活性により、そのニューロンからのアセチルコリンのエキソサイトーシスを阻害する能力を持つ。本発明の目的は、インビボでエキソサイトーシスを阻害し、その結果として、所望の処置効果、すなわち潰瘍の治癒を達成するために、胃腸管における経口製剤からのボツリヌス毒素の放出を可能にすることである。
経口製剤は、ボツリヌス毒素が生分解性担体中に実質上均一に分散するように製造される。経口製剤の厚さを使って、本発明の組成物による水の吸収を、したがって本発明の組成物からの神経毒の放出速度を、制御することができ、厚い錠剤またはカプセル剤は薄いものよりもゆっくりとポリペプチドを放出する。担体は、好ましくは、無毒性非免疫性生体適合性材料から構成される。
本発明の経口製剤からの生物学的に活性な神経毒の放出は、処置的に有効な(しかも血清レベルは無視できる)生物学的に活性な神経毒をもたらす。好ましくは、胃腸管におけるインビボでの生物学的に活性な神経毒の放出は、著しい免疫系応答を引き起こさない。
本発明の神経毒経口製剤は、薄膜、ペレット、円柱または円板など、数多くの形状にすることができる。
投与に適した経口製剤による特定の投与量は、上述した因子に応じて、当業者によって容易に決定される。投与量は、処置または除神経の対象である組織塊の大きさならびに毒素の市販調製物にも依存しうる。また、ヒトにおける適切な投与量の概算値は、他の組織の効果的な除神経に必要なボツリヌス毒素の量の測定値から推定することができる。例えば、注射すべきA型ボツリヌス毒素の量は、処置対象組織の大きさおよび活動レベルに比例的である。一般に、所望の潰瘍治癒を効果的に達成するために、患者の体重1キログラムあたり約0.01単位から約35単位のボツリヌス毒素、例えばA型ボツリヌス毒素を、本経口製剤によって放出させることができる。約0.01U/kg未満のボツリヌス毒素は筋に対して有意な処置効果を持たず、一方、約35U/kgを超えるボツリヌス毒素は、A型ボツリヌス毒素などの神経毒の毒性用量に近い。経口製剤を注意深く製造することにより、顕著な量のボツリヌス毒素が全身的に現れるのを防止する。より好ましい用量範囲は、約0.01U/kgから約25U/kgのボツリヌス毒素、例えばBOTOX(登録商標)として製剤化されているものである。投与すべきボツリヌス毒素のU/kgの実際量は、処置対象組織の大きさ(量)および活動レベルならびに選択した投与経路などの因子に依存する。A型ボツリヌス毒素は、本発明の方法での使用に好ましいボツリヌス毒素血清型である。
本発明の範囲に包含される方法を実施するために使用される神経毒は、好ましくは、ボツリヌス毒素、例えばA、B、C、D、E、FまたはG血清型ボツリヌス毒素の一つである。使用するボツリヌス毒素は、好ましくは、A型ボツリヌス毒素である。というのも、これは、ヒトにおいて高い力価を持ち、容易に入手することができ、筋肉内注射によって局所投与する場合、骨格筋および平滑筋障害の処置に安全かつ有効に使用されることが知られているからである。
本発明は、その範囲に、消化性潰瘍の処置に使用した場合に長時間持続する処置効果を持つ任意の神経毒の使用を包含する。例えば、毒素産生クロストリジウム細菌の任意の種によって産生される神経毒、例えばボツリヌス菌(Clostridium botulinum)、クロストリジウム・ブチリカム(Clostridium butyricum)およびクロストリジウム・ベラッチ(Clostridium beratti)などによって産生される神経毒を、本発明の方法で使用するか、本発明の方法での使用に適合させることができる。また、上述のようにA型は最も好ましい血清型であるが、ボツリヌス血清型A、B、C、D、E、FおよびGはいずれも、本発明の実施に有利に使用することができる。本明細書に開示する方法によって本発明を実施することにより、消化性潰瘍を治癒させ、消失させることができる。
本発明は、その範囲に、(a)細菌培養、毒素抽出、濃縮、保存、凍結乾燥および/または復元によって取得または加工される神経毒複合体および純粋な神経毒、ならびに(b)修飾神経毒または組換え神経毒、すなわち1つ以上のアミノ酸またはアミノ酸配列が、既知の化学的/生化学的アミノ酸修飾法によって、または既知の宿主細胞/組換えベクター組換え技術によって、故意に削除、修飾または置換されている神経毒、ならびにそのようにして作製された神経毒の誘導体もしくは断片を包含し、細胞上に存在する細胞表面受容体に対するターゲティング部分が1つ以上結合している神経毒を包含する。
本発明に従って使用されるボツリヌス毒素は、凍結乾燥体または真空乾燥体として容器中に減圧下で保存することができる。凍結乾燥に先立って、ボツリヌス毒素を医薬的に許容できる賦形剤、安定剤および/または担体、例えばアルブミンと混合することができる。凍結乾燥材料または真空乾燥材料は、塩水または水で復元することができる。
適切な投与量を決定する方法は一般にケースバイケースで担当医によって決定される。そのような決定は当業者にとっては日常的作業である(例えば Anthony Fauciら編「Harrison's Principles of Internal Medicine」(1998)、第14版、McGraw Hill 発行を参照されたい)。
神経毒封入ミクロスフェアを適切な液体、例えば生理食塩水に懸濁することによって製造される摂取用懸濁液の形態をとっている経口製剤も、本発明の範囲に包含される。
実施例
以下の実施例は本発明に包含される特定の組成物および方法を説明するものであり、本発明の範囲を限定しようとするものではない。
経口摂取用ボツリヌス毒素錠剤を製造する方法
ボツリヌス毒素は、胃または十二指腸内で毒素活性成分を放出させるための経口製剤として調合することができる。これは、乳鉢と乳棒を使って(水または塩水を加えずに室温で)、50単位の市販凍結乾燥ボツリヌス毒素粉末、例えば非復元BOTOX(登録商標)(または200単位のDYSPORT(登録商標)粉末)を、穀粉または糖などの生分解性担体と混合することにより、容易に達成される。もう一つの選択肢として、均質化または超音波処理で担体中に粉末毒素の微細分散系を形成させることによって、ボツリヌス毒素を混合することもできる。次に、錠剤製造機(例えばScheu & Kniss(ケンタッキー州40210ルイスビル、ウエスト・オームズビー・アベニュー1500)から入手できる打錠機)を使って、その混合物を圧縮することにより、摂取可能な錠剤を製造する。もう一つの選択肢として、周知の方法論により、ゼラチンを使って毒素を製剤化することにより、摂取可能なジェルタブを製造することもできる。
消化性潰瘍を処置する方法
胸骨とへその間の腹部に灼熱痛を持つ52歳の男性が来診し、この痛みが食間と早朝に頻繁に生じると述べる。この患者は悪心と食欲不振も訴える。内視鏡検査と、補助的なバリウムX線検査により、胃潰瘍の存在が確認される。この潰瘍はH2遮断薬でも、H.pyloriに対する抗生物質でも、難治性であることが判明する。実施例1のボツリヌス毒素経口製剤の投与によって患者を処置する。すなわち患者は毎日1個の50単位A型錠剤を4日間服用する。2週間以内に消化性潰瘍の症状が消失し、内視鏡検査でも潰瘍の痕跡が見つからなくなる。
胃食道逆流疾患を処置する方法
62歳の肥満女性が、胸やけ、ほぼ絶え間ないおくび、吐き戻し、咽頭痛、嚥下困難および咳の症状で入院する。精密検査によって食道炎が指摘され、食道マノメトリは低い下部食道括約筋(LES)圧を示す。胃酸逆流に関するバーンスタイン試験は陽性である。したがってGERDという診断が下される。この患者は、さまざまな体重減少プログラムに失敗しており、チョコレートをよく食べ、喫煙量も多い。制酸薬およびヒスタミンH2受容体遮断薬は無効だった。この患者を実施例1のボツリヌス毒素経口製剤の投与によって処置する。すなわち患者は毎日1個の2000単位B型錠剤を4日間服用する。2週間以内に、GERDの症状は消失するか、実質的に減少する。
ここに開示する発明による組成物および方法は、以下に挙げる利点を含む、多くの利点を持っている。
1.消化性潰瘍の有効な処置を行うために、ボツリヌス毒素経口製剤を使用することができる。
2.患者にとって経過観察処置の必要が減る。
3.注射の必要が一切無くなるので、患者の快適さが増す。
4.患者の服薬遵守性が向上する。
この神経毒経口製剤の利点には長期潰瘍寛解が含まれる。
本明細書に挙げた参考文献、論文、刊行物ならびに特許および特許出願は全て、参照により、そのまま本明細書に組み込まれる。
一定の好ましい方法に関して本発明を詳細に説明したが、本発明の範囲内で他の態様、変形および変更も可能である。例えば、本発明の方法では、多種多様な神経毒を有効に使用することができる。また、本発明は、2つ以上の神経毒、例えば2つ以上のボツリヌス毒素が同時にまたは逐次的に投与される経口製剤も包含する。例えば、臨床応答の喪失が起こるか、中和抗体が発生するまでは、A型ボツリヌス毒素を経口製剤によって投与し、その後は、B型またはE型ボツリヌス毒素の経口製剤によって投与を行うことができる。あるいは、所望する処置成果の開始および持続時間を制御するために、ボツリヌス血清型AからGの任意の2つ以上を組み合せて、局所投与することもできる。また、ボツリヌス毒素などの神経毒がその処置効果を発揮しはじめる前に、補助的効果、例えば除神経の強化または除神経のより迅速な開始などを得るために、神経毒経口製剤の投与に先立って、または神経毒経口製剤の投与と同時に、または神経毒経口製剤の投与後に、非神経毒化合物を投与することもできる。
また本発明は、消化性潰瘍を処置するための経口製剤として医薬品を製造する際の、ボツリヌス毒素などの神経毒の使用も、その範囲に包含する。
したがって、本願請求項の精神と範囲は、上述の好ましい態様の説明に限定されるべきでない。

Claims (8)

  1. 制酸薬またはヒスタミンH 2 受容体遮断薬に不応性の胃食道逆流疾患を処置するための経口投与用医薬組成物であって、有効成分としてボツリヌス毒素を含有する組成物
  2. ボツリヌス毒素がA型、B型、C型、D型、E型、F型およびG型ボツリヌス毒素からなる群より選択される、請求項1に記載の組成物
  3. ボツリヌス毒素がA型またはB型ボツリヌス毒素である、請求項2に記載の組成物
  4. 1〜10000単位の量のボツリヌス毒素を含有する、請求項1〜3のいずれかに記載の組成物
  5. 5〜500単位の量のA型ボツリヌス毒素を含有する、請求項3に記載の組成物
  6. 250〜25000単位の量のB型ボツリヌス毒素を含有する、請求項3に記載の組成物
  7. 1日1回4日間にわたって投与される、請求項1〜6のいずれかに記載の組成物
  8. 処置により、胸やけ、おくび、食物の吐き戻し、悪心、嘔吐、嗄声、咽頭痛、嚥下困難および咳からなる群より選択される胃食道逆流疾患の症状が改善される、請求項1〜7のいずれかに記載の組成物
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