以下、添付図面を参照しつつ本発明の一実施形態を説明する。
図1は本発明の第1実施形態に係る電子機器収納箱11を概略的に示す。電子機器収納箱11は箱体12を備える。箱体12の第1面すなわち正面13は第1扉体14で塞がれる。箱体12の第2面すなわち背面15は第2扉体16で塞がれる。第1扉体14および第2扉体16は箱体12に開閉自在に連結される。こういった連結にあたって例えばヒンジ17が用いられればよい。第1扉体14および第2扉体16はヒンジ17のヒンジ軸回りで揺動する。ヒンジ17は箱体12に対して第1扉体14や第2扉体16の着脱を許容する。留め具18はヒンジ17と協働で箱体12に第1扉体14や第2扉体16を密着させる。留め具18は第1扉体14や第2扉体16の開放を規制する。箱体12や第1扉体14、第2扉体16は防音壁で区画される。
第1扉体14は第1補助箱体21を備える。第1補助箱体21は、箱体12の正面13に平行に広がる第1外壁体21aを備える。第1外壁体21aの側縁には第2および第3外壁体21b、21cが接続される。第2および第3外壁体21b、21cは相互に向き合う。第1外壁体21aの上縁および下縁には相互に向き合う第4外壁体21d、21dが接続される。後述されるように、第1外壁体21a、第2外壁体21b、第3外壁体21cおよび第4外壁体21d、21dは協働で直方体の補助空間を区画する。第1外壁体21aには第1通気口22が形成される。第1通気口22は、重力方向に延びる縦長の窓孔で構成される。第1通気口22は、第1外壁体21aおよび第3外壁体21cの間に規定される稜線に沿って延びる。
図2に示されるように、第2扉体16は第2補助箱体23を備える。第2補助箱体23は、箱体12の背面15に平行に広がる第1外壁体23aを備える。第1外壁体23aの側縁には第2および第3外壁体23b、23cが接続される。第2および第3外壁体23b、23cは相互に向き合う。第1外壁体23aの上縁および下縁には相互に向き合う第4外壁体23d、23dが接続される。後述されるように、第1外壁体23a、第2外壁体23b、第3外壁体23cおよび第4外壁体23d、23dは協働で直方体の補助空間を区画する。第1外壁体23aには第2通気口24が形成される。第2通気口24は、重力方向に延びる縦長の窓孔で構成される。第2通気口24は、第1外壁体23aおよび第3外壁体23cの間に規定される稜線に沿って延びる。
箱体12の側面には電源用配線25が接続される。電源用配線25は例えば商用電源に接続される。電源用配線25は箱体12に電力を供給する。
図3に示されるように、第1扉体14は、箱体12の正面13を塞ぐ第1防音壁体26を備える。第1防音壁体26の外縁は、第2外壁体21b、第3外壁体21cおよび第4外壁体21dに接続される。第1扉体14が閉じられると、第1防音壁体26は箱体12の正面13に沿って広がる。第1防音壁体26には外縁に沿ってパッキン部材27が途切れなく取り付けられる。パッキン部材27には例えばゴムが用いられればよい。パッキン部材27の詳細は後述される。
第1防音壁体26には第1開口28が穿たれる。第1開口28は、重力方向に延びる縦長の窓孔で構成される。第1開口28は、第1防音壁体26および第2外壁体21bの間に規定される稜線に沿って延びる。第1開口28には第1送風ユニット29が装着される。第1送風ユニット29は例えば8台の第1送風機31を備える。個々の第1送風機31は例えば軸流ファンユニットで構成されればよい。軸流ファンユニットでは水平方向に延びる回転軸回りで羽根が回転する。軸流ファンユニットは水平方向に気流を生み出す。第1送風機31は第1防音壁体26に対して個別に取り外し可能に固定される。第1送風ユニット29は所定の送風能力を有する。第1送風機31は例えば重力方向に配列される。
箱体12内には正面13および背面15で挟まれて正面13および背面15で開放される例えば直方体の収納空間32が区画される。収納空間32にはラック33が収容される。ラック33はいわゆる19インチラックを構成する。ラック33は、後述の電子機器を受け入れるラック空間を区画する。ラック33の脇には制御ボックス34が配置される。制御ボックス34には例えば第1送風機31の動作を制御する制御ボードが組み込まれる。制御ボードの詳細は後述される。
収納空間32には第1センサ群35が組み込まれる。第1センサ群35は、例えば重力方向に延びる支柱36に所定の間隔で取り付けられる複数の第1温度センサ37を備える。支柱36は、第1防音壁体26およびラック33のラック空間の間に配置される。すなわち、支柱36は第1防音壁体26から離れた位置でラック空間の外側に配置される。第1温度センサ37は、第1防音壁体26および第3外壁体21cの間に規定される稜線に沿って配列される。第1温度センサ37は周辺温度を検出する。
図4に示されるように、第2扉体16は、箱体12の背面15を塞ぐ第2防音壁体38を備える。第2防音壁体38の外縁は、第2外壁体23b、第3外壁体23cおよび第4外壁体23dに接続される。第2扉体16が閉じられると、第2防音壁体38は箱体12の背面15に沿って広がる。第2防音壁体38には外縁に沿ってパッキン部材39が途切れなく配置される。パッキン部材39には例えばゴムが用いられればよい。
第2防音壁体38には第2開口41が穿たれる。第2開口41は、重力方向に延びる縦長の窓孔で構成される。第2開口41は、第2防音壁体38および第2外壁体23bの間に規定される稜線に沿って延びる。第2開口41には第2送風ユニット42が装着される。第2送風ユニット42は例えば8台の第2送風機43を備える。個々の第2送風機43は例えば軸流ファンユニットで構成されればよい。軸流ファンユニットでは水平方向に延びる回転軸回りで羽根が回転する。軸流ファンユニットは水平方向に気流を生み出す。第2送風機43は第2防音壁体38に対して個別に取り外し可能に固定される。第2送風機43は例えば重力方向に配列される。第2送風ユニット42は、第1送風ユニット29に組み込まれる送風機群と同一の送風機群を備える。第2送風ユニット42は第1送風ユニット29の送風能力に等しい送風能力を備える。
収納空間32には第2センサ群44が組み込まれる。第2センサ群44は、例えば重力方向に延びる支柱45に所定の間隔で取り付けられる複数の第2温度センサ46を備える。支柱45は、第2防音壁体38およびラック33のラック空間の間に配置される。すなわち、支柱45は第2防音壁体38から離れた位置でラック空間の外側に配置される。第2温度センサ46は、第2防音壁体38および第3外壁体23cの間に規定される稜線に沿って配列される。第2温度センサ46は周辺温度を検出する。
図5に示されるように、第1扉体14の第1補助箱体21は、第1防音壁体26を挟んで箱体12の収納空間32に隣接する直方体の第1補助空間47を区画する。第1補助空間47は、重力方向に延びる縦長の断面で規定される。第1開口28は収納空間32および第1補助空間47を空間的に接続する。第1通気口22は第1補助空間47および外部空間を空間的に接続する。第1通気口22は、第1防音壁体26に向き合わせられる位置で第1補助箱体21に形成される。すなわち、第1通気口22の位置は第1開口28の位置からずらされる。
同様に、第2扉体16の第2補助箱体23は、第2防音壁体38を挟んで箱体12の収納空間32に隣接する直方体の第2補助空間48を区画する。第2補助空間48は、重力方向に延びる縦長の断面で規定される。第2開口41は収納空間32および第2補助空間48を空間的に接続する。第2通気口24は第2補助空間48および外部空間を空間的に接続する。第2通気口24は、第2防音壁体38に向き合わせられる位置で第2補助箱体23に形成される。すなわち、第2通気口24の位置は第2開口41の位置からずらされる。
図6に示されるように、箱体12や第1補助箱体21、第1防音壁体26、第2補助箱体23、第2防音壁体38は防音壁すなわち遮音材から構成される。遮音材は音の伝達を遮断する。遮音材には例えば相当の板厚の鉄板が用いられればよい。板厚の増加に応じて鉄板の剛性が高まれば高まるほど、遮音効果は高められる。箱材12の内向き面や第1補助箱体21の内向き面、第1防音壁体26の表面および裏面、第2補助箱体23の内向き面、第2防音壁体38の表面および裏面には所定の厚みの吸音材51が取り付けられる。吸音材51は音を吸収する。吸音材51には例えばウレタン樹脂やグラスウール、ロックウール、不織布が用いられればよい。
第1補助空間47は第1通気口22から第1開口28に向かって屈曲しつつ延びる。第1通気口22は第1開口28から最も離れた位置で第1補助箱体21に形成される。第1通気口22および第1開口28の距離は例えば0.25[m]以上に設定されればよい。同様に、第2補助空間48は第2開口41から第2通気口24に向かって屈曲しつつ延びる。第2通気口24は第2開口41から最も離れた位置で第2補助箱体23に形成される。第2通気口24および第2開口41の距離は例えば0.25[m]以上に設定される。こうして電子機器収納箱11には、第1通気口22、第1補助空間47、第1開口28、収納空間32、第2開口41および第2通気口24で気流の流通路が確立される。
図7に示されるように、パッキン部材27は、収納空間32周りで第1扉体14に取り付けられる第1および第2弾性パッキン52、53から構成される。第2弾性パッキン53は第1弾性パッキン52の外側で第1扉体14に取り付けられる。ただし、第1および第2弾性パッキン52、53の両方が箱体12に取り付けられてもよい。同様に、第1および第2弾性パッキン52、53のいずれか一方が第1扉体14に取り付けられる一方で、第1および第2弾性パッキン52、53のいずれか他方が箱体12に取り付けられてもよい。なお、パッキン部材39はパッキン部材27と同様に構成されればよい。
第1扉体14や第2扉体16が閉じられると、第1扉体14や第2扉体16と箱体12との間に第1および第2弾性パッキン52、53は挟み込まれる。第1および第2弾性パッキン52、53は押し潰される。こうして第1および第2弾性パッキン52、53は、収納空間32周りで全長にわたって第1扉体14および箱体12の間の隙間や第2扉体16および箱体12の間の隙間を封鎖する。
図8は本発明の制御系を示す。前述のように、制御ボックス34には制御ボード61が組み込まれる。制御ボード61には制御回路すなわちマイコン62が実装される。マイコン62は内蔵メモリに記憶されるプログラムに基づき処理を実行する。プログラムの実行にあたってマイコン62は内蔵メモリから所望のデータを読み出す。
制御ボード61には第1駆動回路63が実装される。第1駆動回路63は個々の第1送風機31に個別に接続される。第1駆動回路63はマイコン62の指示に従って個々の第1送風機31ごとにオンオフや回転速度を制御する。こういったオンオフや回転速度の制御にあたって個々の第1送風機31には第1駆動回路63から個別に電圧が印加される。こういった制御を通じて例えば個々の第1送風機31の送風量は均一値に設定されることができる。マイコン62は第1駆動回路63の動作に基づき個々の第1送風機31ごとに動作状態を監視することができる。
制御ボード61には同様に第2駆動回路64が実装される。第2駆動回路64は個々の第2送風機43に個別に接続される。第2駆動回路64はマイコン62の指示に従って個々の第2送風機43ごとにオンオフや回転速度を制御する。こういったオンオフや回転速度の制御にあたって個々の第2送風機43には第2駆動回路64から個別に電圧が印加される。こういった制御を通じて例えば個々の第2送風機43の送風量は均一値に設定されることができる。マイコン62は第2駆動回路64の動作に基づき個々の第2送風機43ごとに動作状態を監視することができる。
マイコン62には前述の第1温度センサ37および第2温度センサ46が接続される。個々の温度センサ37、46はマイコン62に向けてセンサ信号を出力する。センサ信号には温度センサ37、46で検出された温度を特定する温度情報が記述される。こうしてマイコン62は個々の温度センサ37、46ごとに温度情報を取得する。こういった温度情報の収集にあたって第1および第2温度センサ37、46とマイコン62との間にはアナログスイッチ65が挟み込まれる。アナログスイッチ65はマイコン62に順番に温度センサ37、46を接続する。こうして複数の温度センサ37、46から供給されるセンサ信号は相互に識別される。マイコン62は、第1温度センサ群35から供給される温度情報の平均値と、第2温度センサ群44から供給される温度情報の平均値とを算出する。平均値同士の差分は算出される。
マイコン62には第1扉スイッチ66および第2扉スイッチ67が接続される。第1扉スイッチ66は例えば箱体12および第1扉体14の間に配置される。第1扉スイッチ66は第1扉体14の開放を検出する。第1扉スイッチ66はマイコン62に向けて第1検出信号を出力する。第1検出信号には、第1扉体14の開放を特定する検出情報が記述される。第1扉スイッチ66は第1扉体14の閉鎖時に導通する接点から構成されればよい。同様に、第2扉スイッチ67は例えば箱体12および第2扉体16の間に配置される。第2扉スイッチ67は第2扉体16の開放を検出する。第2扉スイッチ67はマイコン62に向けて第2検出信号を出力する。第2検出信号には、第2扉体16の開放を特定する検出情報が記述される。第2扉スイッチ67は第2扉体16の閉鎖時に導通する接点から構成されればよい。
マイコン62には第1電源68が接続される。第1電源68には交流電圧が供給される。第1電源68は交流電圧を直流電圧に変換する。マイコン62および第1電源68の間にはレギュレータ69が挟み込まれる。レギュレータ69は例えば制御ボード61に実装されればよい。レギュレータ69は、第1電源68から供給される直流電圧を所定の電圧値の電圧に変換する。こうしてマイコン62には指定の電圧値の電圧が印加される。同様に、第1駆動回路63および第2駆動回路64には第2電源71が接続される。第2電源71には交流電圧が供給される。第2電源71は交流電圧を直流電圧に変換する。こうして第1駆動回路63および第2駆動回路64には指定の電圧値の電圧が印加される。
第1および第2電源68、71には電源スイッチ72が接続される。電源スイッチ72には前述の電源用配線25から電力が供給される。電源スイッチ72が開かれると、第1および第2電源68、71に対して電力の供給は停止される。電源スイッチ72が閉じられると、第1および第2電源68、71に対して電力は供給される。
マイコン62およびレギュレータ69の間にはエラー監視回路73が挟み込まれる。エラー監視回路73は、レギュレータ69からマイコン62に供給される電圧を検知することができる。エラー監視回路73は、電圧の供給開始から所定の時間にわたってマイコン62からの出力信号を待ち受ける。エラー監視回路73は、電圧の供給から所定の時間内にマイコン62から出力信号を受信しないと、マイコン62の故障の発生を検出する。マイコン62には所定の初動が設定される。この初動では、マイコン62が電圧の供給を受け始めると、すぐさま前述の出力信号がエラー監視回路73に向かって出力される。
マイコン62およびエラー監視回路73には表示装置74が接続される。表示装置74は例えば箱体12や第1扉体14の外面に設置されればよい。マイコン62は、前述のセンサ信号の状況や、第1および第2駆動回路63、64の動作状況、第1および第2検出信号に基づき所定の表示信号を出力する。こういった表示信号に基づき表示装置74には所定の表示が表示される。同様に、エラー監視回路73は、マイコン62の故障に応じて所定の表示信号を表示装置74に供給する。ここでは、表示装置74にはアルファベットや数字が表示されればよい。アルファベットや数字の組み合わせには予め特定の意味が割り当てられればよい。こうした表示装置74によれば、例えば第1および第2送風ユニット29、42の状態は確実にサーバコンピュータ75の使用者に視覚的に通知されることができる。サーバコンピュータ75の使用者は確実に第1および第2送風ユニット29、42の状態を知ることができる。
いま、図9に示されるように、電子機器収納箱11内のラックに例えばラックマウント型のサーバコンピュータ75が搭載される場面を想定する。個々のサーバコンピュータ75の電源コードは例えば前述の電源用配線25に接続される。サーバコンピュータ75には電源用配線25から電力が供給される。サーバコンピュータ75の搭載作業や配線作業にあたって第1扉体14および第2扉体16は開放される。搭載作業や配線作業が終了すると、第1扉体14および第2扉体16は閉じられる。留め具18の働きで第1扉体14および第2扉体16はそれぞれ箱体12に押し付けられる。第1および第2弾性パッキン52、53の働きで収納空間32周りで全長にわたって第1扉体14および箱体12の間の隙間並びに第2扉体16および箱体12の間の隙間は封鎖される。
図10に示されるように、個々のサーバコンピュータ75はラック空間76内に収容される。このとき、サーバコンピュータ75のフロントパネルと第1防音壁体26との間には所定の間隔が確保される。その結果、ラック空間76と第1防音壁体26との間には前方空間77が形成される。同様に、サーバコンピュータ75のリアパネルと第2防音壁体38との間には所定の間隔が確保される。その結果、ラック空間76と第2防音壁体38との間には後方空間78が形成される。
サーバコンピュータ75が稼働すると、個々のサーバコンピュータ75内で内部温度に応じて冷却ファンが作動する。図10に示されるように、冷却ファンはサーバコンピュータ75の筐体内で水平方向に前方空間77から後方空間78に向かって気流を生み出す。このとき、冷却ファンは作動音を発生する。作動音は箱体12並びに第1および第2防音壁体26、38の働きで遮音される。同時に、箱体12並びに第1および第2防音壁体26、38の内側では吸音材の51が作動音を吸収する。作動音は第1開口28および第2開口41からのみ漏れ出る。漏れ出た作動音は第1および第2補助空間47、48から第1および第2通気口22、24に向かう。第1および第2補助空間47、48は吸音材51で囲まれることから、第1および第2補助空間47、48内で作動音は十分に吸収される。特に、第1および第2補助空間47、48は第1および第2開口28、41から第1および第2通気口22、24まで屈曲しつつ延びる。第1開口28や第2開口41から漏れ出る作動音は第1補助箱体21や第2補助箱体23の第1外壁体21a、23aすなわち吸音材51に衝突する。こうして作動音の伝達は効果的に抑制されることができる。その結果、作動音の漏れは最大限に抑制される。騒音は確実に低減される。
電源スイッチ72が投入されると、第1電源68からマイコン62に電力は供給される。マイコン62は個々の温度センサ37、46からセンサ信号を受信する。マイコン62はセンサ信号に基づき第1温度センサ群35中で第1温度センサ37の温度の平均値を算出する。同時に、マイコン62はセンサ信号に基づき第2温度センサ群44で第2温度センサ46の温度の平均値を算出する。マイコン62は第2温度センサ群44の平均値から第1温度センサ群35の平均値を差し引く。こうしてマイコン62は吸気と排気との温度差を算出する。
温度差が所定の範囲(例えば2度)内であれば、マイコン62は第1および第2駆動回路63、64に第1送風ユニット29および第2送風ユニット42の停止を指示する。このとき、サーバコンピュータ75内の温度上昇は否認される。温度差が所定の範囲を超えると、マイコン62はサーバコンピュータ75内で温度上昇の発生を認定する。マイコン62は第1および第2駆動回路63、64に第1および第2送風ユニット29、42の作動を指示する。第1および第2駆動回路63、64は第1および第2送風機31、43に電力を供給する。第1および第2送風機31、43は水平方向に気流を生み出す。図10に示されるように、外気は第1通気口22から第1補助空間47に導入される。第1補助空間47内の空気は第1開口28から前方空間77に送り込まれる。こうしてサーバコンピュータ75は常に新鮮な外気を吸入することができる。
サーバコンピュータ75から空気は後方空間78に排出される。排出された空気は第2送風ユニット42の働きで第2補助空間48に送り込まれる。空気は第2通気口24から排出される。こうして高温の空気は外部に排出される。第1および第2送風ユニット29、42の働きで収納空間32内の空気は十分に入れ換えられる。したがって、サーバコンピュータ75では過度の温度上昇は確実に回避されることができる。サーバコンピュータ75は効果的に冷却されることができる。しかも、第1開口28や第2開口41は、重力方向に延びる縦長の窓孔で構成される。ラック33内ではサーバコンピュータ75は重力方向に配列されることから、第1開口28や第2開口41が重力方向に延びれば、外気は個々のサーバコンピュータ75に満遍なく流通することができる。いずれのサーバコンピュータ75も確実に冷却されることができる。
マイコン62は温度差の大きさに応じて第1および第2送風ユニット29、42の送風量を変更する。こういった変更にあたってマイコン62は温度差の大きさに応じて第1および第2駆動回路63、64から出力される電圧を変化させる。温度差が増大すれば、個々の送風機31、43に供給される電圧は増大すればよい。このとき、第1送風ユニット29の送風量は第2送風ユニット42の送風量に等しく設定されればよい。第1送風ユニット29では個々の第1送風機31で共通に均一の送風量が設定されればよい。同様に、第2送風ユニット42では個々の第2送風機43で共通に均一の送風量が設定されればよい。均一な送風量の設定にあたって個々の送風機31、43には同一の電圧値の電力が供給されればよい。ただし、第1送風ユニット29の送風量は第2送風ユニット42のそれから相違してもよく、個々の送風機31、43ごとに異なる送風量が設定されてもよい。いずれの場合でも、収納空間32内で渦の発生が回避されることが望まれる。渦の発生は騒音の増大を誘引してしまう。
第1および第2送風ユニット29、42の動作の制御にあたってマイコン62は第1扉スイッチ66および第2扉スイッチ67を監視する。マイコン62が第1扉スイッチ66から第1検出信号を受信すると、マイコン62は第1駆動回路63に第1送風ユニット29の動作の停止を指示する。こうして第1扉体14が開放されると、第1送風ユニット29の動作は停止される。マイコン62が第2扉スイッチ67から第2検出信号を受信すると、マイコン62は第2駆動回路64に第2送風ユニット42の動作の停止を指示する。こうして第2扉体16が開放されると、第2送風ユニット42の動作は停止される。なお、マイコン62は第1検出信号および第2検出信号のうちいずれかの信号の受信に応じて第1送風ユニット29および第2送風ユニット42の動作の停止を指示してもよい。
以上のような電子機器収納箱11では、第1扉体14や第2扉体16は箱体12に着脱自在に連結される。第1扉体14や第2扉体16は簡単に取り外されることができる。箱体12内で簡単にサーバコンピュータ75のメンテナンスは実現されることができる。第1扉体14すなわち第1補助箱体21および第1防音壁体26、第2扉体16すなわち第2補助箱体23および第2防音壁体38は簡単に交換されることができる。
しかも、第2送風ユニット42は、第1送風ユニット29に組み込まれる送風機群と同一の送風機群を備える。こうして第2開口41の開口面積は第1開口28の開口面積に等しく設定される。第1防音壁体26および第2防音壁体38で開口面積は最小限に留められることができる。加えて、第2送風ユニット42は、第1送風ユニット29の送風能力に等しい送風能力を備える。こういった設定によれば、収納空間32内で気流の淀みは阻止されることができる。収納空間32内で渦の発生は回避されることができる。
加えて、第1温度センサ37や第2温度センサ46は収納空間32内で空気の温度を検出する。空気の温度に基づきマイコン62は第1送風ユニット29や第2送風ユニット42の動作を制御する。空気の温度に応じて第1送風ユニット29や第2送風ユニット42の送風量は設定されることができる。こうして収納空間32内には常に適度な外気が導入されることができる。サーバコンピュータ75は効率的に冷却されることができる。
さらに、例えば第1開口28は、第1防音壁体26および第2外壁体21bの間に規定される稜線に沿って延びる。第1温度センサ37は、第1防音壁体26および第3外壁体21cの間に規定される稜線に沿って配列される。こういった構成では、第1開口28から導入される外気は第1防音壁体26および第3外壁体21cの間に規定される稜線に辿り着きにくい。したがって、第1防音壁体26および第3外壁体21cの間に規定される稜線に近い位置では温度が上昇しやすい。こういった部位で温度が検出されれば、サーバコンピュータ75の過度の温度上昇は確実に防止されることができる。第2開口41および第2温度センサ46にも同様のことが言える。
以上のような電子機器収納箱11では第1通気口22の開口面積は箱体12の正面13の面積の少なくとも20分の1に設定されることが望まれる。本発明者は、正面13の面積に占める第1通気口22の開口面積と圧力損失との関係を検証した。検証にあたって本発明者はコンピュータシミュレーションを実施した。コンピュータシミュレーションで本発明者は正面13の面積に対して第1通気口22の開口面積を変化させた。このとき、前方空間77で第1防音壁体26からラック空間76に向かって一様に秒速0.5mの気流が設定された。図11に示されるように、正面13の面積に対して開口面積の比率が増大すると、圧力損失は減少することが確認された。開口面積の比率が20分の1より縮小すると、第1通気口22で10[m/s]を超える風速の気流が生じる。一般に、風速10[m/s]を超えると、気流の風切り音が著しく増大する。騒音は増大する。したがって、ここでは、開口面積の比率が20分の1以上に設定されれば、十分に消音効果は得られる。図中、Limit1は1辺120[mm]〜140[mm]程度の角形軸流ファンユニットの送風限界を示す。Limit2は直径200[mm]程度の丸形軸流ファンユニットの送風限界を示す。圧力損失が送付限界の圧力を超えると、軸流ファンユニットの動作にも関わらず気流は発生されない。第2通気口24の開口面積は背面15の面積に対して第1通気口22と同様な比率で設定されればよい。
以上のような電子機器収納箱11では第1通気口22からラック空間76までの距離は0.4[m]以上に設定されることが望まれる。本発明者は、そういった距離と騒音低減の効果との関係を検証した。検証にあたって本発明者はコンピュータシミュレーションを実施した。コンピュータシミュレーションでは第1補助空間47内で吸音材51の効果が確認された。その結果、図12に示されるように、1[m]ごとに10[dB]の騒音低減が得られた。すなわち、例えばラック空間76と第1通気口22との間に1[m]の距離が確保されると、ラック空間76内の騒音は第1通気口22に辿り着くまでに10[dB]減少することが確認された。一般に、人間は少なくとも4[dB]の減少で騒音低減を実感する。したがって、第1通気口22とラック空間76との間に0.4[m]が確保されれば、使用者は騒音低減の効果を実感することができる。
図13は本発明の第2実施形態に係る電子機器収納箱11aを概略的に示す。この電子機器収納箱11aの第1扉体14では、第1通気口22は、水平方向に延びる横長の窓孔で構成される。第1通気口22は、第1外壁体21aおよび上端の第4外壁体21dの間で規定される稜線に沿って延びる。図14に示されるように、第1開口28は、水平方向に延びる横長の窓孔で構成される。第1開口28は、第1防音壁体26および下端の第4外壁体21dの間で規定される稜線に沿って延びる。第1送風機31は水平方向に配列される。
図15に示されるように、第2通気口24は、第1外壁体23aおよび下端の第4外壁体23dの間で規定される稜線に沿って延びる。第2開口41は、第2防音壁体38および上端の第4外壁体23dの間で規定される稜線に沿って延びる。第2通気口24および第2開口41は、水平方向に延びる横長の窓孔で構成される。その他、前述の電子機器収納箱11と均等な構成や構造には同一の参照符号が付される。こうした電子機器収納箱11aでは前述の電子機器収納箱11と同様の作用効果が実現される。しかも、第1補助空間47や第2補助空間48は、重力方向に延びる縦長の断面で規定される。したがって、第1通気口22および第1開口28の間や第2通気口24および第2開口41の間で距離は一層大きく稼がれる。音の伝達は一層阻害されることができる。
図16は本発明の第3実施形態に係る電子機器収納箱11bを概略的に示す。この電子機器収納箱11bの第1扉体14では、第1通気口22は第1補助箱体21の上端の第4外壁体21dに形成される。こうして第1通気口22は第1補助空間47の天井面で開口する。第1通気口22は、第1外壁体21aおよび上端の第4外壁体21dの間に規定される稜線に沿って延びる。第1通気口22は、前述と同様に、水平方向に延びる横長の窓孔で構成される。
第2通気口24は第2補助空間48の天井面で開口する。第2通気口24は、第1外壁体23aおよび上端の第4外壁体23dの間で規定される稜線に沿って延びる。第2開口41は、第2防音壁体38および下端の第4外壁体23dの間で規定される稜線に沿って延びる。第2通気口24および第2開口41は水平方向に延びる横長の窓孔で構成される。その他、前述の電子機器収納箱11aと均等な構成や構造には同一の参照符号が付される。こうした電子機器収納箱11bでは前述の電子機器収納箱11と同様の作用効果が実現される。なお、第1通気口22や第2通気口24の開口位置は電子機器収納箱11bの設置場所に応じて適宜に設定されればよい。
図17は本発明の第4実施形態に係る電子機器収納箱11cを概略的に示す。この電子機器収納箱11cの第1扉体14では、第1通気口22は第1補助箱体21の下端の第4外壁体21dに穿たれる。第1通気口22は第1補助空間47の底面で開口する。第1通気口22は、第1外壁体21aおよび下端の第4外壁体21dの間に規定される稜線に沿って延びる。第1通気口22は、前述と同様に、水平方向に延びる横長の窓孔で構成される。
第2通気口24は第2補助空間48の底面で開口する。第2通気口24は、第1外壁体23aおよび下端の第4外壁体23dの間で規定される稜線に沿って延びる。第2開口41は、第2防音壁体38および下端の第4外壁体23dの間で規定される稜線に沿って延びる。第2通気口24および第2開口41は水平方向に延びる横長の窓孔で構成される。その他、前述の電子機器収納箱11bと均等な構成や構造には同一の参照符号が付される。こうした電子機器収納箱11cでは前述の電子機器収納箱11と同様の作用効果が実現される。
図18は本発明の第5実施形態に係る電子機器収納箱11dを概略的に示す。この電子機器収納箱11dでは箱体12の正面13は第1扉体14で塞がれる。第2扉体16の形成は省略される。第1扉体14には第1および第2通気口22、24が形成される。第1および第2通気口22、24は、水平方向に延びる横長の窓孔で構成される。第1通気口22は、第1外壁体21aおよび下端の第4外壁体21dの間に規定される稜線に沿って延びる。第2通気口24は第1通気口22よりも上側で第1通気口22に平行に延びる。
図19に示されるように、箱体12は、正面13および背面15で挟まれて正面13で開放される内部空間81を区画する。内部空間81は背面15で閉鎖される。箱体12には水平面に沿って広がる壁体82が取り付けられる。壁体82の後端に沿って第3面すなわち直立面83が規定される。内部空間81には箱体12の正面13および直立面83で挟まれて正面13および直立面83で開放される収納空間84が区画される。収納空間84にラック33が組み込まれる。内部空間81には収納空間84の外側で直立面83から正面13まで延びる流通路85が区画される。
第1扉体14は第1および第2補助箱体86、87を備える。第1および第2補助箱体86、87は個別に第1および第2補助空間88、89を区画する。第1通気口22は第1補助箱体86に形成される。第1補助箱体86は、箱体12の正面13に沿って広がる第1防音壁体91に接続される。第1防音壁体91は箱体12の正面13で収納空間84を塞ぐ。第1防音壁体91には前述の第1開口28が穿たれる。第1開口28は、水平方向に横長に延びる窓孔で構成される。第1開口28に第1送風機31が装着される。第1補助箱体86では第1通気口22は第1開口28から最も離れた位置に区画される。
その一方で、第2通気口24は第2補助箱体87に形成される。第2補助箱体87は、箱体12の正面13に沿って広がる第2防音壁体92に接続される。第2防音壁体92は箱体12の正面13で流通路85および収納空間84を塞ぐ。第2防音壁体92には前述の第2開口41が穿たれる。第2開口41は水平方向に横長に延びる。第2開口41に第2送風機43が装着される。第2補助箱体87では第2通気口24は第2開口41から最も離れた位置に区画される。第2開口41は流通路85に接続される。
こうして第1通気口22、第1補助空間88、第1開口28、収納空間84、流通路85、第2開口41、第2補助空間89および第2通気口24で流通路が確立される。その他、前述の電子機器収納箱11〜11cと均等な構成や構造には同一の参照符号が付される。こうした電子機器収納箱11dによれば、前述の電子機器収納箱11〜11cと同一の作用効果が実現される。しかも、第1および第2送風機31、43は第1扉体14に集中的に配置される。電子機器収納箱11dの構造は簡略化されることができる。同様に、第1および第2通気口22、24は第1扉体14の正面に集中的に配置されることから、電子機器収納箱11dの設置場所の自由度は広がる。なお、箱体12の背面15は着脱自在または開閉自在に防音壁で塞がれてもよい。サーバコンピュータ75は背面15から箱体12に出し入れされてもよい。
図20に示されるように、第1弾性パッキン52および第2弾性パッキン53の間には所定の間隔が確保されてもよい。例えば第1および第2弾性パッキン52、53のそれぞれの幅が10[mm]に設定される場合、間隔は10[mm]程度に設定されればよい。こうした間隔の働きで、第1および第2弾性パッキン52、53が隣接して配置される場合に比べて、音漏れは一層効果的に抑制されることができる。電子機器収納箱11で遮音性能は向上する。
その他、図21に示されるように、第1扉体14や第2扉体16の外縁には途切れなく段差95が形成される。その一方で、箱体12の外縁には途切れなく突片96が形成される。突片96は段差95に噛み合う。こうした段差95および突片96の噛み合わせの働きで、収納空間32周りで全長にわたって第1扉体14および箱体12の間や第2扉体16および箱体12の間の隙間は封鎖される。隙間から音漏れは防止される。サーバコンピュータ75の作動音は効果的に収納空間32に閉じこめられる。なお、段差95は箱体12に形成されてもよい。このとき、突片96は第1扉体14や第2扉体16に形成されればよい。
その他、図22に示されるように、第1扉体14や第2扉体16の外縁には途切れなく溝97が形成されてもよい。その一方で、箱体12の外縁には途切れなく突片98が形成される。突片98は溝97に嵌め合わせられる。こうした溝97および突片98の嵌め合わせの働きで、収納空間32周りで全長にわたって第1扉体14および箱体12の間や第2扉体16および箱体12の間の隙間は封鎖される。隙間から音漏れは防止される。サーバコンピュータ75の作動音は効果的に収納空間32に閉じ込められることができる。
その他、図23に示されるように、溝97は箱体12に形成されてもよい。このとき、突片98は第1扉体14や第2扉体16に形成される。加えて、第1扉体14や第2扉体16の外縁には弾性パッキン99が途切れなく取り付けられる。弾性パッキン99は例えば溝97および突片98よりも外側に配置されればよい。こうした構造によれば、収納空間32周りで全長にわたって第1扉体14および箱体12の間や第2扉体16および箱体12の間の隙間は封鎖される。隙間から音漏れは防止される。サーバコンピュータ75の作動音は効果的に収納空間32に閉じこめられる。
図24に示されるように、例えば第1送風機31の交換にあたって例えば第1送風機31は第1開口28から取り外される。第1送風機31は、羽根車101を収容するカバー102を備える。カバー102はカバー本体102aを区画する。カバー本体102aの側縁には所定の間隔で例えば1対のフック102bが一体化される。フック102bは折れ曲がりつつカバー本体102aから突き出る。カバー本体102aの他方の側縁には平板部102cが一体化される。平板部102cの裏面には配線やコネクタが取り付けられる。平板部102cには例えば1対の貫通孔103が穿たれる。
その一方で、例えば第1防音壁体26には第1開口28の一方の側縁に隣接して所定の間隔で1対の長穴104が形成される。長穴104は第1送風機31のフック102bに対応する間隔で配置される。第1防音壁体26には第1開口28の他方の側縁に隣接して例えば1対のねじ穴105が形成される。ねじ穴105は前述の貫通孔103に対応する。第1開口28内には吸音材51が部分的に配置される。なお、第2送風機43は第1送風機31と同様に構成されればよい。
第1送風機31の取り付けにあたってフック102bは長穴104に差し込まれる。フック102bの表面は第1防音壁体26の裏面に受け止められる。カバー本体102aは第1開口28内に受け入れられる。平板部102cの貫通孔103は第1防音壁体26のねじ穴105に位置合わせられる。貫通孔103からねじ穴105にねじ(図示されず)がねじ込まれる。こうして第1送風機31は第1開口28に装着される。平板部102cの裏面は吸音材51に受け止められる。吸音材51の働きで、平板部102cの裏面に配置される配線やコネクタのばたつきは回避される。
11〜11d 電子機器収納箱、12 箱体、13 第1面(正面)、15 第2面(背面)、21 補助箱体(第1補助箱体)、21a 第1外壁体、21b 第2外壁体、21c 第3外壁体、22 通気口(第1通気口)、23 第2の補助箱体、23a 第1外壁体、23b 第2外壁体、23c 第3外壁体、24 第2の通気口、26 壁体(第1防音壁体)、28 開口(第1開口)、32 収納空間、41 第2の開口、47 補助空間(第1補助空間)、48 第2の補助空間。