JP4806407B2 - ラマン光増幅器 - Google Patents

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Description

本発明は、光通信用の信号光を増幅するためのラマン光増幅器、ラマン光増幅器を備えた光通信システム、およびラマン光増幅器の制御装置に関する。
大容量通信が可能な長距離伝送光通信システムのネットワークを構築するための技術として、ラマン光増幅器の実用化が進められている。ラマン光増幅器は、伝送路ファイバ内に高強度の励起光を入射することにより、その光ファイバを増幅媒体として利用する増幅器である。
ラマン光増幅器は、図1に示すように、光ファイバにある波長の励起光を入射すると、励起光の波長に応じた波長域にラマン増幅効果が発生する物理現象を利用する。図1に示す例では、波長の異なる励起光101〜励起光103により、ラマン利得111〜ラマン利得113がそれぞれ発生している。光ファイバに使用される石英ガラスの場合、励起光の波長に対して約13.2THz低い周波数の波長域に最大の増幅特性を有するため、例えば、1550nm付近の信号光をラマン増幅する場合には、1450nm付近の波長の励起光を使用すれば、効率よくラマン利得を得られる。
そして、波長多重(WDM:Wavelength Division Multiplexing)伝送のような広い波長域の信号光を一括して増幅する必要のある光通信システムでは、互いに波長の異なる複数の励起光を使用し、それぞれの励起光の強度を制御することにより、励起光の強度および波長に応じた広波長域の増幅特性を得ることができる。
ラマン光増幅器は、所望の増幅特性の制御を行うために、通常、信号光の強度を監視しながら、所定の利得が得られるように励起光の強度を調節する機能を備えている。また、光ファイバ内のラマン増幅効果に伴い、自然散乱(ASS:Amplified Spontaneous Scattering)光がファイバ内にて発生する。
このASS光は信号光と同じ波長域にて伝送方向と同方向に発生するため、信号光の強度を監視する際に、信号光と併せてASS光が雑音成分として混入する。したがって、ラマン光増幅器は、所定の信号光強度を得るために、雑音成分であるASS光の発生量を差し引いて、信号光の強度を検出する機能を備えている。
ASS光の発生量の知見を得るための技術として、ASS光の発生量は光ファイバに入射される励起光強度とある相関関係にあることが既知であることから、ある光特性の光ファイバについて励起光強度とASS光発生量の関係式を導出し、関係式に従って監視された励起光強度からASS光の発生量を算出する方法がある。
例えば、ラマン光増幅器に、光ファイバに入射される励起光強度を監視する機能を備え、かつ、励起光強度とASS光発生量の関係式をラマン光増幅器内部の記憶素子に格納しておいて演算処理で用いることにより、監視された励起光強度からASS光の発生量を算出することができる。
しかし、長距離伝送を実現するためのラマン光増幅器を備えた光通信システムを実現するに当たり、以下の課題を克服する必要がある。
(1)ラマン光増幅器は増幅媒体として伝送路である光ファイバを用いるため、a)ラマン光増幅器に接続される光ファイバの接続部における損失や曲げ損失等の、ラマン光増幅器の設置場所で発生する局所的な光損失、b)光ファイバの製造プロセス、c)経時・温度環境に起因して、伝送路ファイバの光特性には個体差が生じる。
上記a)〜c)の要因により光特性の異なる光ファイバに、それぞれ同じ強度の励起光を入射した場合、伝送路ファイバの光特性に応じたラマン散乱効果の結果、得られるラマン増幅度と、ラマン増幅に伴い雑音成分として発生するASS光の発生量は、それぞれ異なる。その結果、励起光強度からASS光の発生量を見積もる従来の方法では、その見積り精度は悪くなり、ASS光発生量が差し引かれた信号光の強度を正しく計算することが困難である。
長距離伝送においては、光通信システムを構成する各光増幅器において、それぞれ雑音成分としてのASS光を補正することにより信号光の強度を計算・監視し、良好な伝送特性を得る必要がある。したがって、ラマン光増幅器におけるASS光発生量の見積もり精度の向上が、長距離伝送特性を実現する上での課題となっている。
(2)光通信システムが上流局の故障や伝送路の断線等の原因により異常状態となった場合、異常を感知し自動的にシステムをシャットダウンさせる必要がある。ラマン光増幅器は上記の異常を検出するため、信号光強度を監視して信号光の有無を検出する機能を備えている。この検出機能が信号光の不到達を検出したとき、通信異常状態を発信し、システムのシャットダウンを行う。
しかしながら、ラマン増幅の結果、信号光と併せてASS光が混入するため、信号光の有無の検出精度が問題となる場合がある。特に、広い波長域を使用するWDM伝送では、混入する雑音成分が多くなってしまうため、ASS光の見積もり精度が悪いと信号光の不到達を検出できない場合があり、光通信システムの安全面に問題がある。
これらの課題を克服する従来の技術として、以下のようなASS光発生量の見積もり・補正方法が知られている。
(1)特許文献1
ラマン光増幅器の設置前に、時間領域光反射測定器等の測定器により、ラマン光増幅器が接続される光ファイバのロス分布を測定する。また、ラマン光増幅器には、事前測定された、励起光の強度と光ファイバ特性に応じたASS光の発生量を、増幅器内部の記憶素子に格納しておく。そして、測定により得られた光ファイバの光特性を、ラマン光増幅器の設置時に入力情報としてラマン光増幅器に入力し、その光ファイバ特性と適合する情報を記憶素子から取り出して使用することにより、光ファイバの光特性の個体差に応じたASS光発生量の見積もりを行う。
(2)特許文献2
ラマン光増幅器の設置時に、信号光を遮断した状態で、ラマン光増幅器より励起光を伝送路に入射し、接続された光ファイバの励起光強度とASS光発生量の相関関係を測定する。そして、光通信システムの運用時に、監視された励起光強度に応じて、設置時に測定されたASS光発生量から現在のASS光発生量の見積もりを行う。もしくは、あらかじめ準備されたASS光発生量の計算式に、設置時に測定されたASS光発生量に基いた補正を適用し、ASS光発生量の見積もり精度を向上させる。
しかしながら、上記(1)および(2)の方法には、以下のような問題が残されている。
上記(1)の方法では、ラマン光増幅器に接続される光ファイバの光特性の個体差が大きいほど、ラマン光増幅器の設計段階における事前測定の時間、およびラマン増幅器に記憶させる情報量が多くなり、非効率である。さらに、接続される光ファイバの光特性と、事前測定された、もしくは記憶された光ファイバの光特性が一致しておらず、単に光特性が近い光ファイバの情報を使用する場合には、光特性が一致していないことに起因するASS光発生量の見積もりの誤差が発生する。
上記(2)の方法では、信号光が通過していない条件でASS光の発生量を測定する必要があるため、システム運用準備の手順が煩雑になる。さらに、システム運用時の励起光の強度が、ラマン光増幅器の設置時に測定した励起光の強度と一致しない場合(複数の励起光波長を用いた場合は、励起光強度の比率が一致しない場合)には、ASS光発生量の見積もりの精度が低下する。
併せて、上記(1)および(2)の方法では、システムの設計段階または運用前の測定情報に基いて補正を行うため、経時・環境変化に起因して光ファイバの光特性が変化すると、それに伴ってラマン増幅度およびASS光発生量も変化する。ところが、伝送路ファイバに入射される励起光の強度からラマン増幅に伴って発生するASS光の発生量を見積もる際に、ファイバ特性の変化を考慮していない。
したがって、長年のシステム運用により特性が変化する光ファイバでは、ラマン利得およびASS光発生量と、励起光強度の相関が変化するため、高い精度のASS光発生量の見積もりを保証することができない。このため、光ファイバの光特性の変化に伴うASS光発生量の変化に対して、正確なASS光発生量の見積もりを行うための計算式の補正を行えずに、見積もり精度が劣化するという問題がある。
また、伝送路ファイバの状態監視を行う従来の技術としては、例えば、特許文献3に記載された方法が知られている。この方法では、伝送路ファイバの断線、光接続部の開放等の障害を監視するために、伝送路ファイバ内で信号光と対向して進行する励起光の強度を監視する機能を有するが、経時・環境変化に起因する光ファイバの光特性の変化を監視する機能は持っていない。
日本特許出願公開 特開2002−296145号公報 日本特許出願公開 特開2004−287307号公報 日本特許出願公開 特開2004−172750号公報
上述したように、ラマン光増幅器を使用する光伝送システムの伝送路の光特性は、一般にシステム毎に異なっている。このため、同じ強度の励起光を伝送路ファイバに入射しても、増幅媒体となる伝送路の光特性により、得られるラマン利得や、雑音成分として発生するASS光の強度は異なる。
例えば、従来技術のように、ラマン利得とASS光発生量をラマン光増幅器にて監視している励起光の強度と信号光の強度の情報のみから算出する場合、伝送路情報が不足しているため、基準となるある代表的な光ファイバの光特性の伝送路情報に基いて励起光を制御することになる。
ラマン光増幅器が接続される伝送路は、基準となる光ファイバの光特性と異なる場合がほとんどであるため、実伝送路でのASS光発生量およびラマン利得は、ラマン光増幅器が見積もるASS光発生量およびラマン利得とは異なる。したがって、信号光とASS光が混在した全体の光強度からASS光発生量を差し引く際に、正しいASS光発生量を使用できないため、信号光強度を正確に把握することができない。
一方で、ラマン光増幅器に接続される伝送路情報が不足することに起因してASS光発生量が正しく算出できない問題に対して、伝送路の光特性をあらかじめ測定しておき、伝送路特性の不一致をASS光発生量の見積もり誤差の補正により補償する方法が特許文献1に示されている。この場合、光特性測定は、ラマン光増幅器の設置時に行う運用前の準備段階での作業であるため、運用中に発生する伝送路ファイバの光特性変化に対しては適切な補正が行われない。
本発明の課題は、ASS光発生量の見積もり精度を向上させることで、伝送路の光特性が異なる光伝送システムに使用されても良好な利得特性が得られるラマン光増幅器を提供することである。
また、本発明のもう1つの課題は、伝送路の光特性が異なる光伝送システムに使用されても信号光強度を正確に検出できるラマン光増幅器を提供することである。
本発明のさらに別の課題は、使用する伝送路ファイバの光特性の個体差や、経時・環境変化に伴う伝送路の光特性の変化に伴って発生するASS光発生量の見積もり誤差を、簡易な構成にて補正することである。
本発明のラマン光増幅器は、励起光源、信号光モニタ部、目標計算部、および励起光制御部を備え、上流局からの通信情報を含む信号光を伝送路ファイバを利用して増幅し、増幅された信号光を受信する。
励起光源は、上流局に向けて伝送路ファイバに励起光を供給し、信号光モニタ部は、受信した信号光の強度を測定する。目標計算部は、ラマン利得とラマン増幅に伴って発生する自然散乱光の強度の相関関係を用いて、必要とされるラマン利得から対応する自然散乱光強度を計算し、得られた自然散乱光強度と増幅された信号光の強度から、目標光強度を計算する。励起光制御部は、信号光モニタ部により測定された光強度が目標光強度に相当するように、励起光源から出力される励起光の強度を制御する。
複数波長のラマン増幅を示す図である。 光伝送システムの構成図である。 上流中継局と下流中継局を示す図である。 伝送路ファイバ内における信号光と励起光の強度分布を示す図である。 上流中継局と下流中継局の第1の構成を示す図である。 上流中継局と下流中継局の間で制御情報を授受する構成を示す図である。 伝送路ファイバのロス係数の波長特性を示す図である。 種類の異なる伝送路ファイバのロス係数の波長特性を示す図である。 伝送路ファイバの光特性の変化に伴う、光損失の波長特性の変化を示す図である。 ラマン光増幅器に到達するすべての光強度の内訳を示す図である。 従来のASS光発生量の見積もり結果と実際のASS光発生量の差を示す図である。 伝送路ファイバのロス係数と、一定のラマン利得を得るために必要な励起光強度の関係を示す図である。 ラマン利得とASS光発生量の相関関係を示す図である。 所要のラマン利得が与えられた場合の処理のフローチャートである。 所要の信号光強度が与えられた場合の処理のフローチャートである。 従来技術と本発明の方法によるASS光発生量の見積もり結果を示す図である。 従来のASS光発生量の見積もり結果に基く光強度の内訳と実際の内訳を示す図である。 上流中継局と下流中継局の第2の構成を示す図である。
以下、図面を参照しながら、本発明を実施するための最良の形態を詳細に説明する。
本実施形態では、上流送信端局に設置された受光素子にて監視された残留励起光強度と、下流受信端局に設置されたラマン光増幅器から伝送路ファイバに入射される励起光の強度の光強度差から、受信端局の局舎内での損失が含まれた伝送路ファイバの損失値等の、伝送路ファイバの光特性を表す伝送路情報を随時監視する。
また、上記光強度差から得られた伝送路の損失、送信端局から出力される信号光強度、および受信端局のラマン光増幅器にて受信したラマン増幅後の信号光強度に基いて、ラマン利得を随時監視する。
さらに、伝送路に入射される励起光の強度と随時観測されるラマン利得に基いて、伝送路ファイバにて発生するASS光発生量を推測する計算式を用いることにより、光特性が異なる伝送路にラマン光増幅器が接続されても、ラマン利得および信号光強度を所定の目標値に精度良く合わせることが可能となる。
したがって、運用中にラマン利得および伝送路の光損失を随時監視し、かつ、ラマン増幅された信号光強度を精度良く把握することが可能となり、光通信システムにおけるラマン光増幅器の利得制御を的確に実施することが可能となる。
図2は、このようなラマン光増幅器が設置された光伝送システムの構成例を示している。図2の光伝送システムは、送信端局と受信端局との間で情報を波長多重した光信号に載せて伝送するWDM伝送システムであり、端局同士を結ぶ伝送路上に、n個の中継局205−1〜205−nが設置されている。
送信端局には、m個の送信機201−1〜201−m、合波器202、および前置増幅器203が設置される。送信機201−1〜201−mは、波長λ1〜λmの信号光を生成し、合波器202は、それらの信号光を波長多重する。前置増幅器203は、伝送路での光損失を補償することを目的として、合波器202の出力をあらかじめ強い強度の信号光に増幅して、伝送路に送出する。
前置増幅器203と中継局205−1は伝送路ファイバ204−1で結ばれ、中継局205−iと中継局205−(i+1)は伝送路ファイバ204−(i+1)で結ばれている(i=1,2,...,n−1)。また、中継局205−nと前置増幅器206は伝送路ファイバ204−(n+1)で結ばれている。各中継局には、上流の伝送路ファイバの光損失により微小となった信号光を増幅して、下流の伝送路ファイバに送出する光増幅器として、希土類添加光ファイバ増幅器あるいはラマン光増幅器のいずれか、または双方が設置される。
受信端局には、前置増幅器206、分波器207、およびm個の受信機208−1〜208−mが設置される。前置増幅器206は、中継局205−nから出力された後、伝送路ファイバ204−(n+1)の光損失により微小となった信号光を増幅して、分波器207に送出する。分波器207は、信号光を波長分離してそれぞれの波長の信号光を生成し、受信機208−1〜208−mは、それらの信号光を受信する。
図3は、図2の光伝送システムに含まれる、伝送路ファイバを挟んで隣接する上流中継局と下流中継局の局内伝送装置の構成例を示している。図3の例では、上流中継局301と下流中継局303が伝送路ファイバ302で結ばれており、上流中継局301には、希土類添加光ファイバ増幅器であるEDFA(Erbium Doped Fiber Amplifier)311が、下流中継局303には、ファイバラマン光増幅器(FRA:Fiber Raman Amplifier )312とEDFA313が、それぞれ設置されている。
他の構成例として、上流中継局301にも、下流中継局303と同様のFRAを設置することが可能である。
図4は、図3の伝送路ファイバ302内における信号光および励起光の強度分布を示している。EDFA311により増幅されて強い強度となった信号光が上流中継局301より伝送路ファイバ302に送出され、伝送路での光損失により強度を失いながら下流中継局303に送信される。
一方、下流中継局303のラマン光増幅器312より、信号光と対向して励起光を伝送路ファイバ302に入射することにより、信号光はラマン増幅されて強度を増す。そして、下流中継局303のEDFA313によりさらに信号光の強度を増幅した後、次の伝送路ファイバに信号光を送出する。
図5は、図3の上流中継局301と下流中継局303の伝送装置のより詳細な構成を示している。上流中継局301は、EDFA311、励起光抽出部501、励起光モニタ部502、および上流局制御装置503を備え、下流中継局303は、ラマン光増幅器312、EDFA313、および下流局制御装置518を備える。
下流中継局303のラマン光増幅器312は、光サーキュレータ511、光分波器512、励起光源513、励起光モニタ部514、信号光モニタ部515、励起光制御部516、および目標光強度算出部517を含む。励起光制御部516および目標光強度算出部517は、例えば、CPU(中央処理装置)とメモリを備えた情報処理装置により実現される。
ラマン光増幅器312の光サーキュレータ511は、励起光源513より発せられる励起光を伝送路ファイバ302に挿入するとともに、伝送路ファイバ302より入射する信号光を光分波器512に出力する。光分波器512は、光サーキュレータ511からの信号光を2つに分岐し、一方を信号光モニタ部515に出力し、他方をEDFA313に出力する。
上流側中継局301の励起光抽出部501は、下流中継局303より出射されて伝送路ファイバ302にて光減衰した励起光を抽出し、励起光モニタ部502に出力するとともに、EDFA311により増幅された信号光を伝送路ファイバ302に出射する。励起光抽出部501としては、例えば、光サーキュレータが用いられる。
EDFA311は、伝送路ファイバ302に出力される信号光強度を監視する出力光モニタ部を含む。上流局制御装置503は、信号光強度、励起光強度等の監視情報を下流局制御装置518に送信する。
まず、下流中継局303に設置されたラマン光増幅器312の各部の基本動作を説明する。
励起光源513は、例えば、レーザダイオードのような特定の波長の光を発生する光源により構成される。光ファイバに使用される石英ガラスでは、励起光の波長に対して約13.2THz低い周波数の波長域に最大の増幅特性を有することを利用して、信号光波長に応じた波長の励起光源を構成すればよい。また、WDM伝送システムのように広い波長域の信号光を一括して増幅する場合には、それぞれ異なる波長の複数の光源を備えてもよい。
信号光モニタ部515は、光分波器512により伝送路から分岐された一部の信号光と混入される雑音光成分の合計量を検出し、その強度を目標光強度算出部517に通知する。ここで、雑音光成分とは、ラマン光増幅器312より伝送路ファイバ302に高強度の光(励起光)が入射された際に、ラマン増幅効果に伴い発生するASS光と、上流中継局301の光増幅器にて発生した雑音光が重畳された成分を含んだ光を指す。
励起光モニタ部514は、励起光源513より伝送路ファイバ302に発せられる励起光の出力強度を監視する。ここで、励起光出力強度は、伝送路ファイバ302に入力される光強度に相当するものである。
ラマン光増幅器312の内部に励起光モニタ部514を備えることにより、ラマン光増幅器の製造時に、励起光制御部516が出力する制御信号と伝送路ファイバ入力端の励起光強度の相関を取得する方法や、光サーキュレータ511や励起光源513を構成する部品の光損失を用いて、励起光源513が発する光強度から伝送路ファイバ入力端での励起光強度を計算する方法により、励起光出力強度を取得することができる。
励起光モニタ部514は、励起光源513の各波長に応じて波長毎に励起光を監視してもよく、励起光源513の複数波長の励起光を一括して監視してもよい。
目標光強度算出部517は、ラマン光増幅器312に必要とされる信号光強度と、ラマン利得から見積もられるASS光発生量と、上流中継局より累積された光伝送システムの累積雑音成分の合計を、目標光強度として算出する。そして、信号光モニタ部515にて検出された信号光と雑音光成分の合計量と、算出された目標光強度を比較する。
このうち、累積雑音成分の強度は、隣接する中継局間の制御情報として、光信号もしくは電気信号に載せて上流局制御装置503と下流局制御装置518の間で授受することにより、上流中継局301からラマン光増幅器312に通知される。一方のASS光発生量は、ラマン増幅現象に伴い発生するASS光の強度であり、ラマン増幅現象に伴うラマン利得とASS光発生量の間には、伝送路ファイバ302の特性に応じて一様な相関関係がある。
したがって、ラマン光増幅器312に必要とされる信号光強度からラマン利得を算出し、このラマン利得からASS光発生量を見積もることが可能である。もしくは、ラマン光増幅器312に必要とされるラマン利得から、ASS光発生量を見積もることが可能である。
目標光強度算出部517により算出される目標光強度Pall_targetは、ラマン増幅された信号光Pon(λsig )と、伝送路ファイバ302にて発生するASS光発生量Passと、累積雑音成分Paccumの合計であるから、次式により表すことができる。

Pall_target=10^(Pon(λsig )/10)+Pass+Paccum
(1)

(1)式は、例えばミリワットのような線形単位で表現された等式である。信号光強度Pon(λsig )は例えばdBmのようなログ単位で表現されているものとし、(1)式では、10の累乗により線形単位に変換している。
以降、特に断りのない限り、信号光強度はログ単位により表現された値であるものとして、説明を行なう。
励起光制御部516は、所定のラマン利得を得るため、もしくは光伝送システムの信号−雑音比の特性を最適化するため、励起光モニタ部514により監視される励起光強度が、目標光強度算出部517により算出された目標光強度となるように励起光源513を制御する。励起光制御部516の制御目標となる光強度としては、ラマン光増幅器312の目標光強度算出部517により算出された目標光強度の代わりに、外部の演算装置より入力される目標光強度に基いた値を用いてもよい。
また、WDM伝送のように複数波長の信号光の平坦な利得を必要とするシステムでは、励起光制御部516が、利得の波長特性に応じて、ラマン光増幅器312が各波長に対する励起光強度Ppump1 〜Ppumpm の比率を制御することも可能である。
次に、上流中継局301の各部の基本動作を説明する。
励起光モニタ部502は、下流中継局303より信号光の進行方向と対向して伝送路ファイバ302に発せられ、伝送路でのレイリー散乱等により光減衰された後、上流中継局301に到達した励起光の強度を監視する。伝送路ファイバ302での光減衰後の励起光残留強度を監視するために、励起光抽出部501の光損失を用いて、上流中継局301の信号光出力端と伝送路ファイバ302の接続点における光強度を計算してもよい。
励起光モニタ部502は、下流中継局303の励起光源513の各波長に応じて波長毎に励起光を監視してもよく、励起光源513の複数波長の励起光を一括して監視してもよい。
EDFA311内の出力光モニタ部は、上流中継局301から伝送路ファイバ302に出力される信号光強度を監視する。監視方法としては、光分波器により信号光の一部を取り出して、伝送路ファイバ302に出力される信号光強度を監視する方法や、EDFA311等の中継器の出力信号光強度を用いて信号光強度を計算する方法が用いられる。
上流局制御装置503は、励起光モニタ部502で監視された励起光残留強度と、出力光モニタ部で監視された出力信号光強度を受け取り、それらの情報と自然放出(ASE:Amplified Spontaneous Emission)光の累積雑音成分の情報を下流局制御装置518に送信する。
下流局制御装置518は、上流局制御装置503から受信した情報をもとに、伝送路ファイバ302の状態等の、隣接する局間の運用状況を監視し、ラマン光増幅器312を制御する。下流局制御装置518は、ラマン光増幅器312を含む下流中継局303に設置された伝送装置の構成部品のすべてもしくは一部を制御することも可能である。あるいは、下流局制御装置518をラマン光増幅器312内に設けて、ラマン光増幅器312のみを制御するようにしてもよい。
図6は、上流局制御装置503と下流局制御装置518の間で中継局間制御情報を授受する構成の一例を示している。図6の例では、上流局制御装置503において、SV(Supervisory )光と呼ばれる光信号に中継局間制御情報を載せて、下流局制御装置518に送信する。このSV光の送受信のために、上流中継局301には光合波器601およびSV光送信部602が設けられ、下流中継局303には光分波器611およびSV光受信部612が設けられる。
上流中継局301から出射されたSV光は、信号光が通過する伝送路ファイバ302と同じファイバ内を、上流中継局301から下流中継局303に向けて進行する。励起光モニタ部502は励起光残留強度を、EDFA311内の出力光モニタ部は出力信号光強度を、それぞれ上流局制御装置503に出力する。
上流局制御装置503は、受け取った情報を中継局間制御情報としてSV光送信部602に出力し、SV光送信部602は、中継局間制御情報を載せた光信号をSV光として出力する。出力されたSV光は、光合波器601を経由して、信号光が通過する伝送路ファイバ302に挿入され、下流中継局303に到達する。SV光の波長としては、図1に示したラマン光増幅器312の増幅波長域から外れた波長を用いてもよい。
下流中継局303に到達したSV光は、ラマン光増幅器(FRA)312を通過した後、光分波器611を経由して、SV光受信部612により受信される。SV光に載せられた中継局間制御情報は、SV光受信部612から下流局制御装置518を経由してラマン光増幅器312に転送される。
次に、図7から図9までを参照しながら、伝送路ファイバ302における信号光の損失を監視する方法についてより詳細に説明する。
図4に示したように、下流中継局303より伝送路ファイバ302に出射された励起光は、伝送路での光損失により強度を失いながら上流中継局301に送信される。ここで、励起光が伝送路ファイバ302を通過することによりその強度を損失される要因は、光ファイバの局所的な曲がりやコネクタ接続等の不連続面での構造による要因を除けば、大きく分類して吸収損失と散乱損失の2つがある。
通常、光伝送システムに使用される信号光は、1550nm近辺の近赤外域の波長が使用されることから、約13.2THz離れた1450nm付近の近赤外域波長の励起光が使用される。これらの波長域では、吸収損失は、そのほとんどが光ファイバを構成する石英の分子振動による赤外吸収によって起こる。散乱損失は、そのほとんどがレイリー散乱によって起こる。
ラマン増幅を引き起こすラマン効果は、光ファイバ内に閉じ込められた励起光が十分強く、石英分子の分極を誘起した結果、ストークス光として信号光が発生して信号光強度が強まる現象であり、分極を誘起した後の励起光はその強度を保ったまま、光ファイバ内を進行する。したがって、ラマン増幅に伴う励起光強度の損失は無視してよい。
図7は、これらの各要因の損失が積み重なったファイバ光損失の波長特性の一例を示している。図7において、ロス係数は、光ファイバの単位距離あたりの光損失量を表し、例えば、1kmあたり0.2dBの光損失のファイバであれば、0.2dB/kmのように表記される。
図7に示すように、光伝送システムに使用される光ファイバの損失特性は、1550nm付近にロス係数の極小点を持ち、極小点から短波長側または長波長側に離れるにつれて、ロス係数は大きくなる傾向にある。短波長側のロス係数の増加傾向はレイリー散乱損失に、長波長側のロス係数の増加傾向は赤外吸収損失に、それぞれ起因する。したがって、通常、ロス係数の小さい1550nm付近が、光伝送システムに使用される信号光の波長域として使用される。
この例では、光ファイバのロス係数は、信号光波長1550nm付近で0.21dB/km程度であるのに対し、この波長域のラマン増幅に使用される励起光波長1450nm付近で0.27dB/km程度である。
図8は、分散シフトファイバ(DSF)とシングルモードファイバ(SMF)の光波長−ロス係数の波長特性を示している。実線801、802および破線803、804で示される4つの波長特性のファイバの種類と、波長1550nmにおけるロス係数は、以下の通りである。
801 SMF 0.29dB/km
802 SMF 0.25dB/km
803 DSF 0.29dB/km
804 DSF 0.25dB/km
DSFとSMFのようにファイバの種類が異なれば、光波長λ−ロス係数CLossの波長特性の曲線、すなわち微分係数dCLoss(λ)/dλは異なる。これに対して、同じ種類のファイバでは、製造プロセス、環境条件等の違いにより、波長によるロス係数の差分は発生するが、波長特性の微分係数dCLoss(λ)/dλは同じである。
さらに、図7に示したように、光波長−ロス係数の波長特性は連続した曲線であることから、各波長のロス係数CLoss(λ)は、光波長λの関数として表現することが可能となる。例えば、次式のように、ロス係数CLossを光波長λに関するn次の多項式として表現できる。

Loss(λ)=an ×λn +an-1 ×λn-1 +・・・
+a2 ×λ2 +a1 ×λ+a0 (2)

ここで、係数a1 、a2 、・・・、an-1 、an は、ファイバの種類によって固有の値をとる。さらに、(2)式のロス係数の微分係数dCLoss(λ)/dλは、次式により表すことができる。

dCLoss(λ)/dλ=n×an ×λn-1 +(n−1)×an-1 ×λn-2 +・・・
+2a2 ×λ+a1 (3)

係数a1 、a2 、・・・、an-1 、an が同じ値で、かつ、同じ波長λという条件では、(2)式のロス係数CLoss(λ)は定数項a0 に依存する一方、(3)式の微分係数da0 /dλは同じ値となる。これは、同じ種類のファイバにおけるロス係数の特性差は、(2)式の定数項a0 によって表されることを意味する。
図5に示した隣接する中継局間の伝送路ファイバ302における信号光の損失は、以下の手順により監視することが可能である。
手順1:上流中継局301における出力光モニタ部にて監視した伝送路ファイバ302に送出される信号光強度をPout (λsig )、下流中継局のラマン光増幅器が励起光を発していない状態での受信信号光の強度をPoff (λsig )とすると、伝送路ファイバ302における信号光の損失LOSS(λsig )は次式により表される。

LOSS(λsig )=Pout (λsig )−Poff (λsig ) (4)

(4)式は、例えばdBmのようなログ単位で表現された等式であり、(4)式内の各信号光強度、光損失はログ単位で表現されている。
ラマン光増幅器312の励起光無出力時における信号光損失の測定は、例えば、ラマン光増幅器312を設置する際の伝送装置のセットアップ時に行えばよい。
経時変化や周辺環境(温度・湿度等)の変化にかかわらず、伝送路ファイバの損失特性が不変の場合には、伝送路ファイバ302における信号光の減衰量は(4)式により求められる損失を想定すればよいが、長期間に渡る光通信システムの運用において、これらの要因による伝送路ファイバの損失特性の変化は不可避である。
ラマン光増幅器312の励起光源513の出力は有限であることから、ラマン光増幅器312から伝送路ファイバ302に入射される励起光強度の最大量、すなわちラマン光増幅器312が保証し得るラマン利得の最大値は有限である。したがって、ラマン増幅後の信号光レベルを一定に制御するという条件でラマン光増幅器312が運用される場合、伝送路ファイバ302の信号光の減衰量が大きくなると、有限のラマン利得のため、所定の信号光レベルにラマン増幅できないという問題が発生する。
このように、ラマン増幅後の信号光レベルが伝送後の信号−雑音光特性を損ねる恐れがあるため、伝送路ファイバ302の損失特性の変化を監視する機能が必要となる。ラマン光増幅器312の励起光強度を一時的に無出力として、(4)式により伝送路ファイバ302の信号光の減衰量を監視する方法では、光通信システムの一時運休を必要とする問題がある。
そこで、伝送装置の運用を継続しながら伝送路ファイバ302の光損失を監視するため、伝送路ファイバ302におけるラマン増幅に用いる励起光の光損失と、伝送路ファイバ302の光波長−ロス係数の波長特性に関する(2)式を利用して、以下の手順で監視を実施する。
手順2:下流中継局303における励起光モニタ部514にて監視した伝送路ファイバ302に入射する励起光強度をP2pump、上流中継局301における励起光モニタ部502にて監視した上流中継局301に到達する励起光強度をP1pumpとすると、伝送路ファイバ302での励起光波長の光損失LOSS(λpump)は、次式により表される。

LOSS(λpump)=P2pump−P1pump (5)

(5)式は(4)式と同様、ログ単位で表現された等式であり、(5)式内の各励起光強度、光損失はログ単位で表現されている。
以降、特に断りのない限り、励起光強度および光損失はログ単位により表現された値であるものとして、説明を行なう。
ここで、前述の通り、ラマン増幅を伴うラマン散乱損失は無視できるため、励起光の減衰要因は、吸収損失とレイリー散乱損失のみを考えればよい。
手順3:信号光波長のロス係数CLoss(λsig )と励起光波長のロス係数CLoss(λpump)の差、CLoss(λpump)−CLoss(λsig )を求める。手順1および手順2の測定では、ロス係数CLoss(λsig )とCLoss(λpump)を直接求めることはできないが、(2)式を用いることにより、CLoss(λpump)−CLoss(λsig )は次のように求められる。

Loss(λpump)−CLoss(λsig
=an ×(λpump n −λsig n )+an-1 ×(λpump n-1 −λsig n-1 )+・・・
+a2 ×(λpump 2 −λsig 2 )+a1 ×(λpump−λsig ) (6)

(6)式の係数a1 、a2 、・・・、an-1 、an と、信号光波長λsig および励起光波長λpumpは既知の情報であることから、CLoss(λsig )とCLoss(λpump)のそれぞれの値は不明でも、CLoss(λpump)−CLoss(λsig )を求めることは可能である。
手順4:手順1および手順2にて求めた信号光波長および励起光波長の伝送路損失と、手順3により求めたロス係数の差CLoss(λpump)−CLoss(λsig )から、隣接する中継局間の伝送路ファイバ302の距離を求める。隣接する中継局間の伝送路ファイバ302の光波長λにおける光損失LOSS(λ)は、中継局間の距離(伝送路ファイバ長)をLとして、次式により表される。

LOSS(λ)=CLoss(λ)×L+X (7)

(7)式はログ単位で表現された等式であり、例えば、(7)式内のロス係数CLoss(λ)はdB/km単位により、伝送路ファイバ長Lはkm単位により、局所的な光損失XはdB単位により、それぞれ表現されている。
(7)式の最終項Xは、中継局等におけるコネクタ接続、曲げ損失等の局所的な光損失を表す。この局所的な光損失Xは、光波長にかかわらない一定量である。以前の手順で求めた信号光波長および励起光波長の伝送路損失LOSS(λsig )およびLOSS(λpump)を(7)式に適用することにより、伝送路ファイバ長Lは次のように求められる。

L=(LOSS(λpump)−LOSS(λsig ))
/(CLoss(λpump)−CLoss(λsig )) (8)

手順5:ラマン光増幅器312が設置された伝送路ファイバ302の光損失LOSS(λ)を光波長λにより表す。(2)式を用いて(7)式を展開することにより、光損失LOSS(λpump)は次のように表せる。

LOSS(λ)=(an ×λn +an-1 ×λn-1 +・・・+a2 ×λ2 +a1 ×λ+a0
×L+X
=An ×λn +An-1 ×λn-1 +・・・+A2 ×λ2 +A1 ×λ+A0
(9)

(9)式において、係数An 、An-1 、・・・、A2 、A1 、A0 は、それぞれAn =an ×L、An-1 =an-1 ×L、・・・、A2 =a2 ×L、A1 =a1 ×L、A1 =a1 ×L、A0 =a0 ×L+Xにより定義される。ファイバの種類に固有の係数a1 、a2 、・・・、an-1 、an と、伝送路ファイバ長Lは伝送路ファイバ302に固有かつ既知の値なので、係数An 、An-1 、・・・、A2 、A1 を求めることができる。さらに、励起光波長λpumpと伝送路損失LOSS(λpump)は既知のため、定数項A0 は次式により求めることができる。

0 =LOSS(λpump)−(An ×λpump n +An-1 ×λpump n-1 +・・・
+A2 ×λpump 2 +A1 ×λpump) (10)

以上の手順にて定まったすべての係数An 、An-1 、・・・、A2 、A1 、A0 を(9)式に適用することにより、伝送路ファイバ302の光損失LOSS(λ)を光波長λにより表現することができる。
手順6:各中継局の伝送装置を運用しながら、伝送路ファイバ302の損失特性の変化を監視する。ファイバの種類に固有の係数a1 、a2 、・・・、an-1 、an と、伝送路ファイバ長Lは、伝送路ファイバ302の特性が変化しても不変の値である。したがって、(9)式の係数A1 、A2 、・・・、An-1 、An は、伝送路ファイバ302に固有の固定値である。
まず、伝送路ファイバ302の励起光損失LOSS(λpump)を、伝送装置を継続して運用しながら、手順2により監視する。次に、監視された励起光損失LOSS(λpump)を(10)式に適用して、定数項A0 を求める。定数項A0 =a0 ×L+Xは、経時変化や環境条件の変化に伴う局所的な光損失Xとロス係数の変化に応じて、変化する値であり、伝送路ファイバ302の損失特性の変化は、定数項A0 として表現できる。
手順7:手順6により求められた、伝送路ファイバ302の特性変化に応じて変化する定数項A0 を(9)式に適用することにより、信号光波長λsig における伝送路ファイバ302の光損失LOSS(λsig )を求めることができる。
図9は、同じ種類のファイバを用いた2つの異なる伝送路Aおよび伝送路Bの光波長−光損失特性を示している。ここで、伝送路Aでは、ロス係数を表す(2)式の定数項がa0A、伝送路ファイバ長LA 、局所的な光損失XA の伝送路ファイバを用いており、伝送路Bでは、(2)式の定数項がa0B、伝送路ファイバ長LB 、局所的な光損失XB の伝送路ファイバを用いているものとする。
曲線901および902は、それぞれ特性変化前の伝送路Aおよび伝送路Bの波長特性を表し、曲線903および904は、それぞれ特性変化後の伝送路Aおよび伝送路Bの波長特性を表す。
伝送路Aと伝送路Bは同じ種類のファイバであるため、(2)式の係数a1 、a2 、・・・、an-1 、an は同じ値である。したがって、図9における伝送路Aと伝送路Bの波長特性の差は、(9)式の定数項A0 と、係数a1 、a2 、・・・、an-1 、an に伝送路ファイバ長を乗算した係数A1 、A2 、・・・、An-1 、An の違い、すなわち光損失LOSS(λ)の光波長λに関する式の微分係数dLOSS(λ)/dλに起因している。
経時変化や環境条件の変化に伴う伝送路ファイバの損失特性の変化は、定数項A0 の変化として表されるが、微分係数dLOSS(λ)/dλは不変である。したがって、伝送装置のセットアップ時に測定した励起光と信号光の伝送路損失の差、ΔLOSS=LOSS(λpump)−LOSS(λsig )は、伝送路ファイバの特性変化にかかわらず一定のため、このΔLOSSと、伝送装置の継続運用に伴い常時測定しているLOSS(λpump)を用いて、次式により信号光波長の伝送路損失LOSS(λsig )を求めることができる。

LOSS(λsig )=LOSS(λpump)−ΔLOSS (11)

上記手順3以降では、伝送装置の運用を継続しながら信号光波長の伝送路損失を監視するために、常時監視している励起光の伝送路損失のほかに、伝送路ファイバ302における励起光波長と信号光波長のロス係数の差を算出しているが、手順1で測定した励起光停止状態での信号光の損失LOSS(λsig )と、手順2に従って伝送装置のセットアップ時に測定した励起光波長の光損失LOSS(λpump)の差をΔLOSSとして記憶し、手順2に従って常時監視している励起光の伝送路損失から、(11)式に従って信号光波長の光損失を見積もってもよい。
また、上記手順における計算式で用いている各係数および関数は、異なる種類の伝送路ファイバに対応して複数種類用意しておき、実際に使用する伝送路ファイバに応じて、用意した係数および関数を使い分けてもよい。
このように、本実施形態の光伝送システムでは、伝送路ファイバ302における伝送路損失を監視するために、ラマン増幅のためにラマン光増幅器312から伝送路ファイバ302に入射される励起光の強度と、伝送路を遡って上流中継局301に到達した励起光の残留強度とを併せて監視する。そして、伝送装置のセットアップ時に測定した信号光の伝送路損失と、伝送装置の運用を継続しながら常時監視している励起光の伝送路損失と、上記手順とを用いることにより、経時・環境変化に応じて変化する信号光波長における伝送路ファイバ302の光損失を常時監視することが可能となる。
また、ファイバの損失特性の変化を常時監視することにより、励起光源513の出力限界に起因する有限のラマン利得という条件下で伝送装置の信号−雑音光特性を損ねる恐れのある過剰な伝送路光損失、あるいは伝送路ファイバ302の断線等の異常を検出することができる。
次に、常時監視された伝送路ファイバ302の光損失と、ラマン光増幅器312に必要とされるラマン利得から、ラマン増幅に伴い発生するASS光の発生強度を正確に見積もり、ラマン利得もしくはラマン増幅後の信号光強度を的確に制御する方法について説明する。
図4に示したように、伝送路ファイバ302を通過するにつれて、信号光は損失要因により減衰されながら、下流中継局303に進行する。下流中継局303に近づくにつれて、ラマン光増幅器312より伝送路ファイバ302に入射される励起光により、信号光はラマン増幅され、信号光強度が強くなる。そして、ラマン効果を利用するラマン増幅に伴い、ASS光が雑音成分として、信号光と同じ進行方向に発生する。
さらに、下流中継局303に到達するまでに累積された、上流中継局301等の光増幅器にて発生した雑音成分(例えば、EDFAにて発生したASE光)も混在する。したがって、図10に示すように、ラマン増幅の後、ラマン光増幅器312内の信号光モニタ部515に到達する光強度Pall_obsには、ラマン増幅された信号光Pon(λsig )と、ASS光発生量Passと、ASE光等の累積雑音成分Paccumとが混在しており、Pall_obsは(1)式を変形した次式により表される。

Pall_obs=10^(Pon(λsig )/10)+Pass+Paccum
(12)

ここで、ASS光発生量Passは、ラマン光増幅器312内の目標光強度算出部517により算出される。
従来技術では、次式に示すように、伝送路に入射される励起光源の各波長の光強度Ppump1 〜Ppumpm とASS光発生量Passの関係式に従って、Passの見積もりを行っていた。

Pass=ASSpump(Ppump1 ,Ppump2 ,...,Ppumpm ) (13)

ASE光等の累積雑音成分Paccumとしては、送信端局から上流中継局301までに累積された累積雑音成分が、上流局制御装置503より通知される。
ところで、長距離伝送システムに利用されるラマン光増幅器には、伝送装置の信号−雑音光特性が最適となるように、信号光強度を的確にラマン増幅する機能が求められる。したがって、ラマン光増幅器312には正確なラマン利得とラマン増幅後の信号光強度を監視する機能が必要である。
(12)式のPall_obsは、信号光モニタ部515にて測定することにより取得できる値であり、Paccumは、上流中継局301より通知される値であるため、(12)よりPon(λsig )+Passの値は算出できる。一方で、前述のように、伝送路に入射される励起光の強度とASS光発生量の相関は、伝送路ファイバ302の光特性に大きく影響されるので、励起光モニタ部514より得られる、ラマン光増幅器312から伝送路ファイバ302に入射される励起光強度の情報だけでは、あらゆる伝送路ファイバの光特性に対するASS光発生量Passを精度よく見積もることができない。
そこで、以下の手順により、ラマン利得GR を用いてASS光発生量Passを見積もり、ラマン増幅後の信号光強度Pon(λsig )が所定の強度となるように、励起光源513より出射される励起光の強度を制御する。
手順1:上述した監視方法における手順1と同様に、ラマン光増幅器312の励起光無出力時に、伝送路ファイバ302における信号光の損失LOSS(λsig )を、(4)式に従って測定する。信号光損失の測定は、例えば、ラマン光増幅器312を設置する際の伝送装置のセットアップ時に行えばよい。
手順2:信号光が伝送路ファイバ302を通過している状態で、ラマン光増幅器312の励起光源513より励起光を伝送路ファイバ302に入射し、信号光強度、もしくは、ASS光発生量と累積雑音成分を含むすべての光強度が所定値に到達するように、励起光強度を制御する。
手順3:ラマン光増幅器312の利得が一定の条件下では、ASS光発生量は、増幅媒体となる伝送路ファイバの光特性にかかわらず、ほぼ同じ強度となる。この特性を利用して、ラマン利得GR に関する近似式から、ASS光発生量Passをより精度よく見積もることができる。
従来技術との比較のために、様々な光特性を持つDSFファイバに対して、ラマン利得10dBにてラマン光増幅器を動作させた場合の、励起光強度のみから見積もったASS光発生量と、実際に発生するASS光発生量とを、図11に示す。図11において、棒グラフ1101は実際のASS光発生量を表し、棒グラフ1102は従来技術によるASS光発生量の見積もり結果を表す。
励起光強度のみからASS光発生量を見積もるために、ある光特性の光ファイバの励起光強度とASS光発生量の相関を用いており、ここでは、ラマン光増幅器が設置された中継局の局部損失を0.5dB、伝送路ファイバの種類をDSF、ロス係数を0.25dB/kmとして、相関関係を導出している。
これに対して、比較に用いたファイバは、ファイバの種類は同じDSFであるが、そのロス係数は、それぞれ、0.21dB/kmから0.29dB/kmまで、0.01dB/km毎に異なっている。
併せて、図12に、様々な光特性を持つDSFファイバに対して、ラマン利得10dBにてラマン光増幅器を動作させた場合の、所要の励起光強度を示す。図12に示すように、所定のラマン利得を得るために必要な励起光強度は、光ファイバのロス係数の大小に依存し、ロス係数が大きいファイバほど多くの励起光強度を要する。また、同じ光特性のファイバでは、一般的に励起光強度が大きいほどラマン効果が大きいため、ASS光発生量は励起光強度に対して単調増加の関係にある。
このため、図11に示すように、ある光特性のファイバを基準とした見積もり方法を様々な光特性の光ファイバに対して適用した場合、ASS光発生量の見積もりに大きな誤差が発生し、その結果、信号光強度およびラマン利得の的確な制御が行えないという問題があった。
一方、様々な光特性のファイバを増幅媒体として所定のラマン利得にてラマン光増幅器を動作させた場合、図11に示すように、励起光の強度および光ファイバの光特性にかかわらず、ほぼ同じ量のASS光が発生している。
さらに、同じ種類で光特性が異なる様々な光ファイバに対して、様々なラマン利得にてラマン光増幅器を動作させた時のASS光発生量を、図13に示す。図13は、ラマン光増幅器の利得が一定の条件下では、ASS光発生量が増幅媒体となる伝送路ファイバの光特性の影響を受けないことを表している。上記手順3は、図13に示したラマン利得およびASS光発生量の関係を用いて、ラマン利得GR より、ASS光発生量Passを見積もるものである。
ここで、ASS光発生量Passを、次式によりラマン利得GR に関する関数として表すものとする。

Pass=ASSgain(GR ) (14)

(14)式に従えば、ラマン光増幅器312をラマン利得GR にて制御する場合に、ラマン効果に伴い発生するASS光発生量Passを見積もることができる。
また、ラマン増幅後の信号光強度がPon(λsig )に到達するように、ラマン光増幅器312を制御する場合は、以下の(15)式および(16)式により、ASS光発生量の見積もりに必要なラマン利得GR を求める。(11)式にて算出された信号光の伝送路損失LOSS(λsig )と、出力光モニタ部において監視された出力信号光強度Pout (λsig )から(15)式を用いることにより、ラマン増幅が行われない場合、すなわちラマン光増幅器312より励起光が伝送路ファイバに出射されない状態の、信号光強度Poff (λsig )が求まる。

off (λsig )=Pout (λsig )−LOSS(λsig ) (15)

ラマン増幅後の信号光強度がPon(λsig )の場合、必要なラマン利得GR は、次式により表せる。

R =Pon(λsig )−Poff (λsig ) (16)

(16)式はログ単位で表現された等式であり、以降、特に断りのない限り、ラマン利得はログ単位により表現された値であるものとして、説明を行なう。
(16)式より求まるラマン利得GR を(14)式に適用することにより、ラマン利得GR における動作時のASS光発生量Passを見積もることが可能となる。
手順4:所望の利得GR もしくは信号光強度Pon(λsig )を得るため、信号光モニタ部515において監視するすべての光強度Pall_obsが所定の強度となるように、励起光の強度を制御する。
ラマン光増幅器312の制御目標がラマン利得GR に到達することである場合、図13もしくは(14)式に示したように、ASS光発生量Passはラマン利得GR を変数とする数式により表される。そして、ラマン利得GR にてラマン増幅を受けた信号光の強度Pon(λsig )は、Pon(λsig )=Poff (λsig )+GR により表せる。したがって、所望の利得GR となるすべての光強度Pall_targetは、(1)式を変形した次式により求まる。

Pall_target=10^(Pon(λsig )/10)+ASSgain(GR
+Paccum
=10^((Poff (λsig )+GR )/10)
+ASSgain(GR )+Paccum (17)

(17)式を用いることにより、ラマン光増幅器312が所望の利得GR もしくは信号光強度Pon(λsig )に到達するように制御する場合に、信号光モニタ部515において到達すべきすべての光強度Pall_targetが求まる。励起光制御部516は、すべての光強度Pall_obsが(17)式より求まる目標光強度Pall_targetに相当するまで、励起光強度の制御を行えばよい。すべての光強度Pall_obsが目標光強度Pall_targetに達していれば、ラマン光増幅器312は、所望のラマン利得もしくは信号光強度に到達していることになる。
また、(17)式のPall_targetは信号光モニタ部515より、Paccumは上流局制御装置503より、Poff (λsig )は(15)式より、それぞれ求まることから、(17)式はGR に関する1変数の関係式として表される。したがって、(17)式を解けばラマン利得GR を求めることができる。(17)式を解くことにより求まるラマン利得GR が、ラマン光増幅器312に必要とされる利得に到達するように、励起光強度を制御してもよい。
手順4に従って励起光の強度を制御しても、所望のラマン利得もしくは信号光強度に到達しない場合がある。例えば、伝送路ファイバ302の光損失が大きい場合、あるいはラマン散乱によるラマン増幅効果の程度が小さいファイバを増幅媒体として用いる場合は、励起光源513が発する励起光強度が有限のため、十分なラマン利得もしくはラマン増幅後の強い信号光強度が得られないからである。この場合、必要とするラマン利得もしくは信号光強度から算出されたすべての光強度Pall_targetに到達することができない。
そこで、励起光の強度が上限に到達した場合に、手順4に引き続いて手順5以降の処理を行う。
手順5:ラマン光増幅器312の励起光の強度が上限に到達した時のラマン利得を求める。
励起光の強度が上限に到達した時に、信号光モニタ部515にて観測されるすべての光強度をPall(Limit)、ラマン利得をGR (Limit)とすると、(17)式は次式で置き換えられる。

Pall(Limit)=10^(Pon(λsig )/10)
+ASSgain(GR (Limit))+Paccum
=10^((Poff (λsig )+GR (Limit))/10
+ASSgain(GR (Limit))+Paccum
(18)

(18)式は、ラマン利得GR (Limit)に関する1変数の関係式として表されるため、(18)式を解けばラマン利得GR (Limit)が求まる。
手順6:励起光の強度が上限に到達した時のラマン利得もしくは信号光強度が、伝送装置がラマン光増幅器312に期待する値に達していない場合に、ラマン利得もしくは信号光強度の不足情報を下流局制御装置518に通知する。
下流局制御装置518は、ラマン光増幅器312のラマン利得もしくは信号光強度の不足情報をもとに、伝送装置の通信品質にかかわる場合は警報を発してもよい。あるいは、伝送装置の通信品質に支障を与えない場合には、ラマン利得GR (Limit)をラマン光増幅器312の利得として設定し、伝送装置が正常状態にあることを、すべての伝送装置を監視する上位制御装置に通知してもよい。
また、上記手順における計算式で用いている各係数および関数は、異なる種類の伝送路ファイバに対応して複数種類用意しておき、実際に使用する伝送路ファイバに応じて、用意した係数および関数を使い分けてもよい。
ここで、上述した制御方法において、励起光制御部516および目標光強度算出部517が行う処理の一例を、以下に説明する。
図14は、ラマン光増幅器312が所要のラマン利得GR を与えられた場合の処理のフローチャートである。
目標光強度算出部517は、下流局制御装置518より累積雑音成分Paccumと励起光損失LOSS(λpump)を受け取ると(ステップ1401)、(11)式に従って、信号光波長の伝送路損失LOSS(λsig )を算出する(ステップ1402)。次に、(15)式に従って、ラマン利得0の状態の信号光強度Poff (λsig )を算出し(ステップ1403)、所要のラマン利得GR を用いて(14)式に従い、ASS光発生量Passを算出する(ステップ1404)。そして、(17)式に従って、Paccum、Poff (λsig )、GR 、およびPassから、ラマン光増幅器312の目標光強度Pall_targetを算出する(ステップ1405)。
励起光制御部516は、信号光モニタ515より受け取ったすべての光強度Pall_obsが、目標光強度Pall_targetに到達するまで、励起光強度を加減する(ステップ1406)。そして、励起光強度を最大限に設定しても目標光強度Pall_targetに到達しない場合、ラマン利得が所要の利得GR より不足しているという情報を、下流局制御装置518に通知する。
図15は、ラマン光増幅器312が所要のPon(λsig )を与えられた場合の処理のフローチャートである。図15において、ステップ1501〜1503およびステップ1507の処理は、図14のステップ1401〜1403およびステップ1406の処理と同様である。
ステップ1503においてラマン利得0の状態の信号光強度Poff (λsig )が算出されると、目標光強度算出部517は、(16)式に従って、所要の信号光強度Pon(λsig )を得るために必要なラマン利得GR を算出する(ステップ1504)。次に、得られたラマン利得GR を用いて(14)式に従い、ASS光発生量Passを算出する(ステップ1505)。そして、(17)式に従って、Paccum、Pon(λsig )、およびPassから、ラマン光増幅器312の目標光強度Pall_targetを算出する(ステップ1506)。
励起光制御部516は、ステップ1507において励起光強度を最大限に設定しても目標光強度Pall_targetに到達しない場合、信号光強度が所要の信号光強度Poff (λsig )より不足しているという情報を、下流局制御装置518に通知する。
ここで、従来技術と本発明のASS光発生量の見積もり精度を比較してみる。例えば、上述した特許文献2によれば、ラマン増幅に必要な励起光強度と、ラマン増幅に伴い発生するASS光発生量の相関から、ASS光発生量の見積りを行っており、(13)式にて簡潔に示した励起光強度とASS光発生量の相関は、次式により説明されている。
(20)式は、ラマン光増幅器の励起光源を構成する、ある波長の励起光iの強度Ppumpi と、励起光強度Ppumpi によるラマン増幅に伴い発生するASS光発生量Passiの相関を、2次近似式により表したものである。(20)式において、励起光iの強度Ppumpiはミリワット等の線形単位で表現される値であり、ASS光発生量PassiはdBm等のログ単位で表現された値である。
(19)式は、(20)式のASS光発生量Passiに、(20)式に係わる励起光iの波長と異なる別の励起光jの強度Ppumpj により、励起光iのASS光発生量Passiがラマン増幅された場合のASS光増幅量γijpumpjを加えて、各励起光波長の要素を合計した結果を表す。ここで、γijは、励起光jの強度Ppumpj によりASS光発生量Passiがラマン増幅されるときの増幅係数を意味する。(19)式では、各励起光波長により発生するASS光発生量を10の累乗により線形単位に変換し、各要素を合計することにより、ASS光発生量Passを算出している。
(19)式および(20)式により説明されるASS光発生量の見積り方法では、ASS光発生量の見積り結果は励起光強度に依存するため、以下のような問題が発生する。
図12では、様々な光特性のファイバに対して、利得10dBのラマン増幅に必要な励起光強度を比較した結果が示されている。ここでは、伝送路ファイバの種類をDSF、ラマン光増幅器が設置される中継局の局部損失を0.5dBとしている。様々な光特性のファイバを比較するため、ロス係数は、それぞれ、0.21dB/kmから0.29dB/kmまで、0.01dB/km毎に異なる。図12は、同じファイバ種類でも、ロス係数が大きいほど、所要の利得に必要な励起光強度が増加する傾向を示している。
また、励起光強度とASS光発生量は、単調増加の関係にある。ラマン光増幅器は、的確に利得あるいは信号光強度を制御するためにASS光の発生強度を見積もる機能を備えており、従来技術では、ある光特性のファイバを基準とした励起光強度と、ラマン増幅に伴うASS光発生量の関係として、例えば、(13)式を用いて、見積もりを行っていた。
基準となるファイバの光特性として、局部損失が0.5dB、ロス係数が0.25dB/kmである場合を想定する。この場合、図12に示したように、利得10dBのラマン増幅に必要な励起光強度は、基準となるロス係数が0.25dB/kmのファイバでは309mWであるのに対し、ロス係数が0.29dB/kmのファイバでは351mWとなる。
図16は、ロス係数が0.21dB/km、0.25dB/km、および0.29dB/kmの3種類の伝送路ファイバにおいて、ラマン利得10dBおよび13dBがそれぞれ必要とされる場合の、ラマン増幅に必要な励起光強度とASS光発生量を示している。図16には、さらに、(13)式に基く従来技術と本発明の方法により見積もられたASS光発生量も示されている。
図17は、ラマン利得GR =10dBおよびラマン増幅後の信号光強度Pon(λsig )=−25dBmを必要とする場合に、励起光強度から(13)式に従ってASS光発生量Passを見積もった結果を示している。図17において、見積もり結果1701における信号光とASS光の内訳は、実際の内訳1702とは異なることが分かる。
図16および図17に示すように、従来の見積もり方法によれば、ロス係数が0.29dB/kmのファイバに必要な351mWの励起光強度では、Pass=−22.9dBmとなる。
ASE光累積雑音成分Paccum=0mWとした場合、ラマン光増幅器に接続されるファイバのロス係数が0.29dB/kmであれば、基準となるロス係数を0.25dB/kmとしてPass=−22.9dBmと見積もっているため、(17)式より、すべての光強度Pall_target=Pon(λsig )+Pass=(−25dBm)+(−22.9dBm)=−20.8dBmを目標値として、励起光強度の制御が行われる。
しかし、増幅媒体であるファイバはロス係数が大きく、実際のASS光発生量は−24.3dBmであり、−22.9dBmよりも小さい。このASS光発生量の見積もり誤差のため、信号光強度はPon(λsig )=Pall_target−Pass=(−20.8dBm)−(−24.3dBm)=−23.4dBmになるように制御され、1.6dBの信号光強度の制御誤差を伴ってしまう。多段の中継局が接続された長距離伝送システムにおいては、この制御誤差が信号−雑音特性等の品質を脅かす恐れがある。
図13では、様々な光特性のファイバに対して、所定の利得のラマン増幅に伴い発生するASS光発生量を比較した結果が示されている。ここでは、伝送路ファイバの種類をDSF、ラマン光増幅器が設置される中継局の局部損失を0.5dBとしている。様々な光特性のファイバを比較するため、ロス係数として0.21dB/km、0.25dB/km、および0.29dB/kmの3種類を用いている。
図13は、ラマン光増幅器の利得が一定の条件では、ASS光発生量が増幅媒体となる伝送路ファイバの光特性の影響を受けないことを表している。図11に示したように、利得10dBのラマン増幅に伴い発生するASS光の発生量は、基準となるロス係数が0.25dB/kmのファイバでは−24.2dBmであるのに対し、ロス係数が0.21dB/km、0.29dB/kmのファイバでは、それぞれ−24.1dBm、−24.3dBmであり、ほぼ同じである。
本発明の見積り方法では、図13に示した関係を利用してラマン利得GR からASS光発生量を見積もる。(14)式で簡潔に示したラマン利得GR とASS光発生量Passの相関は、図13に示したラマン利得GR とASS光発生量Passの特性を利用して、次式のように表される。

Pass=GR _coeff3×GR 3 +GR _coeff2×GR 2
+GR _coeff1×GR +GR _coeff0 (21)

(21)式は、ラマン利得GR とASS光発生量Passの相関を3次近似式で表現したものであり、GR _coeff0〜GR _coeff3は、ラマン利得GR の各項の係数を表す。ここで、(21)式はログ単位で表現された等式であり、ASS光発生量Passはログ単位により表現された値である。これらの係数を伝送路ファイバの種類に応じて複数組記憶しておけば、ラマン利得GR とASS光発生量Passの相関関係を、伝送路ファイバの種類に応じて選択することができる。
図16では、ラマン利得GR =10dBおよびラマン増幅後の信号光強度Pon(λsig )=−25dBmを必要とする場合に、本発明の方法によりASS光発生量Passを見積もった結果も示されている。ここでは、伝送路ファイバのロス係数は0.25dB/km、伝送路ファイバ長は75km、伝送路の光損失はLOSS(λsig )=0.25dB/km×75km=18.75dB、ASE光累積雑音成分はPaccum=0mWとした。
まず、基準となる光特性のファイバにおけるラマン利得GR とASS光発生量Passの関係を表す(21)式をあらかじめ用意しておく。この(21)式を用いることにより、所要の利得GR =10dBのラマン増幅に伴うASS光発生量は、Pass=−24.2dBmと見積もることができる。
次に、線形単位の等式である(17)式に従って、すべての光強度Pall_target=10^(Pon(λsig )/10)+Pass=10^((−25dBm)/10)+10^((−24.2dBm)/10)=−21.6dBmを目標値として、励起光強度の制御を行う。
伝送路ファイバの光特性が変化してロス係数が大きくなり、例えば、0.29dB/kmとなった場合、伝送路の光損失はLOSS(λsig )=0.29dB/km×75km=21.75dBに変化する。この場合、ラマン増幅後の信号光強度としてPon(λsig )=−25dBmが必要なので、所要のラマン利得はGR =13dBとなる。ここで、(21)式のGR として13dBを用いれば、Pass=−21.5dBmを見積もることができる。
そして、前述と同様に(17)式より、すべての光強度Pall_target=10^(Pon(λsig )/10)+Pass=10^((−25dBm)/10)+10^((−21.5dBm)/10)=−19.9dBmを目標値として、励起光強度の制御を行う。
0.25dB/kmから0.29dB/kmへのロス係数の変化に伴い、実際のASS光発生量が−21.6dBmとなっても、本発明の方法によればPass=−21.5dBmと見積もることができるため、見積り誤差は非常に小さくなる。その結果、ロス係数が変化しても、信号光強度はPon(λsig )=Pall_target−Pass=10^((−19.9dBm)/10)−10^((−21.6dBm)/10)=−24.8dBmに制御され、従来の見積り方法に比べて、格段に信号光強度の制御誤差が向上する。これにより、信号光強度を正確に制御することが可能となり、光伝送システムの信号−雑音特性等の品質を向上させることができる。
以上に説明した通り、本発明の見積もり方法によれば、様々な光特性のファイバに対してラマン利得一定の条件ではASS光発生量に差が生じないことを利用して、高い精度でASS光発生量を見積もることができる。その結果、ラマン利得もしくはラマン増幅後の信号光強度を的確に制御することが可能となる。さらに、常時、伝送路ファイバの信号光損失からラマン利得を監視することにより、経時変化および環境条件の変化に伴う光ファイバの特性変化に対して、適切に、ラマン利得に基くASS光発生量の見積もりを行うことができる。
次に、図5より簡単な構成によりASS光発生量を見積もる方法について説明する。この方法では、伝送路ファイバの光特性を常時監視する機能は持たないが、所要のラマン利得または信号光強度から、ASS光の発生強度をより簡単な構成にて精度よく見積もることにより、ラマン利得または信号光強度を的確に制御する。
図18は、このような上流中継局301と下流中継局303の伝送装置の構成を示している。下流中継局303の構成は図5と同様であり、上流中継局301は、図5の構成から励起光抽出部501および励起光モニタ部502を除いた構成を有する。下流中継局303に設置されたラマン光増幅器312の各部と、上流中継局301のEDFA311内の出力光モニタ部の動作は、図5の場合と基本的に同様である。
上流局制御装置503は、出力光モニタ部で監視された出力信号光の強度を受け取り、下流局制御装置518に出力信号光強度とASE光累積雑音成分の情報を送信する。
下流局制御装置518は、上流局制御装置503から受信した情報をもとに、伝送路ファイバ302の状態等の、隣接する局間の運用状況を監視し、ラマン光増幅器312を制御する。下流局制御装置518は、ラマン光増幅器312を含む下流中継局303に設置された伝送装置の構成部品のすべてもしくは一部を制御することも可能である。あるいは、下流局制御装置518をラマン光増幅器312内に設けて、ラマン光増幅器312のみを制御するようにしてもよい。
ラマン光増幅器312内の信号光モニタ部515に到達する光強度Pall_obsには、ラマン増幅された信号光Pon(λsig )と、ASS光発生量Passと、ASE光等の累積雑音成分Paccumとが混在しており、(12)式により表される。ASS光発生量Passは、目標光強度算出部517により算出される。累積雑音成分Paccumとしては、送信端局から上流中継局301までに累積された累積雑音成分が、上流局制御装置503より通知される。
長距離伝送システムに利用されるラマン光増幅器には、伝送装置の信号−雑音光特性が最適となるよう、信号光強度を的確にラマン増幅する機能が求められる。図18の構成では、以下の手順により、ラマン利得GR を用いてASS光発生量Passを精度よく見積もり、ラマン増幅後の信号光強度Pon(λsig )が所定の強度となるように、励起光源513から出射される励起光の強度を制御する。
手順1:上述した監視方法における手順1と同様に、ラマン光増幅器312の励起光無出力時に、伝送路ファイバ302における信号光の損失LOSS(λsig )を、(4)式に従って測定する。信号光損失の測定は、例えば、ラマン光増幅器312を設置する際の伝送装置のセットアップ時に行えばよい。
手順2:信号光が伝送路ファイバ302を通過している状態で、ラマン光増幅器312の励起光源513より励起光を伝送路ファイバ302に入射し、信号光強度、もしくは、ASS光発生量と累積雑音成分を含むすべての光強度が所定値に到達するように、励起光強度を制御する。
手順3:ラマン光増幅器312の利得が一定の条件下では、ASS光発生量は、増幅媒体となる伝送路ファイバの光特性にかかわらず、ほぼ同じ強度となる。この特性を利用して、上述した制御方法における手順3と同様に、ラマン利得GR に関する近似式から、ASS光発生量Passをより精度よく見積もる。
ラマン利得GR に関するASS光発生量Passの関数として、(14)式を用いる。(14)式に従えば、ラマン光増幅器312をラマン利得GR にて制御する場合に、ラマン効果に伴い発生するASS光発生量Passを精度よく見積もることができる。
また、ラマン増幅後の信号光強度がPon(λsig )に到達するようにラマン光増幅器312を制御する場合は、(15)式と(16)式よりASS光発生量の見積もりに必要なラマン利得GR を求める。
手順1で求めた信号光の伝送路損失LOSS(λsig )と、出力光モニタ部において監視された出力信号光強度Pout (λsig )から、(15)式を用いることにより、ラマン増幅が行われない場合、すなわちラマン光増幅器312より励起光が伝送路ファイバ302に出射されない場合の、信号光強度Poff (λsig )が求まる。
ラマン増幅後の信号光強度がPon(λsig )の場合、必要なラマン利得GR は(16)式により求められる。得られたラマン利得GR を(14)式に適用することにより、ラマン利得がGR のときのASS光発生量Passが得られる。
手順4:所望の利得GR もしくは信号光強度Pon(λsig )を得るため、信号光モニタ部515において監視するすべての光強度Pall_obsが所定の強度となるように、励起光の強度を制御する。
ラマン光増幅器312の制御目標がラマン利得GR に到達することである場合、図13もしくは(14)式に示したように、ASS光発生量Passはラマン利得GR を変数とする数式により表される。そして、ラマン利得GR にてラマン増幅を受けた信号光の強度Pon(λsig )は、Pon(λsig )=Poff (λsig )×GR により表せる。したがって、所望の利得GR となるすべての光強度Pall_targetは、(17)式により求まる。
すべての光強度Pall_obsが、(17)式により求まる所望の光強度に達していれば、ラマン光増幅器312は、所望のラマン利得もしくは信号光強度に到達していることになる。
また、(17)式のPall_targetは信号光モニタ部515より、Paccumは上流局制御装置503より、Poff (λsig )は(15)式より、それぞれ求まることから、(17)式はGR に関する1変数の関係式として表される。したがって、(17)式を解けばラマン利得GR を求めることができる。(17)式を解くことにより求まるラマン利得GR が、ラマン光増幅器312に必要とされる利得に到達するように、励起光強度を制御してもよい。
手順4に従って励起光の強度を制御しても、所望のラマン利得もしくは信号光強度に到達しない場合は、手順4に引き続いて、上述した監視方法における手順5以降の処理を行う。
以上説明したように、本発明によれば、以下のような効果が得られる。
(1)ラマン光増幅器が伝送路ファイバに供給する励起光の強度と、励起光が伝送路ファイバを通過した後の残留励起光強度と、伝送路ファイバの光損失の波長特性とに基いて、信号光波長における伝送路ファイバの光損失を監視することにより、伝送路ファイバにおける光特性の変化を監視できるとともに、伝送路ファイバにおける断線や過剰損失等の異常を検出できる。
(2)同じ種類の光ファイバでは、同じ利得にてラマン増幅する場合、様々な光特性の光ファイバに対して、ラマン増幅に伴いほぼ同じ強度のASS光が発生する。この性質を利用して、伝送路ファイバの種類に応じて、ASS光発生強度をラマン利得の関数として見積もることにより、精度の高いASS光発生強度の見積もりを行うことができる。
(3)信号光波長における伝送路ファイバの光損失を監視しながら、ASS光発生強度の見積もり結果から求められるすべての光強度を制御目標として励起光強度を制御することにより、ラマン光増幅器の運用中に伝送路ファイバの光特性が変化しても、所望のラマン利得もしくはラマン増幅後の信号光強度を的確に得ることができる。

Claims (5)

  1. 上流局からの通信情報を含む信号光を伝送路ファイバを利用して増幅し、増幅された信号光を受信するラマン光増幅器であって、
    前記上流局に向けて前記伝送路ファイバに励起光を供給する励起光源と、
    受信した信号光の強度を測定する信号光モニタ部と、
    ラマン利得とラマン増幅に伴って発生する自然散乱光の強度の相関関係を用いて、必要とされるラマン利得から対応する自然散乱光強度を計算し、得られた自然散乱光強度と前記増幅された信号光の計算された強度又は与えられた強度とから、目標光強度を計算する目標計算部と、
    前記信号光モニタ部により測定された光強度が前記目標光強度に相当するように、前記励起光源から出力される励起光の強度を制御する励起光制御部と
    を備えることを特徴とするラマン光増幅器。
  2. 前記励起光源から前記伝送路ファイバに供給される励起光の強度を測定する励起光モニタ部をさらに備え、前記目標計算部は、前記伝送路ファイバに励起光が供給されていない状態で、前記上流局から該伝送路ファイバに出力される信号光の強度を該上流局から受信し、受信した出力信号光強度と前記信号光モニタ部により測定された信号光強度から、励起光無出力時の該伝送路ファイバの信号光波長における光損失を計算し、該伝送路ファイバに励起光が供給されている状態で、該伝送路ファイバを通過して該上流局に到達した残留励起光の強度と出力信号光強度の情報を該上流局から受信し、受信した残留励起光強度と前記励起光モニタ部により測定された励起光強度と該励起光無出力時の光損失から、励起光出力時の該伝送路ファイバの信号光波長における光損失を計算し、受信した出力信号光強度と該励起光出力時の光損失と前記必要とされるラマン利得から、前記増幅された信号光の強度を計算することを特徴とする請求項1記載のラマン光増幅器。
  3. 前記励起光源から前記伝送路ファイバに供給される励起光の強度を測定する励起光モニタ部をさらに備え、前記目標計算部は、前記伝送路ファイバに励起光が供給されていない状態で、前記上流局から該伝送路ファイバに出力される信号光の強度を該上流局から受信し、受信した出力信号光強度と前記信号光モニタ部により測定された信号光強度から、励起光無出力時の該伝送路ファイバの信号光波長における光損失を計算し、該伝送路ファイバに励起光が供給されている状態で、該伝送路ファイバを通過して該上流局に到達した残留励起光の強度と出力信号光強度の情報を該上流局から受信し、受信した残留励起光強度と前記励起光モニタ部により測定された励起光強度と該励起光無出力時の光損失から、励起光出力時の該伝送路ファイバの信号光波長における光損失を計算し、受信した出力信号光強度と該励起光出力時の光損失とラマン増幅後に必要とされる信号光強度から、前記必要とされるラマン利得を計算し、得られたラマン利得から前記自然散乱光の強度を計算し、該ラマン増幅後に必要とされる信号光強度を前記増幅された信号光の与えられた強度として用いて、前記目標光強度を計算することを特徴とする請求項1記載のラマン光増幅器。
  4. 前記励起光源から前記伝送路ファイバに供給される励起光の強度を測定する励起光モニタ部をさらに備え、前記目標計算部は、前記伝送路ファイバに励起光が供給されていない状態で、前記上流局から該伝送路ファイバに出力される信号光の強度を該上流局から受信し、受信した出力信号光強度と前記信号光モニタ部により測定された信号光強度から、励起光無出力時の該伝送路ファイバの信号光波長における光損失を計算し、該伝送路ファイバに励起光が供給されている状態で、出力信号光強度の情報を該上流局から受信し、受信した出力信号光強度と該励起光無出力時の光損失と前記必要とされるラマン利得から、前記増幅された信号光の強度を計算することを特徴とする請求項1記載のラマン光増幅器。
  5. 前記励起光源から前記伝送路ファイバに供給される励起光の強度を測定する励起光モニタ部をさらに備え、前記目標計算部は、前記伝送路ファイバに励起光が供給されていない状態で、前記上流局から該伝送路ファイバに出力される信号光の強度を該上流局から受信し、受信した出力信号光強度と前記信号光モニタ部により測定された信号光強度から、励起光無出力時の該伝送路ファイバの信号光波長における光損失を計算し、該伝送路ファイバに励起光が供給されている状態で、出力信号光強度の情報を該上流局から受信し、受信した出力信号光強度と該励起光出力時の光損失とラマン増幅後に必要とされる信号光強度から、前記必要とされるラマン利得を計算し、得られたラマン利得から前記自然散乱光の強度を計算し、該ラマン増幅後に必要とされる信号光強度を前記増幅された信号光の与えられた強度として用いて、前記目標光強度を計算することを特徴とする請求項1記載のラマン光増幅器。
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