JP4806127B2 - 薄膜形成方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、薄膜形成方法に関し、特に被処理体に均一な膜厚の薄膜を形成する薄膜形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体装置の製造工程においては、例えば熱処理によって、被処理体に薄膜を形成することが行われている。被処理体、例えば半導体ウエハ、にシリコン酸化膜を形成する工程では、例えば、図5に示すような熱処理装置51を用いて、以下のようにシリコン酸化膜が形成される。
【0003】
まず、熱処理装置51の反応管52内に、ウエハボート53に収容された複数枚の半導体ウエハ54をロード(搬入)する。このとき、半導体ウエハ54の表面にはシリコン膜が予め形成されている。次に、排気ポート55から反応管52内のガスを排出し、反応管52内を所定の圧力に減圧する。反応管52内が所定の圧力に減圧されると、ヒータ56により反応管52を加熱して所定の温度に昇温し、ガス供給管57から反応管52内に熱処理用ガスとしての酸素ガスを供給する。そして、半導体ウエハ54の表面に酸素ガスが供給され、半導体ウエハ54上にシリコン酸化膜が形成される。
【0004】
このようなシリコン酸化膜の形成では、ヒータ56により反応管52を所定の温度に昇温させる昇温工程で、半導体ウエハ54の表面に所定厚のシリコン酸化膜(以下、初期酸化膜という)が形成されていないと、昇温工程中に半導体ウエハ54の表面が荒れてしまい、形成されるシリコン酸化膜の膜質が悪くなるおそれがある。このため、シリコン酸化膜の形成では、昇温工程中に、ガス供給管57から酸素ガスを含む所定量の処理ガスを反応管52に供給し、半導体ウエハ54に初期酸化膜を形成している。そして、その後、ガス供給管57から処理ガスとほぼ同量の酸素ガスを反応管52に供給して、半導体ウエハ54にシリコン酸化膜を形成している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、昇温工程中では、加熱された半導体ウエハ54の表面の温度は、半導体ウエハ54の周囲にヒータ56が配置されているため、その中央部が低く、エッジ部(周縁部)が高くなりやすい。初期酸化膜は温度が高い箇所での酸化レートが高くなるため、その中央部が薄く、エッジ部が厚くなりやすくなり、均一な膜厚に形成することが困難となる。そして、この初期酸化膜上に、熱処理工程でのシリコン酸化膜が形成されることから、その膜厚の差を相殺することはできず、半導体ウエハ54に均一な膜厚のシリコン酸化膜を形成することは困難であった。
【0006】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、被処理体に均一な膜厚の薄膜を形成することができる薄膜形成方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の第1の観点に係る薄膜形成方法は、
反応室内に被処理体を複数枚収容可能なバッチ式縦型熱処理装置を用いて被処理体に薄膜を形成する薄膜形成方法であって、
前記被処理体を前記反応室内に収容し、該反応室内を所定の圧力に減圧する減圧工程と、
前記被処理体を所定の温度に昇温する昇温工程と、
前記反応室内に熱処理用ガスを供給して、前記被処理体に薄膜を形成する熱処理工程とを備え、
前記昇温工程中に、前記被処理体の周縁部を冷却可能な流量で、前記反応室内に前記熱処理用ガスを含む処理ガスを供給するとともに、前記被処理体を回転させ、
前記昇温工程中に、前記反応室内に前記処理ガスを、少なくとも5リットル/min供給する、ことを特徴とする。
【0010】
本発明の第2の観点に係る薄膜形成方法は、
反応室内に被処理体を複数枚収容可能なバッチ式縦型熱処理装置を用いて被処理体に薄膜を形成する薄膜形成方法であって、
前記被処理体を前記反応室内に収容し、該反応室内を所定の圧力に減圧する減圧工程と、
前記被処理体を所定の温度に昇温する昇温工程と、
前記反応室内に熱処理用ガスを供給して、前記被処理体に薄膜を形成する熱処理工程とを備え、
前記昇温工程中に、前記被処理体の周縁部を冷却可能な流量で、前記反応室内に前記熱処理用ガスを含む処理ガスを供給するとともに、前記被処理体を回転させ、
前記処理ガスに、前記熱処理用ガスを、その分圧が少なくとも10Paとなるように含ませる、ことを特徴とする。
【0012】
前記反応室は、例えば、前記被処理体を複数枚収容可能な被処理体収容部を備えている。そして、前記処理ガスを前記反応室に供給するとともに、前記被処理体が収容された前記被処理体収容部を回転させることにより、昇温工程で複数枚の被処理体が均一な温度に昇温されやすくなる。
【0015】
前記熱処理用ガスとしては、例えば、酸素ガス、前記処理ガスとしては、例えば、酸素ガスと窒素ガスとの混合ガスを用いることができる。この場合、前記被処理体には酸化膜が形成される。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態にかかる薄膜形成方法及び薄膜形成装置を、図1に示すバッチ式縦型熱処理装置を用いて、半導体ウエハ(被処理体)上にシリコン酸化膜を形成する場合を例に説明する。
【0023】
図1に示すように、熱処理装置1は、長手方向が垂直方向に向けられた有天井の円筒状に形成された反応管2を備えている。反応管2は、耐熱材料、例えば石英により形成されている。
【0024】
反応管2の下方には、筒状に形成されたステンレス鋼(SUS)からなるマニホールド3が配置されている。マニホールド3は、反応管2の下端と気密となるように接続されている。
【0025】
マニホールド3の下方には蓋体4が配置されている。蓋体4には回転軸5が挿通され、回転軸5がボートエレベータ6の昇降部7に接続されている。このため、ボートエレベータ6により蓋体4は上下動可能に構成されている。そして、ボートエレベータ6により蓋体4が上昇すると、マニホールド3の下方側が閉鎖される。
【0026】
また、回転軸5上には回転テーブル8が配置され、回転テーブル8に、例えば石英からなるウエハボート9が載置されている。ウエハボート9には、被処理体、例えば半導体ウエハ10が垂直方向に所定の間隔をおいて複数枚収容されている。このウエハボート9に収容された半導体ウエハ10は、ウエハボート9が反応管2内に挿入されることにより反応管2の内部に配置される。また、回転軸5を介して回転テーブル8を回転させることにより、ウエハボート9(半導体ウエハ10)が回転される。
【0027】
反応管2の周囲には、反応管2を取り囲むように、例えば抵抗発熱体からなる昇温用ヒータ11が設けられている。そして、昇温用ヒータ11を駆動することにより、反応管2内が所定の温度に設定される。ここで、昇温用ヒータ11は半導体ウエハ10の周囲に配置されることとなり、半導体ウエハ10はその周縁部から昇温用ヒータ11により加熱されることとなる。
【0028】
マニホールド3の側面には、ガス導入管12が挿通されている。ガス導入管12は、反応管2内で上方に曲折りされ、反応管2の天井付近まで延伸されている。そして、ガス導入管12の先端部12aが反応管2の下方に向くように屈曲形成されている。
【0029】
また、ガス導入管12には、第1ガス導入管13と第2ガス導入管14とが接続されている。そして、第1ガス導入管13から、例えば、酸素ガス(O2)のような熱処理用ガスがガス導入管12を介して反応管2内に導入される。また、第2ガス導入管14から、例えば、窒素ガス(N2)のような希釈用ガスがガス導入管12を介して反応管2内に導入される。なお、本実施の形態では、熱処理用ガスと希釈用ガスにより処理ガスが構成されている。
【0030】
マニホールド3の側面には、排気口15が設けられている。排気口15は、ガス導入管12と対向する位置に設けられ、反応管2内のガスを排気する。
【0031】
排気口15には、排気管16が気密に接続されている。排気管16には、その上流側から、バルブ17と、真空ポンプ18とが介設されている。バルブ17は、排気管16の開度を調整して、反応管2内及び排気管16内の圧力を所定の圧力に制御する。真空ポンプ18は、排気管16を介して反応管2内のガスを排気して減圧状態とする。
【0032】
回転軸5、ボートエレベータ6、昇温用ヒータ11、第1ガス導入管13、第2ガス導入管14、バルブ17、真空ポンプ18には、制御部19が接続されている。制御部19は、マイクロプロセッサ、プロセスコントローラ等から構成され、熱処理装置1の各部の温度、圧力等を測定し、測定データに基づいて、上記各部に制御信号等を出力して、熱処理装置1の各部を制御する。
【0033】
次に、以上のように構成された熱処理装置1を用い、半導体ウエハ10にシリコン酸化膜を形成する薄膜形成方法について、図2に示すレシピ(タイムシーケンス)を参照して説明する。なお、以下の説明において、熱処理装置1を構成する各部の動作は、制御部19によりコントロールされている。
【0034】
まず、蓋体4が下げられた状態で、半導体ウエハ10が収容されたウエハボート9を回転テーブル8(蓋体4)上に載置する。ここで、半導体ウエハ10の表面にはシリコン膜が予め形成されている。また、反応管2内は、昇温用ヒータ11により所定のローディング温度、例えば、300℃に維持されている。
【0035】
次に、ボートエレベータ6により蓋体4を上昇させ、ウエハボート9(半導体ウエハ10)を反応管2内にロードする(ロード工程)。これにより、半導体ウエハ10を反応管2内に収容するとともに、反応管2を密閉する。また、第1ガス導入管13から所定量、例えば、0.2リットル/minの酸素ガスを、第2ガス導入管14から所定量、例えば、19.8リットル/minの窒素ガスをガス導入管12に供給する。ガス導入管12に供給された酸素ガス及び窒素ガスは、反応管2の天井付近まで延びた先端部12aから反応管2内に供給される。これにより、反応管2のガスを排気口15、排気管16を介して熱処理装置1外に排気する。
【0036】
続いて、第1ガス導入管13から所定量、例えば、0.1リットル/minの酸素ガスを、第2ガス導入管14から所定量、例えば、9.9リットル/minの窒素ガスをガス導入管12を介して反応管2内に供給し、反応管2内を安定化させる(安定化工程)。
【0037】
次に、バルブ17の開度を制御しつつ、真空ポンプ18を駆動させて、反応管2を所定の圧力、例えば、26.6Pa〜665Pa(0.2Torr〜5Torr)に減圧する。また、第1ガス導入管13からの酸素ガスの供給を停止するとともに、第2ガス導入管14から所定量、例えば、5リットル/minの窒素ガスをガス導入管12を介して反応管2内に供給して反応管2内をパージする(第1パージ工程)。なお、反応管2内のパージを確実にするために、反応管2内のガスの排出及び窒素ガスの供給を複数回繰り返すことが好ましい。
【0038】
反応管2内がパージされると、昇温用ヒータ11により反応管2を所定の温度、例えば、800℃に昇温する(昇温工程)。また、バルブ17の開度を制御しつつ、真空ポンプ18を駆動させて、反応管2を所定の圧力、例えば、1010Pa(7.6Torr)に維持する。
【0039】
さらに、回転軸5を回転させることにより回転テーブル8を回転させ、ウエハボート9内に収容された半導体ウエハ10を回転させる。また、ガス導入管12から熱処理用ガスを含む処理ガスを半導体ウエハ10の周縁部を冷却可能な流量で反応管2内に供給して、半導体ウエハ10に初期酸化膜を形成する。具体的には、反応管2内に、第1ガス導入管13から所定量、例えば、0.07リットル/minの酸素ガスを、第2ガス導入管14から所定量、例えば、7リットル/minの窒素ガスを、ガス導入管12を介して反応管2内に供給して、ウエハボート9に収容された半導体ウエハ10に初期酸化膜を形成する。
【0040】
ところで、昇温用ヒータ11により反応管2を加熱することによりウエハボート9内に収容された半導体ウエハ10が加熱されるが、昇温用ヒータ11はウエハボート9を取り囲むように配置されているので、加熱された半導体ウエハ10の表面の温度は、その中央部が低く、周縁部が高くなる。ここで、昇温工程中に、半導体ウエハ10の周縁部を冷却可能な流量で処理ガスが供給されているので、半導体ウエハ10の周縁部が冷却されて、半導体ウエハ10の表面の温度が均一になる。このため、半導体ウエハ10に均一な厚さの初期酸化膜が形成される。半導体ウエハ10の周縁部を冷却可能な処理ガスの流量は、反応管2の温度、圧力等によって異なるが、5リットル/min以上であることが好ましい。ただし、処理ガスの流量が増えすぎると反応管2内の圧力が1010Pa(7.6Torr)に維持できなくなってしまうことから、反応管2内の圧力を維持可能な範囲の流量であることが必要である。
【0041】
さらに、昇温工程中に、回転軸5を回転させ、半導体ウエハ10を回転しているので、ガス導入管12の先端部12aから供給された処理ガスにより、半導体ウエハ10の周縁部が均一に冷却される。このため、半導体ウエハ10の表面の温度がさらに均一になり、半導体ウエハ10にさらに均一な厚さの初期酸化膜が形成される。
【0042】
また、昇温工程で形成する初期酸化膜はできるだけ薄いことが好ましいことから、処理ガス中に含まれる酸素ガスの流量は、酸化膜が形成される範囲で、できる限り少なくすることが好ましい。ただし、処理ガス中に含まれる酸素ガスの分圧が10Paより低くなると、昇温工程で形成される薄膜が所定の膜質を有しないおそれが生じることから、処理ガス中に含まれる酸素ガスの分圧は10Pa以上であることが好ましい。
【0043】
反応管2の温度が800℃に到達すると、第2ガス導入管14からの窒素ガスの供給を停止するとともに、第1ガス導入管13から、昇温工程での処理ガスの供給量(7.07リットル/min)の1/10〜1/100の所定量、例えば、0.5リットル/minの酸素ガスを、ガス導入管12を介して反応管2内に供給し、半導体ウエハ10にシリコン酸化膜を形成する(熱処理工程)。
【0044】
ここで、第1ガス導入管13からの酸素ガスを、昇温工程での処理ガスの流量の1/10〜1/100の範囲内の流量で反応管2内に供給しているので、ゆっくりと半導体ウエハ10にシリコン酸化膜が形成される。このため、半導体ウエハ10に均一な膜厚のシリコン酸化膜が形成される。また、半導体ウエハ10の初期酸化膜の膜厚が均一な膜厚でない場合にも、その膜厚の差を相殺することができ、半導体ウエハ10に均一な膜厚のシリコン酸化膜を形成することができる。ただし、第1ガス導入管13からの酸素ガスの供給量は、熱処理工程において、半導体ウエハ10にシリコン酸化膜が形成可能な流量であることが必要である。
【0045】
半導体ウエハ10に所定厚のシリコン酸化膜が形成されると、バルブ17の開度を制御しつつ、真空ポンプ18を駆動させて、反応管2を所定の圧力、例えば、26.6Pa〜665Pa(0.2Torr〜5Torr)に減圧する。また、第1ガス導入管13からの酸素ガスの供給を停止するとともに、第2ガス導入管14から所定量、例えば、5リットル/minの窒素ガスをガス導入管12を介して反応管2内に供給して反応管2内をパージする(第2パージ工程)。なお、反応管2内のパージを確実にするために、反応管2内のガスの排出及び窒素ガスの供給を複数回繰り返すことが好ましい。
【0046】
反応管2内がパージされると、昇温用ヒータ11を制御して反応管2を所定のアンローディング温度、例えば、300℃に降温する(降温工程)。また、バルブ17の開度を制御しつつ、真空ポンプ18を駆動させて、反応管2を所定の圧力、例えば、665Pa(5Torr)に維持する。
【0047】
反応管2内が300℃に降温されると、第2ガス導入管14から所定量、例えば、10リットル/minの窒素ガスをガス導入管12を介して反応管2内に供給して反応管2を常圧に戻し、ウエハボート9(半導体ウエハ10)を反応管2からアンロードする(アンロード工程)。
【0048】
次に、本実施の形態の効果を確認するため、昇温工程での処理ガス(窒素ガス及び酸素ガス)の供給量、熱処理工程での酸素ガスの供給量を変え、半導体ウエハ10にシリコン酸化膜を形成した。図3及び図4に、シリコン酸化膜の形成条件と、この形成条件でのシリコン酸化膜の膜厚の均一性とを示す。なお、熱処理工程での反応管2の温度は800℃、圧力は1010Pa(7.6Torr)であり、昇温工程では100℃/minで昇温し、半導体ウエハ10を回転させた。
【0049】
図3及び図4に示すように、昇温工程での窒素ガスの供給量が5リットル/min、酸素ガスの供給量が0.05リットル/minの場合の、熱処理工程での酸素ガスの供給量が5リットル/min(実施例1)、0.5リットル/min(実施例2)と、昇温工程での窒素ガスの供給量が7リットル/min、酸素ガスの供給量が0.07リットル/minの場合、熱処理工程での酸素ガスの供給量が5リットル/min(実施例3)、0.5リットル/min(実施例4)について、半導体ウエハ10にシリコン酸化膜を形成し、その膜厚を測定し、均一性を求めた。なお、昇温工程での酸素ガスの供給量は、処理ガス中の酸素ガスの分圧が10Paとなる量とした。
【0050】
各実施例は、ウエハボート5の上部(TOP)、中央部(CTR)、下部(BTM)の3枚について、それぞれ9カ所の膜厚を測定し、その均一性を求めた。図4(a)では各実施例での膜厚の均一性を3本の棒グラフで示しており、左側から上部、中央部、下部での半導体ウエハに形成されたシリコン酸化膜の膜厚の均一性を示している。また、参考のため、昇温工程での処理ガスの流量が5リットル/min未満(4リットル/min)の場合(比較例1)についても同様の測定を行い、この結果も図3及び図4に示す。
【0051】
図4の実施例1、実施例3、比較例1に示すように、昇温工程での処理ガスの供給量を増加させることにより、半導体ウエハ10に形成されたシリコン酸化膜の膜厚の均一性を向上できることが確認できた。特に、昇温工程での処理ガスの供給量が5リットル/min以上になると、シリコン酸化膜の膜厚の均一性が大きく向上することが確認できた。これは、昇温工程での処理ガスの供給量を5リットル/min以上に増加させることにより、昇温工程中に半導体ウエハ10の周縁部が冷却されて、昇温工程で半導体ウエハ10の表面の温度が均一になる。このため、半導体ウエハ10に形成される初期酸化膜の膜厚が均一になる。この結果、半導体ウエハ10に形成されるシリコン酸化膜の膜厚を均一にすることができる。
【0052】
また、図4の実施例1と実施例2、実施例3と実施例4に示すように、熱処理工程での酸素ガスの供給量を減少させることにより、半導体ウエハ10に形成されたシリコン酸化膜の膜厚の均一性をさらに向上できることが確認できた。これは、半導体ウエハ10にゆっくりとシリコン酸化膜が形成され、半導体ウエハ10の初期酸化膜の微量な膜厚の差を相殺することができるためである。従って、半導体ウエハ10に形成されるシリコン酸化膜の膜厚をさらに均一にすることができる。
【0053】
以上説明したように、本実施の形態によれば、昇温工程中に、処理ガスを半導体ウエハ10の周縁部を冷却可能な流量で反応管2内に供給しているので、半導体ウエハ10の周縁部が冷却され、半導体ウエハ10の表面の温度が均一になる。このため、半導体ウエハ10に均一な厚さの初期酸化膜が形成される。この結果、半導体ウエハ10に形成されるシリコン酸化膜の膜厚を均一にすることができる。
【0054】
本実施の形態によれば、昇温工程中に半導体ウエハ10を回転しているので、半導体ウエハ10の周縁部が均一に冷却される。このため、半導体ウエハ10の表面の温度がさらに均一になり、半導体ウエハ10にさらに均一な厚さの初期酸化膜が形成される。この結果、半導体ウエハ10に形成されるシリコン酸化膜の膜厚をさらに均一にすることができる。
【0055】
本実施の形態によれば、熱処理工程中に酸素ガスを、昇温工程中の処理ガスの流量の1/10〜1/100の範囲内の流量で反応管2内に供給しているので、半導体ウエハ10に形成されるシリコン酸化膜の膜厚をさらに均一にすることができる。
【0056】
なお、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、種々の変形、応用が可能である。以下、本発明に適用可能な上記の実施の形態の変形態様について、説明する。
【0057】
上記実施の形態では、処理ガスに窒素ガスと酸素ガスを用いた場合を例に説明したが、本発明はこのようなドライ酸化プロセスに限定されるものではなく、例えば、処理ガスに水蒸気を用いたウエット酸化プロセス適用することも可能である。この場合にも、昇温工程中に半導体ウエハ10の周縁部を冷却可能な流量で反応管2内に水蒸気を供給することにより、半導体ウエハ10に形成されるシリコン酸化膜の膜厚を均一にすることができる。また、熱処理工程中に、昇温工程中の供給量の1/10〜1/100の範囲内の水蒸気を供給することにより、半導体ウエハ10に形成されるシリコン酸化膜の膜厚を均一にすることができる。
【0058】
上記実施の形態では、昇温工程中に半導体ウエハ10を回転させた場合を例に説明したが、昇温工程中に半導体ウエハ10を回転させなくてもよい。この場合にも、半導体ウエハ10の周縁部を冷却することができ、半導体ウエハ10に形成されるシリコン酸化膜の膜厚を均一にすることができる。
【0059】
上記実施の形態では、昇温工程中に処理ガスを半導体ウエハ10の周縁部を冷却可能な流量で反応管2内に供給し、さらに、熱処理工程中に、昇温工程中の処理ガスの流量の1/10〜1/100の範囲内の流量の熱処理用ガスを供給した場合を例に説明したが、昇温工程中に処理ガスを半導体ウエハ10の周縁部を冷却可能な流量で反応管2内に供給していればよく、熱処理工程中の熱処理用ガスの流量が昇温工程中の処理ガスの流量の1/10〜1/100の範囲内でなくてもよい。また、半導体ウエハ10に形成されるシリコン酸化膜の膜厚の均一性の許容値が大きい場合には、熱処理工程中に、昇温工程中の処理ガスの流量の1/10〜1/100の範囲内の流量の熱処理用ガスを供給していればよく、昇温工程中の処理ガスの流量が半導体ウエハ10の周縁部を冷却可能な流量でなくともよい。
【0060】
上記実施の形態では、ガス導入管12が反応管2の天井付近まで延伸されている場合を例に説明したが、ガス導入管12の長さは任意であり、本実施例より長くても短くてもよい。また、ガス導入管12は多孔式(分散式)のノズルであってもよい。さらに、ガス導入管12の数は一つに限らず、例えば、窒素ガスを導入するガス導入管と、酸素ガスを導入するガス導入管とを設けるように、複数であってもよい。また、ガス導入管12に加熱器を配設し、予め所定の温度に加熱されたガスを反応管2内に供給してもよい。
【0061】
上記実施の形態では、反応管2が単管構造に形成されている場合を例に説明したが、例えば、反応管2は内管と外管とからなる二重管構造に形成されていてもよい。
【0062】
上記実施の形態では、半導体ウエハ10にシリコン酸化膜を形成する場合を例に説明したが、昇温処理により被処理体に薄膜を形成させるものであればよく、被処理体に形成される薄膜は酸化膜に限定されるものではない。また、被処理体は半導体ウエハ10に限らず、例えばガラス基板であってもよい。
【0063】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、被処理体に均一な膜厚の薄膜を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の熱処理装置の概略図である。
【図2】本発明の実施の形態のシリコン酸化膜の形成手順を説明するためのレシピを示した図である。
【図3】本発明の実施の形態のシリコン酸化膜の形成条件及び膜厚の均一性を示した表である。
【図4】(a)はシリコン酸化膜の膜厚の均一性を示したグラフであり、(b)はその形成条件を示した表である。
【図5】従来の熱処理装置の概略図である。
【符号の説明】
1 熱処理装置
2 反応管
3 マニホールド
4 蓋体
5 回転軸
8 回転テーブル
9 ウエハボート
10 半導体ウエハ
11 昇温用ヒータ
12 ガス導入管
13 第1ガス導入管
14 第2ガス導入管
16 排気管
17 バルブ
18 真空ポンプ
19 制御部
Claims (4)
- 反応室内に被処理体を複数枚収容可能なバッチ式縦型熱処理装置を用いて被処理体に薄膜を形成する薄膜形成方法であって、
前記被処理体を前記反応室内に収容し、該反応室内を所定の圧力に減圧する減圧工程と、
前記被処理体を所定の温度に昇温する昇温工程と、
前記反応室内に熱処理用ガスを供給して、前記被処理体に薄膜を形成する熱処理工程とを備え、
前記昇温工程中に、前記被処理体の周縁部を冷却可能な流量で、前記反応室内に前記熱処理用ガスを含む処理ガスを供給するとともに、前記被処理体を回転させ、
前記昇温工程中に、前記反応室内に前記処理ガスを、少なくとも5リットル/min供給する、ことを特徴とする薄膜形成方法。 - 反応室内に被処理体を複数枚収容可能なバッチ式縦型熱処理装置を用いて被処理体に薄膜を形成する薄膜形成方法であって、
前記被処理体を前記反応室内に収容し、該反応室内を所定の圧力に減圧する減圧工程と、
前記被処理体を所定の温度に昇温する昇温工程と、
前記反応室内に熱処理用ガスを供給して、前記被処理体に薄膜を形成する熱処理工程とを備え、
前記昇温工程中に、前記被処理体の周縁部を冷却可能な流量で、前記反応室内に前記熱処理用ガスを含む処理ガスを供給するとともに、前記被処理体を回転させ、
前記処理ガスに、前記熱処理用ガスを、その分圧が少なくとも10Paとなるように含ませる、ことを特徴とする薄膜形成方法。 - 前記反応室は前記被処理体を複数枚収容可能な被処理体収容部を備え、
前記処理ガスを前記反応室に供給するとともに、前記被処理体が収容された前記被処理体収容部を回転させる、ことを特徴とする請求項1または2に記載の薄膜形成方法。 - 前記熱処理用ガスに酸素ガス、前記処理ガスに酸素ガスと窒素ガスとの混合ガスを用い、前記被処理体に酸化膜を形成する、ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の薄膜形成方法。
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