JP4804700B2 - 不定形耐火物用分散剤及び不定形耐火物 - Google Patents

不定形耐火物用分散剤及び不定形耐火物 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、製鉄産業における溶融金属用容器の内張りあるいはその補修等に使用される不定形耐火物用分散剤と、この分散剤を使用した不定形耐火物に関する。
【0002】
【従来の技術】
流し込み施工等に用いられる不定形耐火物は、定形耐火物に比べて施工が迅速かつ容易であること、さらには製造コストが低いなどの利点がある。しかし、多量の施工水の使用を強いられ施工体が多孔質化する問題がある。そこで、分散剤の添加と共に耐火材料の一部に超微粉を使用することで施工時の流動性を増し、その分の施工水分の低減で施工体組織の緻密化が図られている。
【0003】
その一例として、特開平11−116345号公報には、アルミナ又はMgO−Al23系スピネル(以下、スピネルと称す)の超微粉を含む耐火材料に、アルミナセメントとカルボキシル基含有ポリエーテル系分散剤を添加した流し込み施工用不定形耐火物が提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
前記公報の不定形耐火物は施工体の硬化が早く強度に優れているが、流動性が不十分なために施工の安定性に劣る。そのため、十分な流動性確保のために施工水分が多くなり、施工体の緻密化が損なわれている。
【0005】
本発明は、施工の安定性及び施工体の緻密化がともに優れた不定形耐火物を製造することを可能とする分散剤と、この分散剤を使用した不定形耐火物を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、下記一般式(1)で表されるビニル系単量体(a)の1種以上に由来する構造と下記一般式(2)で表されるビニル系単量体(b)の1種以上に由来する構造とを構成単位として有する共重合体(A)の1種以上と、カルシウム、マグネシウム、ストロンチウム及びバリウムから選ばれる金属を含む塩(B)〔以下、金属塩(B)と表記する〕の1種以上とを含有し、共重合体(A)の中の単量体(a)と単量体(b)の割合が(a)/〔(a)+(b)〕×100=5〜50(モル%)である、不定形耐火物用分散剤、並びに該分散剤を使用した不定形耐火物に関する。
【0007】
【化3】
Figure 0004804700
【0008】
〔式中、
R1,R2:水素原子又はメチル基
R3:水素原子又は−COO(AO)nX
m:0〜2の数
p:0又は1の数
AO:炭素数2〜4のオキシアルキレン基又はオキシスチレン基
n:平均付加モル数であり2〜300の数
X:水素原子又は炭素数1〜18のアルキル基
を表す。〕
【0009】
【化4】
Figure 0004804700
【0010】
〔式中、
R4〜R6:水素原子、メチル基又は(CH2)m1COOM2であり、(CH2)m1COOM2はCOOM1又は他の(CH2)m1COOM2と無水物を形成していてもよく、その場合、それらの基のM1,M2は存在しない。
M1,M2:水素原子、1価又は2価金属
m1:0〜2の数
を表す。〕。
【0011】
本発明による分散剤を使用した不定形耐火物は、従来材質に比べ施工の安定性に優れ、しかも緻密な施工体を得ることができる。その理由は明確ではないが、以下の通りと考えられる。
【0012】
例えば、流し込み施工用不定形耐火物の分散剤として最も一般的なポリアクリル酸ナトリウム等の有機系分散剤は、微粉の粒子表面に吸着し、粒子同士を反発させる吸着層を形成することで、分散効果を持つ。一方、カルボキシル基含有ポリエーテル系分散剤は、長大なアルキレンオキサイド鎖(エチレンオキサイド鎖等)を有し、その長大なアルキレンオキサイド鎖の立体反発の効果が大きいため分散効果に優れるが、粒子への吸着速度が遅いため、流動性に劣る傾向がある。
【0013】
これに対し本発明の分散剤は、カルボキシル基含有ポリエーテル系分散剤に特定の金属塩(B)を併用することで、溶液中において金属塩(B)から陽イオンが溶出され、粒子表面へ吸着し、これらイオンを介した分散剤の粒子表面への吸着速度を早めることにより流動性を向上させるものと考えられる。
【0014】
金属塩(B)のうち、流動性向上の効果は、カルシウム塩が最も優れている。そしてこのカルシウム塩からのカルシウムイオンに対する分散剤の吸着性は、通常この効果が低くなると思われる冬場での施工においても十分な効果をもつ。
【0015】
また、本発明では、スピネル微粉を耐火材料の一部に用いた場合、分散効果が更に優れたものになる。これはスピネル微粉が中性質であるのに対し、酸性質又は塩基性質のシリカ、マグネシア、チタニアなどの微粉では粒子表面に分散剤が吸着し難いためと考えられる。
【0016】
本発明の不定形耐火物は、さらにアルミナセメントを20重量部(対耐火材料100重量部)以下の範囲で添加してもよい。アルミナセメント粒子表面への吸着量が少ないため、アルミナセメントからのAl3+イオンとCa2+イオンの溶出を妨げないことで施工体の硬化促進及び強度に、より優れた効果を発揮する。
【0017】
本発明における施工性の顕著な安定化向上は、後述の実施例で示した試験結果のとおり、特定の共重合体(A)と特定の金属塩(B)とを組み合わせることによって初めて得ることができる。
【0018】
その結果、本発明による不定形耐火物用分散剤は、優れた施工性をもって高強度かつ緻密な施工体を得ることを可能とし、本発明による不定形耐火物は、優れた施工性をもって高強度かつ緻密な施工体を得ることを可能とする。
【0019】
【発明の実施の形態】
<共重合体(A)>
一般式(1)で表される単量体(a)としては、メトキシポリエチレングリコール、メトキシポリプロピレングリコール、メトキシポリブチレングリコール、メトキシポリスチレングリコール、エトキシポリエチレンポリプロピレングリコール等の片末端アルキル封鎖ポリアルキレングリコールと(メタ)アクリル酸、マレイン酸との(ハーフ)エステル化物や、3−メチル−3−ブテニルアルコール、(メタ)アリルアルコールとのエーテル化物、及び(メタ)アクリル酸、マレイン酸、3−メチル−3−ブテニルアルコール、(メタ)アリルアルコールへのエチレンオキシド、プロピレンオキシド付加物が挙げられる。一般式(1)中、R3は水素原子が好ましく、pは1が好ましく、mは0が好ましい。AOはオキシエチレン基が好ましい。単量体(a)としては、アルコキシ、特にはメトキシポリエチレングリコールと(メタ)アクリル酸とのエステル化物がより好ましい。なお、nの異なる二種以上の単量体(a)を混合して用いてもよい。nは2〜300であり、好ましくは20〜200であり、更に好ましくは50〜180であり、特に好ましくは75〜180である。
【0020】
一般式(2)で表される単量体(b)としては、(メタ)アクリル酸、クロトン酸等のモノカルボン酸系単量体、マレイン酸、イタコン酸、フマル酸等のジカルボン酸系単量体、又はこれらの無水物もしくはその中和塩であり、より好ましくは(メタ)アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、更に好ましくは(メタ)アクリル酸又はこれらのナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩である。
【0021】
なお、更に、アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、スチレン、(メタ)アクリル酸アルキル(水酸基を有していてもよい炭素数1〜12のもの)エステル、スチレンスルホン酸等の共重合可能な単量体を併用してもよい。これらは全単量体中50重量%以下、更に30重量%以下の比率で使用できるが、0重量%が好ましい。
【0022】
本発明では、共重合体(A)の中の単量体(a)と単量体(b)の割合は(a)/〔(a)+(b)〕×100=5〜50(モル%)であり、流動性発現速度の観点から、5〜30(モル%)がより好ましく、7.5〜20(モル%)が特に好ましい。
【0023】
本発明に用いられる共重合体(A)は、単量体(a)及び単量体(b)を用いて、公知の方法で製造することができる。単量体(a)、単量体(b)は、それぞれ複数使用することができる。その製造法の例として、特開昭59−162163号公報、特開昭62−70250号公報、特開昭62−78137号公報、米国特許第4870120号、米国特許第5137945号等に例示の溶液重合法が挙げられる。即ち、適当な溶媒中で、上記ビニル系単量体(a)、単量体(b)を上記の如き割合で組み合わせて重合させることによって製造可能である。例えば、水や炭素数1〜4の低級アルコール中、過硫酸アンモニウム、過酸化水素等の重合開始剤の存在下、必要ならば亜硫酸水素ナトリウムやメルカプトエタノール等を添加し、窒素雰囲気下50〜100℃で0.5〜10時間反応させればよい。
【0024】
上記の製造方法により得られる共重合体(A)は、酸型のままでも使用することができるが、酸性によるエステルの加水分解を抑制する観点から、アルカリによる中和によって塩の形にすることが好ましい。このアルカリとしては、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物、アンモニア、モノ、ジ、トリアルキル(炭素数2〜8)アミン、モノ、ジ、トリアルカノール(炭素数2〜8)アミン等を挙げることができる。(メタ)アクリル酸系重合体を使用する場合は、一部又は完全中和することが好ましい。
【0025】
なお、上記の製造方法により得られる共重合体(A)の重量平均分子量〔ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法、ポリエチレングリコール換算、カラム:G4000PWXL + G2500PWXL(東ソー(株)製)、溶離液:0.2Mリン酸緩衝液/アセトニトリル=7/3(体積比)〕は、流動性及び硬化遅延の観点から、1万〜100万の範囲が良く、2.5万〜20万がより好ましく、4万〜15万が更に好ましい。
【0026】
本発明に用いられる共重合体(A)は、全部が未中和であるか、一部又は全部が1価金属塩又は2価金属塩と塩を形成している。塩は単量体に由来するものでも、共重合反応後に中和されたものでも、いずれでもよい。1価金属塩としては、アルカリ金属塩が好ましく、ナトリウム塩がより好ましい。2価金属塩としては、アルカリ土類金属塩が好ましく、カルシウム塩がより好ましい。また、中和度としては40〜100%、更に50〜90%、特に50〜80%が好ましい。なお、共重合体(A)を2価金属塩として用いる場合、カルシウム、マグネシウム、ストロンチウム及びバリウムから選ばれる金属を含む塩は、金属塩(B)には算入しないものとする。
【0027】
得られた共重合体(A)は、必要に応じて、脱臭処理をすることができる。特に連鎖移動剤としてメルカプトエタノール等のチオールを用いた場合には、不快臭が重合体中に残存しやすいため、脱臭処理をすることが望ましい。
【0028】
共重合体(A)は、耐火材料100重量部に対して0.03〜0.5重量部の比率で用いられるのが好ましい。
【0029】
<金属塩(B)>
本発明で使用する金属塩(B)は、カルシウム、マグネシウム、ストロンチウム及びバリウム塩から選ばれる1種以上の塩である。好ましくはカルシウム塩、マグネシウム塩であり、更に好ましくは、塩化カルシウム、炭酸カルシウム、硝酸カルシウム、酢酸カルシウム、乳酸カルシウムである。これらはいずれも微粉、あるいは超微粉である。
【0030】
流動性の向上にもこれらの塩は効果的である。耐火材料100重量部に対する割合で、金属塩(B)が0.001重量部以上では優れた流動性付与効果が得られる。また、5重量部以下では硬化が適度となり施工性も良好となる。さらに好ましくは0.01〜1重量部である。
【0031】
また、共重合体(A)と金属塩(B)の重量比(A)/(B)は、0.006〜500が好ましく、0.5〜3が特に好ましい。
【0032】
これらの塩の中でも塩化カルシウムは、施工時の温度が5〜30℃のいずれの場合でも優れた流動性を示す。したがって、塩化カルシウムを併用した場合には、寒冷地あるいは冬場においても安定した施工性が得られる。
【0033】
<分散剤>
本発明の分散剤は、粉状、液状のいずれで使用してもよい。液状は例えば水等に分散又は溶解したものである。添加量は従来の分散剤の場合と特に変わりなく、耐火材料100重量部に対し、外掛けで0.03〜0.5重量部、更に0.05〜0.3重量部とすることができる。この範囲の添加量では、流動性付与の効果が十分で、硬化遅延による施工性の低下を抑制できる。
【0034】
<耐火材料>
本発明に使用される耐火材料はアルミナを含有するものが好ましく、アルミナの耐火材料に占める割合は好ましくは10〜90重量%である。アルミナの具体例は、焼結アルミナ、電融アルミナ、高アルミナ、仮焼アルミナ等である。微粉部にはこのうち仮焼アルミナを用いるのが好ましい。
【0035】
アルミナ以外の耐火材料としては、例えば焼結又は電融のスピネルあるいはマグネシアが好ましい。スピネルはMgO−Al23系スピネルのためアルミナ原料の一種である。スピネルの化学組成はMgO:Al23比がスピネル理論組成値に近いものが好ましいが、これに限らずMgOが例えば5〜25重量%のアルミナリッチスピネルでもよい。
【0036】
耐火材料には、本発明の効果を損なわない範囲において、さらにジルコン、ジルコニア、シリカ、シリカ−アルミナ、炭素、炭化物、窒化物等を組み合わせてもよい。
【0037】
以上の原料の粒度は不定形耐火物の流動性、施工後の緻密化を考慮して、粗粒、中粒、微粒に適宜調整する。また耐火材料の一部に前記以外の超微粉を組合わせ使用することで、流動性及び施工後の緻密化をさらに向上させることができる。
【0038】
超微粉の例としては、平均粒径が20μm以下のシリカ、アルミナ、カオリン、粘土、ベントナイト、チタニア、アルミノシリケート、酸化クロム、炭素などが挙げられる。
【0039】
アルミナセメントを添加する場合、その添加量は、耐火材料100重量部に対して外掛け20重量部以下が好ましい。さらに好ましくは0.5〜15重量部である。20重量部以下ではCaO系あるいはSiO2系の低融点物質生成が抑制され耐食性低下も抑制される。超微粉等の凝集作用で十分な施工体強度が得られる場合、このアルミナセメントは必ずしも添加の必要はない。
【0040】
本発明では他にも、必要によっては不定形耐火物の添加物として知られている超粗大粒子、硬化調整剤、消化防止剤、塩基性乳酸アルミニウム、消泡剤、分離防止剤、有機短繊維〔ポリビニルアルコール(以下PVAと表記する)等〕、金属短繊維、ガラス粉、金属粉、炭素粉、ピッチ粉、セラミック短繊維などを添加してもよい。
【0041】
ここでの超粗大粒子とは、通常、粒径8〜30mmの原料をいう。施工体組織内に発生した亀裂が進展するのを防止する役割を持つ。その材質はマグネシア、アルミナ、スピネル、ムライトなどである。骨材としての原料は、粒径が一般に8mm未満であることから、超粗大粒子と骨材としての原料とは区別される。
不定形耐火物の施工は、不定形耐火物組成全体に対して外掛け3〜8重量%程度の施工水を添加し、流し込みあるいは吹付け等によって施工される。施工の際は、必要によりバイブレーターを使用して施工体の充填性向上を図ってもよい。
【0042】
【実施例】
<製造例>
温度計、撹拌機、滴下ロート、窒素導入管及び還流冷却器を備えたガラス製反応容器に、水296.4重量部を仕込み、窒素置換を行なった。続いて窒素雰囲気下で80℃まで昇温した後、60%−メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート(単量体(a)、n=120)水溶液897.7重量部、メタクリル酸77.5重量部を混合した液と、5%−2−メルカプトエタノール水溶液124.6重量部と、5%−過硫酸アンモニウム水溶液136.8重量部の3液を同時に滴下し、3液とも90分かけて滴下を終了させた。
【0043】
次に同温で1時間熟成した後、5%−過硫酸アンモニウム水溶液45.6重量部を30分かけて滴下し、滴下後同温で2時間熟成させた。更に、48%−水酸化ナトリウム水溶液52.5重量部を加えて中和した後、35%−過酸化水素水15.9重量部を添加し90℃まで昇温し同温にて1時間保持した後、冷却し重量平均分子量60000の共重合体〔Na塩(中和度70%)〕(表1中の共重合体1)を得た。表1中の他の共重合体もこれに準じて中和度70±10%で製造を行なった。
【0044】
<実施例1〜17及び比較例1〜7>
表1に示す共重合体と表2に示す金属塩とを表2の比率で用いて分散剤を調製した。得られた分散剤と表3の耐火材料とから、表4の不定形耐火物を調製し、以下の評価を行った。結果を表4に示す。なお、表4中、分散剤の添加量は、耐火材料に対する重量%であり、温度は、各試験に用いた不定形耐火物の温度である。
【0045】
(1)流動性
表4の不定形耐火物に、その材質に応じて施工性が最適となると想定される施工水分(表4)を添加し、混練後、未振動状態でのフリーフロー値を測定した(JIS R2521)。下端開口直径100mm×上端開口直径70mm×高さ60mm形状のフローコーンから排出した混練物の広がり直径を測定したもので、全く広がりがない状態が100mmであり、この数値が大きいものほど流動性に優れている。
【0046】
(2)硬化時間
前記(1)の流動性試験と同様にして混練した各実施例の不定形耐火物を、40mm×40mm×160mmの型枠に4G×30秒の加速振動条件下で流し込み、施工直後から混錬物内で起こる水和反応に伴う発熱が最高温度に達するまでの時間を測定し、硬化時間とした。
【0047】
(3)見掛け気孔率
前記(2)の硬化時間試験と同様の条件での流し込み施工後、養生、乾燥(110℃×24時間)して得た施工体について、見掛け気孔率を測定し、緻密性を判断した。
【0048】
(4)曲げ強さ
前記(3)の見掛け気孔率の測定と同様にして得た施工体について、曲げ強さを測定し、強度を判断した。
【0049】
(5)実機の耐用回数
実際に製鉄所で使用されている300t溶鋼取鍋の側壁用内張り材として表4の不定形耐火物を流し込み施工し、使用、点検を繰り返し、施工体の厚みが規定値未満となるまでのサイクル数を耐用回数とする。施工体の厚みが規定値未満となると、大がかりな解体、修理が必要となるため、サイクル数が多いほど実用的には有利である。
【0050】
【表1】
Figure 0004804700
【0051】
【表2】
Figure 0004804700
【0052】
【表3】
Figure 0004804700
【0053】
【表4】
Figure 0004804700
【0054】
実施例1〜17はいずれも流動性に優れ、かつ安定した施工性が得られた。その施工体組織は緻密で強度も大きい。実施例で用いた耐火材料は、アルミナセメントを含むアルミナ−マグネシア質が主体であるが、アルミナセメントを添加しない実施例12、及びアルミナセメントを添加したアルミナ−スピネル質の実施例13でも同様の効果が得られる。
【0055】
また、カルシウム塩の中でも塩化カルシウムを含む分散剤を使用した場合は、実施例1、14の結果から、流動性において温度の変化にほとんど影響されないことが確認される。これにより、寒冷地、冬季など低温下での施工においても安定した施工性が得られる。
【0056】
これに対して、共重合体(A)のみを含む分散剤を使用した比較例1は、流動性付与の効果が得られない。また、共重合体(A)の代わりにヘキサメタリン酸ナトリウムを用いた比較例2やポリアクリル酸ナトリウムを用いた比較例3〜7は、流動性に劣り、流動性確保のために施工水分が多くなり、施工体の緻密性に劣る。
【0057】
また、実機使用における耐用回数も、実施例1、8、11では、従来の耐火物に相当する比較例7の185回を大幅に凌ぐ220回以上を示し、優れた耐用性が得られていることがわかる。
【0058】
【発明の効果】
本発明の不定形耐火物用分散剤及びそれを使用した不定形耐火物は、以上の実施例の試験結果に示す通り、優れた施工性をもって高強度かつ緻密な施工体を得ることができる。近年の炉操業の過酷化と炉材コストの大幅な削減要求の状況下において、本発明の不定形耐火物用分散剤及びそれを使用した不定形耐火物の価値は大きい。

Claims (5)

  1. 下記一般式(1)で表されるビニル系単量体(a)の1種以上に由来する構造と下記一般式(2)で表されるビニル系単量体(b)の1種以上に由来する構造とを構成単位として有する共重合体(A)の1種以上と、塩化カルシウム、硝酸カルシウム、酢酸カルシウム、乳酸カルシウム、塩化ストロンチウム及び塩化バリウムから選ばれる金属塩(B)の1種以上とを含有し、共重合体(A)の中の単量体(a)と単量体(b)の割合が(a)/〔(a)+(b)〕×100=5〜50(モル%)である、不定形耐火物用分散剤。
    Figure 0004804700
    〔式中、
    R1,R2:水素原子又はメチル基
    R3:水素原子又は−COO(AO)nX
    m:0〜2の数
    p:0又は1の数
    AO:炭素数2〜4のオキシアルキレン基又はオキシスチレン基
    n:平均付加モル数であり2〜300の数
    X:水素原子又は炭素数1〜18のアルキル基
    を表す。〕
    Figure 0004804700
    〔式中、
    R4〜R6:水素原子、メチル基又は(CH2)m1COOM2であり、(CH2)m1COOM2はCOOM1又は他の(CH2)m1COOM2と無水物を形成していてもよく、その場合、それらの基のM1,M2は存在しない。
    M1,M2:水素原子又は1価金属
    m1:0〜2の数
    を表す。〕
  2. (A)と(B)の重量比(A)/(B)が、0.006〜500である請求項1記載の不定形耐火物用分散剤。
  3. アルミナを含有する耐火材料と請求項1又は2記載の分散剤とを含有する不定形耐火物。
  4. 耐火材料とアルミナセメントと請求項1又は2記載の分散剤とを含有する不定形耐火物。
  5. 耐火材料100重量部に対してアルミナセメント20重量部以下、請求項1又は2記載の分散剤0.03〜0.5重量部を含有する請求項4記載の不定形耐火物。
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