以下、本発明の一実施例を図面に基づいて説明する。まず、弾球遊技機100の外観について、図2および図3を参照しつつ説明する。図2および図3は本発明の一実施例である弾球遊技機100の外観を示す図であって、図2には正面図を、図3には裏面図をそれぞれ示す。なお、同一の要素には、同一番号を付している。
図2において、遊技盤表面102上には、遊技領域とその周囲を区画するレール114が右回りの螺旋状に設けられている。このレール114は、遊技盤表面102の左下部を始端とし、内側に一回転強した左上部を終端として設けられている。したがって、遊技盤表面102の左下部から左上部までは、遊技球Bが通るための通路になる。また、レール114のほぼ中間点(すなわち、遊技盤表面102の右上部)には返しゴム140が設けられ、レール114の終端には戻り球防止ホルダー110が設けられている。そして、遊技者が手で発射装置(図示せず)を操作すると、遊技球Bがレール114に沿って矢印Aの方向に打ち出される。なお、返しゴム140は遊技球Bが強く打ち出された場合に、遊技球Bを逆方向へ戻すために設けられている。また、戻り球防止ホルダー110は、上記返しゴム140によって戻された遊技球Bが、通路に逆入するのを防止するために設けられている。
遊技領域(すなわち、螺旋状に設けられたレール114の内側)には、大入賞口116、特別図柄装置120、普通電動役物126、ゲート130およびアウト口136が適宜に配置して設けられている。同様に、遊技球Bを散乱させる釘や風車(図示せず)、あるいは遊技者の目を楽しませる表示灯112,142が、遊技盤表面102上に適当に配置して設けられている。
特別図柄装置120は、特別図柄表示装置122と回数表示装置124を備えている。特別図柄表示装置122は表示装置60の一つであって、特別図柄を表示する装置である。この特別図柄表示装置122に表示される特別図柄は、所定の時期に変動する。その変動後に、停止した状態で表示された特別図柄が所定の図柄と一致した場合を「大当たり」とする。回数表示装置124は、特別図柄表示装置122に表示される特別図柄について変動させる回数を表示する装置である。なお、特別図柄表示装置122には、例えばカラーあるいはモノクロの液晶表示装置が用いられる。同様に、回数表示装置124には、例えばLED(Light Emitting Diode)が水平状に4個設けられている。
普通電動役物126は、普通図柄表示装置128と電動の一対の可動翼片(いわゆるチューリップ)を備えている。普通図柄表示装置128は普通図柄を表示する装置であって、所定の時期に普通図柄を変動させる。その変動後に、停止した状態で表示された普通図柄が所定の図柄と一致した場合を「当たり」とする。なお、普通図柄としては、例えば数字が該当する。また、普通図柄表示装置128には、例えば7セグメントLEDが用いられる。
大入賞口116は、遊技盤表面102の中央下部に設けられた横長の入賞口であって、「大当たり」の際に開く蓋を備えている。この横長の入賞口には三つの入賞口が水平状に並んで設けられており、中央の入賞口132を「特別領域」としている。また、大入賞口116の左右にはそれぞれ入賞口118,134が設けられている。ゲート130は、遊技球Bの通過を検出する。アウト口136は遊技盤表面102の下部であって、レール114を挟んで設けられている。
図3において、遊技盤裏面104には、誘導レール150、検出スイッチ152,154,156,158,162,164,168(以下、単に「検出スイッチ152等」と呼ぶ。)、普通電動役物ソレノイド160、大入賞口ソレノイド166、取付穴112a,120a,126a,142aおよびアウト口穴136aが設けられている。ここで、取付穴112a,142aは、それぞれ表示灯112,142を取り付けるための穴である。同様に、取付穴120a,126aは、それぞれ特別図柄装置120と普通電動役物126を取り付けるための穴である。さらに、アウト口穴136aはアウト口136用の穴である。誘導レール150は普通電動役物126に入賞し、検出スイッチ162を通過した遊技球Bを矢印Cのように誘導する。
検出スイッチ152等はいずれも遊技球Bの通過を検出するスイッチであって、磁性の変化によって上記通過を判定する近接スイッチが一般に用いられる。検出スイッチ152は、ゲート130を通過する遊技球Bを検出する。検出スイッチ154,164は、それぞれ入賞口134,118に入賞した遊技球Bを検出する。検出スイッチ162は、普通電動役物126に入賞した遊技球Bを検出する。検出スイッチ156,158,168は、大入賞口116に入賞した遊技球Bを検出する。なお、検出スイッチ152等によって検出された検出信号は、いずれも図5に示す制御部220に送られて所定数の賞品球を払い出す他に、特別図柄装置120や普通電動役物126等の動作を制御するための検出装置としても用いられる。
普通電動役物ソレノイド160は、普通電動役物126に構成される一対の可動翼片を「当たり」の際に左右に開閉させるためのソレノイドである。また、大入賞口ソレノイド166は、大入賞口116に設けられた蓋を「大当たり」の際に開閉させるためのソレノイドである。
次に、上記のように構成される弾球遊技機100を動作させるための電気的な接続について、図4および図5を参照しつつ説明する。図4は弾球遊技機100の配線系統図であり、図5は制御部220の構成を示すブロック図である。なお、図2と同一の要素には同一番号を付し、説明を省略する。
図4において、弾球遊技機100は、大きく分けて盤面部200と枠部300によって構成されている。盤面部200は端子部210、制御部220および中継部240によって構成されている。また、枠部300は防犯部306、発射制御部330、中継部302、端子部340および中継部324によって構成されている。
まず、盤面部200について説明する。制御部220は次図に示すCPU(プロセッサ)230等を備えており、弾球遊技機100の全体を制御する機能を有している。中継部240には、検出スイッチ152,158,162および検出スイッチ156等(すなわち、他の検出スイッチ154,156,164,168)が接続され、上記制御部220へ送る検出信号を中継する。端子部210は4つのコネクタ端子を備え、制御部220から送られた信号を、このうちの一つの端子212を用いて後述する端子部340へ送る。ここで、制御部220と中継部240の間、および、制御部220と端子部210の間は、いずれもコネクタを有するケーブルによって接続されている。なお、枠部300内に設けられている静電防止器312は、制御部220を通じてアースに接続され、静電気による弾球遊技機100の誤動作を防止する。
次に、枠部300について説明する。防犯部306は遊技中における不正を防止するためのものであって、スピーカ320と賞品球払出禁止スイッチ322が接続されている。ここで、スピーカ320は効果音や警告音を鳴動する。賞品球払出禁止スイッチ322は賞品球の払い出しを禁止するスイッチである。
発射制御部330は遊技球Bを発射するためのモータ駆動回路334を備えており、タッチ端子314、ハンドルスイッチ316、発射装置停止スイッチ318およびモータ332が接続されている。ここで、タッチ端子314、ハンドルスイッチ316および発射装置停止スイッチ318は、いずれも遊技球Bを発射させるために遊技者が手で発射装置の操作を行うための端子あるいはスイッチである。タッチ端子314は、遊技者の手が発射装置に触れていることを検出する端子である。ハンドルスイッチ316は、モータ332を駆動して遊技球Bを発射するためのスイッチである。また、発射装置停止スイッチ318は、遊技球Bの発射を一時的に停止させるためのスイッチである。
中継部302は制御部220と防犯部306の間に設けられ、これらの相互間で送受信される信号を中継する。なお、中継部302には、賞品球払出ソレノイド304、賞品球払出モータ308および賞品球検出スイッチ310が接続されている。ここで、賞品球払出ソレノイド304は、賞品球の払い出し用のふたを開閉させるためのソレノイドである。賞品球払出モータ308は、賞品球の払い出しを行うためのモータである。賞品球検出スイッチ310は、賞品球の払い出しを検出する三連のスイッチである。
端子部340は防犯部306の図面右側に接続されており、普通電動役物ソレノイド160、大入賞口ソレノイド166、ヒューズ342を介して接続されるコンセント344、表示灯346,348,350および賞品球切れ検出スイッチ336を備える。なお、上記の表示灯346,348,350は図2に示す遊技盤表面102に適宜配設された表示灯112,142であり、賞品球切れ検出スイッチ336は賞品球の球切れを検出するスイッチである。中継部324は防犯部306と発射制御部330の間に設けられ、これらの相互間で送受信される信号を中継する。なお、中継部324には、枠検出スイッチ326が接続されている。この枠検出スイッチ326は、弾球遊技機100の枠が開放されたことを検出するスイッチである。
図5は、制御部220の構成を示すブロック図であって、本発明を実施するために必要な最小限の構成を示す。このため、例えば遊技球Bが入賞口118,134等に入賞した場合に所定数の賞品球を払い出す処理のための構成や動作等については説明を省略する。図において、制御部220は、CPU230、音楽処理回路222、ROM224、RAM226、入力処理回路228、フレームメモリ232、表示制御回路234、特別図柄表示装置122および出力処理回路236によって構成されている。
CPU230は、ROM224に格納された制御プログラムに従って弾球遊技機100の全体を制御する。ROM224にはEPROMあるいはEEPROMが使用される。また、ROM224はシナリオ記憶手段10,パターン記憶手段20および図柄記憶手段40を具体化したものであって、上記制御プログラムの他に特別図柄表示装置122に表示する図柄ごとに対応する図柄データや、連続的な表示(アニメーションの表示を含む)を行うために図柄(あるいは、後述する組み合わせパターン)の順番を指定するシナリオデータ、一画面に複数の図柄を同時に合成して表示するための組み合わせパターン、上記シナリオデータや組み合わせパターンに従って特別図柄表示装置122に図柄を表示する図柄表示プログラム等が格納されている。RAM226はSRAM(あるいは、DRAM)やフラッシュRAM等が使用され、各種のデータあるいは入出力信号が格納される。
入力処理回路228は、検出スイッチ152,158,162や検出スイッチ156等から送られたそれぞれの検出信号を受けて、制御部220内で処理可能なデータ形式に変換し、バス238を介してCPU230又はRAM226へ転送する。音楽処理回路222は、CPU230や表示制御回路234からバス238を介して送られた鳴動データ(音楽番号を含むデータ)に従って、アナログ信号に変換してスピーカ320へ送る。すなわち、予め音楽処理回路222内部に設けられたROM(あるいはRAM)に、遊技状態ごとの音楽プログラム(音楽データ)に番号を付して記憶しておく。その後、CPU230から指令された音楽番号に従って、この音楽番号に対応する音楽データをアナログ信号に変換し、スピーカ320を通じて音楽をBGM(Back Ground Music )として奏でる。
表示制御回路234は、CPU230からバス238を介して送られた表示制御データに従って、図2にも示す特別図柄表示装置122の表示制御を行う回路である。具体的には、CPU230から送られた制御データと図柄データに従って特別図柄表示装置122を表示制御する。すなわち、表示制御回路234は、制御データに従って図柄データをフレームメモリ232に格納するとともに、フレームメモリ232に格納された図柄データを合成して画像信号に変換して特別図柄表示装置122に送り、特別図柄等を表示する機能を有する。
なお、上記の表示制御回路234は、特別図柄表示装置122のみならず、図2に示す回数表示装置124、普通図柄表示装置128および表示灯112,142等の表示制御をも行う。この場合に、大当たりカウンタの値に従って回数表示装置124の表示制御を行う。また、上記の制御データには、ROM224に格納された図柄(あるいは一画面)を表示する順番を指定したシナリオデータと、一画面における図柄の組み合わせを指定した組み合わせパターンが含まれている。さらに、図柄を合成して表示するために、上記のフレームメモリ232は複数のフレームで構成されている。
出力処理回路236は、CPU230からバス238を介して送られた駆動データに従って、普通電動役物ソレノイド160および大入賞口ソレノイド166を駆動する駆動信号へ変換して送る。なお、上記各構成要素は、いずれもバス238に互いに結合されている。
次に、本発明を実行するための処理手順について、図6乃至図19を参照しつつ説明する。なお、ここでは連続的な表示の一つとして、アニメーションの表示を行う場合について説明する。図6,図8,図11,図12および図15は、本発明を実施するための処理手順を示すフローチャートである。これらの処理手順は、いずれも図5に示すROM224に格納された処理プログラムをCPU230が実行することによって実現される。これらの処理手順は画像処理手段50を具体化した処理であって、一定期間(例えば、1ミリ秒)ごとに実行される。図中、Sの後に続く数字はステップ番号を示す。
図6に示すアニメーション処理は、一つの図柄を一画面全体に表示し、この表示を異なる図柄について連続して行う場合の処理手順について示す。まず、制御データに含まれるシナリオデータに従って、図5に示すROM224に格納されているシナリオデータを読み出す(ステップS10)。ここで、上記のシナリオデータについて、図7を参照しつつ説明する。図7は、シナリオデータの構成の一例を示す4つのブロック図である。図7において、図7(A)に示すシナリオデータ500は、複数の図柄番号504,506,…,50mによって構成され、その図柄番号の数(すなわち、要素の数)を画面数502で示すデータ構造体である。すなわち、画面数502には連続して表示する図柄の数が格納される。ここで、図柄番号は図柄ごとに付された固有の番号である。なお、図7に示すシナリオデータは、いずれも要素の数を同一にして構成したが、シナリオデータごとに任意の要素の数で構成してもよい。すなわち、アニメーションのように連続して表示を行うために最適な図柄の数に対応して各々のデータ構造体を構成し、この図柄の数を画面数に格納する。
また、図7(B)に示すシナリオデータ510は、音楽番号514と、複数の要素514,516,…,51mによって構成され、音楽番号514を含めた要素数を画面数512で示すデータ構造体である。図からも明らかなように、シナリオデータ500と異なるのは、音楽番号514を要素のパラメータとして追加している点である。この音楽番号514は、音楽処理回路222内部に記憶された音楽プログラムを指定し、この音楽プログラムに従って音楽をBGMとして流すための番号である。こうして指定された音楽番号514によって、アニメーションの表示とともに、そのアニメーションに最適なBGMが流れる。したがって、遊技者は特別図柄表示装置122を見る楽しみに加えて、BGMを聴く楽しみも得ることができる。
さらに、図7(C)に示すシナリオデータ520は、複数の要素524,526,…,52mによって構成され、これらの要素数を画面数522で示すデータ構造体である。要素524は図柄番号524aと表示期間524bからなり、要素526は図柄番号526aと表示期間526bからなり、以下同様に要素52mは図柄番号52maと表示期間52mbからなる。表示期間は、図柄番号で指定された図柄を特別図柄表示装置122に表示させる期間(時間間隔)である。この表示期間を指定することにより、同じ図柄(同じ絵)を繰り返して指定する必要がなくなる。したがって、アニメーションの表示処理に必要なプログラム量(データ量)を抑えることができる。
なお、上記のシナリオデータでは、要素のパラメータである音楽番号と表示期間をそれぞれ別のデータ構造体で構成したが、これらのパラメータを組み合わせた要素からなるデータ構造体で構成してもよい。すなわち、〔図柄番号,音楽番号,表示期間〕を一つの要素とし、この要素を複数備えたデータ構造体からなるシナリオデータが該当する。言い換えれば、図7のシナリオデータ520において画面数522の次に音楽番号514を加えたデータ構造体である。このデータ構造体では、一画面の表示期間を変えて表示しながらBGMを流すことができる。また、シナリオデータ510,520において、図柄番号に代えて、後述するパターン番号を要素としてデータ構造体を構成してもよい。同様に、〔パターン番号,音楽番号,表示期間〕を一つの要素とし、この要素を複数備えたデータ構造体を構成してもよい。図柄番号に代えてパターン番号を指定することにより、一画面において複雑な画面(絵)を表示しながらアニメーションの表示が行われるので、面白さ(絵の重厚さ)がより向上する。
さらに、ステップS10におけるシナリオデータの読み出しは、遊技の進行状況に対応するシナリオ番号のシナリオデータを選択して読み出すような構成に限らず、確率切換手段30で切り換えられた確率に対応するシナリオ番号のシナリオデータを選択して読み出すように構成してもよい。この確率切換手段30は、遊技者に特別の利益を与える遊技状態を実現する確率(すなわち、「大当たり」の出る確率)を、例えば「大当たり」の際のように、適当な時期に切り換える手段である。確率切換手段30で切り換えられた確率に応じてシナリオデータを読み出す構成により、同じような遊技状態であっても異なるシナリオでアニメーションの表示が行われるので、遊技者は特別図柄表示装置122を見つづけていても飽きることがない。
同様に、ステップS10で読み出すシナリオデータは、発生した弾球遊技機の利益のレベルに応じて、音楽番号による音楽の種別、表示期間による一画面を連続して表示させる期間の長短、図柄番号またはパターン番号による表示させる絵(図柄)を様々に切り換えて選ぶように構成してもよい。ここで、上記の弾球遊技機の利益のレベルとしては、例えば弾球遊技機(パチンコ遊技機)において、特別図柄表示装置122を始動させる始動口へ遊技球Bが入賞した時、その後に特別図柄表示装置122に表示された図柄が所定の図柄と一致して「大当たり」となった時、遊技球Bが特別領域(図2に示す入賞口132)に入賞した時、普通電動役物ソレノイド160,大入賞口ソレノイド166,賞品球切れ検出スイッチ336,賞品球払出禁止スイッチ322,枠検出スイッチ326等から出力された異常信号を防犯部306が受けた時などの各状態における利益のレベルがある。
上記のように、遊技状態や確率に応じて最適なシナリオデータを設定しておくことにより、特別図柄表示装置122の画面上で様々なアニメーションの表示を行うことができる。こうしたアニメーションの表示により、遊技球を入賞させる楽しみに加えて、特別図柄表示装置122を見る楽しみを遊技者に与える。したがって、遊技者を飽きさせることなく、興味を抱かせ続けることができる。
図6に戻って、ステップS10で読み出されたシナリオデータに音楽番号が指定されている場合には、この音楽番号を音楽処理回路222に送り、その音楽番号に対応するBGMを流す(ステップS12)。その後、シナリオデータで指定された図柄番号に従って、ROM224から対応する図柄データを読み出してフレームメモリ232へ転送し(ステップS14)、フレームメモリ232に転送した図柄について指定された表示期間が経過するまで待機する(ステップS16)。このステップS14とステップS16を、シナリオデータで指定された要素の数だけ繰り返す(ステップS18)。このステップS14乃至ステップS16によって、特別図柄表示装置122にはシナリオデータに従ったアニメーションの表示が行われる。
次に、複数の図柄を組み合わせて一画面に表示し、アニメーションの表示を行う場合の処理手順について示す。図8に示すアニメーション処理では、まず、制御データに含まれるシナリオデータに従って、図5に示すROM224に格納されているシナリオデータを読み出し(ステップS20)、読み出されたシナリオデータに音楽番号が指定されている場合には、この音楽番号を音楽処理回路222に送り、その音楽番号に対応するBGMを流す(ステップS22)。これらのステップは、図6に示すステップS10,S12と同じである。
ここで、ステップS20において読み出されたシナリオデータの一例を図7(D)に示す。図7(D)に示すシナリオデータ530は、複数の要素534,536,…,53mによって構成され、これらの要素数を画面数532で示すデータ構造体である。要素534は図柄番号534aとパターン番号534bからなり、要素536は図柄番号536aとパターン番号536bからなり、以下同様に要素53mは図柄番号53maとパターン番号53mbからなる。ここで、パターン番号は組み合わせパターンごとに付された固有の番号である。この組み合わせパターンは複数の図柄の組み合わせを指定するデータ構造体であって、詳細は後述する。このパターン番号を指定することにより、立体的な画面や奥行きのある画面のように、一画面で複雑な絵を表示することができるので、アニメーションの表示に面白さ(絵の重厚さ)を増やすことができる。
そして、ステップS20で読み出されたシナリオデータに含まれているパターン番号に従って、図5に示すROM224に格納されている組み合わせパターンを読み出す(ステップS24)。ここで、上記の組み合わせパターンについて、図9と図10を参照しつつ説明する。図9と図10は、組み合わせパターンの構成の一例を9つの示すブロック図である。
まず、図9に示す組み合わせパターンについて説明する。図9(A)に示す組み合わせパターン600は、複数の図柄番号604,606,…,60nによって構成され、その図柄番号の数(すなわち、要素の数)をフレーム数602で示すデータ構造体である。すなわち、フレーム数602には合成して表示する図柄の数が格納される。なお、図9に示す組み合わせパターンは、いずれも要素の数を同一にして構成したが、組み合わせパターンごとに任意の要素の数で構成してもよい。すなわち、特別図柄表示装置122に合成して一画面で表示するのに最適な図柄の数に対応して各々のデータ構造体を構成し、この図柄の数をフレーム数に格納する。
また、図9(B)に示す組み合わせパターン610は、複数の要素614,616,…,61nによって構成され、これらの要素数をフレーム数612で示すデータ構造体である。要素614は図柄番号614aと色彩番号614bからなり、要素616は図柄番号616aと色彩番号616bからなり、以下同様に要素61nは図柄番号61naと色彩番号61nbからなる。色彩番号には特別図柄表示装置122で発色可能な色彩の数に応じて、色彩ごとに付された固有の番号である。例えば、黒色なら「0」,青色なら「1」,赤色なら「2」,紫色なら「3」などの番号(数値)である。
さらに、図9(C)に示す組み合わせパターン620は、複数の要素624,626,…,62nによって構成され、これらの要素数をフレーム数622で示すデータ構造体である。要素624は図柄番号624aとベクトル値624bからなり、要素626は図柄番号626aとベクトル値626bからなり、以下同様に要素62nは図柄番号62naとベクトル値62nbからなる。ベクトル値には、図柄を移動させるための方向と移動量(例えば、ドット数)を指定する。例えば、特別図柄表示装置122の画面右上(45度)方向に図柄を移動させる場合には、ベクトル値〔x=1,y=1〕を指定すればよい。同様に、図柄を移動させない(一定位置に表示させる)場合には、ベクトル値〔x=0,y=0〕を指定すればよい。
そして、図9(D)に示す組み合わせパターン630は、複数の要素634,636,…,63nによって構成され、これらの要素数をフレーム数632で示すデータ構造体である。要素634は図柄番号634aと優先順位634bからなり、要素636は図柄番号636aと優先順位636bからなり、以下同様に要素63nは図柄番号63naと優先順位63nbからなる。優先順位には、図柄を合成して表示させる場合の前面側からのフレーム位置を指定する。すなわち、優先順位と一対一に対応したフレームに、図柄番号に対応する図柄が転送され、合成されて表示される。例えば、数値「0」が最も優先順位が高く、位置が大きくなるにつれて優先順位が低くなる場合では、優先順位として数値「0」が指定された図柄が最も前景面に表示され、数値が大きくなるにつれて背景面に表示される。
ここで、優先順位に対応するフレームに既に図柄が転送された場合は、新たに組み合わせパターンで上記の優先順位が指定されない限り、既に転送された図柄がそのまま継続して表示される。例えば、前回優先順位x(フレーム番号x)に図柄(数字の「7」)が転送された場合、以降指定される組み合わせパターンの優先順位にxが指定されない場合は、前回転送された図柄(数字の「7」)が表示され続ける。
それから、図9(E)に示す組み合わせパターン640は、複数の要素644,646,…,64nによって構成され、これらの要素数をフレーム数642で示すデータ構造体である。要素644は図柄番号644aと座標値644bからなり、要素646は図柄番号646aと座標値646bからなり、以下同様に要素64nは図柄番号64naと座標値64nbからなる。座標値には、図柄を転送するフレームにおける転送開始位置を指定する。このように、座標値を設けたのは、表示する図柄の大きさとフレームの大きさが一致しない場合があるためである。すなわち、フレームの大きさと一致しない大きさの図柄をそのままフレームに転送すれば、意図しない画面上の位置に表示されることになる。したがって、画面上の位置を座標値で指定することにより、所望の位置に様々の大きさの図柄を表示させることができる。
次に、図10に示す組み合わせパターンについて説明する。図10(F)に示す組み合わせパターン650は、複数の要素654,656,…,65nによって構成され、これらの要素数をフレーム数652で示すデータ構造体である。要素654は図柄番号654aと回転値654bからなり、要素656は図柄番号656aと回転値656bからなり、以下同様に要素65nは図柄番号65naと回転値65nbからなる。回転値には図柄番号で指定する図柄を回転(例えば、反時計回り)させるため、回転の中心位置(座標)と回転角度を指定する。
図10(G)に示す組み合わせパターン660は、複数の要素664,666,…,66nによって構成され、これらの要素数をフレーム数662で示すデータ構造体である。要素664は図柄番号664aとスクロール値664bからなり、要素666は図柄番号666aとスクロール値666bからなり、以下同様に要素66nは図柄番号66naとスクロール値66nbからなる。スクロール値には、図柄を特別図柄表示装置122の画面上で所定の方向に移動させるため移動量(例えば、画面の上方向へ移動させるドット数)を指定する。
図10(H)に示す組み合わせパターン670は、複数の要素674,676,…,67nによって構成され、これらの要素数をフレーム数672で示すデータ構造体である。要素674は図柄番号674aと表示期間674bからなり、要素676は図柄番号676aと表示期間676bからなり、以下同様に要素67nは図柄番号67naと表示期間67nbからなる。表示期間は、図柄番号で指定された図柄を特別図柄表示装置122に表示させる期間(時間間隔)である。この表示期間を指定することにより、シナリオデータで指定された表示期間内で図柄の表示をやめることができる。
図10(I)に示す組み合わせパターン680は、複数の要素684,686,…,68nによって構成され、これらの要素数をフレーム数682で示すデータ構造体である。要素684は図柄番号684aと拡大縮小値684bからなり、要素686は図柄番号686aと拡大縮小値686bからなり、以下同様に要素68nは図柄番号68naと拡大縮小値68nbからなる。拡大縮小値は、図柄番号で指定された図柄を拡大(あるいは縮小)させるため、拡大縮小の中心位置(座標)と倍率を指定する。例えば、上記拡大縮小値の倍率を「1」とする組み合わせパターンに対応する図柄を背景とし、拡大縮小値を順次変化させる組み合わせパターンに対応する図柄を前景とすれば、前景の図柄が遊技者側に接近したり、遠ざかったりする。すなわち、拡大縮小値を順次大きくすれば前景の図柄が遊技者側に接近し、拡大縮小値を順次小さくすれば前景の図柄が遊技者側から遠ざかるような表示を行うことができる。したがって、図柄をよりリアルに動かせるので、遊技者に特別図柄表示装置122を見る楽しみを与えることができる。
上記のように、アニメーションの表示過程に応じて最適な図柄の組み合わせパターンを設定しておくことにより、特別図柄表示装置122の画面上で立体的な画面や奥行きのあるアニメーションの表示を行うことができる。このため、遊技球を入賞させる楽しみに加えて、特別図柄表示装置122を見る楽しみが遊技者に与えられるので、遊技者に興味を抱かせ続けることができる。また、要素のパラメータ〔ベクトル値,回転値,スクロール値,拡大縮小値〕の値として様々な値を指定することによって、一つの図柄データだけを用いて様々の画面位置や向き,大きさの図柄を表示させることができる。したがって、画面位置や向き,大きさの異なる様々の図柄データを用意する必要がなくなるので、アニメーションの表示に必要なデータ量を抑えることができる。
なお、上記の組み合わせパターンでは、図9と図10に示すように、要素のパラメータである色彩番号,ベクトル値,優先順位,座標値,回転値,スクロール値および拡大縮小値のデータをそれぞれ別のデータ構造体で構成したが、これらのデータを任意に組み合わせた要素からなるデータ構造体で構成してもよい。例えば、パラメータ〔図柄番号,色彩番号,ベクトル値〕を一つの要素とし、この要素を複数備えたデータ構造体からなる組み合わせパターンは、図柄の色を指定するとともに、図柄の移動方向を指定することができる。同様に、パラメータ〔図柄番号,優先順位,座標値〕を一つの要素とし、この要素を複数備えたデータ構造体からなる組み合わせパターンは、前景からの図柄の表示位置を指定するとともに、フレーム内における図柄の表示位置も指定することができる。
このように、目的のパラメータを一つの要素として組み合わせることにより、一つのデータ構造体で様々の指定を行うことができる。すなわち、各パラメータ{色彩番号,ベクトル値,優先順位,座標値,回転値,スクロール値,表示期間,拡大縮小値}のうち少なくとも一つのパラメータと、図柄番号を組み合わせたものを一つの要素としてもよい。こうした組み合わせは全部で255通りあり、上述した組み合わせ以外の組み合わせの一例を以下に示す。
(1)〔図柄番号,色彩番号,優先順位〕
(2)〔図柄番号,色彩番号,座標値〕
(3)〔図柄番号,ベクトル値,優先順位〕
(4)〔図柄番号,ベクトル値,座標値〕
(5)〔図柄番号,色彩番号,ベクトル値,優先順位〕
(6)〔図柄番号,色彩番号,ベクトル値,座標値〕
(7)〔図柄番号,色彩番号,優先順位,座標値〕
(8)〔図柄番号,ベクトル値,優先順位,座標値〕
(9)〔図柄番号,色彩番号,ベクトル値,優先順位,座標値〕
図8に戻り、ステップS24の次には、読み出された組み合わせパターン内で指定された各要素のパラメータに従って、複数の図柄を組み合わせて表示させるための一画面設定処理を行う(ステップS26)。具体的には、図11に示すように、項目設定処理を行い(ステップS40)、組み合わせパターンで指定された図柄番号に従って、ROM224から対応する図柄データを読み出してフレームメモリ232へ転送する(ステップS42)。このステップS40とステップS42を、組み合わせパターンで指定された要素の数だけ繰り返す(ステップS44)。この処理手順によって、特別図柄表示装置122には組み合わせパターンに従った一画面の表示が行われる。
また、ステップS40の項目設定処理は、具体的には図12に示すように、まず図柄の色彩を設定し(ステップS50)、図柄を移動させるベクトル値を設定し(ステップS52)、図柄を転送するフレーム位置を設定し(ステップS54)、ステップS54で設定されたフレーム内における座標(転送位置)を設定し(ステップS56)、図柄を回転させる回転値を設定し(ステップS58)、図柄をスクロールさせるスクロール値を設定し(ステップS60)、図柄を拡大(あるいは縮小)させる拡大縮小値を設定する(ステップS62)。
ここで、ステップS50は、色彩番号に従いパレット制御によって色彩の設定を行う。パレット制御について、以下に簡単ながら説明する。特別図柄表示装置122で表示可能な色は、色の三原色(赤,青,緑)について、それぞれの原色の輝度レベルによって決定される。例えば、三原色について、それぞれ輝度レベルに8ビットのデータを割り当てれば、83 =512色が表示できる。ただし、この場合には一画面表示させるだけでも膨大なデータ量が必要になるため、三原色について各1ビットのデータを割り当てて、指定可能な色を23
=8色とする。そして、電源投入時や遊技状態の変化時等に、指定された番号の色に対して表示する色を、上記の場合では512色の中から予め選択し、昇順に連続した番号を付しておく。その後、色彩番号に従って選択した8色を表示させる。こうした一連の色を表示させる制御をパレット制御と呼ぶ。このパレット制御によって、同時に発色する色数は少なくても多色の中から任意に選択して使用できるので、多彩な色あいを出すことができる。なお、三原色や輝度レベルに割り当てるデータのビット数は、上記のビット数に限られない。すなわち、特別図柄表示装置122に表示する図柄の内容に応じて適切なビット数に設定すればよい。
ここで、特別図柄表示装置122に表示する図柄の具体的な一例を、図13と図14を参照しつつ説明する。図13(A)では、上述したステップS56の座標値設定によって、数字の「7」を示す図柄700が特別図柄表示装置122の画面中央部に表示されている。もし、ステップS56が実行されない場合は、画面の左上部(図柄702)に表示される。以下、この図柄700の位置からの変化を以下に示す。また、ステップS52のベクトル値設定(例えば、矢印D1方向への移動)により、図柄700は図13(B)に示すような画面の右下部(図柄704)に移動して表示される。
同様に、ステップS58の回転値設定(例えば反時計回り、すなわち矢印D2方向に90度回転)により、図柄700は図13(C)に示すように画面中央部に横向きに(図柄706)に表示される。さらに、ステップS60のスクロール値設定(例えば、矢印D3方向への移動)により、図柄700は図14(D)に示すように画面の中央上部(図柄708)へスクロールしながら表示される。そして、ステップS62の拡大縮小値設定(例えば、縦横2倍に拡大)により、図柄700は図14(E)に示すように画面中央部に拡大されて(図柄710)表示される。
それから、複合的な設定を行えば、図柄700は図14(F)に示すように画面の右下部に拡大され、しかも回転して表示される。この場合における設定は、ベクトル値(矢印D1方向への移動)、回転値(反時計回りに45度回転)、拡大縮小値(縦横2倍に拡大)である。このように、複合的な設定を行うことにより、一層複雑な図柄の表示を行うことができる。その反面、表示に必要な元の図柄を最小限に抑えることができるので、図柄を記憶するROM224の記憶容量を低く抑えることができる。
なお、図12に示すステップS50乃至ステップS62の処理は、設定する順番を任意の順番に変えて実行してもよい。この場合において、上記の組み合わせパターンで指定される要素に従って各ステップを実行するか否かが決まる。例えば、図9(C)に示す組み合わせパターン620の各要素は、図柄番号の他にベクトル値しかないため、ステップS52しか実行されない。同様に、図9(E)に示す組み合わせパターン540の各要素は、図柄番号の他に座標値しかないため、ステップS56しか実行されない。
また、組み合わせパターンで指定される要素にかかわらず、必要に応じて省略してもよい。すなわち、ステップS50を省略すればモノクロ表示になり、ステップS52を省略すれば図柄は画面上で移動することなく固定される。同様に、ステップS54を省略すれば、最初は優先順位の最も高いフレームが選択され、以降は順に優先順位の低いフレームが選択されるようになる。さらに、ステップS56を省略すれば、フレームの一面全体に対応する最初の座標(例えば、画面上における左上の座標)が指定される。そして、ステップS58を省略すれば図柄は回転することがなく、ステップS60を省略すれば図柄はスクロールすることがなく、ステップS62を省略すれば図柄の大きさが変化しない。
再び図8に戻り、ステップS28の画像表示処理が、シナリオデータで指定された表示期間内だけ繰り返す(ステップS30)。その後、上述したステップS24乃至ステップS30について、シナリオデータで指定された要素の数だけ繰り返す(ステップS32)。こうして、シナリオデータで指定された内容の図柄が特別図柄表示装置122に連続して(すなわち、アニメーションのように)表示される。
次に、上記の画像表示処理の具体的な処理内容について、図15を参照しつつ説明する。まず、図12に示すステップS52で設定されたベクトル値に従って図柄を移動させるシフト処理を行い(ステップS70)、ステップS58で設定された回転値に従って図柄を回転させる回転処理を行い(ステップS72)、ステップS60で設定されたスクロール値に従って図柄をスクロールさせるスクロール処理を行い(ステップS74)、ステップS62で設定された拡大縮小値に従って図柄を拡大(あるいは縮小)させる拡大縮小処理を行う(ステップS76)。なお、これらのステップの処理は、各フレームごとに行われる。
その後、表示する全てのフレームについてラスタ方向に沿ってスキャンし、図柄が重なる部分では優先順位の低い図柄よりも優先順位の高い図柄を優先して画像信号に変換し、特別図柄表示装置122に出力するスキャン処理を行う(ステップS78)。このスキャン処理によって、図柄が重なっている部分では優先順位の高い図柄が前景に表示されるように優先して合成され、特別図柄表示装置122に表示される。すなわち、優先順位の低い図柄は、優先順位の高い図柄に隠れた状態で表示される。なお、その他に、優先順位の低い図柄を優先順位の高い図柄と重ね合わせて表示するように構成してもよい。この構成では、より複雑な画面表示を行うことができる。
こうして、画像処理手段50の実行によって、ROM224に記憶されたシナリオデータに従って図柄(あるいは組み合わせパターンで指定される図柄)が読み出され、読み出された図柄は合成されて画像信号に変換され特別図柄表示装置122に出力される。このため、特別図柄表示装置122にはシナリオデータに従ったアニメーションが表示される。例えば、弾球遊技機100の遊技開始時において、特別図柄表示装置122に表示するキャラクタを紹介するアニメーションの例を図16と図17に示す。すなわち、キャラクタの図柄800,802,804を画面の左方向(矢印D10方向)に移動させるながら、図16(A)から図16(B)を経て図16(C)に至るまで行う。その後、登場したキャラクタ順に、その名前や特徴を図17(A),図17(B),図17(C)の順に紹介する。
同様に、遊技者に特別の利益が与えられる状態(すなわち、「大当たり」の状態)において、現在の遊技状態を遊技者に知らせるためのアニメーションの例を図18と図19に示す。すなわち、図18において、まずバラバラの破片が特別図柄表示装置122に現れ〔図18(A)〕、この破片が次第に集まって「大当たり」の文字が形成され〔図18(B)〕、四方に飛散するアニメーションを展開する〔図18(C)〕。そして、図19において、特別図柄表示装置122の画面中央部に小さい地球を模擬した図柄900が現れ〔図19(D)〕、この図柄900が地球の自転と同じように矢印D20方向に回転しながら次第に大きくなる〔図19(E)〕。その後、図19(F)に示すように、特別領域(図2に示す入賞口132)に入賞した遊技球Bの数に応じて背景などを変えながら、遊技者に特別の利益が与えられる状態の間は継続される。図の場合では、特別図柄表示装置122の画面の左上部に、特別領域に入賞した遊技球Bの数が図柄902で表示されている。
また、遊技中において遊技球Bが始動口に入賞した後、特別図柄表示装置122に表示された図柄が所定の図柄と一致して「大当たり」になった場合、特別図柄表示装置122の背景には所定の図柄を一面に表示するとともに、特別図柄表示装置122の前景には遊技球Bが特別領域(図2に示す入賞口132)を通過するごとに変化する図柄を表示する。こうした表示状態を「大当たり」が成立している期間だけ行う。上記の表示制御を行うことによって、変化に満ちており、しかも遊技状態に最適なアニメーションの表示がされた画面を遊技者に提供するとともに、「大当たり」による満足感を提供することができる。このため、遊技球を入賞させる楽しみに加えて、特別図柄表示装置122を見る楽しみを与える。また、シナリオデータの中に音楽番号を指定することにより、遊技状態に最適なBGMを流すことができるので、遊技者を飽きさせることなく興味を抱かせることができる。
さらに、図12に示すステップS50の色彩の設定(彩色処理)によって、特別図柄表示装置122の画面上で図柄の色が変化するため、遊技状態に応じてインパクトのある画面を遊技者に与えることができる。なお、図柄の色を変化させる他の方法としては、次に示すような方法がある。すなわち、特別図柄表示装置122の画面上で表示され、遊技者に特別の利益を与える状態を設定する図柄を予め定めておく。そして、確率切換手段30を実行した結果得られた確率を受けて、上記のステップS50の色彩の設定(彩色処理)において特別図柄表示装置122の画面上で図柄の色を変化させるように構成する。この構成によれば、遊技者は図柄に彩色された色の種別を見るだけで、切り換えられた確率の状態(すなわち、現在の遊技状態)を容易に判別することができる。
その他、組み合わせパターン(データ構造体)に設定された優先順位に従って背景(又は前景)に表示される図柄の色彩を、上記の確率切換手段30を実行した結果得られる確率に対応して設定する構成としてもよい。例えば、「大当たり」になる確率が高く設定された場合に、背景に表示される図柄の色彩を赤色に変更する。この構成によれば、特別図柄表示装置122の画面上で「大当たり」を確定させる判定図柄や他の装飾図柄を確率の値によって変える必要がなくなるので、内部処理が簡単になり、しかも確率状態が変化したことを素早く表示できる。
以上では弾球遊技機の一実施例について説明したが、この弾球遊技機におけるその他の部分の構造、形状、大きさ、材質、個数、配置および動作条件等についても、本実施例に限定されるものでない。例えば、表示装置60(具体的には、特別図柄表示装置122である。以下、同様)にはカラー液晶表示装置を適用したが、CRTやLED等のように、図柄が表示可能な他の表示装置を適用してもよい。
また、シナリオデータに基づく連続的な表示としてはアニメーションの場合を適用したが、例えば遊技者に遊技場の案内(文字情報)を表示したり、弾球遊技機100の遊技方法を表示したりする等のように、一画面では表示しきれない情報を連続的に表示する場合でも適用することができる。同様に、弾球遊技機100の遊技開始時から所定の入賞口に遊技球Bが入賞するごとに、例えば「桃太郎物語」のあらすじに沿って内容を表示装置60に表示し、鬼退治をした段階で「大当たり」となるように、物語性を持つようなシナリオデータにより連続的な表示を行なってもよい。このような構成によって、遊技者は遊技球を入賞させる楽しみに加えて、特別図柄表示装置122を見る楽しみを得ることができる。
そして、シナリオデータは図7に示す要素のパラメータからなるデータ構造体に限らず、図9と図10に示すパラメータを含むデータ構造体で構成してもよい。すなわち、各パラメータ{音楽番号,色彩番号,ベクトル値,座標値,回転値,スクロール値,拡大縮小値}のうち少なくとも一つのパラメータと、図柄番号を組み合わせたものを一つの要素としてもよい。なお、{ベクトル値,回転値,スクロール値,拡大縮小値}の各パラメータは、画面全体に対して作用させるためのパラメータである。例えば、ベクトル値を設定すれば画面全体がベクトル値で設定された方向に移動し、回転値を設定すれば画面全体が回転値で設定された方向に回転し、スクロール値を設定すれば画面全体がスクロール値で設定された方向にスクロールする。
上記の組み合わせは全部で126通りあり、その組み合わせの一例を以下に示す。ここでは、パラメータが{音楽番号,色彩番号,ベクトル値}と図柄番号の場合について示す。
(1)〔図柄番号,色彩番号〕
(2)〔図柄番号,音楽番号,色彩番号〕
(3)〔図柄番号,ベクトル値〕
(4)〔図柄番号,音楽番号,ベクトル値〕
(5)〔図柄番号,色彩番号,ベクトル値〕
(6)〔図柄番号,音楽番号,色彩番号,ベクトル値〕
その他、図柄データの転送処理(図6に示すステップS14、図11に示すステップS42)では、ROM224に格納された図柄データをそのまま表示制御回路234に転送するように構成したが、あらかじめ図柄データを所定の形式で圧縮してROM224に格納しておき、この圧縮された図柄データを読み出して特別図柄表示装置122に表示する際に、上記圧縮された図柄データを展開(復元)して表示制御回路234に転送するように構成してもよい。この構成では、図柄データを圧縮してROM224に格納することで、図柄データを格納するために必要な容量が大幅に抑えられる。このため、必要なROM224の容量を少なくすることができ、ひいては弾球遊技機100のコストを低く抑えることができる。
ここで、図柄データを圧縮する方式としては、MR(modified READ )方式やMMR(modified
modified READ)方式が望ましい。これらの方式では、MH方式(modified Huffman;行方向に1次元的に発生する黒又は白の連続する長さを、発生頻度の高いものほど短く符号化する方式)による1行目の符号化に続いて、2行目以降はその差分により符号化し、さらに差分符号化の行数(k)を限定し、k行目ごとにMH方式で符号化を行う。このため、効率のよい圧縮(k=2,4では、1/10〜1/15程度)が期待できる。したがって、メモリの記憶容量を大幅に削減することができる。同様に、ランレングス(Run-Length)符号化法、LZ(Lempel-Ziv)符号化法、算術符号化法、LZSS符号化法、LZW(Lempel-Ziv-Welch)符号化法などの符号化法によって図柄データを圧縮してもよい。これらの符号化法によれば、MR方式やMMR方式に匹敵する程度の圧縮率を得ることができる。その他、図柄データ(画像データ)を圧縮するのに適したその他の圧縮(符号化)方式によって図柄データを圧縮してもよい。例えば、ハフマン方式(出現頻度の高いパターンに短いビット列を与える方式)、連続コード圧縮方式(連続したコードを短く変換する方式)などがある。
また、図柄データは図柄記憶手段40の一つであるROM224に格納するように構成したが、電源起動時又はリセット時にあらかじめROM224からRAM226に図柄データを転送(あるいは展開)しておき、図柄を変動させるときはRAM226から表示制御回路234へ図柄データを転送するように構成してもよい。一般に、RAM226のアクセスタイムはROM224のアクセスタイムより速いので、表示制御回路234に図柄データ転送するために必要な時間を短縮することができる。
(発明の効果)以上説明したように、請求項1の発明では、アニメーションの表示により、遊技球を入賞させる楽しみに加えて、特別図柄表示装置122を見る楽しみを遊技者に与える。したがって、遊技者を飽きさせることなく、興味を抱かせ続けることができる。また、現在の遊技状態に対応するシナリオデータに従って、図柄記憶手段に記憶された図柄が順次表示装置の画面に表示されるように構成したので、遊技者は遊技する楽しみとともに、遊技状態ごとに順次変化する図柄を見る楽しみが与えられる。したがって、表示装置には同じ図柄が繰り返し表示されるようなことはないので、遊技者は表示装置を見ていて飽きることがない。
また、現在の遊技状態に対応するシナリオデータと組み合わせパターンに従って、図柄記憶手段に記憶された図柄が順次表示装置の画面に表示される構成としたので、表示装置には組み合わせパターンによって合成された図柄が遊技状態ごとに異なるアニメーションで表示が行われる。したがって、奥行きのあるアニメーションで表示を行うことができ、遊技者は表示装置を見る楽しみを得ることができる。
さらに、確率切換手段が現在の遊技状態に応じて確率を切り換え、この確率に従ってシナリオデータが選択されるように構成したので、同じ遊技状態であっても確率で異なるアニメーションで表示が行われる。したがって、より変化のあるアニメーションで表示が可能になり、遊技者を楽しませることができる。