JP4803055B2 - 高強度冷延鋼板用熱延鋼板の製造方法 - Google Patents

高強度冷延鋼板用熱延鋼板の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、自動車部品や電気機器部品などのプレス加工部品に用いられる冷延鋼板、特に440MPa以上の引張強度を有する高強度冷延鋼板の素材に用いられる熱延鋼板製造方法に関するものである。
自動車部品や電気機器部品などの、プレス加工して製造される部品に用いられる冷延鋼板には、引張強度TSが440MPa以上の高強度冷延鋼板が多く用いられるようになってきている。しかし、高強度冷延鋼板は、高強度化のために、各種の合金元素が多量に添加されるのが普通である。そのため、この種の高強度冷延鋼板は、製造条件の変動の影響を受けて、鋼中に存在する析出物の種類や量が多様に変化するため、高強度化に伴って、コイル内、特にコイルの長手方向における材質のばらつきが大きくなっているのが現状である。
鋼板の機械的特性、特に引張強度TSの変動は、プレス成形性のみならず、プレス成形後のスプリングバックにも大きな影響を及ぼすため、その変動を極力小さくすることが望まれており、特に自動車用鋼板においては、その要求は強い。一方、鋼板を製造する側にとっても、コイル内の材質均一化は、歩留まりを向上し、素材コストを低減する観点から、強く求められていることである。
冷延鋼板のコイル内の材質均一性を高める技術については、従来から、多くの提案がなされている。例えば、特許文献1には、Cを0.0070mass%以下に低減した鋼にTi,Nbを複合添加して、巻取温度を620℃以上とする熱間圧延を行うことで、コイル内の材質を均質化する技術が開示されている。この技術では、材質のバラツキの原因となるNを、AlNではなくTiNとして仕上熱延前に析出させ、また、Cは、(Ti,Nb)Cの複合炭化物として析出させている。しかし、実操業では、巻取温度が600℃以下となったり、あるいはコイル内において局部的に600℃以下となったりすることがあり、このような場合には、コイル内の析出挙動の変動により、材質のばらつきが大きくなるという問題がある。特に、Cに対するTi,Nbの原子比が低い場合には、Cの析出固定が不十分となり、比較的冷却され易いコイル先後端部での材質劣化が大きくなる。
また、特許文献2には、Cを0.0050超〜0.010mass%とし、(Nb%×12)/(C%×93)=1.6〜2.4に制御することで、強度、伸びなどの機械的特性の巻取温度依存性を小さくする技術が開示されている。しかしながら、この技術は、対象としている鋼板が、極低炭素鋼のIF鋼(Interstitial Free鋼)をベースとしたフェライト単相鋼であり、引張強度が440MPaを超える高強度鋼板については何ら言及していない。
C<0.01mass%以下の延性や絞り性等の成形性に優れる極低炭素鋼を高強度化して、TS440MPa以上の高強度鋼板を得る方法として、Si,Mn,Pなどの合金元素を多量に添加し固溶強化する方法がある。しかし、この方法は、鋼板の表面品質やめっき性の低下、二次加工脆性の顕在化などの問題を招くという問題がある。そのため、固溶強化の他に、炭窒化物形成元素を添加して析出強化を図る方法や低温変態組織を生成させて組織強化を図る方法を併用して高強度化する必要がある。
析出強化や組織強化を活用する場合には、Cが0.01mass%以上の低炭素鋼板をベースとした成分系とする必要がある。実用的には、析出強化と組織強化を併用することが多く、その場合、低温変態相を得るために必要な固溶C量を確保するため、強力な炭化物形成元素M(M;Nb,Ti,V等)とCの原子比M/Cを1未満にする必要があり、その結果、特許文献2に規定された成分系から外れた成分系、即ち、(Nb(%)×12)/(C(%)×93)<1の成分系(即ち、非IF鋼)とならざるを得ない。すなわち、析出強化と組織強化を積極的に活用する場合、組織強化は最終焼鈍の影響を強く受けるが、析出強化は熱延時の析出状態が大きく影響する。このような成分系(低炭素鋼)の場合、上記極低炭素鋼よりも、多種多量の析出物を生成することになり、特許文献1と同様、あるいはそれ以上に熱延コイル、特に先後端での析出物の析出状態を制御することが難しくなる。そのため、この成分系を素材とした冷延鋼板では、コイル内の材質が長手方向で不均一なものとなってしまう。
特公昭61−032375号公報 特開2000−303141号公報
上記に説明したように、高強度冷延鋼板の素材となる熱延鋼板のコイル内の材質均一化に有効な技術は、今のところ存在していないのが実情である。
そこで、本発明の目的は、引張強度TSが440MPa以上の高強度冷延鋼板の素材として好適な、コイル内の材質ばらつきの小さい熱延鋼板製造方法を提案することにある。
発明者らは、従来技術が抱える上記問題点を解決するために鋭意検討を重ねた。その結果、高強度冷延鋼板、特に、NbやTi,Vを添加した成分系を有する高強度冷延鋼板コイルの長手方向の材質(特に引張強度TS)のばらつきは、主に、素材となる熱延鋼板における析出物の析出状態のばらつきに起因していることを知見した。そして、上記ばらつきを防止するためには、熱間圧延後の熱延板に、均熱温度を500〜750℃とする連続焼鈍(熱延板焼鈍)を施し、熱延中に析出し切れなかったTi,Nb,V系の炭化物を追加析出させてやることが有効であることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、C:0.010〜0.20mass%、Si:2.0mass%以下、Mn:1.0〜3.0mass%、P:0.005〜0.1mass%、S:0.01mass%以下、Al:0.005〜0.5mass%、N:0.01mass%以下を含有し、さらに、Nb,TiおよびVのうちから選ばれる1種または2種以上をそれぞれ0.01〜0.3mass%の範囲で含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる成分組成を有する鋼スラブを熱間圧延し、400〜720℃(ただし、300℃以上、450℃以下の温度範囲を除く)の温度でコイルに巻き取り後、均熱温度を500〜750℃とする連続焼鈍を施すことを特徴とする高強度冷延鋼板用熱延鋼板の製造方法である。
本発明における鋼スラブは、上記成分組成に加えてさらに、Mo,Cr,CuおよびNiのうち選ばれる1種または2種以上を合計で0.5mass%以下含有することを特徴とする。
本発明によれば、コイル内の析出物の析出状態を均質化した高強度冷延鋼板用の熱延鋼板素材を提供することができるので、高強度冷延鋼板のコイル長手方向の材質ばらつき、特に、引張強度TSのばらつきを低減することができる。したがって、本発明によれば、鋼板製造における品質の安定化と歩留りの向上が図れるほか、プレス加工における加工性や作業性の向上、プレス製品の品質向上を図ることが可能となる。
本発明は、炭化物析出による析出強化を活用した高強度冷延鋼板を製造するに当たり、素材となる適正範囲の成分組成を有する熱延鋼板に、適正条件の連続焼鈍(熱延板焼鈍)を施して析出物の析出状態と組織の均一化を図り、もって、高強度冷延鋼板のコイル内の長手方向およびコイル間の機械的特性のばらつきを低減するところに特徴がある。
先ず、本発明の鋼板が有すべき成分組成について説明する。
C:0.01〜0.20mass%
Cは、Nb,Ti,V等と結合し、炭化物となって鋼中に析出することによって、また、結合していないCは、冷延後の焼鈍時に、フェライト相中にマルテンサイト相などの低温変態相を生成することによって、鋼板の強度を高めるので、高強度鋼板を製造するためには必須の元素である。これらの効果を得るためには、0.010mass%以上の含有量が必要である。一方、C含有量が0.20mass%を超える高炭素鋼板では、セメンタイト相の量や形状の制御が困難となり、コイル内の材質のばらつきを低減することが難しくなる。よって、C含有量は0.01〜0.20mass%の範囲とする。好ましくは、0.015〜0.15mass%である。
Si:2.0mass%以下
Siは、伸びを劣化することなく固溶強化できる元素であり、所望とする強度、延性に応じて添加する。好ましい添加量は、0.005mass%以上である。しかし、2.0mass%を超える多量の添加は、熱間圧延時に、赤スケールと呼ばれる表面欠陥を発生させて、鋼板の表面品質を損なう。また、溶融亜鉛めっき等の溶融めっき鋼板を製造する場合には、めっきの濡れ性を悪くする。よって、本発明では、Siの含有量の上限を2.0mass%とする。好ましくは、0.005〜1.50mass%の範囲である。
Mn:1.0〜3.0mass%
Mnは、鋼を固溶強化するのに有効な元素であると共に、マルテンサイト相が生成する臨界冷却速度を遅くして、仕上焼鈍後の冷却時におけるマルテンサイト相の生成を促進するので、組織強化を図るのに有効な元素である。また、Mnは、Sによる熱間割れを防止するのにも有効な元素でもある。そのため、Mnは、要求される強度、焼鈍時の冷却速度および表面品質の要求レベルに応じて、1.0mass%以上添加する必要がある。しかし、3.0mass%を超えると、成形性や溶接性の劣化を招く。よって、Mnは1.0〜3.0mass%の範囲で添加する。好ましくは、1.5〜2.5mass%の範囲である。
P:0.005〜0.1mass%
Pは、固溶強化元素であり、所望とする強度に合わせて添加することができる。しかし、過剰なPの添加は、粒界偏析により耐二次加工脆性を劣化させたり、溶接性を劣化させたりする。また、溶融亜鉛めっき後の合金化処理において、めっき層と鋼板との界面におけるFeの拡散を抑制するので、高温での合金化処理が必要となり、パウダリングやチッピングなどの密着不良が起こり易くなる。そのため、上限は0.1mass%とする。なお、Pの下限は、製鋼での脱燐コストの上昇を招くことから、0.005mass%とする。
S:0.01mass%以下
Sは、熱間脆性の原因となる他、鋼中に介在物として存在し、穴広げ性などの加工性を劣化させる有害な元素である。よって、Sは、少ないほど好ましく、本発明では、0.01mass%以下とする。
Al:0.005〜0.5mass%、
Alは、鋼の脱酸元素として添加される元素である他、鋼中の固溶NをAlNとして固定、析出して、耐常温時効性を向上する効果を有する。これらの効果を得るためには、0.005mass%以上の添加が必要である。しかし、過剰なAlの添加は、コストの上昇を招いたり、表面欠陥を誘発したりするので、上限を0.5mass%とする。
N:0.01mass%以下
Nは、固溶した状態では耐常温時効性を劣化させるため窒化物として固定する必要がある。しかし、N量が多いと、固定のためのNbやTi,V,Alの添加量が増加するため、少ないほど好ましく、本発明では、Nは、0.01mass%以下とする。
Nb,Ti,V:少なくとも1種の元素をそれぞれ0.01〜0.3mass%
Nb,TiおよびVは、炭窒化物を形成し、析出することによる析出強化や再結晶遅延効果による組織微細化により鋼板強度を高める効果があるため、高強度化を目的として添加される元素である。上記効果は、0.01mass%以上の添加で得ることができる。一方、0.3mass%を超える添加は、過剰な析出物による延性の低下を招く他、コストの上昇も招くので好ましくない。よって、いずれの元素もそれぞれ0.01〜0.3mass%の範囲で添加する。
Mo,Cr,Cu,Ni:少なくとも1種の元素を合計で0.5mass%以下
本発明の鋼板は、上記成分組成でも、TS≧440MPaの高強度を得ることは十分可能である。しかし、さらに低温変態相の量を増やして高強化を図る場合には、上記成分に加えてさらに、Mo,Cr,CuおよびNiのうちから選ばれる1種以上の元素を、合計で0.5mass%以下含有することが好ましい。0.5mass%以下とする理由は、上記効果が飽和することと、コストの上昇を抑制するためである。なお、上記効果を発現するためには、それぞれ0.05mass%以上添加することが好ましい。
なお、本発明の鋼板は、上記成分以外の残部は、Feおよび不可避的不純物からなることが好ましい。ただし、本発明の効果に悪影響を及ぼさない範囲であれば、上記以外の成分を含有することを拒むものではない。
次に、本発明の高強度冷延鋼板用熱延鋼板素材の製造方法について説明する。
鋼スラブ
本発明の高強度冷延鋼板の素材に用いる熱延鋼板は、主として上記成分組成を有する鋼スラブを熱間圧延して熱延鋼板とする工程と、該熱延鋼板を連続焼鈍により熱延板焼鈍する工程とからなる。
上記鋼スラブは、成分のマクロ偏析を防止するため、連続鋳造法で製造することが望ましいが、造塊法や薄スラブ鋳造法で製造してもよい。また、鋼スラブを熱間圧延するに際しては、スラブを一旦室温まで冷却し、その後、加熱炉で1050〜1300℃程度の温度に再加熱してから熱間圧延する従来の方法に加えて、スラブを室温まで冷却させずに温片の状態で加熱炉に装入し熱間圧延する温片装入法や、スラブを連続鋳造後、直ちにあるいは軽度の保熱を行ってから熱間圧延を行う直接圧延法などの省エネルギープロセスを採用してもよい。
熱間圧延
鋼スラブは、熱間粗圧延してシートバーとする。粗圧延の条件に特に制限はなく、定法に従って行うことができる。ただし、鋼スラブの加熱温度を低めにした場合には、圧延時のトラブル防止およびコイル長手方向および幅方向の温度分布を均一化する観点から、シートバーヒータやエッジヒータを活用し、局部加熱することが好ましい。シートバーは、その後、熱間仕上圧延し、熱延板とする。仕上圧延では、圧延荷重を低減するため、また、鋼板の形状や材質の均一化を図るために、全てのパス間あるいは一部のパス間で潤滑油を供給して潤滑圧延することが好ましい。この際の摩擦係数は、0.10〜0.25の範囲に制御することが望ましい。さらに、熱間圧延における操業安定性を確保すると共に、コイル長手方向の温度均一化、ひいては材質均一化を図る観点から、シートバー同士を接合して連続的に圧延する連続熱間圧延プロセスを採用することが好ましい。
熱間圧延の仕上圧延終了温度(FDT)は、熱延時の操業安定性を確保する観点から、通常行われているように、Ar変態点以上とするのが好ましい。熱間圧延後の巻取温度(CT)は、400〜720℃の範囲が好ましく、より好ましくは550〜700℃である。CTが720℃を超えると、コイル内の位置による冷却速度の差によって、熱延板組織や析出物の析出状態のばらつきが大きくなり、冷延鋼板の材質ばらつきの原因となったり、また、熱延板の結晶粒が粗大化するため、冷延焼鈍後の組織も粗大化して、強度低下や表面性状の劣化を招いたりするので好ましくない。
コイル巻取後の熱延板は、その後、必要に応じて酸洗等でスケール除去後、連続焼鈍ラインを用いて、500〜750℃の温度域で熱延板焼鈍を施すことが必要である。この熱延板焼鈍は、本発明において最も重要なプロセスであり、500〜750℃の温度域に加熱することによって、熱延時あるいはコイル巻取時に、析出しきれずに不均一となった炭化物や固溶Cを十分に追加析出させて、コイル内の位置による不均一を解消し、ひいては、最終冷延鋼板の材質の均一化を図ることが可能となる。なお、上記炭化物系の析出物は、単純なNbC,TiCおよびVC(或いはV)といった炭化物に限らず、(Nb,Ti)(C,N)や(Nb,Mo,V)Cなどのいわゆる複合炭化物であることが多い。特に、複合炭化物は、比較的熱的にも安定であることから、冷延焼鈍後の機械的特性の安定化に有効に寄与していると推測される。
また、仕上圧延後、鋼帯を強冷却して500℃未満でコイルに巻き取り、必要に応じて酸洗等でスケール除去後、連続焼鈍ラインを用いて、500〜750℃の温度域で熱延板焼鈍を施すことも有効である。巻取温度を500℃未満として、コイル巻取り段階での析出物の形成を極力抑えることにより、その後の熱延板焼鈍時において、析出物の均一微細析出を実現することができるからである。このプロセスでは、熱延板焼鈍時の平均加熱速度は10℃/秒以上とすることが好ましい。これは、析出物が析出するための駆動力を高めるためである。ただし、過剰な急速加熱は、加熱設備への負荷が大きくなるため、上限は20℃/秒程度とするのが好ましい。なお、このプロセスは、仕上圧延後から巻取りまでの段階で炭化物が析出し易い、NbやVが添加された鋼板において有効である。
なお、仕上圧延終了後の冷却は、圧延終了温度から(巻取温度+20℃)〜(巻取温度+60℃)の一次冷却停止温度までを冷却する一次冷却と、一次冷却停止温度から巻取温度までを冷却する2次冷却に分けて行うのが好ましい。上記一次冷却は、仕上圧延終了後からコイル巻取りまでの間の析出を極力抑制する観点からは、仕上圧延終了後、2秒以内に150℃/秒超えの平均冷却速度で冷却することが望ましい。該平均冷却速度は、好ましくは200℃/秒以上、より好ましくは300℃/秒以上である。なお、一次冷却速度の上限は、特に制限しないが、現状の設備能力では、例えば、板厚が4mmの場合の冷却速度の上限は520℃/秒程度である。また、二次冷却の冷却方法および冷却速度は特に限定する必要はなく、空冷、ラミナ冷却、ミスト冷却等、何れの方法で巻取温度まで冷却してもよい。
熱延板焼鈍の効果は、通常の連続焼鈍ラインで行われる短時間の熱処理で十分に得ることができる。ただし、箱焼鈍では、再びコイル内位置による析出物の析出状態や組織のばらつきを助長してしまうおそれがある他、保熱時間が長いため、結晶粒が粗大化し、結果として最終焼鈍後の組織も粗大化し、強度低下や表面性状の劣化を招くおそれがあるため好ましくない。また、連続焼鈍ラインによる熱処理でも、750℃を超える温度では、結晶粒の粗大化や2相(α+γ)域焼鈍となって熱延板組織が変化し、最終冷延鋼板の材質特性を劣化させるおそれがある。一方、500℃未満の温度では、炭化物が十分に析出しない。よって、本発明では、熱延板中の炭化物を十分に析出させ、かつ、最終特性を劣化させない熱延板組織を確保するため、500〜750℃の温度域で連続焼鈍を行う必要がある。
連続焼鈍による熱延板焼鈍後の冷却速度は、1〜20℃/秒程度とするのが望ましい。1℃/秒よりも遅くなると、セメンタイトが必要以上に析出し、最終冷延鋼板の材質特性を劣化させるおそれがある。一方、20℃/秒以上で急冷すると、熱延鋼板の組織中に低温変態相が出現して硬化し、冷間圧延負荷の増大を招いたり、最終冷延鋼板の材質特性を劣化させたりするので好ましくない。また、熱間仕上圧延後に強冷却し、コイル巻取温度を500℃未満とした場合、熱延板焼鈍において析出物を均一微細に析出させるためには、平均加熱速度(150〜(加熱温度−20)℃の範囲における平均加熱速度)は、10℃/秒以上とすることが好ましい。
熱延板焼鈍後の本発明の熱延鋼板は、酸洗して脱スケールし、その後、冷間圧延し、連続焼鈍による仕上焼鈍等の通常工程を経て、最終製品である高強度冷延鋼板とする。上記高強度冷延鋼板には、その後、電気めっきあるいは溶融めっき処理等を施して、表面処理鋼板とすることができる。また、上記冷延後の鋼板を、連続焼鈍設備を有する溶融めっきラインで、焼鈍とめっき処理を施し、表面処理鋼板としてもよい。なお、このようにして製造した高強度冷延鋼板あるいは表面処理鋼板には、形状矯正や表面粗度調整、機械的特性の改善を目的として、調質圧延(スキンパス圧延)やレベラ加工等を施してもよいことは勿論である。
なお、本発明の製造方法では、通常の高強度冷延鋼板の製造工程に対して、熱延板に熱処理を施す熱延板焼鈍工程が加わることになる。しかし、上記熱延板焼鈍工程は、例えば、ステンレス鋼板の製造では一般的な工程であり、しかも連続焼鈍であるため、大きな生産性の低下にはつながらず、むしろ、得られる効果(品質向上、歩留り向上等)の方が大きいため、好ましく採用することができる。
表1に示した成分組成を有する鋼を通常公知の製造方法に従って転炉で溶製し、連続鋳造法で鋼スラブとし、これらの鋼スラブを、表2に示した条件で、加熱し、熱間圧延し、コイルに巻き取って板厚が3.4mmの熱延板とし、次いで、表2に示した種々の条件で熱延板焼鈍を施した。その後、この熱延板を、酸洗し、同じく表2に示す条件で、冷間圧延して板厚が1.2mmの冷延板とし、仕上焼鈍を施した。得られた冷延焼鈍板のコイル長手方向の先端部(T部:コイル先端から2m)、中央部(M部)および後端部(B部:コイル後端から2m)からサンプルを採取し、引張特性の評価に供した。引張試験は、JIS5号引張試験片を、圧延方向に対して90°方向に採取し、この試験片をクロスヘッド速度10mm/minで引張り、引張強さTSおよび破断までの伸びElを測定した。なお、引張強さTSについては、T部、M部およびB部の値から、コイル内のTSのばらつきΔTSを、下記式;
ΔTS=√(((TS−TS)+(TS−TS))/3)
ここで、TS、TS、TSは、それぞれT部、M部、B部のTSを意味する。
を用いて求めた。
上記引張試験の結果を、表2に併記して示した。この結果から、本発明の成分組成に適合すると共に、本発明の条件を満たす熱処理を施した熱延板を用いて高強度冷延鋼板を製造した場合(No.2,6,9,14および17)には、延性Elを損ねることなく、コイル長手方向における引張強さTSのばらつきΔTSを、10MPa以内に低減することができることがわかる。なお、本発明の条件を満たす場合、T部、M部、B部の伸びの差も小さくなる傾向にある。一方、本発明の条件を外れる場合には、熱延板焼鈍を施しても、ばらつきは改善されないかあるいはさらに悪化している。
Figure 0004803055
Figure 0004803055
本発明の熱延鋼板は、自動車部品に用いられる高強度冷延鋼板用素材に限られるものではなく、例えば、家電製品やパイプに用いられる冷延鋼板用の熱延鋼板としても、好適に用いることができる。

Claims (2)

  1. C:0.010〜0.20mass%、
    Si:2.0mass%以下、
    Mn:1.0〜3.0mass%、
    P:0.005〜0.1mass%、
    S:0.01mass%以下、
    Al:0.005〜0.5mass%、
    N:0.01mass%以下を含有し、さらに、
    Nb,TiおよびVのうちから選ばれる1種または2種以上をそれぞれ0.01〜0.3mass%の範囲で含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる成分組成を有する鋼スラブを熱間圧延し、400〜720℃(ただし、300℃以上、450℃以下の温度範囲を除く)の温度でコイルに巻き取り後、均熱温度を500〜750℃とする連続焼鈍を施すことを特徴とする高強度冷延鋼板用熱延鋼板の製造方法。
  2. 上記成分組成に加えてさらに、Mo,Cr,CuおよびNiのうち選ばれる1種または2種以上を合計で0.5mass%以下含有することを特徴とする請求項1に記載の高強度冷延鋼板用熱延鋼板の製造方法。
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