JP4802477B2 - 不均一発泡体の製造方法 - Google Patents
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Description
気泡径や気泡密度が均一に分布した均一発泡体は、発泡体中のどの部分をとってもみな同程度の発泡特性となる。これに対して、気泡径や気泡密度の分布(以下、総称して「気泡分布」という場合がある。)が位置によって異なる不均一発泡体では、発泡特性もその気泡分布に応じて異なる。そのため、均一発泡体では実現できない高度な機能性を有することが期待されている。
不均一発泡体としては、例えば、気泡分布が連続的あるいは段階的(不連続的)な勾配となった傾斜発泡体や、未発泡領域と発泡領域が交互に部分配置された部分発泡体などが挙げられる。
また、特許文献2では、熱発泡性化合物と光重合性化合物を含む塗布層にフォトマスクを介して紫外線照射および加熱することで、非照射部で発泡し、照射部では重合による発泡抑制効果で未発泡となる方法が開示されている。
これらの方法では、露光強度を制御することにより、発泡状態の制御を行っている。
この発泡体は、熱可塑性プラスチックに二酸化炭素や窒素などの不活性ガスを高圧下もしくは超臨界状態下で含浸飽和(10重量%程度)させる工程(ガス飽和工程)と、その後に減圧および加熱して発泡させる工程(発泡工程)とを組み合わせて製造される。この発泡体の製造方法では、不活性ガスの含浸量を多くすることができるため、多数の微細気泡を形成させることが可能となる。
この製造方法で不均一発泡体を製造した例としては、特許文献4や特許文献5に開示された製造方法が挙げられる。特許文献4では、ガス飽和工程において不活性ガスの含浸濃度に勾配をつけている。また、特許文献5では、発泡工程においてガスを含浸したシートの表裏を異なる温度で加熱している。
東レリサーチセンター、「発泡体・多孔質体技術と用途展開」、1996年 技術情報協会、「樹脂の発泡成形技術」、2001年
したがって、実用上、化学発泡剤の添加量は制限されてしまい、気泡径を微細な範囲(とくに気泡径1μm以下)に留めつつ、気泡密度の高い領域を得ることは困難であった。
また、発泡状態の制御手段は実質的に露光強度の制御に限られるため、同一発泡体内でその気泡分布の方向を3次元に制御することは困難であった。
さらに、気泡分布の変化方向も表層から内部への厚さ方向に限定されてしまう。したがって、同一発泡体内でその気泡分布の方向を3次元に制御可能にさせることは困難であった。
[1]放射線エネルギーの作用によって酸を発生する酸発生剤または塩基を発生する塩基発生剤と、酸または塩基と反応して一種類以上の低沸点揮発性物質を分解脱離する分解発泡性官能基を有する分解発泡性化合物とを含有する発泡性組成物を成形体とする成形工程と、前記成形体に放射線エネルギー及び熱エネルギーを付与して発泡させる発泡工程とを備え、前記成形体にフォトマスクを介して放射線を照射することにより、前記成形体に付与する放射線エネルギーが、所定の不均一分布とされていることを特徴とする不均一発泡体の製造方法
[4]前記フォトマスクが、放射線を遮蔽する基材に開口部を設けたものである[1]又は[2]に記載の不均一発泡体の製造方法。
本発明では、(a)前記成形体に付与する放射線エネルギー、(b)前記成形体に付与する熱エネルギー、(c)前記成形体中の分解発泡性官能基濃度、(d)前記成形体中の酸発生剤または塩基発生剤の濃度のいずれか1以上の内、(a)前記成形体に付与する放射線エネルギーが所定の不均一分布とされ、これにより、所望の気泡分布を有する不均一発泡体が得られるようになっている。
本発明で用いる発泡組成物は、放射線エネルギー及び熱エネルギーの作用により発泡性が発現する組成物である。その発泡性組成物は、少なくとも次の2つの成分を含有する。
その一つは、放射線エネルギーの作用によって酸を発生する酸発生剤、または塩基を発生する塩基発生剤である。他の一つは、前記発生した酸または塩基と反応して一種類以上の低沸点揮発性化合物を分解脱離する分解発泡性化合物である。
本発明に使用する発泡性組成物に用いられる酸発生剤又は塩基発生剤には、一般的に化学増幅型フォトレジスト、及び光カチオン重合などに利用されている光酸発生剤や光塩基発生剤と呼ばれているものを用いることができる。
(1)ジアゾニウム塩系化合物
(2)アンモニウム塩系化合物
(3)ヨードニウム塩系化合物
(4)スルホニウム塩系化合物
(5)オキソニウム塩系化合物
(6)ホスホニウム塩系化合物
などから選ばれた芳香族もしくは脂肪族オニウム化合物のPF6 −、AsF6 −、SbF6 −、CF3SO3 −塩を挙げることができる。その具体例を下記に列挙するが、これら例示したものに限定されるものではない。
ビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン、
ビス(tert−ブチルスルホニル)ジアゾメタン、
ビス(p−メチルフェニルスルホニル)ジアゾメタン、
ビス(4−クロロフェニルスルホニル)ジアゾメタン、
ビス(p−トリルスルホニル)ジアゾメタン、
ビス(4−tert−ブチルフェニルスルホニル)ジアゾメタン、
ビス(2,4−キシリルスルホニル)ジアゾメタン、
ビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン、
ベンゾイルフェニルスルホニルジアゾメタン、
トリメチルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、
トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、
トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、
2,4,6−トリメチルフェニルジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、p−トリルジフェニルスルホニウム トリフルオロメタンスルホネート、
4−フェニルチオフェニルジフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、
4−フェニルチオフェニルジフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、
1−(2−ナフトイルメチル)チオラニウムヘキサフルオロアンチモネート、
1−(2−ナフトイルメチル)チオラニウムトリフルオロメタンスルホネート、
4−ヒドロキシ−1−ナフチルジメチルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、
4−ヒドロキシ−1−ナフチルジメチルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、
(2−オキソ−1−シクロヘキシル)(シクロヘキシル)メチルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、
(2−オキソ−1−シクロヘキシル)(2−ノルボルニル)メチルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、
ジフェニル−4−メチルフェニルスルホニウムパーフルオロメタンスルホネート、
ジフェニル−4−tert−ブチルフェニルスルホニウムパーフルオロオクタンスルホネート、
ジフェニル−4−メトキシフェニルスルホニウムパーフルオロブタンスルホネート、
ジフェニル−4−メトキシフェニルスルホニウムトシレート、
ジフェニル−4−イソプロピルフェニルスルホニウムトシレート
ジフェニルヨードニウムトシレート、
ジフェニルヨードニウムクロライド、
ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアルセネート、
ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロフォスフェート、
ジフェニルヨードニウムナイトレート、
ジフェニルヨードニウムパークロレート、
ジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、
ビス(メチルフェニル)ヨードニウムテトラフルオロボレート、
ビス(メチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロフォスフェート、
ビス(メチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、
ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、
ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロフォスフェート、
ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、
ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムパーフルオロブタンスルホネート、
2,4,6−トリ(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、
2−フェニル−4,6−ジトリクロロメチル−1,3,5−トリアジン、
2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ジトリクロロメチル−1,3,5−トリアジン、
2−ナフチル−4,6−ジトリクロロメチル−1,3,5−トリアジン、
2−ビフェニル−4,6−ジトリクロロメチル−1,3,5−トリアジン、
2−(4′−ヒドロキシ−4−ビフェニル)−4,6−ジトリクロロメチル−1,3,5−トリアジン、
2−(4′−メチル−4−ビフェニル)−4,6−ジトリクロロメチル−1,3,5−トリアジン、
2−(p−メトキシフェニルビニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、
2−(4−クロロフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、
2−(4−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、
2−(4−メトキシ−1−ナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、
2−(ベンゾ[d][1,3]ジオキソラン−5−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、
2−(4−メトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、
2−(3,4,5−トリメトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、
2−(3,4−ジメトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、
2−(2,4−ジメトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、
2−(2−メトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、
2−(4−ブトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、
2−(4−ペンチルオキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、
トリメチルオキシニウムテトラフロオロボレート、
トリエチルオキシニウムテトラフロオロボレート、
N−ヒドロキシフタルイミドトリフルオロメタンスルホネート、
N−ヒドロキシナフタルイミドトリフルオロメタンスルホネート、
(α−ベンゾイルベンジル)p−トルエンスルホネート、
(β−ベンゾイル−β−ヒドロキシフェネチル)p−トルエンスルホネート、
1,2,3−ベンゼントリイルトリスメタンスルホネート、
(2,6−ジニトロベンジル)p−トルエンスルホネート、
(2−ニトロベンジル)p−トルエンスルホネート、
(4−ニトロベンジル)p−トルエンスルホネート、
などが挙げられる。なかでも、ヨードニウム塩系化合物、スルホニウム塩系化合物が好ましい。
N−(フェニルスルホニルオキシ)スクシンイミド、
N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)スクシンイミド、
N−(10−カンファースルホニルオキシ)スクシンイミド、
N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)フタルイミド、
N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミド、
N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)ナフタルイミド、
N−(10−カンファースルホニルオキシ)ナフタルイミド。
(1)オキシムエステル系化合物
(2)アンモニウム系化合物
(3)ベンゾイン系化合物
(4)ジメトキシベンジルウレタン系化合物
(5)オルトニトロベンジルウレタン系化合物
などが挙げられ、これらは光エネルギーの照射により塩基としてアミンを発生する。その他にも、光の作用によりアンモニアやヒドロキシイオンを発生する塩基発生剤を用いてもよい。これらは、例えばN−(2−ニトロペンジルオキシカルボニル)ピペリジン、1,3−ビス〔N−(2−ニトロベンジルオキシカルボニル)−4−ピペリジル〕プロパン、N,N′−ビス(2−ニトロベンジルオキシカルボニル)ジヘキシルアミン、及びO−ベンジルカルボニル−N−(1−フェニルエチリデン)ヒドロキシルアミンなどから選ぶことができる。さらには加熱により塩基が発生する化合物を上記光塩基発生剤と併用してもよい。
本発明に使用する発泡性組成物に用いられる分解発泡性化合物(以下、分解性化合物と略す)は、酸または塩基と反応して一種類以上の低沸点揮発性物質(低沸点揮発性化合物)が分解脱離する化合物である。
低沸点とは、発泡時にガス化が可能な沸点、すなわち、発泡時の温度よりも低い沸点を有することを意味する。低沸点揮発性物質の沸点は、通常100℃以下であり、常温以下であることが好ましい。
低沸点揮発性物質としては、例えばイソブテン(沸点;−7℃) 、二酸化炭素(沸点;−79℃)、窒素(沸点;−196℃)などがあげられる。
分解性官能基の内、酸と反応するものとしては、−O−tBuの構造式で示されるtert−ブチルオキシ基、−CO−O−tBuの構造式で示されるtert−ブチルオキシカルボニル基、−O−CO−O−tBu の構造式で示されるtert−ブチルカーボネート基、ケト酸およびケト酸エステル基などが挙げられる。このとき、−tBuは−C(CH3)3を示す。
酸と反応して、tert−ブチルオキシ基およびtert−ブチルオキシカルボニル基はイソブテンガスを、tert−ブチルカーボネート基はイソブテンガスと二酸化炭素を、ケト酸部位は二酸化炭素を、ケト酸エステルたとえばケト酸tert−ブチルオキシ基は二酸化炭素とイソブテンガスを発生する。
塩基と反応するものとしては、ウレタン基、カーボネート基などが挙げられる。塩基と反応して、ウレタン基、カーボネート基は二酸化炭素ガスを発生する。
(1)非硬化性低分子系の分解性化合物群
(2)硬化性低分子系の分解性化合物群
(3)高分子系の分解性化合物群
上記分解性化合物群は単独で用いてもよいし、異なる2種以上を混合併用してもよい。(2)の硬化性低分子系の分解性化合物群、または(3)の高分子系の分解性化合物群を用いると、均一な微細気泡の形成が容易であり、強度的に優れた発泡体を得ることが可能であり好ましい。
以下に分解性化合物の具体例を列挙するが、これら例示したものに限定されるものではない。
1−tert−ブトキシ−2−エトキシエタン、
2−(tert−ブトキシカルボニルオキシ)ナフタレン、
N−(tert−ブトキシカルボニルオキシ)フタルイミド、
2,2−ビス[p−(tert−ブトキシカルボニルオキシ)フェニル]プロパンなど
(1)−b、非硬化性低分子系の分解性化合物群(塩基分解性)
N−(9−フルオレニルメトキシカルボニル)ピペリジンなど
tert−ブチルアクリレート、
tert−ブチルメタクリレート、
tert−ブトキシカルボニルメチルアクリレート、
2−(tert−ブトキシカルボニル)エチルアクリレート、
p−(tert−ブトキシカルボニル)フェニルアクリレート、
p−(tert−ブトキシカルボニルエチル)フェニルアクリレート、
1−(tert−ブトキシカルボニルメチル)シクロヘキシルアクリレート、
4−tert−ブトキシカルボニル−8−ビニルカルボニルオキシ−トリシクロ
[5.2.1.02,6]デカン、
2−(tert−ブトキシカルボニルオキシ)エチルアクリレート、
p−(tert−ブトキシカルボニルオキシ)フェニルアクリレート、
p−(tert−ブトキシカルボニルオキシ)ベンジルアクリレート、
2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)エチルアクリレート、
6−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)ヘキシルアクリレート、
p−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)フェニルアクリレート、
p−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)ベンジルアクリレート、
p−(tert−ブトキシカルボニルアミノメチル)ベンジルアクリレート、
(2−tert−ブトキシエチル)アクリレート、
(3−tert−ブトキシプロピル)アクリレート、
(1−tert−ブチルジオキシ−1−メチル)エチルアクリレート、
3,3−ビス(tert−ブチルオキシカルボニル)プロピルアクリレート、
4,4−ビス(tert−ブチルオキシカルボニル)ブチルアクリレート、
p−(tert−ブトキシ)スチレン、
m−(tert−ブトキシ)スチレン、
p−(tert−ブトキシカルボニルオキシ)スチレン、
m−(tert−ブトキシカルボニルオキシ)スチレン、
アクリロイル酢酸、メタクロイル酢酸
tert−ブチルアクロイルアセテート、
tert−ブチルメタクロイルアセテートなど
N−(tert−ブトキシカルボニルオキシ)マレイミド
4−[(1、1−ジメチル−2−シアノ)エトキシカルボニルオキシ]スチレン、
4−[(1、1−ジメチル−2−フェニルスルホニル)エトキシカルボニルオキシ]スチレン、
4−[(1、1−ジメチル−2−メトキシカルボニル)エトキシカルボニルオキシ]スチレン、
4−(2−シアノエトキシカルボニルオキシ)スチレン、
(1、1−ジメチル−2−フェニルスルホニル)エチルメタクリレート、
(1、1−ジメチル−2−シアノ)エチルメタクリレートなど
ポリ(tert−ブチルアクリレート)、
ポリ(tert−ブチルメタクリレート)、
ポリ(tert−ブトキシカルボニルメチルアクリレート)、
ポリ[2−(tert−ブトキシカルボニル)エチルアクリレート]、
ポリ[p−(tert−ブトキシカルボニル)フェニルアクリレート]、
ポリ[p−(tert−ブトキシカルボニルエチル)フェニルアクリレート]、
ポリ[1−(tert−ブトキシカルボニルメチル)シクロヘキシルアクリレート]、
ポリ{4−tert−ブトキシカルボニル−8−ビニルカルボニルオキシ−トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン}、
ポリ[2−(tert−ブトキシカルボニルオキシ)エチルアクリレート]、
ポリ[p−(tert−ブトキシカルボニルオキシ)フェニルアクリレート]、
ポリ[p−(tert−ブトキシカルボニルオキシ)ベンジルアクリレート]、
ポリ[2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)エチルアクリレート]、
ポリ[6−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)ヘキシルアクリレート]、
ポリ[p−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)フェニルアクリレート]、
ポリ[p−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)ベンジルアクリレート]、
ポリ[p−(tert−ブトキシカルボニルアミノメチル)ベンジルアクリレート]、
ポリ(2−tert−ブトキシエチルアクリレート)、
ポリ(3−tert−ブトキシプロピルアクリレート)、
ポリ[(1−tert−ブチルジオキシ−1−メチル)エチルアクリレート]、
ポリ[3,3−ビス(tert−ブチルオキシカルボニル)プロピルアクリレート]、
ポリ[4,4−ビス(tert−ブチルオキシカルボニル)ブチルアクリレート]、
ポリ[p−(tert−ブトキシ)スチレン]、
ポリ[m−(tert−ブトキシ)スチレン]、
ポリ[p−(tert−ブトキシカルボニルオキシ)スチレン]、
ポリ[m−(tert−ブトキシカルボニルオキシ)スチレン]、
ポリアクリロイル酢酸、ポリメタクロイル酢酸、
ポリ[tert−ブチルアクロイルアセテート]、
ポリ[tert−ブチルメタクロイルアセテート]
N−(tert−ブトキシカルボニルオキシ)マレイミド/スチレン共重合体など
ポリ{p−[(1、1−ジメチル−2−シアノ)エトキシカルボニルオキシ]スチレン}、
ポリ{p−[(1、1−ジメチル−2−フェニルスルホニル)エトキシカルボニルオキシ]スチレン}、
ポリ{p−[(1、1−ジメチル−2−メトキシカルボニル)エトキシカルボニルオキシ]スチレン}、
ポリ[p−(2−シアノエトキシカルボニルオキシ)スチレン]、
ポリ[(1、1−ジメチル−2−フェニルスルホニル)エチルメタクリレート]、
ポリ[(1、1−ジメチル−2−シアノ)エチルメタクリレート]、
ただし、分解発泡性官能基は、主にカルボン酸基または水酸基、アミン基からなる群の中から選ばれる親水性官能基に導入されやすいので、分解性化合物としては、親水性官能基に分解発泡性官能基を導入した分解性ユニットと、疎水性官能基を含む疎水性ユニットからなる複合化合物が好ましい。特に、ビニル系の共重合体化合物であることが好ましい。
疎水性ユニットとしては、メチル(メタ)アクリレートやエチル(メタ)アクリレートなどの脂肪族(メタ)アクリレート群、スチレン、メチルスチレン、ビニルナフタレンなどの芳香族ビニル化合物群、(メタ)アクリロニトリル化合物群、酢酸ビニル化合物群、塩化ビニル化合物群などが挙げられる。
tert−ブチルアクリレート/メチルアクリレート共重合体
tert−ブチルアクリレート/メチルメタクリレート共重合体
tert−ブチルメタクリレート/メチルアクリレート共重合体
tert−ブチルメタアクリレート/メチルメタクリレート共重合体
tert−ブチルアクリレート/エチルアクリレート共重合体
tert−ブチルアクリレート/エチルメタクリレート共重合体
tert−ブチルメタクリレート/エチルアクリレート共重合体
tert−ブチルメタクリレート/エチルメタクリレート共重合体
tert−ブチルアクリレート/スチレン共重合体
tert−ブチルアクリレート/塩化ビニル共重合体
tert−ブチルアクリレート/アクリロニトリル共重合体
p−(tert−ブトキシカルボニルオキシ)スチレン/スチレン共重合体
上記分解性化合物は、単独で用いてもよいし、異なる2種以上を混合併用してもよい。 上記分解性化合物は、分解発泡性官能基が分解脱離して気泡形成ガスを発生した後に、少なくとも一種類以上の疎水性官能基を含む化合物となる。
tert−ブチルアクリレート/p−(tert−ブトキシ)スチレン共重合体
tert−ブチルアクリレート/m−(tert−ブトキシ)スチレン共重合体
tert−ブチルアクリレート/p−(tert−ブトキシカルボニルオキシ)スチレン共重合体
tert−ブチルアクリレート/m−(tert−ブトキシカルボニルオキシ)スチレン共重合体
tert−ブチルメタクリレート/p−(tert−ブトキシカルボニルオキシ)スチレン共重合体
上記分解性化合物は、単独で用いてもよいし、異なる2種以上を混合併用してもよい。 上記分解性化合物は、分解発泡性官能基が分解脱離して気泡形成ガスを発生した後に、低吸湿性化合物となる。
本発明に使用する発泡性組成物には、酸発生剤または塩基発生剤と分解発泡性化合物以外に、成形体の骨格となる一般の樹脂を混合する必要がある場合がある。即ち、非硬化性低分子系の分解性化合物群を用いる場合は単独では成形できないので、下記の一般に用いられる樹脂と混合して用いる必要がある。一般の樹脂は、分解性化合物と混合した時に相溶でも非相溶でもどちらでもかまわない。
一般の樹脂としてはポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリオレフィン系複合樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリブタジエン樹脂、(メタ)アクリル樹脂、アクリロイル樹脂、ABS樹脂、フッ素樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリサルホン樹脂、塩化ビニル樹脂、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、でんぷん、ポリビニルアルコール、ポリアミド樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、及びシリコーン樹脂など一般に用いられる樹脂から適宜選択して用いることができる。また、分解性化合物から分解してガス化する低沸点揮発性物質を成形体内に内在させることを目的として、ガスバリヤ性樹脂を用いることもできる。ガスバリヤ性樹脂は、混合しても被覆または積層してもよく、低沸点揮発性物質を成形体内により内在させるには、成形体表面に被覆または積層するのが好ましい。
分解性発泡化合物のうち、硬化性低分子系の分解性化合物群および高分子系の分解性化合物群は単独で用いてもよいし、上記の一般に用いられる樹脂と混合して用いてもよい。
(1)脂肪族、脂環族、芳香族の1〜6価のアルコール及びポリアルキレングリコールの(メタ)アクリレート類
(2)脂肪族、脂環族、芳香族の1〜6価のアルコールにアルキレンオキサイドを付加させて得られた化合物の(メタ)アクリレート類
(3)ポリ(メタ)アクリロイルアルキルリン酸エステル類
(4)多塩基酸とポリオールと(メタ)アクリル酸との反応生成物
(5)イソシアネート、ポリオール、(メタ)アクリル酸の反応生成物
(6)エポキシ化合物と(メタ)アクリル酸の反応生成物
(7)エポキシ化合物、ポリオール、(メタ)アクリル酸の反応生成物
(8)メラミンと(メタ)アクリル酸の反応生成物
等を挙げることができる。
併用化合物の具体的な例として、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ラウリルアクリレート、ステアリルアクリレート、 2−エチルヘキシルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシブチルアクリレート、2−ヒドロキシブチルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、カプロラクトン変性テトラヒドロフルフリルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ジシクロヘキシルアクリレート、イソボロニルアクリレート、イソボロニルメタクリレート、ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレート、エトキシジエチレングリコールアクリレート、メトキシトリエチレングリコールアクリレート、メトキシプロピレングリコールアクリレート、フェノキシポリエチレングリコールアクリレート、フェノキシポリプロピレングリコールアクリレート、エチレンオキシド変性フェノキシアクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、2−エチルヘキシルカルビトールアクリレート、ω−カルボキシポリカプロラクトンモノアクリレート、フタル酸モノヒドロキシエチルアクリレート、アクリル酸ダイマー、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、アクリル酸−9,10−エポキシ化オレイル、マレイン酸エチレングリコールモノアクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチレンアクリレート、4,4−ジメチル−1,3−ジオキソランのカプロラクトン付加物のアクリレート、3−メチル−5,5−ジメチル−1,3−ジオキソランのカプロラクトン付加物のアクリレート、ポリブタジエンアクリレート、エチレンオキシド変性フェノキシ化リン酸アクリレート、エタンジオールジアクリレート、エタンジオールジメタクリレート、1,3−プロパンジオールジアクリレート、1,3−プロパンジオールジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、2−ブチル−2−エチルプロパンジオールジアクリレート、エチレンオキシド変性ビスフェノールAジアクリレート、ポリエチレンオキシド変性ビスフェノールAジアクリレート、ポリエチレンオキシド変性水添ビスフェノールAジアクリレート、プロピレンオキシド変性ビスフェノールAジアクリレート、ポリプロピレンオキシド変性ビスフェノールAジアクリレート、エチレンオキシド変性イソシアヌル酸ジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレートモノステアレート、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテルアクリル酸付加物、ポリオキシエチレンエピクロロヒドリン変性ビスフェノールAジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、エチレンオキシド変性トリメチロールプロパントリアクリレート、ポリエチレンオキシド変性トリメチロールプロパントリアクリレート、プロピレンオキシド変性トリメチロールプロパントリアクリレート、ポリプロピレンオキシド変性トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、エチレンオキシド変性イソシアヌル酸トリアクリレート、エチレンオキシド変性グリセロールトリアクリレート、ポリエチレンオキシド変性グリセロールトリアクリレート、プロピレンオキシド変性グリセロールトリアクリレート、ポリプロピレンオキシド変性グリセロールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ポリカプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等を挙げることが出来るが、これらに限られるものではない。
本発明に使用する発泡性組成物は、必要により、酸発生剤又は塩基発生剤と分解性化合物以外の添加物を含ませることができる。添加物としは、無機系または有機系化合物充填剤、並びに各種界面活性剤などの分散剤、多価イソシアネート化合物、エポキシ化合物、有機金属化合物などの反応性化合物および酸化防止剤、シリコーンオイルや加工助剤、紫外線吸収剤、蛍光増白剤、スリップ防止剤、帯電防止剤、ブロッキング防止剤、防曇剤、光安定剤、滑剤、軟化剤、有色染料、その他の安定剤等を一種類以上含ませてもよい。
添加剤を用いることにより、成形性や発泡性、光学的物性(とくに白色顔料の場合)、電気および磁気的特性(とくにカーボン等の導電性粒子の場合)などの向上が期待できる。
有機系化合物充填剤としては、例えば、木粉、パルプ粉などのセルロース系粉末、ポリマービーズなどが挙げられる。ポリマービーズとしては、例えばアクリル樹脂、スチレン樹脂又はセルロース誘導体、ポリビニル樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、ポリウレタン及びポリカーボネート、架橋用モノマーなどから製造されたものが使用できる。
これらの充填剤は、2種類以上混合したものであってもよい。
光安定剤の代表的なものとしては、ヒンダードアミン系化合物が挙げられる。
軟化剤として用いるエステル化合物としては、アルコールとカルボン酸からなる構造のモノまたはポリエステルであれば特に制限はなく、ヒドロキシル基およびカルボニル基末端を分子内に残した化合物でも、エステル基の形で封鎖された化合物でもよい。具体的には、ステアリルステアレート、ソルビタントリステアレート、エポキシ大豆油、精製ひまし油、硬化ひまし油、脱水ひまし油、エポキシ大豆油、極度硬化油、トリメリット酸トリオクチル、エチレングリコールジオクタノエート、ペンタエリスリトールテトラオクタノエートなどが挙げられる。
アミド化合物としては、アミンとカルボン酸からなる構造のモノまたはポリアミド化合物であれば特に制限はなく、アミノ基およびカルボニル基末端を分子内に残した化合物でも、アミド基の形で封鎖された化合物でもよい。具体的には、ステアリン酸アミド、ベヘニン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミド、トリメチレンビスオクチル酸アミド、ヘキサメチレンビスヒドロキシステアリン酸アミド、トリオクタトリメリット酸アミド、ジステアリル尿素、ブチレンビスステアリン酸アミド、キシリレンビスステアリン酸アミド、ジステアリルアジピン酸アミド、ジステアリルフタル酸アミド、ジステアリルオクタデカ二酸アミド、イプシロンカプロラクタム、およびこれらの誘導体が挙げられる。
発泡性組成物の成形工程は、発泡性組成物を所望の形状の成形体に成形する工程である。成形体の形状に特に限定はなく、発泡体の使用目的によって適宜決められる。一般的な形状としては、シート状物(フィルム状を含む)、ファイバー状物、ロッド状物などが挙げられる。シート状物においては、支持体を用いない独立のシートであっても支持体上に密着したシート層であってもよい。
本発明における成形工程は、形状を決定するための工程である。成形工程の段階における成形体は、固体でなく流動体であってもよい。例えば、特定の型に流し込んだ液状物も、本発明における成形体に含まれる。
シート状物の成形方法は、特開2004−2812号公報や、特願2003−199521号公報に記載される方法を用いることができる。一般的には、溶融押出成形や射出成形、塗工成形、プレス成形が好ましい。これらは積層化も可能である。
また、バッチ式でも連続式でもかまわない。発泡組成物が溶液の場合は、溶剤の乾燥処理を加えてもよい。
発泡性組成物は、組成によって、例えば150℃以上の加熱により分解してしまう場合もある。そのため、発泡工程の前に正味の発泡性能を失わないよう留意する必要がある。
例えば、押出成形において、樹脂の溶融粘度まで加熱してしまうと発泡性能が損なわれる場合、塗工成形と同様に溶媒を用いて発泡性組成物の溶液を調整し、常温で成形する溶液キャスト法のような方法をとることもできる。
発泡工程は、成形体に放射線エネルギーと熱エネルギーとを付与して発泡させる工程である。発泡工程は、成形体に放射線を照射する放射線照射工程と、成形体を加熱する加熱工程とを含み、放射線照射工程後に加熱工程が行われることが好ましい。放射線照射工程と加熱工程とを順次行うことにより、安定した発泡体が形成できる。これは、放射線照射工程で気泡核が生成し、加熱工程でその気泡核が成長するためであると考えられる。
なお、各工程は、連続的に行っても不連速的に行ってもよい。
放射線照射工程で使用する放射線としては、電子線、紫外線、可視光線、γ線等の電離性放射線などが好ましい。これらの中では電子線又は紫外線を用いることが特に好ましい。
紫外線ランプやレーザー、紫外発光ダイオードの発光波長は、発泡性組成物の発泡性を妨げないものであれば限定はないが、好ましくは、光酸発生剤または光塩基発生剤が酸または塩基を効率よく発生させられる発光波長がよい。すなわち、使用する光酸発生剤または光塩基発生剤の感光波長領域と重なる発光波長が好ましい。さらには、それら発生剤の感光波長領域における極大吸収波長または最大吸収波長と重なる発光波長が、発生効率が高くなるためより好ましい。紫外線のエネルギー照射強度は、発泡性組成物によって適宜決められる。
紫外線ランプを使用する場合は、照射強度が高いため、照射時間を短縮することができる。エキシマーランプやエキシマーレーザーを使用する場合は、その照射強度は弱いが、ほぼ単一光に近いため、発光波長が発生剤の感光波長に最適化したものであれば、より高い発生効率および発泡性が可能となる。照射光量を多くした場合、紫外線ランプによっては熱の発生が発泡性を妨げる場合がある。そのときは、コールドミラーなどの冷却処置を行なうことができる。
加熱工程で用いることのできる加熱器に特に制限はないが、接触加熱、誘導加熱、抵抗加熱、誘電加熱(およびマイクロ波加熱)、赤外線加熱により加熱ができるもの等が例示できる。
具体的には、放射熱を利用した電気あるいはガス式の赤外線ドライヤーや、電磁誘導を利用したロールヒーター、油媒を利用したオイルヒーター、電熱ヒーター、およびこれらの熱風を利用した熱風ドライヤーなどが挙げられる。
成形体に加熱体を接触させて加熱する接触加熱では、金属ブロック、金属板、金属ロールなどの加熱体が使用できる。
接触加熱では加圧しながら加熱してもよい。この場合、プレス成形の際に使用する加熱プレス機を用いることができる。
赤外線加熱の場合,赤外領域の波長0.76〜1000μmの電磁波を利用する。ヒータ表面温度および被加熱材料の赤外吸収スペクトルなどから、状況により選択される波長の最適帯は変化するが、好ましくは1.5〜25μm、さらに好ましくは2〜15μmの波長帯を用いることができる。
本発明により得られる発泡体は、気泡径や気泡密度の分布(上述のように、総称して「気泡分布」という場合がある。)が位置によって異なる不均一発泡体である。
本発明における「気泡径」は「気泡直径」の意味である。具体的には、発泡体断面の観察画像から画像解析した気泡直径を平均することにより求める。なお、平均は、断面画像の視野においてほぼその領域の中央付近から、気泡を100個以上測定されるような領域をサンプリングして求める。
気泡径は、分布の全範囲を通じて10μm以下であることが好ましく、さらに0.005〜10μmであることが好ましい。気泡径が0.005μmより小さいと発泡体ゆえの機能が発現され難いことがある。また、10μmより大きいと発泡体の表面の平滑性が不充分になる恐れがある。とくに厚さ100μm以下の薄物発泡体では外観不良となる場合が多いため、0.005〜1μmであることが特に好ましい。
本発明における気泡密度は、アルキメデス法により直接求めた体積密度(気泡も含めた体積を含む単位体積あたりの密度;g/cm3)や発泡倍率(発泡時の体積密度に対する未発泡時の体積密度の比;倍)、気泡数密度(未発泡の体積に対する気泡の個数;個/cm3)などの単位体積換算表示で評価してもよいし、発泡体断面の観察画像から画像解析して求めた気泡占有面積率(%)や気泡数面密度(個/cm2)などの単位面積換算表示で評価してもよい。本発明で得られる不均一発泡体では、同一発泡体中で位置により気泡密度が異なるため、測定に一定量の均一発泡体を必要とするアルキメデス法での単位体積換算表示よりも、断面画像からスポット的に測定が可能な単位面積換算表示で評価する方が好ましい。
気泡密度は、断面画像の視野においてほぼその領域の中央付近から、気泡を100個以上測定されるような領域をサンプリングして求める。
本発明の発泡体の気泡密度にとくに制限はないが、発泡体の機能を充分に発現させるためには、気泡数密度にして109個/cm3以上の範囲であることが好ましい。この値を単位面積換算すると、例えば、気泡径1μmであれば、気泡占有面積率にして0.8%以上であることが好ましい。
(部分発泡)
部分発泡は、(1)未発泡領域と発泡領域に別れている形態、あるいは低発泡領域と高発泡領域に別れている形態である。部分発泡体の中でも特に、(2)未発泡領域と発泡領域が交互に存在する形態、あるいは低発泡領域と高発泡領域が交互に存在する形態を交互発泡とも言う。
図1に、非発泡領域Ia,Ic,Ieと均一発泡領域Ib,Idとが交互に部分配置された交互発泡体を示す。また、図2に、小さい気泡径からなる均一発泡領域IIb,IIfと、大きい気泡径からなる均一発泡領域IIdとが、各々の非発泡領域IIa,IIc,IIe,IIgの間に交互に部分配置された交互発泡体を示す。図1、図2において、Mは成形体のマトリクス、Bは気泡である(以下の図においても同じ)。図1、図2いずれの図の発泡体においても、各領域の幅は任意に変えることができる
傾斜発泡としては、(3)発泡している領域において、気泡径または気泡密度が一方の端から他方の端(あるいは途中地点)に向って連続的に変化する形態、(4)発泡している領域において、気泡径または気泡密度が一方の端から他方の端(あるいは途中地点)に向って段階的に変化する形態、が挙げられる。
段階的に変化する状態としては、気泡分布が異なる2段階以上の領域、例えば、低発泡領域と高発泡領域に別れている状態、あるいは、低発泡領域、中発泡領域、高発泡領域の順に変化する状態、あるいは4段階以上に変化する状態などが挙げられる。
このような分布の場合、連続的に変化している方向で3つの領域に3等分し、気泡径または気泡密度が最も小さい領域の平均的な気泡径をD1、平均的な気泡占有面積率をS1とし、気泡径または気泡密度の値が中間である領域の平均的な気泡径をD2、平均的な気泡占有面積率S2とし、気泡径または気泡密度が最も大きい領域の平均的な気泡径をD3、気泡占有面積率S3としたときに、D3/D1またはS3/S1の値が1.01以上、好ましくは1.1以上、より好ましくは1.2以上、特に好ましくは1.5以上である。平均的な値とは、断面画像の視野においてほぼその領域の中央付近から、気泡を100個以上測定されるような領域を選択してサンプリングして測定した値である。
このような分布の場合、気泡径または気泡密度が最も小さい領域(Va,VIa)の平均的な気泡径D1または平均的な気泡占有面積率S1に対して、気泡径または気泡密度が最も大きい領域(Vc,VIc)の平均的な気泡径D2または気泡占有面積率S2を比較したときに、D2/D1またはS2/S1の値が1.1以上、好ましくは1.2以上、より好ましくは1.5以上である。平均的な値とは、目視においてほぼその領域の中央付近から、気泡を100個以上測定されるような領域を選択してサンプリングして測定した値である。
その他の発泡形態として、(5)気泡径(D)または気泡密度(N)が、発泡体中の少なくとも一方向(x)において連続あるいは不連続な分布関数D=F(x)、N=F(x)をもつ形態が挙げられる。
(5)の発泡形態は、(1)または(2)と(3)または(4)の混在する形態や、(3)と(4)の中間あるいは混在する形態を含む。あるいは、全くランダムに未発泡または低発泡領域と高発泡領域が混在する形態も含む。
なお、図1〜図6では、いずれも、気泡数と気泡密度とは、各々独立して変化するものとして説明したが、通常、両者は共に変化しやすく、気泡数が増加するときは気泡密度も増加し、気泡数が減少すると気泡密度も減少する傾向にある。
所望の気泡分布は、(a)前記成形体に付与する放射線エネルギー、(b)前記成形体に付与する熱エネルギー、(c)前記成形体中の分解発泡性官能基濃度、(d)前記成形体中の酸発生剤または塩基発生剤の濃度のいずれか1以上を、所定の不均一分布とすることにより得られる。
成形体に付与する放射線エネルギーを、所定の不均一分布とする手法を説明する。
例えば、図7に示すように、成形体1の厚さ方向に沿って放射線を照射すると、透過深度による放射線エネルギーの到達量の相違により、厚さ方向に沿って気泡分布が減少する傾斜発泡体を得ることができる。
図10で用いたフォトマスク2の材質としては、酸発生剤に酸を、または塩基発生剤に塩基を発生させうる波長の放射線が透過しにくいものであることが好ましく、さらに、開口部を容易に形成できる材質であることが好ましい。例えば、板紙、金属板、樹脂シート、ガラス板などが挙げられる。
平行光を照射するための露光システムとしては、例えば、インテグレーターと放物鏡を利用した光学系、フレネルレンズを利用した光学系、ハニカムボードと拡散板を利用した光学系などが挙げられる(http://www.kuranami.co.jp/toku_guide01.htm参照)。
高い均一性を得るには、インテグレーターと放物鏡を利用した光学系が一般的に好ましく、この光学系に用いる光源としては、ショートアークランプが好ましい。ショートアークランプには、メタルハライドランプや超高圧水銀ランプ、水銀キセノンランプ、ナトリウムランプ、Y線ランプが挙げられる。発泡性組成物からなる成形体にフォトマスクを密着させた後、紫外線の平行光を照射して加熱発泡することで、数μm幅のライン&スペースパターンをもつ部分発泡が得られる。そのときのエッジも鮮明に転写することができる。
また、干渉縞を発生させた放射線を照射する方法も可能である。
熱エネルギーの分布は、加熱温度により調整することが好ましい。
例えば、図11に示すように、放射線エネルギーを付与した後の成形体1を加熱する際に、上面加熱温度T1と下面加熱温度T2とを異なるものとすれば、傾斜発泡体が得られる。ここで、T1>T2であれば、上面側の方が下面側よりも、気泡数及び/又は気泡密度が大きくなる。
もちろん、平面方向に加熱温度を変えられる加熱器を用いると、平面方向にそった傾斜発泡体ができる。
図12は、領域XIIb,XIId,XIIfに対して、熱記録用プリンターによる加熱を行うことによって得られる部分発泡体である。
図13は、図示右から左に向かって、付与する熱エネルギーが増加するように、熱記録用プリンターによる加熱を行うことによって得られる傾斜発泡体である。
成形体中の分解発泡性官能基濃度、及び/又は成形体中の酸発生剤(あるいは塩基発生剤)の濃度を分布は、組成の異なる複数の発泡性組成物を用いることによって調整することが好ましい。
具体的には以下のものが挙げられる。
1)分解性化合物及び/又は酸発生剤(あるいは塩基発生剤)の混合比が異なるシート状物を積層した独立シート。
2)分解性化合物及び/又は酸発生剤(あるいは塩基発生剤)の混合比が異なる塗料を支持体上に重ね塗工し積層したシート層。
3)分解性化合物及び/又は酸発生剤(あるいは塩基発生剤)の混合比が異なる塗料を支持体上に並列塗工したシート層。
4)発泡性組成物と非発泡性組成物のシート状物を積層した独立シート。
5)発泡性組成物の溶液と非発泡性組成物の塗料を支持体上に重ね塗工し積層したシート層。
6)発泡性組成物の溶液と非発泡性組成物の塗料を支持体上に並列塗工したシート層
気泡分布の不均一化のための手法として上述した放射線エネルギーの不均一化、熱エネルギーの不均一化、及び発泡性組成物の不均一化の各手法は、各々他の手法と互いに独立して気泡分布に影響を与えることができる。したがって、これらの手法の2以上を組み合わせることにより、同一発泡体内でその気泡分布の方向を3次元に制御することが可能である。
上述のように、気泡数と気泡密度とは、共に変化しやすく、気泡数が増加するときは気泡密度も増加し、気泡数が減少すると気泡密度も減少する傾向にある。
しかし、発泡性組成物の組成を調整すること等により、何れか一方を重点的に変化させることも可能である。
たとえば、発泡性組成物のガラス転移点を高めにすることにより、気泡径を比較的小さく保ったままで、主として気泡密度を変化させることも可能である。また、3次元架橋性の発泡性組成物を用いることにより、気泡径を比較的小さく保ったままで、主として気泡密度を変化させることも可能である。
<発泡体シートの作製>
(1)塗布層の形成
分解性化合物であるtert−ブチルアクリレート(60重量%)とメチルメタクリレート(30重量%)とメタクリル酸(10重量%)の共重合体100部に対して、ヨードニウム塩系酸発生剤としてビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムパーフルオロブタンスルホネート(商標:BBI−109、ミドリ化学製)3部を混合し、これを酢酸エチルに溶解して固形分含有量:25%の溶液を調製し、これを塗布液として用いた。
この塗布液を、厚さ75μmの透明ポリエチレンテレフタレートこれを酢酸エチルに溶解して固形分含有量:25%の溶液を調製し、これを塗布液として用いた。この塗布液を、厚さ75μmの透明ポリエチレンテレフタレート(商標:ルミラー75−T60、パナック製)からなる支持体の片面上に、塗布用ギャップ幅300μmのアプリケーターバーを用いて塗工した。その後、すぐに、温度110℃の恒温乾燥機内に5分間放置して溶媒を蒸発除去した。薄膜状の無色透明な塗布層がポリエチレンテレフタレート支持体上に形成された。塗布層の厚さは40〜50μmの範囲内に調製した。
前記工程(1)により形成された塗布層の上に、ライン&スペースパターンのクロムマスク(石英ガラス製)を密着させて、フォトマスク側から紫外線照射を行なった。ライン&スペースパターンは、紫外線を透過するライン(幅100μm)と、紫外線を完全透過しないライン(隙間;幅100μm)とが交互に並んでいるものを用いた。紫外線には、メタルハライドランプを光源として、照射線量2000mJ/cm2となるように照射した。照射後、クロムマスクを取り除いて得られた塗布層は、工程(1)後の塗布層と変わらず、無色透明なままであった。
前記工程(2)によって得られた塗布層を支持体から剥離し、その単一フィルムを110℃の温度に保持した恒温器内で5分間加熱処理させた。加熱後のフィルムをマイクロスコープ(商標:KH−2700、HiRox製)で観察したところ、図16に示すように、紫外線照射部10が線幅100μmのライン状に白く発泡し、未照射部20が無色透明の未発泡部のままであることが確認できた。
前記工程(3)によって得られたフィルムの紫外線照射部10における発泡構造を、走査電子顕微鏡(商標:S−510、日立製作所製)観察により確認した。断面観察は、前記フィルムを液体窒素中に浸して凍結割断した断面を金属蒸着処理した後、走査型電子顕微鏡(商標:S−510、日立製作所製)にて行なった。これを図17に示す。
発泡構造は、観察画像から算出した気泡径および気泡密度で評価を行なった。具体的には、観察画像(拡大倍率5000倍)から合計150個程度の気泡群が内在している区画を無作為に選び出し、それら気泡群とそれ以外のマトリックスとを2値化処理してから画像解析装置(商標:イメージアナライザーV10、TOYOBO製)を用いて気泡径および気泡密度について評価した。このとき、気泡径としては気泡直径の平均値(μm)を求め、気泡密度としては気泡占有面積率(%)を求めた。
その結果、線幅100μmのライン状に白く発泡した紫外線照射部10は、気泡径0.25μm、気泡占有面率28%となっていた。一方、無色透明な未照射部20に気泡は観察されなかった。このように、気泡径1μm以下の発泡領域をもつ部分発泡体を得ることができた。
実施例1と同様にして、気泡分布をもつ発泡体を作製した。但し、実施例1の工程(2)において、ライン&スペースパターンの代わりに直径3μmのドット状パターンのクロムマスクを用い、紫外線はY線ランプ(ピーク波長214nm)から取出された均一平行光を用いて、照射線量1J/cm2照射した。
得られた発泡体は、図18に示すように、直径3μmの紫外線照射部10が、ドット状に白く発泡していた。また、その発泡構造は実施例1と同様であった。一方、未照射部20は無色透明で、気泡は観察されなかった。このように、平行光を用いることで、数μmレベルの部分を発泡させた部分発泡を得ることができた。
実施例1と同様にして、気泡分布をもつ発泡体を作製した。但し、実施例1の工程(2)において、ライン&スペースパターンの代わりに連続的な階調パターンのフォトマスクを用いた。得られた発泡体は、図19に示すように、マスクの透過率が高い方から低い方にそって、徐々に白くなるように発泡した。発泡構造は、図20に示すように、白く変化していく中で代表的な5点(a〜e)について評価したところ、同一フィルム中で気泡径および気泡占有密度が徐々に増加していることが確認できた。具体的には、a〜e点までの各々の発泡構造は、(a)気泡径0.17μm、気泡占有面率4%(b)気泡径0.22μm、気泡占有面率9%(c)気泡径0.29μm、気泡占有面率16%(d)気泡径0.34μm、気泡占有面率22%(e)気泡径0.42μm、気泡占有面率32%となっていた(図21参照)。このように、気泡分布が連続的な勾配を有する傾斜発泡体を得ることができた。
実施例1の工程(1)において、塗布層の厚さが400μmとなるように積層塗工させた。この積層シートに、紫外線を1000mJ/cm2となるように照射した。紫外線ランプは、出力120w/cmのメタルハライドランプを用いた。照射後の積層シートを、温度が異なる2つの金属ロールの間に通して加熱処理を施し発泡させた。このとき、一方の金属ロールの温度を100℃、もう一方の金属ロールを130℃に調整させた。
その結果、温度が高いロールに接触した積層シート表面から、他方の表面(温度が低いロールに接触した積層シート表面)へ向かって、気泡径が0.1〜1μm、気泡占有面積率が4〜30%の勾配を有する傾斜発泡体を得ることができた。
tert−ブチルアクリレートとメチルメタクリレートの共重合比が、tert−ブチルアクリレート/メチルメタクリレート=80/20、60/40、40/60となる3種類の分解性化合物を用いて、前記順序どおりに積層させたシートを塗工により作成した。このとき、各層には分解性化合物100部に対してBBI−109が3部混合されている。各層の厚さは50μm厚となるように調整した。この積層シートに、紫外線を1000mJ/cm2となるように照射した。紫外線ランプは、出力120w/cmのメタルハライドランプを用いた。照射後に、110℃2分加熱することで発泡させた。
その結果、tert−ブチルアクリレートの共重合比が少ない層から多い層に向かって、気泡径と気泡占有面積率が増大した、厚さ方向に段階的に気泡分布が変化する傾斜発泡体を得ることができた。
M・・・マトリクス、B・・・気泡
Claims (4)
- 放射線エネルギーの作用によって酸を発生する酸発生剤または塩基を発生する塩基発生剤と、酸または塩基と反応して一種類以上の低沸点揮発性物質を分解脱離する分解発泡性官能基を有する分解発泡性化合物とを含有する発泡性組成物を成形体とする成形工程と、
前記成形体に放射線エネルギー及び熱エネルギーを付与して発泡させる発泡工程とを備え、
前記成形体にフォトマスクを介して放射線を照射することにより、前記成形体に付与する放射線エネルギーが、所定の不均一分布とされていることを特徴とする不均一発泡体の製造方法。 - 前記発泡工程が、前記成形体に放射線を照射する放射線照射工程と、該放射線照射工程後に前記成形体を加熱する加熱工程とを含む請求項1に記載の不均一発泡体の製造方法。
- 前記フォトマスクが、放射線を透過する基材に放射線を遮蔽するインクで印刷を施したものである請求項1又は請求項2に記載の不均一発泡体の製造方法。
- 前記フォトマスクが、放射線を遮蔽する基材に開口部を設けたものである請求項1又は請求項2に記載の不均一発泡体の製造方法。
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