JP4218599B2 - 繊維状発泡体およびその製造方法 - Google Patents
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本発明の繊維状発泡体は、発色性、嵩高性、ドライ感、ふくらみ感、ソフト感、通気性、断熱性、低誘電率性、光散乱性、光反射性、隠蔽性、白色性、不透明性、波長選択的反射および透過性、軽量性、浮揚性、遮音性、吸音性、緩衝性、クッション性、吸収性、吸着性、貯蔵性、透過性、濾過性、などの特性を要求される繊維状発泡体として有用なものである。
このマイクロセルラープラスチックは、物理発泡剤として二酸化炭素や窒素などの不活性ガスを、高圧下もしくは超臨界状態下においてプラスチック中に含浸飽和させた後、減圧および加熱することによって得られる。この方法では、不活性ガスの含浸量が多いほど、気泡直径を小さくかつ気泡密度を高くすることができる。そのために高圧含浸で高い飽和含浸量を得るのであるが、飽和に達するまでに長い時間を要するという問題点がある。例えば、ポリエチレンテレフタレート中に二酸化炭素を含浸飽和させるには、数日間を要するという報告があり、製造効率の悪さが問題となっている。不活性ガスの含浸時間を短くするため、含浸しやすい材料を用いると、次に示すガス抜け現象が起こりやすくなるという基本原理上のジレンマを抱えている。ガス抜け現象とはプラスチックに高圧状態で含浸されたガスの一部分が、減圧工程で発泡前にプラスチック表面から放散するという現象である。不活性ガスのプラスチックへの含浸飽和濃度は10wt%程度と小さいため、表面からのガス抜けの影響を強く受けてしまう。とくに繊維やフィルムなどの細薄形状物の場合はその影響が顕著に現れるため、発泡体を得ることが難しかった。繊維の太さを示す繊度が数10dtex(数10μmの太さ)程度の細径繊維でミクロンオーダー、さらにはサブミクロンオーダーの気泡を有する繊維状発泡体を得ることは容易でなかった。よって微小気泡を有する繊維状発泡体の製造にこの方法を適応するのはきわめて困難であった。
本発明に使用する発泡性組成物に用いられる酸発生剤又は塩基発生剤には、化学増幅型フォトレジスト、及び光カチオン重合などに利用されている、光酸発生剤や光塩基発生剤と呼ばれているものを用いることができる。
(1)ジアゾニウム塩系化合物
(2)アンモニウム塩系化合物
(3)ヨードニウム塩系化合物
(4)スルホニウム塩系化合物
(5)オキソニウム塩系化合物
(6)ホスホニウム塩系化合物
などから選ばれた芳香族もしくは脂肪族オニウム化合物のPF6−、AsF6−、SbF6−、CF3SO3−塩を挙げることができる。その具体例を下記に列挙するが、これら例示したものに限定されるものではない。
ビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン、
ビス(tert−ブチルスルホニル)ジアゾメタン、
ビス(p−メチルフェニルスルホニル)ジアゾメタン、
ビス(4−クロロフェニルスルホニル)ジアゾメタン、
ビス(p−トリルスルホニル)ジアゾメタン、
ビス(4−tert−ブチルフェニルスルホニル)ジアゾメタン、
ビス(2,4−キシリルスルホニル)ジアゾメタン、
ビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン、
ベンゾイルフェニルスルホニルジアゾメタン、
トリメチルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、
トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、
トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、
2,4,6−トリメチルフェニルジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、p−トリルジフェニルスルホニウム トリフルオロメタンスルホネート、
4−フェニルチオフェニルジフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、
4−フェニルチオフェニルジフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、
1−(2−ナフトイルメチル)チオラニウムヘキサフルオロアンチモネート、
1−(2−ナフトイルメチル)チオラニウムトリフルオロメタンスルホネート、
4−ヒドロキシ−1−ナフチルジメチルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、
4−ヒドロキシ−1−ナフチルジメチルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、
(2−オキソ−1−シクロヘキシル)(シクロヘキシル)メチルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、
(2−オキソ−1−シクロヘキシル)(2−ノルボルニル)メチルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、
ジフェニル−4−メチルフェニルスルホニウムパーフルオロメタンスルホネート、
ジフェニル−4−tert−ブチルフェニルスルホニウムパーフルオロオクタンスルホネート、
ジフェニル−4−メトキシフェニルスルホニウムパーフルオロブタンスルホネート、
ジフェニル−4−メトキシフェニルスルホニウムトシレート、
ジフェニル−4−イソプロピルフェニルスルホニウムトシレート
ジフェニルヨードニウムトシレート、
ジフェニルヨードニウムクロライド、
ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアルセネート、
ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロフォスフェート、
ジフェニルヨードニウムナイトレート、
ジフェニルヨードニウムパークロレート、
ジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、
ビス(メチルフェニル)ヨードニウムテトラフルオロボレート、
ビス(メチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロフォスフェート、
ビス(メチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、
ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、
ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロフォスフェート、
ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、
ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムパーフルオロブタンスルホネート、
2,4,6−トリ(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、
2−フェニル−4,6−ジトリクロロメチル−1,3,5−トリアジン、
2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ジトリクロロメチル−1,3,5−トリアジン、
2−ナフチル−4,6−ジトリクロロメチル−1,3,5−トリアジン、
2−ビフェニル−4,6−ジトリクロロメチル−1,3,5−トリアジン、
2−(4’−ヒドロキシ−4−ビフェニル)−4,6−ジトリクロロメチル−1,3,5−トリアジン、
2−(4’−メチル−4−ビフェニル)−4,6−ジトリクロロメチル−1,3,5−トリアジン、
2−(p−メトキシフェニルビニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、
2−(4−クロロフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、
2−(4−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、
2−(4−メトキシ−1−ナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、
2−(ベンゾ[d][1,3]ジオキソラン−5−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、
2−(4−メトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、
2−(3,4,5−トリメトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、
2−(3,4−ジメトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、
2−(2,4−ジメトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、
2−(2−メトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、
2−(4−ブトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、
2−(4−ペンチルオキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、
トリメチルオキシニウムテトラフロオロボレート、
トリエチルオキシニウムテトラフロオロボレート、
N−ヒドロキシフタルイミドトリフルオロメタンスルホネート、
N−ヒドロキシナフタルイミドトリフルオロメタンスルホネート、
(α−ベンゾイルベンジル)p−トルエンスルホネート、
(β−ベンゾイル−β−ヒドロキシフェネチル)p−トルエンスルホネート、
1,2,3−ベンゼントリイルトリスメタンスルホネート、
(2,6−ジニトロベンジル)p−トルエンスルホネート、
(2−ニトロベンジル)p−トルエンスルホネート、
(4−ニトロベンジル)p−トルエンスルホネート、
などが挙げられる。なかでも、ヨードニウム塩系化合物、スルホニウム塩系化合物が好ましい。
さらには、下記に挙げる酸発生能を有するイミド化合物誘導体も使用できる。
N−(フェニルスルホニルオキシ)スクシンイミド、
N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)スクシンイミド、
N−(10−カンファースルホニルオキシ)スクシンイミド、
N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)フタルイミド、
N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミド、
N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)ナフタルイミド、
N−(10−カンファースルホニルオキシ)ナフタルイミド。
(1)オキシムエステル系化合物
(2)アンモニウム系化合物
(3)ベンゾイン系化合物
(4)ジメトキシベンジルウレタン系化合物
(5)オルトニトロベンジルウレタン系化合物
などが挙げられ、これらは活性エネルギー線の照射により塩基としてアミンを発生する。その他にも、光の作用によりアンモニアやヒドロキシイオンを発生する塩基発生剤を用いてもよい。これらは、例えばN−(2−ニトロペンジルオキシカルボニル)ピペリジン、1,3−ビス[N−(2−ニトロベンジルオキシカルボニル)−4−ピペリジル]プロパン、N,N’−ビス(2−ニトロベンジルオキシカルボニル)ジヘキシルアミン、及びO−ベンジルカルボニル−N−(1−フェニルエチリデン)ヒドロキシルアミンなどから選ぶことができる。さらには加熱により塩基が発生する化合物を上記光塩基発生剤と併用してもよい。
本発明に使用する発泡性組成物に用いられる分解発泡性化合物(以下、分解性化合物と略す)は、酸または塩基と反応して一種類以上の低沸点揮発性物質(低沸点揮発性化合物)が分解脱離する。すなわち、この分解性化合物には、低沸点揮発性物質を発生し得る分解性官能基があらかじめ導入されていなければならない。低沸点揮発性物質とは発泡時にガス化する物質であって、その沸点は発泡加熱温度以下で、通常100℃以下、好ましくは常温以下である。低沸点揮発性物質としては、例えばイソブテン(沸点−7℃) 、二酸化炭素(沸点−79℃)、窒素(沸点−196℃)などがあげられる。分解性官能基としては、酸と反応するものとしてtert−ブチル基、tert−ブチルオキシカルボニル基、ケト酸およびケト酸エステルを含有する部位などが挙げられ、塩基と反応するものとしてウレタン基、カーボネート基などが挙げられる。酸と反応して、tert−ブチル基はイソブテンガスを、tert−ブチルオキシカルボニル基はイソブテンガスと二酸化炭素を、ケト酸部位は二酸化炭素を、ケト酸エステルたとえばケト酸tert−ブチル基は二酸化炭素とイソブテンを発生する。塩基と反応して、ウレタン基、カーボネート基は二酸化炭素ガスを発生する。酸(または塩基)分解性化合物の例としては、モノマー、オリゴマー、高分子化合物(ポリマー)等を使用することができ、例えば、以下のような化合物群に分類することができる。
(1) 非硬化性低分子系の分解性化合物群
(2) 硬化性モノマー系の分解性化合物群
(3) 重合体系の分解性化合物群
硬化性モノマー系の分解性化合物に代表される例として、活性エネルギー線を照射したときに重合反応を生じるようなビニル基を含んだ活性エネルギー線硬化性化合物の場合には、均一な微細気泡の形成が容易であり、強度的に優れた繊維状発泡体を得ることが可能である。分解性化合物の具体例を下記に示す。
<酸分解性化合物>
1−tert−ブトキシ−2−エトキシエタン、
2−(tert−ブトキシカルボニルオキシ)ナフタレン、
N−(tert−ブトキシカルボニルオキシ)フタルイミド、
2,2−ビス[p−(tert−ブトキシカルボニルオキシ)フェニル]プロパンなど
<塩基分解性化合物>
N−(9−フルオレニルメトキシカルボニル)ピペリジンなど
<酸分解性化合物>
tert−ブチルアクリレート、
tert−ブチルメタクリレート、
tert−ブトキシカルボニルメチルアクリレート、
2−(tert−ブトキシカルボニル)エチルアクリレート、
p−(tert−ブトキシカルボニル)フェニルアクリレート、
p−(tert−ブトキシカルボニルエチル)フェニルアクリレート、
1−(tert−ブトキシカルボニルメチル)シクロヘキシルアクリレート、
4−tert−ブトキシカルボニル−8−ビニルカルボニルオキシ−トリシクロ
[5.2.1.02,6]デカン、
2−(tert−ブトキシカルボニルオキシ)エチルアクリレート、
p−(tert−ブトキシカルボニルオキシ)フェニルアクリレート、
p−(tert−ブトキシカルボニルオキシ)ベンジルアクリレート、
2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)エチルアクリレート、
6−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)ヘキシルアクリレート、
p−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)フェニルアクリレート、
p−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)ベンジルアクリレート、
p−(tert−ブトキシカルボニルアミノメチル)ベンジルアクリレート、
(2−tert−ブトキシエチル)アクリレート、
(3−tert−ブトキシプロピル)アクリレート、
(1−tert−ブチルジオキシ−1−メチル)エチルアクリレート、
3,3−ビス(tert−ブチルオキシカルボニル)プロピルアクリレート、
4,4−ビス(tert−ブチルオキシカルボニル)ブチルアクリレート、
p−(tert−ブトキシ)スチレン、
m−(tert−ブトキシ)スチレン、
p−(tert−ブトキシカルボニルオキシ)スチレン、
m−(tert−ブトキシカルボニルオキシ)スチレン、
アクリロイル酢酸、メタクロイル酢酸
tert−ブチルアクロイルアセテート、
tert−ブチルメタクロイルアセテートなど
N−(tert−ブトキシカルボニルオキシ)マレイミド
<塩基分解性化合物>
4−[(1,1−ジメチル−2−シアノ)エトキシカルボニルオキシ]スチレン、
4−[(1,1−ジメチル−2−フェニルスルホニル)エトキシカルボニルオキシ]スチレン、
4−[(1,1−ジメチル−2−メトキシカルボニル)エトキシカルボニルオキシ]スチレン、
4−(2−シアノエトキシカルボニルオキシ)スチレン、
(1,1−ジメチル−2−フェニルスルホニル)エチルメタクリレート、
(1,1−ジメチル−2−シアノ)エチルメタクリレートなど
<酸分解性化合物>
ポリ(tert−ブチルアクリレート)、
ポリ(tert−ブチルメタクリレート)、
ポリ(tert−ブトキシカルボニルメチルアクリレート)、
ポリ[2−(tert−ブトキシカルボニル)エチルアクリレート]、
ポリ[p−(tert−ブトキシカルボニル)フェニルアクリレート]、
ポリ[p−(tert−ブトキシカルボニルエチル)フェニルアクリレート]、
ポリ[1−(tert−ブトキシカルボニルメチル)シクロヘキシルアクリレート]、
ポリ{4−tert−ブトキシカルボニル−8−ビニルカルボニルオキシ−トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン}、
ポリ[2−(tert−ブトキシカルボニルオキシ)エチルアクリレート]、
ポリ[p−(tert−ブトキシカルボニルオキシ)フェニルアクリレート]、
ポリ[p−(tert−ブトキシカルボニルオキシ)ベンジルアクリレート]、
ポリ[2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)エチルアクリレート]、
ポリ[6−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)ヘキシルアクリレート]、
ポリ[p−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)フェニルアクリレート]、
ポリ[p−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)ベンジルアクリレート]、
ポリ[p−(tert−ブトキシカルボニルアミノメチル)ベンジルアクリレート]、
ポリ(2−tert−ブトキシエチルアクリレート)、
ポリ(3−tert−ブトキシプロピルアクリレート)、
ポリ[(1−tert−ブチルジオキシ−1−メチル)エチルアクリレート]、
ポリ[3,3−ビス(tert−ブチルオキシカルボニル)プロピルアクリレート]、
ポリ[4,4−ビス(tert−ブチルオキシカルボニル)ブチルアクリレート]、
ポリ[p−(tert−ブトキシ)スチレン]、
ポリ[m−(tert−ブトキシ)スチレン]、
ポリ[p−(tert−ブトキシカルボニルオキシ)スチレン]、
ポリ[m−(tert−ブトキシカルボニルオキシ)スチレン]、
ポリアクリロイル酢酸、ポリメタクロイル酢酸、
ポリ[tert−ブチルアクロイルアセテート]、
ポリ[tert−ブチルメタクロイルアセテート]
N−(tert−ブトキシカルボニルオキシ)マレイミド/スチレン共重合体など
<塩基分解性化合物>
ポリ{p−[(1,1−ジメチル−2−シアノ)エトキシカルボニルオキシ]スチレン}、
ポリ{p−[(1,1−ジメチル−2−フェニルスルホニル)エトキシカルボニルオキシ]スチレン}、
ポリ{p−[(1,1−ジメチル−2−メトキシカルボニル)エトキシカルボニルオキシ]スチレン}、
ポリ[p−(2−シアノエトキシカルボニルオキシ)スチレン]、
ポリ[(1,1−ジメチル−2−フェニルスルホニル)エチルメタクリレート]、
ポリ[1,1−ジメチル−2−シアノ)エチルメタクリレート]、
などを挙げることができる。
分解性官能基を導入したポリエーテル、ポリアミド、ポリエステル、ポリイミド、ポリビニルアルコール、デンドリマーなどの有機系高分子化合物を酸分解性又は塩基分解性重合体系化合物として用いることができる。さらには、シリカなどの無機系化合物に分解性官能基を導入した酸分解性又は塩基分解性重合体系化合物も含む。なかでも、分解性官能基は、カルボン酸基または水酸基、アミン基からなる群の中から選ばれる官能基を有する化合物群に導入されることが好ましい。
分解性発泡化合物のうち、硬化性モノマー系の分解性化合物群および重合体系の分解性化合物群は単独で用いてもよいし、上記の一般に用いられる樹脂と混合して用いてもよい。これに対して、非硬化性低分子系の分解性化合物群は単独では成形できないので、上記の一般に用いられる樹脂と混合して用いる必要がある。
tert−ブチルアクリレート/メチルメタクリレート共重合体
tert−ブチルメタクリレート/メチルアクリレート共重合体
tert−ブチルメタアクリレート/メチルメタクリレート共重合体
tert−ブチルアクリレート/エチルアクリレート共重合体
tert−ブチルアクリレート/エチルメタクリレート共重合体
tert−ブチルメタクリレート/エチルアクリレート共重合体
tert−ブチルメタクリレート/エチルメタクリレート共重合体
tert−ブチルアクリレート/スチレン共重合体
tert−ブチルアクリレート/塩化ビニル共重合体
tert−ブチルアクリレート/アクリロニトリル共重合体
p−(tert−ブトキシカルボニルオキシ)スチレン/スチレン共重合体
また、分解性化合物中の分解性ユニットおよび疎水性ユニットは、一種単独でまたは2種以上併用することができる。共重合の形式は、ランダム共重合、ブロック共重合、グラフト共重合などの任意に行なうことができる。また、疎水性ユニットの共重合比は、分解性化合物全量に対して5〜95質量%であることが好ましく、分解性化合物の分解発泡性および発泡構造の環境保存性を勘案すると、20〜80質量%がより好ましい。
上記分解性化合物は、単独で用いてもよいし、異なる2種以上を混合併用してもよい。 上記分解性化合物は、分解発泡性官能基が分解脱離して気泡形成ガスを発生した後に、少なくとも一種類以上の疎水性官能基を含む化合物となる。
tert−ブチルアクリレート/p−(tert−ブトキシ)スチレン共重合体
tert−ブチルアクリレート/m−(tert−ブトキシ)スチレン共重合体
tert−ブチルアクリレート/p−(tert−ブトキシカルボニルオキシ)スチレン共重合体
tert−ブチルアクリレート/m−(tert−ブトキシカルボニルオキシ)スチレン共重合体
tert−ブチルメタクリレート/p−(tert−ブトキシカルボニルオキシ)スチレン共重合体
さらには、ポリエステル、ポリイミド、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、ポリアクリロニトリル、フェノール樹脂、デンドリマーからなる群の中から選ばれた低吸湿性高分子材料などに分解発泡性官能基を導入してもよい。
上記分解性化合物は、単独で用いてもよいし、異なる2種以上を混合併用してもよい。上記分解性化合物は、分解発泡性官能基が分解脱離して気泡形成ガスを発生した後に、低吸湿性化合物となる。
本発明に使用する発泡性組成物には、酸発生剤または塩基発生剤と分解発泡性化合物以外に、他の活性エネルギー線硬化性不飽和有機化合物を組み合わせて用いてもよい。併用化合物の例としては、
(1)脂肪族、脂環族、芳香族の1〜6価のアルコール及びポリアルキレングリコールの(メタ)アクリレート類
(2)脂肪族、脂環族、芳香族の1〜6価のアルコールにアルキレンオキサイドを付加させて得られた化合物の(メタ)アクリレート類
(3)ポリ(メタ)アクリロイルアルキルリン酸エステル類
(4)多塩基酸とポリオールと(メタ)アクリル酸との反応生成物
(5)イソシアネート、ポリオール、(メタ)アクリル酸の反応生成物
(6)エポキシ化合物と(メタ)アクリル酸の反応生成物
(7)エポキシ化合物、ポリオール、(メタ)アクリル酸の反応生成物
(8)メラミンと(メタ)アクリル酸の反応生成物
等を挙げることができる。
併用化合物の具体的な例として、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ラウリルアクリレート、ステアリルアクリレート、 2−エチルヘキシルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシブチルアクリレート、2−ヒドロキシブチルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、カプロラクトン変性テトラヒドロフルフリルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ジシクロヘキシルアクリレート、イソボロニルアクリレート、イソボロニルメタクリレート、ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレート、エトキシジエチレングリコールアクリレート、メトキシトリエチレングリコールアクリレート、メトキシプロピレングリコールアクリレート、フェノキシポリエチレングリコールアクリレート、フェノキシポリプロピレングリコールアクリレート、エチレンオキシド変性フェノキシアクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、2−エチルヘキシルカルビトールアクリレート、ω−カルボキシポリカプロラクトンモノアクリレート、フタル酸モノヒドロキシエチルアクリレート、アクリル酸ダイマー、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、アクリル酸−9,10−エポキシ化オレイル、マレイン酸エチレングリコールモノアクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチレンアクリレート、4,4−ジメチル−1,3−ジオキソランのカプロラクトン付加物のアクリレート、3−メチル−5,5−ジメチル−1,3−ジオキソランのカプロラクトン付加物のアクリレート、ポリブタジエンアクリレート、エチレンオキシド変性フェノキシ化リン酸アクリレート、エタンジオールジアクリレート、エタンジオールジメタクリレート、1,3−プロパンジオールジアクリレート、1,3−プロパンジオールジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、2−ブチル−2−エチルプロパンジオールジアクリレート、エチレンオキシド変性ビスフェノールAジアクリレート、ポリエチレンオキシド変性ビスフェノールAジアクリレート、ポリエチレンオキシド変性水添ビスフェノールAジアクリレート、プロピレンオキシド変性ビスフェノールAジアクリレート、ポリプロピレンオキシド変性ビスフェノールAジアクリレート、エチレンオキシド変性イソシアヌル酸ジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレートモノステアレート、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテルアクリル酸付加物、ポリオキシエチレンエピクロロヒドリン変性ビスフェノールAジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、エチレンオキシド変性トリメチロールプロパントリアクリレート、ポリエチレンオキシド変性トリメチロールプロパントリアクリレート、プロピレンオキシド変性トリメチロールプロパントリアクリレート、ポリプロピレンオキシド変性トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、エチレンオキシド変性イソシアヌル酸トリアクリレート、エチレンオキシド変性グリセロールトリアクリレート、ポリエチレンオキシド変性グリセロールトリアクリレート、プロピレンオキシド変性グリセロールトリアクリレート、ポリプロピレンオキシド変性グリセロールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ポリカプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等を挙げることが出来るが、これらに限られるものではない。
本発明に使用する発泡性組成物には、必要により、無機充填剤、シリコーンオイルや加工助剤、軟化剤としての有機充填剤、紫外線吸収剤、蛍光増白剤、酸化防止剤、光安定剤、防曇剤、ブロッキング防止剤、その他の安定剤、帯電防止剤、スリップ防止剤、有色染料等、ステアリン酸亜鉛のような金属石鹸、並びに各種界面活性剤などの分散剤、多価イソシアネート化合物、エポキシ化合物、かつ有機金属化合物などの反応性化合物、滑剤、軟化剤、つや消し材、難燃剤等が一種類以上を添加してもよい。添加剤を用いることにより、発泡性や光学的物性(とくに白色顔料の場合)、電気および磁気的特性(とくにカーボンブラック等の導電性粒子の場合)などの向上が期待できる。
有機系化合物充填剤としては、例えば、木粉、パルプ粉などのセルロース系粉末、ポリマービーズなどが挙げられる。ポリマービーズとしては、例えばアクリル樹脂、スチレン樹脂又はセルロース誘導体、ポリビニル樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、ポリウレタン及びポリカーボネート、架橋用モノマーなどから製造されたものが使用できる。
これらの充填剤は、2種類以上混合したものであってもよい。
エステル化合物としては、アルコールとカルボン酸からなる構造のモノまたはポリエステルであれば特に制限はなく、ヒドロキシル基およびカルボニル基末端を分子内に残した化合物でも、エステル基の形で封鎖された化合物でもよい。具体的には、ステアリルステアレート、ソルビタントリステアレート、エポキシ大豆油、精製ひまし油、硬化ひまし油、脱水ひまし油、エポキシ大豆油、極度硬化油、トリメリット酸トリオクチル、エチレングリコールジオクタノエート、ペンタエリスリトールテトラオクタノエートなどが挙げられる。
アミド化合物としては、アミンとカルボン酸からなる構造のモノまたはポリアミド化合物であれば特に制限はなく、アミノ基およびカルボニル基末端を分子内に残した化合物でも、アミド基の形で封鎖された化合物でもよい。具体的には、ステアリン酸アミド、ベヘニン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミド、トリメチレンビスオクチル酸アミド、ヘキサメチレンビスヒドロキシステアリン酸アミド、トリオクタトリメリット酸アミド、ジステアリル尿素、ブチレンビスステアリン酸アミド、キシリレンビスステアリン酸アミド、ジステアリルアジピン酸アミド、ジステアリルフタル酸アミド、ジステアリルオクタデカ二酸アミド、イプシロンカプロラクタム、およびこれらの誘導体が挙げられる。
側鎖を有する炭化水素重合体としては、ポリα−オレフィン類で、炭素数4以上の側鎖を有する通常オリゴマーに分類されるものが好ましい。具体的には、エチレン−プロピレンの共重合体やそのマレイン酸誘導体、イソブチレンの重合体、ブタジエン、イソプレンのオリゴマーおよびその水添物、1−ヘキセンの重合物、ポリスチレンの重合物およびこれらから誘導される誘導体、ヒドロキシポリブタジエンやその水添物、末端ヒドロキシポリブタジエン水添物などが挙げられる。
本発明の繊維状発泡体の製造方法、すなわち前記発泡性組成物を繊維状に成形したのちに活性エネルギー線を照射し、加熱発泡させた繊維状発泡体の製造方法について述べる。本発明の製造方法はバッチ法でも連続法でもかまわないが、製造工程として、成形工程、活性エネルギー線照射工程、必要に応じて好ましくは加熱発泡工程をもつ。加熱発泡工程の後に冷却工程を設けてもかまわないし、原料に溶液を用いた場合では成形工程と活性エネルギー線照射工程の間に乾燥工程を設けてもかまわない。また、延伸工程や、洗浄、乾燥、緩和などのその他の工程を適宜入れてもかまわない。紡糸法を応用した繊維状発泡体および微細孔不織布の連続製法の例を以下に示す。
紫外線照射の場合は、半導体・フォトレジスト分野や紫外線硬化分野などで一般的に使用されている紫外線ランプを用いることができる。一般的な紫外線ランプとしては、例えば、ハロゲンランプ、ハロゲンヒーターランプ、キセノンショートアークランプ、キセノンフラッシュランプ、超高圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ、中圧水銀ランプ、ディープUVランプ、メタルハライドランプ、希ガス蛍光ランプ、クリプトンアークランプ、エキシマランプなどがあり、近年では、極短波長(214nmにピーク)を発光するY線ランプもある。これらのランプには、オゾン発生の少ないオゾンレスタイプもある。これらの紫外線は、散乱光であっても、直進性の高い平行光であってもよい。
本発明の繊維状発泡体の製造方法は、気泡径を数10nm〜数10μm、発泡倍率を数10倍までコントロールできるので、得られる発泡体の特性は前記特願2003−199515などに示されるように、光学特性、熱特性、電気特性などにおいてさまざまな特徴がある。
外観、触感、風合い、質感、色合いなど感性(感覚)面で優れた衣料素材として高感性繊維が注目されている。そのような繊維には表面凹凸、異形断面構造、繊度差など微細に加工された微細繊維が多い。本発明の方法では、活性エネルギー線があたった部分のみが加熱により発泡するので、照射/未照射部位をつけたり、活性エネルギー線量によって発泡構造が容易に変化するので、高照射量/低照射量部位をつけたりすれば発泡により表面凹凸、異形断面、繊度差などを付加することが可能であるし、細径繊維でも容易に発泡できるので、高感性微細繊維に発泡構造を導入して更なる高感性・高機能化を図ることも可能である。繊度にもよるが気泡径は10nm〜10μm程度、好ましくは10nm〜1μm程度である。
また、芯部に可視光の波長に近い400〜800nm程度の気泡径の気泡をもち、表層部が未発泡であるような繊維状発泡体は獣毛繊維に見られる構造で、獣毛に見られるような特殊な発色性を得ることができる。その発色性とは、同一の繊度であっても淡色と混色との違いでその太さ感や繊維表面の光沢がまったく異なって見えるというものであり、従来の合成繊維では得られない風合い、質感を出すことが可能である。アイボリー、ベージュグレー等の淡色では着色効果が少なく繊維の透明度も高いために、入射光が鞘部分をほぼ直線的に透過し芯部に到達、光の波長に近い気泡径を持つ芯部で光が乱反射し、見かけ無機物を添加したように見られるような不透明感を呈し、それにより太く感じられる。これに対し、ブラウン、ブラックなどの濃色の場合、着色効果が大きいため入射光の大部分が吸収されて芯部における乱反射量が小さくなり、不透明感が見た目に弱くなることにより細く感じられる。本発明の方法を用いれば加熱発泡の初期温度を下げて後期に温度を上げたりすることで、表面に未発泡のスキン層を得ることができるので、合成繊維で得ることが困難だった上述の特殊発泡性を付与することが容易にできる。
最近のコンピュータおよび通信機器等の分野は、高速演算処理、大量高速通信、携帯性、および可搬性求められており、絶縁部材の低誘電率化および小型・薄肉・軽量化が求められている。本発明の繊維状発泡体は発泡により低誘電率化および軽量化が図られる。通信機器および電子機器類の高密度実装化でケーブル芯線が細径化され100μm以下の肉厚の電線被服体で低誘電率のものが求められる。本発明により独立気泡の100μm以下の肉厚の電線被服体を容易に得ることができる。独立気泡であることにより被服体内部に湿気が入りにくいことから、水分による誘電率の上昇も心配のない非常に薄い電線被服体を得ることができる。この場合の気泡径は10μm以下、好ましくは1μm以下がよい。
本発明の繊維状発泡体は断熱・遮熱材性があり、断熱包装材、断熱容器、壁面等の断熱・遮熱性付与、保温性の必要な衣料などに用いることができる。とくに熱伝導についての常圧における空気の平均自由工程65nmに近い10〜100nmの気泡で空気の熱伝導性が著しく低下するので従来では得られない超低断熱性を得ることも可能になる。10〜100nmの空孔径を有する不織布(多孔質体)は冷蔵庫などの真空断熱体に用いることで、真空度を上げずに従来並みの断熱性能を得ることができる。
また、本発明の繊維状発泡体を紙にすきこんだり、塗料に添加してとしてフィルムや紙表面に塗工することにより、紙やフィルムの断熱性を向上させることも可能である。感熱紙、昇華熱転写紙、溶融熱転写紙、電子写真用紙などの画像情報記録用紙、食品などの包装用紙、壁紙等の建築資材などにも用いることができる.
本発明の繊維状発泡体は軽量衣料・靴にも用いることができる。さらに本発明の繊維状発泡体を紙にすきこめば新聞紙などの超軽量高隠蔽紙などにも用いることができる。また、材料リサイクルのための樹脂材料分別などにも用いることができる。最も容易な材料分別法の一つは空気および水等に対する浮揚性の違いを用いる分別であるが、樹脂材料同士の分別の場合はあまり大きな密度差がえられないため浮揚性の差による分別に苦慮している。
本発明の繊維状発泡体の製造方法はサブミクロンオーダー(0.1〜1μm)からミクロンオーダー(1〜10μm)で気泡径をコントロールすることができるので、特定の波長成分を選択して透過および反射する繊維状発泡体を得ることが可能である。たとえば、赤外領域を透過し、可視紫外領域を反射する繊維状発泡体を得ることが可能である。図3は平均径0.3μmの気泡を有する発泡体の光透過スペクトルであり、波長選択性があることがわかる。この特性により、たとえば冬物衣料、スキーウェアーなどで肌を紫外線から守り、体を温め、保温する機能を、紫外線吸収剤などを添加せず、発泡構造自体の特性として得ることができるので効果が持続しやすい。また光ファイバーとして、クラッド部(外郭部)に本繊維状発泡体を有し、コア部(中央部)にフッ素化樹脂などを有する複合ファイバーとして用いることもできる。近年光通信で用いられる光は赤外光であり、本繊維状発泡体は微細発泡ゆえに赤外光に対してほとんど光散乱しない透明体として振舞うことができ、さらに、発泡により低屈折率化するので光をコア部に閉じ込めて伝播することが可能かである。これらの場合、気泡径を紫外線〜可視光の波長程度すなわち100〜800nm程度にすることが好ましい。
本発明の繊維状発泡体はサブミクロンオーダー(0.1〜1μm)の気泡径をもつ発泡構造を有することができる。この可視光線の波長と同程度の気泡径を持つ発泡体では、強い光散乱を示すMie散乱がおこることが知られている。気泡径を最適化することで高光反射率、高白色、高隠蔽性をもつ厚さもしくは太さ50μm以下の繊維状発泡体をつくることが可能である。高隠蔽用途としては、薄物高隠蔽性衣料、高隠蔽薄葉プリント用紙、隠蔽性ラベル、遮光性容器、農園芸用遮光フィルム、隠蔽修正用転写テープ部材、高隠蔽性薄物配送伝票用基材、ポスター、カード部材、情報記録用紙(感熱および感圧記録紙、電子写真用紙、昇華受容紙、溶融熱転写受容紙、インクジェット用紙)の支持体材料、包装材料、バーコードラベル、バーコードプリンター受像紙、地図、無塵紙、表示板、白板、電子白板、印画紙、化粧紙、壁紙、紙幣、離型紙、折り紙、カレンダー、トレーシング紙、伝票、配送伝票、感圧記録紙、複写用紙、臨床検査紙などに用いることができる。高反射性用途としては液晶用バックライト反射体、医療用、写真用または液晶用ライトボックス反射体、面光源反射体、蛍光灯や白熱灯などの照明用反射体、内照式表示器具および電飾看板用部材、道路用標識部材、ステッカー部材、ブラインド部材などが挙げられる。
上記は本発明の繊維状発泡体の用途例の一部である。これら以外にも発泡としての特性を利用した遮音材、吸音材、緩衝材、物質透過膜および濾過膜、吸着体、触媒担持体などに用いることもできる。
tert−ブチルメタクリレート/アクリロニトリル(重量比50/50)の共重合体100部に対して、ヨードニウム塩系酸発生剤としてビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムパーフルオロブタンスルホネート(商標:BBI−109、ミドリ化学製)3部を混合し、これをジメチルホルムアミドに加熱溶解して固形分含有量30%の紡糸原液を得た。この原液を130℃に加熱した後、紡糸口金から230℃の不活性ガス中に吐出し、未延伸糸を得た。ついで未延伸糸を沸騰水中で延伸した後、洗浄、乾燥させ、さらに電子線を加速電圧200kV、吸収線量9Mrad、酸素濃度500ppm以下の条件下で照射し、120℃の熱風オーブンで加熱して発泡させた。
得られた繊維状発泡体の発泡構造を確認するために、その断面を観察した。すなわち、サンプルを液体窒素中で凍結割断し、得られた樹脂層の断面上に金蒸着処理を施し、この金蒸着面を、走査型電子顕微鏡(商標:S−510、日立製作所製)を用いて断面構造を観察した。断面構造から発泡体厚さ、平均気泡径を、密度の測定より発泡倍率を求めた。発泡体厚さは上記電子顕微鏡で観察した加熱発泡前後の断面画像(拡大倍率:2500倍)から測定した。気泡径は発泡樹脂層断面の観察画像(拡大倍率:5000倍)から無作為に100個の気泡を選び出し、それらの直径の平均とした。発泡倍率は室温でアルキメデス法により発泡体の密度(A)、および発泡体を溶剤に溶かし再び成膜して未発泡状態にしたときの密度(B)を測定し、B/Aより発泡倍率を求めた。得られた繊維状発泡体は、繊度15dtex、平均気泡径0.3μm、発泡倍率1.7倍であった。
実施例1と同様にして、微細気泡を有する繊維状発泡体を作製した。但し、実施例1の電子線照射工程において、活性エネルギー線として使用した電子線の代わりに紫外線を用いた。この紫外線は、Y線ランプ(ピーク波長214nm)を有する紫外線照射装置(ウシオ電機製)を用いて、照射線量3000mJ/cm2となるように照射された。
得られた繊維状発泡体の発泡構造を実施例1と同様に観察した結果、繊度14dtex、平均気泡径0.4μm、発泡倍率1.4倍であった。
11.溶融押出装置、12.冷却管、13.紫外線照射装置、
Claims (1)
- 活性エネルギー線の作用によって酸を発生する酸発生剤または塩基を発生する塩基発生剤を含有し、さらに、酸または塩基と反応して一種類以上の低沸点揮発性物質を分解脱離する分解発泡性官能基を有する化合物を含有する発泡性組成物を、繊維状に成形した後に活性エネルギー線を照射し、更に加熱して発泡させることにより、平均気泡径が0.01μm〜1μmの気泡を含有させることを特徴とする、繊維状発泡体の製造方法。
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