JP4802144B2 - 空気ばね装置 - Google Patents
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Description
この空気ばね装置においては、通常、ダイヤフラムのゴム膜と積層ゴム部材とで車体を支持するようになっているが、ダイヤフラムのゴム膜がパンクすると積層ゴム部材のみで車体を支持することになる。なお、空気ばね装置は、1つの車体について複数配設されており、このうち1つの空気ばね装置のゴム膜がパンクすると、全ての空気ばね装置のゴム膜から空気を抜いて積層ゴム部材のみで車体を支持させるようにしている。
このように積層ゴム部材のみで車体を支持すると、ばね定数が大きくなりクッション性が大きく低下するので、乗り心地性が悪化するばかりでなく、走行速度を大幅に下げなければ車両を走行させること自体が困難になる。
そこで、ゴム膜がパンクしても乗り心地性や走行可能速度が低下するのを抑えるための手段として、例えば下記特許文献1に示されるような、ゴム膜がパンクしたときにこのゴム膜に代えてコイルスプリングにより車体を支持させる構成が提案されている。
この発明では、副ゴム膜が備えられているので、主ゴム膜がパンクした後においてもこの副ゴム膜の空気反力により車体を支持することが可能になり、主ゴム膜がパンクした後に乗り心地性や走行可能速度が低下するのを抑制することができる。
また、主ゴム膜のパンク時に副ゴム膜に空気圧を付与してこの副ゴム膜を拡張変形させれば、副ゴム膜で車体を支持できるので、この切り替えに要する時間を抑えることもできる。
なお、この構成において、副ゴム膜の外径は主ゴム膜の外径より小さくなっているのが好ましい。この場合、空気ばね装置に副ゴム膜を設けたことによりこの空気ばね装置が大型になって車体と台車との間に配設するのが困難になるのを防ぐことができる。
また、この構成において、主ゴム膜のパンク時に、パンク前にこの主ゴム膜に付与していた空気圧よりも高い空気圧を副ゴム膜に付与すると、前述のように副ゴム膜の外径が主ゴム膜の外径より小さくなっていても、主ゴム膜がパンクした後の空気ばね装置の許容支持荷重の低下を抑えることができる。
この場合、主ゴム膜のパンク時に副ゴム膜がダイヤフラムを上昇させて下面板の下面を積層ゴム部材の上面から離間させるので、主ゴム膜がパンクした後は、副ゴム膜の空気反力により車体を支持させることが可能になる。したがって、主ゴム膜がパンクした後において特に直進走行時の乗り心地性や走行可能速度が低下するのを確実に防ぐことができる。
この場合、前記移動抑制手段が設けられているので、主ゴム膜がパンクする前の通常走行時には、ダイヤフラムと積層ゴム部材との相対的な水平方向の移動を抑制することが可能になり、主ゴム膜のパンク後に副ゴム膜がダイヤフラムを上昇させて下面板の下面を積層ゴム部材の上面から離間させる構成を採用したことによって、前記通常走行時に例えば水平方向の振動が大きくなったり、旋回走行時における走行可能速度が低下したりするのを防ぐことができる。
この場合、主ゴム膜がパンクしたときに空気供給筒が連通孔に挿入されるので、主ゴム膜がパンクした後に、上面板と下面板とが相対的に水平方向に移動するのを防ぐことが可能になり、副ゴム膜の振動吸収能を十分に発揮させることができ、空気ばね装置の性能低下を防ぐことができる。
この場合、下面板の下面と積層ゴム部材の上面との間に、この積層ゴム部材の内側と外側とを連通させて主ゴム膜内と副ゴム膜内とを連通孔を介して連通させる連通路が形成されているので、主ゴム膜がパンクする前の通常走行時にも、主ゴム膜内に付与している空気圧と同等の空気圧を副ゴム膜内に付与しておくことが可能になり、主ゴム膜がパンクした後に副ゴム膜を拡張変形させるのに要する時間を抑えることができる。
この場合、主ゴム膜がパンクした後に車体を副ゴム膜のみならず積層ゴム部材によっても支持させることが可能になり、主ゴム膜がパンクした後に乗り心地性や走行可能速度が低下するのをより一層確実に抑えることができる。
この空気ばね装置10は、上下一対の面板11、12、およびこれらの面板11、12に両端開口部がそれぞれ気密に連結された筒状の主ゴム膜13を備えるダイヤフラム14と、このダイヤフラム14の下方に配置された筒状の積層ゴム部材15と、を備え、例えば鉄道車両等の図示されない車体と台車との間に配設されて用いられる。
ここで、上面板12には、主ゴム膜13の上端開口部が気密に連結されており、この主ゴム膜13の内部に空気供給筒16の下端部が位置している。なお、空気供給筒16において上面板12の上面から上方に突出した上端部には、図示されないコンプレッサ等の空気供給手段に連通した配管が連結される。
さらに、下面板11には、積層ゴム部材15の内側と主ゴム膜13内とを連通する連通孔18が形成されている。この連通孔18は、上層板11aに形成された大径部18aと下層板11bに形成された小径部18bとを備えており、これら18a、18bが同軸上に配置されるとともに、空気供給筒16と対向している。
また、下面板11の下層板11bの下面において連通孔18の開口周縁部には、内径が連通孔18の小径部18bと同等とされたストッパー筒部(移動抑制手段)19が下方に向けて突設されている。さらに、下層板11bの下面には、例えばステンレス鋼等で形成されるとともに、ストッパー筒部19の突出長さよりも厚さが薄い円環状の第1摺接板20が接合されている。この第1摺接板20の内側にストッパー筒部19が嵌合されている。
ここで、積層ゴム部材15の内径は、ストッパー筒部19の外径よりも大きくされ、これらの積層ゴム部材15とストッパー筒部19とは同軸に配置されている。また、積層ゴム部材15の上面には、例えばポリ4フッ化エチレン等の低摩擦材で形成された円環状の第2摺接板21が接着されている。
ここで、積層ゴム部材15の下面には、外径が積層ゴム部材15の外径よりも大きく、かつ内径が積層ゴム部材15の内径と同等とされた支持円環板24が同軸に接着されている。この支持円環板24の下面に、積層ゴム部材15の内側に向けて開口する連通筒22が垂設されている。
図示の例では、副ゴム膜23は、内径が積層ゴム部材15の外径よりも大きく、かつ外径が主ゴム膜13の外径よりも小さい筒状に形成され、その両端開口部がそれぞれ、下面板11における下層板11bの下面、および支持円環板24の上面において積層ゴム部材15の外周面から径方向外方に突出した部分に気密に連結されている。これにより、積層ゴム部材15が副ゴム膜23の内側に気密状態で囲繞されている。
この連通路25、積層ゴム部材15の内側、ストッパー筒部19の内側および連通孔18を介して、主ゴム膜13内と、副ゴム膜23の内周面と積層ゴム部材15の外周面との間の空間(以下、副ゴム膜23内という)とが連通している。
なお、副ゴム膜23は、上下方向に間隔をあけて複数のリング26が嵌められて多段(図示の例では3段)筒状体となっている。
まず、図1および図2に示されるような主ゴム膜13がパンクする前の通常走行時では、前記空気供給手段から空気供給筒16を通して主ゴム膜13内に空気圧が付与されて、この主ゴム膜13が膨張する。この空気圧は、下面板11に形成された連通孔18、ストッパー筒部19の内側、積層ゴム部材15の内側および連通路25を通して、副ゴム膜23内にも付与されて、主ゴム膜13および副ゴム膜23の各内圧は同等となっている。なおこの状態では、副ゴム膜23はダイヤフラム14を上方に押し上げることができず第1摺接板20と第2摺接板21とは当接している。
ここで、車体と台車とが相対的に水平方向に移動するのに伴って、ダイヤフラム14と積層ゴム部材15とが相対的に水平方向に移動しようとしても、積層ゴム部材15における上側円環板15cの内周面とストッパー筒部19の外周面とが衝突することにより、その移動が抑えられる。なお、第2摺接板21が低摩擦材で形成されているので、ダイヤフラム14と積層ゴム部材15との相対的な水平方向の移動はスムーズに行われる。
以上より、主ゴム膜13がパンクした後は、副ゴム膜23のみで車体を支持させる。
また、主ゴム膜13のパンク時に副ゴム膜23に空気を供給してこの副ゴム膜23を拡張変形させれば、副ゴム膜23で車体を支持できるので、この切り替えに要する時間を抑えることもできる。
また、主ゴム膜13のパンク時に、パンク前にこの主ゴム膜13に付与していた空気圧よりも高い空気圧を副ゴム膜23に付与するので、前述のように副ゴム膜23の外径が主ゴム膜13の外径より小さくなっていても、主ゴム膜13がパンクした後の空気ばね装置10の許容支持荷重の低下を抑えることができる。
例えば、前記実施形態では、第1摺接板20および第2摺接板21を設けたが、これらは設けなくてもよい。
また、下面板11にストッパー筒部19を設けたが、このストッパー筒部19は設けなくてもよい。
さらに、連通路25を形成する部材は前記実施形態に限られるものではない。
この実施形態では、主ゴム膜13がパンクした後に車体を副ゴム膜23のみならず積層ゴム部材15によっても支持させることが可能になり、主ゴム膜13がパンクした後に乗り心地性や走行可能速度が低下するのをより一層確実に抑えることができる。
また、副ゴム膜23を拡張変形させるのに空気圧を付与する空間の内容積が、図1から図4で示した前記実施形態よりも小さくなるので、主ゴム膜13がパンクした後に副ゴム膜23を拡張変形させる切り替えに要する時間をさらに短縮することが可能になる。
この場合、前記通常走行時において、空気ばね装置10のばね定数が、車両前後方向では小さくなり、車両左右方向では、ストッパー壁部と上側円環板15cとが衝突するまでの小変位のときに小さく、ストッパー壁部と上側円環板15cとが衝突した後さらに移動が進行した大変位のときに大きくなるので、直進走行時に良好な乗り心地性を具備させることが可能になるとともに、旋回走行時における走行可能速度を向上させることができる。
11 下面板
12 上面板
13 主ゴム膜
14 ダイヤフラム
15 積層ゴム部材
15c 上側円環板(移動抑制手段)
16 空気供給筒
18 連通孔
19 ストッパー筒部(移動抑制手段)
23 副ゴム膜
25 連通路
31 有頂筒状体
32 天板部(移動抑制手段)
33 外周壁
34 下端
Claims (6)
- 上下一対の面板、およびこれらの面板に両端開口部がそれぞれ気密に連結された筒状の主ゴム膜を備えるダイヤフラムと、
このダイヤフラムの下方に配置された筒状の積層ゴム部材と、が備えられ、
車体と台車との間に配設される空気ばね装置であって、
上端開口部が前記上下一対の面板のうち下側に位置する下面板の下面に気密に連結されて前記積層ゴム部材を囲繞する筒状の副ゴム膜が備えられ、
この副ゴム膜は、その内部に前記主ゴム膜のパンク時に空気圧が付与されて拡張変形させられることにより前記車体を支持することを特徴とする空気ばね装置。 - 請求項1記載の空気ばね装置であって、
前記主ゴム膜がパンクして前記副ゴム膜が拡張変形させられたときに、この副ゴム膜が前記ダイヤフラムを上昇させて、前記下面板の下面を前記積層ゴム部材の上面から離間させる構成とされたことを特徴とする空気ばね装置。 - 請求項2記載の空気ばね装置であって、
前記ダイヤフラムと積層ゴム部材との間には、これらの相対的な水平方向の移動を抑制する移動抑制手段が設けられ、
前記主ゴム膜がパンクして前記副ゴム膜が拡張変形させられたときに、前記移動抑制手段による前記移動の抑制が解除される構成とされたことを特徴とする空気ばね装置。 - 請求項1から3のいずれかに記載の空気ばね装置であって、
前記上下一対の面板のうち上側に位置する上面板には、その下面から下方に向けて突出し、かつ前記主ゴム膜内に連通した空気供給筒が設けられるとともに、前記下面板には、前記積層ゴム部材の内側と主ゴム膜内とを連通させる連通孔が形成され、
前記主ゴム膜がパンクして前記上面板の下面と下面板の上面とが当接したときに、前記空気供給筒が前記連通孔に挿入されることを特徴する空気ばね装置。 - 請求項4記載の空気ばね装置であって、
前記下面板の下面と前記積層ゴム部材の上面との間には、この積層ゴム部材の内側と外側とを連通させて前記主ゴム膜内と副ゴム膜内とを前記連通孔を介して連通させる連通路が形成されていることを特徴とする空気ばね装置。 - 請求項1から5のいずれかに記載の空気ばね装置であって、
前記積層ゴム部材の上面は環状に形成された有頂筒状体の天板部により構成されるとともに、前記積層ゴム部材の外周面は前記有頂筒状体の外周壁により構成され、
前記副ゴム膜の下端開口部は前記有頂筒状体の下端に気密に連結されていることを特徴とする空気ばね装置。
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