JP4801351B2 - 靴用の防水性・通気性底革およびその製造方法 - Google Patents

靴用の防水性・通気性底革およびその製造方法 Download PDF

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Description

この発明は、靴用の改良された防水性・通気性底革およびその製造方法に関するものである。
なめし革あるいはその同等物のような天然材料から作られた普通の底革が備わっている靴を用いるときに認められる主な問題は濡れた歩行区域によって占められている、ということが知られている。
雨あるいは悪天候によって街路が濡れてすべりやすくなると、なめし革製底革が備わっている靴を用いることは現実に勧められないが、その理由はまさに、なめし革が足のためには通気性がありかつ衛生的であるものの、防水性ではなく現実に水を吸収するからである。なめし革が薄ければ薄いほど、水あるいは湿気のしみ込む速度が大きくなり、ついにユーザーの足が濡れる。
したがって、なめし革製接地体の備わっている底革の使用は気象条件によって制約され、また、このような理由で、この種の材料から作られた靴は主として、乾期がより実質的である国において夏物コレクションの製造業者によって提供されている。
なめし革あるいは類似の材料から作られた接地体を備え、この接地体が透湿性かつ防水性の材料から作られた膜によって上向き区域の少なくとも一部が被覆されている底革(米国特許第5,598,644号およびヨーロッパ特許第0619959号に開示されたもの)が考案された。透湿性かつ防水性の膜は、スポット状に配置された接着剤と、すべての要素を組み付けるための、金型の中に射出される例えばポリウレタンのようなポリマー材料から作られた周辺部密封用リングとによって、底革に固着されている。
この底革は、なめし革製接地体が防水性になる点で技術程度が相当進んでいるものであるが、どのような場合にもいくつかの制約が示されてきた。
第1の制約は、なめし革のまさしくその性質に起因しており、記述したようになめし革は通気性材料であるが、その通気性は、使用時に靴の内側に生成する熱および蒸気を短時間にすべて放散させるほどには高くない。
第2の制約は、記述したように密封がプラスチック材料からなるリングの射出成形で作り出されているという事実によっている。この方法には、厚い密封部を設けることが必要であり、したがって靴の硬さが増大し、そのために、高い柔軟性が必要である婦人靴のようないくつかの種類の靴を製造するのは困難である。この技術(製造されるそれぞれの靴の型およびサイズのためのアルミニウム製金型の準備)の高いコストは些細なものではない。
厚さが200ミクロンの熱可塑性ポリウレタン材料から作られた周辺部密封用フィルムを使用することで、厚さの問題を回避するための1つの試みが行われた。この方法によれば質的に許容できる製品を得ることができるものの、この方法は、ほとんどすべて手作業であることから、きわめて費用がかかるものである。
この発明の目標は、なめし革あるいは同等材料から作られた接地体が備わっている公知の種類の防水性・通気性靴における前記短所を解消する底革とその製造方法とを提供することである。
結果として生じる主要な目的は、薄いうえに柔軟である底革を提供することである。別の目的は通気性を増大させることである。別の重要な目的は、製造に際して高い融通性の可能性があることを特徴とする底革を提供することである。別の目的はユーザーの快適性を増大させることである。
別の目的は、低コストで製造することができ、したがって競争力のある価格で販売することのできる底革を提供することである。別の目的は、公知の設備および方法で製造することのできる底革を提供することである。
この目標、これらの目的、および後にいっそう明らかになる他の目的は、なめし革あるいは類似の通気性・透水性材料から作られた接地体(11)を備え、この接地体(11)は、通気性・防水性材料から作られている膜(12)により、上向き区域の少なくとも一部において被覆されており、膜(12)は、スクリーン印刷により形成される密封用リング(14)によって接地体(11)に周辺で接合され前記密封用リング(14)は、ポリマーの溶液あるいは分散液に硬化剤を添加することによって、前記膜(12)の周辺および前記接地体(11)の露出部分に形成されていることを特徴とする靴用の防水性・通気性底革(10)によって達成される。
この発明のさらに別の特徴および利点は、添付図面において非限定的な例として図示されたいくつかの実施形態の詳細な説明からいっそう明らかになる。
図1によれば、靴用の改良された防水性・通気性底革は、参照符号10で全体が表されており、なめし革あるいは類似の通気性・透水性材料(なめし革、開放気泡型合成材料などのようなもの)から作られた接地体11を備え、この接地体11が、不透水性かつ透湿性(通気性)であって発泡ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)から作られているのが好ましい膜12によって上向き区域において被覆されている。
この場合にはどのような種類の支持体もない膜12は、厚さが5〜40ミクロンで変化するように設けられている。膜12は接地体11の縁部から周辺に間隔をあけて配置されているのが好ましい。膜12は、スポット状の接着剤13とスクリーン印刷法で設けられた周辺部密封用リング14とによって接地体11に固着されているのが好ましい。
リング14を製造するための方法は、近似的にすなわち実質的に少なくとも60%の乾燥残留物がある、好ましい実施形態ではポリウレタンのようなポリマーの溶液あるいは分散液の通過が可能なように、充分に広い網目(1センチメートル当たり12〜43本の繊条)のある布地によって構成されているフレーム15を準備するための第1工程を備えている。このような溶液あるいは分散液は、それ自体知られており、かつ、市販されている。
この材料は、少なくとも50〜60℃の温度に対するより大きい耐性が可能になるように、また、その化学的保全性および構造的保全性(とりわけ、その耐加水分解性および経年変化安定性)を保証するために、適切な架橋剤、すなわち架橋反応を促進し、したがって、ポリウレタンの内部でまだ遊離している官能基との反応が可能である作用物質の添加を受け入れる。
これらの作用物質は例えば、それらの反応度を増大するために例えばアミンによって適切に触媒化されたイソシアネート(3〜5%)であってよい。
この準備工程の間に、前記フレームのいくつかの領域を写真製版法によって被覆することも可能であるが、これらの領域は、溶液によって被覆されてはならず、例えば、その周辺領域すなわち縁部に対応する領域を除いて、その後に膜12によって影響を受けるか被覆される。
接着剤のスポット13ですでに処理された膜12は、次いでホットプレス機(図には示されていない)によるホットプレス法で接地体11へ接合される。
次の工程(図2)は、接地体11をフレーム15の下側にして、フレーム15の上にポリマーの前記溶液あるいは前記分散液を注ぐ(図2)ためのものである。フレーム15の網目による材料の浸透は掻取器具を用いることで促進される。
溶媒相の蒸発により流動状態にある材料は、接地体11の上に被着されて、その中に含まれた固体相を残して膜12の上に密封用リング14を形成する。図1に対応している、接地体11、膜12および密封用リング14によって構成された組付体は、取り外されて乾燥される。
リング14の形成後に、架橋を促進するために、実質的に60〜80℃でさらに別の加熱工程を実施することは可能である。この加熱工程は、イソシアネート(架橋を促進する作用物質)を添加するための前記工程に代えてあるいは前記工程と組み合わせて実施することができる。
この技術で、選択された一定かつ再現可能な厚さ(100〜500ミクロン程度)のフィルムを得ることは可能である。被着された流動体の量は、フレーム15の1センチメートル当たりの繊条の数を変えることで変更することができる。
この発明における代わりの実施形態では、この場合もやはりポリウレタンポリマーの分散液あるいは溶液によって構成された接着促進剤であるものの、低い粘度(ブルックスフィールド法(Brooksfield method)によれば600センチポイズ未満の粘度)を有しており、すなわち、なめし革自体の繊維に浸透することができる接着促進剤を接地体11へあらかじめ塗布しておくことが可能である。
さらに他の代わりの実施形態では、溶液あるいは分散液において低い相対分子量を有するポリウレタンを用いることができる。この場合、温度による処理の可逆性を阻止するために触媒化イソシアネートのような架橋剤を添加することも好ましい。
別の実施形態は、リング14を形成するフィルムの連続性を保証するために、ポリマー分散液の複数層を塗布することを備えていてもよい。
実際に、この発明の意図した目標および諸目的が達成されたことはわかった。
この底革には、ゴムあるいは合成材料から作られた底革の質的特徴、とりわけ防水性とともに、なめし革製底革の質的特徴、とりわけ通気性があるが、このことは、スクリーン印刷により周辺密封部を設けることで厚さが減少したことによってすべて達成される。
スクリーン印刷法の原理はそれ自体知られているが、この方法は衣料品および靴に装飾的細部を設けるためにもっぱら用いられている。
先に説明したように適切に適合されたこの方法を膜12と接地体11との間におけるごく薄い厚さの周辺密封部を設けるための手段として好ましく使用できることが、実用試験で立証された。したがって、底革10は、薄くて柔軟な形態に設けることができ、また、どのような靴デザインのためにも、さらに婦人靴のためにも使用することができる。
この底革は、現在のものよりも機能的にいっそう融通性のある製造法で特別な苦労もなく製造することができる、ということに留意すべきである。
以上のように考え出されたこの発明は、すべてが「特許請求の範囲」の範囲内に属する、きわめて多くの修正および変形を受けることができる。すべての細部は、技術的に同等な他の要素で置き換えることも可能である。実際のところ、用いられる材料は、それらが本質的でない使用に適合する限り、寸法とともに、要求に応じたどのようなものでもよい。
この出願が優先権を主張するイタリア特許出願PD2002A000264号における開示は、引用によってこの明細書に組み入れられる。
図1は、この発明に係る底革の概略断面図である。 図2は、図1の底革を製造する方法の1工程を示している概略断面図である。 図3は、図2の工程に続く製造方法の1工程を示している概略断面図である。

Claims (20)

  1. なめし革あるいは類似の通気性・透水性材料から作られた接地体(11)を備え、この接地体(11)は、通気性・防水性材料から作られている膜(12)により、上向き区域の少なくとも一部において被覆されており、膜(12)は、スクリーン印刷により形成される密封用リング(14)によって接地体(11)に周辺で接合され前記密封用リング(14)は、ポリマーの溶液あるいは分散液に硬化剤を添加することによって、前記膜(12)の周辺および前記接地体(11)の露出部分に形成されていることを特徴とする靴用の防水性・通気性底革(10)。
  2. 前記防水性・透湿性膜(12)は、発泡ポリテトラフルオロエチレンから作られていることを特徴とする請求項1に記載の底革。
  3. 前記防水性・透湿性膜(12)は、支持されておらず、かつ、厚さが5〜40ミクロンで設けられていることを特徴とする請求項1に記載の底革。
  4. 前記膜(12)は、前記接地体(11)の縁部から周辺に間隔をあけて配置されていることを特徴とする請求項1に記載の底革。
  5. 前記膜(12)は、スポット状に塗布された接着剤(13)によって前記接地体(11)に固着されていることを特徴とする請求項1に記載の底革。
  6. 接地体(11)の上の選択箇所における膜(12)の少なくとも周辺領域に、硬化剤の添加で少なくとも60重量%の乾燥残留物があるポリマーの溶液あるいは分散液の通過が可能なように充分に広い網目のある布地からなるフレーム(15)を準備し、
    前記接地体(11)の上に前記膜(12)を配置し、
    前記接地体(11)および前記膜(12)を前記フレーム(15)の下に置き、ポリマーの前記溶液あるいは前記分散液を前記フレーム(15)の上に注ぎ、それを前記フレーム(15)の網目によって浸透させ、密封用リング(14)からなる少なくとも1つの層を形成し、
    接地体(11)、膜(12)およびリング(14)によって構成された組付体を取り外し、
    この組付体を乾燥させる
    ことからなる、請求項1〜5のいずれか1つに記載の底革の製造方法。
  7. およそ60重量%の乾燥残留物があるポリマーの前記溶液あるいは前記分散液は、ポリウレタンの溶液あるいは分散液であることを特徴とする請求項6に記載の方法。
  8. 架橋剤のおよそ60重量%の乾燥残留物があるポリウレタンポリマーの前記溶液あるいは前記分散液の添加を備えていることを特徴とする請求項6または7に記載の方法。
  9. 前記架橋剤は、触媒化されたイソシアネートであることを特徴とする請求項8に記載の方法。
  10. ポリマーの前記溶液あるいは前記分散液の架橋を促進するために、前記リング(14)の形成の後に加熱工程を備えていることを特徴とする請求項6〜9のいずれか1つに記載の方法。
  11. 前記加熱は、実質的に60〜80℃で行われることを特徴とする請求項10に記載の方法。
  12. 低い粘度を有するポリウレタンポリマーの分散液あるいは溶液によって構成された接着促進剤を前記接地体(11)へあらかじめ塗布することを備えている請求項6に記載の方法。
  13. 溶液あるいは分散液において低い相対分子量を有するポリウレタンを前記接地体(11)へあらかじめ塗布することを備えている請求項6に記載の方法。
  14. 架橋剤の溶液あるいは分散液において低い相対分子量を有する前記ポリウレタンの添加を備えていることを特徴とする請求項13に記載の方法。
  15. 前記架橋剤は、触媒化されたイソシアネートであることを特徴とする請求項14に記載の方法。
  16. 前記フレーム(15)の下に前記膜(12)を配置するのに先立って、ポリマーの前記溶液あるいは前記分散液によって被覆されない状態に残される前記フレーム(15)の領域を写真製版法によって被覆することを備えている請求項6に記載の方法。
  17. 写真製版法によって被覆された前記領域は、縁部に対応する領域を除いて前記膜(12)によって実質的に被覆された領域であることを特徴とする請求項16に記載の方法。
  18. 前記接地体(11)の上に前記膜(12)を配置する工程は、接着剤のスポット(13)であらかじめ処理された前記膜(12)を前記接地体(11)へ接着させることもまた備えていることを特徴とする請求項6に記載の方法。
  19. 前記接着は、ホットプレス法によって行われることを特徴とする請求項18に記載の方法。
  20. 前記フレーム(15)の網目によるポリマーの前記溶液あるいは前記分散液の浸透を掻取器具の操作により促進することを備えていることを特徴とする請求項6に記載の方法。
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