JP4801270B2 - 新規な含フッ素アントラセン化合物及びそれらの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規な含フッ素アントラセン化合物類、及びそれらの製造方法に関する。本発明による新規化合物は、有機蛍光物質、液晶材料、染料等の前駆体として有用であり、その他の各種中間体として工業的に有意義な広範な用途が期待されるものである。
【0002】
【従来の技術】
本発明の含フッ素アントラセン化合物類は新規であり、従ってそれらの化合物を製造するための方法も新規である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、工業的に有意義な含フッ素有機化合物である下記一般式(I)で示される新規な含フッ素アントラセン化合物とその製造方法を提供することである。
【0004】
【化7】
【0005】
ただし、式(I)において、YはH,F,Cl,Br,IまたはCNである。
即ち、本発明は以下の式(VII)で示される新規な9−シアノメチル−10−(トリフルオロメチル)アントラセン、その前駆体である式(V)で示される9−メチル−10−(トリフルオロメチル)アントラセン、及び式(VI)で示される9−ハロゲノメチル−10−(トリフルオロメチル)アントラセン〔9位のハロゲノメチル基のハロゲン原子はF,Cl,BrまたはIである。〕に関するものである。本発明によって提供される式(VII)で示される9−シアノメチル−10−(トリフルオロメチル)アントラセンは、活性メチレン基を有することから各種化合物との反応性に富み、トリフルオロメチル基を有する有機蛍光物質、染料、液晶材料等を製造するための利用が期待される有用な中間体化合物である。また、式(V)で示される9−メチル−10−(トリフルオロメチル)アントラセン、及び式(VI)で示される9−ハロゲノメチル−10−(トリフルオロメチル)アントラセンは、式(VII)の9−シアノメチル−10−(トリフルオロメチル)アントラセンの前駆体として有用であるばかりでなく、反応活性なメチル基やハロゲン原子を有することからトリフルオロメチル基を有する医農薬、機能性材料等の中間体として利用が期待される有用な化合物である。
【0006】
【化8】
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、式(VII)で示される新規な9−シアノメチル−10−(トリフルオロメチル)アントラセンを、式(II)で示される9,10−ジブロモアントラセンを原料として、式(III)で示される9−ブロモ−10−メチルアントラセンと式(IV)で示される9−メチルアントラセン−10−カルボン酸と(V)で示される新規な9−メチル−10−(トリフルオロメチル)アントラセン、及び式(VI)で示される新規な9−ハロゲノメチル−10−(トリフルオロメチル)アントラセンとを経由して製造する方法を見出した。
【0008】
本発明の新規化合物の具体的な製造方法について以下に説明する。
式(II)で示される9,10−ジブロモアントラセンは、アントラセンを直接臭素化することにより容易に製造することが可能であり、試薬としても市販されており入手可能な化合物である。
【0009】
式(II)で示される9,10−ジブロモアントラセンを原料として、式(III)で示される9−ブロモ−10−メチルアントラセンを製造する方法としては、例えば、不活性ガス雰囲気下で式(II)の化合物から有機金属化合物を調製して、これにハロゲン化メチルを反応させることにより製造することができる。
【0010】
式(II)で示される9,10−ジブロモアントラセンの1つのブロモ基を、溶媒中、攪拌下、所定温度、所定時間で有機リチウム試薬と反応させることにより、有機リチウム化合物を含む溶液を調製し、その溶液とハロゲン化メチルとを攪拌下、所定温度、所定時間で反応させることによって、式(III)で示される9−ブロモ−10−メチルアントラセンを製造することができる。本反応は水分を嫌う反応であるために、反応容器内を窒素等の乾燥不活性雰囲気として実施するのが好ましい。
【0011】
上記反応のための有機リチウム試薬としては、アルキルリチウム、フェニルリチウムが使用できる。有機リチウム試薬の量は、好ましくは原料に対して0.8〜1.1倍モル量である。
【0012】
有機リチウム試薬を作用させる場合には、一般には極低温で行う必要があるが、この基質の場合は温度が低すぎるとリチオ化反応が進行しない。よって、この場合のリチオ化反応温度としては−20〜80℃の範囲が好ましい。この反応のための溶媒としては、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒やベンゼン、ヘキサン等の炭化水素系溶媒が使用できる。その使用量は、好ましくは原料1gに対して1〜100ミリリットルである。
【0013】
調製された有機リチウム化合物を含む溶液にハロゲン化メチルを添加し反応させる。ハロゲン化メチルとしては、臭化メチル、ヨウ化メチルが使用できる。その使用量は、原料に対して1〜5倍モル量である。ハロゲン化メチルとの反応は−50〜30℃の範囲で行うのが好ましい。反応時間は、0.5〜5時間であるのが好ましい。反応終了後、通常の後処理、精製を行うことにより、式(III)で示される9−ブロモ−10−メチルアントラセンを製造することができる。
【0014】
次に、式(III)で示される9−ブロモ−10−メチルアントラセンを原料として式(IV)で示される9−メチルアントラセン−10−カルボン酸を製造する方法としては、不活性ガス雰囲気下で式(III)の化合物から有機金属化合物を調製して、これに炭酸ガスを反応させることにより製造することができる。
【0015】
式(III)で示される9−ブロモ−10−メチルアントラセンのブロモ基を溶媒中、攪拌下、所定温度、所定時間で有機リチウム試薬あるいは金属マグネシウムと反応させることにより、有機金属化合物を含む溶液を調製し、その溶液と二酸化炭素を攪拌下、所定温度、所定時間で反応させることによって、式(IV)で示される9−メチルアントラセン−10−カルボン酸を製造することができる。本反応は水分を嫌う反応であるために、反応容器内を窒素等の乾燥不活性雰囲気として実施するのが好ましい。
【0016】
上記反応のための有機リチウム試薬としては、アルキルリチウム、フェニルリチウムが使用できる。有機リチウム試薬及び金属マグネシウムの使用量は、好ましくは原料に対して1〜2倍モル量である。
【0017】
この反応のための溶媒としては、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒やベンゼン、ヘキサン等の炭化水素系溶媒が使用できる。その使用量は、好ましくは原料1gに対して1〜100ミリリットルである。
【0018】
有機リチウム試薬を作用させる場合には、一般には極低温で行う必要があるが、この基質の場合は温度が低すぎるとリチオ化反応が進行しない。よって、この場合のリチオ化反応温度としては−20〜80℃の範囲が好ましい。金属マグネシウムを作用させる場合には−30〜200℃が好ましい。
【0019】
調製された有機金属化合物を含む溶液は、二酸化炭素と反応させるが、その二酸化炭素は炭酸ガス(気体)を有機金属化合物を含む溶液の気液界面上に吹込んでもよいし、あるいはドライアイス(固体)と反応させてもよい。その使用量は原料に対して1〜20モル倍量となるようにする。二酸化炭素との反応は−50〜30℃の温度で行うのが好ましい。反応時間は、0.5〜5時間が好ましい。反応終了後、室温以下の温度で希硫酸、希塩酸等を滴下し、通常の後処理後、精製を行うことにより、式(IV)で示される9−メチルアントラセン−10−カルボン酸を製造することができる。
【0020】
次に式(IV)で示される9−メチルアントラセン−10−カルボン酸を四フッ化硫黄でフッ素化することにより、式(V)で示される新規なアントラセン化合物である9−メチル−10−(トリフルオロメチル)アントラセンを製造することができる。
【0021】
式(IV)で示される原料は、無溶媒、あるいはジクロロメタン、クロロホルム等の塩素系溶媒やフッ化水素溶媒で希釈して使用するのが好ましい。その溶媒使用量は、好ましくは原料1gに対して0〜20ミリリットルである。フッ素化剤である四フッ化硫黄の使用量は、好ましくは、原料に対して2.0〜6.0倍モル量である。四フッ化硫黄との反応には触媒を用いるのが好ましい。その触媒としては、フッ化水素、BF3、AsF3、PF5、TiF4等が使用できる。その使用量は、好ましくは、原料に対して0.01〜1.0倍モル量である。
【0022】
この反応は常圧下でも行えるが、加熱する場合は加圧下で行うのが好ましい。反応圧力は0〜20MPaの範囲であるのが好ましい。反応温度は−30〜180℃であるのが好ましい。反応時間は、好ましくは1〜24時間である。反応終了後は、通常の後処理、精製を行うことにより、式(V)で示される新規なアントラセン化合物である9−メチル−10−(トリフルオロメチル)アントラセンを製造することができる。
【0023】
次に、式(V)で示される9−メチル−10−(トリフルオロメチル)アントラセンのメチル基をハロゲン化剤と反応させて直接モノハロゲン化することにより、式(VI)で示される新規なアントラセン化合物である9−ハロゲノメチル−10−(トリフルオロメチル)アントラセンを製造することができる。上記ハロゲン化剤としては、ベンジル位をハロゲン化させる通常のハロゲン化剤を使用でき、例えば、ハロゲン分子、N−ハロゲノイミド類、次亜ハロゲン酸t−ブチル等が挙げられる。この直接モノハロゲン化反応の収率、次工程〔式(VII)の化合物の製造〕の収率及び経済性等を考慮すると、式(VI)で示される9−ハロゲノメチル−10−(トリフルオロメチル)アントラセンのハロゲノメチル基のハロゲンは臭素原子であることが、取扱い上好ましく、推奨される。
【0024】
そこで、式(VI)におけるハロゲンが臭素原子である9−ブロモメチル−10−(トリフルオロメチル)アントラセン〔式(VIII)で示される化合物〕の製造方法を以下に説明する。
【0025】
式(V)で示される9−メチル−10−(トリフルオロメチル)アントラセンから式(VIII)で示される新規な9−ブロモメチル−10−(トリフルオロメチル)アントラセンを製造する方法としては、光や過酸化物触媒の存在下で臭素化剤と溶媒中、攪拌下、所定温度、所定時間で反応させる方法がある。
【0026】
臭素化剤としては、臭素、N−ブロモコハク酸イミド(NBS)、次亜臭素酸t−ブチル等が使用できる。その使用量は、好ましくは原料に対して0.9〜1.5倍モル量である。過酸化物としてはアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)や過酸化ベンゾイル等が使用できる。その使用量は、好ましくは原料に対して0.1倍モル量以下である。溶媒としては、ベンゼン、シクロヘキサン、テトラクロロエチレン等が使用できる。その使用量は、好ましくは原料1gに対して1〜20ミリリットルである。反応温度は、0〜150℃の範囲であるのが好ましい。反応時間は、好ましくは0.5〜5時間である。反応終了後は、通常の後処理、精製を行うことにより、式(VIII)で示される新規なアントラセン化合物である9−ブロモメチル−10−(トリフルオロメチル)アントラセンを製造することができる。
【0027】
式(VI)で示される9−ハロゲノメチル−10−(トリフルオロメチル)アントラセンを原料として、これから式(VII)で示される新規な9−シアノメチル−10−(トリフルオロメチル)アントラセンを製造する方法としては、式(VI)の化合物を極性溶媒中、攪拌下、所定温度、所定時間でシアノ化剤と反応させる方法がある。
【0028】
極性溶媒としては、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、アセトン等が使用できる。その使用量は、好ましくは原料1gに対して1〜100ミリリットルである。シアノ化剤としてはシアン化ナトリウム、シアン化カリウム、シアン化銅(I)等が使用できる。その使用量は、好ましくは原料に対して1〜2倍モル量である。シアノ化の反応温度は、0〜200℃の範囲であるのが好ましい。反応時間は、好ましくは0.5〜5時間である。反応終了後、通常の後処理、精製を行うことにより、式(VII)で示される新規なアントラセン化合物である9−シアノメチル−10−(トリフルオロメチル)アントラセンを製造することができる。シアノ化反応の収率及び経済性等を考慮すると、式(VI)で示される9−ハロゲノメチル−10−(トリフルオロメチル)アントラセンのハロゲノメチル基のハロゲンは臭素原子であることが、取扱い上好ましく、推奨される。
【0029】
式(VIII)で示される9−ブロモメチル−10−(トリフルオロメチル)アントラセンを原料として、これから式(VII)で示される新規な9−シアノメチル−10−(トリフルオロメチル)アントラセンを製造する方法としては、式(VIII)の化合物を極性溶媒中、攪拌下、所定温度、所定時間でシアノ化剤と反応させる方法がある。
【0030】
極性溶媒としては、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、アセトン等が使用できる。その使用量は、好ましくは原料1gに対して1〜100ミリリットルである。シアノ化剤としてはシアン化ナトリウム、シアン化カリウム、シアン化銅(I)等が使用できる。その使用量は、好ましくは原料に対して1〜2倍モル量である。シアノ化の反応温度は、0〜200℃の範囲であるのが好ましい。反応時間は、好ましくは0.5〜5時間である。反応終了後、通常の後処理、精製を行うことにより、式(VII)で示される新規なアントラセン化合物である9−シアノメチル−10−(トリフルオロメチル)アントラセンを製造することができる。
【0031】
以下に本発明の種々の態様の実施例を示す。本発明における新規化合物類の製造方法は実施例に記載された具体的な態様及び詳細事項にのみに限定されるものではない。
【0032】
【実施例】
9−ブロモ−10−メチルアントラセンの製造
参考例1
冷却浴、温度計及び圧力平衡管付き滴下ロートを備えた1Lガラス製フラスコに窒素雰囲気下、9,10−ジブロモアントラセン29.9g(89.0ミリモル)とジエチルエーテル160ml及びベンゼン140mlとを仕込んだ。2〜4℃に冷却し、攪拌下、n−ブチルリチウムのヘキサン溶液(1.54M)59.6ml(91.8ミリモル)を30分かけて滴下した。滴下終了後、同じ温度でさらに30分間攪拌を続けた。その溶液中に攪拌下、ヨウ化メチル18.9g(133ミリモル)を1時間かけて滴下した。滴下終了後、室温下でさらに2時間攪拌した。反応終了後、約0℃で塩化アンモニウム飽和水溶液200mlを添加して30分間攪拌し、析出した結晶を濾取して乾燥した。濾液の有機相を分取し、水相はベンゼン200mlで抽出して有機相と混合した。混合有機相は飽和食塩水300mlで洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、硫酸マグネシウムを濾別後、溶媒を減圧留去した。得られた粗生成物をジクロロメタン−シクロヘキサン混合溶媒で再結晶し、濾過により得られた結晶と共に乾燥して9−ブロモ−10−メチルアントラセンの黄色固体を得た。LC純度99%、収量21.9g(収率91%)であった。
生成物の構造は、核磁気共鳴分析等で確認した。核磁気共鳴分析〔VARIAN社製:Gemini 200〕の結果は以下の通りである。
1H−NMR(溶媒:CDCl3、標準物質:テトラメチルシラン)
δ 8.52〜8.65ppm(m,2H,ArH)
8.24〜8.38ppm(m,2H,ArH)
7.45〜7.68ppm(m,4H,ArH)
3.09ppm(s,3H,CH 3)
【0033】
9−メチルアントラセン−10−カルボン酸の製造
参考例2
冷却浴、ガス吹込管、温度計及び圧力平衡管付き滴下ロートを備えた500mLガラス製フラスコに窒素雰囲気下、9−ブロモ−10−メチルアントラセン15.9g(58.6ミリモル)とジエチルエーテル110ml及びベンゼン110mlとを仕込んだ。2〜4℃に冷却し、攪拌下、n−ブチルリチウムのへキサン溶液(1.54M)40.2ml(62.0ミリモル)を30分かけて滴下した。滴下終了後、同じ温度でさらに30分間攪拌を続けた。次に、気液界面上に炭酸ガスを0.1リットル/分の流量で2時間吹込んだ。この反応は発熱反応であるので、液温が10℃以下となるように注意して吹込んだ。反応終了後、攪拌下、5%塩酸200mlを約0℃で添加して30分間攪拌し、析出した結晶を濾取して乾燥した。濾液の有機相を分取し、水相は酢酸エチル200mlで抽出して有機相と混合した。混合有機相は飽和食塩水300mlで洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、硫酸マグネシウムを濾別後、溶媒を減圧留去した。得られた粗生成物を酢酸エチル溶媒で再結晶し、先に濾過により得られた結晶と共に乾燥して9−メチルアントラセン−10−カルボン酸の黄色固体を得た。LC純度99%、収量12.4g(収率90%)であった。
生成物の構造は核磁気共鳴分析等で確認した。核磁気共鳴分析〔VARIAN社製:Gemini 200〕の結果は以下の通りである。
1H−NMR(溶媒:CDCl3、標準物質:テトラメチルシラン)
δ 8.26〜8.38ppm(m,2H,ArH)
8.14〜8.23ppm(m,2H,ArH)
7.45〜7.62ppm(m,4H,ArH)
3.12ppm(s,3H,CH 3)
【0034】
9−メチル−10−(トリフルオロメチル)アントラセンの製造
参考例3
ウォークインドラフト内に設置された攪拌機、ガス導入管、ガス放棄管、温度計、冷却(加熱)浴を備えた200mlステンレス製オートクレーブ装置の容器内に窒素雰囲気下、9−メチルアントラセン−10−カルボン酸10.0g(42.3ミリモル)を仕込み、密閉し、−50℃に冷却した。ガス導入管より無水フッ化水素50g、次いで四フッ化硫黄18.3g(169.4ミリモル)を仕込み、密閉した。攪拌下、液温を80℃まで加熱し、さらに約80℃の条件下で5時間攪拌を続けた。反応終了後、30℃前後で、ガス成分及び無水フッ化水素をアルカリスクラバーへと放棄し、さらに窒素ガスを容器内に十分に置換した。容器内のオイル状物をベンゼン100mlで抽出し、飽和炭酸カリウム水溶液100mlで洗浄した。有機相は無水硫酸ナトリウムで乾燥し、硫酸ナトリウムを濾別後、溶媒を減圧留去した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して9−メチル−10−(トリフルオロメチル)アントラセンを黄色固体として得た。LC純度98%、収量8.9g(収率81%)であった。
生成物の構造は核磁気共鳴分析等で確認した。核磁気共鳴分析〔VARIAN社製:Gemini 200〕の結果は以下の通りである。
1H−NMR(溶媒:CDCl3、標準物質:テトラメチルシラン)
δ 8.43〜8.58ppm(m,2H,ArH)
8.28〜8.40ppm(m,2H,ArH)
7.45〜7.65ppm(m,4H,ArH)
3.14ppm(s,3H,CH 3)
19F−NMR(溶媒:CDCl3,標準物質:CFCl3)
δ −47.22ppm(s,3F,CF 3)
【0035】
9−ブロモメチル−10−(トリフルオロメチル)アントラセンの製造
実施例1
加熱浴、温度計及び冷却凝縮管を備えた200mlガラス製フラスコに9−メチル−10−(トリフルオロメチル)アントラセン9.3g(35.7ミリモル)とベンゼン60mlとN−ブロモコハク酸イミド7.27g(40.9ミリモル)、及び過酸化ベンゾイル0.17g(0.7ミリモル)とを仕込み、攪拌しながら昇温して2時間加熱還流した。反応終了後、反応液を5℃以下まで冷却し、コハク酸イミドを濾別した。濾液は5%水酸化ナトリウム水溶液100ml及び飽和食塩水50mlで洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、硫酸ナトリウムを濾別後、溶媒を減圧留去した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して9−ブロモメチル−10−(トリフルオロメチル)アントラセンを黄色固体として得た。LC純度99%、収量11.8g(収率98%)であった。
生成物の構造は核磁気共鳴分析等で確認した。核磁気共鳴分析〔VARIAN社製:Gemini 200〕の結果は以下の通りである。
1H−NMR(溶媒:CDCl3、標準物質:テトラメチルシラン)
δ 8.51〜8.62ppm(m,2H,ArH)
8.32〜8.46ppm(m,2H,ArH)
7.55〜7.75ppm(m,4H,ArH)
5.48ppm(s,2H,CH 2Br)
19F−NMR(溶媒:CDCl3,標準物質:CFCl3)
δ −47.53ppm(s,3F,CF 3)
【0036】
9−シアノメチル−10−(トリフルオロメチル)アントラセンの製造
実施例2
加熱浴、温度計及び圧力平衡管付き滴下ロートを備えた100mlガラス製フラスコに窒素雰囲気下、N,N−ジメチルホルムアミド10mlとシアン化銅(I)0.58g(6.5ミリモル)を仕込み、攪拌しながら135℃に加熱した。約135℃で攪拌下、予め9−ブロモメチル−10−(トリフルオロメチル)アントラセン2.0g(5.9ミリモル)をN,N−ジメチルホルムアミド10mlに溶解してあった溶液を滴下ロートより速やかに添加した。さらに約135℃の条件下で1時間攪拌後、室温まで冷却し、氷水100ml中に注いだ。これにベンゼンも100mlを加えて30分間攪拌した後、不溶物を減圧濾過により濾別し、濾液の有機相を分取した。有機相を水(50ml×3回)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、硫酸ナトリウムを濾別した。溶媒を減圧留去し、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して9−シアノメチル−10−(トリフルオロメチル)アントラセンを黄色固体として得た。LC純度99%、収量1.0g(収率59%)であった。
【0037】
生成物の構造は核磁気共鳴分析等で確認した。核磁気共鳴分析〔VARIAN社製:Gemini 200〕の結果は以下の通りである。
1H−NMR(溶媒:CDCl3、標準物質:テトラメチルシラン)
δ 8.53〜8.65ppm(m,2H,ArH)
8.18〜8.30ppm(m,2H,ArH)
7.60〜7.76ppm(m,4H,ArH)
4.65ppm(s,2H,CH 2CN)
19F−NMR(溶媒:CDCl3,標準物質:CFCl3)
δ −47.49ppm(s,3F,CF 3)
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