JP4800677B2 - 同期機の励磁装置 - Google Patents
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整流器には、半導体素子と該半導体素子の過電流保護用ヒューズとよりなる整流回路が複数並列に設けられているとともに、該複数の整流回路において過電流保護用ヒューズが溶断したときに信号を出力するヒューズ断検出ロジックが設けられており、
自動電圧調整器には、複数の整流回路で過電流保護用ヒューズが溶断したとき、界磁巻線への励磁電流を制限する複数のヒューズ溶断に対応して設定されたヒューズ断時リミット電流値指令信号を出力する制限電流指令回路と、該制限電流指令回路の出力信号を入力して、界磁巻線への励磁量を制限する指令値を出力する制限回路が設けられているとともに、制限電流指令回路に設けられた比較器には、界磁電流値と、切換回路を介して界磁巻線過励磁時の電流値であるOEL動作点電流値と、複数の整流回路において過電流保護用のヒューズが溶断した時のヒューズ断時動作点電流値とが入力されており、制限電流指令回路がヒューズ断検出ロジックからの信号を入力すると、切換回路によってOEL動作点電流値からヒューズ断時動作点電流値に切り換えられて、比較器にヒューズ断時動作点電流値が入力し、ヒューズ断時動作点電流値が界磁電流値よりも大きい時に出力する比較器のON信号により、ヒューズ断時リミット電流値指令信号が出力され、該信号を入力する制限回路を介して整流器の出力を制限するものである。
以下、この発明の実施の形態1を図に基づいて説明する。
図1は同期機の励磁装置を示すブロック図である。図1において、例えばタービン発電機である同期機1は界磁巻線2を備え、励磁装置200によって励磁される。前記励磁装置200は、励磁変圧器や永久発電機等の電源3と、この電源3の出力を整流し前記界磁巻線2に供給する励磁電流(励磁電圧)を制御する、例えばサイリスタよりなる整流器4と、自動電圧調整器(以下AVRと称す)5とで構成される。前記同期機1の出力電圧、電流は電圧検出用変圧器(PT)6と、電流検出用変圧器(CT)7を介して、AVR5に入力される。AVR5は同期機1の出力に応じて、例えばサイリスタ点弧パルス制御信号を発し、トリガ回路8を介して整流器4を制御する。
並列数は通常同期機1の運転に必要な並列数Nに対して冗長をもたせ、N+1並列で構成される。なお用途により冗長数を増やし、N+2などとする場合もあるが、ここではN+1並列の場合を示す。
図1における整流器4は1直列4並列の構成であり、3相で相数分の半導体整流回路36a、36b、36cからなり、それぞれが同じ構成を有しており、図1では1相分の半導体整流回路36aについて詳細に図示している。1相分の半導体整流回路36aは、半導体素子31a〜31hと、前記各半導体素子31a〜31hの過電流保護用ヒューズ32a〜32hを備えており、前記半導体素子31と過電流保護用ヒューズ32とで整流回路30を形成し、図1では2直列4並列の例を示している。前記ヒューズ32a〜32hが溶断した場合に、ヒューズ溶断信号(接点信号)33a〜33hを発信する。前記半導体素子31a〜31hのトリガ回路8は集約して示しており、これはAVR5の制御出力信号である。
図2に示すように、整流器4に設けられたヒューズ断検出ロジック34に、前記ヒューズ溶断信号33a〜33hが集約される。
2並列ヒューズ、つまり例えばA列とB列のヒューズが溶断したとき、ヒューズ断検出ロジック34は2並列ヒューズ断信号35bをAVR5に出力する。
図3に示すように、界磁巻線2の過熱防止の為、標準的に規定されている過励磁を制限する制限電流値がOELリミット電流値92として設定されている。また、制限値初期値95が設定されており、通常運転時には制限回路11の値はこの制限値初期値95に設定されている。一方、AVR5は励磁量指令値10により励磁制御信号8で整流器4を制御している。
次に通常運転時のOEL9の動作を述べる。
界磁巻線2に過電流が流れ、図1には省略した検出器が過電流を検出すると、OEL動作94によりOELリミット電流値92が第1の切換回路93a、第2の切換回路93bを介して制限回路11に入力され、励磁制御信号8としてAVR5から整流器4に入力し、前記OELリミット電流値92により整流器4の出力制御を行う。
2並列ヒューズ断信号35bがONになると、制限回路11の出力は、第1、第2の切換回路93a,93bで1の側が選択されることにより、2並列ヒューズ断時の整流器4の容量に設定された制限電流値である2並列ヒューズ断時リミット電流値91に設定される。つまり界磁巻線2の励磁電流は励磁量指令値10によらず、励磁制御信号8が制限され、整流器4の出力が2並列ヒューズ断時リミット電流値91に対応した電流値に制限される。即ち2並列ヒューズ断時リミット電流値91を、整流器4を破損しない値に定めることにより、2並列ヒューズ断時においても整流器4の容量以内の励磁量指令値しか出力されない為、整流器4を破損することなく、同期機1の運転を継続することが可能な励磁装置100となる。
なお、OEL9の動作方式として、前記の如く、制限回路11の出力を強制的に設定する方式以外に、界磁電流フィードバック回路を用いて界磁電流値を所定の値に制御する方式もあり、この場合においても前述した図3の回路構成を採用することが可能である。
次に実施の形態2によるOEL9aを図4に基づいて説明する。図4において切換回路93以外は前記実施の形態1で示した図3と同一であるので説明を省略する。
この実施の形態2の図4に示すOEL9aの構成は、2並列ヒューズ断時に、整流器4の容量が、標準的に設定されているOELリミット電流値92以上の容量(整流器4の出力定格)を有しておれば採用できるものである。図4において、2並列ヒューズ断信号35bがONすると、切換回路93で1の側が選択され、OELリミット電流値92に設定される。これにより制限回路11から界磁巻線2の励磁電流値は、励磁量指令値10によらずOELリミット電流値92を整流器4が出力する。整流器4の容量が2並列ヒューズ断時においても、標準的に設定されているOELリミット電流値92(定格界磁電流値を100%とした場合、例えば105%の電流値をOELリミット値とする)以上の励磁装置100であればこのような構成のOEL9aを採用してもよい。なお、この実施の形態2では2並列ヒューズ断時について述べたがこれに限らず2並列以上の複数の並列ヒューズ断時であってもよい。このようにこの実施の形態2のOEL9aを備えた同期機1の励磁装置100は、前記実施の形態1の効果に加えて、システムの簡易化、コスト低減さらには2並列ヒューズ断時のリミット値を設定する必要が無くなることによるヒューマンエラ防止の効果がある。
次に実施の形態3によるOEL9bを図5に基づいて説明する。図5において、実施の形態1で示した図3と同一符号のものは同一機能であり、説明を省略する。
前記実施の形態1のOEL9では、2並列ヒューズ断時に即時に2並列ヒューズ断時のリミット値電流値91の値の出力をするよう整流器4へ制御指令をAVR5が行っていたが、この実施の形態3では図5に示すように、OEL9bに設けられた第2の切換回路93bの切換条件を、比較器99の出力によるものとする。この比較器99には、同期機1の界磁巻線2に流れる界磁電流値98とOEL動作点電流値96と2並列ヒューズ断時動作点電流値97が入力され、前記OEL動作点電流値96と2並列ヒューズ断時動作点電流値97が第3の切換回路93cによって切り換えられるものである。そしてこの第3の切換回路93cの切換条件として、前記実施の形態1の図3で示したと同様に、2並列ヒューズ断信号35bを用いるものである。
次に実施の形態4について説明する。
前記実施の形態1〜3による励磁装置100では、2並列ヒューズ断時に同期機1の界磁巻線2への界磁電流値を制限していたが、この界磁電流値を制限することで同期機1と整流器4との容量の組み合わせによっては、同期機1の出力電圧が不足してしまい、同期機1の運転に必要な定態安定度が確保できず、脱調してしまう可能性もある。
この実施の形態4では、上記のような組み合わせであっても定態安定度を確保するとともに、前記実施の形態1〜3と同様の動作を行う励磁装置100の構成を有している。この実施の形態4の発電システムのブロック図を図6に示す。図6において、図1と同一符号は同一機能であり、説明を省略する。タービン発電機である同期機1はタービン12を原動機として回転し、タービン12の回転数はガバナ制御装置13により制御される。励磁装置100のAVR5の入力として、同期機1の出力電圧検出用変圧器(PT)6、出力電流検出用変圧器(CT)7の出力を用い、前記実施の形態1〜3のいずれかの構成を備えた整流器4の出力は、同期機1の界磁巻線2に供給される界磁電流となる。
このような構成により、励磁装置100の半導体整流回路4の2並列ヒューズ断が発生時、同期機1と整流回路4の容量の組み合わせによって生じる同期機1の界磁電流が制限されることにより発生する可能性のある定態安定度不足による脱調を防止できるという効果がある。
次に実施の形態5を説明する。
前記実施の形態3では、2並列ヒューズ断時に過励磁制限点を変更することで、過渡安定度を向上させていたが、この実施の形態5では図7に示すようにさらに通常運転時の力率制限をすることで、定常的な過励磁制限を回避し、さらに安定度を向上させるものである。
図7において図5と同一符号のものは同―機能を持ち、説明を省略する。
図7において同期機1の出力電圧検出用変圧器(PT)6、同期機1の出力電流検出用変圧器(CT)7の出力をAVR5に設けられた力率制限回路16に入力することで電圧設定値15に対応した励磁量指令値10を出力させる。更に出力電圧検出用変圧器(PT)6と上記電圧設定値15の誤差を検出するとともにこの誤差に対応した励磁量を励磁量指令値10として制限回路11に出力するものである。このように通常運転時の力率制限をした結果を励磁量指令値10として出力することで、定常的な過励磁制限を回避し、さらに安定度向上を図ることができる。
また、前記実施の形態4で示したように、AVR5からガバナ13への有効電力制御信号14を出力する有効電力制限を付加すると、更にこの実施の形態5による機能が有効に機能する。
次に実施の形態6を説明する。
前記実施の形態1〜実施の形態5では、2並列ヒューズ断時に界磁電流制限をしていたが、この実施の形態6では図8に示すように、3並列以上のヒューズ断時においても、切り換え回路を追加することで更に同期機1の運転を停止することなく運転継続を行うものである。
図8において図3と同一符号のものは同一機能を持ち、説明を省略する。
図8は図3に3並列ヒューズ断信号35c、3並列ヒューズ断時リミット値電流値100、第4の切換回路93dを追加して設けたものである。
図8において、3並列ヒューズ断は起こらず、2並列ヒューズ断が起こった場合、つまり3並列ヒューズ断信号35cがOFFで2並列ヒューズ断信号35bがONになると、第1の切換回路93aでは1が選択されているが、第4の切換回路93dでは0が選択され、さらに最終段の第2の切換回路93bの切換条件がONであるから、第2の切換回路93bでは1が選択される。結果的に2並列ヒューズ断時リミット値91の値が制限回路11に設定される。つまり図8は図3の機能を包含している。
なお並列ヒューズ断数が増加する毎にヒューズ断時のリミット値は小さくなる。例えば2並列断時はリミット値3000Aとすると3並列時は2000A、4並列断時は1000Aなど各複数の並列ヒューズ断リミット値電流値を出すように制限され、運転継続される。また、本実施の形態6に前記実施の形態2〜5の機能も具備、適用させることもできる。
9,9a,9b 制限電流指令回路、11 制限回路、12 原動機、
13 ガバナ制御装置、30a〜30d 整流回路、31a〜31h 半導体素子、
32a〜32h 過電流保護用ヒューズ、33a〜33h ヒューズ断信号、
34 ヒューズ断検出ロジック、35b 2並列ヒューズ断信号、
36a〜36c 半導体整流並列回路、91 2並列ヒューズ断時リミット電流値、
92 OELリミット値、93a 第1の切換回路、93b 第2の切換回路、
93c 第3の切換回路、93d 第4の切換回路、96 OEL動作点電流値、
97 2並列ヒューズ断時動作点電流値、98 界磁電流値、99 比較器、
200 同期機の励磁装置。
Claims (1)
- 同期機の界磁巻線に励磁電流を供給する整流器と、前記整流器の出力を制御する自動電圧調整器とを備えた同期機の励磁装置であって、
前記整流器には、半導体素子と該半導体素子の過電流保護用ヒューズとよりなる整流回路が複数並列に設けられているとともに、該複数の整流回路において前記過電流保護用ヒューズが溶断したときに信号を出力するヒューズ断検出ロジックが設けられており、
前記自動電圧調整器には、前記複数の整流回路で前記過電流保護用ヒューズが溶断したとき、前記界磁巻線への励磁電流を制限する前記複数のヒューズ溶断に対応して設定されたヒューズ断時リミット電流値指令信号を出力する制限電流指令回路と、該制限電流指令回路の出力信号を入力して、前記界磁巻線への励磁量を制限する指令値を出力する制限回路が設けられているとともに、前記制限電流指令回路に設けられた比較器には、界磁電流値と、切換回路を介して界磁巻線過励磁時の電流値であるOEL動作点電流値と、前記複数の整流回路において前記過電流保護用のヒューズが溶断した時のヒューズ断時動作点電流値とが入力されており、前記制限電流指令回路が前記ヒューズ断検出ロジックからの信号を入力すると、前記切換回路によって前記OEL動作点電流値から前記ヒューズ断時動作点電流値に切り換えられて前記比較器に前記ヒューズ断時動作点電流値が入力し、前記ヒューズ断時動作点電流値が前記界磁電流値よりも大きい時に出力する前記比較器のON信号により前記ヒューズ断時リミット電流値指令信号が出力され、該信号を入力する前記制限回路を介して前記整流器の出力を制限することを特徴とする同期機の励磁装置。
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