溶接装置
技術分野
[0001] 本発明は、半導体素子を用いる溶接装置であって、この半導体素子の故障検出を 行う溶接装置に関する。
背景技術
[0002] 近年、世界的に機器の安全に対する取り組みが強化されている。溶接装置に使用 されて 、るサイリスタなどの半導体素子が短絡故障した場合、半導体素子だけの故 障にとどまらず、変圧器などの構成部品を同時に焼損させてしまうことがある。
[0003] 従来の溶接装置において、半導体素子が故障短絡した場合の保護の方法として 一般的に知られているものには、以下のものがある。
[0004] 例えば、溶接装置に電力を供給する配電設備や入力電源回路に、ヒューズゃサー キットブレーカを設けておく。そして、半導体素子が短絡故障した場合、過大な入力 電流が流れるためヒューズが溶断する、あるいは、サーキットブレーカがトリップするこ とにより、溶接装置を構成する変圧器の焼損などを防ぎ、故障の拡大を防止していた (例えば、特許文献 1参照)。
[0005] 図 3は上記従来の溶接装置の概略構成を示して!/ヽる。
[0006] この従来の溶接装置では、入力開閉器 101が閉じることにより、入力電源 (U, V, W)が三相交流用主変圧器 122の 1次卷線 121へ供給される。同 2次卷線 102a〜l 02fの出力電圧をサイリスタ 103a〜103fで整流し、相間リアタトル 104、直流リアタト ル 105を経由して、溶接出力電流として溶接負荷 106に供給する。このとき、各サイリ スタ 103a〜103fには溶接出力電流を 6分割した電流が流れる。
[0007] これらを制御する制御回路 110が異常を生じた際に、他の箇所への影響を防ぐた めの保護ヒューズ 107が設けられて!/、る。
[0008] ここで、 1個あるいは複数個のサイリスタ 103a〜103fが何らかの原因で短絡故障し た場合、溶接変圧器の 2次卷線 102a〜102fの出力は故障したサイリスタ 103a〜l 03fのいずれかを介して短絡されて、過大電流が流れる。この過大電流が流れた場
合、この溶接装置に接続されている配電装置内に設けられた保護用のヒューズ (図 示しない)が溶断する力、あるいは、サーキットブレーカ(図示しない)がトリップして溶 接装置を保護する。
[0009] しかし、規定値より大きなヒューズやサーキットブレーカを接続して 、た場合、サイリ スタ 103a〜103fが短絡故障してもヒューズあるいはサーキットブレーカが動作せず 、三相交流用主変圧器 122の 2次卷線 102a〜102fおよび 1次卷線 121を焼損させ ることがある。
[0010] また、配電箱等に取り付けられたヒューズが溶断して溶接装置を保護しても、取り替 えの手間や、大容量ヒューズのため交換部品が高価であるなどの問題もある。
[0011] このように、従来の溶接装置では、溶接装置内にヒューズあるいはサーキットブレー 力を有していない場合、溶接装置に電力を供給する配電箱等にヒューズやサーキット ブレーカを設ける必要がある。さらに、このヒューズやサーキットブレーカとしては、半 導体素子が短絡故障したときに、機器の焼損を防止できる値のものを指定する必要 があり、防止できる値以上のものを使用していた場合、機器を保護できないという問 題があった。
[0012] また、溶接装置内にヒューズあるいはサーキットブレーカを装備した場合でも、溶接 装置の配置スペースが大きくなる。そして、大電流を通電するヒューズあるいはブレ 一力が必要になるため、コスト的にも高価になるという問題があった。
特許文献 1 :特公昭 62— 41837号公報
発明の開示
[0013] 本発明は、上記課題を解決するために、半導体素子が故障したときに、簡単かつ 低コストで溶接装置の入力電源を遮断し、故障の拡大を防止するものである。
[0014] 上記課題を解決するために、本発明の溶接装置は、変圧器と、変圧器の 1次側に 設けられており変圧器に対して交流電力を供給または遮断するためのスィッチ部と、 変圧器の 2次側に設けられており溶接出力を制御するための半導体素子と、半導体 素子の両端電圧を検出する電圧検出部を備え、変圧器に交流電力が供給されてい るときに半導体素子の両端電圧が通常電圧よりも低いかまたは零であることを電圧検 出部が検出すると、スィッチ部を開動作して変圧器への交流電力の供給を遮断する
ものである。
[0015] また、本発明の溶接装置は、半導体素子は複数設けられており、複数の半導体素 子は並列に接続されており、複数の半導体素子のそれぞれに対して電圧検出部が 設けられており、少なくとも 1つの電圧検出部が半導体素子の両端電圧が通常電圧 より低いかまたは零であることを検出すると、スィッチ部を開動作して変圧器への交流 電力の供給を遮断するものである。
[0016] また、本発明の溶接装置は、電圧検出部が、所定時間以上継続して半導体素子の 両端電圧が通常電圧よりも低いかまたは零であることを検出したときに、スィッチ部を 開動作して変圧器への交流電力の供給を遮断するものである。
[0017] また、本発明の溶接装置は、第 1のリレーと、第 2のリレーと、第 2のリレーに並列接 続された容量性素子と、電圧検出部の検出結果に基づいて第 2のリレーを開閉動作 させるトランジスタ等のスイッチング素子とをさらに備え、第 1のリレーが動作すること により容量性素子に蓄えられたエネルギーに相当する所定維持時間第 2のリレーが 閉動作し、第 1のリレーと第 2のリレーとが閉動作することによりスィッチ部が閉動作し て変圧器に対して交流電力が供給され、電圧検出部が半導体素子の両端電圧が通 常電圧であることを検出するとスイッチング素子が閉動作することにより所定維持時 間経過後も第 2のリレーの閉動作が維持されて変圧器に対して交流電力の供給が維 持され、電圧検出部が半導体素子の両端電圧が通常電圧より低いかまたは零である ことを検出するとスイッチング素子が開動作することにより所定維持時間経過後には 第 2のリレーが開動作して変圧器に対して交流電力の供給が遮断されるものである。
[0018] このような構成によって本発明の溶接装置は、半導体素子の電圧を監視し、半導 体素子の両端電圧が零力あるいは通常電圧よりも低くなつたときに入力電源を遮断 して、溶接装置への入力電源の供給を遮断することにより、故障の拡大の防止を簡 単な構成かつ低コストで実現することができる。
図面の簡単な説明
[0019] [図 1]図 1は本発明の一実施の形態における溶接装置の概略構成を示す図である。
[図 2]図 2は本発明の一実施の形態における溶接装置の入力開閉器の制御部の構 成を示す図である。
[図 3]図 3は従来の溶接装置の概略構成を示す図である。
符号の説明
[0020] 1, 101 入力開閉器
10 起動用スィッチ
11 トランジスタ (スイッチング素子)
11a ベース端子
2 溶接変圧器
2a, 121 1次卷線
2b, 102a, 102b, 102c, 102d, 102e, 102f 2次卷線
3a, 3b, 3c, 3d, 3e, 3f, 103a, 103b, 103c, 103d, 103e, 103f サイリスタ
4a, 4b, 4c, 4d, 4e, 4f フォ卜力ブラの発光側素子
5a, 5b, 5c, 5d, 5e, 5f フォト力ブラの受光側素子
6a, 6b, 6c, 6d, 6e AND素子
7 第 1のリレー
71 第 1の系統
72 第 2の系統
8 第 2のリレー
9 制御部
91 コンデンサ
92 抵抗
発明を実施するための最良の形態
[0021] 図 1は、本発明の一実施の形態である溶接装置の概略構成を示す図である。本実 施の形態は、溶接装置に多く用いられているサイリスタによる二重星形整流回路に本 発明を適用した例である。
[0022] 図 1に示すように、この二重星型整流回路は、溶接装置の入力電源を開閉する入 力開閉器 1と溶接変圧器 2とを有し、溶接変圧器 2は 1次卷線 2aと 2次卷線 2bとを備 えている。さらに、溶接変圧器 2の出力を整流する電力半導体素子であるサイリスタ 3 a〜3fを備え、二重星型整流回路構成であるため、 6個のサイリスタ 3a〜3fが並列に
接続されている。
[0023] また、電流制限抵抗およびダイオードと直列に接続されたフォト力ブラの発光側素 子 4a〜4fが、サイリスタ 3a〜3fと並列あるいは逆並列に接続されている。なお、図 1 で矢印に付した符号 K1〜K6は、それぞれ同じ符号の矢印どうしが接続されているこ とを示している。
[0024] さらに、フォト力ブラの受光側素子 5a〜5fの出力力 電圧調整抵抗を介してシーケ ンス回路を構成する AND素子 6a〜6cの入力に接続されて!、る。本実施の形態の溶 接装置における入力開閉器 1の制御部 9の構成を図 2に示す。なお、図 1および図 2 において矢印で付した符号 ml〜m3は、それぞれ同じ符号の矢印どうしが接続され て 、ることを示している。
[0025] この制御部 9は図 2に示すように、常開接点と常閉接点を備えた第 1のリレー 7と第 2 のリレー 8を有している。第 1のリレー 7は第 1の系統 71と第 2の系統 72の 2系統を、 同時にオンオフすることができる。
[0026] なお、第 1のリレー 7の常開接点は、接続点 laと接続されている。また、第 2のリレー 8の常開接点は、入力開閉器 1の接点を動作させるための入力開閉器 1のコイル部 1 cを介して接続点 lbと接続されている。また、第 1のリレー 7の常開接点と第 2のリレー 8の常開接点は直列に接続されている。そして、第 1のリレー 7の常開接点と第 2のリ レー 8の常開接点がオンする (接点が閉じる)ことにより、接続点 laと接続点 lbが接続 された状態になると、コイル部 lcに電流が流れて入力開閉器 1は閉状態となる。すな わち、入力電源が溶接変圧器 2に供給される状態となる。一方、第 1のリレー 7の常開 接点あるいは第 2のリレー 8の常開接点がオフする (接点が開く)ことにより、接続点 la と接続点 lbがコイル部 lcを介して接続されない状態になると、コイル部 lcに電流が 流れず入力開閉器 1は開状態となる。すなわち、入力電源が溶接変圧器 2に供給さ れない状態となる。
[0027] 図 2からわ力るように、起動用スィッチ 10がオフの状態では、第 1のリレー 7のコイル には電流が流れず、第 1のリレー 7はオフ状態で、接続点 laと接続点 lbの接続は切 断された状態となる。従って、入力開閉器 1は開状態となる。なお、この状態で、第 2 のリレー 8のコイルには、第 1のリレー 7の第 2の系統 72の常閉接点を介して所定の電
流が流れ、第 2のリレー 8はオン状態となっている。
[0028] この状態で、起動用スィッチ 10をオンにすると、第 1のリレー 7のコイルに所定の電 流が流れ、第 1のリレー 7がオンとなり、第 2のリレー 8もオン状態のため、接続点 laと 接続点 lbが第 1のリレー 7と第 2のリレー 8と入力開閉器 1のコイル部 lcを解して接続 される。なお、このとき、第 1のリレー 7の第 2の系統 72においては、常閉接点が開状 態となる。しかしながら、第 2のリレー 8はオン状態を維持する。その理由については 後で詳述する。
[0029] このようにして、接続点 laと接続点 lbが接続されて、コイル部 lcに電流が流れて入 力開閉器 1を閉状態にする。そして、溶接変圧器 2を介してサイリスタ 3a〜3fに電圧 が印加される。サイリスタ 3a〜3fは、印加された電圧を整流し直流電圧を溶接部 20 へ供給する。なお、サイリスタ 3a〜3fのアノード '力ソード間には、溶接変圧器 2の交 流出力電圧が印加される。
[0030] ここで、もし、サイリスタ 3a〜3fの 、ずれかあるいは複数個が故障し、故障したサイリ スタ 3a〜3fのアノード '力ソード間が短絡状態になった場合、短絡故障したサイリスタ 3a〜3fは力ソードに印加される電圧を阻止できなくなる。そして、故障したサイリスタ 3 a〜3fと、 2次卷線 2bに接続された別のサイリスタ 3a〜3fとにより、溶接変圧器 2の 2 次卷線 2bに短絡回路が構成され、サイリスタ 3a〜3fおよび溶接変圧器 2に過大電流 が流れる。
[0031] さらに、その状態が継続する場合、溶接変圧器 2の 2次卷線 2bおよび 1次卷線 2aを 焼損に至らしめることになる。なお、サイリスタ 3a〜3fのいずれ力 1つの場合だけでな ぐ複数のサイリスタ 3a〜3fが故障したときにも、同様に、短絡回路が構成されて過 大電流が流れる。
[0032] 上記のような状態を防ぐために、本実施の形態の溶接装置では、サイリスタ 3a〜3f のアノード '力ソード間電圧を監視する構成としている。サイリスタ 3a〜3fのアノード' 力ソード間電圧を監視するため、それぞれのサイリスタ 3a〜3fに並列あるいは逆並列 になるように、フォト力ブラの発光側素子 4a〜4fとダイオードと電流制限抵抗力もなる 直列接続回路を接続する。なお、ダイオードはフォト力ブラの発光側素子 4a〜4fの 過電圧防止用であり、抵抗は電流制限用である。
[0033] 溶接装置が正常に運転しているときには、サイリスタ 3a〜3fのアノード '力ソード間 には電圧が印加されているため、その電圧によりフォト力ブラの発光側素子 4a〜4fに 電流が流れて発光し、光がフォト力ブラの受光側素子 5a〜5fに伝達される。そして、 フォト力ブラの受光側素子 5a〜5fがオンとなり、これらの信号が AND素子 6a〜6eで 構成されるシーケンス回路を経由して、 AND素子 6eの出力端子 6fをハイ状態にす る。
[0034] この AND素子 6eの出力端子 6fは、スイッチング素子であるトランジスタ 11のベース 端子 11aに入力され、トランジスタ 11をオン状態にする。
[0035] トランジスタ 11がオン状態となるため、第 2のリレー 8のコイルには所定の電流が流 れ続け、第 2のリレー 8はオン状態を保つ。従って、接続点 laと接続点 lbが接続され た状態が維持され、入力開閉器 1は閉状態を維持する。
[0036] 次に、 6個のサイリスタ 3a〜3fのうちいずれ力 1個あるいは複数のサイリスタ 3a〜3f が短絡故障した場合の動作につ!、て説明する。
[0037] サイリスタ 3a〜3fのうち!/、ずれ力 1個あるいは複数のサイリスタ 3a〜3fが短絡故障 したとき、そのサイリスタ 3a〜3fのアノード '力ソード間電圧は零あるいは通常電圧より 低い電圧となる。そして、サイリスタ 3a〜3fのアノード '力ソード間に接続されたフォト 力ブラの発光側素子 4a〜4fに電流が流れなくなり、対応するフォト力ブラの受光側素 子 5a〜5fがオフ状態となる。
[0038] その結果、 AND素子 6a〜6cの対応するいずれかの入力端子がロー状態となり、
AND素子 6eの出力端子 6fもロー状態となる。この AND素子 6eの出力端子 6fはトラ ンジスタ 11のベース端子 1 laに接続されて!、るので、トランジスタ 11がオフ状態とな る。
[0039] このとき、起動用スィッチ 10はオン状態となっているので、第 1のリレー 7はオン状態 となっており、第 1のリレー 7の第 2の系統 72の常閉接点は開状態になっている。従つ て、第 2のリレー 8のコイルに電流が流れず、第 2のリレー 8がオフ状態となる。
[0040] これにより、接続点 laと接続点 lbが接続されなくなり、コイル部 lcに電流が流れず 、入力開閉器 1が開状態となり、溶接装置への入力電源を遮断する。
[0041] なお、制御部 9における第 1のリレー 7、第 2のリレー 8としては、電磁接触器あるい
はこれと同等の開閉器やトライアツクなどの半導体スィッチ等を用いてもよい。
[0042] 以上のように、サイリスタ 3a〜3fの電圧を監視し、サイリスタ 3a〜3fが短絡故障した 場合にはサイリスタ 3a〜3fのアノード '力ソード間電圧が正常動作時よりも小さくなる 、あるいは、零となるので、これを検出することにより、入力電源を入力開閉器 1により 遮断することで、溶接変圧器 2などの溶接装置の構成部材の故障の拡大を防止する ことができる。
[0043] なお、各サイリスタ 3a〜3fの電圧を検出し、この検出結果を入力とする各サイリスタ 3a〜3fに対応した複数の AND素子 6a〜6eにより、入力開閉器 1のオン(閉)状態の 維持あるいはオフ(開放)を行うシーケンス回路を構成しているので、少なくとも 1つの サイリスタ 3a〜3fが故障した場合には、入力開閉器 1をオフ(開放)することができる
[0044] また、監視しているサイリスタ 3a〜3fの電圧が正常動作時よりも小さくなる、あるい は、零となる時点で入力開閉器 1をオフ(開放)させて入力電源を遮断する例を示し た力 サイリスタ 3a〜3fは故障しておらず正常動作している力 ノイズ等何らかの原 因によりサイリスタ 3a〜3fの電圧が低下したと誤検知してしまうことを防ぐ目的で、サ イリスタ 3a〜3fの電圧が正常動作時よりも小さくなる、あるいは、零となる状態が所定 時間継続された場合に入力開閉器 1をオフ(開放)させて、入力電源を遮断するよう にしてもよい。
[0045] 次に、本実施の形態の溶接装置を起動させるときの動作について説明する。
[0046] この溶接装置が起動する前は、入力電源は遮断されているため溶接変圧器 2には 電圧が印加されず、溶接変圧器 2の 2次卷線 2bに接続されたサイリスタ 3a〜3fにも 電圧が印加されていない。そのためフォト力ブラの発光側素子 4a〜4fにも電流が流 れず、サイリスタ 3a〜3fが短絡しているものと誤判定して、 AND素子 6eの出力端子 6fはロー状態となり、トランジスタ 11もオフ状態となる。
[0047] この状態で、起動用スィッチ 10がオフならば、第 1のリレー 7はオフ状態、第 2のリレ 一 8はオン状態となっている。
[0048] しかし、この状態から、起動用スィッチ 10がオン状態になると、第 1のリレー 7はオン 状態となり、第 1のリレー 7の第 2の系統 72の常閉接点が開状態となる。さらに、この
段階ではまだサイリスタ 3a〜3fにも電流が流れて!/ヽな 、ので、 AND素子 6eの出力 端子 6fもロー状態のままで、トランジスタ 11もオン状態とならない。従って、第 2のリレ 一 8のコイルには電流が流れず、第 2のリレー 8はオン状態となることができない。す なわち、いつまでたっても、入力開閉器 1をオン状態(閉状態)にすることができない。
[0049] そこで、第 2のリレー 8のコイルにコンデンサ 91と抵抗 92の直列回路を並列接続し、 起動用スィッチ 10がオン状態となって第 1のリレー 7の第 2の系統 72の常閉接点が開 状態となっても、ある期間はこのコンデンサ 91にチャージされた電流が第 2のリレー 8 のコイルに流れ続け、第 2のリレー 8がオンの状態を維持する構成としている。このよう にして、起動用スィッチ 10がオン状態となつてから、第 2のリレー 8がオフ状態となるま でに、ある遅延時間をもたせている。
[0050] すなわち、溶接装置が起動前の待機状態において、第 2のリレー 8はオン状態にな つている。
[0051] そして、入力開閉器 1をオンするために、起動用スィッチ 10をオンとし、これによつ て第 1のリレー 7がオン状態となったとき、その常閉接点は開となるが、コンデンサ 91 にチャージされている電流が一定期間流れ続けて、第 2のリレー 8はオン状態をその 期間保持する。
[0052] その期間は、第 1のリレー 7と第 2のリレー 8が同時にオン状態となり、制御部 9の入 力端子 laと lbが接続され、制御部 9はオン状態となり、入力開閉器 1がオン状態(閉 )となる。
[0053] このようにして、入力開閉器 1がオン状態となることにより、サイリスタ 3a〜3fのァノ ード'力ソード間には電圧が印加され、その電圧を検出することにより、 AND素子 6e の出力端子 6fがハイ状態になる。これがトランジスタ 11のベース端子 11aに入力され 、トランジスタ 11がオン状態になり、第 2のリレー 8がオン状態を持続し、入力開閉器 1 もオン状態(閉)を保つことができる。
[0054] なお、本実施の形態において、溶接装置を起動させる回路としてリレーを用いた回 路の例を示したが、これに限るものではなぐロジック ICやトランジスタ回路等の他の 部品を用いても実現することができる。
[0055] なお、本実施の形態は、三相入力のサイリスタによる二重星型整流回路について
述べたが、他の整流回路構成および単相入力の整流回路、他の制御素子よりなる半 導体回路にも適用することができる。
産業上の利用可能性
本発明は、溶接装置に用いる半導体素子の故障による被害拡大を低コストかつ簡 単な構成で未然に防止することができ、安全性を向上させる溶接装置として産業上 有用である。