JP4798045B2 - タービンハウジング用ラギングカバー - Google Patents

Description

本発明は、タービンハウジングに断熱の為装着されるラギングカバーに関するものである。

舶用ディーゼルエンジン等の大型内燃機関に装備される排気タービン過給機では、人が高熱となるタービンハウジングに触れる可能性がある為、表面温度が所定値以下となる様に、断熱の為のラギングカバーがタービンハウジングに装着される。

図３は、タービンハウジング１にラギングカバー２が装着された状態を示している。該ラギングカバー２は、表面温度を所定値、例えば２２０℃以下にする断熱性能が要求されると共に飛沫した油がラギングカバーを浸透して前記タービンハウジング１の表面に触れ、発火しない様に、前記ラギングカバー２は油を遮断する性能も要求される。

従来のタービンハウジング用ラギングカバーでは、内層に断熱材としてのグラスウール製のマット、表面材としてアルミ箔を接着したガラスクロスを有する構造となっている。

ガラスクロスに接着したアルミ箔は、油の浸透を抑止する防浸層としての役目を果しているが、前記ラギングカバー２が前記タービンハウジング１によって加熱されることで、前記アルミ箔と前記ガラスクロスとの接着が劣化し、アルミ箔が前記ガラスクロスから剥離し、又アルミ箔自体も劣化してアルミ箔の断片が剥離脱落する虞れがある。

この為、アルミ箔の劣化、アルミ箔の剥離脱落を防止したラギングカバーとして、表面にステンレスの金網が取付けられたものがある。然し乍ら、ステンレスの金網を縫合等の手段で直接ラギングカバーに取付けるわけにはいかないので、リング等の固着金具を用いている。従って、製作に手間が掛り、コスト高となり、又ラギングカバーの厚みが厚くなると共に柔軟性に欠け、タービンハウジングへの取付けが面倒である等の問題を有していた。

特開平７−１８９７２５号公報

本発明は斯かる実情に鑑み、タービンハウジング用ラギングカバーが有する防浸層の経時的劣化を抑止し、又、安価で着脱の作業性を損うことがないタービンハウジング用ラギングカバーを提供するものである。

本発明は、タービンハウジングに断熱の為装着されるラギングカバーであって、タービンハウジングを覆うラギングカバー本体は、断熱材と該断熱材表面をシリコン層でコーティングされた表面材により覆った層構造を有するタービンハウジング用ラギングカバーに係るものである。

又本発明は、前記ラギングカバー本体の内縁部を縁部材により縁取りし、該縁部材はシリカクロス又はガラスクロスのいずれか一方であるタービンハウジング用ラギングカバーに係り、又前記断熱材は、不連続境界層が形成される様複数層から構成されるタービンハウジング用ラギングカバーに係るものである。

本発明によれば、タービンハウジングに断熱の為装着されるラギングカバーであって、タービンハウジングを覆うラギングカバー本体は、断熱材と該断熱材表面をシリコン層でコーティングされた表面材により覆った層構造を有するので、表面温度が高温となるのを抑制し、又シリコン層により油の浸透を防止すると共にシリコン層の劣化が抑制される。

又本発明によれば、前記ラギングカバー本体の内縁部を縁部材により縁取りし、該縁部材はシリカクロス又はガラスクロスのいずれか一方であるので、内縁部が近接する他の部材に当接し、劣化する環境下にあっても、前記ラギングカバー本体の内縁部のシリコン層が剥がれるのを防止し、又前記ラギングカバー本体のシリコン層により油が内部に浸透することを防止する。

更に又本発明によれば、前記断熱材は、不連続境界層が形成される様複数層から構成されるので、不連続境界層の存在により熱抵抗が増大し、断熱性能が向上する等の優れた効果を発揮する。

以下、図面を参照しつつ本発明を実施する為の最良の形態を説明する。

先ず、図１に於いて、本発明に係るタービンハウジング用ラギングカバーについて概略を説明する。

ラギングカバー５は、内周側が開放されたコの字状の断面を有するカタツムリ形状であり、タービンハウジングに外側から嵌込まれ、タービンハウジングを覆う様になっている。尚、前記ラギングカバー５は、該ラギングカバー５の両端５ａ，５ｂが紐、ベルト（図示せず）等の締結部材によって締結されることで、タービンハウジングに固定される様になっている。

前記ラギングカバー５は、主にカバー本体６及び該カバー本体６の内周縁に縫付けられた縁部材７から成り、該縁部材７は表面に取付けられ、前記カバー本体６の内縁の全長を所要幅に亘って覆う様に縁取っている。尚、前記縁部材７は前記カバー本体６に、ガラス繊維から成る糸、或はステンレス細線によって縫合される。尚、前記縁部材７にはシリカクロス又はガラスクロスが使用される。

前記ラギングカバー５の内縁部は、タービンハウジングに隣接する部材、例えばボルト頭に接触する様になっている。ボルト頭は、高熱となっており、突出していることから面圧も大きく、前記ラギングカバー５に対する熱負荷も大きい。又、タービンの振動によるボルト頭と前記ラギングカバー５間の摩擦もあり、該ラギングカバー５の内縁部が劣化し易い傾向にある。この為、耐熱性、耐久性の高い前記縁部材７により前記カバー本体６の内縁部を縁取ることにより、前記ラギングカバー５の耐熱性、耐久性が向上する。

次に、前記ラギングカバー５の断面構造について、図２により説明する。

前記カバー本体６は、最表側から表面材８、断熱層としての外層マット９、中層マット１０、内層マット１１の多層構造となっており、例えば、前記表面材８にはシリコンコーティングガラスクロスが用いられ、断熱材として例えば、前記外層マット９にはガラスニードルマット、前記中層マット１０にはハーフシリカマット、前記内層マット１１にはシリカクロス又はガラスクロスが用いられる。

前記表面材８としてのシリコンコーティングガラスクロスは、耐熱温度約２６０℃であり、ガラスクロス１３の表面に厚み０．０２〜０．０４ｍｍのシリコン層１２をコーティングして一体化したものであり、一体化した厚みは１ｍｍ以下であり、柔軟性を有すると共に油の浸透を抑止する。又、前記シリコンコーティングガラスクロスの特質として、仮に２６０℃以上のものが接触したとしても、前記シリコン層１２は部分的に剥離するが、剥離部分を起点として全体に剥離が伝播することはない。

又前記中層マット１０としての、ハーフシリカマットはガラス繊維とシリカ繊維の混綿ニードルマットである。前記外層マット９と前記中層マット１０は、前記ラギングカバー５の表面温度が所定温度となる様に厚みが設定されており、例えば表面温度が２２０℃以下となる様、前記外層マット９と前記中層マット１０の合計の厚みは１５ｍｍ以上とされる。尚、前記ガラスニードルマットの耐熱温度は約５００℃であり、又前記ハーフシリカマットの耐熱温度は約７００℃である。

前記縁部材７、前記内層マット１１として使用されるシリカクロス又はガラスクロスは、シリカ繊維又はガラス繊維による織布であり、１ｍｍ以下の厚みで、シリカクロスは約１０００℃、ガラスクロスは約５００℃の耐熱温度を有している。

前記カバー本体６は、断熱層が前記外層マット９、前記中層マット１０、前記内層マット１１の複数層から成り、又タービンハウジングに向って漸次高い耐熱温度を有する材質が使用されている。従って、前記カバー本体６全体として耐熱性が向上すると共に断熱層を複数層とすることで、各層間で熱伝達経路の不連続境界層が形成され、断熱特性が向上する。

又、前記表面材８は、前記シリコン層１２により油の浸透を防止し、該シリコン層１２が油に対する防浸層となっている。又、前記縁部材７により前記カバー本体６の内縁を縁取っており、前記縁部材７に染込んだ油は、前記表面材８の前記シリコン層１２によって浸透が防止され、前記カバー本体６の内部に浸透することはない。

尚、断熱層は複数層に構成されていればよく、ハーフシリカマット、ガラスマット、或はハーフシリカマット、ガラスマット、ガラスマット、或はガラスマット、ガラスマットガラスマット、或はハーフシリカマット、ガラスマット、ガラスマット、等でもよい。

本発明の実施の形態に係るラギングカバーの斜視図である。 図１のＡ−Ａ矢視図である。 タービンハウジングにラギングカバーが装着された状態を示す説明図である。

符号の説明

１ タービンハウジング
２ ラギングカバー
５ ラギングカバー
６ カバー本体
７ 縁部材
８ 表面材
９ 外層マット
１０ 中層マット
１１ 内層マット
１２ シリコン層
１３ ガラスクロス

Claims (2)

1. タービンハウジングに断熱の為装着されるラギングカバーであって、内周側が開放されたコの字状の断面を有するカタツムリ形状であり、前記タービンハウジングに外側から嵌込まれ、前記タービンハウジングを覆う様になっているラギングカバー本体は、断熱材と該断熱材表面をシリコン層でコーティングされた表面材により覆った層構造を有し、前記ラギングカバー本体の内縁部を縁部材により縁取りし、該縁部材はシリカクロス又はガラスクロスのいずれか一方であることを特徴とするタービンハウジング用ラギングカバー。
2. 前記断熱材は、不連続境界層が形成される様複数層から構成される請求項１のタービンハウジング用ラギングカバー。

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