JP4797124B2 - 掘削機構および掘進機 - Google Patents
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Description
そのため、例えば地下鉄トンネルにおいて乗客昇降用プラットホーム等を形成する場合、断面略円形のトンネルの側方に向かって所定の空間を形成するために、シールド掘進機とは別個の掘削手段が必要とされる。
このような、断面略円形のトンネルの側方に向かって所定の空間を形成するための技術として以下に示す特許文献1〜5において種々のものが提案され、それぞれの提案の中において種々の掘削機構が開示されている。
この地下空間の施工方法に用いられる掘削機構は、アーチ部材の先端に設けられ、掘削機外フレーム上に取り付けた軸受で掘削羽根回転軸を回転自在に支持する構造である。そして、この掘削羽根回転軸上には掘削羽根が取り付けられていて、掘削羽根駆動部を動作させて掘削羽根回転軸を回転させることにより、掘削羽根を回転させて地中を掘りながら推進する。
特許文献2に開示された掘削機構は、円弧状地下連続壁掘削機であり、円弧状のロッド先端に支持されたカッタ部によりアーチシェル部の掘削を行い、最終的に解体撤去される。この掘削機構では、掘削機にどのように掘削の駆動力が伝達されるかは明らかではない。
特許文献3に開示された掘削機構は、複数個が弓形に配置され、これを以って弓形トンネルの掘進を可能にするものである。個々の掘削手段は、円筒状シールドとその先端にカッタディスクとを備え、内部にカッタディスクの駆動モータと、カッタディスクの回転軸方向に円筒状シールドを伸縮駆動させるシールドジャックとを備える。従って、隣接する掘削手段間で掘削の駆動力の伝達は予定されていない。また、保守・管理等が必要な場合には、個々の掘削手段に対してこれを行うものと推察される。
掘削機能を有する構造単位要素毎の取扱いが可能であると、着脱、運搬その他の取扱いが容易であり、保守・管理も容易になる。また、土壌条件、施工条件等の掘削環境・条件に応じて掘削手段の種類を適宜選択して、または掘削手段が異なる構造単位要素を組み合わせて掘削機構を選択的に構成することも可能になる。
なお、構造単位要素間のインターフェイス部分(連結部の構造や連結メカニズムなど)を各構造単位要素において共通化すれば、インターフェイス部分以外について構造単位要素の設計の自由度は増えるという利点もある。
しかしながら、複数の掘削手段がそれぞれ回転駆動するとすれば、それぞれの連結部や連結部間の中間位置において、或いは掘削の駆動力を掘削手段間で伝達する連結手段の位置又はその近傍において当該掘削手段を支持する必要があり、その支持部や支持部近傍においては掘削手段による掘削が及ばず(掘削手段が届かず)、掘削されないまま残る土壌が部分的に残ってしまうことが考えられる(以下、この掘削されないままで残る土壌の部分を「未掘削部」という)。
このような未掘削部が生ずるとそれが掘進障害の原因や掘削機構の推進抵抗となり掘削効率を低下させることにもなる。推進抵抗が大きい場合には、掘削効率の低下に止まらず、掘進不能になることも考えられる。
このような問題は、掘進機構の設計上、隣接する掘削手段同士の間隔が広くならざるを得ない場合(例えば、隣接する掘削手段同士をユニバーサルジョイントのような継手を介して接続する必要がある場合、掘削機能を有する構造単位要素間で掘削の駆動力を掘削手段間で伝達する連結手段としてかかる継手を採用する必要がある場合など)や複数の掘削手段の全長が大きくせざるを得ない場合に顕在化しやすい。これらの場合、掘削手段の撓みを回避し、強度を維持する必要があり、そのためには掘削手段の連結部や連結手段を支える支持部を設けることが常套手段であるからである。
また、このような掘削機構を備えた掘進機を提供することを目的としている。
なお、上述の「掘削機能を有する構造単位要素」については、種々の称呼があり得るが、特定の機能を有し、構造的に画定できるモジュール、ユニット、ブロック又はカセットであると言える。本発明ではこれを「掘削ブロック」と統一的に呼ぶことにする。
なお、各掘削ブロックの全てまたは一部には掘削機構を推進させる推進機構を搭載するのが望ましい。
前記本掘削部が、筒状の本体部と、本体部の前端に設けられて土壌を掘削する本掘削手段と、前記本体部を掘進方向側に推進させる本ジャッキ手段とを具備し、
前記副掘削部が、周面にビットが取り付けられた略円筒状の回転体と該回転体を円筒軸回りに回転させる回転軸とを有する複数の掘削ブロックと、該複数の掘削ブロックの回転軸を屈曲しながらも回転動力が伝達されるように連結するユニバーサルジョイントと、前記掘削ブロックの連結部に設置されて土壌に貫入して土壌を掘削する貫入ビットと、連結された掘削ブロックを掘進方向に推進させる副ジャッキ手段を備えてなり、
前記掘削手段を駆動する掘削手段駆動源および前記副ジャッキ手段を駆動する副ジャッキ駆動源が前記本体部の内部に設置されてなることを特徴とするものである。
(イ)本発明に係る掘削機構は、周面にビットが取り付けられた略円筒状の回転体と該回転体を円筒軸回りに回転させる回転軸とを有する複数の掘削ブロックと、該複数の掘削ブロックの回転軸を屈曲しながらも回転動力が伝達されるように連結するユニバーサルジョイントと、前記掘削ブロックの連結部に設置されて土壌に貫入して土壌を掘削する貫入ビットとを備えたことにより、掘削ブロックの連結部に発生し得る未掘削部を貫入ビットによって掘削することができ、掘進障害の原因を未然に除去でき、掘削機構の掘進抵抗を低減でき、掘進効率を高めることができる。
上記の掘削機構において、掘削ブロックの着脱を可能にする構造及び各掘削ブロックにおける掘削の駆動力が隣接する掘削ブロック間で伝達可能にする手段といった隣接する掘削ブロック間のインターフェイス部分を共通にすれば、掘削ブロックの製造、着脱、保守・管理は容易になり、地盤条件、施工条件などの掘削環境・条件に応じて掘削手段の種類を適宜選択して、または掘削手段が異なる構造単位要素を組み合わせて掘削機構を選択的に構成することが可能になる。共通規格のインターフェイス部分を採用する場合、その他の部分を設計する際の自由度も増加する。
すなわち、例えば、掘進機の幅方向左右に掘削機工が延出して設置されている場合を想定すると、掘進方向に向かって右側の掘削機構が、左側の掘削機構よりも後の位置に設置されている場合には、掘進機の内部において一方の掘削機構の保守・管理作業を行う際に作業個所が前後にずれるので、一方の掘削機構の部分が他方の掘削機工の物理的障害とならず、各掘削機工ごとに作業スペースを広く確保できるのである。
前記本掘削部が、筒状の本体部と、本体部の前端に設けられて土壌を掘削する本掘削手段と、前記本体部を掘進方向側に推進させる本ジャッキ手段とを具備し、前記副掘削部が、周面にビットが取り付けられた略円筒状の回転体と該回転体を円筒軸回りに回転させる回転軸とを有する複数の掘削ブロックと、該複数の掘削ブロックの回転軸を屈曲しながらも回転動力が伝達されるように連結するユニバーサルジョイントと、前記掘削ブロックの連結部に設置されて土壌に貫入して土壌を掘削する貫入ビットと、連結された掘削ブロックを掘進方向に推進させる副ジャッキ手段を備えてなり、前記掘削手段を駆動する掘削手段駆動源および前記副ジャッキ手段を駆動する副ジャッキ駆動源が前記本体部の内部に設置されてなることから、上記掘削機構に係る発明の効果を奏するとともに、トンネル合流部の掘削に際し、立坑の構築を必要としない。また、トンネル合流部の始端部および終端部の土中に、所定の作業スペースを設けるだけで、掘削ブロックが連結できる。
また、それぞれの掘削ブロックが、掘進方向側を掘削する副掘削手段と覆工材を押圧する副ジャッキ手段とを具備し、本掘削部と副掘削部とが、それぞれ並行して掘削および前進するから、掘進効率が向上する。
さらに、副掘削手段を駆動する副掘削手段駆動源および副ジャッキ手段を駆動する副ジャッキ駆動源が本体の内部にそれぞれ設置されるから、掘削ブロックが小型・軽量になる。このため、掘削ブロックの運搬および掘削ブロック同士の連結等の各種ハンドリングが容易かつ迅速になる。
<掘削機構>
図1は本発明の実施形態1に係る掘削機構の説明図である。
本実施の形態における掘削機構1は、図1に示すように、複数の掘削ブロック100a、100b・・、100hが着脱可能に連結されて、全体として正面視で略円弧状を呈している。なお、図1においては、途中の掘削ブロックが省略されている。
なお、以下の説明において、それぞれの掘削ブロックおよびその他の部分について共通する内容については、添え字「a、b、・・・h」を省略し、便宜上、最も先端側に配置されたものを「最先端掘削ブロック100a」、最も基端寄り(駆動手段が取付けられる側)に配置されたものを「根元掘削ブロック100h」と称呼する。なお、掘削ブロック100の数量は限定するものではなく、何れであってもよい。
例えば、隣接する枠体間に設けたボルト−ナットの螺合機構により、あるいは隣接する枠体同士を溶接により接続し、またはガウジング(又は場合によっては溶断)により分離することにより、これを着脱可能にすることができる。隣接する掘削ブロック同士を接続する際には、接続角を固定するための接合部材や継手部材を用いてもよい。
図2〜図4は、本発明の実施形態1に係る掘削機構1の掘削ブロック100を概説する図であって、図2は正面視の断面図、図3は平面視の断面図、図4は側面視の断面図である。
図2〜図4に示されるように、掘削ブロック100は、箱状の枠体110と、枠体110内に設置されて土壌を掘削する掘削手段20と、掘削手段20によって掘削された掘削土砂を排泥する排泥手段70と、覆工材であるモルタルを輸送するモルタル輸送手段40mと、モルタルを掘進方向と反対の方向に押圧して前記掘削ブロックを掘進方向側に推進させるジャッキ手段50と、掘削機構の掘進時の姿勢を制御する姿勢制御手段90とを具備している。なお、本発明において、セメントやコンクリート等をモルタルと総称している。
以下、掘削ブロックを構成する構成要素を詳細に説明する。
枠体110は、正面視略扇型の筒状の前胴113と、前胴113に案内されて前後方にスライドし、移動自在な筒状の後胴114と、後胴114の内面に沿って摺動自在なモルタル押出板115(以下「妻枠115」と称す)と、妻枠115に略平行して前胴113に固定された前板112と、前板112の幅方向中央又は幅方向の中間位置に固定されたブラケット111と、前胴113の一部を構成し、前板112の幅方向の両脇から突出した一対のブラケットP、Qと、ブラケット111、P、Q(以下、特にこれらを区別して記載する場合を除き、まとめて「ブラケット111」と表記する場合がある)にそれぞれ設置された図示しない軸受Bとを有している。なお、前板112の幅方向中央に固定されたブラケット111の数は、複数であっても構わない。
そして、モルタル輸送手段40mの一部を構成するモルタル輸送管41、排泥手段70の一部を構成する送泥管71が幅方向(図2において左右方向、図3において上下方向)に貫通している。
図5〜図7は掘削手段20の説明図であり、図5は掘削手段20の正面図、図6は図5における矢視A−A線に沿う断面図、図7は掘削手段20の斜視図である。
掘削手段20は、円柱状の回転体21の周面に径方向に突出して複数のビット23が固定された回転カッタ24と、隣接する回転カッタ24の間に設けられた円弧状の貫入ビット25から構成されている。
回転カッタ24の回転軸22は、ブラケット111に設置された軸受Bによって回転自在に支持されている。各回転軸22の一方の端部は、幅方向において隣接する別の掘削ブロック100が備える回転カッタ24の回転軸22の端部とユニバーサルジョイント27(図6参照)によって連結されている。各回転軸22の他方の端部も、幅方向において隣接する更に別の掘削ブロック100が備える回転カッタ24の回転軸22の端部とユニバーサルジョイント27によって連結されている。
根元掘削ブロック100hの回転軸22hは、回転伝達棒32によってモータ30に連結されている(図1参照)。
このため、掘削ブロック100には回転カッタ24を駆動するための掘削手段駆動源(たとえば、モータ等)を設置する必要がなく、また、本体回転力を伝達するための専用の動力伝達軸が不要であるから、各掘削ブロック100は軽量になっている。
回転カッタ24の連結部にはユニバーサルジョイント27または軸受が設置される。そのため、隣接する回転カッタ間には一定の隙間が生ずる。特に、図5に示されるように、隣接する回転カッタ24がユニバーサルジョイント27によって屈曲して連結される場合には、隙間が大きくなる。このような隙間の部分は土壌が掘削されず、未掘削部として残存することになる。未掘削部が残存すると、掘削機構1を推進するときの推進抵抗となり、掘削効率の低下となり、抵抗が大きい場合には掘進不能となる。このような掘削効率の低下や掘進不能状態を防止するためには、推進力の大きなジャッキが必要になり、その他の構造部の強化も必要となり、全体としてコストアップにつながる。
このような、掘削効率の低下等を防止するためには未掘削部が残存しないようにすることが必要となる。
そこで、本実施形態においては、回転カッタ24とは別に未掘削部を掘削するための手段として貫入ビット25を設けたのである。
貫入ビット25の刃先の位置を回転カッタ24のビット先端の回転軌跡よりも掘進方向手前側になるように設定して理由を、貫入ビット25の作用を説明する説明図である図8に基づいて説明する。
図8(a)は、回転カッタ24によって土壌が掘削され、未掘削部26に貫入ビット25の先端が当接している状態を示している。図8(b)は図8(a)の状態から掘削機構を推進させた状態を示しており、図8(b)における二点鎖線は図8(a)の状態における土壌の端面を示している。
なお、未掘削部26の両側には回転カッタ24が存在するが、図7から分かるように、回転カッタ24のビット間には隙間があるので、未掘削部26が崩れるための空間は存在する。
また、上述した例では、貫入ビット25を掘削ブロック100内において直列配置された掘削手段20の連結部のブラケット111であって、前板112の幅方向中央又は幅方向の中間位置に固定されたもののみに設置した例を示したが、隣接する掘削ブロック間での掘削手段20の連結部となる枠体110の端部(図3におけるP、Qの部分)の両方あるいは一方に設置するようにしてもよい。
モルタル輸送手段40mは、掘削機構1の外側に設置された図示しないモルタル圧送機と、モルタル輸送管41と、モルタル輸送管41と妻枠115の貫通孔(図示しない)とを近接および離間自在に連通する図示しないモルタル供給管とを備えてなる。モルタル供給管にモルタル供給量を調整するための、モルタル供給量調整手段(たとえば、開度調整バルブ等)や、モルタル供給管内を洗浄するモルタル供給管洗浄手段を設置してもよい。
排泥手段70は、枠体110を貫通する送泥管71と前板112の前面に用水を注ぐ送泥支管(図示しない)とを有し、根元掘削ブロック100hにおいて送泥管71の一方の端部に用水を送り込み、幅方向の所定位置の掘削ブロック100において、あるいは最先端掘削ブロック100aにおいて掘削坑内に当該用水を注ぎ込む。これにより、掘削された土壌を当該用水と混合させて泥状にし、その泥状混合物を根元掘削ブロック100h側に移動させ、排泥管(図示しない)を経由して排土する。
なお、掘削ブロック100の枠体110を貫通する排泥管71を設け、掘削ブロック100の前板112に、用水と掘削された土壌との混合物を受け入れる排泥支管を設け、該排泥支管および排泥管71を経由して該混合物を回収するようにしてもよい。
なお、モルタル輸送管41、送泥管71に着脱自在な継手を予め、本掘削部の内部に位置するように取り付けておけば、上記の手順により作業は容易になる。
ジャッキ手段50は、枠体110内に収納され、前板112と妻枠115とを近接および離間自在に連結する第一ジャッキ51(以下「前進ジャッキ51」と称す)と、前板112と後胴114とを近接および離間自在に連結する第二ジャッキ52(以下「引き戻しジャッキ52」と称す)とを有している。
姿勢制御手段90は、前胴113に設置され、厚さ方向に進退自在な姿勢制御ソリ(橇)91と、姿勢制御ソリ(橇)91を進退させるアクチュエータ92とを有している。
したがって、姿勢制御ソリ(橇)91の進退量を調整することによって、掘削ブロック100の掘進方向を調整することができるから、所望の形態(姿勢および形状等)の掘削坑を形成することが可能になる。また、掘削ブロック100同士の連結部に異常な荷重が作用することを防止することが可能になる。
図9および図10は、本発明の実施形態1係る掘削機構の掘進要領を、工程を追って説明するため平面視の断面図である。
この前進時に、図8で説明したように、貫入ビット25が土壌の未掘削部26を掘削する。
また、本実施の形態では、貫入ビット25の刃先の位置を回転カッタ24のビット先端の回転軌跡よりも内側になるように設定したことにより、回転カッタ24による未掘削部26の貫入ビット25による掘削抵抗をより少なくでき、さらなる推進抵抗の低下を実現できる。
推進抵抗の低下を実現することで、掘削効率の向上、掘削機構を構成する推進ジャッキ等の小型化が可能となり、掘削機構1のコストダウンを実現できる。
また、本実施の形態においては、厚さ方向において隣接し対面する一対の掘削手段を示したが、本発明はこれに限定するものではなく、その数量や配置位置は何れであってもよい。
さらに、貫入ビット25の形状についても、本実施形態で示したものに限定されず、土壌における回転カッタ24によっては掘削されない部分を推進時に掘削できるものであればよい。
また、上記の例では覆工材の例としてモルタルを例に挙げたが、本発明においてはこれに限定されるものではなく、例えば、モルタルに代えてセグメントを用いてもよいし、あるいはモルタルとセグメントを共用してもよい。
しかし、本発明はこれに限られるものではなく、例えば、ビット列の先端の軌跡を幅方向に結ぶと「樽」形状、すなわち、回転軸体21の中央で膨らみ端部で縮んでいるようにしてもよい。また、これとは逆にビット先端の軌跡を幅方向に結ぶと「鼓」形状、すなわち、回転体21の中央で縮まり端部で膨らんでいるようにしてもよい。
そして、上記の「樽」形状のものと「鼓」形状のものを正面視で上下に配置することにより、掘削ブロック100における掘削軌跡を正面視で略扇形にすることができる。このとき、掘削ブロック100の枠体110が正面視で略扇型のとき、該略扇型の曲率半径に同じ曲率半径に、「樽」形状の回転カッタの先端の軌跡と「鼓」形状の回転カッタの先端の軌跡とを形成しておけば、「樽」形状の回転カッタと「鼓」形状の回転カッタとによって形成される正面視の範囲が、枠体110の正面視形状に略同じになる。よって、枠体110の前端面の摩耗が抑えられ、掘進が容易になる。また、枠体110の形状により好適な掘削が実現するから、掘削ブロック100の姿勢をより所望の位置に保持することが容易になる。
本実施の形態は、実施の形態1で説明した掘削機構1を副掘削部として搭載した掘進機に関するものである。
図11および図12は、本発明の実施形態2に係る掘進機の全体構成を概説するための断面図であって、図11は側面視、図12は正面視である。
図11および図12において、掘進機1000は、土壌に筒状の掘削坑(以下「主掘削坑」と称する)を形成する本掘削部1900、本掘削部1900に設置され、前記本掘削坑に沿って溝状の掘削坑(以下「副掘削坑」と称する)を形成する掘削機構1からなる副掘削部1100とを有する。なお、一対の副掘削部1100が図示されているが、本発明はその数量や設置位置を限定するもではない。
また、副掘削部1100の本掘削部1900に近い方向(図12において左側)を「本体側」または「本体寄り」と、これと反対の方向(図12において右側)を「先端側」または「先端寄り」と、本体側から先端側にかけての距離を「幅」と称呼し、本体側から先端側への方向を「幅方向」と称呼する場合がある。
さらに、長さ方向と幅方向とが形成する面に略垂直の方向(図12において上下方向)を「厚さ方向」と称呼する。
図11において、本掘削部1900は、スキンプレート911によって筒状に形成された本体910と、本体910の前方の端部に土壌を掘削して筒状の主掘削坑を創成する主掘削手段920(以下「カッタヘッド920」と称す)と、カッタヘッド920を回転駆動する主モータ930と、セグメント組み立て手段940(以下「セグメントエレクタ940」と称す)によって筒状に組み立てられたセグメント筒状体900Sを後方に押圧して本体910を前方に移動させる本ジャッキ手段950(以下「シールドジャッキ950」と称す)と、本体910の後方に筒状のテールシールプレート912が延設され、テールシールプレート912と押し出されたセグメント筒状体900Sとの隙間を止水する主止水手段960(以下「テールシール960」と称する場合がある)とを有している。
また、主掘削坑(図示しない)とセグメント筒状体900Sとの隙間に裏込材を注入する図示しない裏込材注入手段、掘削された土砂を排出するための図示しない主排土手段(以下「スクリューコンベア」と称する場合がある)が設置されている。
止水手段60は、掘削ブロック貫通孔913に沿って設置された止水外筒961と、止水外筒961に水密的に当接して傾動自在な止水板61とから形成されている。そして、止水板61の先端側(スキンプレート911の外面側に相当する)は根元掘削ブロック100hに連結されている。
一方、止水板61の本体側(スキンプレート911の内面側)はモータ支持体31(モータ30が設置されている)が固定され、根元掘削ブロック100hの回転カッタ24hは、回転伝達棒32によってモータ30に連結されている。
さらに、本体910のスキンプレート911には位置調整手段990が設置され、位置調整手段990の位置調整アーム991が、モータ支持体31に連結されている。
すなわち、掘進機1000は、立坑の構築を不要にするから、この点において、トンネル分岐部の形成位置の制約がなくなる。また、掘削手段20を駆動する駆動源が掘削ブロック100に設置されていないから、掘削ブロック100は軽量であって、運搬や相互の連結が容易である。よって、施工が迅速になり工期の短縮や施工コストの低減を図ることができる。
なお、位置調整手段990の設置を省略してもよい。
図13は、本発明の実施形態2に係る他の態様の掘進機の全体構成を概説するための側面視の部分断面図である。
図13において、掘進機1001は、前記本掘削部1900と同様の本掘削部1901と、正面視で直線状の副掘削部1101とを有している。すなわち、副掘削部1101は、正面視で矩形の掘削ブロック101によって形成され、掘削ブロック101は正面視で矩形(連結面Zが平行に同じ)である点において、正面視で略扇型(従って連結面Zが非平行)である掘削ブロック100と相違し、その他において同一である。なお、掘削ブロック101には、回転カッタ24としてスクリュウカッタが設置された形態が図示されているが、本発明はこれに限定するものではない。
また、この例のように副掘削部1101を構成する掘削機構が直線状であっても、回転カッタ24の連結部において軸受が存在するため、回転カッタ24のみでは未掘削部が生ずる。したがって、このような例であっても、貫入ビット25を設けることに意義がある。
なお、図13において、副掘削部1101が一箇所に設置された形態が図示されているが、本発明はこれに限定するものではなく、本掘削部1901に副掘削部1101を複数箇所設定してもよい。例えば、一対の副掘削部を、本掘削部1901を中心として幅方向の左右に設置してもよいし、本掘削部1901から幅方向の同じ向きに設置し、厚さ方向の上下において対向するように(図2における一対の副掘削部1100のように)してもよい。
図14は、本発明の実施形態2に係る他の態様の掘進機の全体構成を概説するための側面視の部分断面図である。
図14において、掘進機1002は、前記本掘削部1900と同様の本掘削部1902と、正面視で本体に近い範囲が直線状で、先端側が円弧状を呈する副掘削部1102とを有している。すなわち、副掘削部1102を形成する掘削ブロック102は、それぞれの掘削ブロック102において、幅方向で対面して接する連結面Z同士が形成する角度が変更されている(一定でないに同じ)ものであって、この点において、正面視で略扇型(従って連結面Z同士が形成する角度が略同じ)である掘削ブロック100と相違し、その他において同一である。なお、掘削ブロック102には、回転カッタ24としてドラムカッタが設置された形態が図示されているが、本発明はこれに限定するものではない(これについては別途詳細に説明する)。
なお、図14において、副掘削部1102が1箇所に設置された形態が図示されているが、本発明はこれに限定するものではなく、本掘削部1902に副掘削部1102を複数箇所設定してもよい。例えば、一対の副掘削部を、本掘削部1902を中心として幅方向の左右に設置してもよいし、本掘削部1902から幅方向の同じ向きに設置し、厚さ方向の上下において対向するように(図12における一対の副掘削部1100のように)してもよい。
図15は、本実施の形態に係る掘進機の動作制御を説明する制御フロー図である。以下、図15に基づいて、掘進機の動作制御を説明する。
掘進を開始した場合、本掘削部の本ジャッキ手段950及び副掘削部のジャッキ手段50の各伸長を監視し、計測した伸長量を比較する。伸長量に差がある場合には、その差と設定値とを比較し、設定値未満である場合には、本ジャッキ手段950及びジャッキ手段50の伸長を継続する。この場合、本掘削部及び副掘削部による掘削は継続される。他方、本ジャッキ手段950及びジャッキ手段50の伸長量の差が設定値以上である場合には、伸長量の大きいほうのジャッキ手段の伸長を停止する。そして、本ジャッキ手段950及びジャッキ手段50の各伸長の監視と、伸長量の計測と比較を継続する。以上の手順を両ジャッキ手段から計測された伸長量の差が零(ゼロ)又は所定領域になるまで繰り返す。ただし、伸長量の大きい方のジャッキ手段の伸長を既に停止している場合には、停止に要する手順はスキップして、これを行わないようにしてもよい。
20 掘削手段
24 回転カッタ
25 貫入ビット
27 ユニバーサルジョイント
30 モータ
100 掘削ブロック
110 枠体
111、P、Q ブラケット
1000 掘進機
1900 本掘削部
1100 副掘削部
Claims (4)
- 周面にビットが取り付けられた略円筒状の回転体と該回転体を円筒軸回りに回転させる回転軸とを有する複数の掘削ブロックと、該複数の掘削ブロックの回転軸を屈曲しながらも回転動力が伝達されるように連結するユニバーサルジョイントと、前記掘削ブロックの連結部に設置されて土壌に貫入して土壌を掘削する貫入ビットとを備えたことを特徴とする掘削機構。
- 貫入ビットのビット先端位置は、掘削手段の掘削軌跡又は掘削包絡面よりも掘削方向手前になるように設定されていることを特徴とする請求項1に記載の掘削機構。
- 各掘削ブロックが互いに着脱可能に構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の掘削機構。
- 土中に筒状の本掘削坑を形成する本掘削部と、該本掘削部の幅方向に延出して設置され、前記筒状の本掘削坑に沿って溝状の副掘削坑を形成する副掘削部とを有する土壌掘進機であって、
前記本掘削部が、筒状の本体部と、本体部の前端に設けられて土壌を掘削する本掘削手段と、前記本体部を掘進方向側に推進させる本ジャッキ手段とを具備し、
前記副掘削部が、周面にビットが取り付けられた略円筒状の回転体と該回転体を円筒軸回りに回転させる回転軸とを有する複数の掘削ブロックと、該複数の掘削ブロックの回転軸を屈曲しながらも回転動力が伝達されるように連結するユニバーサルジョイントと、前記掘削ブロックの連結部に設置されて土壌に貫入して土壌を掘削する貫入ビットと、連結された掘削ブロックを掘進方向に推進させる副ジャッキ手段を備えてなり、
前記掘削手段を駆動する掘削手段駆動源および前記副ジャッキ手段を駆動する副ジャッキ駆動源が前記本体部の内部に設置されてなることを特徴とする掘進機。
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