JP4796944B2 - ブラシレスdcモータの制御方法と制御装置 - Google Patents
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Description
位置センサは、BLDCモータの設置(使用)環境の制約があり、例えば高温の環境では使用できない。またBLDCモータを用いる装置、例えば歯科治療用研削装置のハンドピースの場合、位置センサがハンドピースの小型化の障害になる。
そこで位置センサを用いない、いわゆる位置センサレスで位置情報を推定する方法が提案されている。例えばBLDCモータの巻線に誘起される電圧を利用してロータの位置情報を推定する方法(例えば特許文献3参照)、巻線電流を利用してロータの位置情報を推定する方法(例えば特許文献4参照)等がある。
インバータ等からなるモータ駆動回路93は、直流電源94の直流電圧を正弦波電圧に変換して3相のBLDCモータ91に供給する。CPU等からなる制御回路95は、電流センサ92によって検出された巻線電流を用いてBLDCモータ91のロータの位置情報を推定し、その推定した位置情報によりモータ駆動回路93を制御する。モータ駆動回路93は、正弦波電圧を発生してBLDCモータ91を駆動する。
本願発明は、BLDCモータを位置センサレスで正弦波駆動する場合の前記問題点を解決し、負荷が変動してもBLDCモータを高効率で安定して駆動できるBLDCモータの制御方法と制御装置を提供することを目的とする。
請求項2に記載のブラシレスDCモータの制御方法は、請求項1に記載のブラシレスDCモータの制御方法において、負荷角(δ)は、巻線抵抗(R)、巻線インダクタンス(L)、d軸電流(id)、q軸電流(iq)を用いて、
δ=sin-1[{(0.75)1/2(R2+ωs 2L2)1/2/(0.75)(21/2Em)}iq+Vm/Em]
又は
δ=cos-1[{−(0.75)1/2(R2+ωs 2L2)1/2/(0.75)(21/2Em)}id]
により推定することを特徴とする。
請求項3に記載のブラシレスDCモータの制御方法は、請求項1に記載のブラシレスDCモータの制御方法において、負荷角(δ)は、巻線抵抗(R)、d軸電流(id)、q軸電流(iq)を用いて、
δ=sin-1[{(0.75)1/2(R)/(0.75)(21/2Em)}iq+Vm/Em]
又は
δ=cos-1[{−(0.75)1/2(R)/(0.75)(21/2Em)}id]
により推定することを特徴とする。
請求項4に記載のブラシレスDCモータの制御方法は、請求項1、請求項2又は請求項3に記載のブラシレスDCモータの制御方法において、ブラシレスDCモータは、歯科治療用研削装置のハンドピースに用いるブラシレスDCモータであることを特徴とする。
請求項6に記載のブラシレスDCモータの制御装置は、請求項5に記載のブラシレスDCモータの制御装置において、負荷角(δ)は、巻線抵抗(R)、巻線インダクタンス(L)、d軸電流(id)、q軸電流(iq)を用いて、
δ=sin-1[{(0.75)1/2(R2+ωs 2L2)1/2/(0.75)(21/2Em)}iq+Vm/Em]
又は
δ=cos-1[{−(0.75)1/2(R2+ωs 2L2)1/2/(0.75)(21/2Em)}id]
により推定することを特徴とする。
請求項7に記載のブラシレスDCモータの制御装置は、請求項5に記載のブラシレスDCモータの制御装置において、負荷角(δ)は、巻線抵抗(R)、d軸電流(id)、q軸電流(iq)を用いて、
δ=sin-1[{(0.75)1/2(R)/(0.75)(21/2Em)}iq+Vm/Em]
又は
δ=cos-1[{−(0.75)1/2(R)/(0.75)(21/2Em)}id]
により推定することを特徴とする。
請求項8に記載のブラシレスDCモータの制御装置は、請求項5、請求項6又は請求項7に記載のブラシレスDCモータの制御装置において、ブラシレスDCモータは、歯科治療用研削装置のハンドピースに用いるブラシレスDCモータであることを特徴とする。
また本願発明の制御方法及び制御装置を用いると、BLDCモータは、負荷が変動しても負荷角を指令負荷角に保持できるから、負荷角を駆動効率の最も高い90度の近傍に設定することができる。したがってBLDCモータは、負荷が大きいときも小さいときも効率よく安定して駆動する。
また本願発明の制御方法及び制御装置を用いると、BLDCモータは、負荷が急変しても同期はずれ(脱調)を起こすことなく安定して駆動し、広い範囲で回転速度を変えることができるから、歯科治療用研削装置のハンドピースに用いるモータに適している。
モータ駆動回路は、駆動電圧に基づいて正弦波電圧を発生し、その正弦波電圧によりBLDCモータを駆動する。軸電流推定部は、2相(例えばU相、V相)の巻線電流に基づいて軸電流(d軸電流、q軸電流)を推定する。負荷角推定部は、推定した軸電流、駆動電圧の最大値、逆起電圧の最大値及び指令駆動角周波数(駆動電圧の駆動角周波数の指令値)に基づいて、BLDCモータの負荷角を推定し、負荷角偏差回路は、その推定した負荷角と指令負荷角の偏差(負荷角偏差)をとる。駆動電圧制御部は、負荷角偏差に基づいて、負荷角が指令負荷角になるように、即ち負荷角が指令負荷角と等しくなるように駆動電圧を調整し制御する。このように本実施形態のBLDCモータの制御方法及び制御装置は、負荷が変動しても負荷角が指令負荷角と等しくなるように駆動電圧を制御して、常にBLDCモータの負荷角を指令負荷角に保持する。
次に図1〜図3により本願発明の実施例に係るBLDCモータの制御装置及び制御方法について説明する。
図において、1は3相のBLDCモータ、2はBLDCモータ1の巻線電流を検出する電流センサ、3はPWM発生器、インバータ等からなるモータ駆動回路、4は軸電流(d軸電流id、q軸電流iq)(後述する)を推定する軸電流推定部、5はBLDCモータ1の同期運転時の負荷角δ(後述する)を推定する負荷角推定部、6はPID(比例積分微分)コントローラ等からなる駆動電圧制御部、7は推定した負荷角δ^(ハット付きδ)と指令負荷角δ*の偏差(負荷角偏差)をとる負荷角偏差回路、ωsは指令駆動角周波数(駆動角周波数)、Vmは駆動電圧の最大値、iuはU相の巻線電流、ivはV相の巻線電流である。
軸電流推定部4の軸電流の推定、負荷角推定部5の負荷角の推定、駆動電圧制御部6の駆動電圧の制御等は、CPUによって行なうこともできる。
また本実施例は、ホール素子やエンコーダ等の位置センサを用いずに負荷角δを推定できるから、BLDCモータを用いる装置を小型にすることができ、かつ巻線電流に基づいて推定した軸電流を用いて負荷角δを推定するからBLDCモータに負荷が掛かると瞬時に負荷角δを推定できる。
BLDCモータを正弦波駆動する場合、BLDCモータが発生するトルクは、負荷角δが0度から大きくなる程大きくなり、負荷角δが90度のとき最大になる。そして負荷角δが90度を超えるとBLDCモータは停止する。したがって負荷角δは、90度を超えない範囲で90度の近傍に設定すると駆動効率が最も高くなる。
図2は、負荷(負荷トルク)を変化したときの負荷角、巻線電圧、巻線電流の計測値を示す。
図2によると、負荷が変動しても負荷角は、略一定に保持されており、そのときの巻線電圧、巻線電流は、負荷に比例して増加していることが分かる。即ち負荷が大きくなると、巻線電圧、巻線電流も増加するが、負荷角は、略一定に保持されている。したがって図2により、図1の制御装置は、適切に制御を行なっていることが分かる。
なお図2の計測に用いたBLDCモータのパラメータは、極数4、スロット数6、定格出力500W、定格回転数3000min-1、定格トルク1.589Nm、慣性モーメント1.161×10-4kgm2、粘性係数0.004Nm・s/rad、巻線抵抗1.23Ω、巻線インダクタンス47.134mH、逆起電圧定数0.22Vs/rad、トルク定数0.22Nm/Aである。また指令負荷角は、70度に設定し、負荷を0.17Nmから0.38Nmまで変化させて、負荷角、巻線電圧、巻線電流を計測した。
図3は、3相のBLDCモータの供給電圧、逆起電圧、電流の関係を示す。
BLDCモータを同期運転するとき、3相の線間の電圧は正弦波で平衡しているものとする。またBLDCモータの各巻線の電気的特性は等しく、各巻線のインダクタンスLu,Lv,Lw、抵抗Ru,Rv,Rwは、
Lu=Lv=Lw=L
Ru=Rv=Rw=R
とする。
Em:逆起電圧の最大値
Em=KEωm
KE:逆起電圧定数
ωm:BLDCモータの回転角速度(回転角周波数)
ωm=ωs/p
ωs:駆動電圧の角周波数(指令駆動角周波数)
p:BLDCモータの極対数
δ:負荷角
θe=tan-1(ωsL/R)
a=cos(ωst)
b=sin(ωst)
c=cos(ωst+π/3)=cos(α)
d=sin(ωst+π/3)=sin(α)
g=cos(ωst−π2/3)=cos(β)
h=sin(ωst−π2/3)=sin(β)
ac+ag
ad+dg
b2cg+a2dh−abdg−abch
abdg+abch−b2cg−a2dh
bc+ah
bd+bh
を求めると、
ac+ag=0
ad+dg=(0.75)1/2
b2cg+a2dh−abdg−abch=−0.75
abdg+abch−b2cg−a2dh=0.75
bc+ah=−(0.75)1/2
bd+bh=0
となり、それぞれ定数として扱うことができる。
また高速モータは、巻線インダクタンスLが小さく設計されており、低速領域で利用するとき、巻線インダクタンスLの影響を無視できる場合、負荷角δは次式で求めることができる。
2 電流センサ
3 モータ駆動回路
4 軸電流推定部
5 負荷角推定部
6 駆動電圧制御部
7 負荷角偏差回路
Claims (8)
- モータ駆動回路は駆動電圧と駆動角周波数に基づいて正弦波電圧を発生し、その正弦波電圧により駆動するブラシレスDCモータの制御方法において、2相の巻線電流(i u ,i v )に基づいてd軸電流(id)、q軸電流(iq)を推定し、その両軸電流(id,iq)、駆動電圧の最大値(Vm)、逆起電圧の最大値(Em)及び指令駆動角周波数(ωs)に基づいて負荷角(δ)を推定し、指令負荷角と推定した負荷角の負荷角偏差をとり、負荷角偏差に基づいて負荷角が指令負荷角に等しくなるように駆動電圧を制御することを特徴とするブラシレスDCモータの制御方法。
- 請求項1に記載のブラシレスDCモータの制御方法において、負荷角(δ)は、巻線抵抗(R)、巻線インダクタンス(L)、d軸電流(id)、q軸電流(iq)を用いて、
δ=sin-1[{(0.75)1/2(R2+ωs 2L2)1/2/(0.75)(21/2Em)}iq+Vm/Em]
又は
δ=cos-1[{−(0.75)1/2(R2+ωs 2L2)1/2/(0.75)(21/2Em)}id]
により推定することを特徴とするブラシレスDCモータの制御方法。 - 請求項1に記載のブラシレスDCモータの制御方法において、負荷角(δ)は、巻線抵抗(R)、d軸電流(id)、q軸電流(iq)を用いて、
δ=sin-1[{(0.75)1/2(R)/(0.75)(21/2Em)}iq+Vm/Em]
又は
δ=cos-1[{−(0.75)1/2(R)/(0.75)(21/2Em)}id]
により推定することを特徴とするブラシレスDCモータの制御方法。 - 請求項1、請求項2又は請求項3に記載のブラシレスDCモータの制御方法において、ブラシレスDCモータは、歯科治療用研削装置のハンドピースに用いるブラシレスDCモータであることを特徴とするブラシレスDCモータの制御方法。
- モータ駆動回路は駆動電圧と駆動角周波数に基づいて正弦波電圧を発生し、その正弦波電圧によって駆動するブラシレスDCモータの制御装置において、2相の巻線電流(i u ,i v )に基づいてd軸電流(id)、q軸電流(iq)を推定する軸電流推定部、その両軸電流(id,iq)、駆動電圧の最大値(Vm)、逆起電圧の最大値(Em)及び指令駆動角周波数(ωs)に基づいて負荷角(δ)を推定する負荷角推定部、指令負荷角と推定した負荷角の負荷角偏差をとる負荷角偏差回路、負荷角偏差に基づいて負荷角が指令負荷角に等しくなるように駆動電圧を制御する駆動電圧制御部を備えていることを特徴とするブラシレスDCモータの制御装置。
- 請求項5に記載のブラシレスDCモータの制御装置において、負荷角(δ)は、巻線抵抗(R)、巻線インダクタンス(L)、d軸電流(id)、q軸電流(iq)を用いて、
δ=sin-1[{(0.75)1/2(R2+ωs 2L2)1/2/(0.75)(21/2Em)}iq+Vm/Em]
又は
δ=cos-1[{−(0.75)1/2(R2+ωs 2L2)1/2/(0.75)(21/2Em)}id]
により推定することを特徴とするブラシレスDCモータの制御装置。 - 請求項5に記載のブラシレスDCモータの制御装置において、負荷角(δ)は、巻線抵抗(R)、d軸電流(id)、q軸電流(iq)を用いて、
δ=sin-1[{(0.75)1/2(R)/(0.75)(21/2Em)}iq+Vm/Em]
又は
δ=cos-1[{−(0.75)1/2(R)/(0.75)(21/2Em)}id]
により推定することを特徴とするブラシレスDCモータの制御装置。 - 請求項5、請求項6又は請求項7に記載のブラシレスDCモータの制御装置において、ブラシレスDCモータは、歯科治療用研削装置のハンドピースに用いるブラシレスDCモータであることを特徴とするブラシレスDCモータの制御装置。
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