JP4796712B2 - プラスチックボトル - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、胴部周壁面に補強用のリブを形成された薄肉のプラスチックボトルに関する。
【0002】
【従来の技術】
容器リサイクル法の施行に伴い、容器をより軽量化する必要が強まってきている。通常、プラスチックボトルにおいては、使用樹脂量を少なくし、薄肉化することによって、容器の軽量化を図っているが、薄肉化の際に問題となる強度低下を小さくするため、胴部周壁面にリブと呼ばれる補強用の凹溝もしくは凸溝を形成することが広く行なわれている(例えば、特開平9−240647号公報、特開平11−348960号公報参照)。
【0003】
前記リブは、ボトル内圧の変化に対してボトルの原形を維持したり、内容液排出時の胴部押圧(いわゆるスクイズ操作)による変形から胴部を原形状に回復させるための役割を果たしている。しかしながら、従来採用されているリブは、ただ単に凹溝状にへこませ、あるいは凸溝状に突出させただけであり、リブ端部において胴部周壁面との間に大きな段差を有している。このため、ボトル落下時などに大きな衝撃力が作用した場合、リブ端部に応力が集中しやすく、この部分で容器が破損しやすいという問題があった。
【0004】
このような問題をなくすには、リブ端部への応力の集中を分散させればよいが、従来、このような応力の分散方法として、例えば特開平10−264918号公報に開示されるように、多角形断面からなる胴部の角部においてリブの延長線が胴部周壁面と面一になるように形成する方法などが採用されていた。しかしながら、この方法は、応力の分散には効果的である反面、金型加工に手間を生じたり、また、リブの上から化粧用の巻きラベルなどを貼り付けた場合などに、リブの端部形状がラベル面に凹凸となって表れてしまい、ラベル貼付時の外観品質が低下してしまうという問題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記問題を解決するためになされたもので、リブ端部と胴部周壁面との接続部形状を工夫することによって、ボトル落下時などに大きな衝撃力が作用した場合にリブ端部に作用する応力を分散し容器の破壊強度を高め、容器の破損を防止すると同時に、ラベル貼付時の外観品質の向上も図ったプラスチックボトルを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するため、胴部を押圧して内容物を排出するプラスチックボトルにおいて、胴部周壁面に、断面凹溝状をした所定長さからなるリブを少なくとも1本備え、該リブの長手方向両端部には、胴部周壁面からリブ底面(17)へ向かって所定の傾斜角度で下降する直線状の単純傾斜部が形成されているとともに、該単純傾斜部の途中所定位置からリブ底面に至る区間は、外側に向かって凸状に膨らむ断面円弧状の段差部とされ、該断面円弧状になる段差部を中に挟んで胴部周壁面とリブ底面との間をつないだものである。
【0007】
このような構造を備えたプラスチックボトルとした場合、リブの長手方向両端部に形成した外側に向かって凸の断面円弧状をした段差部によってリブ端部に作用する応力が分散される。その結果、ボトル落下時などに大きな衝撃力が作用しても、リブ端部に応力が集中することがなくなり、従来のようにリブ端部付近で容器が破損するというようなことがなくなる。また、リブ端部に形成した外側に向かって凸の断面円弧状をした段差部のために、リブ底面と胴部周壁面との段差が急激に大きくなることがなくなり、リブの上から化粧用の巻きラベルなどを貼付しても、リブの端部形状がラベル面に凹凸となって表れにくく、ラベル貼付時の外観品質も向上する。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1に本発明に係るプラスチックボトルの一実施の形態を示す。(a)はプラスチックボトルの全体形状の正面図、(b)は(a)中のI−I線位置における略示断面図、(c)は(b)中のP部分(リブ端部)の略示拡大図である。
【0009】
図において、11はプラスチックボトル(以下、ボトルという)、12は内容液を収容する容器胴部、13は内容液注出用の口部である。ボトル11は、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン・テレフタレート(PET)など、その使用目的に応じて採用されたプラスチック樹脂で作られており、胴部周壁面14のボトル正面側と裏面側には、それぞれ巻きラベル15の貼付面に位置して、断面凹溝状をした所定長さからなる水平リブ16が所定間隔をおいて上下方向に平行に複数本形成されている。そして、これら水平リブ16の長手方向両端部には、所定の傾斜角度からなる単純傾斜部18の途中に、断面円弧状をした段差部19がそれぞれ形成されており、この段差部19を介してリブ底面17と胴部周壁面14を連結したものである。
【0010】
図示例の場合、水平リブ16の溝深さDは1.0mmとされ、また、段差部19の深さdは0.3mmとされている。なお、リブ底面17と段差部19とのつなぎ目、単純傾斜部18と段差部19とのつなぎ目には、必要に応じてアールを付け、滑らかにつなぐことが望ましい。
【0011】
巻きラベル15は、商品名や商品デザイン、商品説明、使用方法などを印刷表示した化粧用の装飾帯であって、プラスチック、紙、あるいはこれらを重ね合わせたラミネート紙から作られており、水平リブ16の上から胴部周壁面14に巻き付けられ、接着剤など必要な手段で定位置に固着される。
【0012】
上記実施の形態に係るプラスチックボトルは、水平リブ16の長手方向両端部に段差部19を形成し、この段差部19を介してリブ底面17と胴部周壁面14を連結しているため、リブ端部に作用する応力がこの断面円弧状の段差部19で分散され、容器落下などによる大きな衝撃力が作用しても、リブ端部に応力が集中することがなくなる。このため、従来のようにリブ端部に応力が集中してこの部分でボトルが破損するというようなことがなくなる。
【0013】
また、前記段差部19によってリブ底面17と胴部周壁面14との間の段差が急激に変化することがなくなるので、リブの上側から胴部周壁面14に化粧用の巻きラベル15を貼付しても、従来のようにリブの端部形状がラベル表面に凹凸となって表れにくくなる。このため、ラベル貼付時の外観品質も向上する。
【0014】
図2に、本発明の他の実施の形態を示す。(a)は胴部周壁面14に縦リブ26を形成したプラスチックボトルの例を、また、(b)は胴部周壁面14に斜めリブ36を形成したプラスチックボトルの例をそれぞれ示すものである。このように、補強用のリブの形成方向は、図1のような胴部円周方向に沿った水平リブ16(図1参照)だけに限られるものではなく、図2に示したように、設計仕様に応じて、縦リブ26や斜めリブ36など、自由に採用できるものである。
【0015】
また、容器胴部12の断面形状も、図示例のような楕円形断面に限らず、円形断面、四角形断面、5角形以上の多角形断面など、自由に採用できるものである。
【0016】
また、前記図1および図2に示した実施の形態では、すべてのリブ16、26、36について、その長手方向両端部に段差部19を形成したが、段差部19は必ずしもすべてのリブに形成する必要はなく、要求されるボトルの強度に応じて、例えば1つ置きのリブ毎にその長手方向両端部に段差部19を形成するなど、その形成位置は自由に採用できるものである。
【0017】
【実施例】
図1の形状からなる本発明のプラスチックボトル(本発明品)と、図3に示すような段差部19のない従来のプラスチックボトル(従来品)とを用い、落下試験を行なった。その試験落結果を表1に示す。なお、落下試験は次の方法によった。
【0018】
〔試験方法〕
JIS Z 0202に規定の包装貨物落下試験法に準じ、落下高さ0.9m、1.0mの2水準を採用した。落下回数は1つのボトルにつき10回とし、容器内部には収容液体として水を封入した。なお、表1中の「結果」の欄には、落下試験に供したボトルの総数を分母に、破損したボトルの数を分子に表記した。
【0019】
【表1】
Figure 0004796712
【0020】
表1から明らかなように、段差部19のない従来品の場合、落下高さ0.9m、1.0mのいずれの場合においても、試験に供した6個のプラスチックボトルのうち、2個が破損した。そして、この破損箇所は、いずれの場合も、図4に示すように、容器底部に近いリブ端部付近に集中していた。一方、段差部19を有する本発明品の場合、リブ端部に破損は生ぜず、破壊強度が向上していることが確認された。
【0021】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、ボトルの胴部周壁面に形成されたリブの長手方向両端部にリブ底面と胴部周壁面との間をつなぐ外側に向かって凸の面円弧状をした段差部を形成したので、この外側に向かって凸の断面円弧状をした段差部によって、ボトル落下時などに大きな衝撃力が作用した場合にリブ端部に作用する応力を分散して容器の破壊強度を高め、容器の破損を防止すると同時に、ラベル貼付時の外観品質も向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るプラスチックボトルの一実施の形態を示すもので、(a)はプラスチックボトルの全体形状の正面図、(b)は(a)中のI−I線位置における略示断面図、(c)は(b)中のP部分(リブ端部)の略示拡大図である。
【図2】本発明に係るプラスチックボトルの他の実施の形態を示すもので、(a)は胴部周壁面に縦リブを形成したプラスチックボトルの例を示す正面図、(b)は胴部周壁面に斜めリブを形成したプラスチックボトルの例を示す正面図である。
【図3】従来のプラスチックボトルのリブ端部の形状例を示す略示拡大断面図である。
【図4】落下試験による破壊状態の説明図である。
【符号の説明】
11 プラスチックボトル
12 容器胴部
13 口部
14 胴部周壁面
15 巻きラベル
16 水平リブ
17 リブ底面
18 単純傾斜面
19 段差部
26 縦リブ
36 斜めリブ

Claims (3)

  1. 胴部を押圧して内容物を排出するプラスチックボトルにおいて、胴部周壁面(14)に、断面凹溝状をした所定長さからなるリブ(16)を少なくとも1本備え、該リブの長手方向両端部には、胴部周壁面(14)からリブ底面(17)へ向かって所定の傾斜角度で下降する直線状の単純傾斜部(18)が形成されているとともに、該単純傾斜部の途中所定位置からリブ底面(17)に至る区間は、外側に向かって凸状に膨らむ断面円弧状の段差部(19)とされ、該断面円弧状になる段差部(19)を中に挟んで胴部周壁面(14)とリブ底面(17)との間をつないだことを特徴とするプラスチックボトル。
  2. 前記段差部がボトル周壁面から0.1〜0.8mmの深さ位置にあることを特徴とする請求項1記載のプラスチックボトル。
  3. 前記リブが胴部周壁面の円周方向に沿って水平に形成されていることを特徴とする請求項1または2記載のプラスチックボトル。
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