JP4796647B2 - 攪拌装置及び攪拌装置用治具 - Google Patents

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Description

本発明は、タンク内の流体を攪拌する攪拌装置及び攪拌装置用治具に関し、特に、攪拌効果を向上させることができる攪拌装置及び攪拌装置用治具に関する。
従来、タンク内の流体を攪拌するための攪拌装置として、種々の攪拌装置が用いられている。
例えば、塗料を攪拌するための攪拌装置であって、攪拌翼を駆動するエアモータを回転させたまま蓋体を開放させても、攪拌翼の回転によりタンク内の塗料が周囲に飛散することのないようにすることを目的とした塗料攪拌装置が提案されている。より具体的には、図10に示すように、上下に昇降されてタンク302の上面開口部303を塞ぐ蓋体304からタンク302内に向かって、エアモータ305により回転駆動されるプロペラシャフト(回転軸)306が延設されるとともに、当該プロペラシャフト306の基端側にタンク302内の塗料を攪拌する回転攪拌機(攪拌翼)307が取り付けられた塗料攪拌装置であって、エアモータ305へ駆動エアを供給するエア配管310に当該配管310を導通/遮断するバルブ311が介装されるとともに、当該バルブ311を蓋体304の昇降動作に連動してバルブ311を開閉するバルブ開閉手段312を備えた塗料攪拌装置301が開示されている(特許文献1参照)。
特開平8−266985号公報 (全文 全図)
ところで、塗料には、粘度を調節するための溶剤が混合されたり、装飾用の材料が混合されたりするため、塗装後の品質を確保するためには、これら複数の材料を均一に攪拌しながら吹付装置に供給されるようにする必要がある。特に、自動車のボディ等の塗装に用いられる塗料にはパール材等の比重の異なる材料が混合されているものがあり、通常用いられる水性塗料は比較的粘度が低いことからパール材等と混ざりにくく、分離しやすい傾向がある。
しかしながら、上記特許文献1に記載の塗料攪拌装置は、回転攪拌器を回転させた場合にタンク内の塗料が流動するものの、プロペラシャフトを中心とした旋回流が比較的強く発生し、比重が異なる材料が十分に分散されないという問題がある。すなわち、図10に示すように、相対的に比重が大きい材料はタンク底面の隅に滞留したまま流動せずに、分離されやすくなっている。このように分離する現象を低減するには、底面が曲面状にされた特別なタンクを使用したり、使用するタンクの内面や底面に流動制御のためのフィン等を形成したりすることが考えられるが、この方法では、攪拌装置を使用するにあたって、塗料を必ず専用のタンクに収容しなければならず、手間がかかり作業性が低下するおそれがある。
そこで、本発明の発明者は鋭意努力し、攪拌翼が固定された回転軸をモータによって回転させて流体の攪拌を行う攪拌装置において、攪拌翼の周囲を囲むように配置される円筒状ケーシングを備えることにより、このような問題を解決できることを見出し、本発明を完成させたものである。すなわち、本発明は、様々な流体を均一にかつ効率的に攪拌することができる攪拌装置を提供することを目的とする。
本発明によれば、駆動源によって回転駆動される回転軸と、回転軸の先端に取り付けられた攪拌翼と、を備えた攪拌装置において、攪拌翼の回転方向周囲に、攪拌翼を囲むように配置された円筒状ケーシングを備えることを特徴とする攪拌装置が提供され、上述した問題を解決することができる。
より具体的には、駆動源によって回転駆動される回転軸と、回転軸の先端に取り付けられた攪拌翼と、を備えた攪拌装置において、攪拌翼の回転方向周囲に、攪拌翼を囲むように配置された円筒状ケーシングを備え、かつ、円筒状ケーシングの上方に、当該円筒状ケーシングの上方の空間を、回転軸に平行な面で複数領域に区切る複数枚のブレ止め支持プレートを設けることを特徴とする攪拌装置である。
また、本発明の攪拌装置を構成するにあたり、円筒状ケーシングの軸方向の幅と攪拌翼の軸方向の幅とが等しいことが好ましい。
また、本発明の攪拌装置を構成するにあたり、駆動源は載置板上に載置され、回転軸はモータの下方側に延在しており、載置板の高さを可変とする高さ調節機構を備えることが好ましい。
また、本発明の攪拌装置を構成するにあたり、駆動源が、人手によって把持されるグリップ部を有するハンディタイプのハウジングに収容されることが好ましい。
また、本発明の攪拌装置を構成するにあたり、駆動源が収容されたハンディタイプのハウジングが、市販回転工具であることが好ましい。
また、本発明の攪拌装置を構成するにあたり、円筒状ケーシングの上方に、回転軸を囲むように配置された円筒状の気相抑制部材を備えることが好ましい。
本発明の攪拌装置によれば、攪拌翼の周囲を囲む円筒状ケーシングを備えることにより、タンク内の流体が底面側にも押し出されるようになり、円筒状ケーシングの内部においては流体が下方側に向けて、すなわち、円筒状ケーシングの上部開口側から下部開口側の方向に向けて通過し、円筒状ケーシングの外部においては流体がタンクの底面から側壁に沿って上方側に向けて流動し、再び円筒状ケーシングに戻される循環流が発生する。そのため、軸回転方向の旋回流も相俟って流体の攪拌効果を著しく向上させることができる。したがって、例えば、比重の異なる複数の材料を含む流体であっても均一に攪拌混合することができる。
また、本発明の攪拌装置において、円筒状ケーシングの軸方向幅を攪拌翼の軸方向幅と一致させることにより、タンク内の流体の残量が少ない場合であっても、円筒状ケーシングの上部開口を流体中に浸漬させて、循環流を発生させることができる。したがって、タンク内の流体の残量が少量であっても使用することができる。
また、本発明の攪拌装置において、回転軸が接続される駆動源が載置された載置板を備えるとともに、当該載置板の高さの調節機構を備えることにより、攪拌翼及び円筒状ケーシングの高さ位置を制御することができ、流体の流動状態を調節することができる。
また、本発明の攪拌装置において、駆動源がハンディタイプのハウジングに収容されたハンディタイプの攪拌装置とすることにより、攪拌効果に優れた小型のハンディタイプの攪拌装置を提供することができる。
また、本発明の攪拌装置おいて、駆動源として市販回転工具を利用することにより、市販回転工具を利用して攪拌効果に優れた攪拌装置を安価に構成することができる。
また、本発明の攪拌装置において、円筒状ケーシングが回転軸の周囲を囲む円筒状の気相抑制部材を備えることにより、流体の旋回流によって発生する回転中心の気相部分をより小さく抑えることができる。
本発明の第1の実施の形態にかかる攪拌装置を示す側面図である。 本発明の第1の実施の形態にかかる攪拌装置を示す正面図である。 攪拌装置に備えられた整流ケーシングを示す斜視図である。 タンク内に生じる旋回流及び循環流を説明するための図である。 旋回流によって生じる気相部分について説明するための図である。 回動する載置台について説明するための図である。 本発明の第2の実施の形態にかかる攪拌装置を示す側面図である。 市販回転工具の駆動源を利用した攪拌装置について説明するための図である。 別の整流ケーシングの構成を説明するための図である。 従来の攪拌装置の構成を説明するための図である。
以下、適宜図面を参照して、本発明の攪拌装置にかかる実施の形態について具体的に説明する。ただし、かかる実施の形態は、本発明の一態様を示すものであり、この発明を限定するものではなく、本発明の範囲内で任意に変更することが可能である。
なお、それぞれの図中、同じ符号を付してあるものについては同一の部材を示しており、適宜説明が省略されている。
[第1の実施の形態]
図1〜図2は、本実施形態にかかる攪拌装置10の全体構成を説明するための図である。図1は本実施形態の攪拌装置10の側面図を示し、図2は図1の攪拌装置10を矢印方向Xの方向から見た正面図を示している。
この攪拌装置10は、塗料を攪拌するための装置であって、アルミニウム製の角型パイプを組み合わせて構成した支持体11と、駆動源としてのモータ13によって回転駆動される回転軸15と、回転軸15の先端に固定された攪拌翼17と、モータ13が載置された載置台19の高さを可変とする高さ調節機構30とを主たる要素として構成されている。また、攪拌装置10には、下端に塗料の吸引口21aを有する塗料吸引管21と、塗料吸引管21を介してタンク23内の塗料を吸引し塗布装置(図示せず)に送るポンプ25とが備えられている。
このうち、モータ13は高圧エアの供給によって駆動されるエアモータが使用されており、電気の供給を不要として、作業者が感電したり塗料が帯電したりしないようになっている。ただし、本発明においては、モータの種類は特に限定されるものではない。
このモータ13が載置される載置台19の中央部には開口部19aが設けられ、当該開口部19aには円筒状のモータ固定用治具27が取り付けられている。モータ固定用治具27の上部には、モータ固定用治具27の内部に駆動軸(図示せず)を向けるようにして、モータ13が載置されて固定されている。また、モータ13の駆動軸には、モータ固定用治具27の内部を介して下方側から挿通された回転軸15が連結されている。この回転軸15は下方側に延在し、先端部には攪拌翼17が固定されている。
また、モータ固定用治具27のうち、載置台19よりも下方側に位置する箇所には整流ケーシング40が取り付けられている。図3は、本実施形態の攪拌装置10に用いられている整流ケーシング40を示す斜視図である。
この整流ケーシング40は、上方側の気相抑制部材41と下方側の円筒状ケーシング43とその中間に配置された回転軸ブレ止め47とを含む構成となっており、互いに3本の連結部材45に溶接され固定されている。このうち、円筒状ケーシング43は、攪拌翼17の直径よりも大きい直径の内部孔43aを有する円筒状の部材であって、図4に示すように、攪拌翼17を回転させることによって円筒状ケーシング43内から底面側に向かう塗料の下降流S1を強められるようになっている。円筒状ケーシング43によって強められた下降流S1は、底面から側壁に沿って流動し、液面付近に到達すると今度は円筒状ケーシング43の上部開口から円筒状ケーシング43内に導かれるようになる。すなわち、円筒状ケーシング43の内部を下降する一方、円筒状ケーシング43の外部では上昇する循環流Sが発生させられるようになる。
このように、本実施形態の攪拌装置10では、タンク23内の塗料に、旋回流Tだけでなく循環流Sを発生させることができるため、塗料の攪拌効果を著しく向上させることができる。また、この循環流Sは、液面付近では、タンク23の周囲の壁面側から、旋回流Tの中心部の気相部分に向かって流れるようになるため、旋回中心に形成される気相部分の大きさは小さくされる。気相部分が小さくなれば、塗料中に気泡が混入しにくくなるため、塗装品質を向上させることができる。
この円筒状ケーシング43によって循環流Sを発生させるためには、塗料の液面を円筒状ケーシング43の上端よりも上方に位置させておく必要がある。そのため、塗料を攪拌しつつ、タンク23内の塗料の残量ができる限り少なくなるまで使用したい場合には、円筒状ケーシング43の上端がタンク23の底面から近い位置にあるとよいため、円筒状ケーシング43の軸方向の幅はできるだけ小さくすることが好ましい。ただし、円筒状ケーシング43よりも攪拌翼17の軸方向の幅の方が大きくなって、攪拌翼17が円筒状ケーシング43からはみ出すと、塗料の旋回流Tが強くなってしまい、上述の循環流Sが弱くなって、十分に攪拌させることができなくなるおそれがある。
図1に示す本実施形態の攪拌装置10の例では、円筒状ケーシング43の軸方向の幅と攪拌翼17の軸方向の幅とが等しくされている。そのため、タンク23内の塗料の残量が少なくなった場合であっても、塗料の攪拌効果が高められるようになっている。したがって、塗料の残量が少量になるまで使用することができ、塗料の補充回数が少なくされ、塗料の効率的な利用も可能になっている。
また、攪拌翼17が円筒状ケーシング43に覆われるようになっていることから、攪拌翼17がタンク23の底面や側面に直接接触するおそれがなくなるとともに、作業者の安全性も高められている。
また、図3に示す整流ケーシング40のうちの回転軸ブレ止め47は、中央に回転軸の挿入孔47aを有するブレ止め部47bと、3本の連結部材45に対してブレ止め部47bを固定する3つのブレ止め支持プレート47cとを備え、円筒状ケーシング43の上方に配置されている。ブレ止め部47bの挿入孔47aには回転軸15が挿入され、回転軸15が回転駆動される際に回転ブレが生じないように支持され、安定した回転駆動が行われるようになっている。
また、ブレ止め部47bを連結部材45に固定する三枚のブレ止め支持プレート47cによって、円筒状ケーシング43の上方の空間が三つの領域に区切られているために、上述の循環流Sが円筒状ケーシング43内に流入する際に整流され、円筒状ケーシング43内で下降流がより発生しやすいようになっている。
また、気相抑制部材41は、全体として円筒状をなしており、円筒状の部材のうちの一部が軸方向に分断され、当該分断箇所の両側に固定ネジ49が挿入されるネジ穴(図示せず)が形成された突起部41aがそれぞれ設けられている。この気相抑制部材41は、モータ固定治具27との固定箇所としても使用され、上方側からモータ固定用治具27の下端部が挿入された状態で固定ネジ49を締め付けることによって、整流ケーシング40が吊り下げ固定されるようになっている。このような円筒状の気相抑制部材41を備えることにより、図5(b)に示すように、タンク23内の塗料に回転軸方向の旋回流Tが生じている状態で、図5(a)に示す場合と比較して、回転中心部に形成される気相部分Aの直径がさらに抑制されるようになっている。
ただし、気相抑制部材41によって気相部分Aの大きさが抑制されるのは、塗料の液面が気相抑制部材41と重なる場合であるため、塗料の残量が少なくなった場合でも機能を発揮させるためには、気相抑制部材41の先端部がタンク23の底面側に近い位置にあるとよい。ただし、上述の円筒状ケーシング43の上部開口に塗料を流入させやすくし、内部に下降流S1を生じやすくするためには、気相抑制部材41の先端部が円筒状ケーシング43の上端部の位置よりも上方にあることが必要となる。
また、図1及び図2に示される、塗料を吸引し塗布装置へ圧送するポンプ25は、モータ13とともに載置台19上に載置固定されており、このポンプ13についても、高圧エアの供給によって駆動されるダイヤフラム式のエアポンプが用いられている。ただし、本発明においては、ポンプの種類は特に限定されるものではない。
また、ポンプ25に接続された塗料吸引管21は、回転軸15と同様にモータ固定治具27の内部を通過させて載置台19の下方に延在し、下端の吸引口21aは整流ケーシング40の円筒状ケーシング43の下端部と同じ高さになるように配設されている。したがって、タンク23内において、上述の循環流Sを発生しやすくするために整流ケーシング41の円筒状ケーシング43の下端部とタンク23の底面との間に間隙を設けるようにした場合に、残量が少なくなったとしても塗料を吸引することができるようになっている。
また、本実施形態の攪拌装置10には、モータ13及びポンプ25が載置された載置台19の高さを可変とする高さ調節機構30が備えられている。本実施形態の塗料攪拌装置10に備えられた高さ調節機構30は、リール31とワイヤー33とウェイト35とを用いて構成されたものであり、リール31を支点として載置台19とウェイト35とのバランスを取りながら載置台19を手動で上昇又は下降させることができるようになっている。リール31は上下方向に組まれた支持体11の上端の両側にそれぞれに取り付けられ、このリール31それぞれにワイヤー33が係止されている。ワイヤー33の一端側は載置台19を支持する載置台支持治具37につながれており、他端側はウェイト35につながれている。上下方向に組まれた支持体11には、載置台支持治具37の上下方向移動をガイドするガイドレール11aと、ウェイト35の上下方向移動をガイドするガイドレール11bとが備えられている。
ウェイト35の重量は、例えば、載置台19と同じ重量とされて載置台19とのバランスがとられており、載置台19を所望の高さ位置に上下動させて固定できるようになっている。ただし、高さ調節機構30の構成については特に限定されるものではなく、ラック及びピニオンギアを用いた構成としたり、あるいはモータやエアシリンダ等を用いた構成としたりすることができる。
このような載置台19の高さ調整機構30を備えていることによって、タンク23の交換作業を行う際には載置台19を上昇させることができるため、タンク23が取り出しやすくなり、攪拌装置10を移動させる必要がなくなる。また、攪拌翼17及び整流ケーシング40の高さ位置を調節することができるため、形成される攪拌流の流れを塗料の残量に合わせて制御することができるようになる。
また、図6に示すように、モータ13及びポンプ25が載置された載置台19は、載置台支持治具37の支持バー39を基点として回転移動させることができるようになっている。そのため、載置台19を回動させて垂直方向に保持させることにより、載置台19をタンク23の配置位置の上方から移動させることができるとともに、攪拌翼17や整流ケーシング40、塗料吸引管21を、載置台支持治具17の高さ位置よりも高い位置に保持することができるようになる。したがって、高さ調節機構30による載置台19の上昇高さが比較的低い場合であっても、タンク23の載置位置の上方にスペースが確保され、タンク23の交換作業がさらに容易にできるようになっている。これは、攪拌装置10を床面に載置して使用するような場合に、特に有効である。
また、本実施形態の攪拌装置10は、載置台19を回動させることができるために、攪拌翼17や整流ケーシング40、塗料吸引管21を前面に向けさせることができ、攪拌装置10の洗浄作業や部品交換作業を容易に行うことができる。
さらに、本実施形態の攪拌装置10では、載置台19を回動させた場合であっても、攪拌翼17及び整流ケーシング40の位置が、タンク23の載置位置の上方から大きく外れることがないようになっている。したがって、攪拌翼17や整流ケーシング40に塗料が付着している場合であっても、塗料がタンク23内に落滴するようになるため、塗料が飛散することを防ぐことができる。
また、本実施形態の攪拌装置10に備えられた部品のうち、モータ13、ポンプ25、回転軸15、攪拌翼17、整流ケーシング40、塗料吸引管21については、すべてフッ素樹脂によるコーティングがなされている。したがって、離形性に優れており、付着した塗料を容易に洗い流すことができ、清掃作業や塗料替え作業を効率的に行うことができる。
これまで説明した本実施形態の攪拌装置10の構成によれば、整流ケーシング40が取り付けられているために、図4に示すように、回転駆動する攪拌翼17による旋回流Tと併せて、循環流Sを発生させることができるため、タンク23内の塗料の攪拌効果を向上させることができる。したがって、比重の異なる複数の材料が混合されてなる塗料であっても十分に攪拌させることができ、材料の混合度合いにばらつきを生じたり、塗料中に気泡が混合したりすることを低減して、塗装品質を向上させることができる。
また、攪拌効果が著しく高められるために、底面や側面に特殊な加工を施した特別なタンクを用いなくても、一般のポリ容器等をタンクとして使用することができるようになり、コストダウンを図ることができる。
これまでの説明において、攪拌する流体として塗料を例に採って説明したが、塗料以外の流体であっても同様の効果を得ることができる。また、攪拌する流体は液体に限られず、ゲル状の流体やゾル状の流体、さらには、固体物が混合された流体であっても構わない。
[第2の実施の形態]
本発明の第2の実施の形態にかかる攪拌装置50は、円筒状ケーシング43をハンディタイプの攪拌装置に適用した攪拌装置50である。この攪拌装置50は、駆動源であるモータ13が人手によって把持されるグリップ部を有する駆動部本体51に収容されている点において第1の実施の形態の攪拌装置と異なっている。以下、第1の実施の形態と異なる点を中心に説明する。
図7は、本実施形態にかかる攪拌装置50の全体構成を説明するための側面図である。
この攪拌装置50は、駆動源としてのモータ13が収容された駆動部本体51と、モータ13によって回転駆動される回転軸15と、回転軸15の先端に固定された攪拌翼17とを備えている。
このうちモータ13が収容された駆動部本体51は、モータ13の出力軸65に連結され、回転軸15が着脱可能なチャック53を備えており、回転軸15が取り付けられた先端側の前部グリップ55と、後方側の後部グリップ57とを有している。前部グリップ55は、駆動部本体51の周囲を回動可能に構成されており、前部グリップ55と後部グリップ57との位相が調節できるようになっている。また、後部グリップ57には、モータ13への通電のオンオフを切替える電源スイッチ59が設けられている。
また、駆動部本体51のうち、モータ13の駆動によって動かされない箇所である首部51aに整流ケーシング40が固定されている。整流ケーシング40の固定方法は特に制限されるものではないが、本実施形態の攪拌装置50の例では、整流ケーシング40のうち円筒状ケーシング43が固定されている端部とは反対側の端部に、駆動部本体51に取付けるための環状固定部40aが設けられている。この環状固定部40aは、その一部を軸方向に分断するスリット(図示せず。)を備え、当該環状固定部40a内に駆動部本体51の首部51aを挿入した状態で、スリットの両側の突起部に設けられたネジ穴(図示せず。)に挿入した締付ネジ61によって環状固定部40aを締付けることによって、整流ケーシング40を駆動部本体51に固定している。
整流ケーシング40のうちの円筒状ケーシング43や回転軸ブレ止め47については、第1の実施の形態で説明したものと同様の構成とすることができる。したがって、本実施形態の攪拌装置50であれば、優れた攪拌効果を得ることができるだけでなく、持ち運びも容易になっている。
また、本実施形態の攪拌装置50では、攪拌翼17が円筒状ケーシング43に覆われるようになっていることから、作業者が攪拌装置50を持って攪拌作業を行う際に、攪拌される液体が収容された容器の底面や側面に攪拌翼17が直接接触するおそれがないとともに、作業者の安全性も高められている。
また、上述した駆動部本体51として、例えば、駆動源が収容された市販回転工具の駆動部本体を利用することもできる。市販回転工具の駆動部本体を利用すれば、攪拌翼17が固定された回転軸15と、整流ケーシング40とを用意して取り付けるだけで、簡単に攪拌装置を構成することができる。また、回転軸15と整流ケーシング40とを用意するだけでよいことから、コストも抑えられる。
より具体的には、穿孔を行うドリル71が着脱可能に装着された市販の電動式工具70を用意し、図8(a)〜(b)に示すようにチャック73からドリル71を取り外す。次いで、図8(c)に示すように、電動式工具70の駆動部本体75の首部75aを整流ケーシング40の環状固定部40aに挿入し、締付ネジ61を締付けて整流ケーシング40を取り付ける。次いで、図8(d)に示すように、先端に攪拌翼17が設けられた回転軸15を、整流ケーシング40の回転ブレ止め47の回転軸の挿入孔47aに通した後、回転軸15の基端をチャック73に固定する。このようにして、本実施形態の攪拌装置50が容易に構成される。
図7及び図8の攪拌装置50の例では、駆動部本体51が前部グリップ55及び後部グリップ57を備える一方、整流ケーシング40にはグリップを備えていない構成であるが、駆動部本体51が前部グリップを備えていない場合には、図9(a)〜(b)に示すように、整流ケーシング80にグリップ81を備えるように構成することもできる。この図9(a)は、グリップ81を備えた整流ケーシング80を駆動部本体51に取付けた図を示し、図9(b)は、グリップ81を備えた整流ケーシング80を駆動部本体側から見た図を示している。
図9(a)〜(b)に示す整流ケーシング80は、円筒状ケーシング83が固定されている端部とは反対側の端部に取付部85が設けられており、当該取付部85の内部孔に駆動部本体51の首部51aを挿入した状態で取付部85を締付けることによって、整流ケーシング80が駆動部本体51に固定される。取付部85は、その一部を軸方向に分断するスリット86を備え、当該スリット86の両側の肉厚が厚くされるとともに、スリット86の両側の厚肉にされた部分にネジ穴88が設けられている。そして、このネジ穴88に対して、頭部にグリップ81が設けられた締付ネジ87を挿入して締付けることによって、整流ケーシング80が駆動部本体51に固定される。
このようなグリップ81を備えた整流ケーシング80であれば、作業者が両手で駆動部本体51のグリップと整流ケーシング80のグリップ81とを把持することができ、市販の電動式工具70を利用して攪拌装置を構成する場合であっても、安定的に攪拌装置を保持して攪拌作業を行うことができる。
また、多きさや形状が異なる攪拌翼や整流ケーシングをあらかじめ複数用意しておくことにより、駆動部本体51が一つのみであっても、攪拌する流体の種類や容量に応じて最適な攪拌装置を構成することができる。
例えば、塗料が収容された一斗缶の口は通常小さくされているが、当該口から挿入可能な大きさの整流ケーシングを使用すれば、当該口から一斗缶内に整流ケーシング及び攪拌翼を挿入し塗料の攪拌を行ったとしても、優れた攪拌効果を得ることができる。そして、一斗缶の上面を切り開くことなく一斗缶内の塗料の攪拌を行うことができることから、塗料を使用した後には、当該口に蓋をして、残された塗料の乾燥を防ぐことができる。

Claims (5)

  1. 駆動源によって回転駆動される回転軸と、前記回転軸の先端に取り付けられた攪拌翼と、を備えた攪拌装置において、
    前記攪拌翼の回転方向周囲に、前記攪拌翼を囲むように配置された円筒状ケーシングを備え、
    かつ、
    前記円筒状ケーシングの上方に、当該円筒状ケーシングの上方の空間を、前記回転軸に平行な面で複数領域に区切る複数枚のブレ止め支持プレートを設けることを特徴とする攪拌装置。
  2. 前記円筒状ケーシングの軸方向の幅と、前記攪拌翼の前記軸方向の幅と、が等しいことを特徴とする請求の範囲第1項に記載の攪拌装置。
  3. 前記駆動源は載置板上に載置され、前記回転軸は前記モータの下方側に延在しており、前記載置板の高さを可変とする高さ調節機構を備えることを特徴とする請求の範囲第1項又は第2項に記載の攪拌装置。
  4. 前記駆動源が、人手によって把持されるグリップ部を有するハンディタイプのハウジングに収容されることを特徴とする請求の範囲第1項又は第2項に記載の攪拌装置。
  5. 前記円筒状ケーシングの上方に、前記回転軸を囲むように配置された円筒状の気相抑制部材を備えることを特徴とする請求の範囲第1項〜第4項のいずれか一項に記載の攪拌装置。
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