次に、本発明を実施するための最良の形態について図面と共に説明する。
次に、本発明の実施の形態について図面と共に説明する。
図1は、本発明の第1実施例である電子部品用コンタクタ10A(以下、単にコンタクタという)と、本発明の第1実施例である電子部品用コンタクタの製造方法を説明するための図である。尚、以下の説明においては、電子部品として微細端子41を有したLSIデバイス40(図5参照)を用いた場合を例に挙げると共に、コンタクタ10AをこのLSIデバイス40の試験に適用する例について説明するものとする。
先ず、図1(C)を用いて第1実施例であるコンタクタ10Aの構成について説明する。コンタクタ10Aは、大略すると絶縁基板11A,電極パッド12A,及びコンタクト電極16Aよりなる極めて簡単な構成とされている。
絶縁基板11Aは、例えばポリイミド(PI)等の絶縁性樹脂により形成されたシート状の部材であり、よって所定の可撓性を有した構成とされている。この絶縁基板11Aの上部には、電極パッド12Aが形成されている。この電極パッド12Aは例えば銅(Cu)により形成されており、図示しない配線により絶縁基板11Aの外周位置に形成された外部端子(例えば、LSIテスターに接続される)まで引き出された構成とされている。
また、コンタクト電極16Aは、後に詳述するようにワイヤボンディング技術を用いて形成されたスタッドバンプにより構成されている。このように、コンタクト電極16Aをスタッドバンプにより構成することにより、従来の機械的ばねを組み込んだLSIソケットやばね式プローバに比べ、格段に狭ピッチ化を図ることができる。
また、図40を用いて説明した従来のメンブレン式コンタクタ1のように、コンタクト電極16Aをメッキ成長で生成するのでなく、導電材料のワイヤ14を電極パッド12Aに接合して形成するため、コンタクト電極16Aとなるバンプ(突起電極)の形成が極めて短時間で行え、かつLSIデバイス40の端子41にコンタクトするのに有利な形状のコンタクト電極16Aを容易に得ることが可能となる。
更に、コンタクト電極16Aを電極パッド12Aを介して支持する絶縁基板11Aは弾性変形可能な構成とされているため、LSIデバイス40の端子高さ及びコンタクト電極16Aの高さにバラツキが生じていたとしても、絶縁基板11Aが弾性変形(可撓)することによりこれを吸収することができる。よって、端子41とコンタクト電極16Aとの電気的接続を、高い信頼性をもって行うことができる。
続いて、上記構成とされたコンタクタ10Aの製造方法について説明する。
コンタクタ10Aを製造するには、図1(A)に示されるように、先ず予め絶縁基板11A上に電極パッド12A(配線及び外部端子41も含む)を形成しておく。そして、図1(B)に示されるように、圧着ヘッド13を電極パッド12Aに向け移動させ、超音波溶接法を用いてワイヤ14を電極パッド12Aにワイヤボンディングする。
続いて、図1(C)に示されるように、ワイヤ14をクランプした状態で圧着ヘッド13を上動させ(引き上げて)、ワイヤ14を引きちぎる。これにより、中央部が凸になったスタッドバンプ、即ちコンタクト電極16Aが形成される。以上の処理を行うことにより、コンタクタ10Aは形成される。
このように、コンタクタ10Aの製造は、既存の技術であるワイヤボンディング技術を利用して行うことができる。即ち、半導体装置の製造プロセスで広く用いられているワイヤボンディング装置を用いてコンタクト電極16Aを形成することができるため、新たに設備を要することはなく、設備コストの低減を図ることができる。
また、形成されるコンタクト電極16Aの大きさ、高さは、ワイヤ径やボンディング条件(ボンディング時にワイヤの先端に作るボールの径を変えたり、パッドへのボンディング圧力、温度、超音波振動のパワー、印加時間)を変えることによりバンプ形状を操作し、LSIデバイス40の条件にあわせることが可能である。
また、図1(C)に示されるように、ワイヤ14が引きちぎられたコンタクト電極16Aの先端は、引っ張りによって破断した部分であるため先端が細くなっている。このため、LSIデバイス40に形成された端子41が微細である場合、この微細端子41へのコンタクト電極16Aの接続を有利に行うことができる。このコンタクト電極16Aの先端径は、端子41とコンタクトすることにより若干潰されて径は太るが、平均するとφ15〜20μm 程度の細い針状のコンタクト電極を実現することができる。
また、コンタクト電極16Aの中央部に形成された凸の先端部は、ワイヤ14が引きちぎられた先破断面であるため細かい凹凸が形成され、よってその面状態は粗となっている。このため、LSIデバイス40の端子41とコンタクト電極16Aとの実質的な接触面積が減り、小さい力でも先端部に形成された各凸部が強い圧力で端子41にコンタクトする。このため、端子表面に酸化膜(絶縁性を有している膜)が形成されていてもこれを確実に突き破ることができ、安定したコンタクト性を得ることができる。
ここで、コンタクト電極16Aの材料に注目し、以下説明する。
コンタクト電極16Aの材料は、そのままワイヤ14の材料となる。本実施例では、このコンタクト電極16A(ワイヤ14)の材料として、LSIデバイス40に形成された端子41の材料よりも硬度の高い材料を用いている。この端子41とコンタクト電極16(ワイヤ14)の具体的な組み合わせとしては、次のような組み合わせが考えられる。
(a)端子41としてアルミ端子を用いた場合は、コンタクト電極16(ワイヤ14)の材料としては、アルミニウム(Al)よりも硬い、金(Au),銅(Cu),パラジウム(Pd),ニッケル(Ni)等、或いは上記した各金属を主成分とする合金を用いることができる。
(b)端子41として半田バンプを用いた場合には、コンタクト電極16(ワイヤ14)の材料としては半田よりも硬い材料を選定すればよく、殆どの導電性金属及びそれを主成分とする合金を用いることができる。一例を挙げれば、アルミニウム(Al),銀(Ag),半田合金等を用いることができる。ここで、半田合金の一例を次に列記する。
Pb−Ag/Pb−Bi/Pb−Sb/Pb−Sn−Bi/Pb−Sn−SbPb−In/Sn−3Ag
上記のように、コンタクト電極16A(ワイヤ14)の材料として、LSIデバイス40の端子41の材料よりも硬度の高い材料を用いることにより、端子41が多ピン化し、これに伴いコンタクト圧が増大してもコンタクト電極16Aが潰れることを防止することができる。
即ち、通常コンタクタ10Aには多数の電LSIデバイス40が装着脱され、よって各コンタクト電極16Aには繰り返し端子41が接続されることとなる。また、近年では端子41の多ピン化が進んでおり、よって当然のことながらコンタクト圧は増大する係合にある。よって、仮にコンタクト電極の材料が端子の材料に対して軟らかい場合を想定すると、繰り返し接続を行うことによりコンタクト電極が潰れて端子との接続が良好に行われないおそれがある。
しかるに、本実施例の構成とすることにより、コンタクト圧が増大してもコンタクト電極16Aが潰れることを防止することができる。よって、コンタクト電極16Aの耐久性は向上し、繰り返し接続処理を行ってもコンタクト電極16Aが潰れるようなことはなく、高い信頼性を有した接続を維持することができる。
また、コンタクト電極16A(ワイヤ14)の材料は、前記したものに限定されるものではなく、コンタクト電極16Aの耐久性を向上しうる他の材料としては、(A)VIII 族金属元素に含まれるいずれかの金属,(B)VIII族金属元素に含まれるいずれかの金属を主成分として含むVIII族金属系合金,(C)金(Au)を主成分として含む合金,(D)金(Au)と銀(Ag)との合金等を用いることができる。
また、前記した説明から明らかなように、本実施例で適用可能なコンタクト電極16Aの材料は、ワイヤとすることが必要である。よって、この点を考慮すると上記した各材料の内、特に有望な材料としては、パラジウム(Pd),ニッケル(Ni),ロジウム(Rh),白金(Pt),金(Au)−銀(Ag)合金等が挙げられる。
次に、本発明の第2実施例であるコンタクタについて説明する。
図2は、第2実施例であるコンタクタ10Bを示している。本実施例に係るコンタクタ10Bは、絶縁基板11Bの端子41と対応する位置に上下に貫通する開口部17を形成すると共に、この開口部17を塞ぐよう電極パッド12Bを形成し、更にこの電極パッド12Bの上部に開口部17内に位置するようコンタクト電極16Bを形成したことを特徴とするものである。
尚、絶縁基板11B,電極パッド12B,及びコンタクト電極16Bの材料及び形成方法は、前記した第1実施例と同様である。また、開口部17の形成は、プレス加工,エッチング加工,レーザ加工等により形成することができる。
本実施例の構成に係るコンタクタ10Bは、コンタクト電極16Bが開口部17の内部に位置しているため、LSIデバイス40をコンタクタ10Bに押圧した際、LSIデバイス40は絶縁基板11Bの上面と当接することにより係止され、それ以上の押圧は絶縁基板11Bにより規制される。よって、必要以上にコンタクト電極16Bに加圧力が印加されることを防止でき、コンタクト電極16Bに変形が発生することを防止することができる。
次に、本発明の第3実施例であるコンタクタ、及び本発明の第2実施例であるコンタクタの製造方法について説明する。尚、図3において、図1に示した第1実施例に係るコンタクタ10Aの構成と同一構成については同一符号を付してその説明を省略する。また、以下説明する各実施例についても同様とする。
図3(B)は、第3実施例であるコンタクタ10Cを示している。本実施例に係るコンタクタ10Cは、電極パッド12A上に、第1バンプ18Aと第2バンプ19Aを積層した構成のコンタクト電極16Cを形成したことを特徴としている。
本実施例では、第1バンプ18Aの形状と第2バンプ19Aの高さ及び形状は、共に等しくなるよう形成している。尚、本実施例では、第1及び第2バンプ18A,18Bの二つのバンプ積層した構成としているが、この積層数は2層に限定されるものではなく、3層以上の構成としてもよい。
この構成のコンタクタ10Cを製造するには、図3(A)に示されるように、先ず電極パッド12Aの上部にワイヤ14をワイヤボンディングして第1バンプ18Aを形成する(第1バンプ形成工程)。続いて、この第1バンプ形成工程の終了後、図3(B)に示すように、第1バンプ18Aの上部に前記第1バンプ形成工程で用いたと同材料のワイヤ14をワイヤボンディングし、第1バンプ18Aと略同一形状の第2バンプ19Aを第1バンプ18A上に形成する(第2バンプ形成工程)。
このように、本実施例の製造方法によれば、第1及び第2バンプ18A,19Aは、共にワイヤボンディング技術を用いて形成することが可能である。このため、コンタクタ10Cを容易に形成することができ、また新たな製造設備を不要とすることができる。
上記した本実施例に係るコンタクタ10Cでは、各バンプ18A,18Bを積層することにより、コンタクト電極16Cの高さを第1及び第2実施例で示したコンタクタ10A,10Bに比べて高くすることができる。このように、コンタクト電極16Cを高くしたことによる作用効果について、以下説明する。
例えば、コンタクタ10Cのようなメンブレン式コンタクタの場合、各コンタクト電極16Cはスタッドバンプであり、電極自身がばね性をあまり持たない構成である。よって、絶縁基板11Aの下側(コンタクト電極と反対の面)にゴム等の弾性体シート20(図5参照)を敷くケースが多い。
そして、コンタクト時に印加される圧力がコンタクト電極16Cに加わると、コンタクト電極16Cの形成位置のみが沈みつつ、弾性体シート20の弾性反力で押し返す作用が生まれるよう構成している。
これにより、個々のコンタクト電極16の高さにバラツキが存在し、またLSIデバイス40の端子41に平面度のバラツキが存在しても、この各種バラツキを弾性体シート20の変形で吸収するよう構成している。
ところで、上記の使用態様の場合、コンタクト電極16Cの高さがあまり低いと、コンタクト電極16Cが沈んだ際にコンタクト電極16Cの頂上部分と絶縁基板11Aの上面との高さが変わらなくなってしまう。この場合、絶縁基板11AがLSIデバイス40の底面(端子41が形成されている面)に触れてしまう等の不具合が生じ、安定したコンタクト性が得られないばかりか、LSIデバイス40に傷をつけてしまう危険性がある。
しかるに、本実施例のように、第1及び第2バンプ18A,19Aを積層した構成とすることにより、コンタクト電極16Cの高さを高くすることができ、上記した従来のコンタクタで発生していた問題を解決することができる。
また、図40に示した従来のメンブレン式コンタクタ1において、コンタクト電極3の高さを高くしようとした場合、従来ではコンタクト電極3をメッキ製法で形成していたため、高背のコンタクト電極を形成するには膨大なメッキ成長時間が必要となる。また、メッキ製法では高さ方向だけに成長させることが難しく、コンタクト電極全体が大きく(平面方向も大きく)なってしまうという問題点がある。更に、コンタクト電極の大きさ(高さ)のばらつきも大きくなり、メンブレン式コンタクタとしての歩留りが著しく悪化してしまう。
これに対し、本実施例に係るコンタクタ10Cでは、数回に渡りスタッドバンプ18A,19Aを重ねて圧着し積層することにより、容易にコンタクト電極16Cの高さを高くすることができる。またコンタクト電極16Cの高さは、バンプの積層数を適宜選定することにより任意に選定することができる。
次に、本発明の第4実施例であるコンタクタについて説明する。
図4は、第4実施例であるコンタクタ10Dを示している。
本実施例に係るコンタクタ10Dは、図3に示した第3実施例に係るコンタクタ10Cと類似した構成とされている。しかるに、第3実施例に係るコンタクタ10Cが第1バンプ18Aと第2バンプ19Aとを同一構成としたのに対し、本実施例に係るコンタクタ10Dでは、第1バンプ18Bと、その上部に形成される第2バンプ19Bの材料,形状(大きさ)等を異ならせたことを特徴としている。
材料を変える例としては、下部に位置する第1バンプ18Bを金(Au)で形成し、その上部に形成される第2バンプ19Bをパラジウム(Pd)により形成する構成が考えられる。この構成は、Au線のほうが柔らかく均一な高さのバンプを形成しやすいため下部の第1バンプ18Bの材料に採用し、LSIデバイス40とコンタクトする上側の第2バンプ19Bは硬度の高いPdを採用し、突起部の変形を避けようとする例である。
また、LSIデバイス40によっては、端子41が半田で形成されているため、金(Au)と接触すると(特にバーンイン試験のように、高温下で長時間接触していると、)Au−Sn合金がLSIデバイス40の端子41に生成されてしまい、試験後のLSIデバイス40の実装性を損なうケースがある。このような場合も、直接デバイスに触れる部分だけ、別材料を用いることが有用である。
一方、形状/大きさを変える例として、下側に位置する第1バンプ18Bを大きなバンプで形成し、上側に位置する第2バンプ19Bを小さいバンプで形成することが考えられる(図4に示した構成例)。
この構成とされたコンタクタ10Dによれば、コンタクト電極16Dの強度、高さを確保しつつ、LSIデバイス40の端子41にコンタクトする凸部分(上部に位置する第2バンプ19B形成される)を極力小さくすることができ、微細端子41への対応を有利とすることができる。
尚、本実施例においても、バンプ18B,19Bを2層積層した構成を例に挙げて説明したが、バンプの積層数は2層に限定されるものではなく、3層以上形成してもよいことは勿論である。
次に、本発明の第5実施例であるコンタクタについて説明する。
図5は、第5実施例であるコンタクタ10Eを示しており、図5(A)はコンタクタ10Eの側面図、図5(B)はコンタクタ10Eの平面図である。
本実施例においても、絶縁基板11Aはポリイミド(PI)の薄膜で作られており、この上面には銅(Cu)膜よりなる電極パッド12Aが形成されている。このように、絶縁基板11Aをポリイミド樹脂からなる薄膜で形成すると共に、電極パッド12Aを銅(Cu)膜により形成したことにより、コンタクタを汎用されている材料により形成できるためコスト低減を図ることができる。
また、本実施例では、絶縁基板11Aの裏に例えばゴムシートよりなる弾性体シート20が配設されており、LSIデバイス40の装着時にコンタクト圧を受けるとコンタクト電極16Aの下付近の弾性体シート20が圧縮されてたわみながら反力を発生する構成となっている。
また、図5(B)に示されるように、絶縁晩11Aの上面には、コンタクト電極16Aの電気信号を外部(LSIテスター等)に取り出すための外部端子22と、この外部端子22と電極パッド12Aとを接続する配線21が形成されている。このコンタクト電極16A,配線21,及び外部端子22は、同一のCu膜をエッチング等で不要部分を除去することにより形成されている。
続いて、本発明の第3実施例であるコンタクタの製造方法について説明する。
図6は、第3実施例であるコンタクタの製造方法を説明するための図である。本実施例では、先ず図1を用いて説明したと同様の方法により、電極パッド12Aの上部に圧着ヘッド13を用いてワイヤ14をワイヤボンディングし、バンプ25を形成する(バンプ形成工程)。図6(A)は、電極パッド12Aの上部にバンプ25が形成された状態を示している。
前記した第1実施例に係るコンタクタの製造方法では、このようにして形成されたバンプ25をそのままコンタクト電極16Aとして用いていた。これに対し、本実施例の製造方法では、図6(B)に示されるように、バンプ形成工程の終了後に加圧ツール(成形ツール)23Aを用い、バンプ25に成形処理を行い所定形状のコンタクト電極16Eを形成する工程(成形工程)を設けていることを特徴とする。この加圧ツール23Aの材料は、バンプ25の材料(即ち、ワイヤ14の材料)よりも硬い材料に選定されている。
このように、バンプ形成工程において電極パッド12A上にバンプ25を形成した後、加圧ツール23Aを用いてこのバンプ25に対し成形処理を行うことにより、コンタクト電極16Eの形状を所定形状に高精度に成形することができ、LSIデバイス40の端子41とコンタクト電極16Eとの電気的接続を良好に行うことができる。また、コンタクト電極16Eに高さバラツキが発生することを抑制できるため、これによっても端子41との電気的接続性を向上させることができる。
本実施例で用いている加圧ツール23Aは、絶縁基板11A上に複数高密度に形成された各バンプ25に対し、一つずつ成形処理を行う構成としている。また、成形時において隣接するバンプ25に触れないよう、加圧ツール23Aの先端形状は、先細形状とされたものを用いている。
これにより、高密度(狭ピッチ)で形成されている複数のバンプ25の各々について、精度の高い成形処理を行うことができる。よって、バンプ形成工程において、形成された各バンプに形状差(例えば、高さバラツキ等)が存在するような場合であっても、均一な形状とされたコンタクト電極16Eを確実かつ容易に形成することが可能となる。
また、本実施例では、加圧ツール23Aに図示しない超音波振動子或いはヒーターを配設することにより、加圧ツール23Aに加圧力だけでなく、同時にバンプ25を軟化させるエネルギーを印加しうるよう構成している。
このように、加圧力に加えて、バンプ25を軟化させるエネルギーを加圧ツール23Aを介してバンプ25に印加し成形処理を行うことにより、バンプ25が軟らかい状態で成形処理を行うことが可能となり、加圧力を低減しても確実に成形処理を行うことができる。また、バンプ25が軟化することにより成形性が向上するため、所定形状のコンタクト電極16Eを容易かつ確実に形成することができる。
尚、ここで加圧ツール23Aが印加する圧力は、実際にコンタクタとして使用する際に印加されるコンタクト圧よりも大きくしておくことが望ましく、この構成とすることにより、実際にLSIデバイス40をコンタクタに装着したときに発生するコンタクト電極16Eの変形を小さくすることができる。
次に、本発明の第6実施例であるコンタクタ、及び第4実施例であるコンタクタの製造方法について説明する。
図7は、第6実施例であるコンタクタ、及び第4実施例であるコンタクタの製造方法を示す図である。
本実施例に係るコンタクタ10Fは、絶縁基板11A上に複数個形成されたコンタクト電極17Fの高さが、同一高さに高精度に設定された構成となっている。このように、各コンタクト電極17Fの高さを均一化するため、本実施例に係る製造方法では、その成形工程において、複数のバンプに一括的に接触する平面度の高い成形面を有したレベリングツール26A(成形ツール)を用い、複数形成された各バンプに対して一括的に高さを揃える成形処理(以下、レベリング処理という)を行うこととした。
このレベリングツール26Aを用いてレベリング処理を行うことにより、複数のバンプを一括して成形して同一高さのコンタクト電極16Fを成形することができるため、成形処理の効率を向上させることができる。
本実施例によるレベリング処理では、バンプが潰されるため、バンプ形成時にその先端部分に形成された凸部は潰れて径が太りやすい欠点はあるが、各コンタクト電極16Fの高さが正確によく揃うことと、短時間で行える利点がある。
また、本実施例において、レベリングツール26Aを各バンプに向け押圧する力は、バンプの形成数にあわせて設定するが、前述したように実際にコンタクタとして使用する際に印加されるコンタクト圧よりも大きくしておくことが望ましい。具体的には、例えばコンタクト圧を10g/pinとした場合、レベリング力は『15g×ピン数』等に設定する。
次に、本発明の第5実施例であるコンタクタの製造方法について説明する。
図8は、第5実施例であるコンタクタの製造方法を説明するための図である。本実施例における製造方法では、先ず電極パッド12Aの上部にワイヤ14をワイヤボンディングして第1バンプ18Cを形成する(第1バンプ形成工程)。
続いて、図8(A)に示すように、図7を用いて説明したレベリングツール26Aを用い、絶縁基板11A上に形成された複数形成された第1バンプ18Cの上面を一括的に平坦化する成形処理を実施する(成形工程)。そして、この成形工程の終了後、第1バンプ18Cの上部に圧着ヘッド13を用いて第2バンプ19Cを形成し、コンタクト電極16Gを形成する(第2バンプ形成工程)。
本実施例の製造方法によれば、成形工程を実施することにより、第1バンプ18Cの上面をレベリングツール26Aを用いて平坦化し、その後に第2バンプ形成工程において第1バンプ18Cの上部に第2バンプ19Cを形成することとしたため、第2バンプ19Cは平坦面とされた第1バンプ18Cの上部に形成(ボンディング)することができる。
よって、第2バンプ19Cの第1バンプ18Cに対する接合性を向上させることができ、第1バンプ18Cと第2バンプ19Cを強固に接合させることができる。よって、複数のバンプ18C,19Cを積層した構成のコンタクト電極16Gであってもその機械的強度は高く、よってコンタクト電極16Gの信頼性を向上させることができる。
尚、本実施例においても、バンプ18C,19Cを2層積層した構成を例に挙げて説明したが、バンプの積層数は2層に限定されるものではなく、3層以上形成してもよい。この際、最上部に位置するバンプを除き、他のバンプに対しては成形処理を行うことが効果的である。
次に、本発明の第7乃至第10実施例であるコンタクタ、及び第6乃至第8実施例であるコンタクタの製造方法について説明する。
図9は第7実施例であるコンタクタ及び第6実施例であるコンタクタの製造方法を示し、図10は第8実施例であるコンタクタ及び第7実施例であるコンタクタの製造方法を示し、図11は第9実施例であるコンタクタ及び第8実施例であるコンタクタの製造方法を示している。各実施例は、コンタクタ10G〜10Iの基本構成を等しくし、また製造方法においてもその基本的な製造手順は同じであるため、先ず各実施例の共通的な特徴について一括的に説明し、その後に個々の実施例で異なる点について説明するものとする。
各実施例に係る製造方法では、成形工程において、加圧ツール23B〜23Dとしてバンプ(各図で、成形処理後のコンタクト電極16H〜16Jのみを示している)の中央位置に対向する位置に凹んだキャビティ部24B〜24Dが形成されると共に、バンプの外周部を押圧する押圧部38A〜38Cが形成されたものを用いたことを特徴としている。
更に、各加圧ツール23B〜23Dは、超音波振動子或いはヒーター等が配設されることにより、加圧ツール23B〜23Dに加圧力だけでなく、同時にバンプを軟化させるエネルギーをも印加しうる構成とされている。
上記構成とされた加圧ツール23B〜23Dを用い、バンプに対し上記のエネルギーを印加しつつ加圧処理を行うと、バンプの外周部は潰され、これに伴いキャビティ部24B〜24Dと対向するバンプの中央部分は押し上げられることとなる。
この際、加圧ツール23B〜23Dには加圧力だけでなくバンプを軟化させるエネルギーが印加されているためバンプは軟化しており、よって加圧力により外側部分のバンプ材料は容易にキャビティ部24B〜24Dの内部に押し上げられる。よって、各キャビティ部24B〜24D内は軟化したバンプ材料で満たされることとなり、各キャビティ部24B〜24Dの形状に高精度に対応した形状を有したコンタクト電極16H〜16Jを成形することができる。
これにより、成形処理後における各コンタクト電極16H〜16Jにバラツキが発生することを抑制することができ、均一かつ高精度なコンタクト電極16H〜16Jを得ることができる。また、各キャビティ部24B〜24Dの深さを大きく設定しておくことにより、バンプ形成時に形成される凸部(図1参照)に比べ、成形後のこの凸部の高さを高くすることも可能である(バンプ材料がキャビティ部24B〜24D内に押し上げられるため)。
図9(A)に示した実施例は、加圧ツール23Bの中央部分に円錐台状のキャビティ部24Bを形成することにより、中央部分に円錐台状の凸部が形成されたコンタクト電極16Hを示している。この構成では、コンタクト電極16Hの先端部が凸状となるため、微細な端子41との接続が可能となる。
また、図9(B)は、加圧ツール23Cの中央部分に円錐形状のキャビティ部24Cを形成することにより、中央部分に円錐形状の凸部が形成されたコンタクト電極16Iを示している。この構成では、図9(A)に示したコンタクト電極16Hに比べ、コンタクト電極16Hの先端部を更に尖った形状とすることが可能となり、更に微細化された端子41に対応することが可能となる。
更に、図9(C)は、加圧ツール23Dの中央部分に段差状のキャビティ部24Dを形成することにより、中央部分に段差を有した凸部が形成されたコンタクト電極16Jを示している。この構成では、コンタクト電極16Jの表面に段差を有することにより形状剛性が向上し、コンタクト圧の向上に寄与することができる。
次に、図10を用い、本発明の第10実施例であるコンタクタと、第9実施例であるコンタクタの製造方法について説明する。
本実施例に係るコンタクタ10Jは、絶縁基板11A上に複数個形成されたコンタクト電極16Kの高さ及び形状が、高精度に等しく形成された構成となっている。このように、各コンタクト電極16Kの高さを均一化するため、本実施例に係る製造方法では、その成形工程において、複数のバンプに一括的に成形しうるレベリングツール26B(成形ツール)を用い、複数形成された各バンプに対して一括的に高さ及び形状を揃える成形処理(以下、レベリング処理という)を行うこととした。
このレベリングツール26Bは、図9を用いて説明した各加圧ツール23B〜23Dと同様に、超音波振動子或いはヒーター等が配設されることにより、加圧力だけでなく、同時にバンプを軟化させるエネルギーをも印加しうる構成とされている。更に、レベリングツール26Bの各コンタクト電極16Kの形成位置と対応する位置には、複数のキャビティ部24Eが形成されている。
このレベリングツール26Bを用いてレベリング処理を行うことにより、複数のバンプを一括して成形して同一高さ及び形状のコンタクト電極16Kを成形することができるため、成形処理の効率を向上させることができる。
また、本実施例で用いるレベリングツール26Bも、超音波振動子或いはヒーター等が配設されることによりバンプに対し加圧力だけでなく、同時にバンプを軟化させるエネルギーを印加しうる構成とされているため、図9を用いて説明した各実施例と同様に、成形処理時にバンプの外周部は潰され、これに伴いキャビティ部24Eと対向するバンプの中央部分は押し上げられることとなる。
よって、本実施例の製造方法においても、各キャビティ部24E内は軟化したバンプ材料で満たされることとなり、各キャビティ部24Eの形状に高精度に対応した形状を有したコンタクト電極16Kを一括的に成形することができる。これにより、成形される各コンタクト電極16Kの高さ及び形状を高精度に均一化することができる。
次に、図11を用いて本発明の第11実施例であるコンタクタ、及び第10実施例であるコンタクタの製造方法について説明する。
本実施例に係る製造方法は、図11(A)に示されるような凸部を有しないコンタクト電極16Lに対し成形処理を行うことにより、図11(C)に示されるような中央部に凸部28を有したコンタクト電極16Mを形成することを特徴とするものである。
前記した説明から明らかなように、コンタクタは繰り返しLSIデバイス40が装着脱され、よってコンタクト電極にも繰り返し端子41が接続されるため、始めは凸部が形成されていたコンタクト電極であっても、経時的に凸部が摩耗して図11(A)に示すような凸部を有しないコンタクト電極16Lが形成される。このような凸部を有しないコンタクト電極16Lでは、LSIデバイス40の端子41と良好な電気的接続が出来なくなる。
そこで、本実施例では、このように凸部が摩耗等により存在しなくなったコンタクト電極16Lに凸部28を形成することにより、コンタクタ10Kの寿命を延ばすことができるよう構成したものである。
本実施例では、図11(A)に示されるような、加圧ツール23Eとしてバンプの中央位置に対向する位置に凹部27を有したキャビティ部24Fが形成されたものを用いる。このキャビティ部24Fは、前記した各実施例に比べ、比較的浅く形成されている。また、この加圧ツール23Eには、超音波振動子或いはヒーター等が配設されることにより、加圧力だけでなく、同時にバンプを軟化させるエネルギーをも印加しうる構成とされている。
上記構成とされた加圧ツール23Eを用い、図11(B)に示すように、凸部がなくなったコンタクト電極16Lに対し上記のエネルギーを印加しつつ加圧処理を行うと、これによりコンタクト電極16Lの外周部分は潰され、これに伴い凹部27と対向するコンタクト電極16Lの中央部分は押し上げられることとなる。
よって、キャビティ部24F内は凹部27を含め軟化したバンプ材料で満たされることとなり、これにより図11(C)に示されるように、中央部に凸部28が形成されたコンタクト電極16Mが形成される。上記のように、本実施例の製造方法によれば、図11(A)に示されるような凸部がないコンタクト電極16Lであっても、図11(C)に示されるような凸部28を有したコンタクト電極16Mに形成し直すことがでるため、コンタクタ10Kの寿命を延ばすことが可能となる。
次に、本発明の第12実施例であるコンタクタ、及び第11実施例であるコンタクタの製造方法について図12を用いて説明する。
本実施例に係るコンタクタ10Lは、コンタクト電極16Nの中央部分に円錐状凹部30が形成されていることを特徴とする。このように、コンタクト電極16Nにすり鉢状の円錐状凹部30を形成することにより、特にLSIデバイス40の端子41として球状バンプが用いられている場合、この球状バンプが円錐状凹部30内に一部進入し係合することにより、球状バンプ(端子41)とコンタクト電極16Nとを安定して確実に接続することができる。
上記した中央部分に円錐状凹部30が形成されたコンタクト電極16Nを形成するには、成形工程において、中央位置に成形しようとするバンプに向け突出した円錐状凸部29が形成された加圧ツール23Fを用いる。また、この加圧ツール23Fには超音波振動子或いはヒーター等を配設しておき、加圧力だけでなく、同時にバンプを軟化させるエネルギーをも印加できる構成としておく。
この加圧ツール23Fをバンプに向け加圧するとバンプは軟化し、その中央には円錐状凸部29の形状に対応した円錐状凹部30が形成され、図に示されるコンタクト電極16Nが形成される。このように、加圧ツール23Fに凸部を形成しておくことにより、形成されるコンタクト電極に容易に凹部を形成することができる。尚、本実施例では、凹部の形状を円錐形状とした例を示したが、凹部の形状はこれに限定されるものではなく、LSIデバイスの端子形状に対応させて加圧ツールに形成される凸部の形状を適宜選択することにより、任意の凹部(例えば、半球状凹部,円錐台形状凹部等)を形成することが可能である。
次に、本発明の第13,14実施例であるコンタクタ、及び第12乃至14実施例であるコンタクタの製造方法について説明する。
図13(A)は、第13実施例であるコンタクタ10M、及び第12実施例であるコンタクタの製造方法を説明するための図である。本実施例に係るコンタクタ10Mは、LSIデバイス40の端子41と接続するコンタクト電極16Pの接続面に粗面部32Aを形成したことを特徴とするものである。この粗面部32Aは、微小な凹凸が形成された構成とされている。
よって、このコンタクト電極16Pに端子41が接続された際、この微細な凹凸の内、先ず凸部が端子41に当接する。よって、コンタクト電極16Pと端子41の当接面積は小さく、小さいコンタクト力でも面圧が向上し、端子41の表面に酸化膜が形成されていても、粗面部32Aの凸部はこの酸化膜を確実に破ることができ、コンタクト電極16Pと端子41との電気的接続を確実に行うことができる。
また、粗面部32Aが形成されたコンタクト電極16Pを有するコンタクタ10Mを製造するには、成形工程において、バンプと対向する位置に粗面形成部31Aが形成されたキャビティ部24Gを有した加圧ツール23Gを用いる。この粗面形成部31Aには、微細な凹凸が形成された構成とされている。そして、この加圧ツール23Gをバンプに向け加圧することにより、粗面部32Aが形成されたコンタクト電極16Pを有したコンタクタ10Mが製造される。
図13(B)は、第14実施例であるコンタクタ10N、及び第13実施例であるコンタクタの製造方法を説明するための図である。本実施例に係るコンタクタ10Nは、LSIデバイス40の端子41と接続するコンタクト電極16Qの接続面に凹凸部34を形成したことを特徴とするものである。この凹凸部34は、図13(A)に示した第13実施例の粗面部32に比べて大きな凹凸が形成された構成とされている。
よって本実施例の構成としても、LSIデバイス40の端子がコンタクト電極16Qに接続された際、コンタクト電極16Qと端子41の当接面積を小さくでき、よって小さいコンタクト力でも面圧を向上させることができる。これにより、端子41の表面に形成されている酸化膜を確実に破ることができ、コンタクト電極16Qと端子41との電気的接続を確実に行うことができる。
また、凹凸部34が形成されたコンタクト電極16Qを有するコンタクタ10Mを製造するには、成形工程において、バンプと対向する位置に凹凸形成部33が形成されたキャビティ部24Hを有した加圧ツール23Hを用いる。この凹凸形成部33には、前記した粗面形成部31Aに比べ大きな凹凸が形成された構成とされている。そして、この加圧ツール23Hをバンプに向け加圧することにより、凹凸部34が形成されたコンタクト電極16Qを有したコンタクタ10Nが製造される。
図14は、第14実施例であるコンタクタの製造方法を説明するための図である。本実施例に係る製造方法で製造されるコンタクタは、図13(A)に示した構成のコンタクタ10Nと同一構成である。
しかるに、本実施例の製造方法では、絶縁基板11A上に複数形成されたバンプに対して一括的に成形処理を行い、これにより粗面部32Aを有したコンタクト電極16Pを一括的に形成できるよう構成したことを特徴とするものである。
このため、本実施例に係る成形工程では、絶縁基板11Aと対向する面全面に粗面形成部31Bが形成されたレベリングツール26Cを用いる。この粗面形成部31Bには、微細な凹凸が形成された構成とされている。そして、このレベリングツール26Cを絶縁基板11A上に形成された複数のバンプに向け一括的に加圧し、これにより粗面部32Aが形成されたコンタクト電極16Pを有したコンタクタ10Mが製造される。
上記した各実施例によれば、単に加圧ツール23G,23H或いはレベリングツール26Cをバンプに向け加圧することにより粗面部32A,凹凸部34を有するコンタクト電極16P,16Qが形成されるため、容易にコンタクタ10M,10Nを製造することができる。また、図14に示した第14実施例に係る製造方法によれば、複数のバンプを一括して成形処理できるため、成形処理の効率を向上させることができる。
尚、上記した各実施例において、成形工程が終了した後、粗面部32A及び凹凸部34が形成されたコンタクト電極16P,16Qに表面硬化処理を行い、LSIデバイス40の端子41が圧接された際、酸化膜をより確実に破ることができるよう構成してもよい。
また、上記した加圧ツール23G,23H及びレベリングツール26Cに超音波振動子或いはヒーター等を配設しておき、加圧力だけでなく、同時にバンプを軟化させるエネルギーを印加できる構成としてもよい。
次に、本発明の第1実施例であるコンタクタ製造装置について説明する。
図15は、本発明の第1実施例であるコンタクタ製造装置35を示している。尚、本実施例において、先に説明した各実施例で説明したと同一構成については同一符号を付してその説明を省略する。
コンタクタ製造装置35は、大略すると圧着ヘッド13,加圧ツール23D,駆動機構36,及び画像認識装置37等により構成されている。前記したように、圧着ヘッド13はバンプ形成工程においてバンプ25を形成する際に用いられるものであり、また加圧ツール23Dは成形工程においてバンプ25を所定形状に形成するのに用いられるものである。
また、駆動機構36は、その上部に絶縁基板11Aが載置される共に、この絶縁基板11Aを平面方向(X−Y座標方向)に移動可能な構成とされている。この駆動機構36Fの上部には、画像認識装置37が配設されている。
この画像認識装置37は、CCDカメラ及び図示しない画像処理装置により構成されており、絶縁基板11A上に形成されたアライメントマーク(本実施例では、電極パッド12Aをアライメントマークとして用いている)を認識する構成とされている。そして、この認識結果より絶縁基板11Aの位置を確認し、この位置情報に基づき駆動機構36を駆動制御し、圧着ヘッド13及び加圧ツール23Dと電極羽度12Aとの位置決め処理を行う構成とされている。
上記構成において、本実施例に係るコンタクタ製造装置35では、圧着ヘッド13と加圧ツール23D(成形ツール)とを相対的な変位不能な状態で固定し、図示しない移動装置により圧着ヘッド13と加圧ツール23Dとが連動して移動するよう構成したことを特徴としている。
具体的には、圧着ヘッド13及び加圧ツール23Dは、同一のマウント(図示せず)に固定されており、移動装置はこのマウントを移動させることにより、圧着ヘッド13と加圧ツール23Dとを連動して移動させる構成とされている。
このように、圧着ヘッド13と加圧ツール23Dとを相対的な変位不能な状態で固定し、これにより圧着ヘッド13と加圧ツール23Dとが連動して移動するよう構成したことにより、圧着ヘッド13によるバンプ形成処理と加圧ツール23Dによる成形処理を連続的に行うことが可能となる。
よって、バンプ形成処理と成形処理を別々に行う場合に生じる位置ずれ(バンプ形成工程の原点と成形工程の原点が微妙にずれることに起因したバンプ中心と形成ツール中心とのずれ)の発生を抑制することができ、コンタクト電極16Jを高精度に形成することができる。
尚、本実施例では、形成ツールとして第8実施例に係る製造方法で説明した加圧ツール23Dを適用した例を示したが、上記してきた各実施例で用いた加圧ツール23A〜23H及びレベリングツール26A〜26Cについても同様に適用することができる。
また、上記した各実施例では、コンタクト電極16A〜16Qをワイヤボンディング技術を用いて形成した例について説明したが、ワイヤ14を電極パッド12A,12Bに突出状態に接合しうる接合方法であれば、他の接合技術(例えば、アーク溶接、プラズマ溶接,電子ビーム溶接,抵抗溶接,超音波溶接,高周波溶接,電子ビーム溶接,レーザ溶接等の各種溶接法等)を用いることも可能である。
次に、本発明の第16実施例である電子部品用コンタクタ及び本発明の第15実施例である電子部品用コンタクタの製造方法について説明する。
図16は、本発明の第16実施例であるコンタクタ50Aと、本発明の第15実施例であるコンタクタの製造方法を説明するための図である。
先ず、図16(C)を用いて第16実施例であるコンタクタ50Aの構成について説明する。コンタクタ50Aは、大略すると絶縁基板11A,電極パッド12A,及びコンタクト電極56Aよりなる極めて簡単な構成とされている。
また、コンタクト電極56Aは、後に詳述するように個片化された球状導電部材51を電極パッド12上に配設すると共に、成形処理を行うことにより形成されている。このように、コンタクト電極56Aを個片化された球状導電部材51から形成することにより、従来の機械的ばねを組み込んだLSIソケットやばね式プローバに比べ、格段に狭ピッチ化を図ることができる。
また、同様の理由により、コンタクト電極56Aの形成を極めて短時間で行うことが可能となり、かつLSIデバイス40の端子41にコンタクトするのに有利な形状のコンタクト電極56Aを容易に得ることが可能となる。
また、コンタクト電極56Aとなる球状導電部材51の硬度は、端子41の硬度よりも高い材料が選定されている。よって、経時的にコンタクト電極56Aが変形したり摩耗することを防止することができ、コンタクタ50Aの信頼性を向上させることができる。
更に、絶縁基板11Aは、弾性変形可能なフレキシブル基板により構成されている。よって、LSIデバイス40の端子高さ及びコンタクト電極56Aの高さバラツキを吸収することができる。また、フレキシブル基板は比較的安価であるため、これを用いることによりコンタクタ50Aのコスト低減を図ることができる。
続いて、上記構成とされたコンタクタ50Aの製造方法について説明する。
コンタクタ50Aを製造するには、予め絶縁基板11A上に電極パッド12A(配線及び外部端子41も含む)を形成しておき、図16(A)に示されるように、この電極パッド12A上に加圧ヘッド53Aを用いて球状導電部材51を搬送する(搬送工程)。
本実施例では、球状導電部材51の材質として、金(AU)或いはPd(パラジウム)を用いている。また、本実施例において導電部材として球形状を有した球状導電部材51を用いたのは、導電部材を球状に形成することは比較的容易でありコストの低減を図ることができるからである。また、搬送工程において加圧ヘッド53Aに球状導電部材51を保持する際、球形状は方向異方性が無いため向きを考慮しなくてよく、よって保持する処理を容易に行うことができるためである。
加圧ヘッド53Aは、球状導電部材51を保持する保持機構として真空孔54を有しており、この真空孔54は図示しない真空ポンプに接続されている。そして、球状導電部材51は真空孔54に吸引吸着されることにより、加圧ヘッド53Aに保持される構成とされている。また、加圧ヘッド53Aには、球状導電部材51を電極パッド12Aに接合する接合機能を奏するヒーター(図示せず)、及び後述する表面硬化処理を行う際に用いられる振動発生装置(図示せず)が設けられている。
上記各機構及び機能を有した加圧ヘッド53Aは、例えば搬送用ロボットにより任意に移動可能な構成とされており、これにより球状導電部材51を所定の電極パッド12上に搬送することができる。また、加圧ヘッド53Aの先端部には、後述するように球状導電部材51を成形処理するためのキャビティ部64Aが形成されている。このキャビティ部64Aは、加圧ヘッド53Aの球状導電部材51を保持する位置に設けられており、内側に向け窪んだ凹形状とされている。 上記の搬送工程が終了し、球状導電部材51が電極パッド12Aの上部まで搬送されると、続いて図16(B)に示されるように、加圧ヘッド53Aはヒーターにより球状導電部材51を加熱しつつ下動し、球状導電部材51を電極パッド12Aに加圧しつつ接合する(接合工程)。
この際、加圧ヘッド53Aはヒーターにより加熱されるため、球状導電部材51は軟化した状態で電極パッド12Aに向け押圧される。また、加圧ヘッド53Aには、形成しようとするコンタクト電極56Aの形状に対応したキャビティ部64Aが形成されている。
よって、単に加圧ヘッド53Aを電極パッド12Aに向け加圧するだけで、球状導電部材51を所定形状のコンタクト電極56Aに成形することができる(成形工程)。また、本実施例では、搬送工程を実施する前に予め導電部材を端子41に対応した大きさに加工しているため、成形工程において成形処理を円滑に行うことができ、またキャビティ部64Aから不要に導電部材がはみ出すようなこともなく、隣接するコンタクト電極56A間で短絡が発生することを防止することができる。
上記のように成形工程が終了すると、続いて加圧ヘッド53Aを振動させることにより、成形されたコンタクト電極56Aの表面を叩く処理を行う(表面硬化工程)。これにより、コンタクト電極56Aの表面は硬化し、よってコンタクト電極56Aと端子41とが圧接する際、コンタクト電極56Aの変形発生を防止でき、コンタクタ50Aの信頼性を向上させることができる。
また、コンタクト電極56Aの表面が硬化することにより、端子41に絶縁性の酸化膜が形成されていてもこれを破って接続することが可能となり、コンタクタ50Aの電気的接続性を向上させることができる。更に、単に加圧ヘッド53Aを振動させるだけでコンタクト電極56Aの表面硬化処理を行うことができるため、容易に表面硬化処理を行うことができる。
また、この表面硬化処理は、本実施例のように加圧ヘッド53Aを振動させる他にも、例えば加圧ヘッド53Aとコンタクト電極56Aとの間に放電を発生させることにより、またコンタクト電極56Aの表面にメッキ膜を形成することによっても実現することができる。尚、これについては、後に述べる他の実施例においても説明する。
上記の表面硬化工程が終了すると、続いて加圧ヘッド53Aが上動され、これにより図16(C)に示すように、所定形状を有すると共に表面硬化がされたコンタクト電極56Aを有するコンタクタ50Aが製造される。
上記のように、本実施例で用いる加圧ヘッド53Aは、保持機構,接合機能,成形機能,及び表面硬化機能を併せ持った構成であるため、搬送工程,接合工程,成形工程,及び表面硬化工程を連続的に実施することができ、よってコンタクタ50Aの製造効率を向上させることができる。
尚、上記の各機能を分離させて別個の治具を用いて行うことも可能である。後述する第23実施例以降に係る製造方法では、加圧ヘッドに保持機構及び接合機能のみを持たせ、成形ツールに成形機能及び表面硬化機能を持たせた構成としている。この構成の詳細については、第23実施例以降の各説明において述べるものとする。
また、上記した本実施例における成形工程では、球状導電部材51に対し成形処理を行うことにより、所定形状のコンタクト電極56Aを形成している。このため、従来のようにメッキを用いてコンタクト電極を形成する方法に比べ、短時間で効率よくコンタクト電極56Aを形成することができる。
また、前記した導電部材としてワイヤを用いた各実施例と異なり、本実施例では個片化された球状導電部材51を用いており、また接合方法としてワイヤボンディング技術を用いていない。このため、球状導電部材51の材質はワイヤボンディング可能な材料に限定されることはなくなり、よって球状導電部材51の材料を選定する際の自由度を向上することができる。
具体的には、球状導電部材51の材質として、電気的接続性,耐摩耗性,耐変形性を有した材料を選定することが可能となり、これによってもコンタクタ50Aの信頼性,電気的接続性を向上させることができる。また、成形工程で実施される成形処理では、キャビティ部64Aの形成を適宜選定することにより、任意形状のコンタクト電極56Aを成形することが可能であり、コンタクト電極56Aの形状の自由度も向上させることができる。
更に、コンタクト電極56Aは球状導電部材51のみで形成されており、他の構成要素は存在いない。このため、コンタクタ50Aの製造工程(搬送工程,接続工程,成形工程,表面硬化工程)では、球状導電部材51のみを取り扱えばよいため、部品点数が多い従来のコンタクタの製造方法に比べ、各工程の容易化及び処理時間の短縮を図ることができる。
次に、本発明の第17実施例であるコンタクタ及び本発明の第16実施例であるコンタクタの製造方法について説明する。
図17は、第17実施例であるコンタクタ50B及びその製造方法を説明するための図である。尚、図17において、図16を用いて説明した第16実施例に係るコンタクタ50Aと同一構成については同一符号を付してその説明を省略する。また、以下説明する各実施例においても、同様とする。
本実施例に係る製造方法では、加圧ヘッド53Bとして隣接する導電部材(即ち、既に絶縁基板11A上に形成されているコンタクト電極56B)に触れないよう先細形状とされたものを用いると共に、接合工程で電極パッド12A上に接合された球状導電部材51の個々に対し一つずつ成形処理を行うようにしたことを特徴とするものである。
このように、電極パッド12A上に接合された個々の球状導電部材51に対して一つずつ成形処理を行うことにより、個々の球状導電部材51に形状差が存在するような場合であっても、均一形状のコンタクト電極56Bを形成することができる。よって、製造されるコンタクタ50Bの品質を一定に保つことができ、信頼性の向上を図ることができる。
また、本実施例で用いる加圧ヘッド53Bに設けられたキャビティ部64Bは、球状導電部材51の中央位置(保持された状態における中央位置)と対向する位置に円錐状凹部70Aを有すると共に、その外周部分に台状の押圧部56Bを有した構成とされている。
よって、この加圧ヘッド53Bで球状導電部材51を電極パッド12Aに加圧した場合、球状導電部材51の外周部は潰され、これに伴い中央部分は押し上げられる。この際、加圧ヘッド53Bには前記のように加圧力だけでなく球状導電部材51を軟化させるエネルギーが印加されているため、球状導電部材51の中央部は容易にキャビティ部64B内に押し上げられ円錐状凹部70A内に進入する。
これにより、成形されるコンタクト電極56Bはキャビティ部64Bの形状に精度良く対応したものとなり、よって成形処理後におけるコンタクト電極56Bのバラツキ発生を抑制することができる。また、本実施例では、キャビティ部64Bに円錐状凹部70Aが形成されているため、成形されたコンタクト電極56Bの中央上部には円錐状凸部69Aが形成される。
よって、コンタクト電極56Bが端子41と接続する際、端子41の表面に形成されている酸化膜を確実に突き破り接続することが可能となり、電気的接続性を向上することができる。この形状のコンタクト電極56Bは、特にLSIデバイス40の端子41が平面端子であり、かつその材質がアルミニウム端子である場合に利益が大である。
次に、本発明の第18実施例であるコンタクタ及び本発明の第17実施例であるコンタクタの製造方法について説明する。
図18は、第18実施例であるコンタクタ及びその製造方法を説明するための図である。本実施例に係る製造方法では、加圧ヘッド53Cとして球状導電部材51に対応した複数のキャビティ部64B,及び複数の真空孔54を有したものを用いたことを特徴とするものである。
このように、複数のキャビティ部64B,及び複数の真空孔54を有した加圧ヘッド53Cを用いることにより、複数の球状導電部材51に対し、一括的に搬送処理,接合処理,及び成形処理を行うことが可能となる。よって、コンタクタの製造効率を向上させることができると共に、形成される各コンタクト電極の均一化を図ることができる。
続いて、本発明の第19実施例であるコンタクタ及び本発明の第18実施例であるコンタクタの製造方法について説明する。
図19は、第19実施例であるコンタクタ50C、及び第18実施例であるコンタクタの製造方法を説明するための図である。本実施例に係るコンタクタ50Cは、LSIデバイス40の端子41と接続するコンタクト電極56Cの接続面に凹凸部74Aを形成したことを特徴とするものである。この凹凸部74Aの突起量(窪み量)及びそのピッチは、接続される端子41の材質等により任意に設定することが可能である。
本実施例の構成とすることにより、端子41がコンタクト電極56Cに接続された時におけるコンタクト電極56Cと端子41の当接面積を小さくでき、よって小さいコンタクト力でも面圧を向上させることができる。これにより、小さいコンタクト力でも面圧が向上し、端子41の表面に形成されている酸化膜を確実に破ることができ、コンタクト電極56Cと端子41との電気的接続を確実に行うことができる。
また、この凹凸部74Aが形成されたコンタクト電極56Cを有するコンタクタ50Cを製造するには、成形工程において球状導電部材51(図示せず)と対向する位置に凹凸形成部73Aが形成されたキャビティ部64Cを有した加圧ヘッド53Dを用いる。この加圧ヘッド53Cにも、球状導電部材51を搬送しうるよう、真空孔54が形成されている。
加圧ヘッド53Dに形成された凹凸形成部73Aには、端子41の材質,大きさ等に対応した凹凸が形成されている。そして、この加圧ヘッド53Dを用いて球状導電部材51を電極パッド12Aに向け加熱しつつ加圧することにより、凹凸部74Aが形成されたコンタクト電極56Cを有したコンタクタ50Cが製造される。
続いて、本発明の第20実施例であるコンタクタ及び本発明の第19実施例であるコンタクタの製造方法について説明する。
図20は、第20実施例であるコンタクタ50D、及び第19実施例であるコンタクタの製造方法を説明するための図である。本実施例に係るコンタクタ50Dは、端子41と接続するコンタクト電極56Dの接続面にスリット76を形成したことを特徴とするものである。本実施例では、コンタクタ50Dの平面を示す図20(B)に示されるように、スリット76は十字形状を有するよう形成されている。尚、このスリット76の形状は十字形状に限定されるものではなく、端子41の材質及び大きさ等により任意に設定することができる。
本実施例の構成とすることによっても、第19実施例に係るコンタクタ50Cと同様に、コンタクト電極56Dと端子41の当接面積を小さくでき、よってコンタクト電極56Cと端子41との電気的接続を確実に行うことができる。
また、このスリット76が形成されたコンタクト電極56Dを有するコンタクタ50Dを製造するには、成形工程において球状導電部材51(図示せず)と対向する位置に溝部75が形成されたキャビティ部64Dを有した加圧ヘッド53Eを用いる。この加圧ヘッド53Eにも、球状導電部材51を搬送しうるよう、真空孔54が形成されている。
そして、この加圧ヘッド53Eを用いて球状導電部材51を電極パッド12Aに向け加熱しつつ加圧することにより、溝部75の当接位置以外の部位にスリット76が形成され、よってコンタクト電極56Dを有したコンタクタ50Dを製造することができる。
続いて、本発明の第21実施例であるコンタクタ及び本発明の第20実施例であるコンタクタの製造方法について説明する。
図21及び図22は、第21実施例であるコンタクタ50D、及び第20実施例であるコンタクタの製造方法を説明するための図である。本実施例に係るコンタクタ50Dは、図21に示されるように、端子41と接続するコンタクト電極56Eの接続面にすり鉢状凹部77を形成したことを特徴とするものである。
本実施例の構成とすることにより、LSIデバイス40の端子41として、図22に示すようにバンプ電極42(例えば、半田バンプ等)が用いられている場合、このバンプ電極42はすり鉢状凹部77内に入り込むようにしてコンタクト電極56Eと係合し電気的に接続する。このため、バンプ電極42とコンタクト電極56Eとは安定した状態で係合し、よってバンプ電極42とコンタクト電極56Eとの接続性を向上させることができる。
また、このすり鉢状凹部77が形成されたコンタクト電極56Eを有するコンタクタ50Eを製造するには、成形工程において球状導電部材51(図示せず)と対向する位置に円錐状凸部69が形成されたキャビティ部64Eを有した加圧ヘッド53Fを用いる。この加圧ヘッド53Fにも、球状導電部材51を搬送しうるよう、真空孔54が形成されている。
そして、この加圧ヘッド53Fを用いて球状導電部材51を電極パッド12Aに向け加熱しつつ加圧することにより、バンプ電極42との接続位置に鉢状凹部77が形成されたコンタクト電極56Eを有したコンタクタ50Eを製造することができる。
続いて、本発明の第22実施例であるコンタクタについて説明する。
図23は、第22実施例であるコンタクタ50Fを説明するための図である。本実施例に係るコンタクタ50Fは、先に図2を用いて説明した第2実施例に係るコンタクタ10Bと類似するものであるが、本実施例の構成要素となるコンタクト電極56Fも球状導電部材51により形成されている。
即ち、絶縁基板11Bの端子41と対応する位置に形成された開口部17を塞ぐよう形成された電極パッド12Bに対しても、個片化された球状導電部材51を搬送し,接合し,成形することは可能である。
よって、コンタクト電極56Fに対し必要以上の加圧力が印加されることを防止できるコンタクタ50Fを、高い製造効率をもって製造することができる。また、球状導電部材51の材料選定の自由度は広いため、他の実施例の構成に比べて強度の弱い電極パッド12Bであっても、接合性の高い球状導電部材51を選定することが可能となる。よって、コンタクタ50Fの製造歩留りの向上を図ることもできる。
次に、本発明の第23実施例であるコンタクタ及び本発明の第21実施例であるコンタクタの製造方法について説明する。
図24は、第23実施例であるコンタクタ50G及び第21実施例であるコンタクタの製造方法を説明するための図である。本実施例に係るコンタクタ50Gは、端子41と接続するコンタクト電極56Gの接続面に波面部81を形成したことを特徴とするものである。
本実施例の構成とすることによっても、第19及び第20実施例に係るコンタクタ50C,50Dと同様に、コンタクト電極56Gと端子41の当接面積を小さくでき、よってコンタクト電極56Gと端子41との電気的接続を確実に行うことができる。
また、このスリット76が形成されたコンタクト電極56Dを有するコンタクタ50Dを製造するには、成形工程においてブロック状導電部材52と対向する位置に波面形成部80が形成されたキャビティ部64Fを有した加圧ヘッド53Gを用いる。この加圧ヘッド53Gにも、ブロック状導電部材52を搬送しうるよう、真空孔54が形成されている。
そして、この加圧ヘッド53Gを用いてブロック状導電部材52を電極パッド12Aに向け加熱しつつ加圧することにより、波面部81が形成されたコンタクト電極56Gを有したコンタクタ50Gを製造することができる。
また、前記のように導電部材の形状は任意であり、よって本実施例では直方体形状のブロック状導電部材52を導電部材として用いている。即ち、本実施例では加圧ヘッド53Gに形成された波面形成部80の全域に導電部材を行き渡らせる必要があり、このため表面積の広いブロック状導電部材52を用いている。
しかるに、導電部材の構成は、上記した球状導電部材51,ブロック状導電部材52に限定されるものではなく、任意の形状及び量を選定することが可能である。
次に、本発明の第24実施例であるコンタクタ及び本発明の第22実施例である電子部品用コンタクタの製造方法について説明する。
図25及び図26は、第24実施例であるコンタクタ50K及び第22実施例である電子部品用コンタクタの製造方法を説明するための図である。本実施例に係るコンタクタ50Hは、図26に示されるように、複数積層された構造のコンタクト電極56Kを有することを特徴とする。
具体的には、コンタクト電極56Hは、複数(本実施例では2個)の電極体58A,59Aを積み重ねた構造とされている。第1及び第2の電極体58A,59Aは、後述するように球状導電部材51(他の形状の導電部材でも可)を同一の電極パッド12A上に複数回にわたり積層形成することにより製造される。また、本実施例では、第1及び第2の電極体58A,59Aは、同一材質の導電部材により形成されている。
このように、コンタクト電極56Kを複数積層された第1及び第2の電極体58A,59Aにより構成としたことにより、積層数によりコンタクト電極56Kの高さを任意に設定することが可能となり、端子41のLSIデバイス40からの突出量に容易に対応することができ、コンタクト電極56Kと端子41との電気的接続性を向上させることができる。
また、上記構成とされたコンタクタ50Kを製造するには、先ず第15実施例(図16参照)で説明したと同様の方法を用い、第1電極体58Aとなる球状導電部材51(第1の導電部材)を電極パッド12A上に搬送する処理(第1の搬送工程)と、この搬送された球状導電部材51を電極パッド12A上に接合する接合処理(第1の接合工程)とを複数回繰り返し、これにより絶縁基板11Aに形成された複数の電極パッド12Aに導電部材を配設する。
その後、図25(A)に示すように、平面度の高い押圧面を有したレベリングツール66Aを用い、複数の電極パッド12Aに接合された導電部材を一括的に押圧し、その高さを均一化させるレベリング処理を行う。これにより、高さが均一化された第1電極体58Aが形成される(レベリング工程)。
その後、加圧ヘッド53Aを用い、レベリングされた第1電極体58A上に第2電極体59Aとなる球状導電部材51(第2の導電部材)を搬送する処理(第2の搬送工程)と、この搬送された球状導電部材51をレベリングされた第1電極体58A上に接合する接合工程(第2の接合工程)を複数回繰り返し実施する(図25(B)参照)。
そして、積層された複数の電極体58A,59Aの内、最上部に位置する第2電極体59Aに対し端子41と接合するに適した形状となるよう成形処理を行うことによりコンタクト電極56Kは形成され、よって図26に示すコンタクタ50Kが製造される。
上記した製造方法によれば、第1の搬送工程及び第1の接合工程を実施することにより電極パッド12A上に導電部材を接合した後、レベリングツール66Aを用いてレベリング処理(レベリング工程)を実施するため、レベリング工程実施後における第1電極体58Aの高さは均一化する。
従って、第2電極体59Aは高さが均一化された第1電極体58Aの上部に形成されるため、第2電極体59Aの第1電極体58Aに対する接合性を向上させることができる。よって、第1及び第2の電極体58A,59Aは強固に接合され、コンタクト電極56Kの信頼性を向上させることができる。尚、本実施例に係るコンタクタ50Kにおいても、先に図3及び図4を用いて説明した効果を実現できることは勿論である。
図27は、本発明の第25実施例であるコンタクタ50Lを示している。
同図に示すコンタクタ50Lも積層構造のコンタクト電極56Lを有している。このコンタクト電極56Lも第1電極体58Bと第2電極体59Bを積層した構造を有しているが、本実施例では第1電極体58Bを構成する導電部材の材質と、第2電極体59Bを構成する導電部材の材質とを異ならせたことを特徴とするものである。
具体的には、下部に位置する第1電極体58Bを軟質な金(Au)或いは半田により構成し、上部に位置する第2電極体59Bを硬質なパラジウム(Pd)により構成している。このように、下部に位置する第1電極体58Bに軟質な金属を用いることにより、レベリング処理が容易となり均一な高さを有した第1電極体58Bを得やすくなる。また、上部に位置する第2電極体59Bを硬質な金属とすることにより、コンタクト電極56Lの端子41との接続時における変形発生を防止するこができる。
また、LSIデバイス40によっては、端子41が半田により形成されているものがある。この場合、第2電極体59Bを金(Au)により構成すると、Au−Sn合金が生成され、試験後のLSIデバイス40の実装性を損なうおそれがある。このような場合でも、コンタクト電極56Lの直接端子41と接触する分部だけ金以外の金属としておくことにより、上記不都合の発生を防止できる。
更に、図26に示した第24実施例に係るコンタクタ50Kでは、第1電極体58Aと第2電極体59Aの大きさを略同一としたが、本実施例では第1電極体58Bに対し第2電極体59Bの大きさを小さくしている。この構成とすることにより、微細化された端子41に対しても十分に対応することができる。
尚、第24及び第25実施例では、コンタクト電極56K,56Lとして、電極体が2層積層された構成を例に挙げて説明したが、積層数は2層に限定されるものではなく、3層以上形成してもよい。この際、最上部に位置する電極体を除き、他の電極体に対してはレベリング処理を行うことが効果的である。
次に、本発明の第26実施例である電子部品用コンタクタ、本発明の第23実施例である電子部品用コンタクタの製造方法、及び本発明の第2実施例であるコンタクタ製造装置について説明する。
図28は、第26実施例であるコンタクタ50I、第23実施例であるコンタクタ50Iの製造方法、及び第2実施例であるコンタクタ製造装置88Aを説明するための図である。コンタクタ製造装置88Aは、大略するとディスペンサー81(ディスペンス機構)と、加圧ツール63A(成形ツール)とにより構成されている。
ディスペンサー81は、軟化した状態の導電部材55A(以下、溶融導電部材55Aという)を電極パッド12A上に滴下するものである。このディスペンサー81には、図示しない導電部材溶融装置及び導電部材供給装置が接続されており、LSIデバイス40に設けられた端子41に接続するのに適した量の溶融導電部材55Aを電極パッド12A上に滴下しうる構成とされている。また、ディスペンサー81は移動装置に取り付けられており、自由に移動しうる構成とされている。
また、加圧ツール63Aは、後述するように滴下された溶融導電部材55Aを所定形状に成形するためのキャビティ部64Gが形成されており、図示しない移動装置により自由に移動しうる構成とされている。この加圧ツール63Aは、電極パッド12Aに配設された溶融導電部材55Aを所定形状に成形し、これによりコンタクト電極56Iを形成する機能を奏するものである。尚、本実施例に係る加圧ツール63Aには、溶融導電部材55Aを軟化させるためのヒーター,超音波振動子等は設けられておらず、よって簡単な構成となっている。
上記構成とされたコンタクタ製造装置88Aを用いてコンタクタ50Iを製造するには、図28(A)に示されるように、先ずディスペンサー81を電極パッド12Aと対向する位置まで移動させ、続いて軟化させた溶融導電部材55Aを電極パッド12A上に所定量だけ滴下する。これにより、溶融導電部材55Aは電極パッド12Aに接合され、電気的に接続する(配設工程)。
続いて、ディスペンサー81を電極パッド12Aと対向した位置から成形処理の邪魔にならない位置まで移動させると共に、加圧ツール63Aを電極パッド12Aと対向する位置まで移動させる。そして、加圧ツール63Aを下動させ、電極パッド12A上に配設された溶融導電部材55Aに対して成形処理を行う(成形工程)。これにより、図28(B)に示すコンタクタ50Iが製造される。
この際、本実施例で用いている加圧ツール63Aは、円錐形状のキャビティ64Gを有している。よって、成形工程を実施することにより形成されるコンタクタ50Iは、円錐形状のコンタクト電極56Iを有した構成となる。
上記したコンタクト電極56Iの製造方法によれば、配設工程では軟化状態の溶融導電部材55Aを所定量だけ滴下することにより、電極パッド12A上に溶融導電部材55Aを配設する構成としている。このため、前記した第15実施例乃至第22実施例に係る方法と異なり、導電部材を予め所定形状(例えば、球形状等)に成形する必要はなく、またディスペンス機構に導電部材を保持させるための保持機構も不要となる。よって、コンタクタ製造装置88Aの構成の簡単化を図ることができる。
また、形成工程では、電極パッド12A上に配設された溶融導電部材55Aに対して成形処理を行うが、この際滴下された直後の状態では溶融導電部材55Aはまだ軟化した状態を維持している。このため、ヒーター等を有していない加圧ツール63Aでも、溶融導電部材55Aの成形処理を容易に行うことができる。
また、溶融導電部材55Aを軟化させるためのエネルギーを印加する必要もなく、これによっても製造装置の簡単化,成形処理の容易化,及びランニングコストの低減を図ることができる。尚、本実施例で適用できる導電部材の材質としては、例えば金(Au),パラジウム(Pd),半田,或いはこれらの合金等が挙げられる。
図29は、本発明の第24実施例であるコンタクタの製造方法及び本発明の第3実施例であるコンタクタ製造装置を説明するための図である。
前記した第2実施例に係るコンタクタ製造装置88Aは、ディスペンサー81と加圧ツール63を別部材とした構成とされていた。これに対し、本実施例に係るコンタクタ製造装置88Bでは、加圧ツール63Bにディスペンス機構を組み込んだ構成としたことを特徴とするものである。具体的には、加圧ツール63Bの中央には溶融導電部材55Aを通過させるディスペンス通路82が形成されており、このディスペンス通路82と連続した構成で加圧ツール63Bの下部にはキャビティ部64Hが形成されている。
この構成とすることにより、前記した第2実施例に係るコンタクタ製造装置88Aに比べて構造の簡単化を図ることができる。また、配設工程と形成工程を一括的に行うことができるため、コンタクト電極56Jの形成処理を短時間で行うことができ、よってコンタクタ50Jの製造効率の向上を図ることができる。
次に、本発明の第25実施例であるコンタクタの製造方法及び本発明の第4実施例であるコンタクタ製造装置について説明する。
図30は、本発明の第4実施例であるコンタクタ製造装置88Cを示している。尚、図30において、図28に示した第2実施例であるコンタクタ製造装置88Aと同一構成については同一符号を付してその説明を省略する。
本実施例に係るコンタクタ製造装置88Cでは、棒状或いはワイヤ状の導電部材57(以下、ワイヤ状導電部材57という)と、このワイヤ状導電部材57を溶断させるための溶断ヘッド83とによりディスペンス機構を構成したことを特徴とするものである。
ワイヤ状導電部材57は、例えば金(Au),パラジウム(Pd)、白金(Pt),ロジウム(Rh)等の第VIII族金属元素、或いはこれらの合金、或いはニッケル(Ni),半田合金等を用いることが可能である。また、溶断ヘッド83としては、例えばワイヤボンディング装置に設けられているスパークロッド,或いは加熱ヘッド等を用いることが可能である。
上記構成とされたコンタクタ製造装置88Cを用いて配設工程を実施するには、先ずワイヤ状導電部材57に溶断ヘッド83(加熱ヘッドを例に挙げる)を当接させることにより、ワイヤ状導電部材57を溶断する。
この際、溶断ヘッド83はワイヤ状導電部材57が溶融する温度以上に加熱されており、よってワイヤ状導電部材57は溶断時に溶断ヘッド83により加熱されることにより軟化し、溶融導電部材55Bとなる。そして、この溶融状態とされた溶融導電部材55Bが電極パッド12A上に滴下される。
このように本実施例では、配設工程においてワイヤ状導電部材57に加熱された溶断ヘッド83を当接することにより、これを溶断すると共に溶融導電部材55Bを生成し、電極パッド12Aに向け滴下する構成としている。このため、溶断前の状態におけるワイヤ状導電部材57は棒状或いはワイヤ状(固体)であるため、取扱を容易にすることができる。
また、溶断に際し、ワイヤ状導電部材57は部分的に加熱処理がされるため(その全体を溶融する必要がないため)、ワイヤ状導電部材57を溶断及び軟化させるのに必要とされるエネルギー量を少なくでき、コンタクタ製造装置88Cのランニングコストを低く抑えることができる。
次に、図31乃至図38を用いて、本発明の第27乃至第32実施例であるコンタクタ及び本発明の第26乃至33実施例であるコンタクタの製造方法について説明する。
尚、以下図31乃至図38を用いて説明する各実施例は、コンタクタ製造装置88A,88Cで用いる加圧ツール63Aの他実施例であるため、各図において装置全体の図示は省略し加圧ツール63C〜63I近傍のみを図示して説明するものとする。
また、前記したように、図16乃至図25を用いて説明した各実施例では、加圧ヘッド53A〜53Gに成形機能をも持たせた構成としたが、成形機能を加圧ヘッド53A〜53Gから分離させ、成形ツールにより成形処理を行うよう構成することも可能である。以下説明する各加圧ツール63C〜63Iは、このように成形機能を加圧ヘッド53A〜53Gから分離させた場合の成形ツールとしても用いることができるものである。
図31は、第27実施例であるコンタクタ50M及び第26実施例であるコンタクタの製造方法を説明するための図である。
本実施例で用いる加圧ツール63Cは、図31(A)に示すように、円錐台状のキャビティ部64Iを有しており、また絶縁基板11A上に複数高密度に形成されたコンタクト電極56A(成形処理前の状態)に対して一つずつ成形処理を行う構成とされている。
また、成形時において隣接するコンタクト電極56Aに触れないよう、加圧ツール63Cの先端形状は、先細形状とされたものを用いている。この加圧ツール63Cは、図31(B)に示すように、成形処理前の状態のコンタクト電極56Aに加圧され、これにより円錐台状突起が形成されたコンタクト電極56Mを有したコンタクタ50Mが製造される。
この際、上記のように加圧ツール63Cの先端形状は先細形状とされているため、バンプ25が高密度(狭ピッチ)に配設されている場合であっても、精度よく成形処理を行うことができる。よって、成形処理前状態のコンタクト電極56Aに形状差(例えば、高さバラツキ等)が存在するような場合であっても、成形処理を実施することにより、均一な形状とされたコンタクト電極56Mを容易に形成することが可能となる。
尚、本実施例の構成においても、加圧ツール63Cが印加する圧力は、実際にコンタクタとして使用する際に印加されるコンタクト圧よりも大きくしておくことが望ましく、この構成とすることにより、実際にLSIデバイス40をコンタクタ50Mに装着したときに発生するコンタクト電極56Mの変形を小さくすることができる。
次に、本発明の第28実施例であるコンタクタ及び本発明の第27実施例である電子部品用コンタクタの製造方法について説明する。
図32は、第28実施例であるコンタクタ50N、及び第27実施例であるコンタクタの製造方法を説明するための図である。
本実施例では、加圧ツール63Dとして中央部分に段差状のキャビティ部64Jが形成されたものを用いることにより、中央部分に段差を有した凸部が形成されたコンタクト電極56Nを形成したことを特徴とするものである。この構成のコンタクタ50Pでは、コンタクト電極56Nの表面に段差を有することにより形状剛性が向上し、コンタクト圧の向上に寄与することができる。
また、本実施例で用いている加圧ツール63Dは、前記したキャビティ部64Jと共に導電部材(例えば、溶融導電部材55A)の外周部を押圧する押圧部78Bが形成されている。この加圧ツール63Dで導電部材を加圧した場合、導電部材の外周部は潰され、これに伴いキャビティ部64Jと対向する中央部分は押し上げられる。よって、成形されるコンタクト電極56Nは、キャビティ部64Jの形状に精度良く対応したものとなり、よって成形処理後におけるコンタクト電極56Nのバラツキ発生を抑制することができる。
次に、本発明の第29実施例であるコンタクタ及び本発明の第28実施例である電子部品用コンタクタの製造方法について説明する。
図33は、第29実施例であるコンタクタ50P、及び第28実施例であるコンタクタの製造方法を説明するための図である。本実施例に係るコンタクタ50Pは、コンタクト電極56Pの中央部分に円錐状凹部70Bが形成されていることを特徴とする。これにより、特にLSIデバイス40の端子41として球状バンプが用いられている場合に、球状バンプ(端子41)とコンタクト電極56Pとを安定して接続することができる。
また、中央部分に円錐状凹部70Bが形成されたコンタクト電極56Pを形成するには、成形工程において円錐状凸部69Cが形成された加圧ツール63Eを用いる。そして、この加圧ツール63Eを電極パッド12Aに配設された溶融導電部材55A(55B)に向け加圧することにより、円錐状凹部70Bを有するコンタクト電極56Pが形成される。
次に、本発明の第29実施例である電子部品用コンタクタの製造方法について説明する。
図34は、第29実施例であるコンタクタの製造方法を説明するための図である。本製造方法により製造されるコンタクタ50Qは、絶縁基板11A上に複数個形成されたコンタクト電極56Qの高さ及び形状が、高精度に等しく形成された構成となっている。
このように、各コンタクト電極56Qの高さを均一化するため、本実施例に係る製造方法では、その成形工程において電極パッド12Aに形成された複数の導電部材(溶融導電部材55A,55B)に対し、一括的に成形しうるレベリングツール66B(成形ツール)を用いて一括的に高さ及び形状を揃える成形処理(以下、レベリング処理という)を行うこととしたものである。
このレベリングツール66Bは、各コンタクト電極56Qの形成位置と対応する位置に夫々キャビティ部64Kが形成されている。このレベリングツール66Bを用いてレベリング処理を行うことにより、電極パッド12Aに形成された複数の導電部材(溶融導電部材55A,55B)を一括的に成形することができるため、成形処理の効率を向上させることができる。
次に、本発明の第30実施例である電子部品用コンタクタ及び本発明の第30実施例である電子部品用コンタクタの製造方法について説明する。
本実施例に係る製造方法は、図35(A)に示されるような凸部を有しない、溶融導電部材55A(55B)から形成されたコンタクト電極56Rに対し成形処理を行うことにより、図35(C)に示されるような中央部に凸部68Bを有したコンタクト電極56Sを形成することを特徴とするものである。
前記したように、滴下された溶融導電部材55A,55Bは、電極パッド12A上に配設された状態において、図35(A)に示すような表面に凸部を有しない形状となっている。このような凸部を有しないコンタクト電極56Rのままでは、端子41と良好な電気的接続ができないことは明白である。そこで、本実施例では、このような凸部を有しないコンタクト電極56Rに凸部68Bを形成することにより、コンタクタ50Rの電気的接続性を向上させるよう構成したものである。
本実施例では、図35(A)に示されるような、加圧ツール63Fとして中央位置に凹部67を有したキャビティ部64Lが形成されたものを用いる。そして、この加圧ツール63Fを用い、図35(B)に示すように、凸部を有しないコンタクト電極56Rに対し、加圧ツール63Fを加圧する。これによりコンタクト電極56Rの外周部分は潰され、これに伴い凹部67と対向するコンタクト電極56Rの中央部分は押し上げられることとなる。
よって、キャビティ部64L内は凹部67を含め導電部材(溶融導電部材55A,55B)で満たされることとなり、これにより図35(C)に示されるように、中央部に凸部68Bが形成されたコンタクト電極56Sが形成される。
本実施例の製造方法によれば、滴下されることにより図35(A)に示されるような凸部がないコンタクト電極56Rであっても、図35(C)に示されるような凸部68Bを有したコンタクト電極56Sとすることができるため、コンタクタ50Rの電気的接続性を向上させることができる。尚、先に図31乃至図34を用いて説明した各製造方法においても、本実施例と同様の効果を実現することができる。
次に、本発明の第31実施例であるコンタクタ及び本発明の第31実施例であるコンタクタの製造方法について説明する。
図36は、第31実施例であるコンタクタ50S、及び第31実施例であるコンタクタの製造方法を説明するための図である。本実施例に係るコンタクタ50Sは、LSIデバイス40の端子41と接続するコンタクト電極56Tの接続面に粗面部72を形成したことを特徴とするものである。この粗面部72は、微小な凹凸が形成された構成とされている。この構成とすることにより、コンタクト電極56Tと端子41の当接面積は小さくなり、小さいコンタクト力でも面圧を向上させることができる。よって、端子41の表面に酸化膜が形成されていても粗面部72の凸部はこの酸化膜を確実に破るため、コンタクト電極56Tと端子41との電気的接続を確実に行うことができる。
また、粗面部72が形成されたコンタクト電極56Tを有するコンタクタ50Sを製造するには、中央部に粗面形成部71が形成されたキャビティ部64Mを有した加圧ツール63Gを用いる。そして、この加圧ツール63Gを電極パッド12Aに配設された溶融導電部材55A(55B)に向け加圧することにより、粗面部72が形成されたコンタクト電極56Tを有したコンタクタ50Sを製造することができる。
次に、図37乃至図39を用いて、本発明の第32及び第33実施例であるコンタクタと、本発明の第32乃至第34実施例であるコンタクタの製造方法について説明する。
第32及び第33実施例に係るコンタクタ50T,50Uは、コンタクト電極56U,56Aの表面を硬化させた構成としたことを特徴とするものである。即ち、図37及び図38に示すコンタクタ50Tは、成形工程後同時にコンタクト電極56Uの表面に物理的な表面硬化処理(表面硬化工程)を行うことにより表面硬化層を形成したものである。また、図30に示すコンタクタ50Uは、成形工程後にコンタクト電極56Aの表面にメッキ膜86を形成す処理(表面硬化工程)を行うことにより表面の硬化を図ったものである。
このように、成形処理の終了後に、コンタクト電極56U,56Aの表面を硬化させる表面硬化処理を実施することにより、端子41の圧接時におけるコンタクト電極56U,56Aの変形発生を防止でき、コンタクタ50T,50Uの信頼性を向上させることができる。また、端子41に酸化膜が形成されていても,コンタクト電極56U,56Aはこれを破って接続することが可能となり、コンタクタ50T,50Uの電気的接続性を向上させることができる。
コンタクタ電極56Uの表面を硬化させる方法としては、図37に示すように、キャビティ部64Nを有した加圧ツール63Hに振動発生装置を取り付けておき、キャビティ部64Nによる成形処理が終了した後、振動発生装置により加圧ツール63Hを振動させる。この振動によりコンタクタ電極56Uの表面は加圧ツール63Hにより叩かれ、これによりコンタクタ電極56Uの表面を硬化させることができる。
また、他の方法としては、図38に示すように、加工ツール63Iに電源84を接続しておき、加圧ツール63Iとコンタクト電極56Uとの間に電圧を印加して放電を発生させる。このように、加圧ツール63Iとコンタクト電極56Uとの間に放電を発生させることによっても、コンタクト電極56Uの表面を硬化させることができる。この方法の場合には、放電中は加圧ツール63Iとコンタクト電極56Uとの間に微小な間隙を形成しておく必要がある。
また、コンタクト電極56Aの表面にメッキ膜86を形成することにより表面硬化を図る方法としては、図39に示すように、コンタクト電極56A以外の部位を覆うマスク35を絶縁基板11A上に配設し、電解メッキ法或いは無電解メッキ法等を用いてメッキ膜86を形成する。この時に用いるメッキ金属としては、パラジウム(Pd),ロジウム(Rh),金(Au)等を用いることができる。尚、メッキ法に代えて、スパッタリング,蒸着等の薄膜形成方法を用いることも可能である。
上記した各表面硬化処理方法を用いることにより、容易にかつ短時間で確実にコンタクト電極56U,56Aの表面を硬化させることができる。