JP4795826B2 - 電波吸収体 - Google Patents

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Description

本発明は、高出力半導体装置を内部に実装したメタルパッケージ内の不要輻射を吸収する電波吸収体に関し、特にマイクロ波帯で波長依存性のある電波吸収体に関する。
遠距離のマイクロ波通信やレーダ等のために高出力の半導体増幅器が使用されている。これらの高出力増幅器を実現するにあたり、高出力半導体であるパワートランジスタはメタルパッケージに実装される。
ところがパッケージを金属蓋等で完全に密閉してしまうと、内部において不要な輻射が起こり増幅器の入出力間アイソレーションを悪化させてしまう問題点があった。
そこで従来から、下記特許文献1に記載されているように、パッケージ内のトランジスタと対向する面に電波吸収性のある所定の材質の電波吸収体を配置することが考えられている。
電波吸収性を有するものとして、例えばフェライト等が用いられるが、パッケージ内部に配置された電波吸収体は、不要輻射を吸収するだけではなく、信号路を流れる信号成分のエネルギーもパッケージ内部の空間を介して分岐させ吸収するので、本来増幅すべき信号を減衰させる性質がある。
フェライトにより電波吸収量を大きくしようとすると、フェライトの電波吸収量は波長依存性がないため、伝送信号に損失を与えるので、あまり電波吸収量を大きくすることはできない。
もう一つの従来の電波吸収体の例は、下記特許文献2に開示されているように、その厚さの4倍の波長の電波を吸収するもの、すなわち、電波吸収量に波長依存性があり、吸収しようとする波長の4分の1の厚さを有する4分の1波長電波吸収体である。
図16は4分の1波長電波吸収体600の構造を示す図である。金属膜630の上に樹脂フィルム620が配置され、その上に抵抗膜610がコーティングされている。抵抗膜610は例えば表面抵抗が367Ω/□のニッケルクロムなどで作成される。樹脂フィルム(ポリイミド)610として比誘電率εr=3のものを用いると、その厚さは、10GHzで4.3mm程度になるため、このサイズでは小型化が求められるパッケージ内部での使用は困難であった。
特開2003−224241号公報 特開2004−138415号公報
高出力半導体が実装されたパッケージ内の電波を吸収する電波吸収体において、電波吸収量に波長依存性があり、小型化が求められるパッケージ内部での使用が可能な薄型電波吸収体を提供する。
本発明によれば、アンテナの電波受信特性による特定の周波数帯域に対する電波吸収手段を備えた電波吸収体が提供される。
また、本発明によれば、前記アンテナは、パッチアンテナとする電波吸収体である。
さらに、本発明は、薄膜基板にAu、Cuなどの金属配線を用いて作製されたアンテナ回路の給電線を、ニッケルクロム等で同一基板上に作製された抵抗素子に接続してもよい。
本発明によれば、アンテナの受信周波数特性により、電波吸収量に周波数依存性を持たせることができる。また、マイクロ波帯において、数100μm程度の薄膜基板にアンテナ回路を作り込むことができるので、電波吸収量に周波数依存性を持ち、小型化が求められるパッケージ内部での使用が可能な厚さの薄い電波吸収体を実現することができる。
更に、アンテナ回路と抵抗素子を同一基板上に作りこむことにより高い設計精度も実現することが可能である。
まず、本発明の実施態様1について説明する。
本発明の実施態様1の電波吸収体は、アンテナ素子としてパッチアンテナを採用し、同一基板上に作製されたアンテナ素子と抵抗素子の組み合わせからなるものである。アンテナ素子は空気中の電波を薄膜基板上の配線上の高周波信号に変換することができる。また、変換された高周波信号は給電線を介して抵抗素子で吸収することができる。
上記アンテナ素子は波長の30分の1程度の基板の厚みでも十分高い変換利得を実現できることから、従来の4分の1波長電波吸収体に比較しておよそ8分の1程度に大幅に基板を薄くすることができる。
ところで、良好な吸収量を実現するためには、アンテナ素子で変換された高周波信号が抵抗素子で反射することを防がなければならない。そのためにはアンテナ素子を送信機側に相当する抵抗素子側から見た入力インピーダンスと抵抗素子のインピーダンスは複素共役になっていなければならないが、ワイヤなどを用いて別の基板に作製されたアンテナ素子と抵抗素子を接続するとワイヤに寄生するインダクタ成分がインピーダンス整合を阻害することになる。
そこで本実施態様では、同一基板上にアンテナ素子と抵抗素子を作製することで不要な寄生インダクタを除去することができる。
図1は上記実施態様1の実施例を説明する図であり、図1(a)は全体斜視図、図1(b)は正面図と断面図である。
本実施例では、アンテナ素子として放射導体10が方形の方形パッチアンテナ1を用いたものである。放射導体10の一辺の長さは吸収しようとする電波の基板中の波長の2分の1である。
図に示すように、方形パッチアンテナ1の放射導体10の一辺の中央に辺と直角方向に給電線20が接続され、給電線20のもう一方の端子には、抵抗素子としてニッケルクロム等で作製された抵抗膜30が接続されている。そして、これらは、アルミナ、窒化アルミ等で作製されるセラミック薄膜基板50上に形成されている。
セラミック薄膜基板50の裏側には方形パッチアンテナ1の接地導体60が配置され、接地導体60と抵抗膜30の間はビア40で接続されている。
上記のような構成の本実施例の電波吸収体においては、セラミック薄膜基板50に比誘電率εr=10のアルミナを用いると、10GHzの周波数のセラミック薄膜基板50内の波長は約9.3mmで、セラミック薄膜基板50の厚さはその30分の1の0.31mm、すなわち310μmとすることができる。
次に、図2及び図3を参照して、本実施例のパッチアンテナ1の抵抗素子側から見た反射特性について説明する。
図2は図1に示したパッチアンテナ1、給電線20、抵抗膜30の等価回路であり、パッチアンテナ1は、伝送線路11と、その一端とアース及びに他端とアースにそれぞれ接続され、パッチアンテナ10の放射アドミタンスを表すRC並列回路(12,13)で表され、給電線20は特性インピーダンスの抵抗成分が120Ωの伝送線路21で表されている。抵抗膜30は、120Ω程度の抵抗素子31として表されている。
図3は、抵抗膜30と給電線20側から見たパッチアンテナ1の反射特性S11(これは、パッチアンテナ1で受信された電波が変換された高周波信号の給電線20での反射特性に相当する。)のグラフであり、図1に示した実施例のパッチアンテナ1の反射特性を表している。
図3の縦軸は反射特性S11(dB)、横軸は周波数(GHz)であり、縦軸は0dBから−20dBまで、横軸は0GHzから20GHzまで示されている。図3によれば、パッチアンテナ1の反射特性グラフは、左右それぞれが略台形であって10GHz付近を中心としてほぼ対称なものである。2GHz付近から8GHz付近まで、及び12GHz付近から18GHz付近までは、反射係数S11は0dBであり、したがってそれらの帯域の電波は吸収されない。一方、10GHz付近では急激に反射特性S11が減少しており、10GHzの電波が選択的に吸収されることができる。
したがって、本発明により、周波数依存性があり、厚さが数100μm程度の電波吸収体が実現されることが理解される。
次に本発明による電波吸収体の使用形態について、図4を参照して説明する。図4は、本発明の電波吸収体の使用形態を説明する模式図である。
図4では、高出力増幅器パッケージ100の内部で電波吸収体110が使用される例を示している。基板150の上にパワートランジスタ120及びパワートランジスタ120の入出力インピーダンスの整合をとる整合回路(130,140)がパワートランジスタ120の両側にマウントされている。金属蓋160の裏面には電波吸収体110が付着され、金属蓋160をかぶせたときに電波吸収体120がパワートランジスタ120の真上に来るように配置されている。
高出力増幅器パッケージ100に金属蓋160をかぶせるとパワートランジスタ120、整合回路(130,140)が放射する電波の不要反射が起こり、高出力増幅器の安定性を損ねることが想定される。そこで電波吸収体を使用することで不要輻射を抑制することが必要となるが、従来の電波吸収体では、先に述べたとおり、フェライト等を用いたものでは周波数依存性がないために信号電流そのものを減衰させてしまうためあまり吸収量を大きくとれず、周波数依存性のある4分の1波長電波吸収体では厚さが大きいためにパッケージ内に配置しようとするとパッケージ自体を大きいものにしなくてはならないなどの不都合があった。
本発明の薄い電波吸収体110を用いることで、高出力増幅器パッケージ100の金属蓋160の裏側に電波吸収体110を配置する使用方法がはじめて可能となった。
図4に示した使用例では、電波吸収体110をパワートランジスタ120に対向する位置に配置したが、それは、電波吸収体110を図1に示した実施例のものと仮定したからである。図1に示した実施例では、方形パッチアンテナ1が用いられており、図5に示すように、その指向性がパッチアンテナ10の中心からアンテナ面の垂直方向に向かって鋭くなっているからである。すなわち、電波を効率よく吸収するためには、用いるアンテナの指向性の鋭い方向を最も強い不要輻射発生源に向けて使用する必要があるからである。
したがって、パワートランジスタ120に対して斜め方向の指向性を持つようなアンテナを使用する場合には、その指向性の鋭い方向がパワートランジスタ120を向くように複数の電波吸収体110を配置することも可能である。
図5は、図1に示したパッチアンテナ1の指向性を示す図である。図5(a)はE面の指向性を示し、図5(b)はH面の指向性を示している。それぞれ縦軸が指向性(dB)、横軸が角度θ(deg)とφ(deg)である。
図1に示したパッチアンテナ1では、E面はパッチアンテナ1と垂直に交わる平面となり、角度θ=0°はパッチアンテナ1の中心から垂直方向である。H面は、パッチアンテナ1と平行な面であり、角度φ=0°はパッチアンテナ10から給電線20の方向である。指向性(dB)は最大放射方向の値で規格化してデシベルで表したものである。
図5(a)によればE面の指向性はパッチアンテナ1の中心から垂直方向において最大であるが、角度θによる変化はあまりないことがわかる。図5(b)によればH面の指向性は給電線20の方向が強く、それと直角の方向では−30DBまで低下している。
パッチアンテナ1で電波を吸収し高周波信号に変換するには、電波の到来方向に対してE面の指向性の強い方向を向ければよいことから、図4に示した位置に電波吸収体110を配置することで、電波吸収が可能であることがわかる。
次に、図6〜図8により、後に説明する本発明の第2の実施態様との比較のため、
上記本発明の第1の実施態様の実施例に係る電波吸収体から給電線20と抵抗膜30を除いた部分であるパッチアンテナ1単体の特性について説明する。
図6は、実施態様1の実施例で用いられるパッチアンテナ1単体の構造を示すものである。パッチアンテナ1はセラミック薄膜基板50の裏面全体を覆う接地導体60と、一辺の長さがセラミック薄膜基板中の波長λの2分の1である方形の放射導体10から構成される無損失アンテナであり、波長λの高周波信号の共振器となっている。
図7は、図6に示したパッチアンテナ1が単独で存在する場合の等価回路である。
パッチアンテナ1は、伝送線路11と、その一端であるポート1とアースの間に接続されたパッチアンテナ1の放射アドミタンスを表すRC並列回路12及び他端であるポート2とアースの間に接続されたパッチアンテナ1の放射アドミタンスを表すRC並列回路13で表される。
図8は、図7の伝送線路11の一端をポート1とし他端をポート2とした反射特性S11と伝達特性S21のグラフを示す図である。
図8(a)は反射特性S11のグラフであり、縦軸が反射特性S11(dB)、横軸が周波数(GHz)であり、縦軸は0dBから−20dBまで、横軸は0GHzから20GHzまで示されている。図8(a)のグラフは先に示した図3の反射特性のグラフとほぼ同様であり、左右それぞれが略台形であって10GHz付近を中心としてほぼ対称なものである。2GHz付近から8GHz付近まで、及び12GHz付近から18GHz付近までは、反射特性S11は0dBであり、したがってそれらの帯域の電波は反射される。一方、10GHz付近では急激に反射特性S11が減少しており、10GHzでは−20dBに達している。
図8(b)は伝達特性S21のグラフであり、縦軸が伝達特性S21(dB)、横軸が周波数(GHz)であり、縦軸は0dBから−10dBまで、横軸は0GHzから20GHzまで示されている。図8(b)によれば、伝達特性S21のグラフは反射特性S11を上下反転させたような形をしており、1GHz付近から9GHz付近まで、及び11GHz付近から19GHz付近までは、伝達特性S11は−10dB以下であり、10GHz付近では急激に伝達特性S21が増加し、10GHzでは0dBに達している。
したがって、パッチアンテナ1の一方のエッジから入射した10GHzの電波は、ほとんど反射されることなく、アンテナ内で減衰されることなく、もう一方のエッジから放射されていく。
本発明の実施態様1は、そこで、抵抗素子で一方のエッジから入射した電波を吸収し、もう一方のエッジから放射されるのを防ぐことにより、波長依存性のある電波吸収体を構成したものと考えることができる。
しかし、先に述べたように、電波吸収量は、場合によってはあまり大きすぎても信号電流本体を減衰させてしますこと、ある特定の周波数帯の電波を吸収する、周波数依存性のあることも電波吸収体として望ましいことから、アンテナ単体においてある程度電波を吸収できれば、本発明の目的が達成できる。
そこで、本発明の実施態様2は、本発明者の上記のような着想により生まれたものであり、アンテナ単体において入射した電波に損失を与えて放射される電波のレベルを下げることにより、周波数依存性のある電波吸収体を実現するものである。
以下、図9〜図11を参照して、上記実施態様2の実施例1を説明する。
図9は、本実施例1のパッチアンテナ200の構造を示す図である。
外形的には図6に示したパッチアンテナ1と同様で、パッチアンテナ200は高損失セラミック薄膜基板250の裏面全体を覆う接地導体260と、一辺の長さがセラミック薄膜基板中の波長λの2分の1である方形の放射導体210から構成されるアンテナであり、波長λの高周波信号の共振器となっている。
高損失セラミック薄膜基板250は、誘電損失が大きいものを採用する。例えば高損失セラミック薄膜基板250をカーボンを含有したものとすることにより、誘電損失を大きくすることができる。放射導体210と接地導体260は、図6に示した放射導体10と接地導体60と等価なものである。
図10は、図9に示した実施例1の等価回路図である。
パッチアンテナ200は、伝送線路211と、その一端であるポート1とアースの間に接続されたパッチアンテナ200の放射アドミタンスを表すRC並列回路212、他端であるポート2とアースの間に接続された、パッチアンテナ200での誘電損失成分を与えるCR直列回路214及びパッチアンテナ210の放射アドミタンスを表すRC並列回路213で表される。図6に示した等価回路とは、パッチアンテナ200での誘電損失成分を与えるCR直列回路214が追加されている点で異なる。
図11は、図9の伝送線路211の一端をポート1とし他端をポート2とした反射特性S11とパッチアンテナ200における誘電損失を示す図である。
図11(a)は反射特性S11のグラフであり、図8(a)の無損失アンテナのグラフと同様に、縦軸が反射特性S11(dB)、横軸が周波数(GHz)であり、縦軸は0dBから−20dBまで、横軸は0GHzから20GHzまで示されている。図11(a)のグラフは、先に示した図8(a)の反射特性のグラフと、左右それぞれが略台形であって10GHz付近を中心としてほぼ対称なものであり、2GHz付近から8GHz付近まで、及び12GHz付近から18GHz付近までは、反射特性S11は0dBである点はほぼ同様であるが、10GHz付近では異なり、反射特性S11は10GHzでは−3dB程度である。したがって、入射電波の47%は反射することになる。
図11(b)はパッチアンテナ200における誘電損失を示すグラフであり、縦軸は誘電損失(dB)、横軸が周波数(GHz)であり、縦軸は0dBから−2.5dBまで、横軸は0GHzから20GHzまで示されている。このグラフは、高損失セラミック薄膜基板250の誘電正接がtanδ=0.1の場合のものである。
図11(b)によれば、誘電損失は、1GHz付近の0dBから20GHzでの−2.0dBまで、右肩下がりで低下しており、10GHzでは−1.4dB程度であり、一方のエッジから反射されずに入射した電波の74%は他方のエッジから放射される。
したがって、本実施例1のパッチアンテナ200は10GHzの電波の14%を吸収し、その他の周波数の電波はほとんど吸収しないことになる。
次に、図12〜図14を参照して、上記実施態様2の実施例2を説明する。
本実施例2は、上記実施例1が高損失セラミック薄膜基板250の誘電損失によりパッチアンテナ200における損失を発生させたのに対して、パッチアンテナを構成する放射導体の導体損失により損失を発生させるものである。
図12は、本実施例2のパッチアンテナ300の構造を示す図である。
外形的には、図9に示した実施例1の場合のように、図6に示したパッチアンテナ1と同様で、パッチアンテナ300はセラミック薄膜基板350の裏面全体を覆う接地導体360と、一辺の長さがセラミック薄膜基板中の波長λの2分の1である方形の高損失放射導体310から構成される。
高損失放射導体310はニッケルクロム等の抵抗膜から構成される。セラミック薄膜基板350と接地導体360は、図6に示したセラミック薄膜基板50と接地導体60とそれぞれ同等のものである。
図13は、図12に示した実施例2の等価回路図である。
等価回路は、パッチアンテナ300を表す伝送線路311と、その一端であるポート1とアースの間に接続されたパッチアンテナ300の放射アドミタンスを表すRC並列回路312と、伝送線路311の他端に一端を接続されパッチアンテナ300での導体損失成分を与える抵抗315と、抵抗315の他端であるポート2とアースの間に接続されたパッチアンテナ300の放射アドミタンスを表すRC並列回路313で構成される。図6に示した等価回路とは、パッチアンテナ300での導体損失成分を与える抵抗315が追加されている点で異なる。
図14は、図13の伝送線路311の一端をポート1とし抵抗315の他端をポート2とした反射特性S11とパッチアンテナ300における損失を示す図である。
図14(a)は反射特性S11のグラフであり、図8(a)の無損失アンテナのグラフと同様に、縦軸が反射特性S11(dB)、横軸が周波数(GHz)であり、縦軸は0dBから−20dBまで、横軸は0GHzから20GHzまで示されている。図14(a)のグラフは、図11(a)のグラフと同様に、先に示した図8(a)の反射特性のグラフと、左右それぞれが略台形であって10GHz付近を中心としてほぼ対称なものであり、2GHz付近から8GHz付近まで、及び12GHz付近から18GHz付近までは、反射特性S11は0dBである点はほぼ同様であるが、10GHz付近では異なり、反射特性S11は10GHzでは−2.5dB程度である。したがって、入射電波の52%は反射することになる。
図14(b)はパッチアンテナ300における導体損失を示すグラフであり、縦軸は導体損失(dB)、横軸が周波数(GHz)であり、縦軸は0dBから−2.5dBまで、横軸は0GHzから20GHzまで示されている。このグラフは、パッチアンテナ300を構成する抵抗膜の導体損失が300dB/mの場合のものである。
図14(b)によれば、導体損失は、1GHz付近の0dBから20GHzでの−2.0dBまで、右肩下がりで低下しており、10GHzでは−1.4dB程度であり、一方のエッジから反射されずに入射した電波の72%は他方のエッジから放射される。
したがって、本実施例2のパッチアンテナ300は10GHzの電波の13%を吸収し、その他の周波数の電波はほとんど吸収しないことになる。
以上、本発明の実施態様2について、その実施例1と実施例2を例示して説明したが、実施例1と実施例2を組み合わせて実施することも可能である。すなわち、誘電損失と導体損失を有するアンテナ単体で電波吸収体を構成することができる。
次に、本発明の実施態様3について説明する。本実施態様3は、先に説明した実施態様1あるいは実施態様2と同時に実施可能な態様であり、本発明の電波吸収体の実装構造に関するものであり、電波吸収体を高出力増幅器などのパッケージを封止する金属蓋内に作り込むものである。
図15は、本実施態様3を説明するものであり、図15に示す高出力増幅器パッケージ400は、図4に示した高出力増幅器パッケージ100と、電波吸収体と一体化した蓋500を用いる点のみで異なる。
以下、電波吸収体と一体化した蓋500を、図2に示した実施態様1の実施例である方形パッチアンテナ1と対比して説明するが、本実施態様3が実施態様2の電波吸収体においても適用可能であることは、当業者には明らかである。
電波吸収体と一体化した蓋500は、両端を内側に折り曲げた金属板460と、該内側に折り曲げられた部分に挿入され金属板460と密着した誘電体からなる薄膜基板450と薄膜基板450上に配置された放射導体410から構成される。
電気的には、金属板460は図2に記載された金属膜60に、誘電体からなる薄膜基板450はセラミック薄膜基板50に、放射導体410は放射導体10に、それぞれ対応する。図2の給電線20、抵抗膜30、ビア40に相当するものは図15には明記されていないが、これらを電波吸収体と一体化した蓋500に作り込むことは明らかに容易に可能である。
以上、本発明の実施の態様を方形パッチアンテナを例に挙げて詳細に説明したが、本発明の要旨はアンテナの受信特性に基づいて波長依存性のある薄型の電波吸収体を実現するところにあり、本発明の電波吸収体を実現するアンテナが方形パッチアンテナに限られるわけではない。
(付記1)
高出力半導体が実装されたパッケージ内の電波を吸収する電波吸収体において、
アンテナの電波受信特性による特定の周波数帯域に対する電波吸収手段を備えたことを特徴とする電波吸収体。
(付記2)
前記アンテナは、パッチアンテナであることを特徴とする付記1に記載の電波吸収体。
(付記3)
前記パッチアンテナは、方形パッチアンテナであることを特徴とする付記2に記載の電波吸収体。
(付記4)
前記パッチアンテナの放射導体は、損失性の素子に接続されたことを特徴とする付記2又は付記3に記載の電波吸収体。
(付記5)
前記損失性の素子は、前記パッチアンテナを構成する基板と同一の基板上に作製された抵抗膜であり、前記放射導体と前記抵抗膜は、前記同一の基板上に作製された給電線により接続されたことを特徴とする付記4に記載の電波吸収体。
(付記6)
前記パッチアンテナを形成する基板は、前記特定の周波数帯域において誘電損失が発生するものであることを特徴とする付記2又は付記3に記載の電波吸収体。
(付記7)
前記パッチアンテナを形成する放射導体は、前記特定の周波数帯域において導体損失が発生するものであることを特徴とする付記2又は付記3に記載の電波吸収体。
(付記8)
前記パッチアンテナを形成する基板は、前記特定の周波数帯域において誘電損失が発生するものであり、前記パッチアンテナを形成する放射導体は、前記特定の周波数帯域において導体損失が発生するものであることを特徴とする付記2又は付記3に記載の電波吸収体。
(付記9)
前記高出力半導体パッケージの金属蓋を、当該電波吸収体の接地導体としたことを特徴とする付記2乃至付記8に記載の電波吸収体。
(付記10)
付記2乃至付記8に記載の電波吸収体の接地導体を、当該高出力半導体パッケージの金属蓋としたことを特徴とする高出力半導体パッケージ。
(付記11)
付記1乃至付記3に記載の電波吸収体の使用方法において、前記アンテナの指向性の鋭い方向を前記高出力半導体が前記特定の周波数帯域の電波を放射する方向に向けたことを特徴とする電波吸収体の使用方法。
(付記12)
付記1乃至付記3に記載の電波吸収体を内部に配置した高出力半導体パッケージにおいて、前記アンテナの指向性の鋭い方向を前記高出力半導体が前記特定の周波数帯域の電波を放射する方向に向けたことを特徴とする高出力半導体パッケージ。
本発明の実施態様1の実施例の構成を説明する図である。 実施態様1の実施例の等価回路図である。 実施態様1の実施例のアンテナの反射特性を示す図である。 本発明の電波吸収体の使用形態を説明する模式図である。 実施態様1の実施例のアンテナの指向性を示す図である。 実施態様1の実施例で用いられるパッチアンテナ単体の構造を示す図である。 実施態様1の実施例で用いられるパッチアンテナが単独で存在する場合の等価回路である。 実施態様1の実施例で用いられるパッチアンテナが単独で存在する場合の反射特性と伝達特性を示す図である。 本発明の実施態様2の実施例1の構成を説明する図である。 図9に示す実施例1の等価回路図である。 図9に示す実施例1のパッチアンテナの反射特性と誘電損失を示す図である。 本発明の実施態様2の実施例2の構成を説明する図である。 図12に示す実施例2の等価回路図である。 図12に示す実施例2のパッチアンテナの反射特性と導体損失を示す図である。 本発明の実施態様3を説明する図である。 従来の4分の1波長電波吸収体を説明する図である。
符号の説明
1 方形パッチアンテナ
10 放射導体
20 給電線
30 抵抗膜
40 ビア
50 セラミック薄膜基板
60 接地導体
100 高出力増幅器パッケージ
110 本発明の電波吸収体
120 パワートランジスタ
250 高損失セラミック薄膜基板
310 高損失放射導体
400 高出力増幅器パッケージ
410 放射導体
450 薄膜基板
460 金属板
500 電波吸収体と一体化した蓋
600 4分の1波長電波吸収体

Claims (3)

  1. 高出力半導体が実装されたパッケージ内の電波を吸収する電波吸収体において、
    パッチアンテナの電波受信特性による特定の周波数帯域に対する電波吸収手段を備え、
    前記パッチアンテナは基板上に作製され、前記パッチアンテナの放射導体は、前記基板上に作製された給電線により前記基板上に作製された抵抗膜に接続され、前記パッケージの金属蓋を、当該電波吸収体の接地導体としたことを特徴とする電波吸収体。
  2. 高出力半導体が実装されたパッケージ内の電波を吸収する電波吸収体において、
    パッチアンテナの電波受信特性による特定の周波数帯域に対する電波吸収手段を備え、
    前記パッチアンテナは基板上に作製され、前記基板は、前記特定の周波数帯域において誘電損失が発生するものであり、前記パッケージの金属蓋を、当該電波吸収体の接地導体としたことを特徴とする電波吸収体。
  3. 高出力半導体が実装されたパッケージ内の電波を吸収する電波吸収体において、
    パッチアンテナの電波受信特性による特定の周波数帯域に対する電波吸収手段を備え、
    前記パッチアンテナを形成する放射導体は、前記特定の周波数帯域において導体損失が発生するものであり、ニッケルクロムで作製され、前記パッケージの金属蓋を、当該電波吸収体の接地導体としたことを特徴とする電波吸収体。
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