JP2002271088A - 不要輻射抑制システム - Google Patents

不要輻射抑制システム

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JP2002271088A
JP2002271088A JP2001064007A JP2001064007A JP2002271088A JP 2002271088 A JP2002271088 A JP 2002271088A JP 2001064007 A JP2001064007 A JP 2001064007A JP 2001064007 A JP2001064007 A JP 2001064007A JP 2002271088 A JP2002271088 A JP 2002271088A
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Keiji Monma
圭嗣 門馬
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Mitsubishi Electric Corp
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Renesas Design Corp
Mitsubishi Electric Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 金属や電磁波吸収材料で電磁輻射源を遮蔽す
る手法では、不要輻射は抑制するものの熱の放散を阻害
するなどの課題があった。 【解決手段】 電磁波を輻射する電磁輻射源と、これに
近接して包囲するように配置される導体環を用いた空中
線回路とを備え、導体環により吸収される電磁波のエネ
ルギーを導体環に基づく寄生インピーダンス、または、
この導体環の形成するループアンテナの給電点に接続さ
れるインピーダンスにより、吸収される電磁波のエネル
ギーを熱エネルギーに変換し自由空間に放散する不要輻
射抑制システムを提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は不要な電磁波を輻
射する電子機器などに適用する不要輻射抑制システムに
関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、携帯電話その他の電子機器に含ま
れる電磁輻射源から発せられる電磁波による不要輻射が
周辺機器に及ぼす影響が問題視されており、電磁輻射源
からの不要輻射を低減する方法として、金属により電磁
輻射源を遮蔽する方法や、電磁波を吸収する材料により
電磁輻射源を遮蔽する方法などが提案されている。しか
しながら、これらの2つの方法は、不要輻射抑制には大
きな効果があるが、電磁輻射源の発する熱の放散を妨げ
るおそれがある。
【0003】また、これらの方法を電磁輻射源である半
導体集積回路(IC)を含む半導体デバイスに応用する
場合、半導体デバイスのパッケージの多くは仕様が標準
化されており、該パッケージの開発に多大な時間とコス
トを要することが予想される。
【0004】さらに、半導体集積回路からの不要輻射を
抑制する方法として、(1)電源ピンを複数箇所に設け
る、(2)VDD−VSSピンの間隔を短くする(パス
コンを最短距離で接続)、(3)ボード全体を金属など
で遮蔽する(但し、放熱のための開口部からは漏洩す
る)などが図られているが、これらは半導体集積回路そ
のものからの不要輻射を抑制するものではない。
【0005】ここで、半導体集積回路から電磁波が漏洩
する機構について、以下、マイクロ波線路の物理より考
えてみる。図16は、マイクロストリップ線路(a)
(b)と一般の半導体集積回路(c)の電界分布の概略
断面説明図であり、図において、101は接地導体、1
02は酸化膜、窒化膜などの絶縁性の誘電体、103は
リップ導体または導体線路であり配線パターンを成すも
のであり、104は半導体基板、106は導体線路であ
る。なお、誘電体102中に形成された導体線路106
が不完全なストリップ線路を形成している。
【0006】次に動作について説明する。マイクロ波線
路は通常信号伝送線(リップ導体103)とそれに近接
した接地線(接地導体101)で構成され、これら2つ
の導体の間で伝搬する電磁波の電気力線が終端されるこ
とによって外部に電磁波が漏洩するのを防ぐものであ
る。ところが、一般の半導体集積回路(IC)は信号伝
送線が接地線と近接しているとは限らず、電気力線が接
地以外の(無限遠)方向に伸びることで電磁波の漏洩が
起こる。
【0007】図16のマイクロストリップ線路はマイク
ロ波ICの配線に用いられている線路であるが、リップ
導体103と接地導体101との間隔Sが狭く、かつ、
誘電体102の比誘電率が大きいときは、リップ導体1
03から出る電気力線がほぼ全て接地導体101にて終
端されるので電磁波漏洩は起こらない(図16
(a))。しかし、間隔Sが広くなると、電気力線は誘
電体基板102に対しての水平方向成分が増加して完全
には終端されなくなり、水平方向成分が漏洩電磁波の電
場成分となる(図16(b))。
【0008】一般の半導体集積回路の線路構造(図16
(c))は後者に近いために、基板面に対して水平な偏
波成分を持つ電磁波が垂直成分に比べて遙かに優勢に観
測されるものである。このように、所定の配線パターン
に基づきレイアウトされた導体線路106を介して回路
動作のための電源を投入すると、半導体集積回路を構成
するクロック信号生成回路などより発せられる特定の周
波数帯域の電磁波が、配線パターンを介して漏洩し不要
輻射となる可能性がある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】従来の不要輻射抑制シ
ステムは以上のように構成されているので、金属や電磁
波吸収材料で電磁輻射源を遮蔽する手法を半導体集積回
路に応用した場合、不要輻射抑制には有効であるものの
熱の放散を阻害してしまう難点があり、また、半導体集
積回路を備えた半導体デバイスのパッケージ仕様は標準
化されているので、パッケージ開発に多大な時間とコス
トを必要とするといった課題があった。
【0010】この発明は上記のような課題を解決するた
めになされたもので、半導体集積回路などの電磁輻射機
器が輻射する電磁波を吸収し、そのエネルギーを熱エネ
ルギーに変換して自由空間に放散することにより不要輻
射を抑制する電気回路を備えた不要輻射抑制システムを
得ることを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】この発明に係る不要輻射
抑制システムは、電磁輻射源の外縁部に金属配線で空中
線系を設けて、受信電力を外部(または内部)負荷回路
で熱に変換させることを特徴とするものであり、より詳
しくは、電磁波を輻射する電磁輻射源と、これに近接し
て取り巻くように配置される導体環を用いた空中線回路
とを備えており、導体環により吸収される電磁波のエネ
ルギーを導体環に基づく寄生インピーダンスにより熱エ
ネルギーに変換し、これを自由空間に放散するものであ
る。
【0012】この発明に係る不要輻射抑制システムは、
電磁波を輻射する電磁輻射源と、これに近接し取り巻く
ように配置される導体環を用いた空中線回路とを備え、
この導体環の形成するループアンテナの給電点に接続さ
れるインピーダンスで構成され、ループアンテナにより
吸収される電磁波のエネルギーを当該インピーダンスで
熱エネルギーに変換するとともに自由空間に放散するも
のである。
【0013】この発明に係る不要輻射抑制システムは、
電磁波を輻射する電磁輻射源と、これに近接して配置さ
れる導体線を用いた空中線回路とを備えており、導体線
により吸収される電磁波のエネルギーを導体線に基づく
寄生インピーダンスにより熱エネルギーに変換し、これ
を自由空間に放散するものである。
【0014】この発明に係る不要輻射抑制システムは、
電磁波を輻射する電磁輻射源と、これに近接して配置さ
れる導体線を用いた空中線回路とを備え、この導体線の
形成するダイポールアンテナの給電点に接続されるイン
ピーダンスで構成され、ダイポールアンテナにより吸収
される電磁波のエネルギーを当該インピーダンスで熱エ
ネルギーに変換し、これを自由空間に放散するものであ
る。
【0015】この発明に係る不要輻射抑制システムは、
導体線は長さの異なる複数の導体線から構成されるもの
である。
【0016】この発明に係る不要輻射抑制システムは、
電磁波を輻射する電磁輻射源と、これに近接して配置さ
れる導体板を用いた空中線回路とを備えており、導体板
により吸収される電磁波のエネルギーを導体板に基づく
寄生インピーダンスにより熱エネルギーに変換し、これ
を自由空間に放散するものである。
【0017】この発明に係る不要輻射抑制システムは、
電磁波を輻射する電磁輻射源と、これに近接して配置さ
れる導体板を用いた空中線回路とを備え、この導体板の
形成するマイクロストリップアンテナの給電点に接続さ
れるインピーダンスで構成され、マイクロストリップア
ンテナにより吸収される電磁波のエネルギーを当該イン
ピーダンスで熱エネルギーに変換し、これを自由空間に
放散するものである。
【0018】この発明に係る不要輻射抑制システムは、
導体板が電磁輻射源を挟む第1および第2の導体板から
成り、これらを導線にて電気接続することにより空中線
回路を構成するものである。
【0019】この発明に係る不要輻射抑制システムは、
導体環が複線により構成されるものである。
【0020】この発明に係る不要輻射抑制システムは、
導体線が複線により構成されるものである。
【0021】この発明に係る不要輻射抑制システムは、
空中線回路が、半導体集積回路に内蔵されるものであ
る。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施の一形態を
説明する。 実施の形態1.例えば、受信空中線系は空中線および負
荷インピーダンスによって形成される空中線回路を備
え、空中線により吸収される電磁波のエネルギーは電磁
誘導によって電流変換され、この電流が負荷インピーダ
ンスで消費される。この負荷インピーダンスは通常空中
線の給電点に接続されるが、負荷インピーダンスを空中
線に分布させても電気回路的に等価となる(放射インピ
ーダンスは大きくなるが、空中線としての入力インピー
ダンスは変化しない)。
【0023】これを図面と共に説明する。図1は受信空
中線系回路を示す概念図であり、(a)が通常の受信空
中線系回路で、(b)が無給電点受信空中線系回路であ
る。図において、1は導体環、21は受信電力、ベクト
ルZin(以下、Zinという)は入力インピーダン
ス、ベクトルZL(以下、ZLという)は負荷インピー
ダンス、A,A’は給電点である。負荷インピーダンス
ZLはループアンテナで電気エネルギーに変換された不
要輻射を熱に変えるための素子であり、外付け部品省略
のため導体環1の分布インピーダンスと共用する場合が
ある。
【0024】図1(a)の導体環1は無損失で共振状態
にあり、ループアンテナの給電点から見た入力インピー
ダンスはZinである。一方、図1(b)の導体環1は
図1(a)のものと全く同じ形状であるが、図1(a)
の給電点AA’に接続されていた負荷インピーダンスの
ZLは図1(b)では空中線内部に分布し、給電点A
A’も空中線内部に分布し、給電点も空中線全体に分布
するので消失する。ところが図1(a)と図1(b)の
回路は等価であり、熱損失が増える分だけの放射特性が
劣化することを除いて電気回路としての動作は同じであ
る。
【0025】なお、図1はループアンテナを示している
が、これは後述の実施の形態3のダイポールアンテナや
実施の形態5のマイクロストリップアンテナについて
も、構成導体にインピーダンスを分布させることによっ
て同様に成り立つ。
【0026】図2はこの発明の実施の形態1による不要
輻射システムを示す構成図であり、無給電点ループアン
テナを形成する導体環により空中線回路を形成してい
る。図において、1は導体環、2は電磁輻射源、B,
B’は線分X−X’により切った際の切り口の端部であ
る。この構成によれば、ループアンテナを形成する導体
環1で電磁輻射源2を囲繞しており、導体環1はこの電
磁輻射源2に近接してこれを取り巻くように配されるの
が好ましい。
【0027】空中線回路のインピーダンスは外付け部品
の省略のため、導体環1の分布インピーダンスすなわち
寄生インピーダンスと共用するものである。そして、こ
の寄生インピーダンスがループアンテナにより吸収した
不要輻射による電磁波エネルギーを電気エネルギーに変
換し、さらにジュール熱として熱エネルギーに変えるよ
うに作用する。
【0028】次に動作について説明する。導体環1が電
磁輻射源2の付近にこの電磁輻射源2に対して絶縁また
は半絶縁状態で置かれたとき、導体環1は給電点を短絡
した無給電点ループアンテナを形成し、主に図2の紙面
に対して水平な偏波の不要輻射を電気エネルギーとして
吸収し、これを熱エネルギーに変換し自由空間に放散す
る。
【0029】例えば、導体環1の全長2×(l+h)が
導体環1を貫く磁気双極子の作る不要輻射の波長にほぼ
等しいとき、無給電点ループアンテナは直列共振し、導
体環1が無損失のときは入力インピーダンスが約100
オームの純抵抗である給電点つきのループアンテナと等
価になる。ここで、ループアンテナは、その共振周波数
(すなわち最も感度の高い周波数)における入力インピ
ーダンスがおよそ100オームの純抵抗になることが図
3のループアンテナの入力インピーダンス周波数特性
(Ωは起電力法計算の際の展開係数)から分かる(遠
藤、佐藤、永井「アンテナ工学」総合電子出版社p.6
4)。
【0030】従って、導体環1を図2の線分X−X’で
切ったとき、その切り口の両端BB’間が100オーム
の純抵抗(これはループアンテナとしての入力インピー
ダンスとは別)となるように設計すれば、図2の回路は
図1の理論によって、不要輻射においてループアンテナ
の給電点にループアンテナの入力インピーダンスと共軛
整合した負荷インピーダンスを接続した回路と等価にな
る。このとき、電磁誘導によって導体環1に吸収されて
電流に変換された不要輻射は、ループアンテナの利得が
共振周波数で最大利得となることから、周波数的に最大
能率で導体環1の分布抵抗成分(図1(b)のインピー
ダンスZL)でジュール熱に変換され、自由空間に放散
される。すなわち不要輻射は熱に変えられることによっ
て低減される。
【0031】ここで、共軛整合について述べておくと、
複素数A+jBとA−jBとが互いに共軛であることを
いう。これを具体的に説明すると、受信アンテナの入力
インピーダンスと負荷インピーダンスが整合していない
と給電点において反射が起こり、アンテナで受信した電
力が全て負荷に伝送されないといった問題が起こる。ア
ンテナの入力インピーダンスは一般に複素量R+jX
(Rは純抵抗、Xはリアクタンス)であり、これに整合
するインピーダンスはその複素共軛値であるR−jXに
なる。このような交流回路におけるインピーダンス整合
を共軛整合という。
【0032】以上のように、この実施の形態1によれ
ば、空中線回路には導体環1のみを使用するので、電磁
輻射源2から発生する熱の放散を妨げる要因はなく、電
磁輻射源2からの不要輻射を導体環1により形成される
ループアンテナで吸収し、その電気エネルギーを熱エネ
ルギーに変換して自由空間に放散することができるの
で、電磁輻射源2からの不要輻射を低減できるという効
果が得られる。また、外来の電磁波をも吸収できるの
で、システム全体の不要輻射レベルの低減が可能になる
という効果も得られる。
【0033】実施の形態2.図4はこの発明の実施の形
態2による不要輻射抑制システムを示す構成図であり、
図において、1は導体環、2は電磁輻射源、3はインピ
ーダンス(ベクトルZ)、A,A’は節点でループアン
テナの給電点を成すものであり、この構成では、ループ
アンテナの給電点A,A’にインピーダンス3を接続し
てある。
【0034】次に動作について説明する。導体環1が電
磁輻射源2の附近に電磁輻射源2に対して絶縁または半
絶縁状態で置かれたとき、導体環1はループアンテナを
形成し、主に図4の紙面に対して水平な偏波の不要輻射
を電気エネルギーとして吸収する。なお、この給電点
A,A’に接続されるインピーダンス3の値ベクトルZ
は、このループアンテナで吸収する所望の周波数の不要
輻射における、ループアンテナの入力インピーダンスに
対する複素共軛値である。このようにして、上記実施の
形態1と同様、電磁輻射源2で発生した不要輻射は電磁
誘導によって導体環1に吸収されて電流に変換され、さ
らにこの電流はインピーダンス3でジュール熱に変換さ
れ、自由空間に放散される。
【0035】以上のように、この実施の形態2によれ
ば、空中線回路には導体環1とそれに付加するインピー
ダンスのみを使用するので、電磁輻射源2から発生する
熱の放散を妨げる要因はなく、電磁輻射源2からの不要
輻射を導体環1により形成されるループアンテナで吸収
し、その電気エネルギーを熱エネルギーに変換して自由
空間に放散することができるので、電磁輻射源2からの
不要輻射を低減できるという効果が得られ、また、外来
の電磁波をも吸収できるので、システム全体の不要輻射
レベルの低減が可能になるという効果も得られる。さら
に、吸収する所望の不要輻射の周波数帯域はインピーダ
ンス3の値によって可変であるので、上記実施の形態1
の構成に比して設計自由度が高いという効果もある。
【0036】実施の形態3.図5はこの発明の実施の形
態3による不要輻射抑制システムを示す構成図であり、
図において、11〜14は導体線、2は電磁輻射源であ
る。まず、導体線11が電磁輻射源2の附近に電磁輻射
源2に対して絶縁または半絶縁状態で置かれたときを考
えると、上記実施の形態1の理論により導体線11は給
電点を短絡したダイポールアンテナを形成し、主に導体
線11に対して水平な偏波を有する電磁波の不要輻射を
吸収できる(このとき、導体線11に負荷インピーダン
スが含まれる)。
【0037】そして、他の導体線12〜13も加え、図
5の構成のように、これらの導体線11〜14で電磁輻
射源2を囲繞した構成について考えると、不要輻射を抑
制する機構はループアンテナと同様であり、上記実施の
形態1でも述べたように、インピーダンスは外付け部品
省略のため導体線11〜14の分布インピーダンスを共
用することができる。
【0038】次に動作について説明する。導体線11の
全長lが導体線11で吸収する所望の不要輻射の半波長
にほぼ等しいとき、無給電点ダイポールアンテナは不要
輻射に対して直列共振し、入力インピーダンスが数十オ
ームの純抵抗である給電点のあるダイポールアンテナと
等価になる。従って、図5の導体線11のFF’間のイ
ンピーダンスをその入力インピーダンスと等しくすれ
ば、導体線11を含む回路は、不要輻射に対してダイポ
ールアンテナの給電点にダイポールアンテナの入力イン
ピーダンスと共軛整合した負荷インピーダンスを接続し
た回路と等価になる。
【0039】このとき、電磁誘導によって導体線11に
吸収されて電流に変換された不要輻射は最大能率で導体
線11の純抵抗成分でジュール熱に変換され、自由空間
に放散される。ここで、ダイポールアンテナについて
は、共振点でのインピーダンスは約75オームの純抵抗
になることが図6のダイポールアンテナの入力インピー
ダンス周波数特性を示すグラフから分かる(遠藤、佐
藤、永井「アンテナ工学」総合電子出版社p.58)。
なお、図6のグラフでは、Kingの積分方程式の逐次
近似解法と起電力法(E.M.F)の両方を掲載してい
る。
【0040】ここに、全長nの導体線12を配すれば、
nが導体線12で吸収する所望の不要輻射の半波長にほ
ぼ等しいとき、導体線12の形成する無給電点ダイポー
ルアンテナは不要輻射に対して直列共振し、入力インピ
ーダンスが数十オームの純抵抗である無給電点のあるダ
イポールアンテナと等価になる。従って、図5の導体線
12のGG’間のインピーダンスを入力インピーダンス
と等しくすれば、導体線12を含む回路は、不要輻射に
対してダイポールアンテナの給電点にダイポールアンテ
ナの入力インピーダンスと共軛整合した負荷インピーダ
ンスを接続した回路と等価になる。このとき、導体線1
2で電磁誘導によって電流に変換された不要輻射は最大
能率で導体線12の純抵抗成分でジュール熱に変換さ
れ、自由空間に放散される。
【0041】このように、長さの異なる導体線を配する
ことにより、複数の周波数帯域の不要輻射を吸収できる
ようになる。これは、それぞれ所定の長さを有する導体
線13,14についても同様であり、また、導体線の配
置方法としては、導体線11〜14で電磁輻射源2を囲
繞するか、導体線11〜14を電磁輻射源2の内部に配
することが考えられる。
【0042】以上のように、この実施の形態3によれ
ば、空中線回路には導体線11〜14のみを使用するの
で、電磁輻射源2から発生する熱の放散を妨げる要因は
なく、電磁輻射源2からの不要輻射を導体線11〜14
によるダイポールアンテナで吸収し、その電気エネルギ
ーを熱エネルギーに変換して自由空間に放散することが
できるので、電磁輻射源2からの不要輻射を低減できる
という効果が得られる。また、導体線の長さにより、不
要輻射の対象となる周波数帯域を変えて吸収することが
できるので、多様な周波数帯域の電磁波による不要輻射
を低減できるという効果が得られる。さらに、外来の電
磁波をも吸収できるので、システム全体の不要輻射レベ
ルの低減が可能になるという効果も得られる。
【0043】実施の形態4.図7はこの発明の実施の形
態4による不要輻射抑制システムを示す構成図であり、
図において、21〜28は導体線、2は電磁輻射源、9
〜12はインピーダンスであり、それぞれベクトルZ
9,Z10,Z11,Z12(以下、Z9,Z10,Z
11,Z12という)を持つもので、導体線21と2
2、23と24、25と26、27と28は各ダイポー
ルアンテナを形成し、偏波面が図7の紙面に平行な電磁
波による不要輻射を吸収できる。なお、節点Aと節点
A’、節点Bと節点B’、節点Cと節点C’、節点Dと
節点D’は各ダイポールアンテナの給電点である。これ
らの給電点に接続されるインピーダンス9〜12の値
は、各ダイポールアンテナで吸収する所望の周波数の不
要輻射におけるダイポールアンテナの入力インピーダン
スに対する複素共軛値である。
【0044】次に動作について説明する。上記実施の形
態3と同様に、電磁輻射源2で発生した周波数の不要輻
射は電磁誘導によって各ダイポールアンテナに吸収され
て電流に変換され、この電流はさらにインピーダンス9
〜12によって熱に変換されて、自由空間に放散され
る。
【0045】以上のように、この実施の形態4によれ
ば、空中線回路には導体線21〜28とそれに付加する
インピーダンスのみから構成されるダイポールアンテナ
を使用し、これにより電磁輻射源2からの不要輻射を導
体線21〜28により吸収し、その電気エネルギーを熱
エネルギーに変換して自由空間に放散することができる
ので、電磁輻射源2からの不要輻射を低減できるという
効果が得られ、また、導体線21〜28の長さにより、
不要輻射の対象となる周波数帯域を変えて吸収すること
ができるので、多様な周波数帯域の電磁波による不要輻
射を低減できる。また、外来の電磁波をも吸収できるの
で、システム全体の不要輻射レベルの低減が可能になる
という効果が得られる。さらに、吸収する所望の不要輻
射の周波数帯域はインピーダンス9〜12の値によって
可変であるので、上記実施の形態3に比して設計の自由
度が高い。
【0046】実施の形態5.図8はこの発明の実施の形
態5による不要輻射抑制システムを示す構成図であり、
図において、31,33は導体板(第1、第2の導体
板)、32は誘電体、2aは電磁輻射源、34,35は
導線、A,A’は節点、B,Cは自由端、L,Wはそれ
ぞれ導体板31の長さと幅であり、無給電マイクロスト
リップアンテナを形成する導体板と誘電体の積層構造を
表すもので、導体板31は誘電体32上に載置されてい
る。なお、導体板33の面積は導体板31に比して大き
くなっている。
【0047】次に動作について説明する。まず、節点A
と節点A’の間を短絡し、導体板31と導体板33で誘
電体32と電磁輻射源2aとを挟み、AA’間を導線3
4で接続すると、上記実施の形態1の理論によりこれら
は無給電点マイクロストリップアンテナを形成し、AD
方向に磁流成分を有する不要輻射を吸収できる(このと
き、導体板31,33と導線34に負荷インピーダンス
が含まれる)。すなわち、導体板31の長さLが導体板
31と導体板33との間に発生する電気ダイポールの作
る不要輻射の半波長にほぼ等しいとき無給電点マイクロ
ストリップアンテナは直列共振し、入力インピーダンス
が純抵抗の給電点のあるマイクロストリップアンテナと
等価になる。
【0048】従って、図8のAA’間を短絡したときの
自由端Bと自由端Cとの間のインピーダンスを入力イン
ピーダンスに等しい値とすれば、図8の回路は波長に対
してマイクロストリップアンテナの給電点にマイクロス
トリップアンテナの入力インピーダンスと共軛整合した
負荷インピーダンスを接続した回路と等価になる。
【0049】ここで、導体板31,33は長方形である
としたが、電磁輻射源2aの形状や不要輻射の偏波特性
に制約されることなどにより、導体板31,33の形状
が、多角形・円形・楕円形などとなる場合がある。ま
た、導線34,35の接続位置も空中線回路の放射特性
調整のため、導体板31の任意の箇所に選ばれる場合が
ある。さらに、図8では、1基の無給電点マイクロスト
リップアンテナを示したが、この無給電点マイクロスト
リップアンテナの基数および配列パターンは任意であ
る。
【0050】以上のとき電磁輻射源2aで発生した不要
輻射は導体板31,33で最大能率で電磁誘導によって
電流に変換され、この電流はマイクロストリップアンテ
ナの寄生純抵抗成分でジュール熱に変換されて、自由空
間に放散される。
【0051】以上のように、この実施の形態5によれ
ば、無給電点マイクロストリップアンテナ系の空中線回
路により電磁輻射源2aからの不要輻射を吸収し、その
電気エネルギーを熱エネルギーに変換して自由空間に放
散することができるので、電磁輻射源2aからの不要輻
射を低減できるという効果が得られ、しかも、外来の電
磁波をも吸収できるので、システム全体の不要輻射レベ
ル低減が可能になる。さらに、導体板31,33は電磁
輻射源2aから輻射される電磁波を自由空間から遮蔽
し、逆に外来の電磁波による電磁輻射源2aへの擾乱を
防ぐ効果が得られる。なお、接点Dと接点A’の間を導
線35で短絡した場合、無給電点マイクロストリップア
ンテナの共振波長はLの4分の1になるので、より高い
周波数の不要輻射を低減できるようになる。
【0052】実施の形態6.図9はこの発明の実施の形
態6による不要輻射抑制システムを示す構成図であり、
図において、36はインピーダンスで、その他の構成は
上記実施の形態5と同様である。したがって、同一符号
は同一構成要素または相当部分を示すものなのでその説
明は省略し以下も同様とする。
【0053】この構成のように、誘電体32と電磁輻射
源2aを導体板31と導体板33で挟んだ構造は、マイ
クロストリップアンテナを形成し、主に、図9のAD方
向の磁流成分を有する不要輻射を吸収できる。なお、節
点Aと節点A’はループアンテナの給電点である。この
給電点に接続されるインピーダンス36の値は、マイク
ロストリップアンテナで吸収する所望の周波数の不要輻
射における、マイクロストリップアンテナの入力インピ
ーダンスに対する複素共軛値である。
【0054】ここで、導体板31,33は長方形である
としたが、電磁輻射源の形状や不要輻射の偏波特性に制
約されることなどにより、これら導体板31,33の形
状が、多角形・円形・楕円形などとなる場合がある。ま
た、導線34,35の接続位置も空中線回路の放射特性
調整のため、導体板31の任意の箇所に選ばれる場合が
ある。さらに、図9のマイクロストリップアンテナは1
基としたが、このマイクロストリップアンテナの基数お
よび配列パターンは任意である。
【0055】次に動作について説明する。誘電体32と
電磁輻射源2aを導体板31と導体板33で挟んだ構造
は、マイクロストリップアンテナを形成し、主に、図9
のAD方向の磁流成分を有する不要輻射を吸収できる。
これにより、上記実施の形態5と同様にして、電磁輻射
源2aで発生した周波数の不要輻射はマイクロストリッ
プアンテナに吸収されて電磁誘導によって電流に変換さ
れ、さらに電流はインピーダンス36でジュール熱に変
換され、自由空間に放散される。
【0056】以上のように、この実施の形態6によれ
ば、上記実施の形態5と同様に、マイクロストリップア
ンテナ系の宮中線回路により電磁輻射源2aからの不要
輻射を吸収し、電気エネルギーを熱エネルギーに変換し
て自由空間に放散し不要輻射を低減できるもので、しか
も、外来の電磁波をも吸収できるので、システム全体の
不要輻射レベル低減が可能になるという効果が得られ
る。また、吸収する所望の不要輻射の周波数帯域はイン
ピーダンス36の値によって可変であるので、上記実施
の形態5に比して設計の自由度が高い。なお、DA’間
を導線35で短絡した場合、このマイクロストリップア
ンテナの共振波長はLの4分の1になり、より高い周波
数の不要輻射を低減できる。導体板31,33の電磁波
遮蔽効果については、上記実施の形態5と同じである。
【0057】実施の形態7.上記実施の形態1および2
の導体環1は、空中線としての動作利得向上あるいは入
力インピーダンスの調整のため、複線の環とすることが
ある。図10および図11はそれぞれ、この発明の実施
の形態7による複数の導体環と、複数回巻きの導体環を
用いた不要輻射抑制システムの例を示すもので、図にお
いて、41は外側の導体環、42は内側の導体環、43
は複数回巻きの導体環である。
【0058】図10の例は、電磁輻射源2を取り巻くよ
うにして、導体環41の内側に導体環42を配した二重
環の構成を示すもので、これにより、導体環41を形成
するループアンテナと、導体環42の形成するループア
ンテナとが各共振周波数を独立に設定でき、したがっ
て、複数の周波数帯域の電磁波も吸収できるようにな
る。
【0059】一方、図11の例は、複数回巻きの導体環
43を採用し、同様に、電磁輻射源2を取り巻くように
導体環43を配することによって、アンテナの動作利得
を向上させて不要輻射低減効果をさらに増大できるもの
である。さらに、複数回巻きにすることで導体環43の
インピーダンスを、この導体環の形成するループアンテ
ナの入力インピーダンスに整合するために高くすること
が容易になる。
【0060】なお、図10と図11の各々には無給電ル
ープアンテナを示したが、配線の任意な一箇所を切断し
て給電点を設け、この給電点に整合インピーダンスを接
続する場合も考えられる。さらに、ループアンテナの基
数および配列パターンは任意である。
【0061】以上のように、この実施の形態7によれ
ば、導体環を二重環である導体環41および導体環42
もしくは複数回巻きの導体環43に構成することで、上
記実施の形態1,2で述べた効果に加えて、前者では、
導体環41,42の各々が構成するループアンテナに応
じた共振周波数を独立に設定することにより、複数の周
波数帯域の電磁波を吸収できるという効果が得られ、後
者では、複数巻きの構成により、アンテナの動作利得を
向上させてさらに不要輻射を低減する効果が得られるだ
けでなく、導体環43のインピーダンスを入力インピー
ダンスに整合するために高くすることが容易になるとい
う効果が得られる。
【0062】実施の形態8.上記実施の形態3,4で述
べた導体線11〜14,21〜28などのアンテナ素子
(図5,図7参照)は、空中線としての入力インピーダ
ンス調整や周波数特性調整のため複数(複線)にするこ
とがある。以下にこれについて説明する。
【0063】図12はこの発明の実施の形態8による無
給電点折り返しダイポールアンテナを示すもので、図に
おいて、50はアンテナ素子、sは間隙、lは素子の長
さであり、間隙sは素子の長さlに比べて十分狭いもの
とする。
【0064】この折り返しダイポールアンテナであるア
ンテナ素子50を、例えば、図5や図7のアンテナ素子
の代わりに電磁輻射源2を取り巻くように配置した場
合、入力インピーダンスがダイポールアンテナより高く
なることを利用して、周辺回路や給電点とのインピーダ
ンス整合を図ることができる。さらに、折り返しダイポ
ールアンテナはダイポールアンテナよりも広帯域である
から、抑制できる不要輻射の周波数範囲を広く取ること
ができる。
【0065】次に、図13はこの発明の実施の形態8に
よる不要輻射抑制システムを示す構成図であり、図にお
いて、51〜56は互いに長さの異なる導体線であり、
個々に無給電点ダイポールアンテナを成している。この
構成の特徴は、導体線51,56の電磁輻射源2側に導
体線52〜55を配した点にあり、導体線51〜56の
形成する無給電点ダイポールアンテナの各々は、共振周
波数を独立に設定でき、これにより、複数の周波数帯域
の電磁波も吸収できるようになる。この例では、無給電
点ダイポールアンテナを6基としたが、基数および配列
パターンは任意である。
【0066】なお、図12と図13には無給電点ループ
アンテナを示したが、各導体線の中間部を切断して給電
点を設け、この給電点に整合インピーダンスを接続する
場合も考えられる。この際、図13の折り返しダイポー
ルアンテナでは、長辺のうち一本の中央を切断して給電
点を設ける。
【0067】以上のように、この実施の形態8によれ
ば、上記実施の形態3,4にて配置されるアンテナ素子
の代わりに無給電点折り返しダイポールアンテナを配置
することで、入力インピーダンスがダイポールアンテナ
より高くなり、周辺回路や給電点とのインピーダンス整
合を図ることができ、この折り返しダイポールアンテナ
はダイポールアンテナよりも広帯域であるから、抑制で
きる不要輻射の周波数範囲を広く取ることができるとい
う効果が得られる。また、長さの異なる導体線51〜5
6の無給電点ダイポールアンテナの複数を、電磁輻射源
2側に配したことにより、無給電点ダイポールアンテナ
の各々が共振周波数を独立に設定できることから、複数
の周波数帯域の電磁波も吸収できるという効果が得られ
る。
【0068】実施の形態9.上記実施の形態1〜8の空
中線回路を用いた不要輻射抑制システムは、半導体集積
回路からの不要輻射低減目的で、半導体集積回路を備え
た半導体デバイスのチップ内部に配される場合がある。
すなわち、電磁輻射源2が半導体集積回路に相当する場
合を想定する。
【0069】以下、個別に説明していく。実施の形態1
の変形例では、図2の電磁輻射源2である半導体集積回
路の外周または内部、あるいは半導体デバイスのパッケ
ージに導体を線状に蒸着させ、これを無給電点ループア
ンテナとする。これにより、半導体集積回路を構成する
クレーム生成回路などに起因する電磁波漏洩を上記実施
の形態1で述べたメカニズムで低減することができる。
【0070】実施の形態2の変形例では、図4のよう
に、実施の形態1の無給電点ループアンテナの無損失導
体で形成させたものを任意の個所で切断して給電点A
A’を設け、このAA’間にインピーダンス3を挿入す
る。インピーダンス3は、半導体集積回路を構成する半
導体基板に内蔵される場合がある。これは通常のプレー
ナ技術を用いて、半導体基板上に抵抗やコンデンサ、イ
ンダクタンスを形成させることによって実現する。
【0071】実施の形態3の変形例では、実施の形態1
の変形例同様、図5の電磁輻射源2に相当する半導体デ
バイスの外周部または内部、あるいはパッケージに導体
線を蒸着し、この導体線を無給電点ダイポールアンテナ
とする。
【0072】実施の形態4の変形例では、実施の形態
1,3の変形例同様、図7の電磁輻射源2に相当する半
導体デバイスの外周部または内部、あるいはパッケージ
に導体線を廃し、この導体線をダイポールアンテナ素子
とする。このダイポールアンテナの給電点に接続される
インピーダンス9〜12は半導体集積回路を構成する半
導体基板に内蔵される場合がある。
【0073】実施の形態5の変形例では、図8の導体板
31,33を電磁輻射源2aに相当する半導体デバイス
の基板の上面・裏面やパッケージ上面・裏面などに蒸着
させ、AA’間を導体線で接続して導体板31,33を
無給電点マイクロストリップアンテナとする。
【0074】実施の形態6の変形例では、図9の導体板
31,33を実施の形態5の変形例と同様に配し、A
A’間にインピーダンス36を接続する。なお、インピ
ーダンス36は、実施の形態2,4の変形例同様、半導
体デバイスの半導体基板に内蔵される場合がある。
【0075】実施の形態7の変形例では、図14は半導
体集積回路の外辺に配した2回巻き無給電点ループアン
テナを示すものであるが、導体環81の節点Bと節点
B’の間を、導体環81の上または下に導体橋絡配線8
2を配して電気的接続をし、多回巻線によってループア
ンテナを形成し、半導体集積回路5を取り巻くように配
させる。実施の形態7と同様、ループアンテナに給電点
を設けて整合インピーダンスを接続する場合もある。こ
のインピーダンスは半導体デバイスの半導体基板に内蔵
される場合がある。
【0076】実施の形態8の変形例では、図15は半導
体集積回路の外辺に配した無給電点ダイポールアンテナ
を示すものであるが、電磁輻射源2が半導体集積回路5
に相当する。なお、図15の導体線91〜94の本数や
長さはこれに限られず、任意に設定できるものであり、
これらの導体線91〜94は半導体デバイスの外周部ま
たは内部、あるいはパッケージに蒸着する。なお、実施
の形態8と同様、導体線を給電点のあるダイポールアン
テナとして給電点に整合インピーダンスを接続する場合
もある。この整合インピーダンスは半導体デバイスの半
導体基板に内蔵される場合がある。
【0077】
【発明の効果】以上のように、この発明によれば、電磁
輻射源に近接して包囲する導体環を用いた空中線回路
が、導体環により吸収される電磁波のエネルギーをその
寄生インピーダンスにより熱エネルギーに変換し自由空
間に放散するように構成したので、電磁輻射源により発
生する熱の放散を阻害することなく電磁波の不要輻射が
低減する効果がある。また、外来の電磁波も吸収するの
で、システム全体の不要輻射レベルを低減する効果があ
る。
【0078】この発明によれば、電磁輻射源に近接し包
囲する導体環を用いた空中線回路が、導体環の形成する
ループアンテナの給電点に接続されるインピーダンス
で、ループアンテナにより吸収される電磁波のエネルギ
ーを熱エネルギーに変換し自由空間に放散するように構
成したので、電磁輻射源により発生する熱の放散を阻害
することなく電磁波の不要輻射が低減する効果があり、
また、インピーダンスの値により吸収すべき所望の不要
輻射の周波数帯域を変えられるので、設計の自由度が高
まるという効果がある。さらに、外来の電磁波も吸収す
るので、システム全体の不要輻射レベルを低減する効果
がある。
【0079】この発明によれば、電磁輻射源に近接して
配置される導体線を用いた空中線回路が、導体線により
吸収される電磁波のエネルギーをその寄生インピーダン
スにより熱エネルギーに変換し自由空間に放散するよう
に構成したので、電磁輻射源により発生する熱の放散を
阻害することなく電磁波の不要輻射が低減する効果があ
る。また、外来の電磁波も吸収するので、システム全体
の不要輻射レベルを低減する効果がある。
【0080】この発明によれば、電磁輻射源に近接して
配置される導体線を用いた空中線回路が、導体線の形成
するダイポールアンテナの給電点に接続されるインピー
ダンスで、ダイポールアンテナにより吸収される電磁波
のエネルギーを熱エネルギーに変換し自由空間に放散す
るように構成したので、電磁輻射源により発生する熱の
放散を阻害することなく電磁波の不要輻射が低減する効
果があり、また、インピーダンスの値により吸収すべき
所望の不要輻射の周波数帯域を変えられるので、設計の
自由度が高まるという効果がある。さらに、外来の電磁
波も吸収するので、システム全体の不要輻射レベルを低
減する効果がある。
【0081】この発明によれば、導体線は長さの異なる
複数の導体線から構成されるので、導体線の長さに応じ
て対象となる電磁波による不要輻射の周波数帯域を選択
でき、幅広い不要輻射の周波数に対処しこれを低減でき
る効果がある。
【0082】この発明によれば、電磁輻射源に近接して
配置される導体板を用いた空中線回路が、導体板により
吸収される電磁波のエネルギーをその寄生インピーダン
スにより熱エネルギーに変換し自由空間に放散するよう
に構成したので、電磁輻射源から発生する電磁波の不要
輻射が低減する効果がある。また、導体板が電磁輻射源
から輻射する電磁波を自由空間から遮蔽し、逆に外来の
電磁波による電磁輻射源への擾乱を防ぐ効果もある。
【0083】この発明によれば、電磁輻射源に近接して
配置される導体板を用いた空中線回路が、導体板の形成
するマイクロストリップアンテナの給電点に接続される
インピーダンスでマイクロストリップアンテナにより吸
収される電磁波のエネルギーを熱エネルギーに変換し自
由空間に放散するように構成したので、電磁輻射源から
発生する電磁波の不要輻射が低減する効果があり、導体
板が電磁輻射源から輻射する電磁波を自由空間から遮蔽
し、逆に外来の電磁波による電磁輻射源への擾乱を防ぐ
効果もある。さらに、インピーダンスの値により吸収す
べき所望の不要輻射の周波数帯域を変えられるので、設
計の自由度が高まるという効果がある。
【0084】この発明によれば、導体板が電磁輻射源を
挟む第1および第2の導体板から成り、これらを導線に
て電気接続することにより空中線回路を構成するので、
導線で第1および第2の導体板を短絡することにより、
アンテナ素子の共振波長を制御することができ、これに
より、より高い周波数の不要輻射を低減できるという効
果がある。
【0085】この発明によれば、導体環が複線により構
成されるので、アンテナ素子としての動作利得を向上さ
せて不要輻射を低減する効果があり、また、この複線を
複数回巻きにすることで、導体環のインピーダンスをア
ンテナ素子の入力インピーダンスに整合するように高く
できる効果がある。
【0086】この発明によれば、導体線が複線により構
成されるので、個々の導体線の長さに応じたアンテナ素
子の共振周波数を独立に設定でき、これにより複数の周
波数帯域の電磁波を吸収できる効果がある。
【0087】この発明によれば、空中線回路が、半導体
集積回路に内蔵されるように構成したので、半導体集積
回路に含まれるクロック生成回路などから発生する電磁
波を吸収し不要輻射を低減する効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 受信空中線系回路を示す概念図である。
【図2】 この発明の実施の形態1による不要輻射シス
テムを示す構成図である。
【図3】 ループアンテナの入力インピーダンス周波数
特性を示すグラフである。
【図4】 この発明の実施の形態2による不要輻射抑制
システムを示す構成図である。
【図5】 この発明の実施の形態3による不要輻射抑制
システムを示す構成図である。
【図6】 ダイポールアンテナの入力インピーダンス周
波数特性を示すグラフである。
【図7】 この発明の実施の形態4による不要輻射抑制
システムを示す構成図である。
【図8】 この発明の実施の形態5による不要輻射抑制
システムを示す構成図である。
【図9】 この発明の実施の形態6による不要輻射抑制
システムを示す構成図である。
【図10】 この発明の実施の形態7による複数の導体
環を用いた不要輻射抑制システムを示す構成図である。
【図11】 この発明の実施の形態7による複数回巻き
の導体環を用いた不要輻射抑制システムを示す構成図で
ある。
【図12】 この発明の実施の形態8による無給電点折
り返しダイポールアンテナを示す図である。
【図13】 この発明の実施の形態8による不要輻射抑
制システムを示す構成図である。
【図14】 この発明の実施の形態9による半導体集積
回路の外辺に配した2回巻き無給電点ループアンテナを
示す構成図である。
【図15】 この発明の実施の形態9による半導体集積
回路の外辺に配した無給電点ダイポールアンテナを示す
構成図である。
【図16】 従来のマイクロストリップ線路(a)
(b)と一般の半導体集積回路の線路の電界分布図
(c)である。
【符号の説明】
1,81 導体環、2,2a 電磁輻射源、3,9〜1
2,36 インピーダンス、5 半導体集積回路、11
〜14,21〜28,51〜56,91〜94導体線、
21 受信電力、31,33 導体板(第1の導体板、
第2の導体板)、32 誘電体、34,35 導線、4
1,42,43 導体環、50 アンテナ素子、82
導体橋絡配線。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 5E321 AA17 AA24 AA31 AA50 GG05 GG11

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電磁波を輻射する電磁輻射源と、これに
    近接して包囲するように配置される導体環を用いた空中
    線回路とを備えた不要輻射抑制システムにおいて、 上記導体環により吸収される上記電磁波のエネルギーを
    上記導体環に基づく寄生インピーダンスにより熱エネル
    ギーに変換し、これを自由空間に放散することを特徴と
    する不要輻射抑制システム。
  2. 【請求項2】 電磁波を輻射する電磁輻射源と、これに
    近接し包囲するように配置される導体環を用いた空中線
    回路とを備え、この導体環の形成するループアンテナの
    給電点に接続されるインピーダンスで構成される不要輻
    射抑制システムにおいて、 上記ループアンテナにより吸収される上記電磁波のエネ
    ルギーを当該インピーダンスで熱エネルギーに変換する
    とともに自由空間に放散することを特徴とする不要輻射
    抑制システム。
  3. 【請求項3】 電磁波を輻射する電磁輻射源と、これに
    近接して配置される導体線を用いた空中線回路とを備え
    た不要輻射抑制システムにおいて、 上記導体線により吸収される上記電磁波のエネルギーを
    上記導体線に基づく寄生インピーダンスにより熱エネル
    ギーに変換し、これを自由空間に放散することを特徴と
    する不要輻射抑制システム。
  4. 【請求項4】 電磁波を輻射する電磁輻射源と、これに
    近接して配置される導体線を用いた空中線回路とを備
    え、この導体線の形成するダイポールアンテナの給電点
    に接続されるインピーダンスで構成される不要輻射抑制
    システムにおいて、 上記ダイポールアンテナにより吸収される上記電磁波の
    エネルギーを当該インピーダンスで熱エネルギーに変換
    し、これを自由空間に放散することを特徴とする不要輻
    射抑制システム。
  5. 【請求項5】 導体線は長さの異なる複数の導体線から
    構成されることを特徴とする請求項3または請求項4記
    載の不要輻射抑制システム。
  6. 【請求項6】 電磁波を輻射する電磁輻射源と、これに
    近接して配置される導体板を用いた空中線回路とを備え
    た不要輻射抑制システムにおいて、 上記導体板により吸収される上記電磁波のエネルギーを
    上記導体板に基づく寄生インピーダンスにより熱エネル
    ギーに変換し、これを自由空間に放散することを特徴と
    する不要輻射抑制システム。
  7. 【請求項7】 電磁波を輻射する電磁輻射源と、これに
    近接して配置される導体板を用いた空中線回路とを備
    え、この導体板の形成するマイクロストリップアンテナ
    の給電点に接続されるインピーダンスで構成される不要
    輻射抑制システムにおいて、 上記マイクロストリップアンテナにより吸収される上記
    電磁波のエネルギーを当該インピーダンスで熱エネルギ
    ーに変換し、これを自由空間に放散することを特徴とす
    る不要輻射抑制システム。
  8. 【請求項8】 導体板が電磁輻射源を挟む第1および第
    2の導体板から成り、これらを導線にて電気接続するこ
    とにより空中線回路を構成することを特徴とする請求項
    6または請求項7記載の不要輻射抑制システム。
  9. 【請求項9】 導体環が複線により構成されることを特
    徴とする請求項1または請求項2記載の不要輻射抑制シ
    ステム。
  10. 【請求項10】 導体線が複線により構成されることを
    特徴とする請求項3または請求項4記載の不要輻射抑制
    システム。
  11. 【請求項11】 空中線回路が、半導体集積回路に内蔵
    されることを特徴とする請求項1乃至請求項4,請求項
    6および請求項7のうちのいずれか1項記載の不要輻射
    抑制システム。
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