JP7158606B2 - アンテナ装置および無線通信機能付きセンサ - Google Patents

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Description

本発明は、無線通信装置などに用いられるアンテナ装置、および当該アンテナ装置を備える無線通信機能付きセンサに関する。
無線通信がマルチパス環境下で行われる場合、マルチパスフェージングによる通信品質の劣化を回避するために、無線通信装置にダイバーシチ機能を持たせることが有効である。ダイバーシチ機能を有する無線通信装置では、複数のアンテナを使用して、各アンテナの利得を高くし、かつ各アンテナ間の相関を低くすることが求められる。各アンテナの放射パターンが似ている場合は当該各アンテナ間の相関が高くなり、各アンテナの放射パターンが似ていない場合は当該各アンテナ間の相関が低くなる。また、アンテナ間の結合量を低くすることは、アンテナ間の相関を低くすることと等価である。
従来、2つのアンテナで構成されるダイバーシチアンテナにおいて、アンテナ間の相関を低減する方法が検討されている。例えば、一方のアンテナの給電点近傍にスリットを設け、スリット部分に電流を集中させることによってアンテナ間の相関を低減する技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。また、電磁シールドにスリットを設けることによって電磁シールド上における高周波電流分布を変更し、水平方向におけるアンテナ利得を改善する技術が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
特開2013-197787号公報 特許第3251680号公報
特許文献1の技術を用いることによって、アンテナ間の相関を低減することが可能である。一方、通信品質を向上させるためには、アンテナ間の相関を低減するだけでなく、特定の面内における平均化利得を増加させることも必要である。ここで、平均化利得とは、ある面内における利得の平均をいう。
同一型かつ固定式であり、地上から同程度の高さに設けられたアンテナ装置間で通信を行う場合、通信相手であるアンテナ装置は概ね同一の水平面内(所望とする特定の面内)に位置する。従って、水平面内の通信相手方向において、アンテナ装置が備える2つのアンテナの利得を平均的に高くすることによって、長距離通信が可能となる。ここで、固定式のアンテナ装置とは、使用時に向きが変わらず、すべて同一の向きに固定して設置されるアンテナ装置のことをいう。
従来、所望とする特定の面内における平均化利得の増加を目的とした対策がなされておらず、水平面内すなわち通信相手方向のアンテナ利得が低く、通信品質が低いという課題がある。特許文献1の技術では、地板上辺(利得を増加させたい所望の面内と平行な辺)の電流を遮る手段がないため、当該地板上辺に電流が流れて放射する。これにより、所望の面内と直交する面において放射量が増加するため、所望の面内において平均化利得を向上させることが困難である。また、スリットの位置が給電点に近接しているため、良好な整合状態が得られない。
また、特許文献2の技術は、電磁シールドが地板として動作する1/4波長の不平衡系アンテナにおいて、給電点から1/4波長離れた位置にスリットを設けることによって電磁シールド上を流れる高周波電流を遮断し、1/2波長ダイポールアンテナに類似する高周波電流分布とすることによって水平方向における利得を改善している。しかし、高周波電流分布が1/2波長ダイポールアンテナに類似するためには、地板の形状が携帯電話のような略長方形であり、かつアンテナが長手方向の端部に設けられ、地板上の高周波電流は長手方向に流れると近似できる必要がある。また、特定の面内におけるアンテナ利得を改善するためには、当該特定の面に対して地板の長手方向を垂直にする必要がある。すなわち、アンテナは、特定の面内に平行な辺に設けられる必要がある。
特許文献2では、地板の形状が正方形に近い場合、すなわち高周波電流が地板上の特定の辺に平行な方向だけに流れない場合、およびアンテナをアンテナ利得を改善したい面に対して垂直な辺に設けた場合について、何ら言及されていない。また、特許文献2では、地板におけるアンテナの取り付け位置と対抗する一辺にスリットの終点を近づけた構成および効果について何ら言及されていない。
このように、従来では、2つのアンテナで構成されるダイバーシチアンテナを備えるアンテナ装置において、通信品質の改善の余地があった。
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、通信品質を向上させることが可能なアンテナ装置、および当該アンテナ装置を備える無線通信機能付きセンサを提供することを目的とする。
上記の課題を解決するために、本発明によるアンテナ装置は、方形の誘電体基板と、誘電体基板上に設けられた導電性の地板と、誘電体基板上であって、誘電体基板の一辺である第1基板辺に沿って設けられた第1アンテナと、誘電体基板上であって、第1基板辺と直交する第2基板辺に沿って設けられた第2アンテナと、誘電体基板上であって、第1アンテナと地板との間に設けられ、第1アンテナに給電する第1給電点と、誘電体基板上であって、第2アンテナと地板との間に設けられ、第2アンテナに給電する第2給電点とを備え、地板は、第1基板辺と平行な2つの辺のうち第1アンテナに近い方の辺である第1地板辺と、第1地板辺に対向する第2地板辺と、第2基板辺と平行な2つの辺のうち第2アンテナに近い方の辺である第3地板辺と、第3地板辺に対向する第4地板辺とを有し、第2地板辺を始点とする、または第3地板辺でありかつ第2給電点よりも第2地板辺側を始点とするスリットを有する。
本発明によると、アンテナ装置は、誘電体基板上に設けられた導電性の地板と、誘電体基板の第1基板辺に沿って設けられた第1アンテナと、第1基板辺と直交する第2基板辺に沿って設けられた第2アンテナと、第1アンテナと地板との間に設けられ第1アンテナに給電する第1給電点と、第2アンテナと地板との間に設けられ第2アンテナに給電する第2給電点とを備え、地板は、第1基板辺と平行な2つの辺のうち第1アンテナに近い方の辺である第1地板辺と、第1地板辺に対向する第2地板辺と、第2基板辺と平行な2つの辺のうち第2アンテナに近い方の辺である第3地板辺と、第3地板辺に対向する第4地板辺とを有し、第2地板辺を始点とする、または第3地板辺でありかつ第2給電点よりも第2地板辺側を始点とするスリットを有するため、通信品質を向上させることが可能となる。
本発明の目的、特徴、態様、および利点は、以下の詳細な説明と添付図面とによって、より明白となる。
本発明の実施の形態1によるアンテナ装置の構成の一例を示す図である。 比較用アンテナ装置の構成の一例を示す図である。 座標系を説明するための図である。 比較用アンテナ装置における電流の向きを示す図である。 比較用アンテナ装置における電流の向きを示す図である。 比較用アンテナ装置の放射パターンの一例を示す図である。 本発明の実施の形態1によるアンテナ装置の放射パターンの一例を示す図である。 本発明の実施の形態1によるアンテナ装置における電流の向きを示す図である。 本発明の実施の形態1によるアンテナ装置の構成の一例を示す図である。 本発明の実施の形態1によるアンテナ装置の放射パターンの一例を示す図である。 本発明の実施の形態1によるアンテナ装置の構成の一例を示す図である。 本発明の実施の形態1によるアンテナ装置の放射パターンの一例を示す図である。 本発明の実施の形態2によるアンテナ装置の構成の一例を示す図である。 本発明の実施の形態2によるアンテナ装置の放射パターンの一例を示す図である。 本発明の実施の形態1によるアンテナ装置のインピーダンス特性の一例を示す図である。 本発明の実施の形態2によるアンテナ装置のインピーダンス特性の一例を示す図である。 本発明の実施の形態1によるアンテナ装置の電流強度分布の一例を示す図である。 本発明の実施の形態2によるアンテナ装置の電流強度分布の一例を示す図である。 本発明の実施の形態2によるアンテナの放射効率を比較した表である。 本発明の実施の形態1によるアンテナ装置の電界強度分布の一例を示す図である。 本発明の実施の形態2によるアンテナ装置の電界強度分布の一例を示す図である。 本発明の実施の形態3によるアンテナ装置の構成の一例を示す図である。 本発明の実施の形態4によるアンテナ装置の構成の一例を示す図である。 本発明の実施の形態4によるアンテナ装置における電流の向きを示す図である。 本発明の実施の形態5による測定システムの構成の一例を示す図である。 本発明の実施の形態1~5によるアンテナ装置におけるスリット長と水平面内平均利得の最悪値の改善量との関係を示す図である。 本発明の実施の形態1~5によるアンテナ装置を適用した通信システムの一例を示す図である。
本発明の実施の形態について、図面に基づいて以下に説明する。なお、各図面において、同一または同等の部分には同一の符号を付している。また、第1アンテナ3および第2アンテナ4(例えば、後述の図1参照)は同一周波数で動作するものとし、動作周波数をf、当該動作周波数の自由空間波長をλ、電気波長をλとする。
図27は、以下で説明する実施の形態1~5によるアンテナ装置を適用した通信システムの一例を示す図である。図27に示すように、アンテナ装置31,32,33のそれぞれは、支持具の上部であって地上から同程度の高さの位置に設けられている。具体的には、アンテナ装置31は高さh1の位置に設けられ、アンテナ装置32は高さh2の位置に設けられ、アンテナ装置33は高さh3の位置に設けられている。ここで、h1≒h2≒h3である。
アンテナ装置31,32,33間で無線通信する際、通信相手は概ね水平面内に位置するため、水平面内のアンテナ利得を増加させることによってアンテナ装置31,32,33間の通信可能距離が延びる。また、十分な通信感度(利得)を有することによって、通信エラー率が下がり、通信品質の向上にも寄与する。以下では、各実施の形態1~5によるアンテナ装置について詳細に説明する。
<実施の形態1>
図1は、本実施の形態1によるアンテナ装置の構成の一例を示す図である。
図1に示すように、アンテナ装置は、誘電体基板1と、地板2と、第1アンテナ3と、第2アンテナ4と、第1給電点5と、第2給電点6と、スリット7とを備えている。地板2は、略方形であり、第1地板辺である地板下辺21、第3地板辺である地板左辺22、第2地板辺である地板上辺23、および第4地板辺である地板右辺24を有している。また、中心線8は、地板2を上下の2つの領域に分割する直線である。なお、図1中における上方向は+z軸方向に相当し、下方向は-z軸方向に相当し、右方向は+y軸方向に相当し、左方向は-y軸方向に相当する。他のアンテナ装置を示す図面においても同様である。
方形の誘電体基板1上には、第1アンテナ3および第2アンテナ4の接地導体となる導電性の地板2が設けられている。誘電体基板1は、例えばガラスエポキシで構成されている。本明細書では、誘電体基板1のパラメータとして、比誘電率ε=4.4、誘電正接tanδ=0.02、基板厚3.1E-3λを一例として用い、解設計結果を示す。アンテナ装置を動作させるためには、地板2上に電子部品を設け、誘電体基板1と地板2とでプリント回路基板を構成する必要があるが、本明細書では概略的に、地板2を誘電体基板1の表面に設けられた単一面の導体として扱う。
第1アンテナ3および第2アンテナ4は、誘電体基板1上にエッチング加工などによって形成された導体パターンである。なお、第1アンテナ3および第2アンテナ4は、板金または金属線で構成してもよい。
第1アンテナ3の給電点である第1給電点5は、第1アンテナ3と地板2との間に設けられている。第2アンテナ4の給電点である第2給電点6は、第2アンテナ4と地板2との間に設けられている。
第1アンテナ3は、第1給電点5から延伸して途中で2手に分岐し、一方は誘電体基板1の下部である第1基板辺に沿って+y軸方向に延伸し、他方は地板2に短絡されている。第1アンテナ3は、短絡部を設けることによって逆Fアンテナとして振る舞い、第1アンテナ3と第1給電点5とのインピーダンス整合が容易になる。なお、短絡部を設けることは、アンテナ装置の動作に必須ではない。このように、第1アンテナ3は誘電体基板1の下部に設けられ、第1給電点5は誘電体基板1の左下部に設けられる。
第2アンテナ4は、第2給電点6から延伸して途中で2手に分岐し、一方は誘電体基板1の左部である第2基板辺に沿って+z軸方向に延伸し、他方は地板2に短絡されている。第2アンテナ4は、短絡部を設けることによって逆Fアンテナとして振る舞い、第2アンテナ4と第2給電点6とのインピーダンス整合が容易になる。なお、第1アンテナ3と同様、短絡部を設けることは、アンテナ装置の動作に必須ではない。このように、第2アンテナ4は誘電体基板1の左部に設けられ、第2給電点6は誘電体基板1の左下部に設けられる。図1に示すように、第1アンテナ3および第2アンテナ4は対称的な位置に配置されている。
第1給電点5および第2給電点6を誘電体基板1の左下部において近接させ、かつ第1アンテナ3と第2アンテナ4とをそれぞれが直交する方向に配置することによって、第1アンテナ3と第2アンテナ4との相関が低くなり、第1アンテナ3および第2アンテナ4はダイバーシチアンテナとして有効に動作する。なお、図1では、第1給電点5および第2給電点6を併記しているが、ダイバーシチアンテナとして動作する際は、第1アンテナ3および第2アンテナ4が同時に給電されることはない。
スリット7は、地板左辺22において第2給電点6から+z軸方向に0.018λ離れた位置を始点として、+y軸方向に0.18λ(0.22λ)の長さである。なお、本明細書では、誘電体基板1および地板2のサイズは、図1に示す寸法で統一して解析結果を示す(他の図では寸法の記載を省略している場合がある)。
図2は、本実施の形態1によるアンテナ装置と比較するために準備した比較用アンテナ装置の構成の一例を示す図である。図2に示すように、比較用アンテナ装置では、地板2にスリットが設けられていない。その他の構成は、図1に示すアンテナ装置と同様であるため、ここでは詳細な説明を省略する。
図3は、座標系を説明するための図である。本明細書では、xy面を水平面と定義し、第1アンテナ3および第2アンテナ4のxy面内における平均化利得の最悪値を改善することを目的とする。ここで、第1アンテナ3および第2アンテナ4のxy面内における平均化利得の最悪値とは、第1アンテナ3のxy面内における平均化利得の値と、第2アンテナ4のxy面内における平均化利得の値とのうち、利得が悪い方の値をいう。
図2に示すような地板2にスリットを設けていないアンテナ装置を比較用アンテナ装置として採用しているが、当該比較用アンテナ装置に対する本実施の形態1によるアンテナ装置の優位性は、特許文献1の技術に対する本実施の形態1によるアンテナ装置の優位性としてそのまま成立する。なぜなら、本実施の形態1では地板2の地板上辺23に分布する高周波電流を抑制することを指向しているが、特許文献1において示されている位置(アンテナの給電点よりも下側の位置)にスリットを設けても、本実施の形態1における地板2の地板上辺23に相当する辺に流れる電流を抑制することができないためである。
次に、アンテナ装置の動作について説明する。
まず、本実施の形態1によるアンテナ装置が解決する課題について説明する。図4,5は、比較用アンテナ装置における電流の向きを示す図である。図4は第1アンテナ3の給電時の電流の向きを示し、図5は第2アンテナ4の給電時の電流の向きを示している。なお、図4,5において、ハッチングされた矢印は電流の向きを示している。
図4に示すように、第1アンテナ3の給電時において、第1アンテナ3と当該第1アンテナ3に対向する地板下辺21とは波長比で近接しているため、地板下辺21には第1アンテナ3とは逆向きの電流が流れる。従って、地板下辺21および第1アンテナ3のそれぞれを流れる電流間の放射は相殺されるため、主たる放射源にならない。一方、地板左辺22および地板右辺24には-z軸方向の同相の電流が流れるため、地板左辺22および地板右辺24からの放射が支配的になる。これらの放射は、z軸に沿う電流源からの放射となるため、xy面内において高利得の無指向性放射パターン(zx面内において8の字の指向性)となり、xy面内における平均化利得が高くなる。
図5に示すように、第2アンテナ4の給電時では、第1アンテナ3の給電時における電流分布と直交する電流分布となり、y軸方向に沿う電流源からの放射が支配的になる。従って、zx面内において無指向性放射パターン(xy面内において8の字の指向性)となり、xy面内における平均化利得が第1アンテナ3と比較して低くなる。
図6は、図2に示す比較用アンテナ装置において、第1アンテナ3のおよび第2アンテナ4のそれぞれの給電時の放射パターン(EφおよびEθの両偏波の合成利得)を示す図である。上述の通り、第1アンテナ3の給電時は平均化利得が高く、第2アンテナ4の給電時は平均化利得が低い。
次に、地板2にスリット7を設けることによって得られる効果について説明する。以下では、平均化利得が低い第2アンテナ4の給電時の動作について説明する。
図7は、図1に示す本実施の形態1によるアンテナ装置において、第1アンテナ3のおよび第2アンテナ4のそれぞれの給電時の放射パターン(EφおよびEθの両偏波の合成利得)を示す図である。図7に示すように、図6に示す比較用アンテナ装置と比較すると、地板2にスリット7を設けることによって第1アンテナ3の給電時のxy面内における平均化利得は低下するが、本実施の形態1の目的は第1アンテナ3および第2アンテナ4のxy面内における平均化利得の最悪値を改善することである。従って、本実施の形態1では、第1アンテナ3の給電時のxy面内における平均化利得の低下を抑えつつ、第2アンテナ4の給電時のxy面内における平均化利得を増加させることによって、第1アンテナ3および第2アンテナ4のxy面内における平均化利得の最悪値を改善する。
図8は、図1に示す本実施の形態1によるアンテナ装置において、第2アンテナ4の給電時の電流の向きを示す図である。図8に示すように、地板左辺22を流れる電流はスリット7に沿って流れ、スリット7の両サイドでは逆向きの電流が流れる。ここで、スリット7の両サイドとは、スリット7を構成し、かつスリット7の幅方向に対向する2つの辺のことをいう。
長さが約λ/4のスリット7はチョークとして動作し、地板2の外形に沿って地板上辺23を流れ得る電流を遮断する。以下では、スリット7の長さのことをスリット長という。スリット7のスリット長は、約λ/4であることが望ましい。なぜなら、スリット7を流れる電流によって、スリット7上には定在波(電流分布の腹と節)が生じる。そして、スリット7のスリット長がλ/4の場合、スリット7の終点では電流値の腹(インピーダンス最小)、スリット7の始点では電流値の節(インピーダンス最大)が生じる。このように、スリット7の始点でインピーダンスが最大となることから、第2給電点6からの電流はスリット長がλ/4であるスリット7によって最も遮断される。スリット7における定在波分布によって電流が遮断されるため、地板2のサイズと、第1アンテナ3および第2アンテナ4のそれぞれのアンテナ長は、スリット長λ/4に大きく影響しない。
これにより、地板上辺23における電流源からの放射が抑制される。また、スリット7の終点付近である地板右辺24付近では、+z軸方向を向く電流分布となるため、xy面内において無指向性の電波が放射される。このことは、xy面内における平均化利得の増加に寄与する。
上記より、図7に示すように、第1アンテナ3の給電時および第2アンテナ4の給電時のxy面内における平均化利得の最悪値は、図6に示す比較用アンテナ装置よりも向上する。このように、本実施の形態1によるアンテナ装置は、地板左辺22を始点とするスリット7を設けることによって、第1アンテナ3の給電時および第2アンテナ4の給電時のxy面内における平均化利得の最悪値を改善することができる。
<変形例1>
図9は、本実施の形態1の変形例1によるアンテナ装置の構成の一例を示す図であり、第2アンテナ4の給電時の電流の向きを示している。なお、図9において、ハッチングされた矢印は電流の向きを示している。図9に示すアンテナ装置は、地板2に設けられたスリット7の位置および形状が図1に示すアンテナ装置と異なっている。その他の構成は、図1に示すアンテナ装置と同様であるため、ここでは詳細な説明を省略する。
図9に示すように、スリット7の始点は、地板上辺23に位置している。スリット7の始点が地板上辺23に位置する場合、スリット7の始点よりも地板右辺24側では、スリット7によって電流が遮断される。従って、zx面内において放射される無指向性の電波の利得を低くすることができる。そして、スリット7の終点付近である地板右辺24付近で-z軸方向に電流を形成することができるため、xy面内における平均化利得を向上させることができる。
図10は、図9に示すアンテナ装置において、第1アンテナ3のおよび第2アンテナ4のそれぞれの給電時の放射パターン(EφおよびEθの両偏波の合成利得)を示す図である。図6に示す比較用アンテナ装置の放射パターンと比較すると、第1アンテナ3の給電時および第2アンテナ4の給電時のxy面内における平均化利得の最悪値は向上している。
このように、地板上辺23を始点とするスリット7を設けることによって、第1アンテナ3の給電時および第2アンテナ4の給電時のxy面内における平均化利得の最悪値を改善することができる。また、スリット7の形状は、図9に示す形状に限らず、地板上辺23から-z軸方向にまっすく延伸した形状であっても、第1アンテナ3の給電時および第2アンテナ4の給電時のxy面内における平均化利得の最悪値を向上させることができる。図9に示すようにスリット7の形状を曲げる狙いは、スリット長を稼ぐことと、地板2においてスリット7が設けられるエリアを小さくすることにある。
<変形例2>
図11は、本実施の形態1の変形例2によるアンテナ装置の構成の一例を示す図である。図11に示すアンテナ装置は、スリット7の終点が第1給電点5および第2給電点6の近くに位置することを特徴としている。その他の構成は、図1に示すアンテナ装置と同様であるため、ここでは詳細な説明を省略する。
図11に示すように、第2アンテナ4の給電時は、スリット7によって地板上辺23の電流が遮断され、地板右辺24でz軸に平行な方向(-z軸および+z軸の両方を含む)の電流分布が生じるため、xy面内における平均化利得を増加させることができる。
図12は、図11に示すアンテナ装置において、第1アンテナ3のおよび第2アンテナ4のそれぞれの給電時の放射パターン(EφおよびEθの両偏波の合成利得)を示す図である。図6に示す比較用アンテナ装置の放射パターンと比較すると、第1アンテナ3の給電時および第2アンテナ4の給電時のxy面内における平均化利得の最悪値は向上している。
このように、地板左辺22を始点とし、終点を第1給電点5および第2給電点6に近接するようにスリット7を設けた場合であっても、第1アンテナ3の給電時および第2アンテナ4の給電時のxy面内における平均化利得の最悪値を改善することができる。また、スリット7の形状は、図11に示す形状に限らず、スリット7の始点を第2給電点6に近づけた形状、あるいはスリット7を左斜下または右斜下に延伸して終点を第1給電点5および第2給電点6に近づけた形状であっても、第1アンテナ3の給電時および第2アンテナ4の給電時のxy面内における平均化利得の最悪値を向上させることができる。
上記で説明した図1,9,11のアンテナ装置は、第1アンテナ3の給電時および第2アンテナ4の給電時のxy面内における平均化利得の最悪値を改善するためには、xy面内における平均化利得が低くなる第2アンテナ4の給電時に地板上辺23の電流をスリット7によって遮断する必要があることを明らかにした。すなわち、スリット7の始点は、地板左辺22または地板上辺23に設ける必要がある。
また、スリット7の始点を地板上辺23に設けた図9に示すアンテナ装置よりも、スリット7の始点を地板左辺22に設けた図7,12に示すアンテナ装置の方が、第1アンテナ3の給電時および第2アンテナ4の給電時のxy面内における平均化利得の最悪値が向上している。これは、地板左辺22にスリット7の始点を設けることによって、地板上辺23を流れる電流を遮断する効果が向上するためである。すなわち、第1アンテナ3の給電時および第2アンテナ4の給電時のxy面内における平均化利得の最悪値をより向上させるためには、スリット7の始点を地板上辺23に設ける場合、当該始点を地板左辺22側に寄せることが望ましい。
上記では、第1アンテナ3の給電時および第2アンテナ4の給電時のxy面内における平均化利得の最悪値を改善するためには、地板右辺24付近でz軸方向を向く電流分布を発生させる必要があることを明らかにした。地板右辺24付近でz軸方向を向く電流分布を発生させる手法としては、スリット7の終点を地板右辺24に近接させることが挙げられる。しかし、図11に示すスリット7の形状のように、スリット7の終点は必ずしも地板右辺24に近接させる必要はないことを示した。すなわち、スリット7の終点、およびスリット7の形状には自由度があるといえる。
<実施の形態2>
図13は、本実施の形態2によるアンテナ装置の構成の一例を示す図である。本実施の形態2によるアンテナ装置は、実施の形態1で説明した図1に示すアンテナ装置よりも、スリット7の終点が第2給電点6から離れていることを特徴としている。その他の構成は、図1に示すアンテナ装置と同様であるため、ここでは詳細な説明を省略する。
図13に示すように、スリット7の始点を第2給電点6から遠ざけた位置に設けることによって、50Ω系の給電点に対する第2アンテナ4のインピーダンス整合の状態を良好にすることができる。また、スリット7の終点を地板右辺24付近とすることによって、第2アンテナ4の放射効率を向上させることができる(詳細は後述する)。
スリット7は、地板左辺22において第2給電点6から+z軸方向に0.11λ離れた位置を始点として、+y軸方向に0.18λ(0.22λ)延伸している。
図14は、図13に示すアンテナ装置において、第1アンテナ3のおよび第2アンテナ4のそれぞれの給電時の放射パターン(EφおよびEθの両偏波の合成利得)を示す図である。図6に示す比較用アンテナ装置の放射パターンと比較すると、第1アンテナ3の給電時および第2アンテナ4の給電時のxy面内における平均化利得の最悪値は向上している。また、第1アンテナ3および第2アンテナ4における利得が低い方向と高い方向とが逆転しており、ダイバーシチに有効な特性が得られる。
図15は、図1に示すアンテナ装置の同一周波数帯における入力インピーダンス特性(スミスチャート)を示す図である。図16は、図13に示すアンテナ装置の同一周波数帯における入力インピーダンス特性(スミスチャート)を示す図である。図17は、図1に示すアンテナ装置の同一周波数帯における地板2上の電流強度分布を示す図である。図18は、図13に示すアンテナ装置の同一周波数帯における地板2上の電流強度分布を示す図である。
図1,13に示す各アンテナ装置の電流強度分布を比較すると、スリット7の始点が給電点に近い図1に示すアンテナ装置では、スリット7の周囲に電流が集中しているため第2給電点6付近の電流値が大きくなり、第2アンテナ4のインピーダンスが低くなる。すなわち、50Ω系の第2給電点6に対するインピーダンス整合の状態が悪化する。また、スリット7はチョークとして動作するため、給電点から見てスリット7の反対側には放射に寄与する電流が流れない。従って、放射素子として活用することができる実効的な地板2のサイズは、スリット7と第2給電点6とに挟まれた狭い領域となる。不平衡型の小形アンテナ素子では、地板2にも電流を流してアンテナとして活用することによって、良好なアンテナ性能が得られる。図1に示すアンテナ装置では、第2アンテナ4のインピーダンス整合の状態が良好ではなく、地板2も有効に活用していないため、良好なアンテナ性能が得られない。一方、図13に示すアンテナ装置では、図1に示すアンテナ装置で起きた現象が緩和されるため、良好なアンテナ性能が得られる。
図19は、図11に示すアンテナ装置および図13に示すアンテナ装置のアンテナの放射効率を比較した表であり、両者の差分を示している。
図11に示すアンテナ装置では、電流が大きくなる地板2の第2給電点6付近に、スリット7において電流が最大となる終点が近接することによって、第2給電点6付近に電流が集中する。導体損は電流の二乗に比例するため、特定の領域に電流が集中すると、トータルの導体損(電力損)は大きくなる。
例えば、抵抗をR、電流をI、導体損をPとした場合について考察する。電流が均等であるとき、すなわちI=I=1(I+I=2)であるとき、P=RI +RI =2Rとなる。一方、電流が特定の領域に集中しているとき、すなわちI=1.5かつI=0.5(I+I=2)であるとき、P=RI +RI =2.5Rとなる。
上記より、導体損を小さくする(すなわち、放射効率を高くする)ためには、スリット7の終点を第2給電点6から遠ざけた地板右辺24側に寄せることが望ましい。
図20,21を用いて誘電体損について説明する。図20は、図11に示すアンテナ装置の電界強度分布を示す図である。図21は、図13に示すアンテナ装置の電界強度分布を示す図である。
図20に示すように、図11に示すアンテナ装置では、スリット7に沿って大きな電界が生じている。一方、図21に示すように、図13に示すアンテナ装置では、電界強度の大きな範囲が図11に示すアンテナ装置よりも小さい。誘電体損は、電界強度の二乗に比例して大きくなるため、電界強度が小さい図13に示すアンテナ装置の方が誘電体損が小さく、すなわち放射効率の向上が可能である。
以上のことから、本実施の形態2では、スリット7の始点を第2給電点6から遠ざけることによって、第2アンテナ4のインピーダンス整合の状態が改善することを示した。すなわち、スリット7の始点は、地板左辺22における地板上辺23側に寄せることが望ましい。また、スリット7の終点を第2給電点6から遠ざけることによって、放射効率が向上することを示した。すなわち、スリット7の終点は、地板右辺24側に寄せることが望ましい。
<実施の形態3>
図22は、本実施の形態3によるアンテナ装置の構成の一例を示す図である。本実施の形態3によるアンテナ装置は、スリット7の始点が地板上辺23に位置し、かつスリット7の形状がL字形状であることを特徴としている。その他の構成は、図1に示すアンテナ装置と同様であるため、ここでは詳細な説明を省略する。
スリット7の始点は、地板上辺23の左端部に位置し、スリット7の形状はL字形状である。スリット7の動作周波数は、スリット長に依存するため、低い周波数でスリット7を動作させるためにはスリット長を長くする必要がある。そのため、図22に示すように、スリット7をL字に折り曲げて配置している。L字のz軸方向の長さを短くすることによって、スリット7がない地板2の方形面積を広げることができる。これにより、地板2上に実装される電子部品の専有面積が広がり、電子部品のレイアウトなどの観点において回路基板の設計が容易となる。
スリット7の始点が地板上辺23の地板左辺22側に位置し、かつスリット7の終点が地板右辺24付近に位置するため、第1アンテナ3の給電時および第2アンテナ4の給電時のxy面内における平均化利得の最悪値を向上させるだけでなく、良好なインピーダンス整合、および高い放射効率を得ることができる。
以上のことから、本実施の形態3によれば、スリット7の始点を地板上辺23としたL字形状のスリット7を設けることによって、第1アンテナ3の給電時および第2アンテナ4の給電時のxy面内における平均化利得の最悪値を向上させることができる。また、スリット7の動作周波数の低周波数化、および回路基板の設計の容易化を実現することができる。
<実施の形態4>
図23は、本実施の形態4によるアンテナ装置の構成の一例を示す図である。本実施の形態4によるアンテナ装置は、スリット7の始点と終点との間に電子部品10を設けることを特徴とする。その他の構成は、図1に示すアンテナ装置と同様であるため、ここでは詳細な説明を省略する。
電子部品10は、例えば抵抗、インダクタ、またはキャパシタなどであり、スリット7の幅方向を跨いで両端が地板2に接続されている。電子部品10を設けることによって、等価的なスリット長を調整することができる。
プリント基板の作製工程において第1アンテナ3および第2アンテナ4のパターンの形成、およびスリット7のスリット長を決定した後に、スリット7の動作周波数を調整したい場合、スリット長を変えたプリント基板を再製造することはコストがかかる。このようなプリント基板の再製造を避けて、スリット7の動作周波数を可変とするために、スリット7の途中に電子部品10を設ける。なお、電子部品10は、適宜設計によって複数個設けてもよい。
例えば、電子部品としてジャンパー抵抗を用いた場合について考察する。スリット7の全長の10%の距離だけ、スリット7の終点から始点側にシフトした位置にジャンパー抵抗を設ける。このような構成とすることによって、スリット7の動作周波数を10%高くすることができる。
図24は、図23に示すアンテナ装置における電流の流れを示す図である。なお、図中のハッチングされた矢印は電流の向きを示している。
図24に示すように、スリット7に沿って流れる電流は、短絡素子として動作するジャンパー抵抗を流れ、ジャンパー抵抗よりも地板右辺24側には流れない。
電子部品10の両端は、半田などによって地板2に導通させる必要があるが、電子部品10を実装するためには、スリット7の途中に実装用のパッド(ランド)をあらかじめ設ける必要がある。しかし、製造上設けることができるパッドは有限であり、設けられたパッドの間隔は離散的になるため、限られたパッドの位置では所望の周波数で動作するスリット7に調整することができない場合がある。この場合、電子部品10としてインダクタまたはキャパシタであるリアクタンス素子を用いることによって、スリット7の始点から終点側をみたスリット7のインピーダンスを細かく調整可能であるため、スリット7の動作周波数も細かく調整することができる。また、電子部品10としてジャンパー抵抗またはリアクタンス素子ではなく抵抗素子を用いる場合でも、スリット7のインピーダンスを調整することが可能である。
スリット7の動作周波数を調整するために、電子部品10として可変素子(可変インダクタンス、可変キャパシタ、可変抵抗、スイッチなど)を用いることも可能である。これにより、スリット7の動作周波数を切り替えることができ、第1アンテナ3および第2アンテナ4をマルチバンドで設計している場合、各周波数に適したスリット7の動作を実現することができる。このように、本実施の形態4によれば、スリット7の途中に電子部品10を設けることによって、プリント基板を再設計することなく等価的なスリット長を調整することができる。
<実施の形態5>
図25は、本実施の形態5による測定システムの構成の一例を示す図である。本実施の形態5による測定システムは、実施の形態2で説明した図13に示すアンテナ装置と、計測部11とを備えることを特徴としている。なお、図25では、図13に示すアンテナ装置を図示しているが、図1,9,11,22,23に示すアンテナ装置であってもよい。
図25に示すように、計測部11は、アンテナ装置における地板上辺23側に配置されている。また、計測部11とアンテナ装置とは、両端に接続コネクタ13,14を有する接続ケーブル12によって電気的に接続されている。具体的には、接続ケーブル12の接続コネクタ13は、アンテナ装置の地板右辺24に接続されている。例えば、測定システムは、センサネットワークに設けられた無線通信機能付きセンサである。
次に、測定システムの動作について説明する。
計測部11で計測されたデータは、接続ケーブル12を介してアンテナ装置に送られ、アンテナ装置から放射される電波で通信相手まで送信される。構成要素に金属を含む計測部11が、電波の放射源である地板2に近接して配置されると、アンテナ性能に影響を及ぼす。ここで、計測部11が地板2に近接するとは、例えば、計測部11と地板上辺23との距離が0.1λ以下であることをいう。なお、計測部11は、計測したデータに限らず、計測部11のID、および計測した時刻の情報などを、アンテナ装置を介して通信相手に送信してもよい。
地板2にスリット7を設けていない場合、第2アンテナ4の給電時に地板上辺23にも大きな電流が流れ、近接する計測部11の金属部に地板上辺23側と逆相の電流が誘起され、アンテナの放射効率が劣化する。また、計測部11に誘起された高周波電流が放射源となり、不要な放射の発生によって所望の放射パターンが得られなくなる。
一方、地板2にスリット7が設けられている場合、スリット7によって地板上辺23の電流が遮断されるため、地板2にスリット7を設けていない場合に生じる上記問題が緩和される。このように、本実施の形態5では、計測部11が地板上辺23側に配置された場合でも、アンテナ性能の劣化を軽減することができる。
なお、接続ケーブル12の接続コネクタ13を地板右辺24に接続する利点は2つある。1つ目は、接続コネクタ13を地板2において電流が大きい第1給電点5および第2給電点6から離すことによって、接続ケーブル12に流れ込む電流を小さくし、接続ケーブル12の這い回しが変化した際のアンテナ装置の性能変動を抑えることができる。2つ目は、地板右辺24付近は計測部11が配置されないため、接続コネクタ13の設置スペースを十分に確保することができる。例えば、地板上辺23に接続コネクタ13を設ける場合、地板上辺23付近では、地板2、接続ケーブル12、および計測部11が密集するため、それらに流れる電流から放射される電波が打ち消し合い、アンテナ性能が劣化する。
<実施の形態1~5の共通事項>
<スリット長およびスリット幅について>
図26は、図13に示すアンテナ装置とスリット7を設けないアンテナ装置(例えば、図2参照)とのそれぞれにおいて、スリット長をパラメータにしたときの第1アンテナ3の給電時および第2アンテナ4の給電時の水平面内における平均化利得の最悪値の比較結果を示す図である。なお、平均化利得は、導体損および誘電体損を考慮している。また、スリット長が0.16λ以上になる場合は、スリット7を-z軸方向に曲げてL字形状にしてモデル化する。
図26に示すように、スリット長を0.12~0.25λ(0.15~0.3λ)とすることによって、スリット7を設けないアンテナ装置と比較して、水平面内における平均化利得の最悪値を0.5dB以上改善することができる。
自由空間波長λと電気波長λとの比は、使用する誘電体基板1の厚みまたは比誘電率によって異なる。従って、自由空間波長で表現した上記のスリット長の範囲(0.12~0.25λ)は、今回の解析に用いた誘電体基板1(比誘電率ε=4.4、誘電正接tanδ=0.02、基板厚3.1E-3λ)の使用時に限った値であり、重要な寸法は電気波長で表現した上記のスリット長の範囲(0.15~0.3λ)である。最悪値の改善量が最も大きいスリット長0.2λは、電気波長0.24λであり、実施の形態1で説明したスリット長の推奨寸法である約λ/4に対応する。また、無線通信機として必要な部品を実装する面積の確保、およびスリット7に対向する辺に流れる電流を逆位相とすることを維持するために、スリット幅はλ/10以下であることが望ましい。
<スリット形状について>
図1,9,11,13,15に示すスリット形状は一例である。スリット7は、1箇所以上で折り曲げたり、円弧状に曲げたり、メアンダ形状にしたりするなど、適宜設計事項の範囲内である。ただし、スリット長については、上述の通り0.15~0.3λの範囲内とすることによって、より高い効果が得られる。
<アンテナ形状について>
第1アンテナ3および第2アンテナ4は、限られた範囲内で任意の形状とし、インピーダンスの調整および帯域の調整を図ることは適宜設計事項の範囲内である。本明細書では逆Fアンテナを用いて説明したが、給電することによって地板にも電流が流れる不平衡型のアンテナを用いた場合でも同様の効果が得られる。
<地板のサイズについて>
本明細書で示した例では、誘電体基板1のサイズを0.25λ×0.25λとしているが、アンテナからの電波の放射は地板2を流れる高周波電流によって引き起こされるため、誘電体基板1のサイズはこれに限るものではない。また、スリット7の動作という観点では、地板2のサイズには影響されず、第1アンテナ3および第2アンテナ4とスリット7との相対位置、およびスリット長に依存する。従って、地板2のサイズは任意であるが、水平面であるxy面内における平均化利得を高くするためには、地板2上に高周波電流分布の節ができないようにする必要がある。
上記より、本明細書に従ってxy面内における平均化利得を向上させるためには、地板2のサイズを(0.25λ±0.1λ)×(0.25λ±0.1λ)とすることが望ましい。
1/4波長の不平衡系アンテナが地板2の角部に配置されたとき、地板2のサイズが0.35λ×0.35λを超えると、地板2上に電流分布の節ができるため放射パターンにヌルが発生し、平均化利得の低下につながる。また、スリット7を設けるエリアを確保するために、地板2のサイズを0.1λ×0.1λ以上とすることが望ましい。
<対称配置について>
各実施の形態1~5で説明したアンテナ装置では、第1アンテナ3は地板下辺21の下側に配置され、第2アンテナ4は地板左辺22の左側に配置されている。このような構成とした場合、第2アンテナ4のxy面内における平均化利得が低下するため、地板左辺22または地板上辺23を始点とするスリット7を地板2に設けることについて説明した。
一方、zx面内における平均化利得を増加させる場合は、アンテナ装置の対称性により、第1アンテナ3の利得を改善する必要がある。このとき設けるスリット7は、第2アンテナ4のxy面内における平均化利得を増加させるために設けたスリット7を、地板2の右上角と左下角とを結ぶ直線を対称線として対称配置した位置に設ける必要があることは、アンテナの対称性から自明である。
<アンテナの可逆性について>
各実施の形態1~5では、説明を容易にするために、送信アンテナ装置または受信アンテナ装置を一例として説明したが、同様の効果はアンテナ装置の可逆性(reciprocity)によって送信アンテナ装置または受信アンテナ装置のいずれでも得られることは当業者にとって周知である。
なお、本発明は、その発明の範囲内において、各実施の形態を自由に組み合わせたり、各実施の形態を適宜、変形、省略することが可能である。
本発明は詳細に説明されたが、上記した説明は、すべての態様において、例示であって、この発明がそれに限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、この発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。
1 誘電体基板、2 地板、3 第1アンテナ、4 第2アンテナ、5 第1給電点、6 第2給電点、7 スリット、8 中心線、10 電子部品、11 計測部、12 接続ケーブル、13,14 接続コネクタ、21 地板下辺、22 地板左辺、23 地板上辺、24 地板右辺、31,32,33 アンテナ装置。

Claims (8)

  1. 方形の誘電体基板と、
    前記誘電体基板上に設けられた導電性の地板と、
    前記誘電体基板上であって、前記誘電体基板の一辺である第1基板辺に沿って設けられた第1アンテナと、
    前記誘電体基板上であって、前記第1基板辺と直交する第2基板辺に沿って設けられた第2アンテナと、
    前記誘電体基板上であって、前記第1アンテナと前記地板との間に設けられ、前記第1アンテナに給電する第1給電点と、
    前記誘電体基板上であって、前記第2アンテナと前記地板との間に設けられ、前記第2アンテナに給電する第2給電点と、
    を備え、
    前記地板は、前記第1基板辺と平行な2つの辺のうち前記第1アンテナに近い方の辺である第1地板辺と、前記第1地板辺に対向する第2地板辺と、前記第2基板辺と平行な2つの辺のうち前記第2アンテナに近い方の辺である第3地板辺と、前記第3地板辺に対向する第4地板辺とを有し、前記第2地板辺を始点とする、または前記第3地板辺でありかつ前記第2給電点よりも前記第2地板辺側を始点とするスリットを有する、アンテナ装置。
  2. 平面視において、前記第1地板辺および前記第2地板辺の各中心を結ぶ直線と、前記第3地板辺および前記第4地板辺の各中心を結ぶ直線とで前記地板を4つの等面積の領域に分割した場合において、前記スリットの始点は、前記第2地板辺および前記第3地板辺を含む領域の辺に位置する、請求項1に記載のアンテナ装置。
  3. 平面視において、前記第1地板辺および前記第2地板辺の各中心を結ぶ直線で前記地板を2つの等面積の領域に分割した場合において、前記スリットの終点は、前記第4地板辺を含む領域内に位置する、請求項1または2に記載のアンテナ装置。
  4. 前記地板における電気波長をλとしたとき、
    前記地板の外形は、(0.25λ±0.1λ)×(0.25λ±0.1λ)である、請求項1から3のいずれか1項に記載のアンテナ装置。
  5. 前記スリットの始点は、前記第2地板辺でありかつ前記第4地板辺よりも前記第3地板辺の近くに位置する、請求項1から4のいずれか1項に記載のアンテナ装置。
  6. 前記スリットの始点と終点との間に設けられた電子部品をさらに備え、
    前記電子部品の両端は、前記スリットの幅方向を跨いで前記地板に接続される、請求項1から5のいずれか1項に記載のアンテナ装置。
  7. 前記スリットの長さは、前記地板上における電気波長の0.15~0.30倍である、請求項1から6のいずれか1項に記載のアンテナ装置。
  8. 請求項1から7のいずれか1項に記載のアンテナ装置と、
    前記アンテナ装置から放射される電波で外部へ送信されるセンサデータを計測する計測部と、
    前記アンテナ装置と前記計測部とを接続するケーブルとを備え、
    前記計測部は、前記アンテナ装置における前記第2地板辺に対向して配置され、
    前記ケーブルは、一端が前記計測部に接続され、他端が前記アンテナ装置における前記第4地板辺に接続された、無線通信機能付きセンサ
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