以下に本発明に係る基板処理装置の具体的な構成について図面を参照しながら説明する。
図1に示すように、基板処理装置1は、複数枚のウエハ2(基板)を収容したキャリア3の搬入及び搬出を行うキャリア搬入出部4と、複数のキャリア3に収容されたウエハ2を組合わせることによって一括処理するバッチ5を編成するバッチ編成部6)と、各バッチ5ごとにウエハ2の洗浄処理及び乾燥処理を行う基板処理部7とで構成している。ここで、基板処理装置1を構成するキャリア搬入出部4とバッチ編成部6と基板処理部7は、それぞれユニット化されており、複数種類のキャリア搬入出部4、バッチ編成部6、基板処理部7を組合わせて基板処理装置1を構成することができるようになっている。そのため、バッチ編成部6は、単体でバッチ編成手段として機能するようになっている。
キャリア搬入出部4は、キャリア3を載置するキャリアステージ8に密閉状の開閉扉9を形成し、この開閉扉9の内側にキャリア搬送機構10を配設し、このキャリア搬送機構10によってキャリアステージ8に載置されたキャリア3を必要に応じてキャリアストック11に一時的に保管するとともに、キャリア載置台12に搬入するようにしている。
また、キャリア搬入出部4は、基板処理部7で処理が完了したウエハ2が収容されたキャリア3に対し、上記搬入時とは逆に、キャリア載置台12に載置されたキャリア3を必要に応じてキャリア搬送機構10によってキャリアストック11に一時的に保管するとともに、キャリアステージ8に搬出するようにしている。
バッチ編成部6は、キャリア搬入出部4との間に密閉状の開閉扉13を形成し、この開閉扉13の内側にキャリア3に収容された複数枚のウエハ2を同時に搬送するための基板搬送機構14と、この基板搬送機構14によって搬送されたウエハ2の配列間隔を半分に変更してバッチ5を形成するためのバッチ形成機構15と、基板搬送機構14によって搬送されたウエハ2の配列順序を変更する配列順序変更機構16と、バッチ形成機構15によって形成されたバッチ5をバッチ編成部6と基板処理部7との間で受渡すとともに基板処理部7の内部での搬送を行うバッチ搬送機構17とを配設している。また、バッチ編成部6は、内部にキャリア3に収容されたウエハ2の収容状態を検出するウエハ収容状態検出センサー18とキャリア3に収容された複数枚のウエハ2のノッチの位置調整を行うノッチアライナー19を配設している。このバッチ編成部6の具体的な構造については後に詳説する。
基板処理部7は、ウエハ2の洗浄及び乾燥を行う洗浄乾燥機構20とウエハ2の洗浄を行う洗浄機構21とで構成しており、洗浄乾燥機構20には、バッチ5を昇降機構22で昇降することによって洗浄と乾燥とを行う洗浄乾燥槽23とバッチ搬送機構17の洗浄を行う洗浄槽24とが並設されており、また、洗浄機構21には、バッチ5を薬液処理する第1〜第3の薬液槽25,26,27とバッチ5を純水処理する第1〜第3の純水槽28,29,30とこれらの第1〜第3の薬液槽25,26,27と第1〜第3の純水槽28,29,30との間でバッチ5の搬送を行う第1〜第3の搬送装置31,32,33とを配設している。なお、洗浄乾燥機構20の具体的な構造については後に詳説する。
また、基板処理部7は、洗浄乾燥機構20と洗浄機構21に沿ってバッチ搬送機構17を配設しており、このバッチ搬送機構17の始端部分をバッチ編成部6に配設している。
そして、基板処理部7は、バッチ編成部6で編成されたバッチ5をバッチ搬送機構17によって洗浄乾燥機構20の昇降機構22や洗浄機構21の第1〜第3の搬送装置31,32,33に搬送して、各洗浄乾燥機構20や洗浄機構21においてウエハ2の処理をバッチ5ごとに行ない、その後、処理後のバッチ5を洗浄乾燥機構20の昇降機構22や洗浄機構21の第1〜第3の搬送装置31,32,33からバッチ搬送機構17に移送し、このバッチ搬送機構17によって処理後のバッチ5をバッチ編成部6へ再び搬送するようにしている。
このように、基板処理装置1は、キャリア搬入出部4によってウエハ2をキャリア3ごとバッチ編成部6に搬入し、バッチ編成部6において基板処理部7で一括処理するバッチ5を編成して基板処理部7に受渡し、基板処理部7でバッチ5ごとに一括して処理を施し、その後、処理後のバッチ5をバッチ編成部6に受渡し、バッチ編成部6でバッチ5を構成するウエハ2をキャリア3に収容してキャリア搬入出部4に搬送し、キャリア搬入出部4によって処理後のウエハ2を収容したキャリア3を搬出するようにしている。
そして、基板処理装置1は、バッチ編成部6において、キャリア搬入出部4から搬入される複数個(たとえば、2個)のキャリア3にそれぞれ収容された複数枚(たとえば、25枚)のウエハ2を組合わせて基板処理部7で一括処理する複数枚(たとえば、50枚)のウエハ2で構成されたバッチ5を形成するようにしている。
このバッチ編成部6(バッチ編成手段)の具体的な構造について以下に説明する。
バッチ編成部6は、図2及び図3に示すように、箱型状のバッチ編成室34の前方左側部に開閉扉13を配設し、この開閉扉13の内側左側部にウエハ収容状態検出センサー18を配設している。このウエハ収容状態検出センサー18は、キャリア3に実際に収容されているウエハ2の位置や枚数やウエハ2が正規な状態(水平状態)に収容されているかを検出するものであり、赤外線をウエハ2に照射してウエハ2からの反射光を受光することによってウエハ2の収容状態を検出するようにしている。
また、バッチ編成部6は、バッチ編成室34の略中央部に載置台35を配設し、この載置台35の左側上部にノッチアライナー19を配設するとともに、載置台35の右側上部に基板搬送機構14を配設し、また、バッチ編成室34の右側部にバッチ形成機構15とバッチ搬送機構17の始端部を配設するとともに、バッチ編成室34の後方部に配列順序変更機構16を上下に配設している。
このように、バッチ編成部6は、バッチ編成室34の中央部に基板搬送機構14を配設するとともに、この基板搬送機構14の右側部にバッチ形成機構15を配設し、このバッチ形成機構15にウエハ2を基板搬送機構14によって搬送する搬送経路の途中に配列順序変更機構16を配設している。
以下に、バッチ編成部6を構成する基板搬送機構14、バッチ形成機構15、及び配列順序変更機構16の具体的な構造について説明する。
まず、基板搬送機構14の構造について説明すると、基板搬送機構14は、図4及び図5に示すように、載置台35の上部に設置された多軸ロボット36(ここでは、5軸ロボット)にウエハ保持器37を取付けた構成となっている。
多軸ロボット36は、載置台35に固定した基台38に第1回動軸を介して回動台39を左右回動自在に取付け、この回動台39に第2回動軸を介して第1の昇降アーム40の基端部を上下回動自在に取付け、この第1の昇降アーム40の先端部に第3回動軸を介して第2の昇降アーム41の基端部を上下回動自在に取付け、この第2の昇降アーム41の先端部に第4回動軸を介して第3の昇降アーム42の基端部を上下回動自在に取付け、この第3の昇降アーム42の先端部に第5回動軸を介して回動アーム43の基端部を左右回動自在に取付けており、この回動アーム43の先端部にウエハ保持器37を取付けている。
ウエハ保持器37は、図6及び図7に示すように、回動アーム43の先端に接続したケーシング44の前方開口部に25枚の二股フォーク形状のウエハ保持板45を上下に所定の間隔をあけて取付け、このウエハ保持板45の基端部にウエハ2を係止するための左右一対の係止片46,47を表裏に取付けるとともに、ウエハ保持板45の先端部にウエハ2を係止するための左右一対の係止片48,49を表裏に取付けている。なお、ウエハ保持板45の上下間隔は、キャリア3に収容されたウエハ2の配列間隔と同一の間隔としている。
また、ウエハ保持器37は、ケーシング44の内部にシリンダー50を取付け、このシリンダー50のロッド51の先端部に上下に伸延させた可動体52の裏側中央部を取付け、この可動体52の表面側に25枚の可動板53を上下に所定の間隔をあけて取付け、この可動板53の先端部にウエハ2を係止するための係止片54を表裏に取付けている。
このウエハ保持器37は、ウエハ保持板45に取付けた係止片46,47,48,49でウエハ2を係止した状態で、シリンダー50を駆動して係止片54をウエハ2の側面に向けて進出させることによって、ウエハ保持板45でウエハ2を保持できるようにしている。なお、ウエハ保持器37は、各ウエハ保持板45の表裏に係止片46,47,48,49,54を取付けて、各ウエハ保持板45の表裏でウエハ2を保持できるようになっている。そのため、基板処理部7での処理が済んでいない処理前のウエハ2をウエハ保持板45の表面側で保持し、一方、基板処理部7での処理が済んでいる処理後のウエハ2をウエハ保持板45の裏面側で保持するようにして、係止片46,47,48,49,54を介して処理前のウエハ2に付着していた汚染物が処理後のウエハ2に再付着するのを防止することができる。
そして、基板搬送機構14では、多軸ロボット36によってウエハ保持器37の姿勢を適宜変更することによって、キャリア3から処理前のウエハ2を取出し、キャリア3に収容されたウエハ2をバッチ形成機構15や配列順序変更機構16の任意の位置に搬送し、また、搬送途中でウエハ2の姿勢をキャリア3に収容されている水平姿勢から垂直姿勢に姿勢変更し、さらには、バッチ形成機構15や配列順序変更機構16から処理後のウエハ2をキャリア3に搬送し、また、搬送途中でウエハ2を垂直姿勢から水平姿勢に姿勢変更するようにしている。
ここで、基板搬送機構14では、多軸ロボット36によってキャリア3に収容されたウエハ2をバッチ形成機構15や配列順序変更機構16の任意の位置に搬送するようにしているために、たとえば、編成されるバッチ5の枚数に余裕がある場合(40枚のウエハ2で1つのバッチ5が編成されるような場合)、バッチ形成機構15上で中心部分にウエハ2が集中するようにずらしてバッチ形成機構15に載置したり、或いは、配列順序変更機構16からウエハ2を予めずらして取出してバッチ形成機構15にバッチ形成機構15上で中心部分にウエハ2が集中するように載置することができる。このように、編成されるバッチ5の枚数に余裕がある場合に、基板搬送機構14によってバッチ形成機構15上で中心部分にウエハ2が集中するようにバッチ形成機構15にウエハ2を搬送することによって、一括処理するウエハ2の枚数が少ない場合であってもバッチ5の中心から略対称にウエハ2を配列させることができ、後続の基板処理部7での処理における洗浄や乾燥などのプロセス特性を向上させることができる。
次に、バッチ形成機構15の構造について説明すると、バッチ形成機構15は、図8及び図9に示すように、バッチ編成室34の右側に基台55を配設し、この基台55に昇降台56を昇降自在に取付け、この昇降台56の上端部に左右一対の支持アーム57,58を取付け、各支持アーム57,58にウエハ保持台59,60を取付けている。
各ウエハ保持台59,60には、50枚のウエハ2を水平状態に保持する保持溝61,62を前後に間隔をあけて形成している。この保持溝61,62の間隔は、キャリア3に収容されたウエハ2の配列間隔の半分の間隔にしている。
そして、バッチ形成機構15は、基板搬送機構14によってウエハ2をウエハ保持台59,60に載置する際に、1回目にウエハ2を載置する位置と2回目にウエハ2を載置する位置とでキャリア3に収容されたウエハ2の間隔の半分だけずらしてウエハ保持台59,60に載置するようにして、キャリア3に収容されたウエハ2の半分の間隔でウエハ保持台59,60にウエハ2を載置し、これによって、ウエハ2の配列間隔を半分に変更するようにしている。なお、ウエハ保持台59,60を伸縮可能に構成して、基板搬送機構14でウエハ2を載置した後にウエハ保持台59,60を短縮させてウエハ2の配列間隔を変更するように構成してもよい。
また、バッチ形成機構15は、左右のウエハ保持台59,60の間にバッチ搬送機構17の3本のウエハ保持チャック63を挿通させることができるようになっており、これによって、バッチ形成機構15のウエハ保持台59,60とバッチ搬送機構17のウエハ保持チャック63との間で複数枚のウエハ2からなるバッチ5を受け渡すことができるようにしている。
次に、配列順序変更機構16の構造について説明すると、配列順序変更機構16は、図10〜図12に示すように、バッチ編成室34の後方に左右に伸延させた基台64を取付け、この基台64の左右端部に支持板65,66を取付け、この左右の支持板65,66の間にウエハ支持体67,68,69を架設している。各ウエハ支持体67,68,69には、周面にウエハ2を垂直状態に保持する保持溝70を左右に間隔をあけて形成している。この保持溝70の間隔は、キャリア3に収容されたウエハ2の配列間隔と同一の間隔としている。
また、配列順序変更機構16は、基台64の上部に移動台71を左右に移動可能に取付け、この移動台71の上部に支柱72を取付け、この支柱72に昇降台73を昇降可能に取付け、さらに、昇降台73の前側部にウエハ保持体74を取付け、このウエハ保持体74の先端部にウエハ2を係止する係止片75を表裏に取付けるとともに、ウエハ保持体74の基端部に前後方向へ向けて進退移動可能な上下一対の係止片76,77を表裏に取付けている。
そして、配列順序変更機構16は、基板搬送機構14によってウエハ支持体67,68,69に搬送されたウエハ2を1枚ずつウエハ保持板74の係止片75,76,77で保持し、昇降台73を昇降させるとともに移動台71を移動させることによって、ウエハ2を1枚ずつ移動させることができ、ウエハ2の配列順序を変更できるようにしている。
また、配列順序変更機構16では、ウエハ支持体67,68,69に予めウエハ2と同一形状の複数枚のダミー基板を載置しておき、必要に応じてダミー基板を1枚ずつウエハ保持板74の係止片75,76,77で保持し、昇降台73を昇降させるとともに移動台71を移動させることによって、ウエハ2の隣に移動させることができるようにしている。これにより、キャリア3に収容されたウエハ2とダミー基板とを用いてバッチ5を編成することができる。
以上に説明したバッチ編成部6に配設したバッチ編成装置を構成する基板搬送機構14とバッチ形成機構15と配列順序変更機構16とバッチ搬送機構17は、図13に示すように、制御部78によって駆動制御されている。この制御部78は、CPUからなるコントローラ79とこのコントローラ79に接続された記憶媒体80とで構成されており、バッチ編成部6だけでなく、キャリア搬入出部4や基板処理部7の駆動制御も行うように構成している。この制御部78は、基板処理装置1とは別個に設けたホストコンピュータと通信可能に接続することができる。また、記憶媒体80は、各種の設定データや後述する基板処理プログラム81を格納しており、ROMやRAMなどのメモリーでもよく、また、ハードディスクやCD−ROMなどのディスク状記憶媒体でもよい。
制御部78は、記憶媒体80に格納した基板処理プログラム81に従ってバッチ編成部6や搬入出部4や基板処理部7を駆動制御する。この基板処理プログラム81には、主にバッチ編成部6を駆動制御するバッチ編成サブルーチン82と、基板処理部7を駆動制御する洗浄サブルーチン83及び乾燥サブルーチン84が含まれている。
そして、制御部78は、バッチ編成サブルーチン82に従って基板搬送機構14とバッチ形成機構15と配列順序変更機構16とバッチ搬送機構17を駆動制御し、バッチ編成部6において複数のキャリア3に収容された複数枚のウエハ2を組合わせることによって基板処理部7で一括処理するバッチ5を編成するようにしている。
以下においては、バッチ編成サブルーチン82によって2個のキャリア3からバッチ5を編成する場合を例に挙げて説明する。
バッチ編成サブルーチン82では、図14に示すように、まず、1個目のキャリア3からウエハ2を搬入する(第1ウエハ搬入ステップS1)。
この第1ウエハ搬入ステップS1では、キャリア搬入出部4において1個目のキャリア3をキャリア載置台12に載置した後に、開閉扉13を開放し、ウエハ収容状態検出センサー18によってウエハ2の収容状態を検出し、その後、基板搬送機構14の多軸ロボット36によってウエハ保持器37の姿勢を変更し、ウエハ保持器37のウエハ保持板45でキャリア3に収容されたウエハ2を取出し、開閉扉13を閉塞し、ノッチアライナー19によってウエハ2のノッチの位置を調整する。
次に、バッチ編成サブルーチン82は、ウエハ収容状態検出センサー18の検出結果に基づいて、ウエハ2をバッチ形成機構15に直接搬送するか、ウエハ2を配列順序変更機構16に一旦搬送するか判断する(第1搬送経路判断ステップS2)。
この第1搬送経路判断ステップS2では、ウエハ収容状態検出センサー18によって1個目のキャリア3に収容されたウエハ2に部分的な不足(抜け)が生じているか否かを検出し、部分的な不足が生じていない場合には、ウエハ2をバッチ形成機構15に直接搬送すると判断し、一方、部分的な不足が生じている場合には、ウエハ2を配列順序変更機構16に一旦搬送すると判断する。
そして、第1搬送経路判断ステップS2において、ウエハ2をバッチ形成機構15に直接搬送すると判断した場合には、基板搬送機構14によってウエハ2の姿勢を水平姿勢から垂直姿勢に姿勢変更し(第1ウエハ姿勢変更ステップS3)、その後、バッチ形成機構15のウエハ保持台59,60に形成した奇数番目の保持溝61,62にウエハ2を載置する(第1ウエハ載置ステップS4)。その後、バッチ編成サブルーチン82は、後述する第2ウエハ搬入ステップS6を実行する。
一方、第1搬送経路判断ステップS2において、ウエハ2を配列順序変更機構16に一旦搬送すると判断した場合には、基板搬送機構14によって配列順序変更機構16のウエハ支持体67,68,69の左側部に形成した保持溝70にウエハ2を移送する(第1ウエハ移送ステップS5)。
次に、バッチ編成サブルーチン82は、2個目のキャリア3からウエハ2を搬入する(第2ウエハ搬入ステップS6)。
この第2ウエハ搬入ステップS6では、第1ウエハ搬入ステップS1と同様に、キャリア搬入出部4において2個目のキャリア3をキャリア載置台12に載置した後に、開閉扉13を開放し、ウエハ収容状態検出センサー18によってウエハ2の収容状態を検出し、その後、基板搬送機構14の多軸ロボット36によってウエハ保持器37の姿勢を変更し、ウエハ保持器37のウエハ保持板45でキャリア3に収容されたウエハ2を取出し、開閉扉13を閉塞し、ノッチアライナー19によってウエハ2のノッチの位置を調整する。
次に、バッチ編成サブルーチン82は、ウエハ収容状態検出センサー18の検出結果に基づいて、ウエハ2をバッチ形成機構15に直接搬送するか、ウエハ2を配列順序変更機構16に一旦搬送するか判断する(第2搬送経路判断ステップS7)。
この第2搬送経路判断ステップS7では、ウエハ収容状態検出センサー18によって2個目のキャリア3に収容されたウエハ2に部分的な不足(抜け)が生じているか否かを検出し、部分的な不足が生じていない場合には、ウエハ2をバッチ形成機構15に直接搬送すると判断し、一方、部分的な不足が生じている場合には、ウエハ2を配列順序変更機構16に一旦搬送すると判断する。
そして、第2搬送経路判断ステップS7において、ウエハ2をバッチ形成機構15に直接搬送すると判断した場合には、基板搬送機構14によってウエハ2の姿勢を水平姿勢から垂直姿勢に姿勢変更するとともに(第2ウエハ姿勢変更ステップS8)、ウエハ2の表裏を反転し(ウエハ表裏反転ステップS9)、その後、バッチ形成機構15のウエハ保持台59,60に形成した偶数番目の保持溝61,62にウエハ2を載置する(第2ウエハ載置ステップS10)。
ここで、バッチ編成サブルーチン82では、ウエハ表裏反転ステップS9によって2番目のキャリア3に収容されたウエハ2の表裏を反転させることで、1番目のキャリア3に収容されたウエハ2と2番目のキャリア3に収容されたウエハ2の表面同士、裏面同士が対面するようにして、汚染物の再付着を防止するようにしている。なお、基板処理部7での処理条件によってはウエハ表裏反転ステップS9を実行しないようにしてもよい。
一方、第2搬送経路判断ステップS7において、ウエハ2を配列順序変更機構16に一旦搬送すると判断した場合には、基板搬送機構14によって配列順序変更機構16のウエハ支持体67,68,69の右側部に形成した保持溝70にウエハ2を移送する(第2ウエハ移送ステップS11)。
次に、バッチ編成サブルーチン82は、第1搬送経路判断ステップS2又は第2搬送経路判断ステップS7のいずれかにおいてウエハ2を配列順序変更機構16に移送するか否かを判断し(移送判断ステップS12)、移送した場合には、配列順序変更機構16を駆動してウエハ2の配列順序を変更し(配列順序変更ステップS13)、一方、移送していない場合には、配列順序変更ステップS13を実行することなく、後述するバッチ形成ステップS23を実行する。
配列順序変更ステップS13では、ウエハ収容状態検出センサー18の検出結果に基づいてウエハ2の部分的な不足が生じている部分に左右いずれかの端部に位置するウエハ2を配列順序変更機構16を用いて移動させることによって、キャリア3に収容されたウエハ2に生じている部分的な不足を解消するようにしている。たとえば、キャリア3に収容されたウエハ2のうち右から5番目のウエハ2が不足している場合には、最も右側に位置するウエハ2を右から5番目の位置に移動させて、右から5番目に生じていたウエハ2の不足を解消するようにしている。
また、配列順序変更ステップS13では、1番目のキャリア3又は2番目のキャリア3に収容されたウエハ2の移動だけではウエハ2の部分的な不足を完全に解消できない場合には、1番目又は2番目のキャリア3に収容されたウエハ2を2番目又は1番目のキャリア3に収容されたウエハ2に生じている不足部分に移動させることによって、キャリア3に収容されたウエハ2に生じている部分的な不足を解消するようにしている。
また、配列順序変更ステップS13では、1番目のキャリア3又は2番目のキャリア3に収容されたウエハ2に部分的な不足が生じている場合、或いは、1番目のキャリア3及び2番目のキャリア3に収容されたウエハ2の移動だけではウエハ2の部分的な不足を完全に解消できない場合などに、配列順序変更機構16を用いてダミー基板を移動させることによって、キャリア3に収容されたウエハ2に生じている部分的な不足を解消するようにすることもできる。
さらに、配列順序変更ステップS13では、編成するバッチ5を構成するウエハ2の表面側又は裏面側に隣接すべきウエハ2が不足している場合に、その不足位置のみにダミー基板を移動させることもできる。
その後、バッチ編成サブルーチン82は、1番目のキャリア3に収容されたウエハ2が配列順序変更機構16に移送されたか否かを判断し(第1移送判断ステップS14)、移送された場合には配列順序変更機構16のウエハ支持体67,68,69の左側部に形成した保持溝70に保持されているウエハ2を基板搬送機構14のウエハ保持器37で保持し(第1ウエハ保持ステップS15)、その後、基板搬送機構14によってウエハ2の姿勢を水平姿勢から垂直姿勢に姿勢変更し(第1ウエハ姿勢変更ステップS16)、バッチ形成機構15のウエハ保持台59,60に形成した奇数番目の保持溝61,62にウエハ2を載置する(第1ウエハ載置ステップS17)。
また、バッチ編成サブルーチン82は、2番目のキャリア3に収容されたウエハ2が配列順序変更機構16に移送されたか否かを判断し(第2移送判断ステップS18)、移送された場合には配列順序変更機構16のウエハ支持体67,68,69の右側部に形成した保持溝70に保持されているウエハ2を基板搬送機構14のウエハ保持器37で保持し(第2ウエハ保持ステップS19)、その後、基板搬送機構14によってウエハ2の姿勢を水平姿勢から垂直姿勢に姿勢変更するとともに(第2ウエハ姿勢変更ステップS20)、ウエハ2の表裏を反転し(ウエハ表裏反転ステップS21)、その後、バッチ形成機構15のウエハ保持台59,60に形成した偶数番目の保持溝61,62にウエハ2を載置する(第2ウエハ載置ステップS22)。
最後に、バッチ編成サブルーチン82は、バッチ形成機構15においてバッチ5を形成し(バッチ形成ステップS23)、形成したバッチ5をバッチ形成機構15からバッチ搬送機構17に受け渡す(バッチ受渡ステップS24)。
なお、バッチ編成サブルーチン82では、第1ウエハ載置ステップS4,S17、第1ウエハ移送ステップS5、第2ウエハ載置ステップS10,S22、第2ウエハ移送ステップS11において、基板搬送機構14の多軸ロボット36によってウエハ保持器37の姿勢を変更するだけで、バッチ形成機構15のウエハ保持台59,60や配列順序変更機構16のウエハ支持体67,68,69の任意の位置にウエハ2を搬送するようにできる。
また、上記バッチ編成サブルーチン82では、第1搬送経路判断ステップS2及び第2搬送経路判断ステップS7において、ウエハ収容状態検出センサー18の検出結果に基づいて、ウエハ2をバッチ形成機構15に直接搬送するか、ウエハ2を配列順序変更機構16に一旦搬送するか判断しているが、これに限られず、制御部78に接続したホストコンピュータからの情報や制御部78に入力されたオペレータからの情報に基づいてウエハ2の収容状態を把握し、ウエハ2をバッチ形成機構15に直接搬送するか、ウエハ2を配列順序変更機構16に一旦搬送するか判断することもでき、さらには、制御部78に接続したホストコンピュータからの指示や制御部78に入力されたオペレータからの指示に基づいて、ウエハ2の収容状態にかかわらずウエハ2をバッチ形成機構15に直接搬送するか、ウエハ2を配列順序変更機構16に一旦搬送するか判断することもできる。
また、上記バッチ編成サブルーチン82では、第1搬送経路判断ステップS2及び第2搬送経路判断ステップS7において、キャリア3に収容されたウエハ2に部分的な不足が生じていない場合には、ウエハ2をバッチ形成機構15に直接搬送すると判断しているが、これに限られず、キャリア3に収容されたウエハ2に部分的な不足が生じていない場合であっても、ウエハ2を配列順序変更機構16に一旦搬送するようにしてもよい。たとえば、1番目のキャリア3と2番目のキャリア3に収容されたウエハ2の枚数が異なる場合に、両キャリア3に収容されたウエハ2を配列順序変更機構16に一旦搬送し、配列順序変更機構16によってウエハ2の配列順序を変更し、その後、バッチ形成機構15に搬送するようにしてもよい。このように、バッチ5を形成するキャリア3に収容されたウエハ2の枚数が異なる場合には、バッチ形成機構15に直接搬送するとバッチ形成機構15で形成されるバッチ5にウエハ2の部分的な不足が生じることになるため、配列順序変更機構16によってウエハ2の配列順序を変更することによってバッチ形成機構15で形成されるバッチ5にウエハ2の部分的な不足が生じないようにすることができる。
なお、制御部78は、各キャリア3に収容されたウエハ2の初期状態や基板搬送機構14やバッチ形成機構15や配列順序変更機構16によってどのようにしてバッチ5を編成したかを示す編成履歴を記憶媒体80に記憶しておき、基板処理部7での処理後に、記憶した初期状態や編成履歴に基づいてバッチ5を構成するウエハ2を再び元のキャリア3に収容するように、基板搬送機構14やバッチ形成機構15や配列順序変更機構16を制御する。ここで、制御部78は、ホストコンピュータからの指示やオペレータからの指示に基づいて、基板処理部7での処理後のウエハ2をバッチ編成前のキャリア3とは異なるキャリア3に収容するように制御することもできる。
また、制御部78は、バッチ編成手段6によって編成したバッチ5を構成するウエハ2の構成状態、すなわち、バッチ5を構成するウエハ2の枚数や位置、さらには、ウエハ2の表面側又は裏面側に隣接すべきウエハ2が不足しているか否かなどのウエハ2の状態を記憶媒体80に記憶しておき、その構成状態を基板処理部7での処理に利用できるようにしている。
以上に説明したように、上記構成の基板処理装置1では、各キャリア3に収容された複数枚のウエハ2を搬送する基板搬送機構14と、基板搬送機構14によって搬送されたウエハ2の配列間隔を変更してバッチを形成するバッチ形成機構15と、基板搬送機構14によって搬送されたウエハ2の配列順序を変更する配列順序変更機構16とを有しているために、配列順序変更機構16によってウエハ2の配列順序を任意に変更してバッチ5を編成することができる。
そのため、たとえば上記したように、各キャリア3に収容される複数枚のウエハ2に部分的な不足が生じていても、配列順序変更機構16によってウエハ2の配列順序を変更することによって、ウエハ2の部分的な不足を解消することができ、これによって、編成されたバッチ5を構成するウエハ2に部分的な不足が生じることがなくなり、ウエハ2の部分的な不足に起因してその後のバッチ処理において生じるおそれがある洗浄不良や乾燥不良などの支障を未然に防止することができる。
しかも、上記基板処理装置1では、基板搬送機構14によってバッチ形成機構15にウエハ2を搬送するための搬送経路の途中に配列順序変更機構16を配設しているために、ウエハ2の搬送距離を短くすることができるので、バッチ編成に要する時間を短縮することができてスループットの向上を図ることができる。
また、上記基板処理装置1では、キャリア3に収容されたウエハ2の収容状態に応じて、キャリア3に収容された複数枚のウエハ2を基板搬送機構14によってバッチ形成機構15に直接搬送するか、或いは、キャリア3に収容された複数枚のウエハ2を基板搬送機構14によって配列順序変更機構16に搬送してウエハ2の配列順序を変更した後にバッチ形成機構15に搬送するようにしているために、キャリア3に収容された複数枚のウエハ2に部分的な不足が生じていない場合などのようにウエハ2の配列順序を変更する必要がないときにはバッチ形成機構15にウエハ2を直接搬送して、バッチ編成に要する時間を短縮することができる。
また、上記基板処理装置1では、キャリア3に収容されたウエハ2を基板搬送機構14で搬送中に水平姿勢から垂直姿勢に姿勢変更するようにしているために、別個姿勢変更装置を設ける必要がなくなり、装置の簡略化を図ることができて、装置の製造に要する労力や時間や費用を低減することができる。
また、上記基板処理装置1では、キャリア3に収容された複数枚のウエハ2を基板搬送機構14によってバッチ形成機構15又は配列順序変更機構16の任意の位置に搬送するようにしているために、キャリア3の端部にウエハ2が収容されておらずウエハ2の部分的な不足が生じている場合であっても、バッチ形成機構15又は配列順序変更機構16に搬送する際にずらしてウエハ2を載置することで端部の部分的な不足を容易に解消することができる。
また、上記基板処理装置1では、各キャリア3に収容された複数枚のウエハ2に生じている部分的な不足を解消するように配列順序変更機構16によってウエハ2の配列順序を変更することにしているために、編成されたバッチ5を構成するウエハ2に部分的な不足が生じることがなくなり、ウエハ2の部分的な不足に起因してその後のバッチ処理において生じるおそれがある支障を未然に防止することができる。
また、上記基板処理装置1では、異なるキャリア3に収容されたウエハ2の配列順序を配列順序変更機構16で変更することによって複数枚のウエハ2に生じている部分的な不足を解消することにしているために、1個のキャリア3に収容されたウエハ2の配列順序を変更してもバッチ5全体での部分的な不足を解消できない場合であっても、別のキャリア3に収容されたウエハ2を利用してバッチ5全体での部分的な不足を解消することができる。
また、上記基板処理装置1では、基板搬送機構14として多軸ロボット36を用いているために、キャリア3とバッチ形成機構15又は配列順序変更機構16との間やバッチ形成機構15と配列順序変更機構16との間でのウエハ2の搬送や、搬送途中でのウエハ2の姿勢変更(水平状態から垂直状態又は垂直状態から水平状態)や、バッチ形成機構15又は配列順序変更機構16の任意の位置への搬送を行うことができ、自由度の高いバッチ編成を容易に実現することができる。
次に、基板処理部7の洗浄乾燥機構20の具体的な構造について以下に説明する。
洗浄乾燥機構20は、図15〜図17に示すように、ウエハ2をバッチ5ごと洗浄するための洗浄ユニット85と、ウエハ2をバッチ5ごと乾燥させるための乾燥ユニット86とを上下に一体的に連設した構成となっており、これら洗浄ユニット85及び乾燥ユニット86の内部に両ユニット85,86間でウエハ2をバッチ5ごと昇降搬送するための基板支持具87を昇降自在に配設している。
まず、基板支持具87の具体的な構造について説明すると、基板支持具87は、図16及び図17に示すように、上下方向に伸延させたアーム88の前側下端部に前後方向に伸延させた4本の支持体89,90,91,92を左右に間隔をあけて平行に取付け、左右2本の支持体89,90(91,92)の先端部間に連結体93,94を架設している。
また、基板支持具87は、各支持体89,90,91,92の上端部にウエハ2を1枚ずつ垂直状に支持するための支持溝95,96,97,98を前後に一定間隔をあけて形成しており、各支持溝95,96,97,98でウエハ2を支持することによって、複数枚のウエハ2を平行に前後に一定間隔をあけて支持できるようになっている。この基板支持具87は、アーム88を昇降機構22に連動連結しており、昇降機構22によって洗浄ユニット85と乾燥ユニット86との間でウエハ2をバッチ5ごと昇降させることができるようになっている。なお、昇降機構22には、制御部78が接続されており、この制御部78によって昇降機構22が駆動制御されている。
しかも、基板支持具87は、アーム88の前面、すなわち、支持体89,90,91,92で支持される複数枚のウエハ2のうちで最もアーム88に近接したウエハ2と対向する面に略半円板状の遮蔽体99を上下一対の連結具100,101によって着脱自在に取付けている。
これにより、基板支持具87は、アーム88とウエハ2との間にウエハ2に対向してウエハ2の表面を覆う遮蔽面102を形成している。この遮蔽面102は、アーム88の下端前面103と遮蔽体99の前面104とによってウエハ2の表面と略同一の形状に形成している。この遮蔽面102は、アーム88に最も近接したウエハ2の表面ヘ向けてアーム88の左右側方から処理剤が流れ込むのを遮蔽して、アーム88に最も近接したウエハ2の表面での処理剤の流動状態を他のウエハ2と同様の状態にする機能を有している。
次に、洗浄ユニット85の具体的な構造について説明すると、洗浄ユニット85は、上端部を開口した有底矩形箱型状の洗浄処理槽105の左右側壁106,107に洗浄液を噴射供給するための洗浄液供給ノズル108,109を取付けるとともに、底壁110に排水管111を連通連結し、この排水管111の中途部に開閉バルブ112を介設し、さらには、洗浄処理槽105の上端外側部に環状のオーバーフロー槽113を取付け、このオーバーフロー槽113の底壁114に排水管115を連通連結し、この排水管115の中途部に開閉バルブ116を介設している。
ここで、洗浄液供給ノズル108,109には、純水を供給するための純水供給源117と薬液を供給するための薬液供給源118とが三方コック119を介して接続されており、この三方コック119を切り換えることによって、洗浄液供給ノズル108,109から洗浄処理槽105の内部に純水又は薬液を供給できるようにしている。また、開閉バルブ112,116や三方コック119には、制御部78が接続されており、この制御部78によって開閉バルブ112,116や三方コック119が駆動制御されている。
次に、乾燥ユニット86の具体的な構造について説明すると、乾燥ユニット86は、下端部を開口した略箱型状の乾燥処理槽120の下方にシャッター機構121を配設している。このシャッター機構121は、ケーシング122の左側部にシャッター収容部123を形成し、このシャッター収容部123にシャッター124を開閉自在に収容している。
ここで、シャッター機構121は、シャッター124に開閉機構125を連動連結しており、この開閉機構125を制御部78に接続して、この制御部78によって開閉機構125を駆動制御している。
また、乾燥ユニット86は、乾燥処理槽120の上部を半円弧断面状に形成するとともに、上端部に基板支持具87のアーム88を挿通させるための貫通孔126を形成し、この貫通孔126にパッキン127を取付けている。これにより、乾燥処理槽120は、アーム88を挿通させた状態でも気密状態を保持できるようにしている。
ここで、乾燥処理槽120には、昇降機構128を連動連結しており、この昇降機構128を制御部78に接続し、この制御部78によって昇降機構128を駆動制御している。そして、昇降機構128によって乾燥処理槽120を下降させた場合には、乾燥処理槽120の下端部に形成したフランジ129がシャッター機構121のシャッター124に密着するようにしている。
また、乾燥ユニット86は、乾燥処理槽120の内側上部に乾燥蒸気(IPAガス:イソプロピルアルコールガスなど)を噴射供給するための左右一対の乾燥蒸気供給ノズル130,131を取付けている。
この乾燥蒸気供給ノズル130,131は、内側上部に向けて乾燥蒸気を吐出するためのガス吐出口132,133を前後に間隔をあけて形成している。
ここで、この乾燥蒸気供給ノズル130,131には、乾燥蒸気をキャリアガスとともに供給するための乾燥蒸気供給源134を開閉バルブ135を介して接続されており、この開閉バルブ135を開放状態とすることによって、乾燥蒸気供給ノズル130,131から乾燥処理槽120の内部に乾燥蒸気を供給できるようにしている。また、開閉バルブ135には、制御部78が接続されており、この制御部78によって開閉バルブ135が駆動制御されている。
洗浄乾燥機構20は、以上に説明したように構成しており、制御部78によって駆動制御される。
制御部78は、記憶媒体80に格納した基板処理プログラム81の洗浄サブルーチン83と乾燥サブルーチン84に従って洗浄乾燥機構20を駆動制御することによって、ウエハ2の洗浄処理と乾燥処理とを続けて行うようにしている。
まず、洗浄サブルーチン83では、図18に示すように、まず、洗浄乾燥機構20の初期設定を行う(初期設定ステップS21)。
具体的には、制御部78が、図19(a)に示すように、洗浄処理槽105の開閉バルブ112とオーバーフロー槽113の開閉バルブ116を閉塞させた状態とするとともに、開閉機構125を用いてシャッター124を開放させた状態とし、昇降機構22を用いてシャッター機構121の上方に間隔をあけて基板支持具87を配置し、昇降機構128を用いて基板支持具87の上方に間隔をあけて乾燥処理槽120を配置する。その後、制御部78が、三方コック119を駆動制御して純水供給源117から洗浄処理槽105の洗浄液供給ノズル108,109を介して洗浄処理槽105の内部に純水を供給する。このときに、制御部78は、オーバーフロー槽113の開閉バルブ116を開放状態として、洗浄処理槽105からオーバーフローした純水を排出できるようにする。
次に、洗浄サブルーチン83は、基板支持具87に複数枚(たとえば、50枚)のウエハ2からなるバッチ5を受取る(ウエハ受取ステップS22)。このバッチ5は、上記バッチ編成部6で編成されたものである。
具体的には、制御部78が、図19(b)に示すように、バッチ搬送機構17を駆動制御してバッチ搬送機構17で搬送されたバッチ5を構成する各ウエハ2を基板支持具87の支持体89〜92に形成した支持溝95〜98に載置する。
次に、洗浄サブルーチン83は、基板支持具87に載置されたウエハ2を洗浄処理槽105の内部に貯留された純水に浸漬して洗浄処理の準備を行う(洗浄準備ステップS23)。
具体的には、制御部78が、図20(a)に示すように、昇降機構22を用いて基板支持具87を洗浄処理槽105の内部まで降下させることによって基板支持具87に載置されたウエハ2を洗浄処理槽105の内部に貯留された純水に浸漬する。
次に、洗浄サブルーチン83は、洗浄処理槽105の内部でウエハ2の洗浄処理を行う(洗浄処理ステップS24)。
具体的には、制御部78が、洗浄処理槽105の開閉バルブ112を閉塞させた状態とするとともにオーバーフロー槽113の開閉バルブ116を開放させた状態としたまま、三方コック119を駆動制御して薬液供給源118から洗浄処理槽105の洗浄液供給ノズル108,109を介して洗浄処理槽105の内部に薬液(洗浄液)を供給し、これにより、純水が洗浄処理槽105からオーバーフロー槽113に徐々にオーバーフローしていき、最終的には、洗浄処理槽105の内部に薬液が貯留された状態となる。その後、洗浄処理槽105の内部に貯留された薬液に浸漬されたウエハ2を薬液によって洗浄処理(薬液洗浄処理)する。その後、制御部78が、洗浄処理槽105の開閉バルブ112を閉塞させた状態とするとともにオーバーフロー槽113の開閉バルブ116を開放させた状態としたまま、三方コック119を駆動制御して純水供給源117から洗浄処理槽105の洗浄液供給ノズル108,109を介して洗浄処理槽105の内部に純水(洗浄液)を供給し、これにより、薬液が洗浄処理槽105からオーバーフロー槽113に徐々にオーバーフローしていき、最終的には、洗浄処理槽105の内部に純水が貯留された状態となる。その後、洗浄処理槽105の内部に貯留された純水に浸漬されたウエハ2を純水によって洗浄処理(リンス処理)する。
最後に、洗浄サブルーチン83は、基板支持具87に載置されたウエハ2を洗浄処理槽105の内部から乾燥処理槽120の内部へ上昇させる(ウエハ上昇ステップS25)。
具体的には、制御部78が、図20(b)に示すように、昇降機構128を用いて乾燥処理槽120をシャッター機構121の直上方に降下させるとともに、昇降機構22を用いて基板支持具87を洗浄処理槽105の内部から乾燥処理槽120の内部まで上昇させることによって基板支持具87に載置されたウエハ2を乾燥処理槽102の内部に搬送する。
次に、乾燥サブルーチン84では、図21に示すように、まず、シャッター機構121のシャッター124によって乾燥処理槽102の下端開口部を閉塞する(シャッター閉塞ステップS26)。
具体的には、制御部78が、図22(a)に示すように、開閉機構125を用いてシャッター機構121のシャッター124を閉塞し、このシャッター124を乾燥処理槽120の下端開口部に密着させる。
次に、乾燥サブルーチン84は、乾燥処理槽120の内部に乾燥蒸気を供給する(乾燥蒸気供給ステップS27)。
具体的には、制御部78が、開閉バルブ135を開放させた状態とする。これにより、乾燥蒸気供給源134から乾燥処理槽120の内部に乾燥蒸気供給ノズル130,131のガス吐出口132,133を介して所定温度の乾燥蒸気が供給される。
ここで、乾燥蒸気供給ステップS27では、記憶媒体80に記憶しておいたバッチ編成部6によって編成したバッチ5を構成するウエハ2の構成状態、すなわち、バッチ5を構成するウエハ2の枚数や位置、さらには、ウエハ2の表面側又は裏面側に隣接すべきウエハ2が不足しているか否かなどのウエハ2の状態に応じて、乾燥蒸気の供給状態、すなわち、乾燥蒸気の単位時間当たりの供給量(供給レート)や供給時間や濃度などの状態を変更するようにしている。
具体的には、制御部78は、乾燥蒸気の初期値として供給レートを2.0ml/sec、供給時間を90秒と設定して記憶媒体80に記憶しておくとともに、図23に示す変換テーブル136を記憶媒体80に記憶しておき、バッチ5を構成するウエハ2の枚数やウエハ2の表面側に隣接すべきウエハ2が不足しているか否かに応じて、初期値に変換テーブル136に示された係数を積算することによって乾燥蒸気の供給レート又は供給時間を算出し、算出された供給レート又は供給時間で乾燥蒸気を乾燥処理槽120に供給するように開閉バルブ135を駆動制御する。
たとえば、バッチ5を構成するウエハ2の枚数に応じて乾燥蒸気の供給レートを変更する場合には、バッチ5を構成するウエハ2が最大枚数の50枚のときは、初期値通り2.0ml/secで乾燥蒸気を90秒間供給し、バッチ5を構成するウエハ2が25枚のときは、初期値の90%、すなわち1.8ml/secで乾燥蒸気を90秒間供給し、バッチ5を構成するウエハ2が1枚のときは、初期値の82%、すなわち1.64ml/secで乾燥蒸気を90秒間供給する。
また、バッチ5を構成するウエハ2の表面側に隣接すべきウエハ2が不足していて、バッチ5に部分的な不足が生じている場合には、バッチ5を構成するウエハ2が25枚のときは、初期値の90%x0.9、すなわち1.62ml/secで乾燥蒸気を90秒間供給し、バッチ5を構成するウエハ2が1枚のときは、初期値の82%x0.9、すなわち1.476ml/secで乾燥蒸気を90秒間供給する。
ここで、バッチ5に部分的な不足が生じている場合に、上記のように単純にバッチ5を構成するウエハ2の枚数だけで制御するだけでなく、部分的な不足が生じていない部分でのウエハ2の枚数と部分的な不足が生じている部分でのウエハ2の枚数とを考慮して制御することもできる。たとえば、バッチ5を構成するウエハ2が25枚の場合に、表面側に隣接すべきウエハ2が不足していない部分でのウエハ2の枚数が20枚で、表面側に隣接すべきウエハ2が不足している部分でのウエハ2の枚数が5枚のときには、表面側に隣接すべきウエハ2が不足していない部分に対応した乾燥蒸気の供給量である初期値(2ml/sec)x90%x(20/25)と、表面側に隣接すべきウエハ2が不足している部分に対応した乾燥蒸気の供給量である初期値(2ml/sec)x90%x0.9x(5/25)とを加算した1.76ml/secの乾燥蒸気を90秒間供給する。
また、バッチ5を構成するウエハ2の枚数に応じて乾燥蒸気の供給時間を変更する場合には、バッチ5を構成するウエハ2が最大枚数の50枚のときは、初期値通り2.0ml/secで乾燥蒸気を90秒間供給し、バッチ5を構成するウエハ2が25枚のときは、初期値の96%、すなわち2.0ml/secで乾燥蒸気を86.4秒間供給し、バッチ5を構成するウエハ2が1枚のときは、初期値の92%、すなわち2.0ml/secで乾燥蒸気を82.8秒間供給する。
また、バッチ5を構成するウエハ2の表面側に隣接すべきウエハ2が不足していて、バッチ5に部分的な不足が生じている場合には、バッチ5を構成するウエハ2が25枚のときは、初期値の96%x0.9、すなわち2.0ml/secで乾燥蒸気を77.76秒間供給し、バッチ5を構成するウエハ2が1枚のときは、初期値の92%x0.9、すなわち2.0ml/secで乾燥蒸気を74.52秒間供給する。
ここで、バッチ5に部分的な不足が生じている場合に、上記のように単純にバッチ5を構成するウエハ2の枚数だけで制御するだけでなく、部分的な不足が生じていない部分でのウエハ2の枚数と部分的な不足が生じている部分でのウエハ2の枚数とを考慮して制御することもできる。たとえば、バッチ5を構成するウエハ2が25枚の場合に、表面側に隣接すべきウエハ2が不足していない部分でのウエハ2の枚数が20枚で、表面側に隣接すべきウエハ2が不足している部分でのウエハ2の枚数が5枚のときには、表面側に隣接すべきウエハ2が不足していない部分に対応した乾燥蒸気の供給時間である初期値(90秒)x90%x(20/25)と、表面側に隣接すべきウエハ2が不足している部分に対応した乾燥蒸気の供給時間である初期値(90秒)x90%x0.9x(5/25)とを加算した84.62秒間だけ2.0ml/secで乾燥蒸気を供給する。
最後に、乾燥サブルーチン84は、洗浄処理及び乾燥処理を施したウエハ2をバッチ搬送機構17へ受渡す(ウエハ受渡ステップS28)。
具体的には、制御部78が、図22(b)に示すように、昇降機構128によって乾燥処理槽120を上昇させるとともに、バッチ搬送機構17によって基板支持具87からウエハ2を受取る。
このように、上記基板処理プログラム81の乾燥サブルーチン84では、乾燥蒸気供給ステップS27において、バッチ5を構成するウエハ2の構成状態に応じて、乾燥処理槽120への乾燥蒸気の供給状態を変更するようにしている。
そのため、上記基板処理装置1では、バッチ5を構成するウエハ2の枚数やバッチ5を構成するウエハ2の表面側又は裏面側に隣接すべきウエハ2が不足しているか否かなどによって定まるバッチ5の構成状態に対応して乾燥蒸気の供給時間や単位時間当たりの供給量(供給レート)を変更することで、その構成状態に適した乾燥処理を行うことができ、乾燥不良の発生を防止することができる。
特に、バッチ5を構成するウエハ2の構成状態として、バッチ5に含まれるウエハ2の枚数を用いた場合には、バッチ5が最大枚数のウエハ2によって構成されていなくても、ウエハ2の枚数に適した状態で乾燥処理を行うことができ、乾燥不良の発生を防止することができる。
また、バッチ5を構成するウエハ2の構成状態として、バッチ5を構成するウエハ2の表面側に隣接すべきウエハ2が不足しているか否かを用いた場合には、回路形成などで重要となるウエハ2の表面側での乾燥不良の発生を特に防止することができる。
また、バッチ5を構成するウエハ2の構成状態として、バッチ5を構成するウエハ2の裏面側に隣接すべきウエハ2が不足しているか否かを用いた場合にも、同様に回路形成などで重要となるウエハ2の表面側での乾燥不良の発生を特に防止することができる。これは、ウエハ2の裏面側に供給された乾燥蒸気がウエハ2の表面側の乾燥に直接に寄与する訳ではないが、ウエハ2の裏面側に乾燥蒸気が供給されることでウエハ2の表面側の温度が上昇し、ウエハ2の表面側での乾燥に影響を与えることになるからである。すなわち、乾燥処理前のウエハ2の洗浄処理時に純水でリンスされることから、ウエハ2の温度は表面側及び裏面側ともほぼ水温に等しくなっており、この状態でウエハ2の裏面側に乾燥蒸気が供給されると、ウエハ2に吸着された乾燥蒸気が気化熱に等しい凝縮熱をウエハ2に与え、ウエハ2の温度が裏面側だけでなく表面側も上昇する。これにより、ウエハ2の表面側の温度上昇に伴って、ウエハ2の表面側で乾燥蒸気が吸着される量が低下してしまい、ウエハ2の表面側での乾燥不良が発生することになる。そのため、バッチ5を構成するウエハ2の裏面側に隣接すべきウエハ2が不足している場合にも、バッチ5を構成するウエハ2の表面側に隣接すべきウエハ2が不足している場合と同様に、乾燥蒸気の供給状態を変更することが望ましい。
また、乾燥処理槽120への乾燥蒸気の供給状態として、乾燥処理槽120に乾燥蒸気を供給する単位時間当たりの供給量を用いた場合には、乾燥処理に寄与しない乾燥蒸気の浪費を防止でき、乾燥処理に対するランニングコストの削減を図ることができる。
また、乾燥処理槽120への乾燥蒸気の供給状態として、乾燥処理槽120に乾燥蒸気を供給する供給時間を用いた場合には、乾燥処理に要する処理時間を短縮することができ、基板処理のスループットを向上させることができる。
また、バッチ5を構成するウエハ2の表面側に隣接すべきウエハ2が不足している場合に、不足する位置にダミー基板を配置してバッチ5を編成した場合には、ダミー基板の配置に要する作業時間やダミー基板の使用枚数を低減することができ、ダミー基板に対する乾燥蒸気の消費量を低減することができ、しかも、回路形成などで重要となるウエハ2の表面側での乾燥不良の発生を特に防止することができる。
また、バッチ5を構成するウエハ2の裏面側に隣接すべきウエハ2が不足している場合に、不足する位置にダミー基板を配置してバッチ5を編成した場合には、ダミー基板の配置に要する作業時間やダミー基板の使用枚数を低減することができ、ダミー基板に対する乾燥蒸気の消費量を低減することができ、しかも、ウエハ2の裏面側への乾燥蒸気の供給量が増大することに起因するウエハ2の表面側での乾燥不良の発生を特に防止することができる。
また、バッチ5を構成するウエハ2に部分的な不足が生じる場合に、バッチ5を構成するウエハ2に生じている部分的な不足を解消してバッチ5を編成した場合には、ウエハ2の表面側及び裏面側をともに良好に乾燥処理することができ、ウエハ2の部分的な不足に起因する乾燥不良の発生を防止することができる。
なお、上記基板処理装置1では、乾燥蒸気供給ノズル130,131に形成した全てのガス吐出口132,133から乾燥蒸気を一斉に噴射するように構成しているが、乾燥蒸気供給ノズル130,131にバッチ5を構成するウエハ2と等間隔で隣接するウエハ2の間に位置するようにガス吐出口132,133を形成するとともに、各ガス吐出口132,133に乾燥蒸気の噴射量を調節するための手段を設けて、バッチ5を構成するウエハ2の構成状態に応じて、各ガス吐出口132,133から乾燥処理槽120へ供給する乾燥蒸気の供給レートや供給時間を変更するようにしてもよい。