JP4791581B2 - サブスレッショルドディジタルcmos回路のための電源電圧制御回路及び制御方法 - Google Patents

サブスレッショルドディジタルcmos回路のための電源電圧制御回路及び制御方法 Download PDF

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Description

本発明は、サブスレッショルドディジタルCMOS回路のための電源電圧制御回路及び制御方法に関し、特に、サブスレッショルドディジタルCMOS回路のオンチップの遅延バラツキを補正する電源電圧制御回路及び制御方法に関する。
近年、医療用埋め込みデバイスやセンサデバイスなどの多くのマイクロシステムの出現によってLSIの消費電力は大幅な低電力化が必要となっている。これまで、CMOS回路の低消費電力化はデバイス素子の微細化と電源電圧の低減によって実現されてきた。特に、動作電力は電源電圧の2乗に比例することから、電源電圧の低減は低消費電力動作にとって極めて有効な手法とされている。
すなわち、CMOS回路の電源電圧をトランジスタのしきい値電圧以下(当該しきい値は、例えば0.35Vであり、製造プロセスに依存して変化する。)に設定するサブスレッショルドCMOS回路は、低電力を実現可能であり、電力制約の厳しい用途に有用とされる。例えば、図1に示されるような極低電力スマートセンサLSIの場合、回路はセンサとアナログ/ディジタル回路ブロックのミックストシグナル回路で構成されている。この回路ブロックをサブスレッショルド領域で動作させることで低電力化を実現できる。
特開2007−036934号公報。
しかし、pMOSFETとnMOSFETとによりインバータを構成し、サブスレッショルド領域で動作するCMOS回路は、温度変化や製造プロセスバラツキによってMOSFETのしきい値電圧が変動する。これにより、電流−電圧特性が大きく変動する問題が存在する。電流−電圧特性の変動はCMOS回路の動作時間である遅延時間に影響を及ぼすことになり、特にサブスレッショルド領域における電流はしきい値電圧に対して指数関数に変動することから、遅延時間も指数関数に従って変動する。これにより、サブスレッショルドCMOS回路は、強反転領域を前提としたCMOS回路と比較して、遅延バラツキが大きく、あらかじめ設定した遅延制約内に処理が終わらない問題が発生する。このように、サブスレッショルドCMOS回路は、しきい値電圧の変動でトランジスタ特性が変動し、これにより電流が変動し、サブスレッショルドCMOS回路の動作特性が変動することになる。
上述したように、サブスレッショルドCMOS回路の動作特性は、製造プロセスや温度変化の影響により変動する。しかし、従来技術では、製造プロセスや温度変化に伴うしきい値電圧の変動によるサブスレッショルドCMOS回路の動作特性の予測や保証は困難である。従って、温度補償や回路設計アーキテクチャによるプロセスバラツキ補正を行う必要がある。
従来技術では、サブスレッショルドCMOS回路の電源電圧を2種類の定電圧を使用して制御する方法や、クロック周波数を変化させる方法により、しきい値電圧の変動の影響を緩和し、回路動作の安定性を確保する技術が知られている。しかしながら、これらの技術では、使用する電圧やクロックがバラツキの原因に基づいたものではないため、バラツキの本質的な改善であるとは言えない。
また、サブスレッショルドCMOS回路の入出力を短絡し、その信号を用いてトランジスタの基板バイアスを変化させることで、プロセス変動によるバラツキを改善する技術が知られている(例えば、特許文献1参照。)。しかしながら、基板バイアスに対するバラツキ改善の効果は基板電位の制御範囲が狭いことから小さいことが知られており、またフォワードバイアスでリーク電流による消費電流を増大させるといった問題もある。
上述したように、サブスレッショルドCMOS回路は、低消費電力化を実現することができる一方で、サブスレッショルドCMOS回路の遅延時間は、温度変化や製造プロセスにより変化するMOSFETのしきい値電圧の変動の影響を大きく受けるといった問題がある。
本発明の目的は、サブスレッショルドディジタルCMOS回路の遅延時間に対して、温度変化や製造プロセスにより変化するMOSFETのしきい値電圧の変動の影響を大幅に軽減できる、サブスレッショルド領域で動作するサブスレッショルドディジタルCMOS回路のための電源電圧制御回路及び制御方法を提供することにある。
本発明に係るサブスレッショルドディジタルCMOS回路のための電源電圧制御回路は、
それぞれpMOSFETとnMOSFETにてなる複数のCMOS回路を備えて所定の遅延時間でサブスレッショルド領域で動作するサブスレッショルドディジタルCMOS回路に対して、制御出力電圧を制御された電源電圧として供給する電源電圧制御回路であって、
上記サブスレッショルドディジタルCMOS回路は、
(A)上記CMOS回路の遅延時間のうち、pMOSFETの立ち上がり時間によって決定される割合wが実質的に1となる一方、nMOSFETの立ち下がり時間によって遅延時間が決定される割合(1−w)が実質的に0となるように、もしくは
(B)上記CMOS回路の遅延時間のうち、pMOSFETの立ち上がり時間によって決定される割合wが実質的に0となる一方、nMOSFETの立ち下がり時間によって遅延時間が決定される割合(1−w)が実質的に1となるように、
pMOSFETの典型値におけるしきい値電圧と、nMOSFETの典型値におけるしきい値電圧の差の絶対値が所定値以上に設定され、
上記電源電圧制御回路は、
電源装置の電源電圧に基づいて、所定の微小電流を発生する微小電流発生回路と、
上記発生された微小電流に基づいて、上記遅延時間のバラツキを補正するためのpMOSFET又はnMOSFETのしきい値電圧の変化を含む制御出力電圧を発生して、制御された電源電圧として上記サブスレッショルドディジタルCMOS回路に対して供給する制御出力電圧発生回路とを備えたことを特徴とする。
上記電源電圧制御回路において、上記サブスレッショルドディジタルCMOS回路は、pMOSFETの典型値におけるしきい値電圧と、nMOSFETの典型値におけるしきい値電圧の差の絶対値が0.1V以上であるように設定されたことを特徴とする。
また、上記電源電圧制御回路において、上記微小電流発生回路は、
電源装置の電源電圧に基づいて所定の電流源を用いて上記微小電流を発生する電流源回路と、
上記電流源回路により発生された微小電流に対応しかつ実質的に同一の微小電流を発生するカレントミラー回路とを備えたことを特徴とする。
さらに、上記電源電圧制御回路において、上記電流源回路は、電流生成用nMOSFETを備え、電子移動度に依存する出力電流の温度特性を有して第1の電流を生成する第1の電源回路を含むことを特徴とする。
またさらに、上記電源電圧制御回路において、上記電流源回路は、電流生成用pMOSFETを備え、ホール移動度に依存する出力電流の温度特性を有して第2の電流を生成する第2の電源回路を含むことを特徴とする。
また、上記電源電圧制御回路において、上記電流源回路は、
電流生成用nMOSFETを備え、電子移動度に依存する出力電流の温度特性を有して第1の電流を生成する第1の電源回路と、
電流生成用pMOSFETを備え、ホール移動度に依存する出力電流の温度特性を有して第2の電流を生成する第2の電源回路と、
上記第1の電流から上記第2の電流を減算することにより基準電流を生成する電流減算回路とを備えたことを特徴とする。
さらに、上記電源電圧制御回路において、上記第1の電源回路と上記第2の電源回路はそれぞれスタートアップ回路をさらに備え、
上記スタートアップ回路は、
上記第1の電源回路と上記第2の電源回路の非動作時を検出する検出回路と、
上記検出回路により上記第1の電源回路と上記第2の電源回路の非動作時が検出されたとき、上記第1の電源回路と上記第2の電源回路に所定の電流を流すことにより上記第1の電源回路と上記第2の電源回路を起動する起動トランジスタ回路とを備えたことを特徴とする。
ここで、上記電源電圧制御回路において、上記第1の電源回路と上記第2の電源回路の上記スタートアップ回路はさらに、上記検出回路にバイアス動作電流を供給する電流供給回路を備え、
上記電流供給回路は、
電源電圧から所定の微小電流を発生する微小電流発生回路と、
上記発生された微小電流に対応する微小電流をバイアス動作電流として発生する第3のカレントミラー回路とを備えたことを特徴とする。
また、上記電源電圧制御回路において、上記第1の電源回路の上記スタートアップ回路はさらに、上記検出回路にバイアス動作電流を供給する第1の電流供給回路を備え、
上記第1の電流供給回路は、
電源電圧から所定の微小電流を発生する微小電流発生回路と、
上記発生された微小電流に対応する微小電流をバイアス動作電流として発生する第3のカレントミラー回路とを備え、
上記第2の電源回路の上記スタートアップ回路はさらに、上記検出回路にバイアス動作電流を供給する第2の電流供給回路を備え、
上記第2の電流供給回路は、
上記第2の電源回路の起動後の動作電流に対応する電流をバイアス動作電流として発生する第4のカレントミラー回路とを備えたことを特徴とする。
上記電源電圧制御回路において、上記サブスレッショルドディジタルCMOS回路のpMOSFETの典型値におけるしきい値電圧が、上記サブスレッショルドディジタルCMOS回路のnMOSFETの典型値におけるしきい値電圧よりも高い場合であって、
上記制御出力電圧発生回路は、接地されたゲートと、接地されたドレインと、上記微小電流発生回路に接続されたソースとを有するpMOSFETを備えたことを特徴とする。
また、上記電源電圧制御回路において、上記サブスレッショルドディジタルCMOS回路のnMOSFETの典型値におけるしきい値電圧が、上記サブスレッショルドディジタルCMOS回路のpMOSFETの典型値におけるしきい値電圧よりも高い場合であって、
上記制御出力電圧発生回路は、上記微小電流発生回路に接続されたゲートと、上記微小電流発生回路に接続されたドレインと、上記微小電流発生回路に接続されたソースとを有するnMOSFETを備えたことを特徴とする。
さらに、上記電源電圧制御回路において、上記サブスレッショルドディジタルCMOS回路のpMOSFETがpタイプ高しきい値デバイスである場合であって、
上記制御出力電圧発生回路は、接地されたゲートと、接地されたドレインと、上記微小電流発生回路に接続されたソースとを有するpタイプ高しきい値デバイスを備えたことを特徴とする。
またさらに、上記電源電圧制御回路において、上記サブスレッショルドディジタルCMOS回路のnMOSFETがnタイプ高しきい値デバイスである場合であって、
上記制御出力電圧発生回路は、上記微小電流発生回路に接続されたゲートと、上記微小電流発生回路に接続されたドレインと、上記微小電流発生回路に接続されたソースとを有するnタイプ高しきい値デバイスを備えたことを特徴とする。
上記電源電圧制御回路はさらに、
上記制御出力電圧発生回路と上記サブスレッショルドディジタルCMOS回路との間に挿入され、上記制御出力電圧に基づいて、上記制御出力電圧に対応する電源電圧を発生して上記サブスレッショルドディジタルCMOS回路に対して供給する電圧バッファ回路を備えたことを特徴とする。
また、上記電源電圧制御回路はさらに、
上記制御出力電圧発生回路と上記サブスレッショルドディジタルCMOS回路との間に挿入され、上記制御出力電圧に基づいて、上記制御出力電圧に対応する電圧を発生し、発生した電圧を調整し、調整された電源電圧を発生して上記サブスレッショルドディジタルCMOS回路に対して供給するレギュレータ回路を備えたことを特徴とする。
上記電源電圧制御回路において、上記サブスレッショルドディジタルCMOS回路は、製造プロセスにより、pMOSFETの典型値におけるしきい値電圧と、nMOSFETの典型値におけるしきい値電圧の差の絶対値が0.1V以上であるように設定されたことを特徴とする。
また、上記電源電圧制御回路において、上記サブスレッショルドディジタルCMOS回路は、基板電圧を変化することにより、pMOSFETの典型値におけるしきい値電圧と、nMOSFETの典型値におけるしきい値電圧の差の絶対値が0.1V以上であるように設定されたことを特徴とする。
本発明に係るサブスレッショルドディジタルCMOS回路のための電源電圧制御方法は、
それぞれpMOSFETとnMOSFETにてなる複数のCMOS回路を備えて所定の遅延時間でサブスレッショルド領域で動作し、サブスレッショルドディジタルCMOS回路に対して制御出力電圧を制御された電源電圧として供給する電源電圧制御方法であって、
上記サブスレッショルドディジタルCMOS回路は、
(A)上記CMOS回路の遅延時間のうち、pMOSFETの立ち上がり時間によって決定される割合wが実質的に1となる一方、nMOSFETの立ち下がり時間によって遅延時間が決定される割合(1−w)が実質的に0となるように、もしくは
(B)上記CMOS回路の遅延時間のうち、pMOSFETの立ち上がり時間によって決定される割合wが実質的に0となる一方、nMOSFETの立ち下がり時間によって遅延時間が決定される割合(1−w)が実質的に1となるように、
pMOSFETの典型値におけるしきい値電圧と、nMOSFETの典型値におけるしきい値電圧の差の絶対値が所定値以上に設定され、
上記電源電圧制御方法は、
電源装置の電源電圧に基づいて所定の微小電流を発生するステップと、
上記発生された微小電流に基づいて、上記遅延時間のバラツキを補正するためのpMOSFET又はnMOSFETのしきい値電圧の変化を含む制御出力電圧を発生して、制御された電源電圧として上記サブスレッショルドディジタルCMOS回路に対して供給するステップとを含むことを特徴とする。
上記電源電圧制御方法において、上記微小電流を発生するステップは、
電流源回路を用いて、電源装置の電源電圧に基づいて上記微小電流を発生するステップと、
カレントミラー回路を用いて、上記電流源回路により発生された微小電流に対応しかつ実質的に同一の微小電流を発生するステップとを含むことを特徴とする。
また、上記電源電圧制御方法において、上記サブスレッショルドディジタルCMOS回路のpMOSFETの典型値におけるしきい値電圧が、上記サブスレッショルドディジタルCMOS回路のnMOSFETの典型値におけるしきい値電圧よりも高い場合であって、
上記制御出力電圧を発生するステップは、接地されたゲートと、接地されたドレインと、上記微小電流発生回路に接続されたソースとを有するpMOSFETを用いて、上記制御出力電圧を発生することを特徴とする。
さらに、上記電源電圧制御方法において、上記サブスレッショルドディジタルCMOS回路のnMOSFETの典型値におけるしきい値電圧が、上記サブスレッショルドディジタルCMOS回路のpMOSFETの典型値におけるしきい値電圧よりも高い場合であって、
上記制御出力電圧を発生するステップは、上記微小電流発生回路に接続されたゲートと、上記微小電流発生回路に接続されたドレインと、接地されたソースとを有するnMOSFETを用いて、上記制御出力電圧を発生することを特徴とする。
またさらに、電源電圧制御方法において、上記サブスレッショルドディジタルCMOS回路のpMOSFETがpタイプ高しきい値デバイスである場合であって、
上記制御出力電圧を発生するステップは、接地されたゲートと、接地されたドレインと、上記微小電流発生回路に接続されたソースとを有するpタイプ高しきい値デバイスを用いて、上記制御出力電圧を発生することを特徴とする。
またさらに、上記電源電圧制御方法において、上記サブスレッショルドディジタルCMOS回路のnMOSFETがnタイプ高しきい値デバイスである場合であって、
上記制御出力電圧を発生するステップは、上記微小電流発生回路に接続されたゲートと、上記微小電流発生回路に接続されたドレインと、接地されたソースとを有するnタイプ高しきい値デバイスを用いて、上記制御出力電圧を発生することを特徴とする。
上記電源電圧制御方法はさらに、
上記制御出力電圧を発生するステップの後において、電圧バッファ回路を用いて、上記制御出力電圧に基づいて、上記制御出力電圧に対応する電源電圧を発生して上記サブスレッショルドディジタルCMOS回路に対して供給するステップを含むことを特徴とする。
また、上記電源電圧制御方法はさらに、
上記制御出力電圧を発生するステップの後において、レギュレータ回路を用いて、上記制御出力電圧に基づいて、上記制御出力電圧に対応する電圧を発生し、発生した電圧を調整し、調整された電源電圧を発生して上記サブスレッショルドディジタルCMOS回路に対して供給するステップを含むことを特徴とする。
上記電源電圧制御方法において、上記サブスレッショルドディジタルCMOS回路は、製造プロセスにより、pMOSFETの典型値におけるしきい値電圧と、nMOSFETの典型値におけるしきい値電圧の差の絶対値が0.1V以上であるように設定されたことを特徴とする。
また、上記電源電圧制御方法において、上記サブスレッショルドディジタルCMOS回路は、基板電圧を変化することにより、pMOSFETの典型値におけるしきい値電圧と、nMOSFETの典型値におけるしきい値電圧の差の絶対値が0.1V以上であるように設定されたことを特徴とする。
本発明に係るサブスレッショルドディジタルCMOS回路のための電源電圧制御回路及び方法によれば、電源装置の電源電圧に基づいて微小電流を発生する微小電流発生回路と、上記発生された微小電流に基づいて、上記遅延時間のバラツキを補正するためのpMOSFET又はnMOSFETのしきい値電圧の変化を含む制御出力電圧を発生して、制御された電源電圧として上記サブスレッショルドディジタルCMOS回路に対して供給する制御出力電圧発生回路とを備えたので、MOSFETのしきい値電圧をオンチップでモニタリングを行い、それをCMOS回路の電源電圧に反映させることで、サブスレッショルド領域で動作するサブスレッショルドCMOS回路の遅延バラツキを補正でき、全体の回路の消費電力を削減できる。また、本発明は、サブスレッショルドディジタルCMOS回路への適用に限定されず、強反転動作かつしきい値電圧近傍の電源電圧で動作するCMOS回路においても適用できる。
従来技術に係る極低電力スマートセンサLSIのブロック図である。 サブスレッショルドCMOS回路におけるサブスレッショルド領域動作の問題点を説明するためのグラフであって、しきい値電圧バラツキΔVTHに対する正規化電流バラツキを示すグラフである。 サブスレッショルドCMOS回路におけるサブスレッショルド領域動作の問題点を説明するためのグラフであって、温度変化に対する正規化電流バラツキを示すグラフである。 サブスレッショルドCMOS回路における正規化電流バラツキと正規化遅延時間の相関を示すグラフである。 サブスレッショルドCMOS回路におけるしきい値電圧差(VTHP−VTHN)に対する重み係数wの計算値を示すグラフである。 本発明の第1の実施形態に係るサブスレッショルドディジタルCMOS回路のための遅延バラツキ補正回路の構成を示すブロック図である。 図5の遅延バラツキ補正回路の第1の例の構成を示す回路図である。 図5の遅延バラツキ補正回路の第2の例の構成を示す回路図である。 図5の遅延バラツキ補正回路の第3の例の構成を示す回路図である。 図8AのサブスレッショルドディジタルCMOS回路2−3の一例を示す回路図である。 図5の遅延バラツキ補正回路の第4の例の構成を示す回路図である。 図9AのサブスレッショルドディジタルCMOS回路2−4の一例を示す回路図である。 図5の遅延バラツキ補正回路における温度に対する制御出力電圧VREFの相関を示すグラフである。 図5の遅延バラツキ補正回路のモンテカルロシミュレーションによる評価結果であって、温度に対する制御出力電圧VREFを示すグラフである。 図5の遅延バラツキ補正回路のモンテカルロシミュレーションによる評価結果であって、室温におけるpMOSFETのしきい値電圧のグローバルバラツキΔVTHに対する制御出力電圧VREFを示すグラフである。 図5の遅延バラツキ補正回路においてサブスレッショルドディジタルCMOS回路がリング発振器であるときのモンテカルロシミュレーションによる補正の有無の評価結果であって、リング発振器の発振周波数のヒストグラムを示すグラフである。 図5の遅延バラツキ補正回路においてサブスレッショルドディジタルCMOS回路がリング発振器であるときのシミュレーションによる補正の有無の評価結果であって、温度に対するリング発振器の発振周波数を示すグラフである。 図5の遅延バラツキ補正回路においてサブスレッショルドディジタルCMOS回路が8ビット桁上げ伝播加算器(RCA:Ripple Carry Adder)であるときのモンテカルロシミュレーションによる補正の有無の評価結果であって、温度に対する8ビットRCAの遅延時間を示すグラフである。 MOSFETのサブスレッショルド領域及び強反転領域を示すゲート・ソース間電圧VGSに対する電流Iの関係を示すグラフである。 MOSFETのサブスレッショルド領域及び強反転領域を示すゲート・ソース間電圧VGSに対するlogIの関係を示すグラフである。 強反転領域におけるMOSFETのドレイン・ソース間電圧VDSに対する電流Iの関係を示すグラフである。 サブスレッショルド領域におけるMOSFETのドレイン・ソース間電圧VDSに対する電流Iの関係を示すグラフである。 MOSFETのゲート・ソース間電圧VGSとドレイン・ソース間電圧VDSによる各動作領域を示すグラフである。 サブスレッショルド領域におけるMOSFETのexp(−VDS/V)のドレイン・ソース間電圧VDS依存性を示すグラフである。 pMOSFETQ91及びnMOSFETQ92からなるCMOSインバータの構成を示す回路図である。 第2の実施形態において遅延バラツキの補正の有無の場合の8ビットRCAの平均消費電流のシミュレーション結果を示す表である。 本発明の第3の実施形態に係るサブスレッショルドディジタルCMOS回路のための遅延バラツキ補正回路の構成を示すブロック図である。 図23等のサブスレッショルドディジタルCMOS回路の一例であるリング発振器2Aの構成を示す回路図である。 本発明の第4の実施形態に係るサブスレッショルドディジタルCMOS回路のための遅延バラツキ補正回路の構成を示すブロック図である。 本発明の第5の実施形態に係るサブスレッショルドディジタルCMOS回路のための遅延バラツキ補正回路の構成を示すブロック図である。 図5等の遅延バラツキ補正回路の変形例である第6の実施形態に係る遅延バラツキ補正回路の構成を示す回路図である。 本発明の第7の実施形態に係るサブスレッショルドディジタルCMOS回路のための遅延バラツキ補正回路の構成を示すブロック図である。 本発明の第7の実施形態の第1の変形例に係るサブスレッショルドディジタルCMOS回路のための遅延バラツキ補正回路の構成を示すブロック図である。 本発明の第7の実施形態の第2の変形例に係るサブスレッショルドディジタルCMOS回路のための遅延バラツキ補正回路の構成を示すブロック図である。 本発明の第7の実施形態の第3の変形例に係るサブスレッショルドディジタルCMOS回路のための遅延バラツキ補正回路の構成を示すブロック図である。 本発明の第7の実施形態の第4の変形例に係るサブスレッショルドディジタルCMOS回路のための遅延バラツキ補正回路の構成を示すブロック図である。 本発明の第7の実施形態の第5の変形例に係るサブスレッショルドディジタルCMOS回路のための遅延バラツキ補正回路の構成を示すブロック図である。 各実施形態で用いるサブスレッショルドディジタルCMOS回路で用いるpMOSFETの構造を示す斜視図である。
以下、本発明の実施形態の一例を、図面を参照しながら詳細に説明してゆく。なお、本発明の範囲は、以下の実施例や図示例に限定されるものではなく、幾多の変更及び変形が可能である。
第1の実施形態.
まず、サブスレッショルド領域で動作するサブスレッショルドCMOS回路の遅延バラツキ(以下、遅延時間バラツキを遅延バラツキという。)について説明する。サブスレッショルド領域で動作するMOSFETに流れるドレイン電流Iは次式で表される。
Figure 0004791581
ここで、K(=W/L)はチャネル長Lとチャネル幅Wのアスペクト比である。また、I(=μCOX(η−1)V )はサブスレッショルド電流の前置係数である。ここで、μはキャリア移動度であり、COX(=εOX/tOX)は単位面積当たりの酸化膜容量である。また、tOXは酸化膜厚、εOXは酸化膜の誘電率、ηはサブスレッショルドスロープ係数、V(=kT/q)は熱電圧、kはボルツマン係数、Tは絶対温度、qは電気素量、VTHはしきい値電圧である。
また、nMOSFETとpMOSFETで構成されるCMOSインバータの伝播遅延時間τは次式で表される。
Figure 0004791581
ここで、τHLとτLHはそれぞれ立ち上がり時間と立ち下がり時間、Cは負荷容量、VDDは電源電圧である。また、IとIはそれぞれnMOSFETとpMOSFETのサブスレッショルド領域におけるオン電流である。負荷容量Cは次段のゲート容量で近似することができることから、αLWCOXと表すことができる(αは定数)。
上述したように、サブスレッショルドCMOS回路では、MOSFETを流れるドレイン電流がプロセスバラツキや温度変化に対して指数関数に変動する。従って、サブスレッショルドCMOS回路の遅延バラツキは対数正規分布に従う。
図2A及び図2BはサブスレッショルドCMOS回路におけるサブスレッショルド領域動作の問題点を説明するためのグラフであって、図2Aはしきい値電圧バラツキΔVTHに対する正規化電流バラツキの一例を示すグラフであり、図2Bは温度変化に対する正規化電流バラツキの一例を示すグラフである。図2A及び図2Bから明らかなように、サブスレッショルド電流はしきい値電圧バラツキ、温度変化に対して指数関数に変動していることが確認できる。
図3はサブスレッショルドCMOS回路における正規化電流バラツキと正規化遅延時間の相関を示すグラフであり、同一のエネルギー(E=CVDD :Cは容量である。)における電流と遅延バラツキの影響を示す。図3から明らかなように、ある遅延時間制約(破線)を想定すると、高エネルギーライン(E=2.25)の場合には、最悪の電流量(10−3)での遅延時間に合わせる設計とするため、遅延時間制約をほぼ満たしているが、電流量の多い状態では低エネルギーライン(E=0.25)の場合と比較して、ほとんどすべてのエネルギーを無駄にしていることがわかる。すなわち、遅延時間の制約と低消費電力(低エネルギー)の両方を満足するためには、電流と遅延時間を制御することが必要であることがわかる。
次に、本発明の第1の実施形態に係る遅延バラツキ補正回路について説明する。上記式(1)及び式(2)より各パラメータのバラツキを想定すると遅延バラツキΔτ/τは次式で表される。
Figure 0004791581
ここで、ΔPは各パラメータの典型値からのバラツキである。チャネル長のバラツキ(ΔL/L)と移動度のバラツキ(Δμ/μ,Δμ/μ)は上記式中の他のパラメータと比較して十分に小さいことから無視できるものとする。ここで、典型値とは、所定の半導体プロセスにより製造されたデバイスにおいて推定される各パラメータの典型的な値(代表値又は模範値)であって、最大値と最小値との間の概ね平均値である。
チャネル長のバラツキと移動度のバラツキを無視することにより、上記の式(3)は次式で近似できることになる。
Figure 0004791581
ここで、式中のwは次式で表される重み係数である。
Figure 0004791581
上記の式(3)及び式(4)から、遅延バラツキ(Δτ/τ)は、電源電圧の変動、しきい値電圧のバラツキ(ΔVTHN,ΔVTHP)と、典型値におけるしきい値電圧差(VTHP−VTHN)で決定される重み係数wに依存することがわかる。
サブスレッショルドCMOS回路の遅延バラツキを補正するために、電源電圧制御方式を用いる。上記の式(4)より、電源電圧を式(6)のΔVDDだけ変化して制御すると遅延バラツキが0、すなわち、Δτ/τ=0となることがわかる。
Figure 0004791581
また、ηV≪VDDであるので、VDD/(VDD−ηV)はほぼ1と見なせるので、上記の式(6)は次式で近似できる。
Figure 0004791581
上記式(7)は、それぞれ重み係数wと(1−w)を付けられたnMOSFETとpMOSFETのしきい値電圧のバラツキを、電源電圧に反映することで遅延バラツキを補正することができることを示している。
上記式(5)より、重み係数wは、典型値におけるpMOSFETとnMOSFETのしきい値電圧差に依存することがわかる。すなわち、重み係数wは、しきい値電圧の典型値によって制御できることになる。
サブスレッショルドディジタルCMOS回路2は例えば複数のCMOSインバータ回路が縦続に接続されて構成され、CMOSインバータ回路はディジタルゲート回路ともいわれる。その遅延時間は、その構成要素のnMOSFETとpMOSFETの充放電電流により決定される。nMOSFETの電流により出力の電荷が放電されて立ち下がり時間が決まり、pMOSFETの電流により出力の電荷が充電されて立ち上がり時間が決定される。ディジタルゲート回路の1段あたりの遅延時間は、この立ち上がり時間と立ち下がり時間の平均によって決定される。ここで、式(5)に示す遅延時間を決定する重み係数wは、ディジタルゲート回路の遅延時間のうち、pMOSFETの立ち上がり時間によって決定される割合を示している。また、重み係数1−wは、nMOSFETの立ち下がり時間によって遅延時間が決定される割合を示している。重み係数wが0になることは、ゲート回路の遅延時間がpMOSFETのみによって決まることを意味する。一方で、重み係数wが1になることは、ゲート回路の遅延時間がnMOSFETのみによって決まることを意味する。
図4に、K0n=K0Pとしたときのしきい値電圧差(VTHP−VTHN)に対する重み係数wの計算値をグラフに表したものを示す。図4より、pMOSFETとnMOSFETのしきい値電圧差が0.1Vよりも大きいとき(VTHP−VTHN>0.1V)、重み係数wは0に近づく。一方、pMOSFETとnMOSFETのしきい値電圧差が、−0.1Vよりも小さいとき(VTHP−VTHN<−0.1V)、重み係数wは1に近づく。すなわち、典型値におけるしきい値電圧VTHP,VTHNの差の絶対値|VTHP−VTHN|が0.1V以上のとき、しきい値電圧の高いMOSFETのみが遅延時間と遅延バラツキを決定することができる。なお、しきい値電圧VTHが例えば0.5Vであるとき、前者の場合は、好ましくは、0.5V>VTHP−VTHN>0.1Vであり、後者の場合は、−0.5V<VTHP−VTHN<−0.1Vである。
このことから、上記式(7)は次式で表すことができる。従って、典型値におけるしきい値電圧の高いMOSFETのしきい値電圧バラツキのみをモニタし、そのモニタリング信号をサブスレッショルドCMOS回路の電源電圧に反映することで遅延バラツキを補正することが可能であることがわかる。
Figure 0004791581
Figure 0004791581
しかしながら、pMOSFETとnMOSFETの典型値のしきい値電圧の値が同程度(すなわち、実質的に同一)のプロセスも存在する。このような場合、高しきい値電圧(HVT)デバイス(通常のMOSFETに比較して高いしきい値電圧を有する)と、低しきい値電圧(LVT)デバイス(通常のMOSFETに比較して低いしきい値電圧を有する)を使用する。例えば、nMOSFETにLVTデバイス、pMOSFETにHVTデバイスを使用する。これにより、しきい値電圧の高いHVTデバイスのpMOSFETのしきい値電圧バラツキのみをモニタする。この際、サブスレッショルドCMOSディジタル回路は、nMOSFETにLVTデバイス、pMOSFETにHVTデバイスで構成する。又は、nMOSFETにHVTデバイス、pMOSFETにLVTデバイスを使用する。これにより、しきい値電圧の高いHVTデバイスのnMOSFETのしきい値電圧バラツキのみをモニタする。この際、サブスレッショルドCMOSディジタル回路は、nMOSFETにHVTデバイス、pMOSFETにLVTデバイスで構成する。以下、pタイプ高しきい値電圧をp−HVTデバイスといい、nタイプ高しきい値電圧をn−HVTデバイスといい、pタイプ低しきい値電圧をp−LVTデバイスといい、nタイプ高しきい値電圧をn−LVTデバイスという。
また、基板バイアス制御によって、nMOSFETとpMOSFETの一方の基板電位を制御してあらかじめ典型値におけるしきい値電圧に0.1V以上の差電圧を持たせるように制御することでもよい。
次に、図5に本発明の第1の実施形態に係るサブスレッショルドCMOS回路の遅延バラツキ補正回路の回路アーキテクチャを示す。遅延バラツキ補正回路は、しきい値電圧モニタ回路1と、電圧バッファ回路3と、サブスレッショルドディジタルCMOS回路2とを備えて構成されている。しきい値電圧モニタ回路1は、電源装置の電源装置AVDDに基づいて、オンチップでMOSFETのしきい値電圧VTHの状態をモニタし、その制御出力電圧VREFを電圧バッファ回路3を介してサブスレッショルドCMOS回路2の電源電圧VDDに反映することで遅延バラツキを補正することが可能である。図5の遅延バラツキ補正回路では、しきい値電圧モニタ回路1からの制御出力電圧VREFの駆動電流容量が小さいときに、電圧バッファ回路3により制御出力電圧VREFと実質的に同一の電源電圧であってより大きな駆動電流容量を有する電源電圧VDDをサブスレッショルドディジタルCMOS回路2に供給することができる。
以下では、本発明のサブスレッショルドCMOS回路の遅延バラツキ補正回路となるしきい値電圧モニタ回路の回路アーキテクチャについて、幾つかの実施例を挙げながら説明を行う。
まず、実施例1では、補正対象のサブスレッショルドディジタルCMOS回路2−1におけるMOSFETの特性において、pMOSFETがnMOSFETよりも典型値におけるしきい値電圧が高い場合(例えば式(8)の条件VTHP−VTHN>0.1Vを満たす。)、すなわち、典型値におけるしきい値電圧の高い方がpMOSFETである場合に適用するしきい値電圧モニタ回路について説明する。図6は図5の遅延バラツキ補正回路の第1の例の構成を示す回路図である。但し、図6において、スタートアップ回路は省略している。
図6の回路構成図からわかるように、しきい値電圧モニタ回路1、すなわちサブスレッショルドディジタルCMOS回路2−1のための遅延バラツキ補正回路は、アナログ回路ブロックから生成される微小電流を、カレントミラー部21を介してpMOSFET(MP1)Q12に供給する。
図6に示すしきい値電圧モニタ回路1−1は、電流源回路部10と、カレントミラー部21と、pMOSFET(MP1)Q12からなるしきい値電圧モニタ部22とを備えて構成される。ここで、カレントミラー部21と、しきい値電圧モニタ部22とによりしきい値電圧モニタ回路部20−1を構成する。ここで、電流源回路部10は、それぞれサブスレッショルド領域で動作するpMOSFETQ1〜Q3及びnMOSFETQ4〜Q6と、強反転線形領域で動作する線形MOS抵抗(MR)Q7とを備えて構成され、電源装置の電源電圧AVDDに依存せずに実質的に一定の微小電流を発生することを特徴としている。また、カレントミラー部21はpMOSFETQ11で構成され、電流源回路部10が発生する微小電流(しきい値電圧VTHP,P1よりも小さいが0V以上である)に対応しかつ実質的に同一の微小電流をしきい値電圧モニタ部22のpMOSFET(MP1)Q12に供給する。従って、電流源回路部10とカレントミラー回路部21とにより、微小電流発生回路を構成しており、図7、図8A及び図9Aにおいても同様である。そして、pMOSFET(MP1)Q12のゲート電極及びドレイン電極はグランドと接続され、またソース電極はカレントミラー部21の電流出力端子と接続され、pMOSFET(MP1)Q12のソース電極を制御出力電圧(VREF)端子として、しきい値電圧モニタ部22を構成している。
ここで、微小電流IREFの生成には、既知の様々な微小電流源を利用できる。例えば、微小電流源が、図6に示すごとく、サブスレッショルド領域で動作するMOSFETQ1〜Q6と、強反転線形領域で動作する線形MOS抵抗(MR)Q7で構成されている場合、微小電流IREFは、IREF=nμCOX effと表される。ここで、nは低ドレイン電圧領域での補正項(n=βlin/βsat)、Kはトランジスタのアスペクト比、KeffはCMOS回路を構成するMOSFETのアスペクト比によって決定される係数を表している。
ここで、微小電流IREFは、しきい値電圧の項を含まないことから、しきい値電圧バラツキに対して耐性を持つことになる。pMOSFET(図6中のMP1)Q12で構成されるしきい値電圧モニタ回路1−1では、カレントミラー部21を介して微小電流IREFを流すことで、pMOSFET(図6中のMP1)Q12のゲート・ソース間電圧VGS,P1である制御出力電圧VREFが生成されることになる。この制御出力電圧VREFは次式で表される。
Figure 0004791581
上記式(10)より、制御出力電圧VREFは、pMOSFET(MP1)Q12のしきい値電圧VTHP,P1(第1項)と対数関数(第2項)で調整される熱電圧の和で表されることがわかる。微小電流源より生成される微小電流IREFは、しきい値電圧バラツキに耐性を持つことから、上記式(10)の右辺第2項はプロセスバラツキに対して安定となる。また、MOSFETのサイズを大きくすることにより、pMOSFET(MP1)Q12のしきい値電圧のランダムバラツキを抑制することが可能である。以上のことから、しきい値電圧モニタ回路部20−1の制御出力電圧VREFはしきい値電圧の項を含み、また、温度に合わせて変化することから、しきい値電圧モニタ回路1−1を用いることで、pMOSFET(MP1)Q12のしきい値電圧の状態をモニタすることが可能となる。
さらに、図5及び図6の回路では、上記式(10)から電源電圧VDDは次式で表される。
Figure 0004791581
すなわち、pMOSFET(MP1)Q12のしきい値電圧VTHP,P1の状態をモニタし、電源電圧VDDに対応する制御出力電圧VREFを、しきい値電圧VTHP,P1の変動量ΔVTHP,P1に対応して変化するように制御することで、遅延時間が典型値に近づき遅延バラツキが実質的にゼロとなるように補正している。従って、しきい値電圧モニタ回路1−1は、遅延時間が典型値に近づき遅延バラツキが実質的にゼロとなるように電源電圧VDDを制御して制御出力電圧VREFを発生しているので電源電圧制御回路を構成している。
上述した実施例1のサブスレッショルドディジタルCMOS回路2−1のためのしきい値電圧モニタ回路1−1は、補正対象のサブスレッショルドCMOS回路2−1におけるMOSFETの特性において、pMOSFETがnMOSFETよりも典型値におけるしきい値電圧が高い場合(例えば式(8)の条件VTHP−VTHN>0.1Vを満たす。)、すなわち、典型値におけるしきい値電圧の高い方がpMOSFETである場合に適用する回路である。
これに対して、補正対象のサブスレッショルドCMOS回路2−2におけるMOSFETの特性において、nMOSFETがpMOSFETよりも典型値におけるしきい値電圧が高い場合(例えば式(9)の条件VTHP−VTHN<−0.1Vを満たす。)、すなわち、典型値におけるしきい値電圧の高い方がnMOSFETである場合、しきい値電圧モニタ回路1−2は図7に示す回路になる。
図7に示す実施例2のしきい値電圧モニタ回路1−2は、電流源回路部10と、カレントミラー部21と、nMOSFET(図7中のMN1)Q13からなるしきい値電圧モニタ部23とを備えて構成される。ここで、カレントミラー部21と、しきい値電圧モニタ部23とによりしきい値電圧モニタ回路部20−2を構成する。ここで、電流源回路部10は図6と同様に構成される。また、カレントミラー部21は図6と同様にpMOSFETQ11で構成される。そして、しきい値電圧モニタ部23のnMOSFET(MN1)Q13のソース電極はグランドと接続され、またゲート電極及びドレイン電極はカレントミラー部21の電流出力端子と接続され、nMOSFET(MN1)Q13のゲート電極及びドレイン電極を制御出力電圧(VREF)端子として、しきい値電圧モニタ部23を構成している。
以上のように構成された実施例2では、nMOSFET(MN1)Q13のしきい値電圧VTHP,N1の状態をモニタし、電源電圧VDDに対応する制御出力電圧VREFを、しきい値電圧VTHN,N1の変動量ΔVTHN,N1に対応して変化するように制御することで、遅延時間が典型値に近づき遅延バラツキが実質的にゼロとなるように補正している。従って、しきい値電圧モニタ回路1−2は、遅延時間が典型値に近づき遅延バラツキが実質的にゼロとなるように電源電圧VDDを制御して制御出力電圧VREFを発生しているので電源電圧制御回路を構成している。
次に、サブスレッショルドCMOS回路のしきい値電圧モニタ回路において、nMOSFETとpMOSFETのしきい値電圧が同程度のプロセスの場合に、高しきい値電圧デバイス(HVTデバイス)及び低しきい値電圧デバイス(LVTデバイス)を使用する回路に対して行う遅延バラツキを補正のための回路について説明する。
図8Aに示す実施例3のしきい値電圧モニタ回路1−3は、サブスレッショルドディジタルCMOS回路2−3において、pMOSFETがnMOSFETよりも典型値におけるしきい値電圧が高い場合(例えば式(8)の条件VTHP−VTHN>0.1Vを満たす。)、すなわち、典型値におけるしきい値電圧の高い方がpMOSFETである場合に適用する回路である。
図8Aに示す実施例3のしきい値電圧モニタ回路は、電流源回路部10と、カレントミラー部21と、HVTデバイスのpMOSFET(図8A中のp−HVT)Q14からなるしきい値電圧モニタ部24とを備えて構成される。ここで、カレントミラー部21と、しきい値電圧モニタ部24とによりしきい値電圧モニタ回路部20−3を構成する。ここで、電流源回路部10は図6及び図7と同様に構成される。また、カレントミラー部21は図6及び図7と同様にpMOSFETQ11で構成される。そして、しきい値電圧モニタ部24のpMOSFET(p−HVT)Q14のソース電極はカレントミラー部21の電流出力端子と接続され、pMOSFET(p−HVT)Q14のゲート電極及びドレイン電極はグランドと接続され、pMOSFET(p−HVT)Q14のソース電極を制御出力電圧(VREF)端子として、しきい値電圧モニタ部24を構成している。
図8Bは図8AのサブスレッショルドディジタルCMOS回路2−3の一例を示す回路図である。当該回路2−3の一例は、nMOSFETとpMOSFETのしきい値電圧が同程度のプロセスにより製造された場合において、pMOSFETがnMOSFETよりも典型値におけるしきい値電圧が高い場合(例えば式(8)の条件VTHP−VTHN>0.1Vを満たす。)の一例を示しており、p−HVTデバイスにてなるpMOSFETQ91HとnMOSFETQ92とで構成される複数のインバータを、端子T1と端子T2との間で従属接続して構成している。ここで、nMOSFETQ92は通常のnMOSFET又はn−LVTデバイスであってもよい。
以上のように構成された実施例3では、pMOSFET(図8A中のp−HVT)Q14のしきい値電圧VTHP,P1の状態をモニタし、電源電圧VDDに対応する制御出力電圧VREFを、しきい値電圧VTHP,P1の変動量ΔVTHP,P1に対応して変化するように制御することで、遅延時間が典型値に近づき遅延バラツキが実質的にゼロとなるように補正している。従って、しきい値電圧モニタ回路1−3は、遅延時間が典型値に近づき遅延バラツキが実質的にゼロとなるように電源電圧VDDを制御して制御出力電圧VREFを発生しているので電源電圧制御回路を構成している。
実施例4では、上述の実施例3と同様に、サブスレッショルドディジタルCMOS回路2−4のためのしきい値電圧モニタ回路1−4において、nMOSFETとpMOSFETのしきい値電圧が同程度のプロセスの場合に、高しきい値電圧デバイス(HVTデバイス)及び低しきい値電圧デバイス(LVTデバイス)を使用する回路に対して行う遅延バラツキを補正のための回路について説明する。
図9Aに示す実施例4のしきい値電圧モニタ回路1−4は、サブスレッショルドディジタルCMOS回路2−4において、nMOSFETがpMOSFETよりも典型値におけるしきい値電圧が高い場合(例えば式(9)の条件VTHP−VTHN<−0.1Vを満たす。)、すなわち、典型値におけるしきい値電圧の高い方がnMOSFETである場合に適用する回路である。
図9Aに示す実施例4のしきい値電圧モニタ回路は、電流源回路部10と、カレントミラー部21と、HVTデバイスのnMOSFET(図9A中のn−HVT)から構成される。そして、nMOSFET(n−HVT)のソース電極はグランドと接続され、nMOSFET(n−HVT)のゲート電極及びドレイン電極はカレントミラー部21の電流出力端子と接続され、nMOSFET(n−HVT)のゲート電極及びドレイン電極を制御出力電圧(VREF)端子として、しきい値電圧モニタ部25を構成している。
図9Bは図9AのサブスレッショルドディジタルCMOS回路2−4の一例を示す回路図である。当該回路2−4の一例は、nMOSFETとpMOSFETのしきい値電圧が同程度のプロセスにより製造された場合において、nMOSFETがpMOSFETよりも典型値におけるしきい値電圧が高い場合の一例を示しており、pMOSFETQ91と、n−HVTデバイスにてなるnMOSFETQ92Hとで構成される複数のインバータを、端子T1と端子T2との間で従属接続して構成している。ここで、pMOSFETQ91は通常のpMOSFET又はp−LVTデバイスであってもよい。
実施例4に係るしきい値電圧モニタ回路1−4は、上述のしきい値電圧モニタ回路1−1〜1−3と同様に、遅延時間が典型値に近づき遅延バラツキが実質的にゼロとなるように電源電圧VDDを制御して制御出力電圧VREFを発生しているので電源電圧制御回路を構成している。
(遅延バラツキ補正回路のシミュレーション評価)
次に、本発明の遅延バラツキ補正回路の性能について、シミュレーションを用いて評価を行った結果について説明を行う。シミュレーションは、Cadence社のSpectreを用いて行った。また、使用した標準CMOSパラメータは、0.35μmCMOS2P4Mプロセスである。また、MOSFETのSPICEモデルはBSIM3v3 Level53を用いた。なお、典型値におけるnMOSFETとpMOSFETのしきい値電圧は、それぞれ0.46(V)と0.68(V)である。また、アナログ回路用の電源電圧は3.3(V)とした。
ここで、pMOSFETのしきい値電圧がnMOSFETのしきい値電圧より0.1V以上大きいCMOSプロセスであるため、先の議論からpMOSFETのしきい値電圧バラツキのみをモニタすればよい。そして、プロセス変動に対する影響を評価するために、グローバルバラツキ(一様分布:−0.1(V)<ΔVTH<0.1(V))とランダムバラツキ(ガウス分布:
Figure 0004791581
)を考慮したモンテカルロシミュレーションを実施した。
図10に、温度−20〜100℃に対する制御出力電圧VREFを示す。上記式(10)で示したように制御出力電圧VREFは、pMOSFETのしきい値電圧と熱電圧の項を含むため、出力電圧は温度に合わせて変動する。すなわち、制御出力電圧VREFは温度によるバラツキをモニタできることがわかる。
図11A及び図11Bに、モンテカルロシミュレーション500回行ったときの制御出力電圧VREFを示す。図11Aは温度に対する出力電圧を示しており、それぞれの線が1回のモンテカルロシミュレーションの結果を表している。これらの結果はpMOSFETのしきい値電圧のグローバルバラツキと温度変化に起因している。すなわち、しきい値電圧のグローバルバラツキが±0.1(V)変動するため、ある温度において出力電圧が±0.1(V)変動していることがわかる。
また、MOSFETの温度係数κはプロセスバラツキに対して安定なパラメータであることが知られており、すべての結果において温度に対する制御出力電圧VREFの傾きはほとんど同じであることが確認できる。図11Bは室温におけるpMOSFETのしきい値電圧のグローバルバラツキΔVTHに対する出力電圧の散布図を示している。それぞれの円がモンテカルロシミュレーション1回の結果を表している。制御出力電圧VREFは、上記式(10)よりチップ内のpMOSFETのしきい値電圧を参照していることから、pMOSFETのしきい値電圧に対して線形に変動することが確認できる。従って、しきい値電圧モニタ回路はチップ内の温度変化とプロセス変動に対するpMOSFETの状態をモニタしていることが可能である。
図5に示した遅延バラツキ補正回路の性能評価のために、サブスレッショルドCMOS回路の例として、CMOSインバータ5段のリング発振器の発振周波数のバラツキ補正を行った結果を説明する。室温において典型値における発振周波数を10(kHz)となるように調整し、補正なしとして固定電源電圧VDD=400(mV)との比較を行った。
図12に室温におけるモンテカルロシミュレーションを500回行ったときの発振周波数のヒストグラム((a)補正なし(b)補正あり)を示す。補正なし(図12(a))では、CMOSインバータの伝播遅延は対数正規分布に従うことから発振周波数においても対数正規分布に従ってバラついていることがわかる。発振周波数は0.357〜228(kHz)と大きく変動している。一方、補正あり(図12(b))では、遅延バラツキは大きく改善されて、発振周波数は正規分布に従ってバラついている。発振周波数は、1.81〜19.9(kHz)の間に収まっている。補正あり(図12(b))の場合、発振周波数の変動係数(σ/μ)は31%であった。ここで、μとσはそれぞれ発振周波数の平均値と標準偏差である。
図13に温度−20〜100℃に対する補正なしと補正ありの発振周波数を示す。補正なしの場合、発振周波数は、0.213〜526(kHz)まで大きく変化している。補正ありでは、発振周波数の変動が大きく抑えられ、7.23〜19.4(kHz)の間に収まっていることが確認できる。
次に、CMOS回路の遅延バラツキ補正効果、消費電力削減効果を評価するために、8ビット桁上げ伝播加算器(RCA:Ripple Carry Adder)の遅延バラツキ補正を行った。設定処理時間を500μsに設定し、遅延制約を満たすように設計を行った。補正なしの固定電源電圧は、665(mV)である。計算時間が最悪値となる(00000001)+(11111111)で評価した。
図14に、−20℃、27℃、100℃におけるモンテカルロシミュレーションを500回行ったときの加算器の遅延時間を示す。補正なし、補正ありのそれぞれにおいて典型値における遅延時間とモンテカルロシミュレーションより求めた最も早い遅延時間と最も遅い遅延時間を示している。図14より、補正なしの遅延時間は、36.6(ns)〜432(μs)まで変化しているのに対して、補正ありの遅延時間は、41.2(μs)〜443(μs)の間に抑えられている。補正なし/補正ありのすべての結果において遅延制約を満たしているが、補正なしの場合は大きく遅延時間がバラついていることが確認できる。
次に、遅延バラツキ補正なしと補正ありの消費電流を比較する。下記表1に遅延バラツキ補正なしと補正ありの消費電流を示す。
Figure 0004791581
表1から、遅延バラツキ補正を行うことで遅延制約を満たす最小の電源電圧に設定することができることから、補正なしと比較して、サブスレッショルドCMOS回路の消費電流を削減できていることが理解されよう。
上述の内容から、典型値におけるpMOSFETとnMOSFETのしきい値電圧の差を利用し、一方のしきい値電圧のみをモニタリングし、その出力電圧を遅延バラツキを補正するサブスレッショルドCMOS回路の電源電圧として利用し、プロセスバラツキや温度変化によるしきい値電圧の状態に合わせて電源電圧を変動させることにより、遅延バラツキを補正が可能となることが示された。
そして、上述のシミュレーション評価の結果で示されたように、本発明の遅延バラツキ補正回路をサブスレッショルドCMOS回路に適用することにより、対数正規分布に従っていた遅延バラツキを大幅に抑制し、正規分布に抑えることが可能である。また、本発明の遅延バラツキ補正回路をサブスレッショルドCMOS回路に適用することにより、しきい値電圧の状態に合わせて電源電圧を制御することになり、遅延制約を満たす最小の電源電圧を供給できることになるため、固定電源電圧と比較した場合に、サブスレッショルドCMOS回路の消費電力をより削減できることになる。
第1の実施形態のまとめ.
本発明の第1の観点のサブスレッショルドCMOS回路は、pMOSFETの典型値におけるしきい値電圧とnMOSFETの典型値におけるしきい値電圧の絶対値差を0.1V以上とし、典型値におけるしきい値電圧が高い方のMOSFETのしきい値電圧を制御出力電圧とするしきい値電圧モニタ回路を備え、しきい値電圧モニタ回路の制御出力電圧を、サブスレッショルドCMOS回路の電源ラインに供給する回路構成とされる。かかる構成によれば、nMOSFETとpMOSFETのしきい値電圧のバラツキをサブスレッショルドCMOS回路本体の電源電圧に反映させることで遅延バラツキを補正することができる。具体的には、典型値におけるしきい値電圧が高いMOSFETのしきい値電圧バラツキのみをモニタリングして、そのモニタリング信号をサブスレッショルドCMOS回路の電源電圧に反映させる。例えば、pMOSFETのしきい値電圧がnMOSFETのしきい値電圧より高い場合、pMOSFETのしきい値電圧のみをモニタリングして遅延バラツキを補正する。
ここで、pMOSFETの典型値におけるしきい値電圧とnMOSFETの典型値におけるしきい値電圧の絶対値差を0.1V以上とすることは、典型値におけるしきい値電圧が高い方のMOSFETのしきい値電圧のみをモニタリングするための必要条件である。
また、しきい値電圧モニタ回路の出力電圧を、サブスレッショルドCMOS回路の電源ラインに供給する場合において、ディジタル回路の消費電流が低く、しきい値電圧モニタ回路の電流でディジタル回路の消費電流を供給可能な場合には、バッファ回路は不要である。
好ましくは、しきい値電圧モニタ回路の出力電圧を、バッファ回路を介してサブスレッショルドCMOS回路の電源ラインに供給する。しきい値電圧モニタ回路が微小電流を生成することから、出力電圧を直接電源ラインとした場合、ディジタル回路の消費電流に応じて出力電圧が変動する可能性があるからである。
また、本発明の第2の観点のサブスレッショルドCMOS回路は、pMOSFETの典型値におけるしきい値電圧とnMOSFETの典型値におけるしきい値電圧の絶対値差を0.1V未満とし、しきい値電圧の絶対値差が0.1V以上の高しきい値電圧デバイス(HVTデバイス)及び低しきい値電圧デバイス(LVTデバイス)を用い、しきい値電圧の高い方のデバイスを構成するMOSFETでのしきい値電圧を制御出力電圧とするしきい値電圧モニタ回路を備え、しきい値電圧モニタ回路の制御出力電圧を、サブスレッショルドCMOS回路の電源ラインに供給する回路構成とされる。かかる構成によれば、nMOSFETとpMOSFETのしきい値電圧が同程度のプロセスの場合に、高しきい値電圧デバイス(HVTデバイス)及び低しきい値電圧デバイス(LVTデバイス)を使用することにより、上記と同様に、典型値におけるしきい値電圧が高いHVTデバイスのMOSFETのしきい値電圧バラツキのみをモニタリングして、そのモニタリング信号をサブスレッショルドCMOS回路の電源電圧に反映させることで遅延バラツキを補正することができる。
ここで、上記第1の観点のサブスレッショルドCMOS回路のしきい値電圧モニタ回路の具体的構成態様としては、典型値におけるしきい値電圧の高い方がpMOSFETである場合、電流源回路部と、カレントミラー部と、pMOSFETから構成され、pMOSFETのソース電極はカレントミラー部の電流出力端子と接続され、pMOSFETのゲート電極及びドレイン電極はグランドと接続され、pMOSFETのソース電極を制御出力電圧(VREF)端子とした構成とされる。
また、上記第1の観点のサブスレッショルドCMOS回路のしきい値電圧モニタ回路の他の具体的構成態様としては、典型値におけるしきい値電圧の高い方がnMOSFETである場合、電流源回路部と、カレントミラー部と、nMOSFETから構成され、nMOSFETのソース電極はグランドと接続され、nMOSFETのゲート電極及びドレイン電極はカレントミラー部の電流出力端子と接続され、nMOSFETのゲート電極及び端子を制御出力電圧(VREF)端子とした構成とされる。
また、上記第2の観点のサブスレッショルドCMOS回路のしきい値電圧モニタ回路の具体的構成態様としては、HVTデバイスにおいて、典型値におけるしきい値電圧の高い方がpMOSFETである場合、電流源回路部と、カレントミラー部と、HVTデバイスのpMOSFETから構成され、pMOSFETのソース電極はカレントミラー部の電流出力端子と接続され、pMOSFETのゲート電極及びドレイン電極はグランドと接続され、pMOSFETのソース電極を制御出力電圧(VREF)端子とした構成とされる。
また、上記第2の観点のサブスレッショルドCMOS回路のしきい値電圧モニタ回路の他の具体的構成態様としては、HVTデバイスにおいて、典型値におけるしきい値電圧の高い方がnMOSFETである場合、電流源回路部と、カレントミラー部と、HVTデバイスのnMOSFETから構成され、nMOSFETのソース電極はグランドと接続され、nMOSFETのゲート電極及びドレイン電極はカレントミラー部の電流出力端子と接続され、nMOSFETのゲート電極及びドレイン電極を制御出力電圧(VREF)端子とした構成とされる。
ここで、上記の電流源回路部は、例えば、サブスレッショルド領域で動作するMOSFETと強反転線形領域で動作する線形MOS抵抗(MR)で構成される回路が挙げられるが、これに限定されるものではない。また、カレントミラー部は、上記の電流源回路で生成した微小電流を、しきい値電圧をモニタするためのMOSFETに供給する。
次に、本発明のサブスレッショルドCMOS回路の遅延バラツキ補正回路は、pMOSFETの典型値におけるしきい値電圧とnMOSFETの典型値におけるしきい値電圧の絶対値差を0.1V以上となるサブスレッショルドCMOS回路に付帯する回路であって、pMOSFETの典型値におけるしきい値電圧の方がnMOSFETの典型値におけるしきい値電圧より高い場合、電流源回路部と、カレントミラー部と、典型値におけるしきい値電圧が高い方のMOSFET、すなわちpMOSFETから構成され、pMOSFETのソース電極はカレントミラー部の電流出力端子と接続され、pMOSFETのゲート電極及びドレイン電極はグランドと接続され、pMOSFETのソース電極を制御出力電圧(VREF)端子とした構成とされる。かかる構成の遅延バラツキ補正回路によれば、pMOSFETのしきい値電圧のみをモニタして、サブスレッショルドCMOS回路の遅延バラツキを補正する。
また、本発明のサブスレッショルドCMOS回路の遅延バラツキ補正回路は、pMOSFETの典型値におけるしきい値電圧とnMOSFETの典型値におけるしきい値電圧の絶対値差を0.1V以上となるサブスレッショルドCMOS回路に付帯する回路であって、nMOSFETの典型値におけるしきい値電圧の方がpMOSFETの典型値におけるしきい値電圧より高い場合、電流源回路部と、カレントミラー部と、典型値におけるしきい値電圧が高い方のMOSFET、すなわちnMOSFETから構成され、nMOSFETのソース電極はグランドと接続され、nMOSFETのゲート電極及びドレイン電極はカレントミラー部の電流出力端子と接続され、nMOSFETのゲート電極及びドレイン電極を制御出力電圧(VREF)端子とした構成とされる。かかる構成の遅延バラツキ補正回路によれば、nMOSFETのしきい値電圧のみをモニタして、サブスレッショルドCMOS回路の遅延バラツキを補正する。また、かかる構成によれば、nMOSFETとpMOSFETのしきい値電圧のバラツキをサブスレッショルドCMOS回路本体の電源電圧に反映させることで遅延バラツキを補正することができる。典型値におけるしきい値電圧の高いMOSFETのしきい値電圧バラツキのみをモニタリングして、そのモニタリング信号をサブスレッショルドCMOS回路の電源電圧に反映させることで遅延バラツキを補正する。なお、pMOSFETの典型値におけるしきい値電圧とnMOSFETの典型値におけるしきい値電圧の絶対値差を0.1V以上としたのは、典型値におけるしきい値電圧が高い方のMOSFETのしきい値電圧のみをモニタリングするための必要条件だからである。
また、本発明のサブスレッショルドCMOS回路の遅延バラツキ補正回路は、pMOSFETの典型値におけるしきい値電圧とnMOSFETの典型値におけるしきい値電圧の絶対値差を0.1V未満とし、しきい値電圧の絶対値差が0.1V以上の高しきい値電圧デバイス(HVTデバイス)及び低しきい値電圧デバイス(LVTデバイス)を用いたサブスレッショルドCMOS回路に付帯する回路であって、
電流源回路部と、カレントミラー部と、典型値におけるしきい値電圧が高い方のMOSFET、すなわちHVTデバイスのpMOSFETから構成され、pMOSFETのソース電極はカレントミラー部の電流出力端子と接続され、pMOSFETのゲート電極及びドレイン電極はグランドと接続され、pMOSFETのソース電極を制御出力電圧(VREF)端子とした構成とされる。かかる構成の遅延バラツキ補正回路は、pMOSFETのしきい値電圧がnMOSFETのしきい値電圧よりも高い場合に用いられる。
また、本発明のサブスレッショルドCMOS回路の遅延バラツキ補正回路は、pMOSFETの典型値におけるしきい値電圧とnMOSFETの典型値におけるしきい値電圧の絶対値差を0.1V未満とし、しきい値電圧の絶対値差が0.1V以上の高しきい値電圧デバイス(HVTデバイス)及び低しきい値電圧デバイス(LVTデバイス)を用いたサブスレッショルドCMOS回路に付帯する回路であって、電流源回路部と、カレントミラー部と、典型値におけるしきい値電圧が高い方のMOSFET、すなわちHVTデバイスのnMOSFETから構成され、nMOSFETのソース電極はグランドと接続され、nMOSFETのゲート電極及びドレイン電極はカレントミラー部の電流出力端子と接続され、nMOSFETのゲート電極及びドレイン電極を制御出力電圧(VREF)端子とした構成とされる。かかる構成の遅延バラツキ補正回路は、nMOSFETのしきい値電圧がpMOSFETのしきい値電圧よりも高い場合に用いられる。また、かかる構成によれば、nMOSFETとpMOSFETのしきい値電圧が同程度のプロセスの場合に、高しきい値電圧デバイス(HVTデバイス)及び低しきい値電圧デバイス(LVTデバイス)を使用することにより、典型値におけるしきい値電圧の高いHVTデバイスのMOSFETのしきい値電圧バラツキのみをモニタリングして、そのモニタリング信号をサブスレッショルドCMOS回路の電源電圧に反映させることで遅延バラツキを補正することができる。
次に、本発明のサブスレッショルドCMOS回路の遅延バラツキ補正方法は、pMOSFETの典型値におけるしきい値電圧とnMOSFETの典型値におけるしきい値電圧の絶対値差を0.1V以上とし、典型値におけるしきい値電圧が高い方のMOSFETのしきい値電圧を制御出力電圧とし、該制御出力電圧をバッファ回路を介して前記サブスレッショルドCMOS回路の電源ラインに供給する。かかる方法によれば、nMOSFETとpMOSFETのしきい値電圧のバラツキを、典型値におけるしきい値電圧の高いMOSFETのしきい値電圧バラツキのみをモニタリングして、そのモニタリング信号をサブスレッショルドCMOS回路の電源電圧に反映させることで遅延バラツキを補正することができる。
第2の実施形態.
第1の実施形態では、サブスレッショルドディジタルCMOS回路における製造プロセス変動が及ぼす影響を考慮した遅延バラツキ補正回路について説明したが、第2の実施形態以降では、さらに温度変化が及ぼす影響を考慮した遅延バラツキ補正回路について詳細説明する。
まず、MOSFETの電流−電圧特性について以下に説明する。MOSFETのゲート・ソース間電圧VGSとドレイン電流Iの関係を図15及び図16に示す。図15及び図16において、ゲート・ソース間電圧VGSがMOSFETのしきい値電圧VTHよりも高い領域を強反転領域と呼び、ゲート・ソース間電圧VGSがしきい値電圧VTHよりも低い領域をサブスレッショルド領域(弱反転領域)と呼ぶ。図15より、強反転領域では、電流Iが電圧差(VGS−VTH)に依存して増加しているが、サブスレッショルド領域では電流Iが流れていないように見える。しかし、図16に示すように、ドレイン電流Iを対数スケールで表すとサブスレッショルド領域での電流は0ではなく、微小な電流が流れていることがわかる。
MOSFETの強反転領域におけるドレイン・ソース間電圧VDSとドレイン電流Iの関係を図17に示す。図17において、点線の左側(VDS<VGS−VTH)の電流Iがドレイン・ソース間電圧VDSに依存する領域を線形領域(3極管領域)、点線の右側の(VDS<VGS−VTH)のドレイン電流Iがドレイン・ソース間電圧VDSにほとんど依存しない領域を飽和領域と呼ぶ。サブスレッショルド領域におけるドレイン・ソース間電圧VDSとドレイン電流Iの関係を図18に示す。サブスレッショルド領域においても強反転領域と同様に、ドレイン電流Iがドレイン・ソース間電圧VDSに依存する領域とほとんど依存しない領域に分けることができ、サブスレッショルド領域においてドレイン電流Iがドレイン・ソース間電圧VDSに依存する領域(VDS>約100mV)をサブスレッショルド飽和領域、サブスレッショルド領域においてドレイン電流Iがドレイン・ソース間電圧VDSにほとんど依存しない領域(VDS<約100mV)をサブスレッショルド線形領域と呼ぶ。すなわち、ゲート・ソース間電圧VGSとドレイン・ソース間電圧VDSの関係によって図19に示すような4領域に分けることができる。以下に各領域における特性について述べる。
まず、線形領域について以下に説明する。MOSFETのゲート・ソース間電圧VGSにしきい値電圧以上でバイアスすることで反転層電荷密度が上昇し、ゲート電極下に反転層が形成されることでドリフト電流が流れる。このとき、MOSFETを流れるドレイン電流Iは次式で表される。
Figure 0004791581
ここで、μは移動度、COX(=εOX/tOX)は単位面積当たりの酸化膜容量、tOXは酸化膜厚、εOXは酸化膜の誘電率、そしてK(=W/L)はチャネル長Lとチャネル幅Wのアスペクト比である。ドレイン・ソース間電圧VDSが十分に低いとき、式(13)は次式で近似することができる。
Figure 0004791581
式(14)より、線形領域におけるドレイン電流はVDSとともに線形に増大する性質を持つ。従って、線形領域におけるMOSFETは、単にゲート・ソース間電圧VGSによって変調され、次式で表される抵抗Rのようにふるまう。
Figure 0004791581
次いで、飽和領域について以下に説明する。式(14)に示した線形領域におけるMOSFETの線形性はドレイン・ソース間電圧VDSが十分小さいときのみであり、ドレイン・ソース間電圧VDSが増大するにつれ、2次項が無視できなくなる。従って、ドレイン・ソース間電圧VDSが増大すると電流は最大、あるいは飽和値に達するまで放物線状に増大する。これは、ドレイン・ソース間電圧VDSが増大すると、ドレイン電流Iは増大するものの、ドレイン端の反転層電荷密度が減少することに起因する。ドレイン・ソース間電圧VDSが電圧差(VGS−VTH)のとき、ドレイン端の反転層電荷密度が0になり、ドレイン電流は飽和する。このことをピンチオフ(pinch-off)と言い、ドレイン電流Iは次式で表される。
Figure 0004791581
ドレイン・ソース間電圧VDSが飽和点を超えて増大するとピンチオフ点はソース側に移動するが、ドレイン電流はほとんど変化しない。
次いで、サブスレッショルド線形領域について以下に説明する。MOSFETのゲート・ソース間電圧VGSにしきい値VTH以下でバイアスするとボルツマン分布に従い、MOSFETに拡散電流が流れる。このときドレイン電流Iは次式で表される。
Figure 0004791581
ここで、I(=μCOX(η−1)V )はサブスレッショルド電流の前置係数、V(=kT/q)は熱電圧、kはボルツマン定数、Tは絶対温度、qは電子電荷である。ドレイン電圧が十分低いとき、式(17)は次式で近似することができる。
Figure 0004791581
すなわち、サブスレッショルド線形領域におけるMOSFETは、次式で表される抵抗Rのようにふるまう。
Figure 0004791581
次いで、サブスレッショルド飽和領域について以下に説明する。図20に温度−20°C、27°C、100°Cにおける式(17)中の
Figure 0004791581
のドレイン・ソース間電圧VDS依存性の数値計算結果を示す。図20より、ドレイン・ソース間電圧VDSが100mV付近を超えるとほとんど0に収束することがわかる。すなわち、ドレイン・ソース間電圧VDSが100mV以上のとき式(17)は次式で近似することができる。
Figure 0004791581
式(21)から明らかなように、ドレイン電流Iはドレイン・ソース間電圧VDSにほとんど依存しない。サブスレッショルド回路はMOSFETをサブスレッショルド飽和領域で動作させる回路が一般的であり、サブスレッショルドディジタルCMOS回路中のMOSFETもサブスレッショルド飽和領域で動作する。これ以降では、特に断りがない限り、サブスレッショルド領域とはサブスレッショルド飽和領域を、サブスレッショルド電流とはサブスレッショルド飽和領域におけるドレイン電流を指すものとする。
さらに、サブスレッショルド電流のプロセス・温度バラツキについて以下に説明する。以下では、製造プロセス変動と温度変化がサブスレッショルド電流に及ぼす影響について述べる。
まず、プロセス依存性について以下に説明する。式(21)より、サブスレッショルド電流Iのプロセス依存性は、各パラメータPのバラツキΔPを想定すると次式で表される。
Figure 0004791581
ここで、トランジスタの形状に起因するパラメータ(ΔL,ΔW,ΔtOX)と移動度のバラツキ(Δμ)は残りの項と比較して十分に小さいので、式(22)は次式で近似することができる。
Figure 0004791581
ここで、ゲート・ソース間電圧VGSが定電圧であると想定すると、右辺第2項のみが残る。すなわち、しきい値電圧のバラツキΔVTHが及ぼす影響が最も大きいことがわかる。
次いで、温度依存性について以下に説明する。MOSFETのキャリア移動度μとしきい値電圧VTHは温度Tに依存し、それぞれ次式で表される。
Figure 0004791581
Figure 0004791581
ここで、μは室温Tにおける移動度、mは移動度の温度係数、VTH0は絶対零度におけるしきい値電圧、そしてκはしきい値電圧の温度係数である。式(21)、式(24)及び式(25)より、サブスレッショルド電流の温度特性は次式で表される。
Figure 0004791581
ここで、式(26)の右辺第1項は残りの項と比較して十分に小さいことから、式(26)は次式で近似することができる。
Figure 0004791581
上記と同様に、ゲート・ソース間電圧VGSが定電圧であると想定すると、式(27)の右辺括弧内の第1項と第3項が温度特性に影響を及ぼすことがわかる。ゲート・ソース間電圧VGSがしきい値電圧VTHよりも小さな定電圧である場合、式(27)の右辺は正の値を持ち温度と共に電流量が増大することがわかる。また、ゲート・ソース間電圧VGSが低電圧であるほど温度依存性が大きくなることがわかる。
次いで、サブスレッショルド電流のバラツキについて以下に説明する。式(23)及び式(27)で示した通り、サブスレッショルド電流はプロセス変動や温度変化に対して敏感に変動する。サブスレッショルド電流のプロセス・温度バラツキ依存性の数値計算結果を図2A及び図2Bに示す。バラツキのない典型値における電流値(図2A:ΔVTH=0、図2B:T=27°Cにおける電流)で規格化している。サブスレッショルド電流は製造プロセス変動(ΔVTH)や温度変化(T)によるしきい値変動により、3ないし4桁のオーダーで指数関数に変動することが確認できる。
さらに、サブスレッショルドディジタルCMOS回路について以下に説明する。ここでは、まずCMOSディジタル回路の低消費電力技術についてまとめる。そして、電源電圧がMOSFETのしきい値電圧以下であるサブスレッショルドディジタルCMOS回路の特性について説明する。
CMOSディジタル回路が消費する電力Ptotalは次式で表される。
Figure 0004791581
式(28)の第1項Pdynは動作電力を表し、次式で表される。
Figure 0004791581
ここで、pはスイッチング確率、fはクロックの動作周波数、Cは負荷容量、VDDは電源電圧である。動作電力PdynはCMOSディジタル回路の出力が0から1に、又は、1から0にスイッチングするとき、すなわちトランジスタが動作する場合、負荷容量Cの充放電によって消費される電力で、スイッチングごとに発生する電力である。また、式(28)の第2項Pscは貫通電力を表し、次式で表される。
Figure 0004791581
ここで、Iscは貫通電流、tscは貫通電流の流れる時間である。貫通電力Pscは、ディジタル回路の出力が遷移する過程で、pMOSFETとnMOSFETの両方がオン状態である期間に電源からGNDまで流れる貫通電流によって消費される電力である。そして、式(28)の第3項Pleakはリーク電力を表し、次式で表される。
Figure 0004791581
リーク電力Pleakは回路動作に関わらずトランジスタを通って流れるリーク電流によって消費される電力である。
次いで、低消費電力化と問題点について以下に説明する。これまでのCMOSディジタル回路の低消費電力化は、デバイス素子の微細化とそれに伴う電源電圧の低減によって実現されてきた。これは式(28)〜式(31)が示すようにCMOSディジタル回路の消費電力が電源電圧に依存することに一致する。特に、動作電力は電源電圧の2乗に比例することから電源電圧の低減はCMOSディジタル回路の低消費電力化に極めて有効な手法である。しかし、その一方で、ディジタル回路のゲート伝播遅延tpdは次式で近似することができる。
Figure 0004791581
従って、電源電圧VDDを下げるだけではゲート伝播遅延の増加を引き起こす。ここで、kは定数である。速度を維持するには電源電圧VDDと同時にしきい値電圧VTHを低下させる必要があるが、しきい値電圧VTHの低下は式(31)に示したようにリーク電力の増大を招く。すなわち両者はトレードオフの関係にある。このように、プロセスの微細化に伴う電源電圧、しきい値電圧の低減によりリーク電力の増加が深刻となり、結果的にLSIの低消費電力化を妨げる要因となっている。
上述したように、CMOSディジタル回路の低電力化には電源電圧の低減が有効な手段であるが、しきい値電圧を低下させることなく電源電圧を低減すると遅延時間が増大する。しかしながら、高速動作を要しないアプリケーション、例えば体内埋め込み型デバイスやセンサLSIなどの低速・低電力用途にとって、電源電圧の低減は非常に有効な手段である。すなわち、電源電圧をMOSFETのしきい値電圧以下に設定するサブスレッショルドディジタルCMOS回路は超低消費電力化を実現することができる。
サブスレッショルドディジタルCMOS回路を用いたセンサLSIやFFT(Fast Fourier Transform)演算回路が提案されるなど、ブスレッショルド・ディジタル回路は超低消費電力化を実現する手段として非常に注目されている。しかし、上述したように、サブスレッショルド領域で動作するMOSFETはプロセス変動、温度変化の影響を受け、電流−電圧特性が大きく変動する問題があり、その電流のバラツキは3ないし4桁のオーダーである。そこでまず、以下において、製造プロセス変動、温度変化がサブスレッショルドディジタルCMOS回路に及ぼす影響について解析する。
まず、遅延時間のプロセス及び温度バラツキについて考えると、図21に示すCMOSインバータの伝播遅延τは次式で表される。
Figure 0004791581
ここで、τHLとτLHはそれぞれ立ち上がり時間と立ち下がり時間、そしてIとIはそれぞれnMOSFETとpMOSFETのサブスレッショルド領域におけるオン電流(VGS=VDD)である。負荷容量Cは次段のゲート容量で近似することができるため、C=αLWCOXと表すことができる。ここで、αは定数である。
式(33)よりプロセスバラツキによる遅延バラツキΔτ/τは次式で表される。
Figure 0004791581
Figure 0004791581
ここで、wは典型値におけるしきい値電圧の差(VTHP−VTHN)で決定される重み係数である。式(23)及びVDD≫ηVの条件を用いて次式を得る。
Figure 0004791581
すなわち、プロセスバラツキによる遅延バラツキ(Δτ/τ)は電源電圧の変動(ΔVDD)、しきい値電圧のバラツキ(ΔVTHN、ΔVTHP)と重み係数wに依存する。
次いで、温度変化による遅延バラツキについて以下に説明する。式(34)より、遅延時間τの温度特性
Figure 0004791581
は次式で表される。
Figure 0004791581
式(27)及びVDD≫ηVの条件を用いて次式を得る。
Figure 0004791581
式(39)より、遅延時間の温度特性は、電源電圧VDD、電源電圧の温度依存性、絶対零度におけるしきい値電圧と重み係数wに依存する。
さらに、遅延時間のバラツキについて考察する。図2A及び図2Bに示した通り、サブスレッショルドディジタルCMOS回路ではMOSFETを流れる電流がプロセスバラツキや温度変化に対して指数関数に変動する。これが原因となり、遅延時間は式(36)及び式(38)に従って大きくばらつく。この遅延時間のバラツキは対数正規分布に従う。図3に電流バラツキが遅延バラツキに及ぼす影響を示す。電源電圧、すなわちエネルギー(E=CVDD )をパラメータとしてプロットしている。指数関数にばらつく電流により、遅延時間も指数関数的にばらつく様子が確認できる。ここで、ある遅延制約(破線)を想定すると高エネルギーライン(E=2.25)では、最も少ない電流の場合においても遅延制約を満たすことができるが、電流の多い状態ではエネルギーを無駄に消費している。一方、低エネルギーライン(E=0.25)では、最も低いエネルギーで演算を行うことができるが、遅延制約を満たすことができない。すなわち、遅延制約と低エネルギーの両方を満たすためにはバラツキを制御する技術が必要となる。
次いで、本実施形態に係る遅延バラツキの補正技術について以下に説明する。
まず、電源電圧制御による遅延バラツキ補正について以下に説明する。遅延バラツキを補正する手法として、基板電位制御方式と電源制御方式の二通りが考えられる。本実施形態では、以下に示す理由を考慮した結果、電源制御方式を採用した。
(i)基板電位制御方式ではnMOSFETとpMOSFETの両者を補正しなければならないため補正回路規模が大きくなってしまう問題がある。
(ii)基板電位によるしきい値電圧の制御幅が鈍い。
(iii)順方向バイアス時における消費電力が増大する。
式(36)よりプロセスバラツキに対して遅延バラツキを補正する(Δτ/τ=0)ためには、電源電圧VDDを次式に従って制御すればよい。
Figure 0004791581
また、式(40)を用いて、温度変化に対して遅延バラツキを補正する、すなわち次式のごとく遅延時間の温度特性を0にするためには、
Figure 0004791581
式(39)の微分方程式を解くことで、次式のごとく電源電圧VDDに従って制御すればよいことがわかる。
Figure 0004791581
ここで、Cは任意の積分定数である。従って、式(40)及び式(42)よりプロセスバラツキ、温度変化の両方に対する遅延バラツキを補正するには、電源電圧を次式に従って制御すればよい。
Figure 0004791581
式(43)より、遅延バラツキは、nMOSFETとpMOSFETのプロセスバラツキによるしきい値電圧のバラツキと絶対零度におけるしきい値電圧を係数wと1−wを重み付けして電源電圧に反映する。さらに、任意の係数Cに従って温度に合わせて電源電圧を制御することで補正可能であることを示している。
次いで、重み係数wの特性を用いた簡易化遅延バラツキ補正について以下に説明する。上述したように、式(43)で表される電圧を生成し、これを電源電圧に反映されることで遅延バラツキを補正することができる。しかし、式(35)に示す重み係数wを正確に生成するためには複雑な回路構成を要し、回路規模や消費電力の増大を招くため現実的ではない。そこで、式(43)を実現するための簡略化モデルを検討した。
式(35)より、重み係数wは、典型値におけるpMOSFETとnMOSFETのしきい値電圧の差電圧に依存する。すなわち、重み係数wはしきい値電圧の典型値によって決まることを意味している。図4に、K0N=K0Pとしたときのしきい値電圧差VTHP−VTHNに対する重み係数wの計算結果を示す。図4より、pMOSFETとnMOSFETのしきい値電圧の差が0.1Vよりも大きい(VTHP−VTHN>0.1V)とき、重み係数wは0に近づく。また、逆に、pMOSFETとnMOSFETのしきい値電圧差が−0.1Vよりも小さい(VTHP−VTHN<−0.1V)とき、重み係数wは1に近づく。すなわち、典型値におけるしきい値電圧差(絶対値)が大きいとき、しきい値電圧の高いMOSFETのみが重み係数wを決定することがわかる。以上の議論より、式(43)は、次式の2通りに簡略化できることがわかる。
Figure 0004791581
Figure 0004791581
従って、プロセスバラツキと温度変化による遅延バラツキを補正するためには、典型値におけるしきい値電圧の高いMOSFETのしきい値電圧をモニタし、そのモニタリング電圧をサブスレッショルドディジタルCMOS回路の電源電圧に反映すればよい。発明者らが使用したプロセスは、上述のように、pMOSFETのしきい値電圧がnMOSFETのしきい値電圧よりも約0.2V程度高いことから、式(30)の重み係数wはほぼ0である。従って、式(44)より、pMOSFETの絶対零度におけるしきい値電圧から任意の温度係数を持った電源電圧を生成し、さらにpMOSFETのしきい値電圧バラツキをモニタし、電源電圧に反映させることで遅延バラツキ補正を実現できる。
しかしながら、pMOSFETとnMOSFETのしきい値電圧の値が同程度のプロセスも存在する。このような場合、高しきい値電圧(HVT)デバイスと低しきい値電圧(LVT)デバイスを併用する(例えば、nMOSFETにLVTデバイス、pMOSFETにHVTデバイスを使用する、又はnMOSFETにHVTデバイス、pMOSFETにLVTデバイスを使用する)ことで実現できる。また、基板バイアス制御によってあらかじめ典型値におけるしきい値電圧を制御することでも実現可能である。
図5に提案する遅延バラツキ補正回路の基本構成を示し、図6、図7、図8A及び図9Aにそれらの詳細構成を示す。これらの回路構成は第1の実施形態と同様であり、その詳細説明を省略する。例えば図6において、電流源回路部10により生成される微小電流を、カレントミラー部21を介してしきい値電圧モニタ回路部20−1に供給する。微小電流IREFの生成には、従来技術に係るオグエイ(Oguey)らの電流源を利用している。微小電流源を流れる電流IREFはしきい値電圧の項を陽に含まないことから、しきい値電圧バラツキに対して耐性を持つ。しきい値電圧モニタ回路部20−1では、カレントミラー部21を介して電流をpMOSFET(MP1)Q12にバイアスすることで、pMOSFET(MP1)Q12のゲート・ソース間電圧VGSである出力電圧VREFが生成される。ここで、出力電圧VREFは次式で表される。
Figure 0004791581
式(46)より、出力電圧VREFは、pMOSFET(MP1)Q12の絶対零度におけるしきい値電圧VTHP,P1と、pMOSFET(MP1)Q12のしきい値電圧VTHP,P1の温度係数と対数関数で任意に調整される温度に依存する項の和で表されることがわかる。微小電流源より生成される微小電流IREFはしきい値電圧バラツキに耐性を持つことから式(46)の右辺第2項はプロセスバラツキに対して安定である。また、トランジスタのサイズを大きくすることでpMOSFET(MP1)Q12のしきい値電圧VTHP,P1のランダムバラツキを抑制することが可能である。以上より、当該モニタ回路部20−1の出力電圧VREFはしきい値電圧VTHP,P1の項を含み、また、温度に合わせて変化することから、本実施形態に係るしきい値電圧モニタ回路1−1を用いることで、pMOSFET(MP1)Q12のしきい値電圧VTHP,P1の製造プロセス状態及び動作温度状態をモニタすることが可能である。
なお、しきい値電圧モニタ回路1−1は、第1の実施形態と同様に、図7、図8A及び図9Aのいしきい値電圧モニタ回路1−2〜1−4であってもよい。
さらに、上記提案した遅延バラツキ補正回路について、シミュレーションによる評価を行い、考察を加える。提案した遅延バラツキ補正回路の特性を評価するためにSPICE(Simulation Program with Integrated Circuit Emphasis)による回路シミュレーションを行った。使用したプロセスは0.35μmスタンダードCMOSプロセスであり、典型値におけるnMOSFETとpMOSFETのしきい値電圧はそれぞれ0.46Vと0.68Vである。また、アナログ回路用の電源電圧は2.5Vとしている。プロセス変動に対する影響の評価では、グローバルバラツキ(一様分布:例えば、−0.1V<ΔVTH<0.1V)とランダムバラツキ(ガウス分布:
Figure 0004791581
)を考慮したモンテカルロシミュレーションを行った。
まず、温度依存性については、しきい値電圧モニタ回路1−1を−20°Cから100°Cまで変化させたときの出力電圧VREFの変化を図10に示す。図10から明らかなように、しきい値電圧モニタ回路1−1の出力電圧は温度上昇とともに線形に低下していることがわかる。これは、式(46)に示したように、出力電圧はpMOSFETのしきい値電圧と熱電圧の項を含むためである。すなわち、出力電圧VREFは温度によるしきい値電圧バラツキをモニタすることができる。
次に、プロセスバラツキの依存性について以下に説明する。図11A及び図11Bにモンテカルロシミュレーションを500回行ったときの出力電圧VREFを示す。それぞれの線(点)が一回のモンテカルロシミュレーションの結果を表している。図11Aは、−20°Cから100°Cまでの温度変化に対する出力電圧の結果である。しきい値電圧がグローバルバラツキによって±0.1V変動するため、ある温度において出力電圧が±0.1V変動していることがわかる。また、MOSFETの温度係数κはプロセスバラツキに対して安定なパラメータであることから、すべての結果において温度に対する出力電圧の傾きはほぼ同一であることが確認できる。図11Bは、室温27°Cにおけるしきい値電圧のグローバルバラツキ量(ΔVTHP)に対する出力電圧VREFの結果である。出力電圧は式(46)よりチップ内のpMOSFETのしきい値電圧を参照することから、pMOSFETのしきい値電圧を参照することから、pMOSFETのしきい値電圧バラツキ量に対して線形に変動する。評価結果もほぼ1の相関を示しており、解析通り動作する動作することが確認できる。また、出力電圧VREFがpMOSFETのしきい値電圧バラツキ量に対して広がりを持った相関結果を示している理由としては、バイアス電流のバラツキ、また、モニタトランジスタ(MP1)Q12のランダムバラツキが原因であると考えられる。
以上より、しきい値電圧モニタ回路1−1はチップ内の温度変化とプロセスバラツキに対するpMOSFETのしきい値電圧の状態をモニタすることができる。
さらに、リング発振器の発振周波数補正に関する結果と考察について以下に説明する。ここでは、遅延バラツキ補正アーキテクチャの特性評価のために、CMOSインバータ51段のリング発振器の発振周波数バラツキを補正なしと補正ありの場合で評価を行い、考察を加える。なお、室温、典型値における発振周波数は3.1kHzであった。
まず、プロセスバラツキに対する補正について、図12に、室温におけるモンテカルロシミュレーションを500回行ったときの発振周波数分布のヒストグラムを示す。図12(a)は補正を行わない固定電源電圧(VDD=460mV)動作の結果であり、図12(b)は補正回路を用いた結果である。補正なし(図12(a))では、リング発振器の発振周波数は対数正規分布に従って大きくばらついていることがわかる。これは、しきい値電圧のバラツキに対してMOSFETを流れるサブスレッショルド電流、インバータの遅延時間が指数関数にばらつくため、遅延時間のバラツキは対数正規分布に従うためである。発振周波数は0.158kHzから63.1kHzと幅広く分布している。一方、補正あり(図12(b))では、発振周波数のバラツキは大幅に改善され、正規分布に近い分布でばらついている。これは、プロセスバラツキによるしきい値電圧の変動に合わせてしきい値電圧モニタ回路の出力電圧が変動する。そして、このモニタ信号に合わせてリング発振器の電源電圧を式(44)に示したように制御することで遅延バラツキを抑制するからである。発振周波数が広がりを持った原因は上述したようにしきい値電圧モニタ回路の出力電圧のバラツキとリング発振器を構成するMOSFETのランダムバラツキの影響が考えられる。発振周波数は0.673kHzから7.79kHzの間に分布する。補正ありの発振周波数の変動係数(μ/σ)は36.8%であった。ここで、μとσはそれぞれ発振周波数の平均値と標準偏差である。
次いで、温度変化に対する補正について、図13に−20°Cから100°Cまで温度を変化させたときの補正なしと補正ありの発振周波数を示す。補正なしの場合では、発振周波数は0.0987kHzから107kHzまで大きく変化している。これは、温度変化によるしきい値電圧の変動によって、MOSFETを流れるサブスレッショルド電流、インバータの遅延時間が指数関数にばらつくためである。補正ありの場合では、発振周波数の変動が大きく抑えられ、2.03kHzから5.44kHzの間に分布することが確認できる。補正ありの場合において温度上昇に従って、発振周波数がわずかに上昇している。これは、温度上昇に従ってMOSFETのしきい値電圧、モニタ回路の出力電圧は低下する。これにより、温度上昇に伴ってリング発振器の電源電圧も低下するため、式(33)に従って発振周波数が減少することが原因である。また、基準電流源回路より供給される微小電流が正の温度係数を持つことが原因であると考えられる。
以上より、提案する遅延バラツキ補正回路を用いることで、プロセスバラツキや温度変化による遅延時間のバラツキを補正することができる。
さらに、加算器の遅延バラツキ補正に関する結果と考察について以下に説明する。ここでは、ディジタル回路システムの遅延バラツキ補正効果、消費電力削減効果を評価するために、8ビットリプルキャリー加算器(RCA)の遅延バラツキ補正の評価を行い、考察を加える。設定時間を500μsに設定し、遅延制約を満たすように設計を行っている。補正なしの固定電源電圧VDDは665mVである。計算時間が最悪値となる演算パターン(0000001)+(11111111)で評価し、最終ビットの演算処理が完了したときを遅延時間としている。
まず、プロセスバラツキ及び温度変化に対する遅延バラツキ補正について、図14に−20°Cから100°Cまでの温度変化においてモンテカルロシミュレーションを500回行ったときの加算器の遅延時間を示す。補正あり及び補正なしのそれぞれにおいて、典型値における遅延時間(典型値)、最も早い遅延時間(高速条件)、そして最も遅い遅延時間(低速条件)を抽出して示している。図14から明らかなように、補正なしの場合では遅延時間は38.1nsから212μsまで変化している。これはプロセスバラツキや温度変化によって加算器を構成するMOSFETのしきい値電圧が変動することが原因である。一方、補正ありの遅延時間は29.7μsから494μsの間に抑えられている。これは、補正アーキテクチャを用いることでプロセスバラツキ、温度変化によるしきい値電圧のバラツキを電源電圧に反映することで遅延バラツキを抑制したからである。すなわち、補正なし、補正ありのすべての結果において遅延制約を満たしているが、補正なしは遅延時間が大きくばらついていることが確認できる。
次いで、消費電流の評価について以下に説明する。図22に−20°Cから100°Cまでの温度変化においてモンテカルロシミュレーションを500回行ったときの遅延バラツキ補正なしと補正ありの平均消費電流を示す。遅延バラツキ補正を行うために新たにバッファ回路としきい値電圧モニタ回路が追加され、全体の消費電流は増加している。しかし、遅延バラツキ補正を行うことで遅延制約を満たす最小の電源電圧に設定することができるため、補正なしと比較して、サブスレッショルドディジタルCMOS回路の消費電流を削減できていることが確認できる。
以上より、提案する遅延バラツキ補正回路を用いることで、プロセスバラツキや温度変化による遅延時間のバラツキを補正することができ、サブスレッショルドディジタルCMOS回路の消費電流を削減することが可能となる。
第3の実施形態.
図23は本発明の第3の実施形態に係るサブスレッショルドディジタルCMOS回路のための遅延バラツキ補正回路の構成を示すブロック図である。また、図24は図23等(第3の実施形態に限らず、他の実施形態に適用できる。)のサブスレッショルドディジタルCMOS回路の一例であるリング発振器2Aの構成を示す回路図である。
図23において、第3の実施形態に係る遅延バラツキ補正回路は、図5の遅延バラツキ補正回路に比較して、電圧バッファ回路3を無くし、しきい値電圧モニタ回路1からの出力電圧VREFをそのまま電源電圧VDDとしてサブスレッショルドディジタルCMOS回路2に供給している。本実施形態では、しきい値電圧モニタ回路1の電流供給能力が大きく、サブスレッショルドディジタルCMOS回路2の動作電流を十分にサポートできる場合は、図23のごとく構成してもよい。
図24において、サブスレッショルドディジタルCMOS回路の一例であるリング発振器2Aは、pMOSFET及びnMOSFETから構成されたCMOS回路(例えば、図21)にてなる5個のインバータ31〜35を端子T21,T22の間で縦続接続して構成される。
第4の実施形態.
図25は本発明の第4の実施形態に係るサブスレッショルドディジタルCMOS回路のための遅延バラツキ補正回路の構成を示すブロック図である。図25において、電圧バッファ回路3は、オペアンプA1の反転入力端子と出力端子が接続されてなるボルテージフォロア回路41で構成される。しきい値電圧モニタ回路1からの出力電圧VREFはオペアンプA1の非反転入力端子に入力され、オペアンプA1の出力端子から、出力電圧VREFに対応しかつ実質的に同一の電源電圧VDDが発生されてサブスレッショルドディジタルCMOS回路2に供給される。本実施形態では、ボルテージフォロア回路41により供給電流を増大させて電源電圧VDDを供給することができる。
第5の実施形態.
図26は本発明の第5の実施形態に係るサブスレッショルドディジタルCMOS回路のための遅延バラツキ補正回路の構成を示すブロック図である。図26において、電圧バッファ回路3は、オペアンプA1と、pMOSFETQ510と、キャパシタC510とを備えて構成され、オペアンプA1の出力端子はpMOSFETQ510のゲートに接続され、そのドレインはオペアンプA1の非反転入力端子及びキャパシタC510の一端に接続され、キャパシタQ510の他端は接地される。しきい値電圧モニタ回路1からの出力電圧VREFはオペアンプA1の反転入力端子に入力され、オペアンプA1の出力端子から、出力電圧VREFに対応しかつ実質的に同一の電圧が発生された後、pMOSFETQ510を介して電源電圧VDDとして発生されてサブスレッショルドディジタルCMOS回路2に供給される。本実施形態では、ボルテージフォロア回路41により供給電流を増大させて電源電圧VDDを供給することができる。
第6の実施形態.
図27は図5等の遅延バラツキ補正回路の変形例である第6の実施形態に係る遅延バラツキ補正回路の構成を示す回路図である。第6の実施形態に係る遅延バラツキ補正回路は、電流源回路部10を基準電流源回路10Aで構成したことを特徴としている。図27において、基準電流源回路10Aは、
(1)出力電流の温度特性が電子移動度によって決定されるnMOS構成電源回路51と、
(2)出力電流の温度特性がホール移動度によって決定されるpMOS構成電源回路52と、
(3)nMOS構成電源回路1からの出力電圧に基づいて出力電流Iを生成し、pMOS構成電源回路2からの出力電圧に基づいて出力電流Iを生成し、これらを減算してなる基準出力電流I=I−Iを出力する電流減算回路53とを備えたことを特徴としている。
また、基準電流源回路10Aとカレントミラー部21としきい値電圧モニタ回路部20とにより、遅延バラツキ補正回路を構成するしきい値電圧モニタ回路1Aを構成する。
図27において、nMOS構成電源回路51は、pMOSFETQ21〜Q24及びnMOSFETQ25〜Q30を備えて構成され、主たる電流生成トランジスタはnMOSFET(MNR)Q30である。また、pMOS構成電源回路52は、nMOSFETQ31〜Q34及びpMOSFETQ35〜Q40を備えて構成され、主たる電流生成トランジスタはpMOSFET(MPR)Q40である。電流減算回路53はpMOSFETQ21〜Q24及びnMOSFETQ25〜Q30を備えて構成される。電流減算回路53において、pMOSFETQ41はカレントミラー回路を構成しており、nMOS構成電源回路51で生成される出力電流に対応しかつ実質的に同一の電流Iを生成し、nMOSFETQ42はカレントミラー回路を構成しており、pMOS構成電源回路52で生成される出力電流に対応しかつ実質的に同一の電流Iを生成する。電流減算回路53は、差電流I=I−Iを生成し、カレントミラー部21は差電流Iに対応しかつ実質的に同一の基準電流(微小電流)IREFを生成してしきい値電圧モニタ回路部20にバイアス電流として供給する。
一般に、基準電流源回路の出力電流の温度依存性は、電流生成トランジスタMNR,MPRの移動度の温度係数mに依存している。上述したように、これらの出力電流の温度係数は常に正であるため、温度上昇とともに電流値が増大する。ここで、これらの回路の相補的な回路構成を考える。相補的な回路構成により、pMOSのキャリア移動度を参照した回路を構成できる。これにより、電子とホールのキャリア移動度の温度特性に基づく電流がそれぞれ生成できる。電子とホールのキャリア移動度の温度係数は異なるため、これらの生成する電流の温度依存性も異なる。そこで、図27のように、温度変化に対して実質的に一定の電流を生成する基準電流源回路を構成する。
ここで、nMOS構成電源回路51の出力電流Iの温度係数TCInと、pMOS構成電源回路52の出力電流Iの温度係数TCIpとは、次式で表される。
Figure 0004791581
Figure 0004791581
ここで、mはそれぞれnMOSFETの移動度の温度係数であり、mはpMOSFETの移動度の温度係数を示す。式(48)及び式(49)から出力電流の温度変化に対する傾きはそれぞれ次式で表される。
Figure 0004791581
Figure 0004791581
上記式(50)及び式(51)から明らかなように、電流値I,Iによって変化する。電流減算回路53によってこれら電流値の差をとることによって得られる基準出力電流Irefの温度変化に対する傾きは、次式で表される。
Figure 0004791581
ここで、f(T)は次式で表される。
Figure 0004791581
ここで、電流値I,IはそれぞれnMOSFETのサイズ及びpMOSFETのサイズで決定されるので、式(53)のf(T)が一定になるように、nMOSFETのサイズ及びpMOSFETのサイズで決定して設定することで温度変化に対して実質的に一定の電流Iを生成することができる。そして、生成された電流Iに基づいて、カレントミラー部21は差電流Iに対応しかつ実質的に同一の基準電流(微小電流)IREFを生成してしきい値電圧モニタ回路部20にバイアス電流として供給する。従って、温度変化に対してほとんど変化しない基準電流IREFを発生して制御出力電圧VREFを生成できる。
第7の実施形態.
図28は本発明の第7の実施形態に係るサブスレッショルドディジタルCMOS回路のための遅延バラツキ補正回路の構成を示すブロック図である。第7の実施形態に係る遅延バラツキ補正回路の基準電流源回路10Aは、図27の基準電流源回路10Aにおいて、スタートアップ回路101SN,101SPをさらに備えたことを特徴としている。スタートアップ回路101SN,101SPを設ける理由は以下の通りである。基準電流源回路10Aにおいて、nMOSFETのゲートがすべて0Vであり、pMOSFETのゲートがすべて電源電圧VDDとなる場合があり、この場合において、当該回路10Aには動作電流が流れず動作しない、当該回路10Aの非動作時の場合(以下、ゼロ電流状態時という。)がある。これを回避するためにスタートアップ回路101SN,101SPを用いる。
図28において、スタートアップ回路101SNは、複数段のダイオード接続のpMOSFETQ301〜Q306と、カレントミラー回路を構成するpMOSFETQ307と、インバータ93を構成するpMOSFETQ308及びnMOSFETQ309と、動作電流を引き抜いて流すnMOSFETQ310とを備えて構成される。また、スタートアップ回路101SPは、複数段のダイオード接続のnMOSFETQ401〜Q406と、カレントミラー回路を構成するnMOSFETQ407と、インバータ94を構成するpMOSFETQ408及びnMOSFETQ409と、動作電流を強制的に流すpMOSFETQ410とを備えて構成される。ここで、スタートアップ回路101SN,101SPは上記ゼロ電流状態時のみ動作し、正常な動作点で動作している場合、動作しない。
スタートアップ回路101SNにおいて、nMOSFETQ32のソース電圧を、インバータ93によりモニタすることによりnMOS構成電源回路51の非動作時を検出し、当該ソース電圧が0Vであるとき(非動作時)、インバータ93の出力信号はハイレベルになり、当該ハイレベルの出力信号がnMOSFETQ310のゲートに印加されて当該nMOSFETQ310がオンされる。これにより、nMOSFETQ310はpMOSFETQ48からの電流を引き抜き、これがnMOS構成電源回路51の起動電流となって回路101Nを起動させて安定に動作させる。一方、インバータ93によるモニタ電圧が動作電圧ならば、インバータ93の出力信号はローレベル(0V)になって、当該ローレベルの出力信号がnMOSFETQ310のゲートに印加されて当該nMOSFETQ310はオフのままである。従って、nMOSFETQ310は電流を流さない。すなわち、正常動作時に回路動作に影響を与えない。なお、複数段のダイオード接続のpMOSFETQ301〜Q306により実質的に一定の微小電流を発生し、そのカレントミラー回路であるpMOSFETQ307は上記微小電流に対応する微小電流をインバータ93にバイアス動作電流として供給し、消費電力の低減のためにインバータ93を流れる電流が大きくならないように制御している。
スタートアップ回路101SPはスタートアップ回路101SNと以下のように同様に動作する。スタートアップ回路101SNにおいて、pMOSFETQ52のソース電圧を、インバータ94によりモニタすることによりpMOS構成電源回路52の非動作時を検出し、当該ソース電圧がハイレベル(電源電圧VDD)であるとき(非動作時)、インバータ94の出力信号はローレベルになり、当該ローレベルの出力信号がpMOSFETQ410のゲートに印加されて当該pMOSFETQ410がオンされる。これにより、pMOSFETQ410はnMOSFETQ61に対して強制的に電流を流し、これがpMOS構成電源回路52の起動電流となって回路101Pを起動させて安定に動作させる。一方、インバータ94によるモニタ電圧が0Vならば、インバータ94の出力信号はハイレベルになって、当該ハイレベルの出力信号がpMOSFETQ410のゲートに印加されて当該pMOSFETQ410はオフのままである。従って、pMOSFETQ410は電流を流さない。すなわち、正常動作時に回路動作に影響を与えない。なお、複数段のダイオード接続のnMOSFETQ401〜Q406により実質的に一定の微小電流を発生し、そのカレントミラー回路であるnMOSFETQ407は上記微小電流に対応する微小電流をインバータ94にバイアス動作電流として供給し、消費電力の低減のためにインバータ94を流れる電流が大きくならないように制御している。
図29は本発明の第7の実施形態の第1の変形例に係るサブスレッショルドディジタルCMOS回路のための遅延バラツキ補正回路の構成を示すブロック図である。第7の実施形態の第1の変形例に係る遅延バラツキ補正回路の基準電流源回路10Aは、図28の基準電流源回路10Aと比較して以下の点が異なる。
(1)スタートアップ回路101SPに代えて、スタートアップ回路101SPAとしたこと。ここで、スタートアップ回路101SPAは、スタートアップ回路101SPに比較して、複数段のダイオード接続のnMOSFETQ401〜Q406を用いず、基準電流源回路101Nの電流(具体的には、例えば、nMOSFETQ34のソース電流)に対応する電流をカレントミラー回路のnMOSFETQ407により発生して当該電流をインバータ94のバイアス電流として用いたことを特徴とする。これにより、複数段のダイオード接続のnMOSFETQ401〜Q406を用いないので、回路規模を削減できるという効果を有する。
図30は本発明の第7の実施形態の第2の変形例に係るサブスレッショルドディジタルCMOS回路のための遅延バラツキ補正回路の構成を示すブロック図である。第7の実施形態の第2の変形例に係る遅延バラツキ補正回路は、スタートアップ回路101SN,101PAと、図29のnMOS構成電源回路51に対応するnMOS構成電源回路51Aと、図29のpMOS構成電源回路52に対応するpMOS構成電源回路52Aと、図29の電流減算回路29に対応する電流減算回路53Aと、カレントミラー部21と、しきい値電圧モニタ回路部20とを備えて構成される。ここで、電流減算回路53Aは、pMOSFETQ44,Q501,Q502と、nMOSFETQ503〜Q508と備えて構成される。また、MR1及びMR2は主たる電流生成トランジスタであり、MB1,MB2は主たるバイアス電流生成トランジスタである。
図30において、nMOS構成電源回路51Aは出力電流αIを出力し、pMOS構成電源回路52Aは出力電流βIを出力し、電流減算回路53Aは基準出力電流Iref=αI−βIを出力する。カレントミラー部21は基準出力電流Irefに対応する基準出力電流IREFを出力し、しきい値電圧モニタ回路部20は基準出力電流IREFに対応する制御出力電圧VREFを発生して出力する。ここで、製造プロセスを変化させてトランジスタサイズなどを変化させることより、係数α、βを変化させて温度変化に対して基準出力電流Irefを一定にすることができる。
図31は本発明の第7の実施形態の第3の変形例に係るサブスレッショルドディジタルCMOS回路のための遅延バラツキ補正回路の構成を示すブロック図である。図31に示すように、nMOS構成電源回路51と、カレントミラー部21と、しきい値電圧モニタ回路部20とを備えて、遅延バラツキ補正回路であるしきい値電圧モニタ回路1Bを構成してもよい。
図32は本発明の第7の実施形態の第4の変形例に係るサブスレッショルドディジタルCMOS回路のための遅延バラツキ補正回路の構成を示すブロック図である。図32に示すように、pMOS構成電源回路52Bと、カレントミラー部21と、しきい値電圧モニタ回路部20とを備えて、遅延バラツキ補正回路であるしきい値電圧モニタ回路1Cを構成してもよい。
図33は本発明の第7の実施形態の第4の変形例に係るサブスレッショルドディジタルCMOS回路のための遅延バラツキ補正回路の構成を示すブロック図である。図33に示すように、pMOS構成電源回路52Cと、カレントミラー部21と、しきい値電圧モニタ回路部20とを備えて、遅延バラツキ補正回路であるしきい値電圧モニタ回路1Dを構成してもよい。
以上説明したように、微小電流発生回路として用いる基準電流源回路としては以下の2種類の電流源回路を用いることができる。
(A)いわゆるオグエイらの電流源回路(例えば図6の電流源回路部10)
出力電流の式にしきい値電圧が含まれないので、ある程度プロセスバラツキは抑えられる。温度依存性は残るが、ほとんど変わらないので、問題はほとんどないと考えられる。
(B)基準電流源(電子移動度依存電流とホール移動度依存電流とを用いる。例えば図29及び図30参照。)
出力電流はプロセスバラツキに対して安定である。また、電流の温度依存性もほとんどない。しかしながら、サブスレッショルドディジタルCMOS回路2の電気特性により、温度変化に対して電流特性が変化する。すなわち、基準電流でバイアスしても若干の温度特性が残る。
以上のことより、微小電流源回路として以下の3つのタイプを用いることができる。
(A)いわゆるオグエイらの電流源回路
既存の電流源回路であって、バラツキの問題が懸念されるが用いることができる。
(B)電子又はホール移動度依存電流源回路
既存の電流源回路であるが、バラツキ耐性が向上するという効果を有する。
(C)基準電流源回路を応用した温度依存性調整型電流源回路
電子移動度とホール移動度に依存する電流源回路を利用した既存の電流源回路であって、バラツキ耐性が向上し、温度特性も制御できるという効果を有する。ここで、基準電流を利用しても温度特性係数はプラスになる。逆に言うと、温度特性を一定にするためには、微小電流の温度特性を負にする必要がある。電子移動度とホール移動度に依存した電流を利用した基準電流源回路ではホール移動度に依存した電流を多めに引き算してやることで、負の依存性を示す電流を生成することができる。これを利用すれば、温度特性も制御できるようになる(例えば図30の回路参照。)。
図34は各実施形態で用いるサブスレッショルドディジタルCMOS回路で用いるpMOSFETの構造を示す斜視図である。ここでは、pMOSFETの製造プロセスの概要と、しきい値電圧の設定方法とについて以下に説明する。なお、以下ではpMOSFETについて説明しているが、nMOSFETも同様であり、詳細説明を省略する。
図34において、p型半導体基板60においてn+型不純物を注入することによりnウェル61を生成した後、当該nウェル61上にゲート酸化膜62を形成し、その上にゲート幅Wのゲート電極63を形成する。ゲート電極63の両側に高濃度のp+不純物を注入することによりソース電極64及びドレイン65を形成する。また、nウェル61にn型の電源端子66を形成する。各電極63〜65及び電源電極66に所定の電圧を印加すると、nウェル61であって電極64,65の直下には空乏層67が形成されるとともに、ゲート酸化膜62の直下に反転チャネル68が形成される。ここで、しきい値電圧VTHは次式で表される。

Figure 0004791581
ここで、Vfbはフラットバンド電圧、φはフェルミ準位、εsiは例えばシリコン基板にてなる誘電体基板60の比誘電率、qは電荷量、Naはチャネルの不純物量、COXはゲート酸化膜62の容量である。式(54)から明らかなように、例えばパラメータNa、εsi、COXを製造プロセスにより変化させることにより、しきい値電圧VTHを変化させて設定できる。また、基板電圧であるnウェル61の電圧をソース電圧Vよりも高くすることにより、例えばフェルミ準位を変化させることができ、これによりしきい値電圧VTHを変化させて設定できる。以上の方法を用いることにより、pMOSFETの典型値におけるしきい値電圧と、nMOSFETの典型値におけるしきい値電圧の差の絶対値を例えば0.1V以上となるように設定することができる。
以上詳述したように、本発明に係るサブスレッショルドディジタルCMOS回路のための電源電圧制御回路及び方法によれば、電源装置の電源電圧に基づいて、微小電流を発生する微小電流発生回路と、上記発生された微小電流に基づいて、上記遅延時間のバラツキを補正するためのpMOSFET又はnMOSFETのしきい値電圧の変化を含む制御出力電圧を発生して、制御された電源電圧として上記サブスレッショルドディジタルCMOS回路に対して供給する制御出力電圧発生回路とを備えたので、MOSFETのしきい値電圧をオンチップでモニタリングを行い、それをCMOS回路の電源電圧に反映させることで、サブスレッショルド領域で動作するサブスレッショルドCMOS回路の遅延バラツキを補正でき、全体の回路の消費電力を削減できる。
1,1−1〜1−4,1A,1B,1C…しきい値電圧モニタ回路(遅延バラツキ補正回路)、
2…サブスレッショルドディジタルCMOS回路、
3…電圧バッファ回路、
10…電流源回路部、
10A…基準電流源回路、
20、20−1〜20−4…しきい値電圧モニタ回路部、
21…カレントミラー部、
22,23,24,25…しきい値電圧モニタ部、
31〜35…インバータ、
41…ボルテージフォロア回路、
42…レギュレータ回路、
51,51A…pMOS構成電源回路、
52,52A…nMOS構成電源回路、
53,53A…電流減算回路、
60…p型半導体基板、
61…nウェル、
62…ゲート酸化膜、
63…ゲート電極、
64…ソース電極、
65…ドレイン電極、
66…電源電極、
67…空乏層、
68…反転チャネル、
101SN,101SP,101SPA…スタートアップ回路、
201…微小電流発生回路、
A1…オペアンプ、
C510…キャパシタ、
Q1〜Q510…MOSFET、
MP1,Q91H…pチャンネルMOSFET(pMOSFET)、
MN1,Q92H…nチャンネルMOSFET(nMOSFET)、
T1〜T22…端子、
p−HVT…pタイプ高しきい値電圧デバイス、
n−HVT…nタイプ高しきい値電圧デバイス。

Claims (27)

  1. それぞれpMOSFETとnMOSFETにてなる複数のCMOS回路を備えて所定の遅延時間でサブスレッショルド領域で動作するサブスレッショルドディジタルCMOS回路に対して、制御出力電圧を制御された電源電圧として供給する電源電圧制御回路であって、
    上記サブスレッショルドディジタルCMOS回路は、
    (A)上記CMOS回路の遅延時間のうち、pMOSFETの立ち上がり時間によって決定される割合wが実質的に1となる一方、nMOSFETの立ち下がり時間によって遅延時間が決定される割合(1−w)が実質的に0となるように、もしくは
    (B)上記CMOS回路の遅延時間のうち、pMOSFETの立ち上がり時間によって決定される割合wが実質的に0となる一方、nMOSFETの立ち下がり時間によって遅延時間が決定される割合(1−w)が実質的に1となるように、
    pMOSFETの典型値におけるしきい値電圧と、nMOSFETの典型値におけるしきい値電圧の差の絶対値が所定値以上に設定され、
    上記電源電圧制御回路は、
    電源装置の電源電圧に基づいて、所定の微小電流を発生する微小電流発生回路と、
    上記発生された微小電流に基づいて、上記遅延時間のバラツキを補正するためのpMOSFET又はnMOSFETのしきい値電圧の変化を含む制御出力電圧を発生して、制御された電源電圧として上記サブスレッショルドディジタルCMOS回路に対して供給する制御出力電圧発生回路とを備えたことを特徴とする、サブスレッショルドディジタルCMOS回路のための電源電圧制御回路。
  2. 上記サブスレッショルドディジタルCMOS回路は、pMOSFETの典型値におけるしきい値電圧と、nMOSFETの典型値におけるしきい値電圧の差の絶対値が0.1V以上であるように設定されたことを特徴とする請求項1記載の電源電圧制御回路。
  3. 上記微小電流発生回路は、
    電源装置の電源電圧に基づいて所定の電流源を用いて上記微小電流を発生する電流源回路と、
    上記電流源回路により発生された微小電流に対応しかつ実質的に同一の微小電流を発生するカレントミラー回路とを備えたことを特徴とする請求項1又は2記載の電源電圧制御回路。
  4. 上記電流源回路は、電流生成用nMOSFETを備え、電子移動度に依存する出力電流の温度特性を有して第1の電流を生成する第1の電源回路を含むことを特徴とする請求項3記載の電源電圧制御回路。
  5. 上記電流源回路は、電流生成用pMOSFETを備え、ホール移動度に依存する出力電流の温度特性を有して第2の電流を生成する第2の電源回路を含むことを特徴とする請求項3記載の電源電圧制御回路。
  6. 上記電流源回路は、
    電流生成用nMOSFETを備え、電子移動度に依存する出力電流の温度特性を有して第1の電流を生成する第1の電源回路と、
    電流生成用pMOSFETを備え、ホール移動度に依存する出力電流の温度特性を有して第2の電流を生成する第2の電源回路と、
    上記第1の電流から上記第2の電流を減算することにより基準電流を生成する電流減算回路とを備えたことを特徴とする請求項3記載の電源電圧制御回路。

  7. 上記第1の電源回路と上記第2の電源回路はそれぞれスタートアップ回路をさらに備え、
    上記スタートアップ回路は、
    上記第1の電源回路と上記第2の電源回路の非動作時を検出する検出回路と、
    上記検出回路により上記第1の電源回路と上記第2の電源回路の非動作時が検出されたとき、上記第1の電源回路と上記第2の電源回路に所定の電流を流すことにより上記第1の電源回路と上記第2の電源回路を起動する起動トランジスタ回路とを備えたことを特徴とする請求項6記載の電源電圧制御回路。
  8. 上記第1の電源回路と上記第2の電源回路の上記スタートアップ回路はさらに、上記検出回路にバイアス動作電流を供給する電流供給回路を備え、
    上記電流供給回路は、
    電源電圧から所定の微小電流を発生する微小電流発生回路と、
    上記発生された微小電流に対応する微小電流をバイアス動作電流として発生する第3のカレントミラー回路とを備えたことを特徴とする請求項7記載の電源電圧制御回路。
  9. 上記第1の電源回路の上記スタートアップ回路はさらに、上記検出回路にバイアス動作電流を供給する第1の電流供給回路を備え、
    上記第1の電流供給回路は、
    電源電圧から所定の微小電流を発生する微小電流発生回路と、
    上記発生された微小電流に対応する微小電流をバイアス動作電流として発生する第3のカレントミラー回路とを備え、
    上記第2の電源回路の上記スタートアップ回路はさらに、上記検出回路にバイアス動作電流を供給する第2の電流供給回路を備え、
    上記第2の電流供給回路は、
    上記第2の電源回路の起動後の動作電流に対応する電流をバイアス動作電流として発生する第4のカレントミラー回路とを備えたことを特徴とする請求項7記載の基準電流源回路。
  10. 上記サブスレッショルドディジタルCMOS回路のpMOSFETの典型値におけるしきい値電圧が、上記サブスレッショルドディジタルCMOS回路のnMOSFETの典型値におけるしきい値電圧よりも高い場合であって、
    上記制御出力電圧発生回路は、接地されたゲートと、接地されたドレインと、上記微小電流発生回路に接続されたソースとを有するpMOSFETを備えたことを特徴とする請求項1乃至9のうちのいずれか1つに記載の電源電圧制御回路。
  11. 上記サブスレッショルドディジタルCMOS回路のnMOSFETの典型値におけるしきい値電圧が、上記サブスレッショルドディジタルCMOS回路のpMOSFETの典型値におけるしきい値電圧よりも高い場合であって、
    上記制御出力電圧発生回路は、上記微小電流発生回路に接続されたゲートと、上記微小電流発生回路に接続されたドレインと、接地されたソースとを有するnMOSFETを備えたことを特徴とする請求項1乃至9のうちのいずれか1つに記載の電源電圧制御回路。
  12. 上記サブスレッショルドディジタルCMOS回路のpMOSFETがpタイプ高しきい値デバイスである場合であって、
    上記制御出力電圧発生回路は、接地されたゲートと、接地されたドレインと、上記微小電流発生回路に接続されたソースとを有するpタイプ高しきい値デバイスを備えたことを特徴とする請求項1乃至9のうちのいずれか1つに記載の電源電圧制御回路。
  13. 上記サブスレッショルドディジタルCMOS回路のnMOSFETがnタイプ高しきい値デバイスである場合であって、
    上記制御出力電圧発生回路は、上記微小電流発生回路に接続されたゲートと、上記微小電流発生回路に接続されたドレインと、接地されたソースとを有するnタイプ高しきい値デバイスを備えたことを特徴とする請求項1乃至9のうちのいずれか1つに記載の電源電圧制御回路。
  14. 上記電源電圧制御回路はさらに、
    上記制御出力電圧発生回路と上記サブスレッショルドディジタルCMOS回路との間に挿入され、上記制御出力電圧に基づいて、上記制御出力電圧に対応する電源電圧を発生して上記サブスレッショルドディジタルCMOS回路に対して供給する電圧バッファ回路を備えたことを特徴とする請求項1乃至13のうちのいずれか1つに記載の電源電圧制御回路。
  15. 上記電源電圧制御回路はさらに、
    上記制御出力電圧発生回路と上記サブスレッショルドディジタルCMOS回路との間に挿入され、上記制御出力電圧に基づいて、上記制御出力電圧に対応する電圧を発生し、発生した電圧を調整し、調整された電源電圧を発生して上記サブスレッショルドディジタルCMOS回路に対して供給するレギュレータ回路を備えたことを特徴とする請求項1乃至13のうちのいずれか1つに記載の電源電圧制御回路。
  16. 上記サブスレッショルドディジタルCMOS回路は、製造プロセスにより、pMOSFETの典型値におけるしきい値電圧と、nMOSFETの典型値におけるしきい値電圧の差の絶対値が0.1V以上であるように設定されたことを特徴とする請求項1乃至15のうちのいずれか1つに記載の電源電圧制御回路。
  17. 上記サブスレッショルドディジタルCMOS回路は、基板電圧を変化することにより、pMOSFETの典型値におけるしきい値電圧と、nMOSFETの典型値におけるしきい値電圧の差の絶対値が0.1V以上であるように設定されたことを特徴とする請求項1乃至15のうちのいずれか1つに記載の電源電圧制御回路。
  18. それぞれpMOSFETとnMOSFETにてなる複数のCMOS回路を備えて所定の遅延時間でサブスレッショルド領域で動作し、サブスレッショルドディジタルCMOS回路に対して制御出力電圧を制御された電源電圧として供給する電源電圧制御方法であって、
    上記サブスレッショルドディジタルCMOS回路は、
    (A)上記CMOS回路の遅延時間のうち、pMOSFETの立ち上がり時間によって決定される割合wが実質的に1となる一方、nMOSFETの立ち下がり時間によって遅延時間が決定される割合(1−w)が実質的に0となるように、もしくは
    (B)上記CMOS回路の遅延時間のうち、pMOSFETの立ち上がり時間によって決定される割合wが実質的に0となる一方、nMOSFETの立ち下がり時間によって遅延時間が決定される割合(1−w)が実質的に1となるように、
    pMOSFETの典型値におけるしきい値電圧と、nMOSFETの典型値におけるしきい値電圧の差の絶対値が所定値以上に設定され、
    上記電源電圧制御方法は、
    電源装置の電源電圧に基づいて所定の微小電流を発生するステップと、
    上記発生された微小電流に基づいて、上記遅延時間のバラツキを補正するためのpMOSFET又はnMOSFETのしきい値電圧の変化を含む制御出力電圧を発生して、制御された電源電圧として上記サブスレッショルドディジタルCMOS回路に対して供給するステップとを含むことを特徴とする、サブスレッショルドディジタルCMOS回路のための電源電圧制御方法。
  19. 上記微小電流を発生するステップは、
    電流源回路を用いて、電源装置の電源電圧に基づいて上記微小電流を発生するステップと、
    カレントミラー回路を用いて、上記電流源回路により発生された微小電流に対応しかつ実質的に同一の微小電流を発生するステップとを含むことを特徴とする請求項18記載の電源電圧制御方法。
  20. 上記サブスレッショルドディジタルCMOS回路のpMOSFETの典型値におけるしきい値電圧が、上記サブスレッショルドディジタルCMOS回路のnMOSFETの典型値におけるしきい値電圧よりも高い場合であって、
    上記制御出力電圧を発生するステップは、接地されたゲートと、接地されたドレインと、上記微小電流発生回路に接続されたソースとを有するpMOSFETを用いて、上記制御出力電圧を発生することを特徴とする請求項18又は19記載の電源電圧制御方法。
  21. 上記サブスレッショルドディジタルCMOS回路のnMOSFETの典型値におけるしきい値電圧が、上記サブスレッショルドディジタルCMOS回路のpMOSFETの典型値におけるしきい値電圧よりも高い場合であって、
    上記制御出力電圧を発生するステップは、上記微小電流発生回路に接続されたゲートと、上記微小電流発生回路に接続されたドレインと、接地されたソースとを有するnMOSFETを用いて、上記制御出力電圧を発生することを特徴とする請求項18又は19記載の電源電圧制御方法。
  22. 上記サブスレッショルドディジタルCMOS回路のpMOSFETがpタイプ高しきい値デバイスである場合であって、
    上記制御出力電圧を発生するステップは、接地されたゲートと、接地されたドレインと、上記微小電流発生回路に接続されたソースとを有するpタイプ高しきい値デバイスを用いて、上記制御出力電圧を発生することを特徴とする請求項18又は19記載の電源電圧制御方法。
  23. 上記サブスレッショルドディジタルCMOS回路のnMOSFETがnタイプ高しきい値デバイスである場合であって、
    上記制御出力電圧を発生するステップは、上記微小電流発生回路に接続されたゲートと、上記微小電流発生回路に接続されたドレインと、接地されたソースとを有するnタイプ高しきい値デバイスを用いて、上記制御出力電圧を発生することを特徴とする請求項18又は19記載の電源電圧制御方法。
  24. 上記電源電圧制御方法はさらに、
    上記制御出力電圧を発生するステップの後において、電圧バッファ回路を用いて、上記制御出力電圧に基づいて、上記制御出力電圧に対応する電源電圧を発生して上記サブスレッショルドディジタルCMOS回路に対して供給するステップを含むことを特徴とする請求項18乃至23のうちのいずれか1つに記載の電源電圧制御方法。
  25. 上記電源電圧制御方法はさらに、
    上記制御出力電圧を発生するステップの後において、レギュレータ回路を用いて、上記制御出力電圧に基づいて、上記制御出力電圧に対応する電圧を発生し、発生した電圧を調整し、調整された電源電圧を発生して上記サブスレッショルドディジタルCMOS回路に対して供給するステップを含むことを特徴とする請求項18乃至23のうちのいずれか1つに記載の電源電圧制御方法。
  26. 上記サブスレッショルドディジタルCMOS回路は、製造プロセスにより、pMOSFETの典型値におけるしきい値電圧と、nMOSFETの典型値におけるしきい値電圧の差の絶対値が0.1V以上であるように設定されたことを特徴とする請求項18乃至25のうちのいずれか1つに記載の電源電圧制御方法。
  27. 上記サブスレッショルドディジタルCMOS回路は、基板電圧を変化することにより、pMOSFETの典型値におけるしきい値電圧と、nMOSFETの典型値におけるしきい値電圧の差の絶対値が0.1V以上であるように設定されたことを特徴とする請求項18乃至25のうちのいずれか1つに記載の電源電圧制御方法。
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